ボクのおばさん 公演情報 自転キン演劇部「ボクのおばさん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    母なる人
    面白い。

    ネタバレBOX

    紛争国への単身赴任を独断で決めた圭介(瀧川英次)に不満を持つ彼女の美香(春日井静奈)が家を訪れることに憤慨する圭介。同時に、叔母・純子(歌川椎子)にも、いつまで同居してんだと当り散らす。圭介の子を身ごもり涙にくれる美香に土下座する純子は、自分が圭介の本当の母だと告げる…。

    荒れた生活から、圭介を捨てて姉に預けた純子は、姉の死をキッカケに圭介らと同居する。それまで姉の子と思っていた圭介は以後反発するも、純子は、息子と一緒にいられることの幸せを感じていた。
    そんな純子が、圭介の赴任をやめさせる妄想にふけるシーンは、地味ながらもあとからジーンとくる。
    美香や子と向き合わず、逃げるように赴任しようとする圭介に対し、純子の告白で腹を括る美香が、精神的に母に近づく。そして、純子と圭介の仲を取り持つ。ラスト、圭介の「ハッピーバースディ」に「誕生日おめでとう」と、背中で魅せる演出と演技が上手い。

    引きこもりチックで虫好きな妹・良子(松坂早苗)と片思いの相手・酒井(平塚真介)との失恋。劣等感と怪我で失意の兄・隆史(藤本浩二)。二人とも自暴自棄になるも、純子たちの助けで活力を取り戻す。
    「家族の死」で狂い始めた「家族」が再生する話。いかにも元気なオバさんである純子が、大きな傷を抱えた母であることの意外性。90分で上下に揺れ動く舞台に満足できた。

    「母には勝てない」という台詞を美香が言ったけども、結局美香も母になるワケで。「女」と「母」の関係も面白いなと思った。
    理屈で説明にしくい「母」って存在に怖いなと思ったり、あたたかいって思ったり。そんな舞台。

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    2012/12/09 00:54

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