満足度★★★★
甲子園
面白い。
ネタバレBOX
夏の高校野球。地方大会決勝で敗れた西高に繰り上げで甲子園出場の可能性が出てくるが、エース・楢崎(花戸祐介)がナイフで刺されたり、セカンド・久留米(武子太郎)が暴力事件を起こしたり、ファースト・相場(板倉チヒロ)が婦女暴行事件を起こしたりと、千載一遇のチャンスを逃しかねず混乱する監督(久保貫太郎)、マネージャー・樹里(渡邉とかげ)たち。廃病院でフェイクダクメンタリー映画を撮ろうとしている林田監督(森下亮)は、彼らを使ってバイオレンス映画を撮り上げ、見事受賞する。しかし、その映画を見た人間が殺人を犯し、受賞取りやめとなる。落胆する監督を励まし、ハチャメチャな映画撮影が始まる…。
暴力の連鎖とか人間の暴力性の克服とかの話と、日本人をひれ伏させるチカラを持つ「甲子園」を絡めた舞台。甲子園という聖なるものと、暴力事件+出場停止という暗部との対比、その美しい部分と醜い部分を、素晴らしい舞台演出力で見せ付けてくれる。甲子園にも人間にも明暗あるよと。そして暗の部分をどうするのかってと。
甲子園大道具の使用法もさることながら、音響照明パフォーマンス一体となった構成は、相変わらず熱い。なぜにダーツなのかと思ったが。
受賞作品(映画)の連続する暴力シーンの見せ方が上手い。暴力行為だけど美しいと思った。あと、葛木英の堅物乙女とかっこいい着物姿が気に入った。当日パンフの表紙も好き。90分。
満足度★★★
売春捜査官
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
木村(桜田聖子)…美人。カワユイ演技もいい。もうちょいパワフルさとか傍若無人さがあると、母性的な女性的な部分が際立つかなと思った。好みの問題かもだけど。
そもそも話が好きってのもあるけど、いい感じに心に迫る。砂浜のシーンの金太郎と李のとことか。ただ座り演技が見えないのが残念。
全体的にアクが薄めな気がした。ドロくささというか。演技自体は良いし、2時間飽きなかったけど。
金太郎役の新原武の演技が気に入った。猿渡役の伊澤玲もしょっぱなから飛ばして、いいアクセントだった。
満足度★★★
遺産相続
面白い。休憩込み190分。
ネタバレBOX
五反田団「クリィミー☆チカ」
黒田(黒田大輔)の彼女・平田(平田ハルカ)が、ピノピノ(前田司郎)から魔法の手鏡を貰ってクリィミー・チカ(内田慈)に変身するが…。
紅午会「親子舞」
休憩
ハイバイ「大衆演劇のニセモノ」
隠れキリシタンの十字郎(用松亮)が、惨殺された家族の復讐を誓い、幕府方の暗殺を始める。天宮(平原テツ)と山中(岩瀬亮)は十字郎と戦うが…。
ザ・プーチンズ「今年の電磁波」
ポリスキル
黒田大輔が警官に職質される。
昨年の同見学会と比べて爆笑は少なかったけど、なんだかんだ楽しめる。五反田団のゴチャっとしたバカバカしさとか、B級な味わいとか好き。ハイバイの大衆演劇は、本家を観たことないけど、役者名の掛け声?演出は思わず笑ってしまう。何気にプーチンズが面白かった。
満足度★★★★
to R
「Magical Mystery TouR」面白い。
ネタバレBOX
とある女優(野崎夏世)とマネージャー柏木(伊藤大輔)の映画劇
手漕ぎボートが難破し、とある館にたどり着くが、そこでダブのように死んでいく女優…。
二人のコメディなパフォーマンスが光ってた。トーク(台本)もウケた。
女の子(上ノ空はなび)のメルヘンなパフォーマンス
マイム劇。はなびの小柄さを利用した浮遊感のある演出が面白い。ブランコとか好き。
夏世が実は死んでたんですという発表からパフォーマンスして、夏世が消失。ここで新メンバーの女優(夏世)を迎える…。
面白い〆。女優には好奇心が必要と言い切る女優の今後の活躍に期待している。
なんだかんだで興味の湧く60分。飽きなかった。素直に笑えるとこも多くて、とっつきやすいのが魅力。シーン毎のトーンの変化もメリハリついてた。
満足度★★★
バールのような
面白い。60分。
ネタバレBOX
幼い頃、翠(浅川薫理)らの父に誘拐された花(片桐はづき)と妹の桃果(榊菜津美)。翠の父は刑務所に入るがガンを患い、翠の弟・慎吾(後藤剛範)の住む家へ戻ってくることをきいた花らは、町を出ることを決意する。同時に、誘拐の際にシーチキンをくれた翠に理解をしつつ、シーチキンを貪り喰う姿にニヤニヤしてた慎吾を「誘拐」。昔みんなで遊んでた倉庫へ連れてきて、よくわからんながらも、思いをぶつける。そして、シーチキンを食べることで清算しようと提案する。
ユーモラスなセリフが多くてその点○。田舎な生きにくさとか、傷心なとことか、辛気臭くなりそうなとこをあんまり見せず語らず、カラっとした感じになってるもいいかなと。そもそも、花と桃香の何がしたいんだかよくわからん誘拐ってとこが、ミソなのかなと思った。
話的にはもう一クセあってもよかったかな。
花…婚約者から薬物を入手し、慎吾を誘拐した。生真面目。おしるこ好き。
桃香…ひきこもりのコミュ障。事件に対して決着つけられてなかった。
翠…東京在住。花と慎吾の中立。男のオアシス。
慎吾…高校中退の中卒。頭悪いがいいひと。花と仲よくて噂されてた。
満足度★★★
〒
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
ハガキとか黒山羊とかポストとか伝書鳩が出てくる舞台。70分位。
ちょこっとユーモラス。誰かに何かを届けるって「郵便」なコンセプト。印象としてはもうちょいまとまりがほしかったかな。パフォーマンス自体は面白かったけど。舞台全体的な感想としてはね。
(あて先のない)誰にも届けられなかった名も無き荷物(清水ゆり)のアコーディオンの音色と歌声、そしてその結末(焼却処分)は、いい感じだった。
満足度★★★★
Pollyanna
色々と面白い。70分。
ネタバレBOX
佐和子(長野海)…母。朝起きたら27歳の姿になってた。小説家の夢を諦めたてたけど、27歳に戻ったことを機に小説家を目指し始める。
直子(菊池佳南)…小説家。27歳。浩之と同棲中。起こると物を投げつける。今は亡き父とケンカした時に家出した。
浩之(亀山浩史)…美大院生。今日26歳になった。直子の彼氏だけど、直子の作品への理解が薄め。
義雄(山内健司)…直子の叔父(佐和子の夫の兄弟)。未婚?だけど、浩之と直子へアドバイスする。浩之の名前が覚えられない。国語教師。
自分の作品が近しい人に理解されないことで、直子が爆発する終盤。お母さんのようになりたくない、独りで生きていく覚悟があるんだと、啖呵をきる直子。タバコに逃げる浩之が戻ってきて、突如プロポーズし、直子は怒って出て行く。義雄も浩之も帰った部屋で、直子の言葉に傷心しつつ幼い頃の直子に一人想いを馳せる佐和子。そして「やっぱり帰ってきた」とケーキとってあるよと声をかける…。
とりあえず、山内健司のレベルが高いなと。上手いし面白い。いかにもおじさんでいい感じのアクセントが最高。3人が緊張した際のポジションもいい。
味気ないことをいえば単なる親子ケンカで、彼氏と母の前で暴言吐いちゃうお子様な女性の話なんだろうけど、その鬱憤に同感できなくもない。やっぱり理解されたいし、ほめられたい。何歳になっても変わらない気がする。
幼い頃の直子にいつ母になったのと問われ、少しずつ母になったと答える佐和子にとって、直子の存在があるからこそ母でいられるワケで、やっぱり母になっちゃうワケで。そうゆう芯の通ったソフトな感覚がじんわりくる。
まあ、自分が浩之ポジションだったら、めちゃくちゃ困ると思うけど。
満足度★★★★★
国よりも私を愛して!
面白い。滑舌はもうちょい頑張ってほしいけど。チラシはいい感じ。
ネタバレBOX
あおい(鈴木ちひろ)…大学4年。蒼甫が好き。同棲中。蒼甫の切腹をとめてヨリを戻す。
蒼甫(清水航平)…ネトウヨ。無職。あおいとウヨク思想の間で揺れる。
成彬(伊藤純也)…あおいの父。警察の係長。蒼甫と娘の関係が不満だけど、許してあげた。
金村(由良真介)…成彬の部下。在日だけど帰化した。日本が好き。あおいのことも好き。
赤田(山下みさと)…あおいのゼミの先生。内藤を論破する。
内藤(髭だるマン)…蒼甫の中学校の先輩で、蒼甫をネトウヨの世界へ誘った。彼女ができてウヨク活動はやめた。
中道(ピンク地底人2号)…あおいの友人。フジマーケットのバイト。
台場(高間響)…フジマーケットの店長。実績あり。皇族に似てる。
ネトウヨ活動が原因であおいと別れた蒼甫は、韓流アーティストの握手会を明日に控えたフジマーケットの屋上で切腹を図るが、あおいの言葉で蒼甫は投降する…。
上手い台本だなと思った。笑えるとこも豊富で、政治(社会?)的なネタが無理なくちりばめられ、リズムもいい。「ネトウヨ」という存在(イメージ)をわかりやすく舞台上に例示して、スパっとメスを入れる(ネトウヨは社会や人生への不満の捌け口というなるほど感)。「日本が素晴らしい」を「自分が素晴らしい」に置き換えているとか、結構唸っちゃう。
あおいと蒼甫の恋愛で作品を〆て、個人レベルなとこで落としてるのもいい。変に小難しくなくて。実際、あおいと蒼甫のラストの歌(テーマ曲?)は、歌詞聞き取りにくいけど、グッときた。
満足度★★★
KY
面白い。80分。
ネタバレBOX
深夜、出版関係の会社。校正期限の迫った御手洗(横手慎太郎)と、クールな山田(田中渚)の会話に、世間をにぎわせている泥棒・キースがあがる。キースファンの御手洗と興味なさげな山田がキース事件を妄想する…。
メインは御手洗と山田の会話劇。入れ子な劇中劇にとりたてて魅力は感じないが、終盤の二人の会話とオチ(山田の残した化粧箱に劇中劇での盗品が入ってて神田川刑事が御手洗を逮捕にくる)で活きてくる。まあ、それでも若干退屈であったけど。
みな空っぽで仮面かけてて、でも大切なものを持っててってのは、じんわり来た。何が大切か自分では分ってないけど、それでも多分何かはあるんだろうなと。てかそう信じたいなと。
メイン二人の会話の調子は好き。ちょっとだけ男女な感覚をもたせつつ、積極的に距離が縮まらない感じとか。山田が御手洗に大事なもの何って聞くとことか。キャラもいい。
横手のふわっとした優男でズボラな感じと、田中の野暮めなクールビューティでちょっと変わってる感じが、妙にマッチしてた。
満足度★★★★
ゆきちゃん嫌いだわー
面白い。ATも笑えた。
ネタバレBOX
二ノ宮ゆき(田中沙織)…絵描きを目指し、個展を開く。恋多き女。
巧(斉藤マッチュ)…ゆきの彼氏。プロポーズするがフラれ、順子と結婚する。
すずみ(谷田部美咲)…巧の血の繋がってない妹。恋愛偏重なのが嫌いだったけど大学教師と不倫する。
孝介(倉田大輔)…ゆきの彼氏。ゆきに選ばれるが久美子を選んだ。ゴムをキーボード下にしまう。
久美子(亀田梨紗)…孝介の彼女(元彼女)。タバコケースにゴムがフィットすると孝介に教えた。
ちびっこ(篠原彩)…すずみの友達。周りからは恋はわからんとおっしゃった。
順子(有田杏子)…ゆきの友人。巧と結婚し、ゆきとは微妙な距離に。
道に迷う女(森谷ふみ)…不倫したせいで離婚調停中の女。後に不倫相談の先生に。
森澤(右代谷勝好)…ゆきの初彼氏。現在は演劇やってる。
舞(小野寺ずる)…ゆきの美大時の友人。芸術や演劇をやる女はチョロい(バカ)とおっしゃった。
新之助(櫻井拓也)…すずみの同級。すずみにフラレ続けた。
重崎(松下仁)…ゆきの美術仲間。ゆきに告白する。
非常勤講師(松木大輔)…ゆきと付き合ってた。性欲旺盛な中年。セクハラで解雇された。
占い師(松木大輔)…ゆきを占う。冬だけどアロハな服装。
スタッフ(すがやかずみ)…ゆきの個展のスタッフ。森澤が嫌い。
スタッフ(今村圭祐)…赤いスマホを持つ男。Mrs.fictions所属。
笑いドコが多くてライトに楽しめる。それでいて、巧と孝介との話は、引き締まった感覚でピリリとできる。ATで中嶋康太が「ゆきちゃん嫌いだわー」と言ってたのは爆笑したが、恋愛ってそんなもんかもなーと思った。むしろあんだけかわいいゆきちゃんも苦悩するんだなと。理屈じゃないって言葉通り、合理的にはいかないもんだなと。巧と孝介を演じた二人は上手かった。
ゆきが何考えてるかがよくわからんかったが、ここらも理屈でないんだろう。そういう意味で、濃いシーンもあるけど薄味な気もする。ラストの「神様教えて」的なセリフも、〆としては弱いかなと。ゆきとすずみの関係性とかも、どこまで濃くなってたのか、ピンと来なかった。なんだかんだ楽しかったけど。
満足度★★★★
呪い
面白い。110分。
ネタバレBOX
震災後、内陸地へ転居した女子高生が突如いなくなり、関係者がルポライターからインタビューされることとなったが…。
七海(坂田麻衣)…突如いなくなった女子高生。嫌になり、母に会うため海を目指す。
咲(松本まりか)…七海の10歳離れた姉。夫との仲がストレスフル。母代わりとして頑張ってきた。
幹男(津村知与支)…咲の夫。七海にセクハラし、逆ギレする。その後家を頻繁に空けるようになる。
ユウコ(高田聖子)…七海らの叔母。七海の母との確執あり。丸山を愛するようになり、笑顔が増えた。
丸山(西條義将)…七海の先生。実際には既婚であるが、七海宅を訪れる中でユウコと仲良くなってた。
翔(西井幸人)…七海の彼氏。そのうち別の女と付き合いだす。ビーマンから悪魔といわれる。
ビーマン(宮崎敏行)…叫ぶ男。二本松地区で有名なホームレス。叫ぶことで呪いを撒き散らしている。
古賀(小椋毅)…ルポライター。実際は、フリーのジャーナリストで、世間を見返すため進入禁止区域に入り、そこで七海と出会った。
セイタ(古山憲太郎)…七海らの叔父。東京在住。七海から連れてってといわれるが、断った。
失踪することで、皆の心に強くよみがえった女子高生という話。
ストレスが最高潮に達し、誰も理解してくれず人が嫌になった女子高生が、失踪前に嫌われ者のビーマンに携帯を渡す。ビーマンが言ってた恵まれているという言葉空しく、孤独に陥った人間が終焉に向かう様は、見てて痛々しくある。ラスト、「生きて、いる」という映像が映ったから、死んでないのかもだけど。
けどまあ、もう嫌になったって感情は分りやすいし、同調できる。彼女がそれを想う様を過去回想にして展開する舞台で、周りの人間が結果的に追い詰めてる様が上手い。ピリピリくる。特に高田聖子。新劇団員の坂田麻衣も上々に見えた。
満足度★★★
B
面白い。70分。
ネタバレBOX
おおまかなとこだけ事前に役者に伝え、後は役者が作っていくというコンセプトで、ソーコのピンチ(夫の死亡)でダメ出しが中島庸介から入るという、一風変わった作品。
ダメ出し後、宮崎雄真の発案で、夫が不倫であったこと、ソーコがシングルマザーとなるという展開でリスタートする。高校時、クスの木の下で出会った後、家庭の事情で黙って離れていったクウちゃんが、ピンチに駆けつけて、想いをぶつけ合う。そして、二人で葵?を育てていくという話。
中島が言ってたように「月9」的な展開は微妙で、そこからのピリっとした話を見せるという手法は面白い。好みでもあるし。
終盤、話を見せるためか、役者のかかわりが少なめになったのが残念といえば残念。終盤にもう一歩別の見せ方があってもよいかなと思った。
満足度★★★★
遺影
面白い。
ネタバレBOX
中谷元(緒方晋)…林業と喪屋文化を守っている。枝打ち講習中に転落死した。
中谷史子(魔瑠)…元の妻。よくしゃべる。カレーばっかり。
中谷修子(橋爪未萌里)…遼の親友で、モデルになってた。坂本先生が好き。
中谷一平(野村脩貴)…修子の弟。ポケモン好き。元の葬儀で目頭を押さえた。
杉山馨(金替康博)…元の妹の夫。男やもめ。葬祭コンサルタント。元の家(本家)とは微妙な関係。遼の上京に反対する。
杉山遼(永松渚)…馨の子で、修子とはいとこ。村の人の「遺影」を撮る。コンクールで1位となり美大を目指す。
坂本健介(うえだひろし)…写真部顧問。遼を応援するが、遼とのスキャンダル写真を撮られ混乱を招く。
藤城琴依(七味まゆ味)…修子の家庭教師。修子のオシャレの先生。
衰退する林業と喪屋という二つの文化を抱える人見村。組合の中心である中谷家と立場的に下で距離のある杉山家。カメラの才能を手に目標にひた走る遼と何かがあるわけでなく先生に片思いな修子。
喪屋って特異な文化の残る狭い村で、自然な人の心がぶつかり合う。その絡ませ方(混ぜ合わせ方)が上手い。演技も上手い。会話の端々にユーモアを感じさせつつ自然な感じではあるけど、妙に怖い。
ラスト、修子と上京前の遼の会話、久々に修子の遺影を撮る遼に、どこまでもいとこだと答える修子。その微妙な距離感が象徴するような舞台だった。
皆上手かったけど、馨役の金替の、遼に対する気でも狂ったかの演技は素晴らしく恐ろしかった。その土地で生活する圧迫感と支えの遼を失う(奪われる)ことに対する恐怖の表れというのか。反転、元の葬儀を執行した際に、遼が撮った馨の遺影はどんな顔だったのか。気持ちの入った村の男の顔だったと思いたい。
満足度★★★
鐘
面白い。120分。
ネタバレBOX
素晴らしき哉、人生の日本版。昭和の長野県のとある町、自分の夢を押し殺して人のために生きた鐘司(阿部丈二)が人生最大のピンチを迎え、橋から身投げするところを、2級天使のプロキオン(多田直人)が助けようとして、結局心配停止になった。まだ死んでない鐘司だったが、自分は要らない人間なんだと、その人生を語る…。
素晴らしき~は、オーストラマコンドー公演で初めて知ったけども、とても面白くて暖かくてって作品。本舞台は、その暖かさがに至るまでの人生のツラさがやや弱いかなと感じた。笑えるとこもちょこちょこあって、その点良かったし、観劇後の高揚感みたいなのもしっかりあったけど。
満足度★★★★
1982
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
1982年生まれなハウス住人6名。慣れないパーティの夜、北池袋で起こった猟奇通り魔事件の調査で刑事がやってきて、一同困惑するが…。
ゆかり(中林舞)…シェアハウスの発起人。商社勤務。金に細かいらしいが、ハウスではまともに振舞う。
すみ(百花亜希)…余命短い病人。アクアリウム好き。
ゆう(堀奈津美)…ひきこもり経験のある生活保護受給者。てつとは微妙な関係。
しんや(渡邉亮)…根暗なフリーター。殺害意識の高さを自覚し、警察に捕まりたいと願う。
てつ(東谷英人)…週末DJ。事件発覚でハウスから出て行こうとする。
ゆうき(中間統彦)…十代。クリスマスパーティの発起人。ゆうにキレる。
わに(中村梨那)…未届。
とり(若林えり)…KFCに涙する。
部長(大原研二)…熱海的な部長。70年代。
菊地(一色洋平)…部長の部下。冷静であったり熱かったり。
A(清水那保)…少年A
ゆうが言ったように、ダメな人間の掃き溜めってハウス。なんか閉塞感漂い、それでいて希望も絶望もない、ふわーとした人生を送る。対する部長の傍若無人さが心地よく爽やかに感じるような、湿気た空気感が充満する。
内向的だって言い切っちゃえばそうなんだけど、なにかを拗らせてて、自分だけじゃどうにもならないけど、その先どうしていいかわからんで、ひたすら薄暗い道歩いている面々が、そんなに嫌いじゃないというかわからんでもないという錯覚に陥る。感覚として。
メインの殺害意識のとこは、Aの扱い含めて、もうちょい印象的でも良かったかな。
「安定したアクアリウム」のようにそこに居る人が無駄なく生きていける世界と、真逆に向かっているかのような世間(人生)を泳ぎ続けないといけない若者の静かな狂騒って作品。120分。
満足度★★★★
アイロニーの夜
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
「アイロニーの夜」
工員首になったヒロ(四條久美子)が、なぜかついてきた同僚・チズ(ヨウラマキ)と、今は壊滅した終着の町・東京へ向かう…。
始まる前に終わることの不幸ってセリフと、終わってる町での前向きな空気感がいい。ヨウラマキのヘンテコな女の子演技が上手い。
「テンガロンハット」
独り暮らしの私(大枝佳織)の家の修理をする、流しの便利屋・山田(岩狭勝也)だったが、頼んでもない修理まで始めてしまう。私の姉・市子(高山奈央子)と揉めて退散する山田だったが…。
不気味なようで笑える快作。演技も上々。ラストの山田に気づく私の、複雑で暖かめな想いが、じんわりきた。自転車に乗る大枝がなんか魅力的。
「虎の肉球はサイレンサー」
同級で仲のいい、俺(成清正紀)と不良チックで兄貴な岡やん(佐賀野雅和)、結婚したブチ(櫻井麻樹)の三人。岡やんは右足切断の憂き目に合い人生落ち目になって自殺を考え、念願の子が生まれたブチは、その夜、動物園でベンガル虎に喰い殺される…。
人生なにがなんだかよくわからん、という感じ。道徳的でもなければ厭世的でもなく、それでいてインパクトのある印象的な作品。多くを語らないけど濃い空気が出てた。
「炎上する君」
ブスだけど頭が良くて互いを唯一理解している私(異儀田夏葉)と浜中(桑原裕子)。人生不感症な二人はバンドを始める。そんな折、足が炎上している男の話をききつける…。
女性であることを憎み、男になることを拒み続けた二人が、炎上する君に会い、女に目覚めるという話。ブスってだけで蔑まれる「女」性に反発する二人と、摩擦で炎上するという男、フィクションな要素と現実的な要素のミスマッチ感が良かった。女と男ってシンプルなテーマにパワフルさが同居した作品。
「神様2011」
原発近くの住む私(水野美穂)とくま(川本裕之)が、川遊びに出かける…。
配置的に2,3番目が良かった。二時間以上座ってて見てたせいか、感覚的にピンと来なかった。
140分位。
満足度★★★★
竹
面白い。120分。
ネタバレBOX
社長(辰巳智秋)…社長。安田と不倫中。妻は売春中。息子あり。
中山(西山聡)…主任。阿川の前は間中と付き合ってた。
阿川(佐々木千恵)…中山の彼女。実は×2の37歳、ビッチ。元ヤンで元グラ。
間中(小川夏鈴)…新入社員。黒人の子を身篭り、堕胎する気でいる。
岸谷(諌山幸治)…間中の彼氏。遭難経験あり。間中のことを受け入れた。
直人(印宮伸二)…工員。絵美の夫。妻のことを気遣うが浮気してる。
絵美(金沢涼恵)…パート。元ナース。流産経験あり。
安田(堀川炎)…経理。社長の不倫に希望を持たない女性。
社員+恋人なメンツの旅行で船が転覆し、ボートで遭難中の面々。妙なシチュエーション(一応生死の迫った)での愛憎入り混じっての会話が面白い。竹毒という性病をワンポイントにさっぱりしているような湿っているような会話に引き込まれた。そして笑えた。
ラストシーンがちょっと長いかななんて思った。
遭難の差し迫った緊迫感はないが、男女の愛情的にはピリっとした空気があって、楽しめた。
満足度★★★
親子丼
面白い。
ネタバレBOX
妙子(岸井ゆきの)…短大生。テルユキで初体験。父が殺される夢を見る。更に父から赤井殺しを頼まれるが…。
ミドリ(石橋けい)…妙子の母。若く見える。元役所勤めだけど家庭のため水商売につくが、馴染めていない。赤井と再婚。
ミツヒコ(ふじきみつ彦)…妙子の兄。テルユキの先輩。すぐ泣く。
テルユキ(成瀬正太郎)…ママの子。妙子と付き合う。中折れ。
ママ(原田麻由)…ペニンシュラのママ。ミドリにダメだしする。
柏木(岩谷健司)…店長。赤井に弱みを握られてて、かつミドリを取られ、憎む。
岡崎(岡部たかし)…ペニンシュラの雑用。美鈴に暴力を働く。
美鈴(島田桃依)…ペニンシュラのホステス。食欲旺盛。
赤井(KONTA)…ペニンシュラの常連。職業不詳。ミドリと再婚。妙子の処女を奪う気でいた。
三鷹文化センターの森元氏があいさつしたかと思うと、数年前の芝居話から開幕。銃で死ぬ父という役と終盤の父の幻影という役でも出演してた。上々な入り方だなーと思った。
その後は、ミドリの家とペニンシュラの控え室を行ったりきたりの面白い会話劇って感じ。普通に面白いが、なんとなく入り込めない空気感。異常っぽく見えて普通な感じだったからかな。ドロっとしているように見えてサッパリというか。
満足度★★★★
人形
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
雪の降る夜。コオロギのジミニー・クリケット(加藤晃子)が入ったとある家。壊れかけの操り人形・ピノキオ(渡辺実希)と出会いその一生を聞く。
男やもめのゼペット(渡辺望)が木を彫って創った、純真なピノキオは、無邪気な表情と裏腹に、自分が人間でないことに傷つき、人間になりたいと願う。ペテン師(佐々木豊)に騙され、サーカス団に売られるが、船が難破し、なんとか家に戻る。そしてゼペットの死後もなお生き続けていた。そして、ピノキオはクリケットに終わられてくれるよう頼み、クリケットは火を放つ。
随分とシンプルな話と展開。だけど、グッときた。
自己肯定できないピノキオの絶望と願い。父たるゼペットの温みと、死を間近に控えたゼペットが感じたピノキオの温み。そしてピノキオは、自分は人間だと(嘘を)いう。
ピノキオの解決できない悩みに心打たれたのか、ゼペットとの親子愛に感動したのかわからないけど、決して明るくない舞台でありながら、魔法はこの世に無いんだってことを受け入れ生きること(誰かと生きていくこと)を、肯定するような暖かさをちょっとだけ感じられた気がする。
話はシンプルでも、見せ方は飽きないようになっててよかった。70分位。
満足度★★★
舟
正直眠くなった。100分。
ネタバレBOX
とある噂があふれる「村」での、女性たちの会話。噂が不安を呼び起こすとか、村が滅びるとか、現代的な色調の舞台だなってのが印象。なんとなく、(大事だろうけど)見たくもないものを見せられたという疲労感。
平坦に聞こえる声の調子が、逆に言葉を際立たせるという手法なのか。ちょっと心に引っかからなかった。ハナを殺した女性の声は好きだけど。