yozの観てきた!クチコミ一覧

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テースターズ

テースターズ

京央惨事

新宿眼科画廊(東京都)

2019/03/22 (金) ~ 2019/03/25 (月)公演終了

満足度★★★★

ネズミ講的胡散臭さを醸し出す女性講師が、落ち込んだ女性に水を売りつけようとするところにエセ陰陽師のような女性が現れ、女性講師の秘密をズバズバと言い当て一瞬でとりこにしてしまうシーン、面白かった!
トータル70分程度のコンバクトなお芝居で飽きさせない。台詞のセンスもよく、役者さんそれぞれの雰囲気に合った役柄を演じていて当て書きのよう。次の公演も観たくなった。

開演前、一番後方の座席には黒い布がかけられ、椅子の上に「この席は開演直前(開演後、だったかな?)に来る人のために確保しています」といった趣旨の張り紙が置いてあった。こんな風に書いてくれていれば、わざわざそこに座ることもないし、開演直前になって急遽自分の席の前や隣にガチャガチャと増席されることもなくゆっくり観ることができる。些細なことだけど、来客への心配りがあって好感を持った。

小松台東“east”公演『仮面』

小松台東“east”公演『仮面』

小松台東

新宿眼科画廊(東京都)

2019/03/08 (金) ~ 2019/03/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

シームレスなゴドーといった感触。松本さんの空気の読めない態度や無神経に他人の心をズケズケと踏み荒らしていく演技に、ある種の爽快感を感じた(私とは逆にイライラする人もいるかもしれないが)。観客と地続きな演劇は、これまで何度か観てきたけど、今回の芝居は設定が突拍子もないのに役者さんの演技が迫真に迫り、私が経験した中でも相当上質な部類に入ると思う。宮崎弁を封印して挑んだ今作、とても意欲的で楽しめました!

ネタバレBOX

最初に登場した夫婦、本当に揉め事が起きたのかとハラハラした笑。
莫逆の犬

莫逆の犬

神保町花月

神保町花月(東京都)

2019/02/20 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

ONEOR8の作品を板尾創路氏らで再演。私は初演を観ていないのでこの作品を観るのはこれが初めて。
ゼブラでは少々知恵が足りない男の役を演じていた矢部太郎氏。今回はタチの悪い上司に生真面目にぶつかる役で、役柄はゼブラよりも個人的にしっくりきた。
大谷麻乃さん演じる美月は、時間の経過と共に心変わりしていく様が表情や態度で丁寧に表わされていてヒリヒリした。犬のようにただ待つほかない宮下雄也さん演じる一郎の達観した諦念と幼さが綯交ぜになった演技にもグッときた。個性の強い配役をONEOR8の役者さんたちできっちり脇を固め、安定の物語展開。

ネタバレBOX

ただ、あれだけ人の出入りが激しいマンションで10年間も警察の目から逃げおおせるとは到底思えない。そこを突くと、この物語自体が成立しなくなるんだろうけど、その部分はずっとモヤモヤしながら観ていた。
ほしゅのリゾート

ほしゅのリゾート

東葛スポーツ

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2019/02/20 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

川上友里(はえぎわ)、森本華(ロロ)、川﨑麻里子(ナカゴー)という手練れの女優陣に混じり、元AV女優で現在役者として活動中のしじみさんが登場。さすがに力量に差があるのでは?と懸念したものの、しじみさんの経歴そのものを芝居の中に組み込むことで、彼女の存在をうまく生かしていたように思う。しじみさん、小さくて愛らしい印象ながらラップパートでは野太い声でがなりたて、他の女優にも引けをとらない演技を見せていた。

ネタバレBOX

タイトル通り、星野リゾートをパロディ化した「ほしゅのリゾート」は、保守派の有名人をおちょくるネタが多かった。発想はユニークだったものの、私が観た回では役者さんが台詞を噛んだりとちったり、映像が早く出すぎたり逆に遅れたりと、芝居が全体的にノッキングを起こしているようでテンポが悪く感じた。

来場客に外国人が多いTPAMをイジったり、板橋駿谷さんが「オイディプスREXXX」の作詞・ラップ指導で読売演劇大賞にノミネートされたことに対し、「選考委員は東葛スポーツを観た上で決めてるのか?」といった問いかけは面白く、たまたま当日板橋さんご本人が来場していたので、どんな顔で観ているのかと思ってしまった。


【ここからは個人的な愚痴になります】
この回、私は良席を確保しようと上演時間の1時間20分前から入り口で並んでおり、開場とともに観やすい席を確保して上演開始を静かに待っていたのだけど、当日客の対応に手間取ったのか、開演時刻の8時を過ぎてもぞろぞろと客が入場した上、主宰者自らが私の隣に空いていたスペースに椅子を設け、定刻を3分過ぎて入場してきた客を座らせたのには閉口した。これでは私が何のために早くから並んだのかバカらしくなるし、開場時刻を守った挙句、窮屈な座席に誘導された他の客もむなしくなる。それなら最初からそこに座席を設置してくれていればいいのに。

「小劇場界隈をディスる」という威勢は逞しく、その批評的視座をいつも好感を持って拝見しているし応援もしているけれど、「批評はするけど劇団に都合のいいところは小劇場の慣習を踏襲する」では放ったブーメランが手元に帰ってくるだけではないだろうか。

出番前にも関わらず熱心で献身的なアテンドを行う川﨑さんの姿勢にはいつも頭が下がる思いを持っているので、このようなことで鼻白む気持ちになったのは誠に残念だった。

界隈をディスるのなら、小劇場の悪弊である「開演時刻が遅れがち」「先に入場した客をできるだけ詰め込み、開演時刻間際に入場した客を新たに設けた良席に誘導」といったところもぜひ、先頭を切って直していってほしい。
夜が摑む

夜が摑む

オフィスコットーネ

シアター711(東京都)

2019/02/02 (土) ~ 2019/02/12 (火)公演終了

満足度★★★★

パラノイアの辛く苦しい日々を滑稽に描く一方で、同じ団地に住む住民の理解のなさも冷酷かつユニークに描いていて、笑いながらも寒々しい気持ちになる。
演技の大半を広めの机の上で行う山田百次さん、肉体的に相当きついだろうに大車輪の活躍。また、暗くなりそうなシーンも異儀田さんの演技と存在感で面白いテイストに変化したりと、役者陣の奮闘にも目を見張った。有薗さんのバキバキに割れたシックスパックもすごかった!
私も昔、荻窪のアパートに住んでいた時、薄い壁の向こうから聞こえる隣人の連夜の騒音に悩まされた挙句ノイローゼ気味になり、壁をグーパンチしていたことがあったので、他人事じゃないような気持ちになった。

わが家の最終的解決(再演)

わが家の最終的解決(再演)

Aga-risk Entertainment

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2019/01/25 (金) ~ 2019/01/29 (火)公演終了

満足度★★★

ひとつの嘘がまた次の嘘を生み、嘘を信じた側の誤解が認知を歪ませ、ミルフィーユのように丁寧に折り重なった嘘と誤解が小さな出来事をきっかけに「蟻の穴から堤も崩れる」てんやわんやの事態に。こういう話は状況がシビアであればあるほどスリルや可笑しみが増すので、ゲシュタポがユダヤ人の恋人家族をかくまう、という荒唐無稽な設定はユニークではあるものの、「話のための話」というか「シチュエーションを生み出すためのシチュエーション」という部分もあり、さすがに無理があるのでは?と思ってしまうシーンもいくつか。ただ、それらも大きな綻びとまではいかず、160分もの間、観客を惹きつけ続けるのは役者の方々の力量も大いに作用していたように思う。
お芝居のタイプはまるで違うものの、秀逸な脚本と演技で当時のナチスを描いた劇団チョコレートケーキ「熱狂」をついつい思い浮かべ、比べてしまったところもあるかもしれない。

ショウジョジゴク

ショウジョジゴク

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/01/18 (金) ~ 2019/01/22 (火)公演終了

満足度★★★

チケット代が手ごろにも関わらず毎回パンフレットが凝っていて感銘を受ける。(「ミズウミ」のパンフはすばらしかった。未だに手元に残しています)5分や10分くらい平気で開演を遅らす劇団が散見される中、開演時間を厳守しようとする姿勢にも好感。
お芝居自体は「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」という、それぞれ中身の濃い短編3作からエッセンスを抽出し、マッシュアップして75分にまとめるという力技(だからカタカナ表記?)のため、少々強引だったり物足りない印象も。
作品に流れる不穏なムードは上手く醸成されていたので、できれば「何んでも無い」だけにピントを絞り、姫草ユリ子の人を惑わす魅力と狂気を存分に描いてもらえれば・・、という勝手な願望も抱いてしまった。

※余談ですが、開場時に予約客も当日客も同様に到着の並び順で入場させていましたが、できれば先に予約客を入場させ、その後に当日客を入場させるという形にしていただいたほうがよいように思いました。特に今回はPassMarketによる先払い制だったので。

平成のいちばん長い日

平成のいちばん長い日

東葛スポーツ

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/24 (月)公演終了

満足度★★★

随所にアイデアが光った「カニエ船」やスリリングな「12時17分、土浦行き」に比べると少々大人しい印象だったけど、年末にお酒を飲みながら平成を振り返る良き時間を過ごさせて貰った。

ネタバレBOX

今回のテーマがEテレなのは、主宰の金山さんが今まさに育児に追われているからだろうか。1歳の息子さんが描いた絵や泣いている映像などが用いられていたり、育児の大変さを明明さんの役柄を通じて訴えかけていたりと、ちょっと私小説風な感じがした。
ただいま

ただいま

劇団こふく劇場

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

過去と死者と記憶と感情がない混ぜとなった幽玄の世界が舞台に立ち昇る。高い修練とコンビネーションがないと成立し得ない公演。田舎のよくある風景を描きながらも観客の心の底にタッチするような深遠さを併せ持つ。2時間のお芝居でありながら、同時に2時間の合唱曲を聴いていたかのような高い音楽性。
いやはや、今年ベスト級のお芝居を見せて貰った。

ゼブラ

ゼブラ

ONEOR8

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2018/12/04 (火) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

昔ズタボロの精神状態で新宿で観たときに温かい気持ちにさせてもらったのを覚えてて、今回の再演も終盤の回想シーンにはやっぱり泣けてしまった。

ストーリー自体は良かったしとても楽しませてもらったのですが、時折現れるトゥーマッチな語り口や戯画化された大げさな振る舞いがリアリティーに欠け、没入感に水を差すのがもったいなくて少々残念だった。

逢いにいくの、雨だけど

逢いにいくの、雨だけど

iaku

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2018/11/29 (木) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

せせらぎの様な小さな日々の暮らしが突然の事故によって不意に濁流と化し、次第に2つの家族を飲み込み戻れないところまで運んでいく様が、ナチュラルで密度の濃い会話によって紡がれていて唸らされる。

1991年夏と2018年冬の2つの時間の流れが絶妙なタイミングで交錯するのも見事。時間の出し引きによって徐々にいろんなことが明らかになっていくので「この先どうなるの?」と思いながら2時間ずっと惹き付けられっぱなし。

猪俣氏演じる父親のエゴむき出しの態度や近藤氏演じる優柔不断で鈍感な台詞も「こんな人実際にいるんだろうなー」と思わせてくれる。(僕たちが好きだった)川村紗也さんのあっけらかんとしながらも我が子のことになると俄然強くなる母親役もよかった。

舞台美術も凝っていて、これはこれで凄かったけど、このお芝居を新宿眼科画廊で観たら一体どれほどの迫力があったのだろう?と想像したりもした。

スカイライト

スカイライト

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/12/01 (土) ~ 2018/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

3人芝居といいつつも、蒼井優さんと浅野雅博さんによる2人の芝居が中心。この2人の言い合いが凄まじく、舞台がまるでフリースタイルダンジョンのバトルステージのよう。特に浅野さん演じるトムの舌鋒が鋭く「それを言っちゃあ、おしまいよ」って言葉を速射砲のように次々と口から発するので観てて身が縮こまりそうに。

一方の蒼井優さんも膨大なセリフ量のある難しい役を情感豊かに演じてて本当に上手!蒼井さんが実際に包丁で食材を切ってパスタの調理をしつつ台詞をしゃべるシーンがあって、指を切ったり火傷したりしないかと心配したけど軽やかにこなしていてさすが。

上演時間が2時間45分というものの、1幕80分で休憩15分を挟んで2幕70分なので、短めのお芝居を2本観た感じで長さは全く感じなかった。B席で観たのだけど今回の公演は舞台前後に客席をおいたセンターステージなので、けっこう快適に観ることができました!

キャンプ荼毘

キャンプ荼毘

ひとりぼっちのみんな

STスポット(神奈川県)

2018/11/21 (水) ~ 2018/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★

「ニシノユキヒコの恋と冒険」や「黒い十人の女」を脳裏に浮かべつつ拝見。肩書きやライフステージでマウンティングし合ったり落ち込んだりと忙しない20代半ばの女性たちの姿が哀しくて面白い。後半のパートを観ながら「相対的な幸福を求めているうちはなかなか自己肯定にはたどり着けないよなー」と思った。荒削りで大声が耳に優しくないところはあるものの、役者さんが皆全力を出し切っているところが清々しい。75分という公演時間もちょうどいい感じ。
ある女優さんが、便座に座る時に《そういうテイで》という身振りではなく、ちゃんとスカートをたくし上げて下着を脱ぐ動作を行っていたところに好感を持った。些細なところだけど、舞台上に演劇の世界を立ち上げるのって、案外そういうところにまで気を配ることじゃないかと思ったりもします。面白かった!ありがとうございました。

二代目なっちゃんの愛人。

二代目なっちゃんの愛人。

なかないで、毒きのこちゃん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/08/21 (火) ~ 2018/08/30 (木)公演終了

満足度★★★

メタっぽい演劇が苦手な私にはざんねんながら合わなかった。けど、客席は大いにウケてたので、単に好みの問題かな、と。
★ネタバレboxに、明らかなネタバレを書いていますので、これから観にいく人は読まないでください!

ネタバレBOX

前半のネタ振りの場面はポツドールのよう。私はむしろそちらのほうが好きなので、後半のちゃぶ台を返したような(「カメラをとめるな!」を思い起こす人も多いかもしれない)構造は、そういう私の興味や趣向を蹴飛ばされたような気になってしまい、少々ざんねんだった。
不在の人物を中心に物語が進むのは、「ゴドーを待ちながら」や「桐島、部活やめるってよ」のように、これまでもあった手法だけど、そのイマジネーションをさらに膨らまし、不在の人物を物理的に巨大化させたのは、いい意味でバカバカしかった。
公演の途中で客席から役者が登場するのは、意表を突いて面白いけど、明らかに衣装が浮いてるためお二人が開場時に入場してきた時に既に気づいてしまった。
過去の根本宗子の作品(大森靖子さんとやった公演だったかな?)でもあったのだけど、あまり「演劇の力で!」みたいなことを舞台上から言われると、観客側は「これは作り事」なのだと冷めた気持ちで受け取ってしまうので、高揚感や没入感が失われてしまう。
参加者に同意書を書かせて虚偽の情報を拡散させようとするのは、去年物議を醸し出した「ブラックボックス展」で使われた手法で、会場内で痴漢行為が行われたり賛否が多かったやり方を、上澄みだけ掬い取ったような取り組みには首を傾げざるを得なかった。

・・と、辛口なことを書きましたが、チャレンジングな演劇だったことは確かで、役者陣は皆、この戯曲を立体的に表出させようと熱演させていて、そこは大いに評価したいし楽しませてもらいました。
Ëncöünt!

Ëncöünt!

妖精大図鑑

STスポット(神奈川県)

2018/07/26 (木) ~ 2018/07/31 (火)公演終了

セミの鳴き声が響く中、公演がスタート。愛らしい映像とのコラボがユニーク。終盤のコーネリアス(?)が流れるあたりからグッと密度が濃くなってSTのステージを9人の演者がところ狭しと踊る様は京都 ART COMPLEX 1928でのコンドルズ公演を思い起こしたりした。金髪の女性ダンサーは手足が長く動きが流麗で特に目を惹く。
ただ、中盤あたりのお芝居が間延びして感じたのと、体育座りをしないと座れない席がとても窮屈で辛く、集中力が途切れてしまうときも何度かあった。
足の弱い客のために、普通に座れる椅子席も設けて欲しかった。

ホテル・ミラクル6

ホテル・ミラクル6

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/07/05 (木) ~ 2018/07/10 (火)公演終了

満足度★★★

30分程度の作品が4作演じられる短編集。
「ホテル・リトル・ミラクル」、女の幽霊の話だけど、公演を観ている場所が歌舞伎町なので妙にリアルに感じた。オチもきれい。ただ肝心の「なぜ女が自殺したか」の動機が弱いし腑に落ちないので、もったいなく感じた。
「ビッチの品格」、女同士のわちゃわちゃした感じと共に腹の探り合いやマウンティングなどが軽やかに演じられていて楽しませてもらった。スーツの女の、男を軽視することで心の痛みを無効化しようとする様が辛そうで沁みた。
「最後の奇蹟」、星新一と君の名はをミックスしたような佳作。ちょっとシベールの日曜日を思い出したりもした。女の子の名前は「ルナ」だったでしょうか?
「かっこ悪い男(悪)」、小劇場の内輪ノリや悪ノリを舞台に持ち込んだ感があってとても苦手で早く終わらないかな・・と思いながら観てた。この作品だけはどうにもつまらなかったです。

はこぶね

はこぶね

劇団おおたけ産業

新宿眼科画廊(東京都)

2018/05/25 (金) ~ 2018/05/30 (水)公演終了

満足度★★★★

このお芝居で描かれた「家内制手工業」的な新興宗教のお話を、たしか筒井康隆の小説で読んだような気がするのだけど、なんてタイトルだったか思い出せない・・。
筒井康隆の小説から毒気を抜き、アットホームにしたような雰囲気。
漂う不穏な気配は日本のラジオっぽさがありつつも、マンガ「働かないふたり」のようなほのぼのした感じもあって、ユニークだった。

Y FUTAMATA vol.2

Y FUTAMATA vol.2

ロ字ック

小劇場B1(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★

3本の短編オムニバス。
ワワフラ鳥山さんの『ぼんやりした話/セプテンバー』は不親切さや唐突さをシュールな面白さだと履き違えているような内容で面白みに欠けていた。世田谷シルク堀川さんの『Re:』は道徳の時間に観せられる映像のような感じ。言いたいことはわかるけど、ちょっと説教ぽく感じてしまう。
このままだと辛いなーと思っていたところ、3作目須貝さんの「カラオケの夜」が出色の出来。離婚を決断した夫婦の心象風景を互いがセレクトするカラオケの曲の出だしで大喜利のように描き出す。ロロ亀島さんがポップかつエモーショナルで、しんみりと演歌っぽくなってしまいそうなシーンも軽やかに演じられていてよかった。

僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

「僕をみつけて」を観劇。人狼ゲームにあわせるかのように徐々に人間関係が露わになっていく。客席もゲームに参加しているように思わせる脚本や展開が巧みでとても面白かった!当て書きのような配役も見事で引き込まれた。小悪魔的な役柄の女優さんが「カルテット」の吉岡里帆に似てて「この娘ならやりかねない…!」と思わずにいられなかった(失礼)。

長いお別れ

長いお別れ

富山のはるか

STスポット(神奈川県)

2018/02/01 (木) ~ 2018/02/04 (日)公演終了

満足度★★★

「(500)日のサマー」のような「あの時あんなに仲良かったのに今はもう・・」という、ほろ苦く甘酸っぱい恋の物語。BGMのセンスが良く、Alvvays"In Undertow"が流れたときは「たまらんっ!」って気持ちになった。
登場人物の女性がニコ生主をやる場面で映像と女性が掛け合う箇所があったり、ハンディラップを用いて時間や空間を分けるといった、キラリと光るアイデアが随所にあったのに生かしきれていない感があったのは勿体無かった。とはいえ楽しませてもらいました。余談ですが、主役の男の子の声がニノに似てました笑。

ネタバレBOX

ゲームをプレイ中の主人公と友人が恋愛に関する会話をしている最中、唐突に友人が「あ。そこにアイテムあるよ」とつぶやくところや、理想の女性について語る主人公に彼女が「石原さとみはCGだから」とさらっと言うところなども気が利いていてよかった。
開場時のBGMを含め、音楽に拘るところに好感を持っただけに、最後に流れる物語の肝となる曲が「今夜はブギー・バック」だったのは、安易な気がした。なぜ彼女がぶち上がる曲が「今夜はブギー・バック」なのかの説明もないし。年代もずれていて、物語とリンクして歌詞から掬い取る意味合いも特段ないような気がした。
せっかくならFor Tracy Hyde"Leica Daydream"とか爆音で流れたらよかったのにって思った。過ぎ去った恋の記憶って、振り返ってみれば「白昼夢」のようなものだし、主役の女の子は常にカメラを携えていて、歌詞の内容も合ってると思うのですが。いかがでしょう??

"過ぎゆく瞬間が「いま」を都合のいい幻に変えてゆく。
誰もが気づかぬうちに手にしてた、そんなありふれた魔法。
砕けたしゃぼんが音も立てずネイヴィーのブラウスを濡らした、風の日。
ありのままの退屈さえなぜか美しい色になって、
頼りない陽の光のなか、君は記憶の世界で呼吸をする。
ねえ、小さな過去を重ねてやっと巡り会えた愛しい人。
何千の色を束ねた君の光がやがて白になる。
瞬きの狭間で捉えたしぐさ――ときめきはいつも君のそばにある。
「好きな花を選び取っても、そこには永遠はないの」と笑う、
そんな君 を永遠にしたくて、僕はファインダーの向こうを覗いて見るよ。
ライカ・デイドリーム・・・。"
For Tracy Hyde"Leica Daydream"

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