東京ノーヴイ・レパートリーシアター 第7シーズン
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2011/02/04 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
曽根崎心中、すばらしかったです!(溜息)
細長い舞台空間はシンプルで効果的なデザインでまとめられ、完璧な衣装、鬘、着付けで江戸情緒を美しく表現。何より、江戸の明かりを彷彿とさせる、仄暗いライティングには脱帽です。そう、こんな舞台が観たかった・・・・。俳優さん達の演技はもちろん、よくこなれた大阪弁も秀逸。ストーリー展開もテンポよく、、思い切った省略も上手な語りでうまく表現、ラストまで一気にたるみなく持って行く演出は、すばらしいの一言です。
なのに、なのに何故?この観客の少なさ!
文句があるとすれば、観客の少なさでしょうか。劇団の方はあまり気にしていないようでしたが、私は客席の熱気やざわめき、拍手もやはり、お芝居の一部だと思っています。頼むからもうちょっとプロモーションがんばって・・・・・。
それと、主人公の徳兵衛の妙な白塗りの化粧は何か演出上の意図があるのでしょうか?語りの近松門左衛門と同じ、自然な化粧の方が良かったと思うけど・・・。何か意味があるのか?とよけいなことを考えてしまいます。
でも、すばらしく洗練された、緊密な時間を味わうことができました。お奨めです!
ドロシーの帰還
空想組曲
赤坂RED/THEATER(東京都)
2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
満足度★★★★
ダークファンタジーというより、
ヘビーファンタジーと言いたいような内容ですね。重層的なストーリーと様々な悩みを抱える人々の群像劇というところ。それに芸術はどうやって生まれるか、クリエイターたちの性(さが)が描かれ、興味深かったです。私たちは芸術を楽しんだりはするけれど、めったに芸術家の内面に触れることはしない。
また芸術家も、作品を以って語らしむ、みたいなところがあるけれど、このお芝居は芸術家たちの作品への思い、書かずにはいられない衝動のようなものが語られ、不思議な感動がありました。ただ、すごく面白かったのだけれど、長いなぁと感じたのも事実です。どこが冗長だったのかな?
眠狂四郎無頼控
松竹
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
満足度★★
GACKTファンでなければ
ダルダルのお芝居としか思えない。特に殺陣のシーンがひどい。派手な音楽とバックの映像でごまかしているのが悲しかったです・・・・・。GACKTは立ってるだけで絵になる役者なんだから、もっと様式美を利用した、クラシックな演出でも良かったんじゃないかな。GACKTの衣装も酷かった。ラメ入りの帯って何?眠り狂四郎って言ったらやはり大きな白い紋付きの黒羽二重に白襟、白い帯。(献上博多?) 狂四郎のニヒルさは、こうした端正な衣装によってより引き立つし、その出自やニヒルさに何らかの意味があるようで、ミステリアスさが増すのだと思うけど。それに殺陣のシーンでそのきっちりした襟元が乱れたりするのがいいんじゃないか~!そこが男のセクシーさであり、ダンディズムなのに。あれじゃ街のチンピラといっしょだよ。刀の拵えも酷かったな~。黒鞘白柄が基本でしょう・・・・。
衣装担当の人はなるべく新奇なものを、と考えるのだろうけど、いい男には変ったものなんていらない。あの衣装を選んだ時点で、このお芝居は失敗だったと思います。
新東京レビュー 『新宿歌劇』
遊々団ブランシャ☆ルージュ
SPACE107(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
スタイル抜群の美女たちが
歌って踊って、楽しい華やかな舞台。衣装、音楽もいい。構成もまぁまぁ。
う~ん、でも、例えばホームレスとか、麻薬の密売人、出稼ぎの不法滞在者やそれを取り締まる警官なんかもテーマとして取り上げて欲しかったなぁ。美女たちの警官姿なんて、ぞくぞくするじゃないですか・・・・。あと、二丁目の人々とか・・・。でも、ピチピチの若さとはじけるパフォーマンスは必見です。
残念だったのは、自由席が完全な平台で、すごく舞台が見えにくかったこと。
普通のお芝居とは違って踊りが中心なのだから、足がほとんど見えなかったのは納得できなかった。あと、椅子が異常に硬くて、今時こんなのあり?という感じ。お芝居とは関係ないですが、舞台監督さん、舞台の位置を全体に高めにするとか、何とかして~。自由席の観客だって客ですよ~!!
蠅取り紙
劇団フォーサム
しもきた空間リバティ(東京都)
2011/02/18 (金) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
下北の小劇場らしい、熱気に満ちた
すばらしいお芝居でした。脚本がすばらしいですね。雑駁な日常の中に突如現れる、不思議でシリアスなお話。この対比が面白いです。人間はこんなにも自分のことを正直に話すのが難しいんだな、と観客の誰もが思ったことでしょう。また、後半はあちこちで鼻をすする音が。大団円を予感させつつ、なおかつ泣かせる手腕には、脱帽です!観客は老若男女入り乱れてましたが、
誰もが感動したのではないでしょうか。2時間20分、あっという間でした。
効果音もよかったなぁ・・・・・・。外の電車の音がリアリティを更に添えてました(笑)
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)
TAKE IT EASY!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
シンプルな舞台装置と衣装、そして
圧倒的なパフォーマンスと凝りに凝った演出。お見事!の一言です。音楽もすばらしい。演劇というものの業のようなものを見せつけられました。テンポとせりふの歯切れも良く、男性の声を演じるとき、五人の女優さん全員が声を合わせて男の声を作る見事さと斬新さには目を見張りました。すごいパフォーマンスですね。また、軽くパンッ、と手を合わせただけで場面の変換や時間の推移、次元の移動などを意味していましたが、原作の世界観を忠実に写しており、アニメ好きをもうならせる演出でした。原作者も大好きだったというこの舞台、今 敏氏のファンの人達にはもちろん、できるだけたくさんの人に観て欲しいです。
逆髪
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★
受付がタバコ臭い!
たとえ喫煙所があっても、スタッフがロビーをやに臭くしてどうする・・・・。第一印象が悪くなります。あと、女性陣の衣装がまずかったですね。男性陣の衣装はそれなりに良くできていましたが、女性の衣装は打ち掛けからの転用が歴然。襦袢との袖の長さがまったく合ってない為、襦袢の袖が飛び出しているのが気になりました。また、平安時代の女性の衣装は、五つ衣など、重ね着が原則。襟元と袖口だけでも布を重ねて、それらしく見せる必要があったと思います。分厚いふき(打ちかけの裾)もありえません。長すぎる袖、短い袴も気になりました。これらはちょっと注意すれば簡単に直せたものと思います。こうした点に注意が行き届いていないのが残念でしたね。
お芝居は少し長すぎたと思います。色んなエピソードを入れすぎという感じ。
もっとシンプルで、高雅で力強い舞台を見たかったですね。音楽はすごく雰囲気が出ていて良かったです。
ひとひらの犯罪
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2011/02/07 (月) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
ラブコメディ
として楽しみました。せりふのタイミングが良く、稽古十分、という感じです。
とても楽しかったのですが、もしかしたら演出家の意図とは違う受け取られ方をされているかも・・・・・。ブラックコメディというより、ほのぼのラブコメディという感じです。あと、誰にフォーカスを当てて理解したらいいのか、ちょっと判りにくい。その分、各俳優が個性的で面白いとも言えるのですが・・・・・。
お団子の俳優さん、可愛かったですね。でもヒロインとその心情が、周りの個性たっぷりな俳優さんとその演技に掻き消されちゃった感じです。
雨と猫といくつかの嘘.
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了
満足度★★★★
最終日でしたが
淡々と終わり、いい後味でした。この劇団らしいな。これも劇の余韻を残す演出のひとつなのかな、と思ったほどでした。他の方も書かれていますが、役者さんの所作が美しく、ノックや傘を開く所作など、一種の様式美を感じたほどです。地味なのですが、何か他の劇団とは違うものを目指しているような感じでしたね。次回作もぜひ観たいです。
(再演)酒と泪と男とオカマ(ご来場ありがとうございました!)
ザ・プレイボーイズ
OFF OFFシアター(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
コメント遅くなりました・・・・・
良かったです、しみじみと・・・・・。男の人がお酒を飲んで酔っ払わずにはいられない気持ち、解る様な気がする舞台でした。回想式の演出もせつなさを表現するのにぴったりでした。回想、という事は過去への強い思いのことなんですね~。とても暖かく、いい舞台でした!
新・牡丹灯籠
劇団キンダースペース
シアターX(東京都)
2011/01/26 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★
牡丹灯篭ってこんなお話だったのね
う~ん、始めの内、連鎖反応でやたら役者さんが噛んでいるのが気になりました。お峰・伴蔵の役者さんたち、すごい演技で引き込まれました。この愛の形は哀しかったなぁ。人間は案外こういう感じで殺したり殺されたりするのかなぁ、なんて、妙にひとごろし、ということにリアリティを感じてしまいました。
最後の三人のナレーションのシーンは無かったほうが良かった気がします。
特に音響が大きく被ってだんだん聞き取れなくなるあたり、演出の意図がよく分りません・・・・・。何だったんだろう、ともやもや感だけが残りました。
円朝はこの怪談をどう語ったのだろう、と興味をそそられます。期待が大きかっただけに、凝りすぎの演出で☆ひとつ減らしました。
糞尿譚
劇団俳小
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/01/22 (土) ~ 2011/01/29 (土)公演終了
満足度★★★★
実力派!
なんだか俳優座の劇を思い出しました。実力派の劇団ですね。地味で少々古い題材を一気にラストまで持って行く手腕には、ただただ圧倒されました。
ものすごく印象に残ったのは、ひたすら草むしりをしている、主人公の奥さん役の女優さん。草むしりの動作だけで、夫への不満、憐憫、憤り、後悔、迷い、その他様々な感情を全て現していました。女優さんもすごかったけど、この演出をした演出家もすごい、と思いました。
演劇好きのための、渋い演劇です。