とり天ねこの観てきた!クチコミ一覧

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結婚披露宴会場で演じられる「三人姉妹」

結婚披露宴会場で演じられる「三人姉妹」

Theatre Polyphonic

アンフェリシオン・レガーロ(東京都)

2012/07/10 (火) ~ 2012/07/12 (木)公演終了

満足度★★★★★

チェーホフ!
チェーホフの時代に上演した芝居の風景が、現代日本に時空を超えてやってきました。そして生きるものにとって身近なさまざまな葛藤が俳優と観客が共有する空間にどんどん凝縮されていく。なにに「ふっ」と軽く、微笑みを呼ぶチェーホフの奇跡。とってもとってもすばらしい演出、演技でした。

ネタバレBOX

ロシアの男はなんでこう死に急ぐのか。破滅へのあこがれは、永遠の謎かもしれません。
ルート99

ルート99

さいたまゴールド・シアター

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)

2011/12/06 (火) ~ 2011/12/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

幕は開いた 終わった すばらしかった!
稽古の緊迫した様子を聴き、気が気でならず、初日に駆けつけました。そして幕は開きました。でこぼこを乗り越え、年輪を重ねた役者たちは舞台を猛進します。そして、爆発する笑いと、現代日本への痛烈な皮肉、さらに演劇の在り方への深遠な問いかけ。フィナーレは帰り道も尾を引きます。

台本の良さ、新装の劇場の良さ、演出家の良さ、そして役者たちの良さが生かされた舞台でした。今後、千秋楽までさらに成長を続けることでしょう。平均年齢72歳にしてなおも成長を続ける劇団に、またもや驚かされました。

日本の問題

日本の問題

日本の問題

ザ・ポケット(東京都)

2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

舞台でなければできないことがある
仕事としてのすべての表現が、仕事の枠の中で規制された息苦しい世界で、唯一、演劇だけがそこにいる観客に向かって、自由な言葉をぶつけているということもできるでしょう。

好き嫌いいろいろあります。でも「おかしいじゃないか」「なんかできるんじゃないか」という内面の声を、外に振り絞ること。言葉だけでなく、全身で。混迷する世界での演劇の可能性を見せてくれたイベントでした。

舞台でなければできないことがある。それをすることで舞台の外も変わっていく。元気をもらいました。

音楽劇・聖なるかな

音楽劇・聖なるかな

海千山千プロデュース

OFF OFFシアター(東京都)

2011/11/22 (火) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

愉快!痛快!寛解!
それぞれに悩みを抱えた小さな修道院のシスターたちの物語。それぞれにもっともな悩みが、小さな世界のしきたりとぶつかり合って、でもそこから逃げずにあくせくして、明日に届くという明るく楽しいお話です。

一足先にクリスマス気分をいただきました。疲れた人はぜひごらんを!

※歌もすんばらしいです

砂の駅

砂の駅

NPO法人 魁文舎

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

雄弁な沈黙
昨年の「リア」の演出がすばらしかったので、今回も駆けつけました。

とにかく美しい舞台です。円形の砂の舞台で、さまざまな恋人たちが年輪を重ねながら、足跡と思い出を舞台に刻んでいく。そして人々が過ぎ去った後に、彼らが生きた場所、世界、地球、宇宙が残っていく壮大な人間ドラマです。

観客には想像力と集中力が求められます。そして見えてくる無言の伏線。その上で見るこの無言劇は「極上」としかいいようがありません。

ネタバレBOX

本当に誰ひとりとして言葉を発しません。円形闘技場のような砂の舞台で、男女が向き合って無言の演技の格闘を繰り広げます。芝居が進むにつれて、出演者が年齢を重ね、構造はより複雑になる。そして最後にこの世を去る老人は若い女性の幻(?)に自分をさらし、そして去って行きます。足跡で荒れていく砂の舞台。そして砂の間にひっそりと残されていったストーリーの端々の品。よくもまあ、こんなこと考えたなあ、と驚かされました。
全国シニア演劇大会2011

全国シニア演劇大会2011

かんじゅく座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/09/27 (火) ~ 2011/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

これは見事な演劇だ!
9月27日に始まった大会も今日で千秋楽。福井の劇団「ババーズ​」の舞台を観てきました。小さな集落のおばあちゃんおじいちゃん​が10年前につくった劇団ですが、200回以上も公演していると​あって全員が約そのものになり切っている。というか、役に自分を​映している。そして主役の最高齢88歳のおばあちゃん役者がすご​い。このおばあちゃん、芝居でうつ病を克服したと、かんらかんら​と笑っていました。
とにかく半端じゃないシニアが集まったこの大会。少しだけお手伝​いしましたが、成功裏にお開きとなったことをとてもうれしく思い​ます。

ヴェニスの商人

ヴェニスの商人

SPACE U

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/09/08 (木) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

シンプル、忠実、ビューティフル
シンプルな舞台、照明、衣装。奇をてらわない自然な演技。台詞一つ一つへの忠実な、真剣な姿勢。小劇場ならではの距離感を生かした、いい芝居ができあがりました。初日で台詞回しなど改善の余地はほんのちょっとあったように見受けられましたが、毎日、さらにすばらしい舞台になっていくと思います。小田嶋訳の言葉の楽しさを味わってください。

ネタバレBOX

ヴェニスの商人は法律の授業で「公序良俗に反する契約は無効」の例として取り上げられるのですが、芝居を見て感じたのは「向こうが一字一句契約通りやれ」というなら、こっちも「一字一句法律通りやる」という反論があり得ること。
それから「光るものすべてが金ではない」という言葉が、芝居の中で大きく登場すること。この言葉は佐世保の特異な銀行の建物にも刻まれています。
4つの駒-THE FOUR PIECES-

4つの駒-THE FOUR PIECES-

アポロ5

青山円形劇場(東京都)

2011/09/03 (土) ~ 2011/09/08 (木)公演終了

役者さんたち
「リーマンギャンブラーマウス」をベースに「花と蛇」をちょっと足したような本。荒っぽい芝居だけに、役者さんがどう消化して、変容させるかがすべて

Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

自分ならどうするのか
過去の事故をモチーフに、放射能汚染された地域がいかに無視され、いかに滅びていったかを描いています。ジャーナリズムとは違う演劇のおもしろさは、目の前の役者の台詞、動きを見ながら「こういう立場に立ったら、自分はどう行動するだろうか」という想像力を、リアルに駆使できることです。この芝居は、舞台の特性を最大限生かしています。

この芝居のよさは、人々の心の豊かを深く表現している点です。豊かなものが、実感を持って失われていくところに悲劇がある。だからこそ忘れられない芝居といえるでしょう。タルコフスキーの「僕の村は戦場だった」を思い出しました。

ネタバレBOX

土といすだけのシンプルな舞台装置ですが、高度に計算されています。細部の話ですが、カメラやバッグをもう少しプロっぽいものにするとか、役人が小成金的な時計をはめるとか、小道具を工夫するのも面白いかな、と思いました。ベリージャムを煮て、時折、わずかに香りを感じさせるのもありうるかと。ベラルーシやロシアではそんな感じのにおいがするのです。
【ご来場ありがとうございました】解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」

【ご来場ありがとうございました】解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」

趣向

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2011/05/21 (土) ~ 2011/05/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

びっくりするほど、すばらしい
 最近、建築関係の仕事に触れる機会があり、レーモンドの名に惹かれました。そして知り合いの女優さんも出ている。こりゃ、行かなきゃ、ってことでまっすぐ劇場に向かいました。
 舞台では女子大生が走り回り続けます。そのままの女子大生もいれば、時空を超えた存在もいる。勉強する子もしない子も、友達いる子もいない子も。彼氏いる子もいない子も。いろんな女子大生が重なる場として、往年の建築家、レーモンドの旧体育館が存在し続けたことを、ドラマは静かに語り続けます。
 時に退屈、時に急展開。まるで本当の学生生活のように舞台は緩急をつけて流れていきます。その中で、学ぶことの意味、社会に出るということなど女性の視点からの悩みが赤裸々に語られ、深く論じられていきます。
 これまでにない内向的な、そして外に訴えるすばらしい演劇でした。私の世界観を少し変えてしまいました。

ネタバレBOX

ネタバレというより「あったらいいな」と思うこと。

・レーモンドの資料。そして旧体育館の写真がもっと見たかったです。
・青山祐企さんの写真、もう一回り大きい方が・・・。または狭いスペースを設定して展示した方がいいと思います。劇場が大きすぎるので。

趣向の次の舞台を楽しみにしています
東京の空に

東京の空に

オーストラ・マコンドー

王子小劇場(東京都)

2011/04/02 (土) ~ 2011/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ショートラブストーリー×4=幸福
どこかで起きているような恋愛を丁寧に描いて、きれいにまとめた逸品。軽みが、軽薄ではなくて、心に染みるいい出来です。ラストもウィットが効いていて、とても楽しむことができました。

いつか映画でも見てみたいです

ACCIDENTS 2(俳優私塾POLYPHONIC第二回公演)

ACCIDENTS 2(俳優私塾POLYPHONIC第二回公演)

Theatre Polyphonic

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2011/03/01 (火) ~ 2011/03/02 (水)公演終了

満足度★★★★

若菜大輔さんに注目
1年間のトレーニングの成果と、プロの技の見せどころのショート台本を組み合わせた工夫たっぷりの舞台でした。まったく観客を飽きさせず、一気に最後まで走り切りました。演出家に敬意を表します。

今回の最大の収穫は若菜大輔という俳優に出会えたこと。すばらしい表情と身体の演技です。今後の大飛躍を期待しています。

チェーホフ?!

チェーホフ?!

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2011/01/21 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

なぜかシェヘラザードが・・・
旅をするチェーホフが、舞台を通じて、さまざまな妖精や魔物と出会います。そして人間という得体の知れない存在と。歌と極上の音楽の中で、彼の魂は迷い、そしてすべてを書き写していきます。

芝居のはずなんだけれど、バレエのよう。そして絵のよう。チェーホフが女性に向ける視線も・・・。

美しい舞台です。なぜか脳裏にリムスキー・コルサコフのシェヘラザードが勝手に流れ出しました。

焼肉ドラゴン

焼肉ドラゴン

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2008/04/17 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

今も忘れられない名演です
社会の、そして歴史のどん底で精一杯生きる人々の哀歓をリアルに描いた傑作です。人はなぜ、苦しみながらも生きるのか。そしてそんな人々に、なぜ悲劇は押し寄せるのか。人間はどこまで耐えられるのか。日韓の過去も踏まえつつ、演出家、役者たちはえぐるように舞台をつくります。

最高の芝居でした。

わが町

わが町

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2011/01/13 (木) ~ 2011/01/29 (土)公演終了

はむさんと、同感
2階客席の最後列のど真ん中という席でしたが、秀逸な舞台照明の効果がはっきり分かり、かえってよかったかもと思ってます。さてお芝居ははむさんと同感。とてもすばらしいものでした。

また蜷川幸雄さんが創設した高齢者劇団、さいたまゴールド・シアターの人々の熱演、この芝居の死生観が空想ではなく、リアルなものとして心に響いてきます。

二食抜いても是非、ぐらいのおすすめです。

化粧

化粧

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/01/08 (土) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

拝見しました
今年は、演劇を見て「☆」を付けるのはやめようと思っています。お酒好きのショスタコービッチが「ウオッカには2種類しかない。いいウオッカとすごくいいウォッカだ」(つまりまず飲めればいい)と語ったのと同様、芝居には「いい芝居」と「すごくいい芝居」しかない(ごく一部の超手抜きを除いて)と思うからです。

で、平さんの舞台。「すごくいい芝居」への道のりが続いています。今後に期待します。

美しきものの伝説

美しきものの伝説

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

こんなに美しい芝居が・・・
舞台セット、うるおいにあふれたネクスト・シアターの若者たち、その時代の衣装、歌、年輪を重ねたゴールド・シアターの老優たち、ストーリーをぴっしり支える現役ばりばりの俳優・・・蜷川さんが誰にも遠慮せず、とてつもなく美しい舞台をつくりました。

この舞台に超人的なヒーローはいません。思い悩み、行動し、失敗し、破滅する向こう見ずな明治・大正の若者たちのあがき、そしてその中から芽生え、今日につながる現代演劇の姿を、すっきりと描いています。その背景には蜷川さんの演劇観がたっぷり盛り込まれているように感じます。

ぜひご観覧を!

東京大仏心中

東京大仏心中

海千山千プロデュース

イワト劇場(東京都)

2010/12/10 (金) ~ 2010/12/13 (月)公演終了

20世紀の味わい
家族とか、親戚とか、近所づきあいとか、神仏とか、20世紀の日本に存在したものが、21世紀には崩壊してしまったんだということを、観客とともに実感できる作品です。

バブル時代には、各地に巨大大仏がつくられました。それを作った、そしてそこに行った人々の共通観念が消失し、バブル大仏は閉鎖されていった。1992年のこの作品、そうなるのを見越していたのかも知れません。

「東京物語」の21世紀版として、しみじみ観させていただきました。

そのとき橋には誰もいなかった

そのとき橋には誰もいなかった

オーストラ・マコンドー

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2010/11/06 (土) ~ 2010/11/14 (日)公演終了

満足度★★★

スタイリッシュ
橋のたもとのかっこいい劇場の中に、大きな橋をつくって、その上で演じられるニューヨーク・ラブストーリー。役者は美男美女ぞろいで、それぞれのかりそめの愛と、うつろう心、そして真実の愛?に向かう姿が描かれています。

結構、複雑な物語です。相当に頭を使います。チケットでアサヒのドリンクがもらえますが、アルコール系はおすすめしません。恋の始まりは「しらふ」で行きましょう。

ネタバレBOX

この芝居、最後の5分間が勝負ですね。

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