忍守シン(しのもり しん)の観てきた!クチコミ一覧

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いつも誰かのせいにする

いつも誰かのせいにする

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

見事と言うほかありません
お見事でした。2時間という上演時間にもかかわらず、最後までよく出来ているなと唸りっぱなしでした。テーマを伝えつつ演劇として観るべきものに仕上げるのは大変だったかと思います。
役者さん達の演技がしっかりしており、安心して観ていられます。普通に会話しているのに何故か微妙に話が噛み合わない、というのを表現出来るというのは凄いことだと思います。
奇妙な形をした舞台でしたが、最後にあれがやりたかったのかということが分かり、納得です。

ネタバレBOX

監督をプロデューサーが宥め賺しておだてるシーンなど、観ていてニヤニヤしっぱなしでした。座間監督、いいですね。
黒澤明は、いくら一般人と変りないといってもヤクザなのですから、殺気のようなものが欲しかったです。

「誰も気付いてないだけで、実は既に起こっている」
という言葉に身につまされました。

唯一残念だったのは、冒頭シーンの静止があまりにも長いことです。途中で他ごとを考えてしまいましたし、上演時間2時間と聞いていましたから、そのうち何分の1をこれに消費するのだろうなどとも考えてしまいました。
『極彩夢譚(ごくさいむたん)』

『極彩夢譚(ごくさいむたん)』

東京あたふた

しもきた空間リバティ(東京都)

2011/10/15 (土) ~ 2011/10/16 (日)公演終了

満足度★★★

真摯に取り組む姿勢
話が入り組んでややわかりにくいところはありましたが、ベトナムというキーワードでなんとか時代背景を思い浮かべることはできました。現在と過去を行き来する点は観ていて問題なかったです。ただ「ヴェイシュー」というのは、耳で聞いただけではイメージがわかないですね。
役者さんが皆アクが強く、ちょっとやり過ぎかなというところは見えましたが、芝居に真摯に取り組んでいるという姿はよく見えました。

ひとよ

ひとよ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2011/10/21 (金) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

スキの無い芝居
演劇として、よくできています。
脚本もしかり、役者さんの演技もしかり。舞台装置の細かい所に至るまで。
これ以上、何を望むことがあろうかというぐらい、スキの無い芝居でした。

物語は、少し重たいものを含んでいるため、笑えるところで素直に笑えない部分はありましたが、なんというか”大人の芝居”という感じがして安心して観ていられます。
今回初見でしたが、このクオリティを常に保っているとしたら驚きです。

【東京バンビ】ピクルス ご来場ありがとうございました☆

【東京バンビ】ピクルス ご来場ありがとうございました☆

元東京バンビ

OFF OFFシアター(東京都)

2011/09/28 (水) ~ 2011/10/03 (月)公演終了

満足度★★★★

多くは語る必要は無い
ほろりとさせられました。芝居を観て泣いたのは久しぶりです。
あまり多くを語る必要のない良い作品と思います。

ネタバレBOX

段取りから外れる事態が発生すると、リカバリが大変ですね・・・
陽だまりをおぼえてる

陽だまりをおぼえてる

『熊猫楼』

萬劇場(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

時代を表現するのは難しい
大正時代の遊郭という、なかなか想像しづらい場を舞台にしてどうなることかと思いましたが、さほど違和感なく素直に観ることができて良かったです。
役者の方々は皆、ちゃんと声が出て台詞も聞きやすく、安心して観ることが出来ました。
難点を言えば、ところどころ時代が合わないなと感じたこと(大正のイメージと若干違う)、ラストがあの展開になる必然性がやや足りなかった点です。

一千光年の引力

一千光年の引力

LIPS*S

萬劇場(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★

やはり難しい
やはりファンタジーは難しいと感じました。リアリティをどう表現するか・・・
現実とは違う世界を構築し、その中でリアリティや物語の必然性を追求する必要があるわけですが、本作では設定に幾つかの曖昧な点が見られました(詳しくはネタバレにて)。
役者さんは皆、若い方々のようですが、演出によるものなのか、セリフをただ言っているだけのように聞こえました。感情や雰囲気に合わせて間や調子を変えるといったことをしていないようですが、それでよしとされているなら致し方ありません。
その分、殺陣はよく練習されているようでした。

ネタバレBOX

例えば、ミコ (パンフを見るとやはり「巫女」。イントネーションが違っていたような・・・)の役割や立場がどうにも腑に落ちません。
近寄り難い存在なのかと思いきや、3人とも随分気さくなようですし、そこらに居る普通の人のように見えてしまいます。
司祭も、立場がよくわからないです。
アンドロイドがどこかで出てくるのかと思ったのですが、出てこなかった・・・もしやダンサーが皆、アンドロイドかとも思ったのですが、おそらく違うのでしょう。ダンサーは終始笑顔でしたが、場面によって表情を変えたほうが良いのではと思いました。
青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

コーヒーカップオーケストラ

シアター711(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

何かが残った
なんと表現すればよいか悩むところですが、とにかくやりたいことを全てやってしまおう、という気概は立派です。くだらないことは真剣にやるからこそ価値がある。いえ、価値や意味など求めていない、ということもよくわかります。
あらん限りのネタを入れ込み貪欲に笑いを取りに行き、そしてほんの少しのせつなさを漂わせるというのは、昔よく見られた小劇場演劇のようでもあり、懐かしささえ覚えます。ただ、笑えたかというと、笑い切れなかったというのが正直なところです。あと少し何かがあればもっと笑えたはずなのですが・・・。前説では「何も残らない」と言われましたが、かえって何かがひっかかるように残りました。
また、役者さんの演技がどうしても表面的に見えてしまい、せっかく用意された刹那さが生かし切れなかったのが残念です。全体的に大声を張り上げる芝居が多く、それが続いてしまったがために単調に感じてしまいました。

ネタバレBOX

個性豊かな役者さんが揃ってはいたのですが、登場人物が多く二役目、三役目の整理がつかなかったのか、ややわかりにくいのが難点です。
今回たまたまそうだったのかわかりませんが、役者さんの演技が感情から来るものではなく段取りから来ていたようで、それがこちらの感情移入を妨げたのではないかと思います。
不都合な四日間≪終演致しました!沢山のご来場ありがとうございます!≫

不都合な四日間≪終演致しました!沢山のご来場ありがとうございます!≫

クロカミショウネン18 (2012年に解散致しました。応援して下さった方々、本当にありがとうございました。)

テアトルBONBON(東京都)

2011/06/29 (水) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★

最後には上手くまとまる
毎回、面白い台本と達者な役者さんで楽しませてもらっています。
今回は4人の作家の方々のリレー式とのことですが、異質なものを組み合わせるという試みはまずは一定の成果が得られたように思います。
4日目のエピソードはさすが定番のシチュエーション・コメディ路線の王道を行くという趣で上手くまとめ、前公演「ユー・アー・マイン」ほど複雑に入り組んでいないぶん、観やすかったです。

ネタバレBOX

それぞれが面白いエピソードではあるのですが、いかんせん"斎藤君"の妄想のくだりは全く異質で、しかも「何故そんなに深刻に?」と首を傾げざるを得ない状況で、完全に浮いてました。女性バイトが来られないというのが本筋と全く関連性が無く、どこかに置き去りにされてしまった感があります。
今  【無事に公演を終えることができました。本当にありがとうございました!】

今  【無事に公演を終えることができました。本当にありがとうございました!】

333

東中野レンタルスペース(東京都)

2011/06/10 (金) ~ 2011/06/13 (月)公演終了

満足度★★★

なんとも色々ともやもや
オムニバスということで、沢山の短編から成る構成でしたが、どちらかといえばコント集に近いです。
統一的なテーマがあるようには見えなかったのですが、本当はどうだったのでしょう。私の読み取る力が不足していたのかもしれません。
ある部屋での出来事、という共通点はあるのですが、会場がリアルにマンションの一室なので、それはその通りとしか言いようがないです。

各話は、わかりやすいものと、そうでないものが混ざっていました。
どこからどこまでが一つの話なのか掴みにくいところがあり、この話の結末は後で出てくるのではと期待したりもしたのに結局出なかったりと、ある意味、先が読めません。
もやもやした感じは残るのですが、作品以外の部分で観客に対する配慮が多く見られたのは良かったです。

ネタバレBOX

「イメージクラブ」などはオチがはっきりしていてわかりやすいのですが、
他の話は結末が不明確なまま終わったり、話の切れ目が明確でなかったりして、なんとももやもやした気分にならざるを得ません。
各話の登場人物がそれぞれ独立しているのかいないのか、どちらともとれるのですが、それを意図したのかどうかもよくわからないです。
テオリ

テオリ

BLUE HIPS

アドリブ小劇場(東京都)

2011/06/02 (木) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★

色々な役を演るということ
全くテイストの異なる3つの話。それぞれ台本の完成度が高く、面白い内容でした。
あとはそれを演じる役者さん達ですが、皆さんよく頑張っておられます。ただ、やや無理があるかなという印象を受けた役柄もあり、全体としてのバランスを崩している所があるように思えます。
オムニバスのため一人で複数の役を演じるわけですが、ある役では絶品だったのに、もう一つの役では微妙であったりと、なかなか難しいものだと感じました。

ネタバレBOX

第一話 『嗚呼、七日市高校定時制チアリーディング部』は、定時制ということもあり色々な年齢層の人物が登場するわけですが、最初その設定が飲み込めず、一体どんな人達なのかが理解しずらかったです。話が進むにつれて少しづつ語られるのですが、そうなると今度は設定上の人物像と目の前に居る人物の印象に違和感が出たりと、やや混乱しました。さすがに富村役を女性が演るのは厳しいかと。付け髭で風貌をおじさんにするのではなく、別の方法があったのではないでしょうか。
端々にギャグが散りばめられてあるのですが、間とかタイミングの問題なのか、残念ながら笑いにはつながりませんでした。

第二話 『鋏』は、完全に長女役の絶妙な演技で世界を構築しています。
ただ、次女以降と歳が離れすぎという印象を受け、最初は姉妹ではなく親子かと思ってしまいました。

第三話 『テオリ』 は、一般には理解しがたい昔風の劇団のステレオタイプを大真面目にやってしまうというところがこの話の肝ですね。大真面目にやるからこそ人の心は動く。あとは、レイナが実は四万十川イズムを受け継ぐ者だったということを、もっと意外性を持って見せられれば良かったです。

全体を通して、役者さんの動きにキレが不足していた所があったり、間を取って欲しいところでそのまま進んでしまったりと、少し直せば随分良く変わるのにと思った所が散見され、惜しかったです。
魚座たちの渚 / ひとしずくの殺意/FOREST ROOM~羅針~

魚座たちの渚 / ひとしずくの殺意/FOREST ROOM~羅針~

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★

企画として今後に注目
3話のオムニバス。

「魚座たちの渚」
正直、気恥ずかしくなるような内容の話ですが、若い演者さんが真剣に芝居に向き合う姿そのものが見所というべきなのでしょう。
ただ、あまりに展開が一直線であったのが残念です。

「ひとしずくの殺意」
1話とはうって変わって大人の話ですが、女の怖さを描き方にこのような方法があるとは新鮮でした。

「FOREST ROOM」
役者さんが舞台慣れしているという印象で、安心して観ることが出来ました。

ネタバレBOX

「魚座たちの渚」
この長さの上演時間で暗転2回は多いのではないでしょうか。
歌手デビューした姿を見せようと、着替えのために暗転にせざるを得なかったとは思いますが、歌うシーンそのものの必要性があったのかどうかが疑問です。

「ひとしずくの殺意」
タイトルに「殺意」と書いてあるので、最後にああなるだろうなという予想はつきますが、さすがに唐突です。逆に言えば、タイトルに「殺意」の文字が無かったら、ラストの展開に不自然さが残るのではないでしょうか。

「FOREST ROOM」
時間軸を変えているのに話がわかるというのは、なかなかたいしたものです。役者さんの力に拠るところが大きいです。

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全体として言えるのは、演出や段取りがどの程度行われていたのかがわからないという点です。芝居のトーンであるとか、どのような舞台にしていきたいのかという部分が見えにくく、はたして演出家や舞台監督が居たのかという疑問がわきました。オムニバスの次の話に移る際に地明かりの中で装置をセットアップするのはどうかと思いますので、何か工夫が必要です。
企画の性質上、難しい面はあろうかとは思いますが、頑張っている役者さん達に報いるためにもお願いしたいところです。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

劇団チョコレートケーキ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

とてもストレート (「裁きの日」)
「裁きの日」のほうを観ました。
伝えたいこと、主張をストレートに表現しています。
あまりにも真っ直ぐなゆえに、話に起伏や展開が無く、
それだけにこの濃密な1時間40分を一幕で演じ切った役者さん方の力が凄いです。(いつものことながら。特に蒻崎さんは本当に良い声をしてますよね。)

裁判員制度は一般市民にも”人を裁く”ことの意味を否応無しに問うてくるもの、ということを明確に示したという点で、この作品の価値を高いものとしています。

ネタバレBOX

演出上あえてそうしたのだとは思いますが、演者さんたちがずっと座ったままで演技されていたので目の前の役者さんの顔が見えません。また、反対側の役者さんの一人も手前の方の陰に隠れてしまい、顔がほとんど見えずじまいでした。
やはり動きが無いと辛い部分があります。状況を説明するために立ち上がるということが1回だけでなく、もっとあっても良かったのではと思います。
途中、耳で台詞を聞くだけになってしまった自分に気付き、慌てて座り直した次第です。ラジオドラマでも通用してしまうような台詞のしっかりした台本なので、演劇としての見せ方がもう少しあっても良かったのではないでしょうか。
風と共に来たる

風と共に来たる

劇団テアトル・エコー

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/06/01 (水)公演終了

満足度★★★★

これがプロのなせる技
文句のつけようがありません。これがプロの舞台というものなのでしょう。
海外作品であるこの脚本は展開が比較的平板なので、これを下手な役者がやったら目も当てられなくなるところでしょうが、このキャストの方々の神業とも言うべき演技で2時間全く飽きさせません(途中10分休憩あり)。
立っていようが、寝ていようが、おちゃらけていようが、セリフが全部きちんと聞こえ、無駄な動作は一切無し。照明や音楽などの演出がほとんど無く、役者の力だけでここまで見せることができるとは、お芝居の世界は広いと実感した次第です。

STATION

STATION

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・スズナリ(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★★

やはり鉄板
毎回思いますが、この劇団はよくこのクオリティを維持し続けられるものだと感心します。達者な役者さん方の演技は万全。前説で「皆、緊張しています」などとおっしゃってましたが、どこから見てもそうは見えません。
やはり時事ネタも入り、ある意味予想通りの展開と言えなくもないですが、変に話をややこしくしない分だけスッキリしました。

ネタバレBOX

死んでいたのはこの人達だった、という展開は、過去作品「赤い鳥逃げた・・・」を思わせます。途中でなんとなくわかりましたが。
アリスインクロノパラドックス

アリスインクロノパラドックス

アリスインプロジェクト

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/05/03 (火) ~ 2011/05/08 (日)公演終了

満足度★★

若いということだけで素晴らしい
若いです。
単に演者が若いというだけでなく、こんな夢想を若い頃にはするものだ、という感慨に近いものがあります。
物語はよくあるタイム・トラベルものですが、途中途中にちょっとした笑いをさし挟み、脚本家の意地のようなものを感じます。ただ、それを生かすように役者を動かすことが出来たかというと疑問です。
全体を通して、ほぼ一定のリズムで進行するため、見せ場であるとか印象的なシーンが作られることなく済んでしまったのが残念でした。

蠅取り紙 ―山田家の5人兄妹―

蠅取り紙 ―山田家の5人兄妹―

劇団たくあん

MAKOTOシアター銀座(東京都)

2011/05/04 (水) ~ 2011/05/05 (木)公演終了

満足度★★★

少し変えるだけで
台本がしっかりしており、楽しめました。2時間という上演時間も苦になりませんでしたが、もう少し短いほうが良かったと思います。
舞台装置がきちんと作られ、制作面が万全であったことがわかります。
役者の方々もちゃんと声が出て、無難にこなしているという印象があります。ただ、台詞に頼った演技が多めで、動きにやや必然性が欠ける点が残念でした。
あとは間の取り方、台詞のリズムを少し変えるだけで、格段に印象が変わると思います。

ネタバレBOX

物語が展開し始めるまでがやや長いので、そこまでを役者の力で引っ張るのが大変そうでした。その後の「生霊かも」と騒ぎになった時の芝居など、もう少し間が良ければもっと笑えたはずなのに、と惜しいと思う箇所が幾つかありました。
全体的に感情の流れがはっきりしない演技に見えてしまい、淡白な印象を与えます。それが良いかどうかは、人により判断が分かれるでしょう。
寿歌

寿歌

劇団東京乾電池

アトリエ乾電池(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/04 (水)公演終了

満足度★★★

演ること自体がチャレンジング
今の時代にこの作品を演目とすること自体が相当チャレンジングで、その試みがうまくいったかどうかは意見が分かれるでしょう。冷戦構造が崩れ全面核戦争の危機が遠のいた今、別の危機に対する不安感を共通認識として醸し出さないと、作品の持つ世界観を表しきれないかもしれません。
3人の登場人物と道具は1台のリアカーという、ごくシンプルな構成がそのまま踏襲されており、舞台上に"九重五郎吉一座"のノボリを付けたリアカーが佇んでいるという状況を作り出した時点で、芝居の半分は完成したと言えます。残り半分は役者さんの個性と、いかに"エエカゲン"に見える芝居をして頂けるかにかかるわけです。しかしながら舞台の作りのせいか、役者さんの動きが少ないのが残念でした。

ネタバレBOX

ほぼ原作の台本通りに進行します。忠実すぎるぐらいで、よもや「リヨナ」「私は美しい」をそのまま言うとは思いませんでした。元ネタを知っている人は今やほとんど居ないでしょう。
書かれた頃とは時代が変わったと言えばそれまでですが、全体的に台本をそのまま演じたという印象が強く、幾つかの点で違和感をおぼえました。ヤスオの風貌があまりにもイエス過ぎたり、キョウコの年齢設定に無理が見えてしまうところなど、難しいものです。
超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】

超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】

元東京バンビ

しもきた空間リバティ(東京都)

2011/03/02 (水) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

良い意味で、こなれた芝居
面白いです。ちゃんとしたコメディになっています。
はじめのうちは役者さんの動きが固く、セリフに頼った演技をしてるなという印象はあったのですが、中盤以降はそのようなことはなく、不自然さはありません。
登場人物たちのキャラクターがきちんと描き分けられていて、それぞれのキャラの動きに必然性があることなど、脚本が良く書かれています。加えて役者さんたちのこなれた演技(悪い意味ではないです)によって物語の展開に大いに説得力があり、感心しきりでした。台詞の言い間違いやら段取りミスなどあったものの、慌てずリカバリするあたり、「慣れているな」と感じました。

ネタバレBOX

未来人を告白するくだりで爆笑。
なるほど、この手の荒唐無稽な説明をするのに、あのような表現方法があったとは。新鮮でした。
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

TAKE IT EASY!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

満足度★★★★

舞台化の成功例
5人の役者が絶えず動き回り、映画のカットバックさながらめまぐるしい場面転換。とにかく圧倒されっぱなしでした。
芝居というより、長時間のダンス・パフォーマンス。台詞の量も多いのですが、それ以上に多い体の動き、マイムの数々。練習量を想像すると気が遠くなります。
音響も照明も舞台上の動きとぴたりと合い、驚異的ですらあります。
元となったアニメ映画を観た時には実写のほうが合っているのではと思ったものですが、今回の舞台を観ると、それ以上に舞台のほうが合っている、と思わせてくれました。このような例は滅多に無いです。

ネタバレBOX

ほぼ原作の映画と同じ内容をそのまま舞台化したのは、元の話の量の多さを考えると、もの凄く勇気の要ることではないかと思います。
ただ、さすがに小道具なし、パントマイムのみでは表現しきれなかった場面もありました。宇宙船の発射とか、怪獣映画とか・・・。全体の量に比べ、そのような場面は少なかったので問題とはなりませんでしたが。
舞台化に際し、映画とは異なる何か光るものが一つあれば、もっと良かったと思います。
ひとんちで騒ぐな

ひとんちで騒ぐな

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/02/03 (木) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

満足度★★★

説得力がカギ
タイトル通り、まさにひとんちで巻き起こる同時進行の幾つかの騒ぎを一幕で見せた舞台。登場人物が状況的に追い詰められ、なんとか打破しようともがく様のおかしさを素直に描き、シチュエーション・コメディの王道とも言える作りは見事です。
役者さん方の演技も不自然さがなく、このちょっと異常な状況でも「そうなるだろうな」と思わせる力が十分あります。
ただ、肝である"状況"の作り方に若干自然さがあり、それが説得力を減らしてしまった感が否めず、残念です。

ネタバレBOX

シチュエーション・コメディは難しいと思います。状況が説得力を持っていないと、そこから崩れていく過程が面白くなりにくいです。
今回の話では、例えば以下のような点が不自然でした。
・あゆみが家族と一緒に住んでいるであろう家の風呂に、宇多田が勝手に入る
・おそらく常識人であろう丸柴が、他人の家に勝手に上がり込む
・6年ぶりに地元に帰る勘介に、若葉が連絡をとった理由がわからない
・若葉とあゆみが同じバンドのファンというのは偶然すぎる
不自然な状況でも、理由付けによっては説得力を持つ場合もあるとは思います。その理由付けが今回は見えにくかったと思います。
役者さんの芝居に関しては、さすがに安定感があり、最後まで安心して観ていられました。ただ、台詞を言いながら指を振るなど、複数の役者さんに共通の仕草が見られたのは、若干違和感がありました。

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