Rezarの観てきた!クチコミ一覧

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櫻井さん

櫻井さん

MCR

駅前劇場(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/28 (月)公演終了

満足度★★★★

やっぱり、魅力ある
なんだかバカバカしかったり、絶妙過ぎて爆笑しちゃったりするんだけど、ところどころに潜む、物事の真髄が、良いスパイスに、なっていました。櫻井さんのセンスは、クセになる味でした。**申し訳ありません。パソコン、ご機嫌ナナメで、なぜだか入力できなり、追記遅くなりました。

ネタバレBOX

ホントに、櫻井さんが舞台中央に、佇んで?います。まずは銅像として。
その前で、待ち合わせする人もいれば、当然通行人もいる。
わざわざ見に来た、エミアキヨシ(江見昭嘉さん)が、死体で発見され、警察の捜査として、アキヨシの家族らが、浮き彫りに、なっていく。

で、銅像と同じ状態でありながら、エミ家の家族団欒にしてしまうのも、無理矢理のようで、でも、しっかり、家族の図としてみえたのは、本と役者力と感じました。あの状態なのに、父の威厳だったり、痛いところ突くかと思いきや、優しさもみえる櫻井さん、良かったです。天然系の包容力をみせる母(伊達香苗さん)、東大出の弟(福井善朗さん)も良かったです。
家族のダンスシーンは、面白かったが、やや引っ張りすぎかな?

警察の捜査なのに馬鹿らしかったりするが、上田刑事(上田楓子さん)が、偶然の通行人であり目撃者のはずだが隠す。が、ばれたらばれたで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)って、女子に有りがちな被害妄想的ヒロイン願望のようで、可笑しかったです。
小川刑事(おがわじゅんやさん)のベテラン刑事のくせして、くだらない事に拘わる面白さ、北島刑事(北島広貴さん)の若い刑事っぽさも、良かったです。

バイト(小野紀亮さん)ならではの、ゆるさも、いい感じでした。

警察の捜査も進みつつ、物語自体は、もっと濃い内容ですが、同じ状態のまま櫻井さんは、カリスマ占い師や、飲み屋のワル、といろんな象徴として君臨してるのに、最後の顔はイタズラ描きされてしまう。

たいしたことないようでも、どこかで影響あたえたり、どうでもいいようで、誰かにとっては、大切だったりと、、、描写は可笑しいんだけど、チクチクきたり、グサリと突くのが、効いてました。
劇団員の関係も、お互いに関心無いようで、なにげに刺激与えながら支え合ってるのかな~?だから魅力ある作品ができると思いました。
又、次回作も楽しみに、しています!
ハイカット!

ハイカット!

こちらスーパーうさぎ帝国

萬劇場(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★

どうなの?
初見でしたが、魅力的な役者さんもいて、ノリと勢いもあり楽しめたが、あのラストが疑問?でした。

ネタバレBOX

人間組み体操みたい?な車とか、バカバカしくコミカルさやテンポもあり、劇場オーナーの想いや、理不尽に死を迎えてしまう登場人物達の視点等、面白さあるのだが、ラスト・・・?
初見なので作風がわかりませんが、当パンに『ただ味付けを少しだけ変えみたつもりです』と、作者の言葉がありました。だから、あのラストなのかもしれませんが、前田が薄くなり消えていくラストの方が、好みでした。ベタじゃ~つまらないと、言う意見もわかりますが、ベタだからこそ、誤魔化し効かない魅力もあると思うのですが・・・

福島役(免出知之さん)いかにもアナウンサーらしさも良く、
桑原(常田克己さん)は、何もしない時でも、表情や視線が良く、
鬼(吉田拓郎さん)のやんちゃぶりも、良かったです。
メイクも良かったです。
ドロシーの帰還

ドロシーの帰還

空想組曲

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いもあり、ダークファンタジー
心の闇をも照らすのだが、場内は笑い声も響く。それ以上に、心に響く作品でした。『オズの魔法使い』のメルヘンに潜む残酷性も浮き彫りにされ、現実の厳しさも感じるが重くはなく、私は希望を持ち帰れました。

ネタバレBOX

人気作家、高峰ドロシーの残酷な作品に魅せられ、犯罪をおこしてしまうファンもいた。作品に感銘して、漫画家、小説家、童話作家を目指す三人と、高峰が偶然、喫茶店で出会い、関わっていく話と、『オズの魔法使い』が交差しながら、物語はすすんでいきます。

作家と言うクりエイターの目から、譲れない感性を見せるが、一般人も同じと思った。
ある事柄を、どう感じるかにより、友情や愛情が絆になったり、百年の恋も醒める事がある。
魅力でもあり、怖さも潜む感性。
だが、それ以上に、真実、嘘、綺麗事は、毒にも薬にもなる。大切なのは、感性を理解しえる関係と思いました。

足りないものを得る為には、覚悟が必要。覚悟する度胸がなくても、想いが強ければ、自ずと開けるはずとも、思えました。
売るためには手段を選ばない編集者や、理解者のようで、何も解ってもらえなかったりと、切なさもあるのだが、皆各々の大切な事を、掴み直せそうな、素敵な作品でした。

遠近法で描かれているテーブルの続く壁画、永遠に続きそうで怖さもあり、オズの魔法の不思議さや、人々の葛藤でもあり、世界観がでていて、よかったです。
扉を開くことでの、場面転換も良く、達者な役者さんばかりで、魅せられました。二役や、全然違う顔を見せる人物の使い分けが良かったです。
オズ役中田顕史郎さんのチョイ気障加減も、とても良かった。
穴戸(ライオン)役の小玉久仁子さんの『間』は、最高です。

見続けたい劇団が、また、増えた喜びを感じた作品でした。
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

TAKE IT EASY!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

睡蓮の花言葉
一途な想いが時空を超えるという感じでした。原作見てないのですが、素晴らしい疾走感に、光と音が導く世界が、素敵でした。

ネタバレBOX

かって一世を風靡した女優(75歳)が生き様を、語る。インタビューする二人をも巻き込んで、時空を飛び超え、恋した人を追いかけていきます。

晩年の女優役と、その若かりし頃の女優役をメインに演じる役者さんは、いるのですが、5人の役者さんが、交互に役を演じたり、他約200役をこなすのは、見応えありました。
ダンスやパントマイム的表現も多く、走るシーンも多いのに、場面展開には、しっかり違う人に、なりきっていました。動きが多い物語では、大抵の役者さんが、動きに必死になり、声も表情も薄くなってしまい、醒めてしまう私ですが、そんな心配は必要無かったです。
走る姿も良かったですし、馬で走る姿も、素敵でした。

衣装が、終始同じなのですが、白いドレスをベースに、袖やスカート部分に、睡蓮をモチーフとして、表現していました。パンツと組み合わせるデザインだったりと、素敵でした。肘から下の袖は、ニットレースと思われる、ベルスリーブの動きが、幻想的なシーンとしても、活きていました。
小物使いで、その配役らしさも出ていました。
着物もただ、羽織るだけでなく、役者さんの動きを活かし、風や時をも、見せてくれました。
5脚のイスも、大活躍。余計なものが無く、良かったです。

声を揃えて語るシーンは、たいてい、声を揃えるだけに集中し過ぎて、その空間や感情が消えてしまう事が多く、苦手な演出方法なのですが、この作品では、とても効果的に、時に幻想的にさえ魅せてくれました。使い方と役者さんの力で、こんなに変わるとは、思っていなかったので、良かったです。
コミカルなシーンも散りばめられていて面白かったけど、もう少し、減らしてもいいような?

舞台背景や照明も良く、白い睡蓮の花びらを想い起したり、千代子の大切な世界として、生きていました。
劇中曲(和田俊輔さん・デス電所)も素敵でした。

この作品の再演、又、是非、お願いします。そして、TAKE IT EASY!さん、末満健一さん、近いうちに又、東京公演、お願い致します。楽しみにしてます♪

恋する、プライオリティシート

恋する、プライオリティシート

コメディユニット磯川家

王子小劇場(東京都)

2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了

満足度★★★★

初雪に初見
寒かったけど雪の中、行って良かったと思える、ハートフルラブコメディでした。

磯川家さんの魅力は、この道で生きていく、強い意志と覚悟と努力が、伝わってくることだと思いました。美術含め作品の完成度を高める努力や、価値ある客演を呼んだり、観客への感謝の気持ちや、サービス精神の旺盛さは、凄いと思いました。
特に、『こりっち』への書き込み等も含む、『こりっち』の宣伝も大事なことだと思います。生まれて初めて観劇する方や、誘われた時しか観劇しない方には、『こりっち』の存在自体、知らない方も、いらっしゃると思います。(私自身、一年前は知らず、ネットでいろいろ調べていたら5月頃『こりっち』に、たどり着き、気が付いたら、1年足らずで観劇数100本に、なりそうです。)いろんな方が、今回の公演を機に、他の公演を知り観劇数が増えたり、改めて磯川家の魅力を実感したりと、新規顧客の開拓増員に、なるはず!と思います。新規顧客の開拓増員は、どの業界でも課題のはずですが、演劇界の方々は、あまり興味無いよう?で、とても不思議です。せっかくの公演という最大のチャンスを、活かさないのは、もったいないと思います。そういった意味でも、磯川家の姿勢は、お客様サービスでもあり、演劇界にも貢献してると思います。今後も、期待しています。

ネタバレBOX

あるバーで、常連客の女の子とバーテンの恋愛に、女の子の姉夫婦や常連客カップルのそれぞれの愛の形や問題、店の従業員が絡まり、本当にあった、ちょっと良い話として、物語は進みます。

バーらしい雰囲気作りが良かったです。エレベーターや、非常口から続く窓の外、ピアニストの生演奏と、作品によく合い、活きていると思いました。
ただ、ボトルの本数が多すぎたかな?やや、圧迫感がありました。

ややドタバタ感は、あるものの、力量のある役者さん達なので、楽しめました。豪華な客演の方々を呼べるのも、磯川家の魅力だと、思いました。

当パンの配役名、何て読むのか悩む名もあるのですが、藤生敏太(島岡壱丞さん)と来筑鈴(白石廿日さん・ナイロン100℃)には、名前に真剣な悩みも隠されている。2人の真剣さが、可笑しかったです。
みんな、ちょっと、お馬鹿ップルな面白さの中、久利淳一(菊池祐太さん)が、松舞子(前園あかりさん・バナナ女学園純情乙女組)に、デレデレな感じも良かったです。
前園さんを以前拝見した時、少年の本音を、繊細に演じてたのがとても良く、今回のギャル系天然な感じは、意外な役と思ったが、前園さんの力量を痛感しました。このカップルが、もう少し物語に絡んで欲しかったものの、他の方々の展開に反応する様が、騒ぎ過ぎの様でいて、それ以上の細やかな演技が可笑しく、目を奪われました。

三倉珠(信原久美子さん)の地味めな里香の姉が、赤のドレスで歌う姿の晴れやかさぶりも、良かったです。

ピアニスト(山口紗貴さん)優雅な感じなのに、突然、走りだしたのにも、ウケました。

ラスト、やや強引さもあるが、コメディーならではのハッピーエンドなので、許せちゃうかな?
我儘な三倉里香(物延結さん)のトゲトゲ感も良かったが、もう少し柔らかくなる姿も見たかった。彼女を支えるバーテン迫田智志(渡辺毅さん・ゲキバカ)の、誠実な感じも良かったです。カーテンコール後、迫田が里香をお姫様だっこして、消える姿が素敵!と思いきや、頭ぶつけて、又、笑い!
ひとひらの犯罪

ひとひらの犯罪

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2011/02/07 (月) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★

ひとひら
そんなに、ブラックではなかったです。むしろ行動を起こす動機が、『愛から』だけど・・、自己愛から巻き込まれ利用される人々にとっては、ブラック。大爆笑ではないけど、ニヤッとか、クスクス笑っちゃう感じでした。

ネタバレBOX

『パソコンの調子が悪いから』と言って、自分に気のある男友達を利用して、ワルな彼氏と別れようとする女の子。
その男友達を心配する女の子と男友達も巻き込まれ、ワルな彼氏の新しい彼女や、家族もドタバタと出入りしながら、物語はすすみます。

なんだかんだで、みんなどこかで、繋がっているのが面白いが、ちょっと、怖かったり?

まじめな人、いい加減なだらしない人、様々だが、恋って盲目だったり、、、恋に求めるものも価値も様々。

新しいカップル誕生の、ハッピーエンドで、良かったです。


雨と猫といくつかの嘘.

雨と猫といくつかの嘘.

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

雨の向こう側
ふとしたきっかけで、甦る言葉や風景
甘かっったり、苦かったり・・・
いつまでも、忘れられない事だったり、、、
自分で、作り上げてしまった事だったり、、、
嘘という名の優しさを、あらためて感じました。離れていても、繋がっていける温もりと優しさもあり、満足な毎日でなくても、明日に繋がると思えました。

ネタバレBOX

雨音を聞くと、思い出してしまう風太郎の記憶は、楽しいことばかりではないが、私にとっては、風太郎の回想を通して、いろんな事の意味や価値を、見つめ直す空間でもありました。
そこには、それぞれの、いろんな想いがあって良いんだよと、受け止めてくれる小夏さんの世界観が広がり、羽を休める事が、できる素敵な作品でした。

全役者さん、達者でした。
猫(林竜三さん)が帰ってきてからの動作だけで、猫の思いが想像ついてしまい、、、なんだか泣けてしまった。そのシーンが、リフレインした時に、しゃべる猫の言葉に、納得してしまい(風太郎の浮気は、意外でしたが)家を出ていく後ろ姿には、切ない潔ささえ感じた。
そんな姿にも憧れるかのような風太郎(藤川修二さん)の優しさ弱さも良かったです。
風太郎の母役(木下裕子さん)の凛とした母の姿であったり、女としての弱さの出し加減も良く、無表情の時の醸し出す空気感も、素敵でした。

役者さんの登場時や消える時の歩き方や、舞台の端で佇んでいる姿は、風太郎の忘れられない記憶だったり、素敵な余韻として、とても効果的でした。

タマ(猫)が消える時、風太郎の妻が妊娠していた事に、素敵な奇跡(輪廻転生)を期待しちゃいました。

アイボリーやベージュの優しい色遣いの衣装、透明傘に赤の傘、映えてました。
抽象的なセットに背景の雨粒の連鎖、そばに居られなくても、繋がっていられるような気になりました。

夏の夜の夢

夏の夜の夢

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2011/01/29 (土) ~ 2011/02/07 (月)公演終了

満足度★★★

Bバージョン
ダブルキャストで、Bバージョン拝見しました。26人出演の舞台は間近で、親近感のわく『夏の夜の夢』は、面白かったです。

ネタバレBOX

Bバージョン初日だったから?やや表情固かったかな?かみかみの方々が、連鎖してしまったのが、残念でしたが、やんちゃなパック(剣持直明さん)の活躍や、味のある役者さん達の面白さで、楽しめました。

客席中央の通路も使用する事により、空間を広く感じられ、良かったです。
パック(剣持直明さん)、ボトム(丸山まことさん)が、特に印象的でした。

60人の劇団員さんが、いらっしゃるそうなので、又、違うカラーも、観たいと思いました。
新・牡丹灯籠

新・牡丹灯籠

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2011/01/26 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

心のある作品
花道から続く情緒あるセットに、恋、愛、情が絡み合う、とても素敵な作品でした。年配の方も、楽しめる作品です。そして、脚本や演出を学んでいる若手の方にも、是非見て頂きたい作品と、思いました。次回作も、絶対、観たいです。

ネタバレBOX

恥ずかしながら、『牡丹灯籠』の物語、なんとなくしか知らなかったのだが、構成・脚本・演出の原田一樹さんのお言葉通り、人を強く惹き付ける物語だと、痛感しました。
愛の威力や因縁、自分の力だけでは、どうにもならない。
生きるという事が愛故に、自ら引き寄せてしまう因果応報。
恋しいが故に、罪を犯し
罪を隠すのは、愛があるから
愛があるから、許せない。
許されないから、情けを求め、
情けがあるから、生きていける。
だからこそ、生や愛に執着してしまうのかしら?と思いました。あらすじは、書いてありますが、、、感想です。

露(大桑茜さん)は、萩原(有本孝浩さん)を恋しくて、幽霊になってまでも会いたいと思うのに、幽霊であることを隠した露を裏切りと思う萩原。露の使用人お米(白沢靖子さん)は、露の思いを果たす事で、自分の生きた証しを残すが如くで、この三人(ダブルキャストで、牡丹)の切なさには、場内すすり泣きでした。

露の思いを協力する報酬として百両を請求する、伴蔵(白洲本樹さん)お峰(瀬田ひろ美さん)夫婦だが、それも、なんとか夫に一旗揚げさせたい妻の愛。この夫婦、貧乏ながらも、心の繋がった感じが良かったです。

その百両は、露が勘当同然にされた父・飯島平左衛門(伊藤勉さん)の元から露が、用立てていた。露がいないのをいいことに、その家督を狙う計略を立てる内縁の妻、お国(古木杏子さん)には、情人の源次郎(森下高志さん)がいる。それを見抜いた、忠誠心の強い奉公人の孝助(清水拓也さん)が、阻止しようとするのだが、平左衛門を刺すという意外な悲劇に、なってしまう。孝助は気付いてなかったが、平左衛門は孝助の親の敵であったので、自ら敵として刺す場を与え、孝介の逃げ道を作っていた平左衛門であった。この情けにも、涙の場内でした。
痛手を受けた平左衛門と使用人のお竹(深町麻子さん)まで殺してしまう、お国と源次郎、罪と深手を負い逃避行を重ねる内に、この二人の愛と執着は、狂気を滲み出していた。

露からの百両を元手に、金物屋を成功させた伴蔵だが、後悔の念を消すかの如く、置屋通いの毎日で惚れて貢ぐ女が、源次郎のために働くお国。お国の妹分お梅(深町麻子さん)は、お竹の実の妹だったりと、じわじわと恐怖が忍び寄り、単純な私は緊張してしまいました。それが、日本の怪談の魅力と、今は思えますが。。。
お国の存在を知ったお峰の、伴蔵への愛憎のつらあて、それでも伴蔵・お峰夫婦の愛(これまた、素敵でした)で、乗り越えられると思いきや、伴蔵のお峰殺し・・・そんな、切なすぎる・・・でも、夢だった!と、救いのある見事なラストでした。

情念が紡ぐ物語を、力量のある役者さんが演じるので、怪談に弱い私には、やや怖い感があったのだが、三遊亭圓朝役の語り手が三人加わることで、重さを深みに変えて、テンポも加わり、とても良かったです。この語り手(平野雄一郎さん、滝本志優さん、花ケ前浩一さん)が、それぞれの個性で、落語家らしくありつつ、役者さんにしか出せない味を、堪能させてくれます。

花道のある情緒あるセットに、開演前から、響く、風鈴の音と思ったが、止静?(修行僧がよく持っている、小さな鐘)の音。右手前に二輪の赤い彼岸花。この空間だけで、期待が高まり、納得の作品でした。

一見、グレー系こげ茶の壁だが、ライトにより、壁が透けて向こう側が見えるのだが、旗本の庭だったり、お墓だったりと、情景の移り変わりに、奥行きが加わり、とても良かったです。

少し高低差のある二間で、物語が進むのだが、障子、襖、雨戸と変わるのも、良かった。
糞尿譚

糞尿譚

劇団俳小

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/22 (土) ~ 2011/01/29 (土)公演終了

満足度★★★★

人生
順調な時だけではない人生、寄り道したり、遠回りしながらも、前を見る大切さを、感じた作品でした。味のある役者さんが多かったです。

ネタバレBOX

私財もなげうち、糞尿汲み取り事業を始めた主人公だが、事業は火の車、女房に愛想突かれ、他人には、バカ呼ばわりされながらも、頑張っている。
余裕も無いくせに、酒呑みで、スポンサーの女にちょっかい出したりとダラシナイ。
だが、困ってる友人には援助したり、昔の女の現在を心配したりと、優しい。
そんな人柄だから、協力者と思ってた人に、裏切られたり、利用されたりと、波乱も、あるが、めげない、懲りない主人公が、良かったです。

柄杓を振れば、金吹雪、良かったです。

2層の高低からなる舞台で、部分的な深い場所は、処理場(肥溜め?)だったり、温泉だったり、面白かったです。
無伴奏

無伴奏

劇団東京イボンヌ

サンモールスタジオ(東京都)

2011/01/12 (水) ~ 2011/01/19 (水)公演終了

満足度★★★★

12年の月日が
変えたものと、変わらないものの良さがある。それは、当人にとっての大事な思い出で、それが、支えになっていたと思えた。圭と貴子の想いと、曲があっていたと思いました。物語自体は、好みのタイプですが、それを彩る周りの人々のキャラ立てが、少々気になった。

ネタバレBOX

前半の傲慢な貴子が、自分の体調等の不安を圭に告白するシーンは、自分の弱さを、さらけ出せる安心感が、滲み出ていて、さすが岩野さんと思いました。

圭(政修二郎さん)の優しさも、良かったです。猫とカエルの童話の様な話の絡め方も、好きでした。

バイトの花ちゃん(土屋咲登子さん)も、良かったです。

カメラマンのキャラで、『ねぇ~ねぇ~』が、おねぇ系のようで、花ちゃん口説いたり、カップ舐めたりと、やや違和感がありました。オープニングのチェロ説明の時位の、ちょい気障のチャライ奴の方が、圭との対比としてで、好みでした。

農家の兄弟の東北なまりのような口調も、気になりました。貴子のセリフで、茅野からタクシーで30分とあったのですが、茅野から約40分の白樺湖から約30分の立科町で子供の頃3年育った私には、不自然でした。あの辺は、あまり訛りはなく、『~でしょ?』等の語尾に『~だず?』くらいのはず。車で30分どっちに行くか、地域に、よって微妙に違うかもしれませんが、あずさ(電車の名前と思われる)とか、八ヶ岳とか、地域が限定される時は、方言に正確性を、求めてしまうので、駅、電車、山の方が、無難では?
又、辰夫が切腹の真似ごとも、ちょっと大袈裟に、感じました。

23分後

23分後

innocentsphere

吉祥寺シアター(東京都)

2011/01/15 (土) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

見て良かった
初めて見たのが、5年前のZION(再演)で、3公演程見たのだが、多忙過ぎて、暫く観劇してませんでした。昨年から又、観劇が増え、お目当ての役者さんができたので、久しぶりに拝見して、感動しました。以前より解りやすく、幅広い層に受け入れ易くなっているが、より洗練された感じです。客層も以前は20代中心だったのが、30代以上の方や50前後の方も増えてました。コミカルな場面も、程良く散りばめられながら、丁寧な心理描写からラストの疾走感に向かう、素敵な作品でした。

ネタバレBOX

いつでもどこでも、人々の生活は様々で、みんなそれぞれ葛藤を抱え、自らそれを大きくしてしまう事もある。
交わる事が無いようでも、何処かで何かを、支えている素敵な奇跡もある。と思えました。

相変わらず、美術の美しさと、映像の使い方が、効果的だと思いました。特にオープニングの、役者さんが登場しながら、映像で名前が出るのは、他の劇団でも真似てるが、イノセントさんが、一番格好良いと思った。

パントマイム的表現が、ところどころ使われ、良かったです。根岸つかささんと久野壱弘さんは、さすがの演技力で、情景を連れてきてくれました。
新宿の雑踏のスローモーション的な世界は、その時は交わる事は無いが、別々の世界が、いつか何処かで、繋がる予感として楽しめました。それまでの役と違う空気感で登場してた、こうのゆかさんと支倉潤一郎さんが、見事でした。

挫折もあったが、夢や家族愛の話も素敵で、ベートーヴェンの曲と駆け抜けるシーンは、素敵でした。

全役者さん魅力的でしたが、特に久野さんの凄さは、絶品でした。

カウントダウンが始まったのは気付いたが、舞台上の物語に引き込まれていて、カウントいつ終わったのか、気付きませんでした。
『OLと魔王』 ご来場ありがとうございました◎さよなら魔王!また会おう!!

『OLと魔王』 ご来場ありがとうございました◎さよなら魔王!また会おう!!

舞台芸術集団 地下空港

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

評判通り
さすが!舞台芸術集団と言う名のごとく、素晴らしい舞台でした。役者さんは、もちろん、美術、音楽、衣装、メイク、大満足でした。

ネタバレBOX

誰でもある心の隙間に、入り込む悪魔達だが、魔王の夫婦問題含むクーデター中だったりの、テンヤワンヤで、面白かったです。

客席の中迄、乱入の悪魔様方、メイクも衣装も可愛く、素敵でした。
メイクは、ホームページより進化したような?特に魔王のメイクの赤が映えていて、威厳を持ちつつ、時に、うっかり屋さんと言うか、ちょっと、ぬけてたり?と、魅力的でした。
後半、人々の心の闇が見えるシーンや、悪魔達が人々に乗り移り話すシーンは、それまでのキャラからの変わり様が、面白かったです。
素敵な役者さんばかりで、シリアスな作品も観たいと思いました。

あんなに大きな動くセットで、あのスピード感は、見物でした。後半、全てのセットが動き回るのは、迫力ありました。あれだけ、舞台に広がりながらも、高低、奥行き、色のバランス、完璧と思ってしまいました。ダイニングテーブルやチェアーの動きも好きで、特に、みんなで、高速?三途の川?を走っているシーンが、好きです。
カルナバリート伯爵の約束

カルナバリート伯爵の約束

メガバックスコレクション

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2011/01/15 (土) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

やっぱり、大好き!
メガバックス さんの世界観。素晴らしい物語と音楽、美術にキャストで、大満足です。自分へのご褒美として、最良ですので、お勧めです。

ネタバレBOX

どうやって、運び込んだのだろうか?と錯覚さえ起こしてしまうほどリアルな、大木に列車、土砂崩れの後の、山肌と土。やっぱり、凄いの一言になってしまう、事故現場のセットでした。

任務を遂行する為の兵士の好奇心が、恐怖に変わるけど、どうしても他人事とは、割り切れない思いが、惨状の悲しみを和らげたと思いました。

約束の意味や謎が解ける中、孤独とは?人との繋がりや愛、遺志を受け継ぐ心とは?と、感動が続く素敵な作品でした。

ダブルキャストのアム役YURIちゃんは11歳。この日が千秋楽だったそうで、カーテンコール時には、感極まって、ウルウル(;_;)

そうだよne~あんなに、熱演で、アムのひたむきな姿やパパやママを思う気持ちに、感動したyo~と思い、私まで、ウルウルしてると

YURIちゃん、後方の友達の元迄走って、泣きじゃくる、
『え~ん!終わっちゃった~!☆☆ちゃんも、頑張ってね~!え~ん!』
なんて言葉が、聞こえてきて、YURIちゃんが、どんなに作品と自分の役が、大好きだったのか、伝わってきて
なんだか私も、もらい泣き、、、

泣きじゃくるYURIちゃんを、見守るキャスト逹の優しく温かい瞳を見て、又、感動!
YURIちゃんの資質の良さは、もちろん、ご両親の愛や躾、劇団環境の素晴らしさを痛感しました。
素敵な空間に居合わせた事に、感謝しました。
THE DIAMOND DUST #2

THE DIAMOND DUST #2

劇団ダイヤモンド

ART THEATER かもめ座(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★

ハムレットのように
シリアスだったり、コミカルだったりで、楽しめました。

オサムの描き方が、やや少年っぽ過ぎるような気が、しました。

ネタバレBOX

始終、全員、素足だったのが疑問でした。黒い床と壁だったので、かなり目立ちました。特にスーツ姿や幽霊逹には、違和感が・・靴が合わないのならば、黒の靴下だけでも、良いと思うのですが、、最初の夢のような亡霊?逹は、黒っぽい衣装で、顔も隠しているので、素足による、存在感アピールで効果あったと思えましたが。。。

公演回数も多く、通勤経路の劇場だったので、全公演見るつもりでしが、休日出勤等の予定変更で、見れなくなってしまい、申し訳ありませんでした。そんな自分の都合で思った事で申し訳ありませんが、1日3本だったら、45分や60分の作品を、15分の休憩(入退場自由)挟んで、2本続いた方が、全作品を見るチャンスが増えると思います。時間の無い人は、1本だけでも楽しめるし、遠方の方は4回行かなくて済むので、ありがたいです。観客の立場としては、公演期間中に4本見れるのは、とても魅力的でした。
リーマン兄弟と嫁 【公演終了!ご来場ありがとうございました!!】

リーマン兄弟と嫁 【公演終了!ご来場ありがとうございました!!】

劇団鋼鉄村松

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/18 (火)公演終了

満足度★★★

個性的でした
う~ん!私には、難しかった・・・前半は、ついていけたので、面白いんだけど、後半ついていけず・・・絶賛される理由も理解できる個性だが、武器にも凶器にもなる感じでした。好みが別れると思います。

ネタバレBOX

壁面は白の布地のカーテンの様な感じで、何ヵ所からも、人が出入りできるのが、効果的でした。
大小様々の箱(立方体、長方体)が、いろんな情景を、繰り広げるのも、面白かったです。
映像も、情景だったり、文字だったりと、作品に沿って、効果的でした。

当パンのボスのお言葉に、『おそらく平均よりも、離れたい力が、強く作用している。』とあったが、まさに個性的でした。創作する側の方が、平均でいる必要性は、まったくないと思ってますが、かなり個性が強かったです。

〈とけないパズル〉の文字が出てきたあたりから、だんだん、ついていけず、どんどん離れちゃった感じでしたが、でも嫌いと捨てきれない。

と言うのは、バブルムラマツさん 村松かずおさん ムラマツベスさん、キラー村松さんの確かな力量に支えられ、魅力を増していたからだ。ボスの個性とやんちゃぶりは、舞台狭しと弾けていたのは良いと思う。私的には、絶賛はできないが、違う作品も観たいと思いました。
終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。

終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。

青年団若手自主企画 だて企画(限定30席!)

アトリエ春風舎(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

あ~楽しかった!
個人差あるとは、思いますが、心配するより、体験の価値ありで、お薦めします。役者さん達が、引っ張ってくれるので、すぐ馴染めて、おしゃべりしたり、一緒にムカついたり、笑ったり、怒ったり、ウルウルしたりと、とても楽しめました。

ネタバレBOX

高校2年3組の教室の中で、役者さんと観客が同級生として、ある日の出来事を、共有する感じでした。

ちょっとだけ、意見を言わなくちゃいけない人も、いましたが、どちらかというと私は、挙手のみの傍観者の立場だったので、勇気も覚悟も必要無かったです。
というか、私は、ずうずうしい性質なので、隣の役者さんにも、前の席のお客さんにも、話しかけちゃたりと、勝手ながら、友達気分を楽しんじゃいました。
聞かれてもいないのに、先生の言葉に頷いたり、心配したりと、いい意味で、物語に巻き込まれていきました。
ちょっとした事件で、席の離れた友達と、目配りで語れちゃうような、空気や面白さを、役者さん達が作ってくれるので、それに乗っちゃったもん勝ちかな~?
はい!しっかり、乗り込んじゃいました。
四方八方で、事が起きるので、あっちこっちと、キョロキョロしながら、コソコソ話しちゃたりと、普通の観劇では有り得ない、貴重な経験させていただけ、ありがとうございました。

映像も、とても効果的でした。特に、ラストの映像は、卒業アルバムの様に、皆の映像と名前がでる、とても素敵なラストでした。

この程度の参加型だったら、又、参加したいです。同窓会編とか?

それにしても、舘そらみ様って、素晴らしい!
私は<吐くほどに 眠る>から、拝見して2作目ですが、全然違う魅力が光り、目が離せない存在!
THE DIAMOND DUST #2

THE DIAMOND DUST #2

劇団ダイヤモンド

ART THEATER かもめ座(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

トランス
劇団も作品も、初見でしたが楽しめました。演出の國井さんが、演出するならこの作品と心に、決めていた大切な作品との事で、役者さんの力量を信じて、個性と本の良さを活かした作品で、良かったです。

ネタバレBOX

シンプルなセットに、たった3人の役者さんなのに、役者さんの力量で、引き込まれ、面白かったです。

ニューハーフでなく、オカマ感が、作品にあっていて、程良くリアルでした。

特に、ラスト、どれがホントで、誰がほんと?での場面の引力が良く、見応えありました。
ドリルチョコレート「テスタロッサ」

ドリルチョコレート「テスタロッサ」

MCR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度★★★★

初笑いに、良いかも?

3組のカップルの関係と痴話喧嘩が、馬鹿馬鹿しいけど、面白い。ちょっと切なかったり、可愛かったり、呆れたりと、恋は盲目な楽しさでした。

ネタバレBOX

あずきちゃんとまことくんは、ケンカの理由聞くのも馬鹿らしい程のラブラブカップル。そんな幸せも、まことくん所属のパンクバンドには、悪影響だと言うバンド仲間の2人。

バンド活動の中、そういう2人の恋人関係も、馬鹿馬鹿しくも、なんた゛か理解できる点も、あったり?なかったり?で、可笑しかったです。

すぐ怒鳴っちゃう彼と、かなりイカれた?彼女の金切り声は、あまり好みではないけど、訳わかんない英会話や行動に、真実や本音も、チラホラと見え隠れする。不毛の恋でも想いは一緒だったりと!

櫻井さんの作品は初見ですが、絶妙だったり微妙だったり?のセンスは、面白く、違う作品も観たいです。
冬に舞う蚊

冬に舞う蚊

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2011/01/05 (水) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

初日から満席でした
初日から、キャンセル待ちの方がいる、人気ぶりでした。
現実から、目をそらさず、真摯に取り組み、骨太の重厚感を感じた、意味と価値のある作品でした。実力のある役者さんばかりで、見応えありました。

ネタバレBOX

サラリーマン社会を舞台に、しているが、バイトや専業主婦でも、人と関わらずには生きてはいけない社会の中、見たくない聞きたくない現実を、どう対処するかが大事だと思えました。

派遣社員に不正の証拠を見せてしまう事さえ、当たり前になってしまってる社風の中、真っ直ぐな主人公の行動に、もう少し方法を考えて行動すべきでは?と思いつつ、戦う姿勢の大事さや、逃げ道の大切さも、考えさせられました。

それぞれの立場によっての正義や本音も違い、味方のようで実は裏切ってたり、力になりたくても現実が邪魔したりと、痛い部分もあるが、まだ良心が残ってる人がいたのが、救いでした。

主人公が選んだ道は、悲しいものですが、諦めなければ開ける道もあるはず、手遅れになる前に、やれることも必ずあると、信じたいと思える作品で、観劇始めは、これにして良かったです。
現実しっかり見ないと、夢も見れないもんne~♪と思えました。

そして何よりも、こんな現実を、題材に選んだ姿勢に、賞賛を贈りたいと思いました。

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