新・牡丹灯籠 公演情報 劇団キンダースペース「新・牡丹灯籠」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    心のある作品
    花道から続く情緒あるセットに、恋、愛、情が絡み合う、とても素敵な作品でした。年配の方も、楽しめる作品です。そして、脚本や演出を学んでいる若手の方にも、是非見て頂きたい作品と、思いました。次回作も、絶対、観たいです。

    ネタバレBOX

    恥ずかしながら、『牡丹灯籠』の物語、なんとなくしか知らなかったのだが、構成・脚本・演出の原田一樹さんのお言葉通り、人を強く惹き付ける物語だと、痛感しました。
    愛の威力や因縁、自分の力だけでは、どうにもならない。
    生きるという事が愛故に、自ら引き寄せてしまう因果応報。
    恋しいが故に、罪を犯し
    罪を隠すのは、愛があるから
    愛があるから、許せない。
    許されないから、情けを求め、
    情けがあるから、生きていける。
    だからこそ、生や愛に執着してしまうのかしら?と思いました。あらすじは、書いてありますが、、、感想です。

    露(大桑茜さん)は、萩原(有本孝浩さん)を恋しくて、幽霊になってまでも会いたいと思うのに、幽霊であることを隠した露を裏切りと思う萩原。露の使用人お米(白沢靖子さん)は、露の思いを果たす事で、自分の生きた証しを残すが如くで、この三人(ダブルキャストで、牡丹)の切なさには、場内すすり泣きでした。

    露の思いを協力する報酬として百両を請求する、伴蔵(白洲本樹さん)お峰(瀬田ひろ美さん)夫婦だが、それも、なんとか夫に一旗揚げさせたい妻の愛。この夫婦、貧乏ながらも、心の繋がった感じが良かったです。

    その百両は、露が勘当同然にされた父・飯島平左衛門(伊藤勉さん)の元から露が、用立てていた。露がいないのをいいことに、その家督を狙う計略を立てる内縁の妻、お国(古木杏子さん)には、情人の源次郎(森下高志さん)がいる。それを見抜いた、忠誠心の強い奉公人の孝助(清水拓也さん)が、阻止しようとするのだが、平左衛門を刺すという意外な悲劇に、なってしまう。孝助は気付いてなかったが、平左衛門は孝助の親の敵であったので、自ら敵として刺す場を与え、孝介の逃げ道を作っていた平左衛門であった。この情けにも、涙の場内でした。
    痛手を受けた平左衛門と使用人のお竹(深町麻子さん)まで殺してしまう、お国と源次郎、罪と深手を負い逃避行を重ねる内に、この二人の愛と執着は、狂気を滲み出していた。

    露からの百両を元手に、金物屋を成功させた伴蔵だが、後悔の念を消すかの如く、置屋通いの毎日で惚れて貢ぐ女が、源次郎のために働くお国。お国の妹分お梅(深町麻子さん)は、お竹の実の妹だったりと、じわじわと恐怖が忍び寄り、単純な私は緊張してしまいました。それが、日本の怪談の魅力と、今は思えますが。。。
    お国の存在を知ったお峰の、伴蔵への愛憎のつらあて、それでも伴蔵・お峰夫婦の愛(これまた、素敵でした)で、乗り越えられると思いきや、伴蔵のお峰殺し・・・そんな、切なすぎる・・・でも、夢だった!と、救いのある見事なラストでした。

    情念が紡ぐ物語を、力量のある役者さんが演じるので、怪談に弱い私には、やや怖い感があったのだが、三遊亭圓朝役の語り手が三人加わることで、重さを深みに変えて、テンポも加わり、とても良かったです。この語り手(平野雄一郎さん、滝本志優さん、花ケ前浩一さん)が、それぞれの個性で、落語家らしくありつつ、役者さんにしか出せない味を、堪能させてくれます。

    花道のある情緒あるセットに、開演前から、響く、風鈴の音と思ったが、止静?(修行僧がよく持っている、小さな鐘)の音。右手前に二輪の赤い彼岸花。この空間だけで、期待が高まり、納得の作品でした。

    一見、グレー系こげ茶の壁だが、ライトにより、壁が透けて向こう側が見えるのだが、旗本の庭だったり、お墓だったりと、情景の移り変わりに、奥行きが加わり、とても良かったです。

    少し高低差のある二間で、物語が進むのだが、障子、襖、雨戸と変わるのも、良かった。

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    2011/01/27 02:59

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