京の観てきた!クチコミ一覧

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ヒロイン〜女たちよ タフであれ!〜

ヒロイン〜女たちよ タフであれ!〜

アトリエ・ダンカン

キャナルシティ劇場(福岡県)

2011/02/13 (日) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★

ファンのためだけにある芝居。
正直、最後のコンサートシーン以外は楽しめなかった。
ファンのためだけの芝居だった。

ストーリーは陳腐で、昔売れていたアイドルが今はそれぞれの暮らしで苦労している。そして・・・、という何の工夫もない。

しかし、あのころのファンのための芝居であれば、彼女たちが今も若々しく、それでいて年輪を重ねた様子を見せ、ラストの歌であの頃に帰るというのは間違いではないだろう。

それぞれの持ち味を生かした設定・シーンがあり、ファンには大満足ではないだろうか。

客席にかつてのファンクラブらしき面々がいたのが微笑ましい。

現代狂言V 狂言とコントが結婚したら

現代狂言V 狂言とコントが結婚したら

萬狂言

大濠公園能楽堂(福岡県)

2011/02/05 (土) ~ 2011/05/05 (木)公演終了

満足度★★★

笑いとはどこから生まれるものなのか
「「六地蔵」「五獣拳」「ドラゴンキャッスル」の3作。

古典の「六地蔵」は大変満足。
特に地蔵達のポーズなどは古典の時代にはないであろうポーズで笑わせてくれる。

現代狂言の「五獣拳」「ドラゴンキャッスル」は退屈。

「五獣拳」の改作は全く失敗だと思える。
観る前は「田舎者」を「外国人」に置き換えたことでどんな面白さが生まれるかと期待したが、それを生かしたとはとても思えない。
つまらない部分ばかりを引き延ばしたため肝心の部分が立ち上がって見えてこない。

「ドラゴンキャッスル」は現代狂言のキャスト総出演。
魚を演じる部分や橋掛かりの変わった使い方など、面白い部分も散見したが、話自体関がありがちなだけに、演者たちの力量がないと面白く見ることはできない。


なによりも、現代狂言というなら古典である狂言と現代のコントを上手く融合させ生かさなくては看板に偽りありだろう。
現代狂言の部分で時々狂言の所作を入れたり、狂言の言葉を使ったりしてみてもそれに何の意味もなければ仕方がないだろう。
演者たちが、今自分はなぜこんな動きをするのか理解しないままにやっているのを見て面白がれるわけがない。


結局最初に観た「古典」の「六地蔵」に一番「現代狂言」を感じられた。


試みは面白いし、努力も見て取れて好感が持てる。
しかし、それは作品の評価ではない。

ネタバレBOX

「六地蔵」では地蔵の面におたふくを使っていたが、実際には何を使うのだろうか。
不勉強ながらこの作品を観たことがないため、おたふくではないだろう、の予測しかつかない。

古典部分に星を3.1、現代部分に0.5くらい。
作品総合で3におちつけました。
バンダラコンチャ セカンドアルバム公演 ちんけさんと大きな女たち

バンダラコンチャ セカンドアルバム公演 ちんけさんと大きな女たち

バンダ・ラ・コンチャン

青山円形劇場(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

満足度★★★

感情と理性は同居できない
全国2か所のみの公演で悲しい限り。

発想は面白いし、いいシーンは随所にあるのだが、それが上手くつながらない。
役者さんたちもあまり上手い人がいないし、近藤さんもそれをフォローしようと気負っているのか滑舌も悪くオーバーアクトで傷口を塞ぐことに失敗している。


しかし、うまく言えないのだが、ここの作品を観終わった後、いつも微笑んでいる自分を見つけてしまう。
笑顔のまま劇場を出ることが少ない私にとって、それがバンダラコンチャ(ダンダンブエノ)を追いかける理由なのだろう。

ネタバレBOX

最終的に女たち全てが夢想の産物としたことは成功だったか疑問。
別の効果はあらわれたかもしれないが、やはり、現実が何一つないのは不安感を誘う。


近藤さんのファンとしては、真横を通ってくれたし、あの美しい指も間近で見ることが出来たし、と、個人的満足度は高かったです。
投げられやすい石

投げられやすい石

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/01/19 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了

満足度★★★

2つのベクトルに悩む
ハイバイは2度目。
前回観たときは前評判が凄くて、観てみたらちょっと期待外れだった。
今回はそれほど期待せず劇場へ。

結果、前回に比べると緊張感もあり、現代の若者の現実を見るようで悪くはなかった。
しかし、「現実」と「一部の若者の生態」を映すばかりで「面白い」とは言えない。
演劇的なシーンもラストにあるだけなので、劇中の主人公たちの全く進展しない会話には、どうしてもイライラとしてしまう。

会話を成立させることが出来ないまま、作品を作り上げたこと等、意欲的な作品だとは思えるが、そこに留まる。

全く評価のベクトルが違うが、面白ければもっと良かった。

YMO ~やっとモテたオヤジ~

YMO ~やっとモテたオヤジ~

ラッパ屋

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2011/01/08 (土) ~ 2011/01/09 (日)公演終了

満足度★★★

こんな芝居が当たり前に観れるといい。
作中、特に前半は「あるある」と思わずほくそ笑むことばかり。
登場人物たちはいかにもいそうな普通の大人たちだった。
ちゃんとしたキャラクター作りに好感が持てる。

後半の「会社辞める」からのくだりは個人的にはあまり好きになれないが、ちゃんとした落としどころに着地している。


役者各人の演技力にバラつきがあることが少し残念だった。

抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

パルコ・プロデュース

キャナルシティ劇場(福岡県)

2011/01/05 (水) ~ 2011/01/05 (水)公演終了

満足度★★★

カタチが面白い。
前作は残念ながら観ていない。
仲村トオルと同じ役を大杉連がやるのだから、前作を観ていればその違和感も楽しめただろうと思うと残念だ。
セットの高い壁、その向こうから漏れる光、それだけで演劇的なものを感じワクワクする。
自分たちの前世を復習するという設定、二人の人間関係の不思議な立ち位置など楽しめた部分は多かったのだが、前世の「復習中」の設定にありきたりなものが多いのがガッカリだった。
また、復習中のシーンはやはり大杉さんがはまり過ぎなせいか佐々木さんの演技が負けていた。


気持ちとしては星3.5くらいです。

3人いる!

3人いる!

FOURTEEN PLUS 14+

湾岸劇場博多扇貝(福岡県)

2010/12/22 (水) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★

不足していたものは何か
はじめての扇貝。ずいぶん小さな劇場だと驚いた。上で台車を転がす音も響いてくる。使い方に工夫がいりそうだと思った。


舞台は小さな部屋、そこにはいろんなものが置いてあるが、「置いただけ」という感じがする。
やがて一人の男が登場するが、その人物が住んでいる部屋ともあまり思えない。そこに人が生きてる感じがしないのだ。
後からの展開を思うと、「誰のものでもない部屋」を意図した演出なのかとも思うが、はっきりしない。


作品内容は1つの部屋に2人の人間があらわれ(実際は3人で2人を演じている)お互いに自分の部屋だと譲らない。それどころか2人とも同じ人間らしい、というドッペルゲンガーのような展開となっていく。
そして、「どっちが本物か確かめよう」と友人宅へ行くが、そこでも同じことが起こっている。


合計4人の人間を役者3人で入れ代わり立ち代わりめまぐるしく演じていくのだから面白くなりそうなものだが、あまりそうはならない。
客席から笑いは起こっていたが、「役者が変な顔をしたとき」のような、はっきりした場所でしか笑いは起きていなかった。


面白くなりきれなかった原因として2つほど考え付くのだが、その1つ。これは明らかなことだが、役者の技術不足があげられると思う。
特に1人2役を演じるところなどははっきりしている。
ほかの人間からは2人ではなく1人に見えているので、1人の役者が、他人から見た様子を2役で演じるが、当然これには相当の技量が必要となる。
しかし、それを有している役者がいるわけではなく、無謀な挑戦をしただけのようだった。
「AとBの演じ分けはこうする」というルールが一つ二つ見えた程度で演じ分けができているとは思えなかった。

役者たちの演技を見ていると、そこで生きている人間だとは思えない。
ほかの人間の発言・動きにより自分が反応するのではなく、きっかけの動きばかりに見える。

作品理解・演出意図の理解が十分ではないのではなかろうか。



もう1つに関しては、予測でしかなく、自信を持って言えないが、演出家が台本の解釈を間違って行っているように思える。
台本の解釈などそれぞれの自由だし、私は台本を読んでいないので憶測でしかないが、観劇中に感じていた違和感の正体はこれではないかと思った。

最初に男が登場するところで、自分の部屋のようにすぐにはふるまわず違和感を持たせるところ、最後に人が減り言葉がうつろになっていくところなど見ているとそう感じられた。


また、言葉の使い方が下手なことも観客をいらだたせる原因だっように思う。
一人が自分の部屋だと主張し、もう一人もそうする。
しかし、「もう一人」はなかなかはっきりとは言わないのだ。
現実に人間はそうはっきりと言わないものだが、言わなければ誤解を生じる場面ではっきりと言わないのは、作劇上そう見せたいだけなのだなと興ざめして乗れない。


ただ、演出の問題点に関しては、台本の時点からの問題かもしれないので、いずれ台本を探し読んでみたいと思う。


嘘つき鉄心『IRON HEART』

嘘つき鉄心『IRON HEART』

福岡演劇博多衆

博多座(福岡県)

2010/12/17 (金) ~ 2010/12/18 (土)公演終了

満足度

観客席に空きが多かった。
一見江戸風の世界、しかし、着物にブーツ、喋り言葉も今風で、パラレルワールドとか、「もしも今も江戸時代が続いてたら」のような感じ。
しかし、作品紹介にも「時代劇ファンタジー活劇」と銘打っているが、そのどれもが中途半端だった。


時代劇という割には、「お世継ぎ」のような言葉は使うのに、「いくさ」とは言わず「戦争」と言う。
(隠居の)尼僧(名前等失念)が「大老」をしている…。しかも、幕府ではなく地方のお城らしい。
おかしな設定ばかりだが、これをファンタジーで逃げていいとは思えない。


ファンジーにはファンタジーなりの世界設定がきちんとあって、そこには我々の住む世界とは違うルールがある、というだけで、好き勝手にしていいという意味ではない。



地方演劇を見るときに、(ファンタジーなどの架空世界に限らず)そこに生きる人々の背景を観客に感じさせるような作品に、全くと言っていいほど当たらない。
登場人物がある言葉を喋るのは、その人物のそれまでの人生、文化背景が積み重ねられた上に発せられた言葉であるはずなのだ。
それをしてないのは脚本家・演出家の努力不足としかいいようがない。


おかしな言葉づかいも多かったが、作者が作品世界の背景をしっかり作っていれば、観客はその中に入り込むことができ、違和感を感じることもなかっただろう。


また、役者の演技、殺陣、共にひどかった。
型通りの演技というのはもちろんあるし、この作品はそちらに属する方の作品だろうとは思うが、型通りと下手は全く違うものだ。
出演していた役者さんたちは、自分たちの所属している劇団などにいるときにもこれ程ひどい演技をするのだろうかと疑問に思ったほどだった。
誰ひとり、そこで生きているのだと感じさせるような人間がいない。
とにかく間がなく、せりふをしゃべっているだけ。
かと思えば、笑いどころのつもりのセリフで妙に間を置いたりする。
姫の密偵をやっていたお付き役の方が、美人顔とブス声の落差で笑わせていたくらいで、あとはほとんど笑いが取れていなかった。


殺陣に関しては、やはり経験のない人間がやるのは大変なので見方が厳しいかとも思うが、上手い人と下手に人の落差が目立つことと、舞台で魅せる殺陣を作っていないのでは褒められない。
舞台にはアップもカット割りもないのだから当然そのための工夫がなければ観客は退屈してしまう。


殺陣ついでに、殺陣のシーンの音響のズレはひどすぎた。
これは技術と慣れの問題だから、残り2公演で改善されているとよいが。


それから、設定その他が過去に見たようなものばかりだった。
パクリと言うと言い過ぎだが、安易すぎるとは言えるだろう。

例えば、鉄心と鈴の設定は『鋼の錬金術師』そのままだし、最初のシーンのカラクリの起動音はガンダムそのまま。ほかにもアニメのセリフが散見された。

クライマックスの回り舞台の立ち回りは新橋演舞場で観た『魔界転生』そっくりだった。
もちろんこれは『魔界転生』がオリジナルとはいえないしよくある演出、とも言えるわけだが、逆を言えば、よくあるどこかで見たような演出しかなされてないということだ。


いろんな団体から人が集まり、練習時間も限られていただろうとは思うが、そこに逃げないでほしいと思う。


星は1つにするか2つにするかで悩みました。

カーディガン

カーディガン

パルコ・プロデュース

キャナルシティ劇場(福岡県)

2010/12/03 (金) ~ 2010/12/05 (日)公演終了

満足度★★★

普通
キャナルシティ劇場オープンということで観てきました。
感想は一言で言ってしまえば「普通」ということになってしまいます。

脚本はよくあるネタを大した工夫もなく描いているだけ。
登場人物に深みもなし。

しかし、その脚本をベテラン俳優陣たちが上手くみせていた。
キムラさんは安定感があり、妻のキャラクターを微妙なさじ加減で演じていた。
そして、中井さんも安心して見ていられる。大変失礼ながら、彼がここまでいい役者さんになるとは思っていなかった。
若手の方も頑張っていたが、やはりその演技を受け止めるベテランのおかげで、下手をすると退屈でしかない舞台を見られるものにしていたと思う。



観客は半数以上が市原・中尾両氏のファンばかりだったようで、舞台が終わった瞬間からスタンディング、歓声の嵐で、作品の評価とは関係ない拍手では役者さんにも失礼ではと思い、あまりいい気はしなかった。

合唱交響曲「わが星」

合唱交響曲「わが星」

北九州芸術劇場

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2010/11/27 (土) ~ 2010/11/28 (日)公演終了

満足度★★★

演出の勝利
今回は今まで私が観た(数少ない)リーディング作品のなかでも成功例だと思う。
普通のリーディングではなく、「合唱」としたところがその勝因の大きな要素だったろう。

8つの役をパート分けし、1人~4人の役者によって演じられる。
当然初演では1役1人だった。
1つの役を数人で演じることにより、個性の分散化・平均化が行われたように感じた。
1人の役者が演じては、どんなに上手い役者だろうと、やはり観客によってはしっくりこないことがある。
それが、複数になる事で、観客は役者の中で好きな部分を取捨選択できる。若しくは、自分の身近な人を想像しそこに当てはめることができる。
観客は、役者のいいとこ取りをして楽しめるのだ。


この作品は、もともとの台本のつくりが上手いため、誰が演じても見られるものになっている。
ラップとしてセリフを喋るのではなく、「歌う」ことで、役者の上手い下手にこだわる必要がなくなるのだ。
初演版を映像で見た時も思ったが、役者が下手でも面白いのだ。

そして、題材も上手い。
誰もが昔の自分を思いおこせる「家庭」というワード、そして、広大な宇宙の中の地球を擬人化し、広い宇宙の中の孤独を重ねる。


しかし、不満がないわけではない。
その最たるものは、仕方がないこととはいえ、練習不足によるものだ。

このリーディング自体が、限られた練習時間でどう表現するか、というものではあるが、作品が面白かっただけに、もっといい役者が使えたならどんなに面白くなったかと思わずにいられない。


また、リーディングになった事で、初演版にあった感動が失われたところもやはりある。
それは主に役者の動きだったと思う。
実際のところは、効果的な動きをつけるまでの時間がとれなかったというところかも、と思うが。

それから、後半で役者たちがリズムに乗り歌うところで、思い思いに楽しく歌って見えたが、それぞれの目線の計算が成されていたら素晴らしいものになったのではなかろうかと思う。各々別の方向を見ながら、それでいて全体ではひとつのものをあらわしている、というような。


最近気づいたことではあるが、この視線の計算をしていない演出は多いような気がする。
動き方、しゃべり方は演出しても、視線や他のもっと大きな計算がされている舞台はほとんどない。
計算という言葉を嫌う人もいるようだが、計算された機能美というのもひとつの芸術だろうと思う。


話が逸れたが、先ほど書いたように、初演版も今回も役者に上手い人はいなかった。
もしかしたらそれは演出家がわざとやったのかも知れない。
これを見ると、もっと面白いバージョンが見たい。と思ってしまうのだ。
それに、逆説的ではあるが、いびつな人間の方が「合唱」という形式をとる上では正解なのかもしれない。
実は今回の舞台を見ている間、どうしても1人の役者さんばかり見てしまっていた。
他の人を見てもいつのまにか彼女で目が止まってしまう。
彼女は舞台上で自然な笑顔で自然な喋りで、ただ1人舞台上で生きている人間だと思わせた。
だが、ごく普通、平均としか映らない彼女が、自然だということで却って浮いて見えた。(後でパンフを見てみたら、彼女はナイロン100℃に所属していた。)
だがこれも演出の術中だという気がする。


芝居の最中から、面白いと思いながら何かが違うと違和感を感じていた。
そのモヤモヤはまだ解決出来ていないのだが、多分これは物足りなさなのだろうと思う。

芸術劇場で今度本公演があるそうなので、その時に正体を確かめようと思う。

ロールシャッハ

ロールシャッハ

KKP

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2010/10/22 (金) ~ 2010/10/24 (日)公演終了

満足度★★

演劇ではない。
酷い舞台だった。
役者は噛みまくりでトチリが多い。他の役者の動きなどで吹いてしまい、しかも上手く立て直せない。
そしてなにより、全員演技が下手。

ネタとしてはそれ程珍しくもなくすぐにわかる部類。
2時間越えの作品ではなく2、30分の短編だったなら「面白かった」と言えただろう。

小林賢太郎はストーリーや人間を見せるのではなく、仕掛けを見せたいだけなのかもしれない。

これを演劇とは呼びたくない。


しかし、客席は満席。
大きな拍手とスタンディングオベーション。
ファンばかりが来ているとはいえ、こんな状況が正常な状態でいいとは思えない。

『義務ナジウム』リーディング公演

『義務ナジウム』リーディング公演

大野城まどかぴあ

大野城まどかぴあ(福岡県)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/16 (土)公演終了

満足度★★

500円ならそう文句は言えない。
過疎の村での秘祭をモチーフにした本作。
しかし、ここから先を描くべきところで作品は終わっている。
まだ物語は始まっていないのだ。

物語が始まり、何か秘密がある。それが明かされ対立(諍い)などが起こり、そして一応の解決をみる(先がはっきり示されない場合もある)。

最近こんな作品を見ることが多い。
もちろんこれは多くの物語の一定型であり、よくあるパターンだ。
だが、私のいう「こんな作品」とは、本当に描くべき話や人間は「この先にこそあるのに描かれていない」作品のことだ。

登場人物たちは最後にはそれぞれの決意をして終わる。
しかし、我々観客が見たいドラマはその先にあるものだ。
作品内で見せられたところまでは始まりでしかなく、登場人物たちの葛藤や決意など、一般人の多くが、形は違えど経験済みの「当たり前」のことでしかない。
我々はその先を知りたい。
彼らはどうやって生きていくのか。未知の世界を生き抜くのか。


また、演出もありきたりで浅すぎる。
面白いところがないとは言わないが、「感情が高ぶったところでは大声を出す」などという演出は考えがなさ過ぎる。
そんな事をするのは子供か本当に考えのない人間くらいで、怒りや激情を表すにはもっと豊かな表現がいくらもあるだろう。


個人的なことを言わせて貰えば、ナレーター役の方が、最初はそれほど気にならなかったのだが、後半になるにつれ気になって仕方なかった。
意味深な動きや感情過多な喋りが段々癇に障ってきた。
もちろんこれは個人的に感じただけなので、誰もがそうだとは思わない。


さて、リーディング公演だったわけだが、今まで見たリーディングに比べるとある意味成功ではないかと思っている。
今まで見たものの感想の多くは、「本公演で観たい」だったが、この作品は違った。
本公演を観ていないので憶測だけで失礼な事を言わせていただくが、この作品を本公演で観ていたら役者の動きなどに物足りなさを感じ頭を抱えていたのではないかと思う。
しかし、リーディング公演であるがゆえに、役者の声だけを聞きながら自分の想像の中で役者を動かすことが出来た。
もうひとつ失礼を付け加えると、役者の声(声質ではなく、演技や間)も良かったわけではない。
役者や場面によっては酷いものがあった。


しかし、題名にも書いた通り500円ならそう文句を言うこともないとは思う。

ビリーバー

ビリーバー

シーエイティプロデュース

福岡市民会館(福岡県)

2010/09/19 (日) ~ 2010/09/19 (日)公演終了

満足度★★

照明が気に入った。
ボックスを使った舞台は面白くはあるものの、もうひとつ、といった感じ。
「いい」と思える場面はいくつもあったのだが、道具を使い切れてない、といった印象。

川平さんの1人何役(?)、楽しくはあるものの演技はあまり気にいらない。
役者陣、悪いとまでは言わないがどうにも物足りない。


この舞台で気に入ったのはなんといっても照明。
舞台を囲むようにシワをつけられ垂らした幕に明かりが当たって立体感を出している。
また、その幕の後方を照らすことにより後の空間が出現し演技スペースとなるのも楽しい。
暗転のたびに見える舞台やボックスに貼られた蓄光テープの光。
ラストの場面でも浮かび上がり、きれいだったので、この光をもっと意図的に演出に加えられたら良かったのでは、と思った。


ストーリーはサンタの存在を量子論によって証明しようというもの。
着想は面白いがうまく説得しきれなかった感じ。

アメリカの作家さんなので、「神がいる世界に住んでる人は大変だ。」と思った。
日本人にしてみれば「何を悩んでるんだろう。」と見えてしまうのではないか。


それから、会場の問題なのか、役者のセリフが聞きとり辛かった。
特に早口の部分は辛かったので会場の問題だけではないように思う。

在る、忘れられた水槽。(無事終了いたしました。ありがとうございました)

在る、忘れられた水槽。(無事終了いたしました。ありがとうございました)

village80%

アクロス福岡 円形ホール(福岡県)

2010/09/03 (金) ~ 2010/09/04 (土)公演終了

満足度★★★

足りないものをもっと探って欲しい。
なんというか、感想を書きにくい舞台だった。

表現は「見たことある」と思えるものがいくつもあり、何をやろうとしているのかが透けて見える。
面白い試みはいくつもあったが、「今までにない」ものではなく、散々見てきたようなものばかり。新しいものはなかった。

脚本も演出も、頭で考えたもので役者の身体に根付いていない。頭と身体が遊離しているようで見ていてしっくり来なかった。
作・演出の方は「頭でっかち」と言われることが多いのではなかろうかと邪推してみたりもしたが、その「頭」がまだまだ足りないと思える。もっと徹底的に考えて作り込むべき芝居だったのではないだろうか。


観劇中に思ったのは、緊張感が圧倒的にないという事。
役者の神経が指先まで通っていない。
これではこちらも緊張感を強いられず、結果、だらけて見てしまうことになる。
また、ハッとするシーン、劇的シーンがないため、見ている方は漫然と見ることになってしまう。



大雑把に言わせていただくと、役者陣は散漫。細心の注意で演技をしていない。
作・演出は何をやるつもりかが見えてしまうものだった。
作者はまだ自分がどんな演劇をやりたいのか見つけてないのだろうと思えた。
「こんなのやってみたい」程度しかなく、まだ「自分の演劇」がないのだろう。
まだ真似だけでオリジナリティがない。



かといって評価してないわけではない。
下がって行く一方、という劇団ではないようだし、「自分たちは出来ている」と思い込んでやっているわけではないのが好感。


いつもながら舞台(セット)は「面白そう」という観客の興味をそそる。

SKY with DIAMONDS

SKY with DIAMONDS

コンドルズ

イムズホール(福岡県)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/21 (土)公演終了

満足度★★★★

まだ継続したい。
いつもながら満足した。

今回は会場にワークショップ参加の子供や新しいファンもいたためか少し違う空気だった。
後ろの席の子供たちのお喋りには辟易。
芝居中に子供同士で喋ったり、母親に質問したり。母親も注意せず話し相手をしている。


彼らのダンスはいつ見ても不思議で楽しい。
学ランの集団。
体型も技術もバラバラ。

彼らは決して上手い訳ではない。
群舞は揃っていないし跳躍も大して高くない。
だが目を離せない。

体型も技術も同じという上手いダンスとも、ブロードウェイなどで見るようなポイントはしっかりおさえながらも各キャラクターで踊っているダンスとも違う。

彼らの魅力については考えていきたいと思う。
次回また観に行くだろう。


ホラー人形劇は大受けだった。

ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」

ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」

ホリプロ

J:COM北九州芸術劇場 大ホール(福岡県)

2010/08/19 (木) ~ 2010/08/19 (木)公演終了

満足度★★★

必要以上に楽しんでしまった
ファミリー向けのミュージカル、しかも夏休みということで子供だらけなのは覚悟していた。
行ってみれば当然子供、子供・・・。

会場が暗くなるだけで騒ぎ、ピーターパンが後にいれば「後ろー!」と騒ぐ。

芝居をみるのにはあまり適さないと思いながら見ていたが、キャストからの「妖精を信じると言って!」には一斉に大声で「信じるー!」とのレスポンス。
みんなで声を出したり、踊ったりという中にいると、ファミリーで楽しめるミュージカルとはこういうものか・・・。と思い始めた。

実際、トイレの為の休憩をこまめに取ったりして子供の集中力が切れないような工夫がされている。
海賊たちはコメディーリリーフとして子供たちを楽しませ、怖がらせる。
よくできているものだ。

カーテンコールのピーターパンのフライングは、真下のいい席だった為か見上げる角度でワクワクした。


難点を言えば、子供の反応をもう少し考えた演出にするべきだったと思う。
ラスト近くの本来ならしっとりするはずのシーンで、子供たちの歓声に負けないためとばかりにウェンディがセリフを絶叫していた。

子供を楽しませるばかりではなく、それこそ子供たちへの劇的効果をもっと考えて欲しい。

ネタバレBOX

ピーターパンが飛ぶ真下にいたため妖精の粉を浴びまくってしまった。
粉は銀色の固めの紙でできていたため浴びた瞬間チクリとした。
妖精の粉は痛いと初めて知った(笑)。
2番目、或いは3番目

2番目、或いは3番目

ナイロン100℃

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2010/07/31 (土) ~ 2010/08/01 (日)公演終了

満足度★★★

笑いの先にあるものは何だろうか。
開演前、佇むセットを見て「どん底」風なのかな? と思った。
ただ、「どん底」のストーリーをほとんど度忘れしていて共通点があるのか、そこから想起されたものがあるのかを確認できなかった。
訪れた者たちの衣装は「かもめ」の舞台衣装だとストーリー上で語られていたから、むしろチェーホフからだろうか。

『神様とその変種』の時、私は「セチュアンの善人」がイメージに出てきたのだが、ケラさんには何か過去の名作をケラ風にという意図でもあるのだろうか。


内容のほうだが、近作同様3時間の長丁場を笑いで上手くつなぎ退屈はさせない。
しかし、見終わって何を自分は得たのかといえば、「何も」と思っている。
もちろん何かを得る必要があるわけではないし、何もない演劇というのも素晴らしいと思うのだが、上演中あれだけ笑っていた自分と、観終わった今の自分の違いは何かと考えてしまう。


前回観た時は大倉さんが芝居世界からはみ出し気味だったと思ったが、今回はしっかりといきていた。


「ここは自分たちの町より酷い」と頑なに信じる姿、相手を自分たちよりも下の者だと思いたがり、施しをしようとする姿に普段の自分や、周りの人間の姿を見た思いで笑ってしまった。
善とは何か、差別とは何か、人間とは何かと意識的に考えることができるのはいいことだと思えた。


ラスト、人々が消えた後、建物がライトで縁取られたとき、それまで3次元だったセットの町が2次元の書き割りになったことが印象的だった。


休憩中に後の方で、小男ばかりが出ているのでキャラクターの区別がつかない、といったことを喋っているのを聞きクスリとした。

アームストロング・コンプレックス

アームストロング・コンプレックス

劇団ショーマンシップ

甘棠館show劇場(福岡県)

2010/07/22 (木) ~ 2010/07/29 (木)公演終了

満足度

つまらない。と言わせないで欲しい。
江戸末期と明治、二つの時代の絵師を描いている本作。
設定だけ聞くと面白くなりそうな予感で満ち溢れている。
だが、そうはならなかった。

問題点は幾つもあるが、そのひとつに江戸パートと明治パートの繋がりが非常に希薄であることがあげられると思う。
二つの時代が実際に交わるのは舞台も後半を過ぎてから。
いくつか二つの時代をまたがるものが出てくるが、あまり物語に絡まず、二つの時代はただ平行に描かれるばかりで、因果の絡みがどう表れてくるのかと気にすることすら段々と嫌になってくる。
ストーリーも盛り上がりに欠け、クライマックスも唐突過ぎた。
どちらかの時代に重点を置いた方が良かったのではと思う。


次に気になる点は暗転中の音楽だ。
ジャンルを問わずいろんな曲がかかっていたように思う。
時代物だからと古い曲を流す必要性などはないが、芝居に合わない曲ばかり流すのはどうかと思った。
基本的ともいえる「暗転中に観客の興味が芝居から逸れる愚」を犯している。


一番酷いのは言葉だろう。
当時そのままの言葉を使う事は不可能だという事はわかる。
だが、舞台上にいたのは「江戸・明治」の人間ではなく「現代の若者」であった。
古い言葉・動作を努力しているようではあったが、少し気を抜くと現代の動きや表情が表に出てきていたし、昔の人間なら絶対にしない動作が多かった。
ただし、これは役者だけの責任ではなく脚本・演出の責任が大きいだろうと思う。
作る側が大して調べもせず脚本を書き、演じる側も大した考証をせずに演じた結果がああなったのだと思う。


演技に関してはあまり言っても仕方がないように思う。
声を聞きとれない役者さんや神経に障るような声を出す役者さんがいてセリフが聞き取り辛かった。
全員がセリフを自分のものにしていないし、もちろん間も取れていなかった。
仲谷氏の演技は特に酷かった。一番のベテランが一番酷いというのはどうなのだろうか。


唯一感心したのは、落合芳幾役の方が目を剥いて失神するシーンで瞬きひとつしなかったことだ。


最終日だった為アフタートークあり。
トークの中で「これだけ別の方向性の劇団から集まってよくケンカにならなかったものだ」との旨の発言が出ていたが、自分の信ずるところを主張し意見を本気で戦わせるのでなければケンカをすることすらできないだろう。
「本当にたくさん芝居の話をした」とも出たが、どの程度の話をしたのか、この出来では疑問だ。

ネタバレBOX

劇中で語られる「芸術論」、絵のことを語っているが、そのまま演劇に当て嵌めることができる。

「向こう側を見たい」も若く情熱はあるが、それだけしかない芸術かぶれの青年が言いそうなセリフだが、「千枚の絵を描けば1つくらいは傑作ができる」に至っては酷すぎる。そんなまぐれだけに頼ってどうするのか。実力をつけるという選択肢ではなく、観客頼りではないか。
芳年たちをそんな安いキャラクターにしてしまってどうするのか。
お岩幽霊

お岩幽霊

流山児★事務所

西鉄ホール(福岡県)

2010/07/11 (日) ~ 2010/07/11 (日)公演終了

満足度★★★

プラスマイナス・ゼロ?
事前情報はなにもいれず観に行った。

朝鮮戦争とお岩をどう絡ませるのかと興味を持ちながら観ていたが、「面白い」と思うところはいくつかあったものの、その必要があったとは思えなかった。

郡唱は楽しめたが、セリフで歌っていた部分は聞きとりづらいものが多かった。

絵の具を使った死の表し方、この世に定着していないような喋りなど良い演出もたくさんあったが、役者のトチリが多かったこと、殺陣がいまひとつだったことなど、まさに一長一短というしかないような舞台だった。

大奥

大奥

明治座

博多座(福岡県)

2010/07/03 (土) ~ 2010/07/27 (火)公演終了

満足度★★★

期待以上
テレビ放送も全く見ておらず、「大奥」なんて女ばかりの確執描くだけのどうでもいい話でしょ。等と、何の期待もしていなかった。

確かにストーリーは女の嫉妬と嫁姑問題というだけの話ではあった。
演技に関しても、浅野ゆう子にはほとんど惹かれなかったし、スリーアミーゴスの方々はほとんど場繋ぎで活きていなかったと思う。


見所だと思ったのは、衣装と安達祐実。

各キャラクターに合わせた衣装は見ていて楽しかった。
ちょっと合わないんじゃないかと思えるものもなかにはあったが、色や刺繍など工夫が見られてよかった。

また、安達祐実の演技は素晴らしかった。
京ことば、何も知らない素直なお姫様ぶりから夫を思う芯の強さの演技。
なかなか合うキャラクターに出会えない彼女であるが、今回のはなかなか良かったのではないかと思う。

それから、博多座で観る芝居は、ファンサービスという面ではいつもながら満足。

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