嘘つき鉄心『IRON HEART』 公演情報 福岡演劇博多衆「嘘つき鉄心『IRON HEART』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    観客席に空きが多かった。
    一見江戸風の世界、しかし、着物にブーツ、喋り言葉も今風で、パラレルワールドとか、「もしも今も江戸時代が続いてたら」のような感じ。
    しかし、作品紹介にも「時代劇ファンタジー活劇」と銘打っているが、そのどれもが中途半端だった。


    時代劇という割には、「お世継ぎ」のような言葉は使うのに、「いくさ」とは言わず「戦争」と言う。
    (隠居の)尼僧(名前等失念)が「大老」をしている…。しかも、幕府ではなく地方のお城らしい。
    おかしな設定ばかりだが、これをファンタジーで逃げていいとは思えない。


    ファンジーにはファンタジーなりの世界設定がきちんとあって、そこには我々の住む世界とは違うルールがある、というだけで、好き勝手にしていいという意味ではない。



    地方演劇を見るときに、(ファンタジーなどの架空世界に限らず)そこに生きる人々の背景を観客に感じさせるような作品に、全くと言っていいほど当たらない。
    登場人物がある言葉を喋るのは、その人物のそれまでの人生、文化背景が積み重ねられた上に発せられた言葉であるはずなのだ。
    それをしてないのは脚本家・演出家の努力不足としかいいようがない。


    おかしな言葉づかいも多かったが、作者が作品世界の背景をしっかり作っていれば、観客はその中に入り込むことができ、違和感を感じることもなかっただろう。


    また、役者の演技、殺陣、共にひどかった。
    型通りの演技というのはもちろんあるし、この作品はそちらに属する方の作品だろうとは思うが、型通りと下手は全く違うものだ。
    出演していた役者さんたちは、自分たちの所属している劇団などにいるときにもこれ程ひどい演技をするのだろうかと疑問に思ったほどだった。
    誰ひとり、そこで生きているのだと感じさせるような人間がいない。
    とにかく間がなく、せりふをしゃべっているだけ。
    かと思えば、笑いどころのつもりのセリフで妙に間を置いたりする。
    姫の密偵をやっていたお付き役の方が、美人顔とブス声の落差で笑わせていたくらいで、あとはほとんど笑いが取れていなかった。


    殺陣に関しては、やはり経験のない人間がやるのは大変なので見方が厳しいかとも思うが、上手い人と下手に人の落差が目立つことと、舞台で魅せる殺陣を作っていないのでは褒められない。
    舞台にはアップもカット割りもないのだから当然そのための工夫がなければ観客は退屈してしまう。


    殺陣ついでに、殺陣のシーンの音響のズレはひどすぎた。
    これは技術と慣れの問題だから、残り2公演で改善されているとよいが。


    それから、設定その他が過去に見たようなものばかりだった。
    パクリと言うと言い過ぎだが、安易すぎるとは言えるだろう。

    例えば、鉄心と鈴の設定は『鋼の錬金術師』そのままだし、最初のシーンのカラクリの起動音はガンダムそのまま。ほかにもアニメのセリフが散見された。

    クライマックスの回り舞台の立ち回りは新橋演舞場で観た『魔界転生』そっくりだった。
    もちろんこれは『魔界転生』がオリジナルとはいえないしよくある演出、とも言えるわけだが、逆を言えば、よくあるどこかで見たような演出しかなされてないということだ。


    いろんな団体から人が集まり、練習時間も限られていただろうとは思うが、そこに逃げないでほしいと思う。


    星は1つにするか2つにするかで悩みました。

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    2010/12/19 00:52

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