満足度★★
大きな経験
多少説明が足りない部分があるのでは?と思うが、よくある話の集合体をうまく組み合わせてストーリーが構成されていて気軽に見れた。
話が分かり易い分、役者の演技を見ていて「そうなるの?」と思わせられる点が多く、役者が台本を理解していないのが伝わってきた。
役者に理解させられなかった演出の責任は大きい。
集まっている団体や役者が若いメンバーばかりなのは、今回の作演をやっている「えのき岳遊劇隊」の作風が10代から20代前半に好んで受け入れられるもの作りをしている為、それを理解できるメンバーを集めたからだと思うが、それが伝わりきれていないのでは、行き届いていないとしか言えない。
安易に設定がどうとかいうのではなく、その設定を凌駕する演じ方をしなければ作品とは言えなくなってしまう。
どうみても役者のレベルは低い。集まった役者のレベルが低いのが判っていながら、何も手を打てなかったのではないだろうか?
演出が助演を含め3人いたようだが、それぞれ役割があったようだし、出演者が多いとはいえ負担は少なかった筈だ。
殺陣に関してもこの作品にあんなに必要だったのかが疑わしい。
小さなライブハウスでやっているバンドが集まって福岡ドームで演奏した様なイベント的なものだったのだろう。
しかし「博多座だからやってみたかった」だけでは駄目だと思う。
ただ他の客の反応は良く、帰りに「楽しかった」「面白かった」という声は多く聞かれた。やはりその多くが学生や制服を着た高校生達の様だったので、狙いの層には作品そのものの良さは伝わっていたのだろう。
作品に対しては好き嫌いや、理解力に個人差がある為、楽しんだ人たちの気持ちに水を差すような真似はしたくないので控えるが、その楽しんだ人達が今後も楽しんで行けるようにする為にも、それ以外の層でも楽しめる様なきちんとした技術や手法を学ぶ必要がある。
今回、このレベルの集まりでありながらも博多座で最後までやりとおした事は素直に賛辞したい。投げ出さずにやりきった所を見ると全力でやったんだろうなというエネルギーは感じられた。
博多座を経験したことは大きな分岐点になると思われる。
今回参加していた各団体・役者がこの経験をどう活かすのか?本当に全力を尽くしていたのか?それぞれの次の公演で明らかになるだろう。
そういった意味で次回に期待したい。
やる意義はあったと思う
正直言って心配していた公演ではあったのだが
厳しい条件の元でいい舞台をつくりあげたのではないかと思った。
私が時代物は苦手ということもあったけど、それでもたぶん若い人たちに
受け入れやすい形態になっていたのではないだろうかと思った。
話も悪くはなかったのだがこれだけの内容を盛り込むには時間が
短すぎたようだ。きらりと光る役者さんはたくさんめっけたw
いったい何がしたかったのか…
正直、あまり期待はしていなかったがここまでひどいとは思わなかった。
今回の芝居の主軸劇団「劇団えのき岳遊劇隊」の芝居は10年ほど
見させてもらっているが、年々面白くなくなってきている。
今回はその集大成を見せられた気分だ。
自分たちの劇団の目標であった博多座にチャレンジするのは結構だが、
自己満足に付き合わされる他劇団やスタッフ、そして我々観客はたまらない。
満足度★
観客席に空きが多かった。
一見江戸風の世界、しかし、着物にブーツ、喋り言葉も今風で、パラレルワールドとか、「もしも今も江戸時代が続いてたら」のような感じ。
しかし、作品紹介にも「時代劇ファンタジー活劇」と銘打っているが、そのどれもが中途半端だった。
時代劇という割には、「お世継ぎ」のような言葉は使うのに、「いくさ」とは言わず「戦争」と言う。
(隠居の)尼僧(名前等失念)が「大老」をしている…。しかも、幕府ではなく地方のお城らしい。
おかしな設定ばかりだが、これをファンタジーで逃げていいとは思えない。
ファンジーにはファンタジーなりの世界設定がきちんとあって、そこには我々の住む世界とは違うルールがある、というだけで、好き勝手にしていいという意味ではない。
地方演劇を見るときに、(ファンタジーなどの架空世界に限らず)そこに生きる人々の背景を観客に感じさせるような作品に、全くと言っていいほど当たらない。
登場人物がある言葉を喋るのは、その人物のそれまでの人生、文化背景が積み重ねられた上に発せられた言葉であるはずなのだ。
それをしてないのは脚本家・演出家の努力不足としかいいようがない。
おかしな言葉づかいも多かったが、作者が作品世界の背景をしっかり作っていれば、観客はその中に入り込むことができ、違和感を感じることもなかっただろう。
また、役者の演技、殺陣、共にひどかった。
型通りの演技というのはもちろんあるし、この作品はそちらに属する方の作品だろうとは思うが、型通りと下手は全く違うものだ。
出演していた役者さんたちは、自分たちの所属している劇団などにいるときにもこれ程ひどい演技をするのだろうかと疑問に思ったほどだった。
誰ひとり、そこで生きているのだと感じさせるような人間がいない。
とにかく間がなく、せりふをしゃべっているだけ。
かと思えば、笑いどころのつもりのセリフで妙に間を置いたりする。
姫の密偵をやっていたお付き役の方が、美人顔とブス声の落差で笑わせていたくらいで、あとはほとんど笑いが取れていなかった。
殺陣に関しては、やはり経験のない人間がやるのは大変なので見方が厳しいかとも思うが、上手い人と下手に人の落差が目立つことと、舞台で魅せる殺陣を作っていないのでは褒められない。
舞台にはアップもカット割りもないのだから当然そのための工夫がなければ観客は退屈してしまう。
殺陣ついでに、殺陣のシーンの音響のズレはひどすぎた。
これは技術と慣れの問題だから、残り2公演で改善されているとよいが。
それから、設定その他が過去に見たようなものばかりだった。
パクリと言うと言い過ぎだが、安易すぎるとは言えるだろう。
例えば、鉄心と鈴の設定は『鋼の錬金術師』そのままだし、最初のシーンのカラクリの起動音はガンダムそのまま。ほかにもアニメのセリフが散見された。
クライマックスの回り舞台の立ち回りは新橋演舞場で観た『魔界転生』そっくりだった。
もちろんこれは『魔界転生』がオリジナルとはいえないしよくある演出、とも言えるわけだが、逆を言えば、よくあるどこかで見たような演出しかなされてないということだ。
いろんな団体から人が集まり、練習時間も限られていただろうとは思うが、そこに逃げないでほしいと思う。
星は1つにするか2つにするかで悩みました。