しのぶの観てきた!クチコミ一覧

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『だけど涙が出ちゃう』

『だけど涙が出ちゃう』

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/01/23 (木) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

『どんとゆけ』との二本立て公演。

ネタバレBOX

 死刑員制度という架空の制度が施行されている日本。舞台は青森の民家。約15年の刑期を終えた元外科医が、被害者遺族によって死刑に処されることに。

 余命わずかで尊厳死(または安楽死)を希望した患者たちは皆、そのイケメン外科医の恋人だったらしい。彼女たちが本当に死を望んだのか、外科医が実験をしたかっただけなのか、真相はわからない。

 死刑実施の現場で、関係者が絞首刑や薬物刑を実際に行えるという設定がやはり秀逸。死刑を当事者として体感できる。

 被害者の夫が「病人の死期は神様にしかわからない」と主張しながら、裁判で死刑執行日が決まることは受け入れる矛盾。人間の生命を他人が握ることへの違和感、殺人を忌避する気持ちは大事にしたい。自分で自分の命を閉じることについても。

 女子高校生のしの役(三津谷友香)がよかった。
京河原町四条上ル近江屋二階 ー夢、幕末青年の。

京河原町四条上ル近江屋二階 ー夢、幕末青年の。

Pカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

80代の劇作家・演出家である福田善之さんの新作。着物姿の約30名もの俳優が、高さのある舞台装置上を駆け回る。坂本龍馬暗殺事件を描く骨太の時代劇に、エレキギターやドラムの現代音楽の生演奏を合わせる。

ネタバレBOX

劇を外側から眺めて解説する案内役がいたり、死後の竜馬をコミカルに描いたり。明るく派手に盛り上げる演劇的趣向が印象に残る。「ええじゃないか」踊りの暗い熱狂は現代日本の風刺として有効だったと思う。
八つ墓村【公演中止(02/28(金) ~ 03/03 (火) )】

八つ墓村【公演中止(02/28(金) ~ 03/03 (火) )】

松竹

新橋演舞場(東京都)

2020/02/16 (日) ~ 2020/03/03 (火)公演終了

家族で観劇して楽しかった~♪横溝正史のホラー風味の昭和ミステリーは新派にとって宝の鉱脈だったのかも…とどなたかが書いてらした記憶あり(根拠薄弱)。華美、仰々しさも豪勢な装置も、いかにももの悲しくて感傷的な音楽(映画の劇伴?)も、女形と女優が同じ舞台に立つ新派の自由さに合ってる気がする。

ネタバレBOX

双子の老姉妹役の水谷八重子さんと波乃久里子さんが、二人そろって舞台奥から登場する場面で超~ウキウキした。

犯人はよそ者の女性(河合雪之丞)。彼女の両親は30人殺傷事件の被害者だった。鍾乳洞の埋蔵金(銀)で示談金を受け取って押し黙ってきた村民たちを糾弾する。彼女に「怒らなければいけない。殺人者に、それを隠した地主一家に、国に」「戦争のせいで酷い目にあったのだから」と言わせる台本がいい。

帰還兵でPTSDに苦しむ要蔵(喜多村緑郎)の30人殺傷の現場は、歌舞伎の様式美で見せる。
鍾乳洞の装置移動は大掛かりな上に暗闇なので大変そう。装置も衣装も贅沢で高いチケット代に納得。
雪之丞さんの着物が素敵。河合宥季さんの女形もいつもながら決まっていて美しい。座敷牢の場面は緑郎さんと女形との絡みなのがよかった。

場面転換と会話が私にとってはスローペースすぎる場面が少なくなかった。何度か眠くなってしまった。
人類史

人類史

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2020/10/23 (金) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

身体表現で百万年単位の人類の進化を描いた第一幕が楽しかった(振付:エラ・ホチルド)。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/10/31/16933/

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2020/03/17 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

岸田國士戯曲の2本立て公演。

ネタバレBOX

『歳月』は初めて拝見。女性が着替える着物、洋服がおしゃれ(過ぎ?)。物語は面白いが、演技は全体的に硬い印象。女中役が良かった。

『動員挿話』は何度か拝見している戯曲。戯曲にはない要素を付加して、それらを目立たせる演出の方向性が自分には合わなかった。

障子やふすまの枠を組んだ抽象美術で、格子のあいだに紙がないから透け感がある。
HOMO

HOMO

OrganWorks

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」から着想を得たというダンス作品。異なる種が交わり新たな種が誕生。生命爆発。約1時間経過したあたりの群舞に引き込まれた。上手奥の床で黒いコートを被って仰向けに寝る男性は死体?死神?などと想像。

ネタバレBOX

左右にスライドして稼働する、床から天井まで届く細長い真っ赤なパネル以外には、大がかりな装置はなし。150cm~250cmぐらいの高さの針金製っぽく見えるオブジェが、10~20個ぐらいほど舞台奥側にばらばらと並んでいた。揺れるオブジェをさまざまに見立てられた。
大地【6/20から初日延期】

大地【6/20から初日延期】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/07/01 (水) ~ 2020/08/08 (土)公演終了

(Social Distancing Version)と名付けられたとおり、出演者らが近づきすぎない工夫が凝らされた演出だった。有名俳優の個性や持ち味を生かす人物像、背景、出番が用意されていて、ドタバタ喜劇のように声を出して笑える場面も多い。とはいえ設定はシリアスで、苦みも残る物語だった。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/07/13/16155/

炎の人【公演中止(02/28~ 02/29)】

炎の人【公演中止(02/28~ 02/29)】

劇団文化座

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

三好十郎の1951年初演戯曲。老若男女の出演者がそろう老舗劇団ならではの贅沢な公演で、演出は鵜山仁さん。

絵画のキャンバスのようなパネルを組み立てていく舞台美術で、教会、アトリエ、画廊、ゴッホがゴーギャンと暮らした家などに場面転換する。19世紀半ばのヨーロッパの時代背景がわかる、具象の衣装とヘアメイクも凝っている。戯曲の世界観を丹念に立ち上げる群像劇になっていた。

ネタバレBOX

昨年の『アニマの海』でも特に印象に残っていた、ゴッホ役の藤原章寛さんが素晴らしかった。しばしば「狂気」と称されるゴッホの激しさが、一人の人間のありようとして受け入れられた。舞台上に誰もおらず、藤原さんの独白音声のみが流れる場面でも、ゴッホの心境の変化がありありと伝わった。娼婦シィヌ役の小川沙織さんもむき出しの純粋さに説得力があり、魅力的だった。

死んだゴッホに贈る長い独白は、おそらく三好十郎自身の言葉。出演者がかわるがわる、一部分ずつ分担して語っていくラストは私好みではなかった。祝祭劇にしなくてもよかったのでは。
天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

東宝

日生劇場(東京都)

2020/02/08 (土) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

豪華キャストによる沙翁尽くしの音楽劇。格子戸をはめ込んだ対になる2つの可動式装置で軽やかに場面展開。出演者と客席が近いライブの贅沢。音楽も明るく楽しい。特に「賭場の場のボサノバ♪」が好み。藤井俊太郎演出からは、井上ひさし戯曲の言葉を伝えようという強い意志が感じ取れた。歌詞の字幕もありがたい。メインキャストばかりを目立たせるのではなく、出演者一人ひとりを輝かせる群像劇になっていたことにも好感。

ネタバレBOX

シェイクスピアだからエロ多めなのは仕方ないけど、私個人としてはちょっとしんどかった。この作品を観るのは4度目だけど、毎度、そこは苦手。
どさくさ

どさくさ

劇団あはひ

本多劇場(東京都)

2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

落語「粗忽長屋」をもとにした創作演劇。

ネタバレBOX

本多劇場ほどの舞台の大きさが必要とは思えず。俳優の演技が退屈で中盤は集中できなかったが、最後にはうっとりと見とれて舞台に吸い込まれるような時間をくれた。
彼らもまた、わが息子

彼らもまた、わが息子

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2020/02/07 (金) ~ 2020/02/15 (土)公演終了

NTLive版と比較して楽しむことができました。

私が拝見したのは初日で、出演者のなかでは竪山隼太さんと佐藤玲さんがよかったです。

ネタバレBOX

死者が生者を見つめる演出は『わが町』からかしら。地下、牢獄という重要なキーワードがあまり想像できないのは残念でした。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/02/07/17114/
ナイロンのライオン

ナイロンのライオン

文化庁・日本劇団協議会

劇場HOPE(東京都)

2020/01/26 (日) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

令和キャスト版を拝見。

ネタバレBOX

 女性用下着製作販売の先駆者となる女性企業家をワコール社長と対比。犬猫含む多数の役を次々に演じ分けるのが賑やかで楽しい。

 暗転や大道具の転換で中断するのが残念だなと感じていたけれど、この戯曲はもっと大きな劇場向けなのではという意見を聞き納得。戦後の大河ドラマなのかも。

 出演者は関西弁に奮闘。主役の高畑こと美さんが素晴らしい。好敵手の経営者役の阿岐之将一さんもピタリとはまっていた。
エブリ・ブリリアント・シング 【高知公演中止(2月29日(土)・3月 1日(日))】

エブリ・ブリリアント・シング 【高知公演中止(2月29日(土)・3月 1日(日))】

東京芸術劇場/新潟市民芸術文化会館

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2020/01/25 (土) ~ 2020/02/05 (水)公演終了

2013年の英国初演以来、各国で上演されている一人芝居。小さな幸せが次々に生まれ、劇場にいる誰もがステキに見えてくる!参加型演劇の理想型かも♪すごくスリリングで、愛がいっぱいで、幸せな時間になりました。70代の母も絶賛。
稽古場レポート:http://shinobutakano.com/2020/01/24/14940/
メルマガ号外:http://shinobutakano.com/2020/01/29/15004/

からゆきさん

からゆきさん

劇団青年座

本多劇場(東京都)

2020/01/16 (木) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

1977年初演の宮本研作『からゆきさん』は青年座の財産演目。新キャスト版の再演を拝見。日露戦争前夜のシンガポールの娼館で、たくましく生きる日本人女郎たちの大河ドラマ。娼館主人の妻役の安藤瞳さんの演技が素晴らしかった。

共演者

共演者

2223project

小劇場 楽園(東京都)

2020/01/09 (木) ~ 2020/01/15 (水)公演終了

小劇場演劇あるあるのバックステージものに収まらない加害と赦しの会話劇。約1時間半で事件と顛末がみっちり描かれ説得力あり。基本路線は喜劇で終盤は入り込めた。

ネタバレBOX

舞台監督がミス連発する原因が「初めてできた彼氏も自分も性欲が強くて寝不足」だった。
NIPPON・CHA!CHA!CHA!

NIPPON・CHA!CHA!CHA!

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

演劇版は戯曲に忠実で意外でした。音楽が苦手で、作品全体の意図がよくわかりませんでした。ダンス編も音楽が苦手でしたね…感傷的というか“乙女チック”というか…全体的に私の好みではなかったです。

「明日の幸福」「神田祭」

「明日の幸福」「神田祭」

松竹

三越劇場(東京都)

2020/01/02 (木) ~ 2020/01/20 (月)公演終了

2020年の観劇初め。

ネタバレBOX

『明日の幸福』
大旦那の命の次に大事な埴輪の馬の脚が折れた。隠そうと必死になる女たち。実は1ヶ月前に嫁が、2ヶ月前に姑が、1年前に大姑が割っていた。

着替えもできない、風呂にも入れない、食事もできない。ないない尽くしのくせに威張り散らす男ども…。終盤に飛び出す女たちの本音がすがすがしい。

「47年間、私自身だと思ったことはない」
「これでも青踏社の新しい女だったんです」
「校長先生を論破した女学生時代があった」

家庭裁判所の場面との切り替えはもっとスピーディーにしてもらいたい。暗転は不要ではないかと思う。

『神田祭』
新春にふさわしい演目。美しかった。
是でいいのだ

是でいいのだ

小田尚稔の演劇

SCOOL(東京都)

2020/03/11 (水) ~ 2020/03/15 (日)公演終了

主に若者の一人語りで構成された現代口語劇。3.11に観るのにふさわしいお芝居だったかも。上演時間は約2時間15分、5分休憩込み。受付に消毒液があり、マスクも配布。途中休憩で換気。終演後のトークはドア開け放し。座席間にも余裕あり。

ネタバレBOX

若い男性の幼さ、甘えを肯定し、許容する物語なのが不思議だった。ちょうど観たばかりの、らまのだ『優しい顔ぶれ』でも感じたこと。

手に持った懐中電灯でミラーボールを照らす照明効果は、優しい手作り感も付加されて好きだった。壁に映写する夜の星座も可愛らしかった。

初日終演後はSCOOL共同プロデューサーで小説家の佐々木敦さんと、作・演出・主宰の小田尚稔さんのトーク。東日本大震災の当日を描いた『是でいいのだ』はこれが4演目とのこと。帰宅困難者が最後に三鷹にたどり居つくので、SCOOLで上演しているそう。勝手ながら小田さんは真面目で、愚直で、繊細な、とてもいい人なのだろうと思った。
優しい顔ぶれ

優しい顔ぶれ

らまのだ

OFF OFFシアター(東京都)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/11 (水)公演終了

現代口語劇3本オムニバス。約2時間15分休憩なし。アルコール消毒液ありマスク必須で間引き客席&役者面会なし。ウイルス対応を徹底。「CoRich舞台芸術まつり!2020春」への応募に感謝。

ネタバレBOX

男性登場人物が超ダメ人間ばかり。男性が女性に頼りっきりで女性もそれを受け入れているのが不思議だった。

個人的にカーテンコールも観客と作り手のコミュニケーションだと思っている。観客の反応が特にくっきりする時間。今作のようなお芝居ではカーテンコールはあった方がよかったんじゃないかなと思った。ポツドールのような作風ではないのだし。
ゆうめいの座標軸

ゆうめいの座標軸

ゆうめい

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了

「弟兄(おととい)」約80分強。余計な取り繕いのない素直な演技の応酬で、ヒリヒリとした臨場感あり。イライラはらはらグサグサ来て、ラストにじ〜ん♪ いいものを見せていただき感謝。ダブルコールになりそうだった。俳優さん、次回からはぜひ準備を!ロビーで今回のバージョンの台本購入(千円)。緊急ウイルス対策に些少ながら寄付。終演後の役者面会もなし。徹底されている印象。

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