満足度★★★★★
熱い!
色々ありましたが、酒井たち、部活辞めないってよってことのようでした。
ネタバレBOX
来春統合することが決まっている甲南台高校を相手に県の決勝戦で負けた九州学院高校のハンドボール部員たちの話。
一年でも学年が違えば偉そうにする先輩、登場はしませんでしたがすぐビンタを食らわす監督をしている先生の存在、こういう体育会系の体質が窺え嫌だなと思いましたが、次第にみんなが本音を出し、甲南台のエースも巻き込んで青春青春しました。
イライラしてベンチを放り投げたり、ごちゃごちゃしたところで喧嘩して転げまわったり、ボールをぶつける制裁をしたりと、狭いスペースでよくもまあできるものだと感心しきり、見応えありました。
ハンドボール部の統合を前にして自分たちの自信の無さから来る鬱屈した気持ちが爆発したものですが、統合後レギュラーになれるかなれないかは別にして、自分たちの長所や短所を自覚して部活を続けようと決意したようでした。
熱く、面白く、春風舎では珍しいと思うのですが、舞台挨拶後の拍手が止まず、カーテンコールがありました。
満足度★★
ライブを聴きに来たんじゃない
韓国人演奏家たちのノリノリの演奏に、ちょっと勘違いしているんじゃないかと嫌な気分になりました。
ネタバレBOX
何て読むのかなと思っていましたが、しゅうげんでした。祝言に地震による亀裂が入ったということを表しているようです。
日中韓の共同企画ということですが、中国の存在感は希薄だったので日韓に絞ってみます。日本人と韓国人が仲良くなるための企画と考えて、韓国人役者の他に韓国の民族楽器を奏でる演奏家たちを呼んだのでしょうが、そして彼らに花を持たせようとしたのでしょうが、舞踏が終わり、役者たちによる舞台挨拶が終わった後のノリノリのジャムセッション風演奏は果たして必要だったのでしょうか。
舞台進行中は、感情表現豊かな現代風韓国民族音楽の演奏に、言わば泣き女的存在と好意的に見ていましたが、このノリノリにはさすがに引きました。
日本の津軽三味線とピアノまで加わって一緒に馬鹿騒ぎして、なんてことだと思いました。
鎮魂のお芝居であるべきはずなのに、ライブを聴きに来たわけじゃないと言いたくなりました。あんなノリノリで楽しそうに延々と演奏を続ける彼らを目の当たりにすると、地震のときに日本おめでとうと言った心無い韓国人のことが思い起こされ嫌な気分になりました。
話自体も、祝言に集まった人々は津波で亡くなったようですが、ホテル側は避難誘導を一切しなかったのでしょうか、不思議です。トランクに乗っかったり落ちたりするシーンがありましたが、まさか、いくら未経験で無知な人でもトランクに乗っていれば津波から助かると思っていたわけではないでしょうね。津波が来たら一瞬のことですから、そもそも乗ったり落ちたりなんてあり得ないことで実に馬鹿げたシーンでした。
満足度★★★★★
素晴らしい!!!
時代時代の女子大生の姿を垣間見る小旅行、素晴らしかったです。
ネタバレBOX
4年生ツアーガイドの案内で、学習院女子大学互敬会館を3階、2階、1階と巡りました。
『こうしてワタシは完全になる - 1969年 ある女子大生が書いた日記より-』作・演出 小池竹見(双数姉妹) 原作 高野悦子『二十歳の原点』
学生運動と恋愛に挫折して自殺した女子大生の話。弟が姉の自殺の原因を探ろうと日記を分析して当時の数日間を再現しようと試みるという設定。
観客は全員が男1、女1、女2、女3のシナリオを手渡され、主人公カツコたちの台詞に合わせて共演しました。とても珍しい経験でした。お経のようにボソボソ読んでもいいとのことでしたが、むしろその方が全体に、床一面にジワーっと染み渡るようで一体感がありました。
ところで、「きんげんだいし」という何か弘法大師の親戚かなと思えるような台詞が一ヶ所ありました。「げ」が鼻濁音だったためにそう聞こえたのですが、本当は近現代史のことでした。この言葉は近代史と現代史を一纏めに言うときの略した言い回しなので、「きん、げんだいし」と、きんとげんの間にワンクッション置くような息遣いで、「げ」は濁音で読むのが正しかろうと思いました。
『放課後 女子学生1920』 作・古川健(劇団チョコレートケーキ) 演出・倉迫康史(Ort-d.d)
それぞれ憧れの先輩に手紙を書こうとするスズちゃんとチーちゃんのために、シズちゃんとフーちゃんも加わってみんなで作戦を練る仲良し4人組の話。
いかにも昔の女学生らしい疑似恋愛を楽しむ世界でしたが、女性の地位向上のために社会を変えていかなければと思いながらも、卒業すれば親の言う通りに結婚していくそんな時代の束の間の自由な時間だったのですね。
テーブルに置かれた葬送儀礼用の造花のような白いオブジェと、色が落ちて白くまだらになったような衣裳が、彼女たちが今は存在していないことを暗示していました。
1920年の女子学生ですから、そりゃ今は全員亡くなっているでしょう。それにしても、一番頭が良くて女子高等師範学校に進学させてもらえるか悩んでいたフーちゃんが夢が叶ったと思ったら関東大震災で死んじゃったなんて、3年後だよ、悲し過ぎます。チーちゃんも空襲で死んだって、がさつなスズちゃんも戦争で夫と息子を亡くしたって、ずるいよ、泣かせ過ぎだよー。
『40 歳の女子大生 - 女子学生2020-』作・演出 横田修(タテヨコ企画)
学食に集ってだべっている学生たちを隣のテーブルで何とはなしに見聞きする感じ。
就職が決まったり、家庭の事情で中退する決心をしたり、インチキ宗教にはまりこんだ男と別れようと考えていたり、女子大生としての合コンがやりたくて40歳にして学生になったり、普通の光景が展開されます。どこがー。
最後は、4年生ツアーガイドが100年間の女子大生の姿を振り返り、女子大生ブランドが無くなる一抹の寂しさを漂わせながら卒業後の抱負を語って終了しました。この人もまた女子大生100年日記の一人なんですね。今後の人生、幸多かれと願いました。
満足度★★★
熱演
今回は失望感はありませんでした。
ネタバレBOX
前回の『Waiting』を観ていたので、パントマイムと言うよりはダンスパフォーマンスに近いことは知っていました。そのため今回はさほど失望感はありませんでした。
それでも、パントマイムらしい壁をペタペタしたりするのも意外と感動するのでやって欲しかったです。カバンを宙に浮かせて止める唯一パントマイムらしい見せ場では相変わらずブレていて進歩が感じられませんでした。
一人でこけたりして、その後で全員が出てきて、あのシーンは実は誰かに足を引っ掛けられていたんだと、答え合わせみたいなことをするパフォーマンスも、『真夜中の弥次さん喜多さん』のようで、しかも弥次喜多ほど複雑ではありませんでした。
めちゃくちゃ語も、何か中国語か韓国語のようなイントネーションになっていて、無国籍の雰囲気は感じられませんでした。めちゃくちゃ語は必要なのでしょうか。むしろ、沈黙を通した方がいいのではないかと思います。
マイム集団を標榜するならばパントマイムを見せてくれよって感じです。
満足度★★★
なんだか
あやまん監督初見、外で頑張らないといけない鹿殺しの傳田うにさんが頑張っていたのが良かったです。
ネタバレBOX
依存症患者の更生施設の話と、その施設を開設した小平という男の話。
患者たちがグループで話し合ったりするシーンは面白かったですが、施設に熱心であればあるほど小平所長の家庭が崩壊していく様は物悲しくはありましたが、何かつまらなかったです。
新たに来た自慢依存症の男と、小平が施設を作るきっかけになった薬物依存症患者の自殺との関連付けは良く分かりませんでした。
満足度★★★★
【蒼井翔太、植田圭輔、末原拓馬、及川健の回】観劇
イケメンによる女性ファン向けファンタジー。
ネタバレBOX
影に魅入られた、と言うか、月の光でできた自分の影と語り合うようになっちゃたのかな、そんなK君が溺死したのは恐らく自殺ではなく、例えば影を追ったり追われたりしながら影と語り合っているうちに波にさらわれたのではないだろうかと推察する僕がK君の思い出を語り、その時の状況を想像する話。
当日パンフレットに役名として、僕、K、影法師、主人公、…とあり、いったい誰が主人公なのかと不思議に思いましたが、そこにあった主人公とは猫の名前でした。
圧倒的に影法師の存在が大きく、真の主役は影法師でした。そして、おぼんろで経験を積み、技量を磨き、修羅場もくぐって来たのでしょう、末原拓馬さんのパフォーマンスは他を圧倒していました。
イケメンたちによる女性ファン向けの他流試合で大成功を収め、これで認知度が上がれば彼のシアターコクーンへの道も一歩近づくのかなと思いました。
満足度★★★★★
日常と非日常の混在
先日観た青年団『もう風も吹かない』(作・演出:平田オリザ)と同様、全くのSFでもなく、なさそうでありそうな特殊な環境下における人々の日常と非日常を見ることは、脳に心地良い刺激を与えてくれます。
ネタバレBOX
ヨーロッパの戦争でフェルメールの作品などが避難してきている美術館での群像劇。
私たち観客は美術館のホールを定点観測していることになり、そこには様々な人が往来します。平和維持活動に出掛ける決心をした若者がいたり、反戦運動をして挫折した過去を持つ人がいたりと、世界情勢を反映したちょっと不思議な日常があります。
施設内のレストランに食事会で集まった秋山家のきょうだいたちにも、親の世話のことや戦争特需で会社が儲かっているというような日常の話題が出る一方で、次男の離婚話という非日常的な出来事も表面化してきます。
フェルメールと同様、普段明るいところしか見ないという言葉が印象的でした。
何があっても腹は減る、このような日常と非日常の混在は大好きですが、きな臭い今、逆に日本の美術品がヨーロッパへ疎開する事態が起きないことを願います。
ところで、平田オリザさんが日常に非日常を取り入れるときの特徴の一つに、妊娠というキーワードがあるということを以前どこかで聞いたような気がするのですが、女子大生が高校時代の家庭教師の男に対して、あの後妊娠したのと嘘をつくシーンがあり、ああこのことかと思いました。
男のうろたえ方は半端ではなく、男にとっての非日常、もしかしたら一生続くことになるかもしれない恐怖の非日常は正にこれだと思いました。嘘と知ってほっとして体裁を整えながら日常に戻る姿は滑稽でした。
満足度★★★★
『ピクニック』・『罠』の回
アフタートークで興味深い話を聞きました。
ネタバレBOX
『ピクニック』( キム・ヒョンジョン作 金世一翻訳・演出)
母親の認知症が始まりだした頃に母親と娘と孫の三人でピクニックに行き、子供を母親に任せた間に子供が海に転落して死んだ過去を持つ母娘の日常。
部屋を汚物で汚し、汚い言葉で娘を罵りながら、一方で海に真っ逆さまに落ちたことを母体回帰と捉え、もうすぐ娘の体内から生まれてくると思い込み、編み物に勤しむ母親の言動は、娘として心身ともに苦痛だろうと思います。ビニールシートがリアルでした。
『罠』 (ホ・ジンウォン作 金世一翻訳 鈴木アツト演出)
昨日売ったカメラの交換のことで粘着質の客ともめたカメラ店の話。
ゴネ得韓国人の話かと思っていましたが、白いカメラを買ったつもりが黒いカメラだったということで当初の客の申し出は正当でした。いくら変な客でもそのくらいさっさと言えよって感じです。
カウンターをぐるぐる移動させながら、客と店員、店長、途中からは警官も加わっての見せ位置を変える演出は、スピード感と力学が感じられ良かったと思います。
相手の揚げ足を取って、立場が二転三転するところが絶妙でしたが、終わり方は中途半端でした。
アフタートークでの、韓国では新聞社の主催するコンクールで賞を取らないと、いつまで経っても小説家や脚本家の卵扱いをされるというキム・ヒョンジョンさんの話は興味深かったです。
彼女は、『ピクニック』で現在と過去を演じ分けていることをお客さんが理解できるだろうかと心配していたのも印象的でした。もちろん演出は彼女ではなく金世一さんなのですが、過去のときの衣裳が白一色だったのは現在と過去とをことさら区別しようとした現れだったのかと思い至りました。
今の日本ではそんなことを気にするような人はいませんが、お客様の一人から、日本でも昔は過去を演じる前に10分間の休憩を取っていたという話があって、昔はそこまで説明的だったのかと驚かされました。
日本語に訳すとバカヤローなどとしかならないのですが、韓国語には悪口が数多くあって翻訳者泣かせだという金世一さんの話も面白かったです。で、『ピクニック』では、母親の使う様々な悪口が評判になったとのことでしたが、それも大きいんじゃないのという気もしました。
満足度★★★★
ゆる
バカバカしさ健在。
ネタバレBOX
基準から少し外れた行動を無表情で淡々と、ゆるーく、時々ミュージカルにもなったりして楽しかったです。
せっかく大金を手に入れた二日だけの夫が、反省してだか自殺するのはもったいない気もしましたが、ナンセンスなのですから仕方ありません。逆探知のフリをする刑事など、バカバカしさも健在でした。
妹が人前で恋人のカニと戯れるときの、まあこの子ったらとか言って照れるお姉さんの反応が好きでした。
満足度★★★★★
コユイ
小玉久仁子さんの魅力が完璧に活かされていました。
月刊小玉久仁子11月号「かっこEダンス」もあってお得感いっぱい。
ネタバレBOX
天才高校とは、天才が集まってくる高校ではなく、入学時に各人にテーマが与えられ、それぞれが三年間でそのテーマの天才を目指すというシステムを有する高校で、話は、生徒会と番長グループの抗争を収拾しに来た高校生刑事が、抗争の混乱に乗じて廃校のショックを紛らわそうとした校長の陰謀を暴くといった内容というか、一つ一つの濃いシーンを楽しむのが正解というものでした。
濃い中にいると埋没することなく、個性が何倍にも増幅されるのが小玉久仁子さんです。ですから、同じリリーでも、今回同様現実ではなく空想世界ではあっても、ちょっとしっとり系の『遠ざかるネバーランド』のときのタイガー・リリーは、タイガァァーーの濃さが浮いて聞こえましたが、今回は彼女の魅力を遺憾なく発揮できる登場人物全員が濃い、最高のお膳立てでした。
木は森の中に隠せではないのが小玉さんです。また、水に浮かんだ油のような存在です。これが本来の小玉さんの功罪ですが、しっとりとしたお芝居でしっとりとした彼女を見てみたいとも思います。
生徒たちが解答したドリルの答え合わせのアフタートークがあって、その後で月刊小玉久仁子11月号「かっこEダンス」がありました。ラジオ体操から変化していく不思議な創作ダンス、多才です。ダンスが始まる前に、妹の天才が絶対領域を直していたのが妹っぽくて可愛くて正に天才、素敵でした!
満足度★★★★★
真面目で真摯
2012年3月初演以来二度目の観劇。
議論が真面目で真摯であるだけに、所詮は役所仕事という皮肉さが浮き彫りになりました。
ネタバレBOX
内容はほぼ覚えていた通りでした。
移植を受けるレシピエントが同条件の場合、どちらに移植するかを決定するための市民による審議会が法制化された社会での話。
Aの斎藤ゆりちゃんとBの相川ゆうきくんが対象でしたが、事前にそれぞれの家族によるプレゼンテーションがあり、ゆりちゃんのお姉ちゃんのプレゼンテーションが特に素晴らしかったようです。オリンピック招致のときの滝クリさんたちのこともあって、原稿の推敲と練習が入念に行われたことが推察されました。
徐々に真面目で真摯な議論がなされましたが、所詮は厚生労働省が責任を取らないがための審議会であるという皮肉さは認識しなければなりません。そして、ドナーのお姉ちゃんの反対にあって移植が中止され、少子化が一段と進むという役人の嘆きで終わりました。
ところで、ヤクルト古田選手の名前が出てきて、如何にも昔っぽく、初演は随分古かったのかなと思いましたがなんてことはない2012年、これからも普遍的な話として再演するのであれば古田選手の名前は出さない方が宜しかろうと思いました。
同じようにガストとかジョナサンなどの固有名詞もちょっと面白いのですが、いつまで存続するかも分からず、これらも止めた方が良いと思います。
審議委員1番の会社員はスマホに見えましたが役人はガラ系、これらもスマホで統一した方が今、あるいは近未来を表現できるのではないかと思いました。
満足度★★★★
寓話のよう
戦いには情報分析と戦力が必要です。
ネタバレBOX
高校時代に冴えなかった男タイラーが一発逆転を狙って同窓会を企画したものの、クラスの相関図を見誤っていたために大失敗した話。
高校時代友人付き合いが無かったこともあって、当時人気者だと思っていたエドガーがみんなから無視されていたことや、自分の同類だと思っていたマーチィが実はみんなの人気者だったということを知らなかったのが直接の敗因ですが、中身の無い男が外面だけ着飾っても空回りに終わるのは当然のことでした。
試験で数人が赤点を取った事情や、アメフトの夏合宿暴行事件の真相が明かされる過程は藪の中のようで見応えがありました。
そして、所詮噂は面白い方が人に喜ばれるということで、アメフトでも活躍し司法試験にも受かった真の人気者のマーチィにコテンパンにやられたタイラーでした。
クラスの男子全員制覇のためとはいえ、タイラーがカートと一発できたのは出来過ぎで、とことん惨めな日常に戻るというところで終わらせてくれた方が寓話としては面白かったのではないかと思いました。
満足度★★★
ありきたり
自分ならどんな行動をするだろうかと考えさせられる点だけは良かったです。
ネタバレBOX
自分につきまとうストーカーに夫が刺される直前に出くわし、身動きが取れなくなって何もできず夫はそのまま刺されて死亡。警察にも刺された後で目撃したと話したように、当時も今も自分の行動に悩み、苦しんでいる妻が管理人をしている下宿屋の話。
実際に最近起こった踏切で自殺しようとした老人を助けて亡くなった女性のことを思い浮かべて、そういう場に居合わせたら自分ならどういう行動が取れるだろうかと自問してしまいますから、夫の死に不信感を抱く夫の弟に、警察に話したこととは異なった真実を語ったことは勇気ある行為として認めます。
しかし、良く考えると、夫が刺した後、興奮したストーカーは身動きの取れない妻も刺すのではないかという気もしてきて、そもそもこんなストーリーが成立するのか少し疑問にも思えてきます。
さて、あとは立ち退きを機に下宿人たちが自立していくというありきたりな内容で、『弟帰る』と同じように作者の好きなゲイ疑惑みたいなものも挟み込んでいました。
そして、いつも感じることですが、半音高い喋り方、顔だけ縦皺寄せて深刻振って棒立ちっぽい臭い演技はとても気になりました。
満足度★★★
メルヘンチック
自分にとってのアンダー・ザマクは何だろうって思います。
ネタバレBOX
滑り止めの画材会社にだけ受かって就職したなんかあまりやる気のない若い女性が、中学生の頃の夢多かりし少女時代を思い出し、ちょっと眼の色が変わったというか、それまでモノトーンのようにしか見えていなかった世界が色彩鮮やかな世界に少し見え始めてきたかなという話。
ラスト、床をベリベリと引き剥がすとそこから色鮮やかな床面が出てきました。床には白い大きな模造紙が敷き詰められていました。
アンダー・ザマクとは、世間に疲れた人々よ、膜の下、あるいは幕の下にある輝きを思い出してみようということのようでした。
二日続けての白い紙でした。どちらも効果的ではありましたが、もったいない感があるのと予算が掛かり過ぎるのが難点ですね。
岩井七世さんも主宰の山田由梨さんも可愛いくて素敵でした。
満足度★★★★★
二時間半緩みなし
完璧な構成でした。
ネタバレBOX
民俗学を実践した人、民俗学を実践したかった人、民俗学者の肩書がほしかった人を対比させながら、1935年から1945年頃までを二時間半緩むことなく生き生きと描き切っていました。
宮本常一が農家のおじいさんとただ会話をするだけなのに、どうしてジーンときてしまうのでしょう。宮本の人柄が醸し出すその場のゆったりと和んだ場の雰囲気からくるのでしょうか。かつて私も見たことのある懐かしい日本の原風景が見えたからでしょうか。素晴らしかったです。
東大出をひけらかし、調査員の集めた資料に基いて机の上だけで仕事をしようとした生田と、フィールドワークを中心に生の声を集めて編集した宮本を見るにつけ、学問のあり方を考えさせられました。バランスが大切なのだとは思いますが、方法論というよりも、そもそも二人は調査対象者に対する接し方、尊敬の念の持ち方が違っていました。
渋沢も含め、家庭人としてはとんでもない人、変人でした。
満足度★★★
どうってことはないですが
珍しい体験ではありました。収穫もありました。
ネタバレBOX
ベンヤミンがナチスの迫害を逃れ、ピレネー山脈を越えて逃走しようとしたものの、ビザが下りず国境を越えることができなくて、悲観してホテルでモルヒネを飲むあたりから死ぬまでの30分の話。答えは当日パンフレットに書かれてあります。
一応、ナレーションに導かれながら舞台上を動き回るので、作者の意図に従うことにはなります。暗闇に潜む者たちはぐるぐる回って歌うなどとモニターに文字が出ると、私もぐるぐる回らないといけないかなと思いましたが、躊躇してできませんでした。
3個のヘッドホンがありましたが、一つが約5分ですから、これをもしまともに聞くと30分の演劇の半分を費やすことになってしまいます。他のお客さんのことも考えると独占するわけにもいきません。ですから、観客によって見聞きする部分は相当異なるわけです。
ヘッドホンからたまたま聞こえた断片に、ビザを待っていると少年が来て今日はビザは持ってこられない、明日持ってくる、というのがありました。またまた目からウロコでした。ゴドーはビザなのか。そうか、ビザが下りなくて彼らは最終的に自殺したのか、そんな解釈もできるのかと、この日一番の大収穫でした。
満足度★★★★★
やはりいい
『深海のカンパネルラ ~B&B version~』はオリジナルよりも良かったと思いました。
ネタバレBOX
『夜鷹無限上昇』 完璧主義者の作曲家の、いったん浮かびかけた理想の曲がどうしても作れないもどかしさを描いた話。
最初の、女性記者が気持ちばかりが焦って上手く観客に説明できないというシーンは逆に浮いていて、ぶりっ子やドジっ子振りをわざわざ強調することもなかろうにとイライラさせられました。格好もオスカルみたいで変でした。
理想の曲について突きつめていくと、生涯一曲しか発表できないことになってしまいます。そこまで行かなくても、完璧を求めると、どこで完成の区切りをつけるかについてもやっとの思いで決断するのでしょうね。完璧主義者は大変です。
完璧主義振りが増大し、最後は作曲家の慟哭一人芝居のようになってしまいましたが、夜鷹が無限に上昇するイメージで理想の曲が作れるといいですね、のたれ死ぬ前に。
最初、役者さんが歩く度に床に敷き詰められた白い紙が剥がれ、ちゃちっぽいなと思いましたが、楽譜などをイメージしたもので、最後は星を映しながら撒き散らかしました。その後どうするのかなと思いましたが、そのままの状態で上手く後半につながっていきました。
『深海のカンパネルラ ~B&B version~』 45分程の短編ということもあって、銀河鉄道の夜の都合のいいところだけを読んで宮沢と旅をする空想に何度か耽りながらも、早めに宮沢の死を深海が認めたことで全体がスッキリしました。
と言うか、そもそも宮沢が死んだことを深海は自覚していて、そのため車掌さんはお医者さんではなく、治療みたいな部分も必要なく、やたら引っ張ることもありませんでした。
それでも、とつとつと二人で会話するシーンには、親友と別れるつらさが存分に伝わって来て涙しました。
満足度★★★
芸能界裏情報
で、なに。
ネタバレBOX
芸能界を巡るスキャンダラスな話。
ミカ・マツ・もんざエモンとでも書くのか、耳で聞くとみかまつもんざえもんというミカとマツとエモンの三人組元人気ユニットのミカが、当初は美少年が少女役をやっていて、美少年が青年になると代役を立てて、しかも歌は別人が歌っていたということをしていましたというだけの話。
満足度★★★
鼻持ちならない
偉そうな大人でした。
ネタバレBOX
40代になったばかりでしょうか、もしかしたらまだ30代かもしれません、DJをしている僧侶と元暴走族の酪農家の二人は偉そうな大人でした。
僧侶が自分探しの旅を続ける若者に、大人は命を削って生きているんだなんて言っていましたが、尊大で反吐が出そうでした。そりゃ、自分探しの旅って何だとは思いますが、他人に迷惑をかけているわけでもなく、自活している若者に対して言う言葉でしょうか。
元暴走族の酪農家も、手伝ってもらっている弟に対して何とも偉そうでした。他人の役に立つことが人の道のような考えを持つことは立派ですが、高校生になった自分の息子が跡取りとしての意識を持つようになり、如何にも弟が邪魔になったという感じでした。弟も、牧場を支えていたわけでそんなに卑屈にならなくてもいいものを、しかも獣医の大学に行くことになったのですからもっと堂々としていいはずなのに、威圧的な兄のせいでこうなってしまったみたいです。
天文学研究家の長期滞在者は、地方紙の社主を父親から引き継ぐことになりました。何とも甘い新聞社です。このペンションを始めたときの共同経営者が今ではホテル王とは恐れ入った設定でした。
ところで、ここの経営者の名前が前田、このホテル王の名前が加賀ということでペンション百万石としたそうです。実際にはどこなのでしょうか、日本一星が綺麗に見える場所は結局分からずじまいでした。
満足度★★★★★
【佐瀬恭代バージョン】観劇
素晴らしい!!!
ネタバレBOX
シェアハウスという一つの社会の中で起こるミニ経済の話と、家族をまとめる母親という存在を再認識させる話。
経済の話は勉強になります。お金が、経済が回り始めると、どんどんエスカレートし貸し借りも発生、100円玉で決済していた社会はいつしか擬似通貨ナオンが流通する社会へと変貌していき、最後ナオンの通貨危機が発生していったん社会は崩壊しました。
このお芝居を中高生たちに観てもらい、経済の仕組みを語り合ってほしいものだと思いました。
ナオンは、銀行家であるナオの所持している円の範囲内で100円1ナオンという固定相場で発行される円本位制の兌換通貨ですから、1ナオンが150円に高騰することはあり得ません。もちろん誰かが高く買うことは勝手ですが。
元々みんなが持っていた円をナオンに交換したものです。ナオンというお札が買い占められても円を使えば良く、新たに円がナオのところに集まったら、それに見合うナオンを印刷するか、あるいは、再びみんなの円を集めてナオンを発行すればいいだけです。
また、母親と管理人との比較のようなことから、できの悪い子も見捨てない母親の存在と、家事の金銭価値も分かりました。
そんなことも全部含めて、中高生たちに勉強してほしいと思います。
役者さんたちも素晴らしかったです。佐瀬恭代さんは初っ端からの顔の表情が良く、一瞬でお芝居に入り込むことができました。アニメのキャラクターのようにも思えましたが、個性的で平岩紙さんに似ていて素敵でした。森島縁さんは川島海荷さん似で素敵でした。