韓国新人劇作家シリーズ第二弾 公演情報 モズ企画「韓国新人劇作家シリーズ第二弾」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    『ピクニック』・『罠』の回
    アフタートークで興味深い話を聞きました。

    ネタバレBOX

    『ピクニック』( キム・ヒョンジョン作 金世一翻訳・演出)
    母親の認知症が始まりだした頃に母親と娘と孫の三人でピクニックに行き、子供を母親に任せた間に子供が海に転落して死んだ過去を持つ母娘の日常。

    部屋を汚物で汚し、汚い言葉で娘を罵りながら、一方で海に真っ逆さまに落ちたことを母体回帰と捉え、もうすぐ娘の体内から生まれてくると思い込み、編み物に勤しむ母親の言動は、娘として心身ともに苦痛だろうと思います。ビニールシートがリアルでした。

    『罠』 (ホ・ジンウォン作 金世一翻訳 鈴木アツト演出)
    昨日売ったカメラの交換のことで粘着質の客ともめたカメラ店の話。

    ゴネ得韓国人の話かと思っていましたが、白いカメラを買ったつもりが黒いカメラだったということで当初の客の申し出は正当でした。いくら変な客でもそのくらいさっさと言えよって感じです。

    カウンターをぐるぐる移動させながら、客と店員、店長、途中からは警官も加わっての見せ位置を変える演出は、スピード感と力学が感じられ良かったと思います。

    相手の揚げ足を取って、立場が二転三転するところが絶妙でしたが、終わり方は中途半端でした。

    アフタートークでの、韓国では新聞社の主催するコンクールで賞を取らないと、いつまで経っても小説家や脚本家の卵扱いをされるというキム・ヒョンジョンさんの話は興味深かったです。

    彼女は、『ピクニック』で現在と過去を演じ分けていることをお客さんが理解できるだろうかと心配していたのも印象的でした。もちろん演出は彼女ではなく金世一さんなのですが、過去のときの衣裳が白一色だったのは現在と過去とをことさら区別しようとした現れだったのかと思い至りました。

    今の日本ではそんなことを気にするような人はいませんが、お客様の一人から、日本でも昔は過去を演じる前に10分間の休憩を取っていたという話があって、昔はそこまで説明的だったのかと驚かされました。

    日本語に訳すとバカヤローなどとしかならないのですが、韓国語には悪口が数多くあって翻訳者泣かせだという金世一さんの話も面白かったです。で、『ピクニック』では、母親の使う様々な悪口が評判になったとのことでしたが、それも大きいんじゃないのという気もしました。

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    2013/11/29 10:13

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