満足度★★★★★
波瀾万丈、悲喜こもごも
スピード感があって面白く、それでいて常に死を意識する緊張感溢れる素晴らしい作品でした。
ネタバレBOX
難病と闘う少年が義父となった真剣師から将棋の面白さを教え込まれたものの、真剣師は生来の女と金に弱いいい加減な性格が原因で出奔、母も男を追い掛けたまま行方知らずとなり、棋士である義理の伯父さん夫婦に育てられます。その後めきめきと実力を付け棋士になり、最後は念願叶い真剣師と勝負して勝利を得るというのがメインストーリー。そこに真剣師の賭け勝負の実態や背後にいるタニマチ、棋士や棋士の卵、それに関わる人たちの話を織り込んだ話。
舞台の奥にお葬式の祭壇がしつらえてあって、常に死を意識せざるを得なく、緊張を強いられました。開場した時から、一人の将棋指しが正座して盤上を見つめ続けていたのも凄いことでした。
真剣師との勝負で、真剣師の後を継いで勝負を続けた伯父さんが逆転してしまったのには驚きましたが、羽生さんのアドバイスだったとは恐れ入りました。羽生さんが最初に登場した瞬間、寝ぐせで一発で羽生さんと分からせる演出もさすがでした。
命を賭けた勝負に負けた真剣師の葬式、ただし、真剣師としての命ですが、また、元々羽生さんと相性が良く、タイトル戦を挑めるまでになった青年棋士が難病が元で癌が再発するなど、常に死が迫っていて緊張感が途切れることはありませんでした。
満足度★★★★★
【キッド咲麗花の回】観劇!
大好きなお芝居、懐かしく、どうしても涙が流れてしまいます。
ネタバレBOX
客席に入ってすぐ、下手側の渡り廊下とその前の花壇を見て、ああ懐かしいなと思いました。前回観たのは2008年4月のパルコ劇場。忘れていた部分も多く、大好きなお芝居だけに今度こそ忘れないようにしなくちゃと思います。
ライターを盗んだと誤解して殴った大貫。翌日大貫がパコの頬に触れたとき、誰もが信じられないことでしたが、パコはそのおじさんが頬に触れたことを記憶していました。肉体的、精神的にショックな出来事だっただけに普段の記憶とは違った脳の部位に蓄積されたのでしょう。しかも、殴られたという記憶ではなく、触れたという記憶で蓄積されたところが何とも絶妙です。
パコは毎日が誕生日。「ガマ王子vsザリガニ魔人」の絵本には、お誕生日おめでとう、これから毎日読んでねとママが書いています。眠っている間にママが来てくれたと喜ぶパコに思わずもらい泣き、一番好きなシーンです。
パコと両親の乗った車がトラックに追突され、車は崖から転落して両親は死亡、パコは新しい記憶が一晩寝ると消えてしまう障害を脳に受けたもの。龍門寺が撃たれたのは、山から遊びに来ていた猿のジュンペイが拳銃の引き鉄を引いたせい。室町が自殺未遂を重ねるのは、子役時代に可愛いと言われるのが嬉しくて少女漫画雑誌ばかり読んでいたために、大人の俳優になり切れず、オカマ風なしゃべりしかできなくなったせい。看護婦の光岡はそんな彼を子役時代から追っかけていたとのこと。消防車に轢かれて入院していた消防士の滝田は室町を助けようとして一緒に4階から転落してまた足を骨折したために恐らく現役復帰は難しいだろうとのこと。大貫をからかう変なおっちゃん堀米は、この絵本の作者だったという驚愕の事実。時々訪ねてくる専務の浩一は、大貫の弟の孫で看護婦の雅美の夫。その息子浩二の許に堀米が訪ねてきた所から話はスタート。
ガマ王子は池の仲間の家を壊したりする意地悪者でしたが、仲間がザリガニ魔人に殺されると立ち上がり、やられてもやられても立ち向かっていき、最後は絵本通りかどうか分かりませんが、劇中劇ではガマの毒のようなものでザリガニ魔人を倒しましたとさ。キャラクター的にはザリガニ魔人の前に出て来るヌマエビ魔女が強烈。劇中劇のラストで、心臓発作で倒れた大貫の看護に専念した光岡に代わって室町は普通のしゃべりでナレーションをこなしました。大人の役者として復活できるかもしれません。
絵本は最後の一枚が無いのではなく、破られたページをみんなで分けあったためにもっと不足していたのが真実。そして、浩二はこれから当時の関係者を探訪し、全てのページを回収して絵本を復元させようと思い立ったのでした。必ずや彼は復元させるはずです。
交通事故の保険金詐欺のために入院しているようなおばさん木之元役の広岡由里子さんはハマり役だと思いましたが、大貫役の西岡德馬さんは元々いい人っぽく見えてしまい、看護婦役の安倍なつみさんや川崎亜沙美さんに至っては、前回観たときの新妻聖子さんと月船さららさんに比べると影が薄い感じがしてしまいます。それでも本当に素晴らしいお芝居です。
最後、大貫にパコの頬を触らせてあげたかったなと思いました。
東京都心は1969年以来45年振りの大雪の日。西岡さんの、雪の中来てくださってありがとう、今も降っています、気をつけてお帰りくださいも嬉しく、横殴りの雪の中を帰路に就いたのでした。
満足度★★★★★
【エピソード1】鑑賞
皆さんの笑顔が素敵でした。
ネタバレBOX
エピソード1の演劇部分は高嶋菜七さんと小林晏夕さんがメインでした。リーダーに指名されて悩む菜七さんとリーダーになりたかった晏夕さんが和解して、今は5組に分かれて探索しているのですが、もう一度みんなで集まって知恵を出し合おうと菜七さんにリーダーの自覚が芽生え始めたというようなストーリー。
飯田桜子さんは、顔の半分くらいの口を全開しての笑顔でした。ふー、これで大分覚えました。
満足度★★★★
化粧ドーピング
みたいなことを思ってしまいました。
ネタバレBOX
理想の肉体になりたい願望、それがスポーツ選手であれば筋肉がほしいということになり、例え短命で終わっても金メダルが取れるのであればとドーピングに走る人がいるのが現実なのでしょう。身体に副作用をもたらす薬物を使うのがドーピング、ドーピングを認めると、そこがスポーツ選手のスタートラインになってしまい、全員が副作用に苦しめられる恐れがあることから禁止されています。
後付と言われれば仕方ありませんし、明確な根拠がなければジャーナリストとしては指摘できないのかもしれませんが、ジョイナーなんて誰が見てもドーピングやってるって感じでした。そして、若死にしました。
今回の佐村河内守氏の偽作曲家事件にしても、あの風貌は麻原そっくり、壁に頭をぶつけて悩みながら思考している風を装っているのも如何にも人物像を作り上げているという感じでした。それでも誰も見抜けず、ドーピング検査を素通りしたのと同じです。
そのように考えると、化粧は身体に害を及ぼさないと一応思われるのでドーピングではないのですが、主役の黒沢佳奈さんの目元や頬の辺りが北川景子さんに似ていたので、お芝居の内容が内容だけに化粧ドーピングのようなことを考えながらずっと見とれていました。
ドーピングも遺伝子操作にまで及ぶ薬物が出現し、人間の大きさを規定している部分に立ち入り、いくらでも大きくなったり、いくらでも筋肉が付いたりできるようになって、もはや人間ではなくなり、異形という怪物になって選手村で殺人が多発し、東京オリンピックの開会式は延期されました。面白い顛末でした。
満足度★★★★
【Team油】観劇
働き始めて数ヶ月にしては、新入社員離れしたバリバリの戦力を有しているように見受けられました。
ネタバレBOX
若者の恋愛観を通して、行き詰まった夫婦関係に風穴を開けるべく、考え方に刺激を与えようとするカウンセリングに参加して少し元気になったサラリーマンの話。
毎年、疲れた中年サラリーマンを元気づけ、そして新入社員たちも意見を闘わせることによって仲間意識を高めているのでしょう。出社拒否になった山田も出勤できるようになるといいですね。
熱いのは分かりますが、一応新入社員の討論会なんですから、そんなにがなり立てなくても良いのではないかと思いました。
満足度★★★
心配した通り
青春事情らしいほのぼのとしたコメディでしたが、甘々、温々でした。
ネタバレBOX
帰ってきたときはいざ知らず、いざパティシエの修行を始めたのなら、無精ひげくらいは剃るでしょうって。髪型については、業界のことは良く分かりませんが、せめて帽子でしっかり押さえてほしいものです。
前の方と終盤で変化させるのは技術的に難しいのかもしれませんが、それならば髪を切るくらいの覚悟を持ってお芝居に臨んでほしいと思いました。ま、自身のキャラクターを堅持する方が重要なのでしょうが。
街金からの500万円の借金についてですが、サラ金からの500万円でも住宅ローンを5,000万円借りたくらいの毎月の返済負担があると考えられますので、街金からだったら途方も無い数字になるはずです。利息が雪だるま式に増え、借り換え、借り換えと口車に乗せられてこの結果になったのでしょうが、早い段階でどんなにバイトしても毎月の返済は無理だったはずで、無事に生きていたのが不思議なくらいです。それこそ弁護士に相談すべきでした。
お姉さんたちも丸々肩代わりするのではなく、弁護士に相談してからでも遅くはなかったのではないかと思いました。
あまちゃんで、ぬるかったです。
漫画家志望の人の顔芸はお見事でした。くるみさんとの恋の成就、本当におめでとうございました。
満足度★★★★★
彼女たちの態度に
心の傷の大きさと、心の傷の特殊性を知りました。
ネタバレBOX
遭難した男が入って来て助けを求めたときに、雑貨屋の美和に任せて、彼女たちのまさかの想像もできない態度に、性犯罪被害者の心の傷とはこういうものかと心底驚きました。ただ、性犯罪被害者に対する世間の態度が、遭難した男に対する彼女たちの態度に通じるという説明は完全には理解できず、今後も良く考えてみようと思いました。
由宇が言った本当の敵は女というのも重い言葉でした。そして、由宇が持ち出した鎌を、助ける助けないで揉めて、盆と正月が一度に来たような感じでテンパってしまった美和が取り上げ、今度は男に向かって振り上げた経緯があったことから、その後落ち着いて手から離した鎌を翔子は納屋へ片付けました。
これは至極当然の行為なのですが、全体を通してのキーアイテムである鎌はテーブルの端に置くとか、美和の手許にあったのを蹴飛ばして部屋の隅の方に放置するとか、その程度に留めておいてほしかったと思います。もし、由宇の見える範囲に鎌があれば、目を覚ました男がお礼に近づき手を握り、その結果パニックを起こした由宇が、男が謝ったことで心を許した実際の結末のように推移したか、あるいは恐怖のあまり、男が何を言おうが鎌でめった刺しにしてしまったか想像の幅が広がり、観客はもっとヒヤヒヤさせられたのではないかと思うからです。
男とか、男女交際が怖い翔子が、ロックンローラーが酒場で女性の肩を抱いているような柄のTシャツを着ていたのは腑に落ちませんでした。
女性全員が主役、良かったです。翔子役の光藤依里さんも、最近のTOKYOハンバーグでは際立った役が無かっただけに、重要な役を今回演じられて本当に嬉しく思いました。
人生の道に迷ったくらいの男だからこそ、もやもや、ふらふらして軽装で山に入って遭難したのでしょう。そんな男で良かったです。みんな少しずつ立ち直るきっかけになりました。ギラギラした体育会系の男だったら、本当に殺していたかもしれませんね。
自我に目覚めて、由宇と一緒に犯罪被害者を救う活動を始めたという美和には笑ってしまいました。
満足度★★★★★
【エピソード2】鑑賞
かーいかったです。
ネタバレBOX
演劇とライブ。演劇は、東京パフォーマンスドールの9人にTPD DASH!!の中から1人を加えた10人を5組に分けて作ったエピソードが5個あり、今回はその内のエピソード2を鑑賞。
脇あかりさんと上西星来さんがメインとなり、不思議の国のアリスをモチーフにした話。他のメンバーも協力して、部屋を出るとまた同じ部屋に戻って来てしまうという不思議さがとても心地良かったです。
演劇にもライブにも映像が効果的に使われていました。素晴らしかったです!
ボーイッシュなあかりさん、星来さんも可愛い、和風な香帆さん、ちょっと小悪魔的な晏夕さん、一番お姉さん的というかお母さん的な沙紀さん、二葉さんの笑顔も良かったです。
満足度★★★
元々の嫌いな分野が際立って
若さと元気とスピード感全てが少しずつ欠如していたような印象でした。
ネタバレBOX
光秀と秀吉が謀って、人の道に反するような信長を亡き者にしたというのが本能寺の変の真相でした。ただ、光秀は秀吉にそそのかされたのではなく、自分の意志だったということが、現在に現れた彼らによる騒動、信長・光秀vs秀吉の対決の最後で本人の口から明らかにされました。
信長と光秀が現在においても天下を取ろうとする野望を抱いていたのは分かりましたが、だからと言って秀吉がいい人だったという根拠は今一つ分かりませんでした。そして、イケメン目当てに歴史探訪降霊ツアーに参加した女の子がこの騒動を機に歴史好きになったというのもちょっと強引に感じられました。
女性陣は可愛く、若さも感じられましたが、男性陣はちょっとおっさん臭く、すぐ疲れる様子には元気さが感じられませんでした。こうなると、霊媒師や憑依の部分が際立ってしまい、私の嫌いな分野のお芝居ということになってしまいました。
満足度★★★
いきなりで期待しましたが
なんじゃこりゃでした。
ネタバレBOX
いきなり腰に鎌を差し、服に血が付いていて、手についた血を普通の顔して拭っていたので、日常的にニコニコ笑いながら人殺しをするそういった特異な田舎の話かと期待しましたが鼻血ですと、なんじゃこりゃでした。
5年前の結婚式で、城の主と結婚することになった花嫁が式の最中に夫の目を見てはいけないという掟を破ったために錯乱状態に陥り、参列していた村人を多数殺してしまい、そしてその花嫁は逆にリンチに遭って殺されてしまったという惨劇を、田舎なだけに村ぐるみ、刑事も絡んで隠蔽していたのですが、雑誌記者が花嫁の妹という設定の女性を送り込んで、もう一度結婚式を挙げさせることで事件を暴こうとしたものの結局は殺され、またしても事件は隠蔽されることになりましたという話かなと。
分かりづらかったです。事件を隠蔽することで謎めいていたのは良かったのですが、そもそもの前提の目を見ない掟というのが理解できず、なぜ錯乱するのかさっぱり分かりませんでした。
城の主は実質無職の資産家で、表向きは作曲家でしたが、かつて聴いたことのある曲を記憶の底から絞り出し、自分が今作曲したと思い込む哀れなパクリ作曲家でした。終盤はワルキューレの作曲中のようでしたが、ラストで流してほしかったです。
満足度★★★★
ウィークリーマンションではありませんが
案内文にあった事態の後に、さらに衝撃の事実があったとは。
ネタバレBOX
中学校の卒業式の日に無理やり童貞を喪失させられた事態の後、悪い記憶を上書きしてあげようと考えたお姉さんの善意からというにはあまりにも衝撃的なもう一つの事態が発生していました。そんな二人の関係がそれ以後も続き、他人との交流が上手く行かなくなった青年と、彼が入居したシェアハウスの住人たちが、次のステップに至るまでを描いた青春群像劇。
お姉さんの元恋人が自身の運営するシェアハウスに青年を入居させたという事実は、亡くなったお姉さんが弟の立ち直りを恋人に託し、恋人が意を汲んだことが窺えます。
お姉さんが恋人を作って家を出た後は、妄想の中のお姉さんとしか会話していなかった青年も、シェアハウスの住人との交流で少しずつ変わっていったようですが、あまりこの部分は描かれておらず変化の過程は良く分かりませんでした。
住人たちの中では、友近さん似の人は歌が上手くて、でもいきなりの歌には唐突感がありました。女子高生は可愛かったです。
満足度★★★★★
個性と没個性の交錯
独特の雰囲気が素敵でした。
ネタバレBOX
全員が灰色の同じ服装で、四角形のステージに上がっているときは顔を出してそれぞれの役に徹し、隅に行きフードをかぶって下に降りれば皆同じ姿の砂の一粒一粒にでもなったかのように没個性となり、砂の国らしい独特の雰囲気が感じ取れました。素晴らしかったです。
壁のこちら側の砂の国の話。平和を信じ過ぎると裏切られる等、この国の統治者の平和論十ヶ条を聞き続けると、人間の世界においては戦争は避けられないような気にさせられてしまいます。調子のいい口調で毎日毎日喧伝し、敵国からの緊張を強いるムードを作る為政者の策略の恐ろしさのようなものを感じました。
没個性となった人たちが大量の軍手をステージ上に並べ始め、最後は全体を覆い尽くしました。軍手は軍ということか、きな臭さが充満してきたということでしょうか。団扇の骨が背景に並べられていた過去の舞台を思い出しました。
不幸な三姉妹の一人、耳の聞こえない役の小島寿美子さんの笑顔が素敵でした。
満足度★★★★
しっかりした構成
ムカムカするかと心配していましたが、吐き気は起こりませんでした。
ネタバレBOX
とある一人のお父さんに乳が出るようになったり、乳首盗難事件が多発したりしたこの一連の騒動は、気まぐれ悪魔ちゃんのような主の仕業だったようです。
第一部は、リストラされたお父さんが乳を売りながら生計を立て、そんな中、お母さんは存在意義を見失い、体中乳房だらけの怪物となって赤ちゃんを産んだ後家出、赤ちゃんはお父さんが育てましたという話。第二部は、成長した息子が乳首を盗まれ、町で買った粗悪品の乳首で拒否反応が起こり死にそうになったところを、陰ながらずっと見守ってくれていた乳房怪獣みたいなお母さんが、その頃のお母さんの乳房はたらちね状態になっていましたが、乳首を譲ってくれて事なきを得たという話。
第一部で、女性とスパゲティーの入った大きな箱に手を入れ家族が手づかみで食事を摂るシーンがあり、これだけでも驚いたのですが、気まぐれ悪魔ちゃんがミートソースを上からバシャーっとかけたときにはあまりの凄まじさと匂いに恐れ入ってしまいました。
当初は父親の乳ということで吐き気でも催すかなと心配しましたが、ある程度の筋立てがあり構成がしっかりしていたので、ミートソースの匂いにも耐えることができました。
満足度★★★★★
爽やかー
軽薄そうで真面目そうな劇団員が素敵でした。
ネタバレBOX
テレビのお笑い見てヘラーっと笑う主人公、可憐でおとなしそうで地味目な元勤務先の後輩女子社員など、軽くて若い劇団員にぴったりフィットするいい役者さんを客演に選んでいるなと感じました。
他人より5倍不幸な男の恋が成就するラブコメであり、共に活動してきた座敷童の一人が実は疫病神と分かったものの、人を思いやる優しい気持ちを持っていたが故に正式に座敷童になれたというあっち方面の業界のちょっと心温まるお話でもありました。
最後は男の方から彼女に告白するきちっとした態度も爽やかでした。
満足度★★★★★
120分で迷著
120分で二葉亭四迷の人生と小説の全てを知ることができ大満足でした。しかも面白く。
ネタバレBOX
二葉亭四迷は生き方そのものが小説のようだと評されたそうですが、本当に彼の人生は波瀾万丈でした。それに比べると、彼の小説は、「浮雲」と「其面影」は少しやきもきさせられるところはありましたがその程度で、「平凡」に至っては犬が犬殺しに殺されて悲しいというエッセイのようなものでした。「浮雲」が未完というのも驚きでした。
ですから、小説を戯曲化した部分よりも、彼の人生を描いた部分の方が遥かに面白かったですが、トータル120分で小説三編と、外語大でロシア語を学んで、大学統合に憤慨して大学辞めて、坪内逍遥を師として小説書いたり翻訳したり、小説を書くのが嫌いで先生になってロシア語教えて、大志を抱いて貿易会社の顧問として大陸へ行って、中国で警務学校の事務長をして経営手腕を発揮するも喧嘩して、日本に帰って大阪朝日新聞の記者になり、クビになる代わりに新聞小説書いて、東京朝日新聞の記者としてロシアに行って、結核になって帰りの船で亡くなって、遺言で一悶着あったりの彼の人生を全て知ることができて有意義でした。自分の才能が自分を攻撃する自己免疫疾患のような人でしたね。
女性が演じた大阪朝日新聞の社主や夏目漱石も最高でした。
カルチャーセンターの講義の一コマ、しかも漱石を語る先生の代役による講義という設定も彼の地位を表していて面白かったです。で、来週は太宰とか。
満足度★★★★
昭和テイスト
特段新しくもなく普通、何も変わらずでした。
ネタバレBOX
妻を亡くし、ボーッとしてきた父親を引き取ろうと、実家の引越し準備を始める娘一家ですが、そこには思惑があってという話。
引越し準備の過程でキーアイテムが出て来ると、それにまつわる過去のエピソードが披瀝されるという感じで進行。
武藤晃子さんが今の大人時代と子供の頃を演じ分けて、美味しいところを持っていった感がありました。
夫婦喧嘩の外観で、家庭の深刻度を察した娘の長男はお見事でした。
エピソードを思い出すに連れ、思い出の詰まった家であることが再認識され、いったんは父親の了解を得られたものの、実家を売っ払って夫の会社の運転資金に充てるという娘の目論見は外れました。
その代わりとして、母親がへそくっていた通帳を貸してもらうことになりました。何百万円もあるのかと思いましたが、数十万円程度だったでしょうか。結局は、気持ちだけ受け取って夫婦二人で頑張らなきゃねというようなラストシーンで終わりましたが、資金繰りの逼迫感はその程度で済むようなものではなかったはずです。何も解決されないまま、解決された風に終わらせるのは欺瞞で無責任だと思いました。
ところで、題名のにおいがおならの臭いとは。年寄りのおならはそんなに臭くはないと思うのですが。
満足度★★★★
女は強し
珍しいシチュエーション
ネタバレBOX
異母兄弟のオンパレード。
父親はなぜ逃げたか。失業保険が何かの手違いでその月の分が支給されず、かいしょなしに嫌気が差して逃げたと言う父親に対し、妻子を実家に戻し、裕福な祖父母に育ててもらう方が幸せになると判断したからではないかと推測し質した息子。ラストの一番いいシーンかもしれませんが、知ってたのなら聞くなよって感じだし、無責任な種付け馬に何カッコつけてんだよって感じでした。
親父には圧倒的な存在感がありました。息子は二日酔い後の起き抜けの顔に存在感がありました。横井庄一と妹尾河童のどっこいしょの妊婦である新しい奥さんの存在感も抜群でした。
全体としてちょっとが長かったです。最初のカルロスのシーンは要らないのでは。その方が茶番劇の強盗シーンももう少し真実味が増したかもしれません。
満足度★★★★★
地獄のこちら側の地獄
じわっとした恐怖と一瞬の恐怖、どちらも怖かったです。
ネタバレBOX
間引きされた実の妹とダブり、死んだ赤ちゃんが忘れられない君枝と、赤ちゃんを虐待したことから赤ちゃんから遠ざけられているキミエが親しくなり、症状が緩和されたように見え、良い方向に向かったと思った矢先、二人の似て非なる境遇から悲劇が起こりました。
赤ちゃん殺しに至るまでの過程の恐怖と絶望感は凄まじいものでした。窓ガラスに張り付いた君枝の姿も怖かったです。
賽の河原の子どもは最後は菩薩に救われるそうですが、こちら側の地獄では人間が心穏やかになることは並大抵ではないことが窺われます。
満足度★★★★
結果はミエミエ
様々なミュージカルの寄せ集めは全体に軽薄な印象を与えました。
ネタバレBOX
ヒロインは可愛くて、しかも魔女学校の卒業試験がメインということを自覚していて、自分が自分がと前面に出ないで技術的にも一歩先行く友人を立てていたところなどは好感が持てましたが、喉から絞りだすような歌声だけはイマイチでした。
途中は中だるみ。最後に初めて緊張感が走りましたが、試練を課すため、猫を助けるためとはいえ、身のこなしの良いはずのダンサーが車に轢かれるというのは、魔法を使うか使わないかの選択を迫る前提としてはあまりにも安直でした。
魔法を使うか使わないかで悩むシーンにはそこそこ感動しましたが、自分が消滅してでも人を助けるために魔法を使ってしまうこと、そしてその自己犠牲の精神故に卒業試験に合格するという結果はミエミエでした。
満足度★★★
駄話
同じ文化を持つ者同士、異国において心が通じ合うのでしょう。
ネタバレBOX
インド北部、ヒマラヤ山脈が見える安ホテルにたまたま宿泊した日本人5人のお話。
奥のエレベーターで2回に上がって客席に入ると、ナマステと挨拶されました。真ん中がホテルの共用スペース、回りが各部屋とバルコニーという設定で雑然と配置されていて、ほとんどの席は壁際に設けられていましたが、やや真ん中のベッドや床にも席が用意されていました。5人の会話を見聞きして、帰りはガンジス川を渡っていつもの出入口から出て帰りました。
ラリっての会話には、蟻が大きく見えるなどどうせ誇大妄想なのでしょうから聞くべき内容はありませんでした。