満足度★★★★
ちょっと
『地域演劇の人々』を思い出しました。
ネタバレBOX
チラシからは謎の人物によるおどろどろしい殺人事件でも起こるのかと想像しましたが全く違っていました。弘前辺りに拠点を置く地域劇団の楽屋の様子を三日間描いた話でした。
看板女優はお母さんが認知症で、公演中は知人や娘に電話でお願いして面倒を見てもらっています。外国人と結婚した俳優は楽屋でも英語を使ったりして妻との意思疎通を図るべく苦労しています。風俗で働き出した若い女優は劇団員の一人が客として来たと看板女優に話します。そして、当の劇団員は気まずそうな感じでいたりしています。
なぜ看板女優に話すのか。周りの人の世話になっているということを自覚して人間が丸くなったため相談しやすくなったからだとみんなは言います。
そして、中国、韓国で演劇を行ってきたばかりの劇団ですが、戦争の足音がする最近の情勢を嘆いて終わりました。
実際にはどんな演目かは分かりませんが、劇中劇で黒子役を演じる俳優が楽屋にいることもあれば、何人もの黒子が楽屋の片隅等にどんよりと存在するシーンもありました。どういう法則で後者の黒子が登場するのか良く分かりませんでしたが、人間の心に巣食う漠然とした不安感を表現するアイテムだと解釈しました。ただ、もう一人の黒子という意味では、実はみんなの会話の中にしょっちゅう出てくる若い頃麻酔なしで歯を抜かれたことのあるいじられキャラの人物のことを指してもいました。
満足度★★★★
新境地
詩森ろばさんの作品がチャレンジングでした。
ネタバレBOX
短編5編。
1.前説の女(作・米山和仁) 岐阜県からお母さんが出てきて前説する話。
2.夏に忙しい女(作・米山和仁) 心霊写真家オクメグが語る地縛霊二人を縁結びさせた話。
黒尽くめで、薄明かりの中顔の細さが強調され、白雪姫の魔女のような感じでした。
3.Eat Me Baby(作・ほさかよう) 結婚に焦る女子が男性を部屋に呼ぶ話。
4.手紙(作・詩森ろば) 末期癌でしょうか、死期が迫ったお母さんが夫や子どもたちにメッセージを録りためる話。
普通の表情で普通のトーンでとつとつと。そう、新境地開拓のためにもこういうのを待っていました。椅子に座ったままワンカットでの長台詞は橋田壽賀子さんも注目です。ただ、終盤は息切れしたりすることがあっても良かったかな、全体にもう少しゆっくりでも良かったかなと思いました。
5.スーパーお母さんよ永遠に(作・米山和仁) スーパーお母さんが怪獣に怪我させられたということで、高校生の娘が駆り出される話。
女子高生姿も良かったです。
満足度★★★★★
言葉遊びと知を求める旅
壮大なファンタジーで分かりづらい面もありましたが、面白かったです。
ネタバレBOX
プラトンとかマルクスと言った登場人物がいるのでどれだけ難解になるのかと心配しましたが、ダーウィンが進化とか退化、アインシュタインが相対的にと言うくらいの特徴をちょっと強調した程度で安心しました。そして、哲という少年はいつの間にか青年になっていましたが、実はソクラテスでした。
河童は醤油ちゅるちゅるを使って少年の夢を吸い上げドラム缶に詰め込みますが、夢ですから理屈が通るものもあれば通らないものもあるのでしょう。理屈の通らないものは屁理屈で、屁を分離して河童社会のエネルギーとして利用し、理屈はレンガにして積み上げていくそうです。屁理屈と理屈、面白い発想の言葉遊びは素敵でした。
ダーウィンやアインシュタインよりも偉そうにしていたフロイトが主導して積み上げてきた高い高い理屈の壁が崩れ、ソクラテスが知、あるいは未知を求めて旅立つという壮大なファンタジーでした。
後付け心理学をコケにしたところに痛快さを覚えました。
哲の少年らしさを始め、役者さんたちはキビキビしていて好感が持てました。
満足度★★★★
ときには
おすすめ
ネタバレBOX
瀧川鯉和 『金明竹』 枕で、雑誌の編集のバイトをしていたときのこと、占いの欄の魚座の箇所に〆鯖を食べると運が上がると書いたところ食中毒が発生。鯉和の占いは当たるというオチが面白し。
金明竹の分かりづらい大阪弁の早口口上はさすが。
桂米紫 『堺飛脚』 関西でこの演目をやれるのは米紫師匠と米朝師匠の二人だけとのこと。今やまともにやれるのは一人だけ云々と。なぜ誰もやらないかというと面白く無いからと。
堺に向かう飛脚を狸が騙そうとする話で、一つ目小僧などを古い古いと馬鹿にされるので最後に海辺で鯛に化けてこれでも古いかと飛脚に一矢報いたか報いなかったか程度のオチが微妙。
-仲入り-
神田京子 『カルメン -かっぽれ-』 最近真打ちに昇格した京子師匠、お祝いの仕方を丁寧に教えてくれました。
オペラ「カルメン」を10分程度の講談にまとめたものとかっぽれ踊りを披露。
瀧川鯉昇 『宿屋の富』 落語の世界に入ったときから力まないというか、頑張らないのがモットーと教えられたとのことで、宿屋に泊まった貧乏旅人が買わされた子一三六五番の富くじに千両が当たった話を飄々と。
満足度★★★★
下ネタ好き
主宰さんが一番好きだったのね。
ネタバレBOX
とあるオーディションで参加者たちがそれぞれ他の参加者の協力を得て、独自の短編創作劇を演じアピールする話。
サイゼリアの調理場の話や、高尾山の天狗の話、あしながおじさんのような話、一見すると扇風機に見える宇宙から到達した地球探索ロボットの話、八つ墓村の犯人のような人や露出狂の人がいたり、各々の話が交錯し、最後全てが繋がったようなところは見事でした。
オーディションを主催した人がすぐ下ネタに走る役者たちに苦言を呈していましたが、ラストはエロ漫画の吹き出しの台詞を朗読しながらのお下劣歌舞伎でフィナーレを締めくくりました。ま、特段物珍しくはありませんでしたが。
苺田みるく先生さんが普通だったというのが感想でした。
満足度★★★★
失業率
河童の世界を知ることで人間社会の成り立ち方が分かりました。
ネタバレBOX
世の中が煩わしくなって自殺しようとした青年が、同じく自殺しようとしていた河童を追い掛け、穴に落っこち地下の河童の国に行ってきた話。
当日パンフレットによると、芥川龍之介の「河童」をモチーフにしながら、メッタメタに書き換えたとのことでした。
河童の国は合理的でした。余計なことを考えなくても済みます。65歳以上は殺されるため年金問題や老人医療費問題はありません。働く意志の無い者も殺されるので失業率はゼロです。そして、殺された河童は食料に回されるためみんな大喜びです。そして、そういうことを理解した上で、生まれてくる赤ちゃんは、自分の意志で生まれるか生まれないかを決めることができるようになっていました。
こんな風に割り切ってしまえば楽ですが、プリオンの問題があったり、働き蟻の二割が働かないように、好機や非常事態が発生した場合のバッファが無ければ種として存続できないことから、世の中には自分とは考えの異なる邪魔で鬱陶しい人間が存在して、自分の思うように行かない、簡単に結論の出せない社会になっているのでしょう。
大人は働かざるもの食うべからず、子供は勉強。保護者以外からの施しは受けない河童たちですが、ラストで河童の少年は人間の青年から肉まんを受け取りました。ちょっと人間風の考えを取り入れたことで、将来河童の自殺志願者になるのでしょうか。
その前に、河童たちは世の中の激変に対応できず、もう既に滅んでいるのかもしれませんね。
満足度★★★★
要チェック
休憩中にもドラマがありました。
ネタバレBOX
40分の芝居を稽古する話。アップ、二度の通し稽古、ダメ出しに休憩風景もあって今回はトータル3時間30分。
4時間の長編を書こうとしたが40分分しか書けず、しかもまだ稽古中で申し訳ありませんとの作演さんの弁で始まり、女優さんたちも次々にすいませんでしたと謝って始まり笑いました。
劇中劇は、反抗ばかりしてきた娘が結婚式の前日に亡くなった母に感謝の言葉を掛けようする話で、小、中、高、大、社会人一年生と現在26歳の私がそれぞれの感謝の言葉を述べようとしますが、どうしても素直になれず反抗的な言い方をしてしまうというものでした。過去の彼女たちは、恐らく生きていたら結婚式で述べようとしていた思い出と感謝の言葉の文章だったのでしょう。
過去の彼女たちは、それぞれお姫様、ソフトボールの選手、音楽への道へ進んだものと信じていましたが、そうはなっていませんでした。(マチネで観たお芝居と似ています。)
テンション高く、感情を込めるようにとのダメ出しが多かったと思いましたが、本当にそうなのかと思いました。無駄な箇所もあったと思いました。
演出家が好みの女優を贔屓したり、いじりやすい女優をいじりまくったりしていて楽しかったです。休憩中に、遅れてきたベテラン女優が若手女優をいじり倒して若手女優がいたたまれなくなるというシーンもあり、外出自由ですが見逃す手はありません。
一度目の通し稽古の後でダメ出しや台詞の変更があり、毎回ビフォアーアフターをやるのも結構大変だろうと思います。
そして恐らく千秋楽には最後のダメ出しは無いのだろうと想像します。
満足度★★★★
日常が冒険活劇
目立つ職業、特別な才能が無ければなれないような職業が全てであると思ったら確かに屍を越えて行けです。そして自分も屍になる覚悟が必要です。
ネタバレBOX
大食いファイターズと呼ばれていた女子高生グループにくっついていた小学生の道江は今や高校生になり、小説家志望の彼女は当時のことを冒険小説風にまとめました。グループの中でも特にカッコいいお姉さんと慕っていた香苗の住むカリフォルニアにメンバーたちが夏休みの休暇をとって集合するのを聞き、便乗させてもらいました。小説を披露して好評価を受けたものの、メンバーたちの日常が冒険に溢れ、夢に向かって生きる姿が眩しく映っていた過去と異なり、そこそこの現実を生きていることを知り、幻滅したり、自分は夢を叶えようと決意したりする話。
冒頭、たいこ役の舘そらみさんは下手側で下手側の方を向いて座り、客席にきちんと顔を向けないまま進行し、他の大食いファイターズのメンバーも顔と名前が一致しない段階で、途中から若手女優が高校時代の彼女らを演じ始めました。
最初間宮は高校時代を演じていたのに、間宮も含めて唐突にです。しかも若手女優は複数の役を演じるために、拉致されたメンバーを助けに行くのに拉致されたメンバーが九州に向かうように見える状況にはとてつもなく困惑しました。この段階では現在の姿を見せていたのは冒頭シーンに登場した間宮とたいこだけに過ぎなかったのです、今思えば。
確かに、子供の頃は年上の人は凄い大人に見えたものです。当の大人はいつまで経っても大した大人になれません。道江役の万里紗さんのはにかんだ様子や希望を熱く語る様子は素敵でした。
そして、大食いファイターズの今は、モデルになりたいと言っていた香苗は結婚して今まさに離婚しようとするところ、当時夢を持っていなかったという茜はキャリアウーマン、間宮はカメラマンの助手でまだ夢を追いかけているところ、たいこは映画監督になっていました。
満足度★★★★★
素晴らしい!
登場人物4人の濃密で本格的な家族の会話劇、堪能しました。
ネタバレBOX
ストックホルムの一室、登場人物は家族4人。幼い頃から気に入らないことがあると突然凶暴になったり突飛な行動を取り、自閉症とか鬱とか、様々な診断結果を受けつつ現在は統合失調症ということになっている息子(弟)トーマス、もうすぐ30歳。勉強はできたが、トーマスの世話に忙殺された母親や事業に専念している父親にかまってもらえなかったため常に孤独で、20歳頃から約20年間アルコールに依存し、飲酒が原因で重い障害を持って生まれてきて死んだ我が子のことが忘れられない娘(姉)エレン、現在教師。元女優で、夫と結婚後に男と逃避行をした経験を持ち、現在は演劇を楽しみ支援する金持ちの奥様を演じつつ、トーマスの世話で疲れ果てている母親(妻)のゲンネル。妻に夫婦生活を拒否され、それが妻の更年期の一時的なものであったにも拘らずそのようなこととは露知らず、以後妻には一切手を出さなくなり、現在は買収されそうな自分の事業のことで頭がいっぱいの父親(夫)カール。
劇場から戻ってくる図は普通の家族が外出から帰ってきたように見えましたが、実際はトーマスが退院したこともあり、一人暮らしをしているエレンを誘って観劇し、帰りたがるエレンを半ば強引に実家に連れてきて久し振りに家族4人揃った団欒を持とうとしたのでした。
元々バラバラな家族はやはりバラバラでした。少しずつそれぞれのことが分かっていく過程が素晴らしかったです。何があっても家族の関係は切れないとの母親の台詞に、婚姻中に生まれた子どもの父親は夫と推定するとの民法の規定を再確認した最高裁判決があった翌日でもあり、重いものがありました。
エレンは子供の誕生日である明日自殺しようと考えていました。本来は自分の家で死のうと思っていたのでしょうが、3人が別荘に行くと分かると、誘いを断り、最後は実家を死に場所と定めました。辛いことではありますが、やはり家族に発見してほしいと思うものかもしれません。
突然凶暴になるトーマスの演技は素晴らしかったです。ここで中嶋しゅうさんが見られるのも驚きです。そして何より、エレンの少しずつ酔いが回っていく様は秀逸でした。シアター風姿花伝の支配人でもある那須佐代子さんの演技に惚れ惚れしました。
子供を抱かなかったからいけないのか、抱き過ぎたからいけなかったのか、難しく、考えさせられました。
満足度★★★★★
【Aチーム】観劇
臨場感溢れ見応えありました。
ネタバレBOX
遠く離れた海岸で死んだ宮下の葬儀に行く途中、東海地震が発生し、城戸のマンションの地下駐車場に閉じ込められた教師と生徒たち。救出されるまでの十数時間の間に城戸とその子分が死亡。後日、宮下の同級生相楽が新聞記者に呼ばれ話し合いながら城戸たちの死は事故か殺人かの謎解きがなされ、さらに宮下の死の真相が明らかにされる話。
事なかれと思い、いったん便宜を図ると今度はその不正の事実を突いてきてとことん脅しまくるのが悪い奴らです。クラスにいじめがあることを知りながら認めようともせず、クラスから犯罪者を出したくない気持ちから、要するに自分の管理能力を否定されないようにとの自己保身から城戸が婦女暴行をしたとされる時間帯のアリバイ証言をしてしまった教師が城戸から脅され続けたことが事件の背景にありました。
教師は辻褄を合わせるために城戸たちの死を事故と見せかけようとしました。
宮下が教師に言った、「高校生には先生が重要なんです、辞めてください。」は厳しい言葉でした。私は高校の先生にそこまでは期待していなかったなと振り返りましたが、それはさておき、収入源を守りたい教師はとっさに反応してしまいました。
イヤーな高校生、真っすぐな高校生、器のちっちゃい教師、役者さんたちは好演でした。
水を飲み干すぞと言って、水を人質に取っての脅しはナンセンスでした。飲み干すには時間が掛かり、みんなで襲いかかればすぐに取り戻せますって。
新聞記者は宮下のお父さんから日記代わりの録音テープを借りて真相に辿り着いたようですが、宮下が死ぬ一日前に、明日教師と会うというメッセージがあったわけで、警察も教師のアリバイを調べたり、Nシステムで教師の車の動きを調べたりすれば真相が分かったはずなのに、そもそもお父さんはなぜ警察にテープ全てを聞かせなかったのでしょうか。お父さんは馬鹿かと思いました。
満足度★★★★★
究極の選択
このくらいのパラレルワールドが丁度いいと思いました。
ネタバレBOX
預かった金庫は単なる金庫ではなく、実は三種の神器の一つである剣を保管するためのものであり、タイムマシンでもあったということから起こる大騒動。
同時期に一人の人間がダブって存在したことによってタイムパラドックスが生じ、この世界や神話などの虚の世界が崩壊するということで、タイムパラドックスを解消するために、①ホワイトな選択として、せっかく競馬で10億円儲けたことをフイにしてまでリセットするか、②ブラックな選択として、ダブって存在した林修司さん演じる不動産屋の社員をそもそも歴史上存在しなかったことにしてみんなで10億円を山分けするかの究極の選択を迫られ、登場人物と観客全員が意思表示をしてエンディングを決めました。
林修司さんのファンが多いせいか、この回はホワイトな結末になりました。
ルドビコ★のパラレルワールド物といえば、 『深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~』が思い出されますが、深沢ハイツ302では金持ちになったかと思えばそんなこと無くなったり、もう作者の勝手でしょと言わんばかりに何でもありのパラレルワールドが延々と繰り返されました。その点本作品はスッキリしていました。
ただ、善良なお客さんが多いことや林修司さんのファンが多いことで、ホワイトな結末ばかりが演じられるようなことになれば少し残念です。最初から10億円を山分けしてウハウハしつつ、何かの拍子にかすかな記憶が蘇り、リセットするというのもありかなと思いましたが、先ずは単純に多数決によって、ブラックな結末である一人約60百万円を手にして大騒ぎする正直バージョンを見てみたいと思いました。
満足度★★★★
歌唱力もあって
ラストの演目にはグイグイ引き込まれ、大笑いしました。
ネタバレBOX
オムニバス6編による90分。
せっかく緑色の絨毯を買って喜んだのもつかの間、ツイてない男の話(『断水』 作:大西貴志)や、手品師はタヌキか人間か、好きな女性を巡る嫉妬心から起こるちょっと謎めいたミステリアスな話(『同じ穴の』 作:今城文恵(浮世企画))、夢か現か、簡単に脱出できる脱出ゲームの話(『脱ゲー』 作:ポリープタカシ)、友人に誘われて始めたボランティアのお陰で人生が好転し、就活に成功した学生の話(『Clean up bird』 作:大西貴志)、高校時代の片思いの子と二転三転、結婚できたのに別れたけれど、子どもは成長して今日結婚式を挙げるというトータルでは幸せの方が多いのかなと思われる平凡な男の話(『凡人の一生』 作:竜史(20歳の国))、そしてラストが伝統あるミュージカル研究会の存亡の危機に際して必死に勧誘する高校生の話(『土高ミュー研』 作:池田鉄洋(表現・さわやか))。
ラストが最高でした。それまでは正直言って、善行は報われる的な意外性のないストーリーでしたが、これだけはミュージカル曲に著作権の問題があるからと、意訳したような歌詞を付けて歌うのですが、それが本質を突いていて、しかも歌も上手く最高でした。
オペラ座の怪人では、要するに若い娘とやりたいやりたいと歌い上げ、確かにそういう内容だと大いに賛同しました。アナと雪の女王では、氷室、氷室、冬に降った雪を氷室に入れておくと、夏冷たい的な替え歌でとても面白く、大笑いしました。
満足度★★★
ちょっと
心配しました。
ネタバレBOX
自分が生まれた日のことを作文を書く宿題が出た町子とその家族、そして友だちやご近所さんの話。
親は町子を作った日のことは適当に盛って話をしてくれるものの、生まれた日のことはきちんと教えてくれないし、理想像に合わせようとしていた兄は挫折して東京から戻ってくるし、でも、お父さんのように選択肢はいくらでもあったのにお母さんと結婚して今の魚屋をやっている、Let it go、どんな生き方をしてもそれでいいということでしょうか。そして町子が生まれた日のことを思い出し、神輿に載せて町中で祝って、そーれワッショイワッショイって感じでした。
今回担がれたのは町子でしたが、担がれる価値はみんなにあるということだと思いました。
ところで、最初から全員が白い地下足袋を履いていました。ラストシーンで神輿を担いで奈落に落ちないように注意しながらグルグル回ることを考えると、一歩間違えると大怪我をしそうで確かに仕方ないのかもしれませんが、全くもって可愛くありませんでした。
満足度★★★★
隠し球
効果的でした!
ネタバレBOX
ベートーヴェン交響曲第九番に載せて80分の演技ということでしたから、合唱がないなとは思いました。そこに登場した男性がちょっとキューピーっぽい感じだったので役者さんによるパロディかと思いましたが、ちゃんとした男女の声楽家の人たちで、隠し球は効果的でした。
一限目の、新興宗教がああいう日課を繰り返させ、余計なことを考えさせないようにするのだなと感心しましたが、キュウリはしばらく食べたくなくなりました。
神様、仏様の願いが死にたいというのも面白かったです。地球滅亡の時に人間はロケットに乗せて一緒に連れて行くんだろうなと、像という意味ではなく脳内に載せてという意味ですが、彼らの意図に反して宇宙進出を果たさせるんだろうなと思いました。
満足度★★★
ヌメヌメ
一気過ぎて勿体無い限りでした。
ネタバレBOX
愛のあるセックスをすると感染発病する牛タン病。牛タン病に罹ると要するにバカになるらしいのですが、そんな可哀想な牛タン病の作業員が組み立てた段ボール箱を一箱8,000円で売っている工場の話。
阿漕な商売ですが、詐欺にならないように作業工程は律儀に行っていて、意外に真面目でした。
ワカメを口から出したり、食べ物をぶつけあったりしていましたが、かつて見るに耐えなくなって帰りたくなった『乳首鎹』ほどの嫌悪感はありませんでした。
千秋楽ではありましたが、次の回までに食べ物拾って、バケツ一杯分のヌメヌメローションが広がった床を拭いて乾かして、役者さんもシャワー浴びて、洗濯して乾かしてで、後始末が大変でしょうね。
20歳の国『保健体育』以来でしたが、外国人風で、のっぺりしていて、歌も上手いし、ぶっ飛んだこともできる、長井短さんっていいですね。
満足度★★★★★
距離感と、
距離感の変化が良く表現されていました。
ネタバレBOX
イラク戦争の取材中に死にかけの負傷をしたフォトジャーナリストのサラが、現地の病院で付き添ってくれたジェイムズとともにニューヨークに戻り、リハビリを経て、リハビリ中に人間関係を再構築して、再び取材のために戦地に赴こうとする話。
登場人物はフォトジャーナリストとして使命感に燃えたサラ、編集部員としてジャーナリストと営業マンの両面を持つリチャード、サラとともにイラクに行っていたものの、取材中に目の前で爆発が起こり、肉片等を浴びて精神的に参り帰国していたジェイムズ、リチャードの恋人でイベントプランナーをしている若いマンディの四人。
そこにもう一人、ジェイムズが帰国した後でサラが愛するようになったフィクサーのタリクが重要人物として存在していました。タリクはサラが負傷した際に死亡しましたが、ジェイムズからすると今もなお嫉妬の対象でした。
当初の戦争報道に対する熱意は、サラ、ジェイムズ、リチャード、マンディの順でしたが、最終的にはサラ、リチャード、ジェイムズ、マンディの順となりました。
マンディは私に近い存在でした。サラに、どうして死にかけの子どもがいるのに助けないのと聞きます。サラは、悲惨な状況を世界に伝える使命感を話し崇高振っていましたが、別のシーンで現地の人から写真を撮るなと叱責され倫理的に苦しんだことも告白していました。また、悲惨な方にばかり興味を示すサラやジェイムズに対し、明るい現実を見ることも大切だと力説していました。さらに、マンディは、リチャードが話した例え話の内容を聞いてくれました。薬物中毒で死んだロック歌手とその恋人の名前のことでしたが、そんなん知らんがなでした。
サラとジェイムズはいったんは結婚したものの別れました。リチャードの出版社から出すサラの写真集の文章を担当したジェイムズは、下書きの段階ではタリクの存在を一切無視した書き方しかできませんでしたが、サラとの生き方の違いを悟り達観した後は、フィクサーとしてのタリクの存在の大きさを感謝する形で表現することができるようになりました。
そのフィクサーですが、フィクサーとは取材の段取りをつける人のことで、フィクサーなしでは何もできないと言われると、取材そのものの在り方に何がしかの虚しさを覚えます。
マンディは赤ちゃんを産んでから子育ての重要さに目覚め、仕事に復帰することをやめました。ジェイムズは戦争から離れた感じの作家兼ジャーナリストの方向に舵を切り、穏やかになり、新しいパートナーも見つかりました。そして、サラは戦地に向かうことになりました。
ところで、サラがファインダーを覗くラストシーンは必要だったのでしょうか。サラは右目を閉じてから望遠レンズを付けたキヤノン製のカメラを構えました。常に周囲の状況を把握しなければならない戦場カメラマンがそもそも片目を閉じて写真を撮るのでしょうか。人それぞれだとしても、そんなに初めから片目を瞑るものでしょうか。余計な所作で馬脚を現してしまったように思えて仕方ありませんでした。
満足度★★★★
美男と可愛い
やはり月が綺麗ですねでした。
ネタバレBOX
狼人族と吸血族のロミジュリ。
吸血族の王様は好戦的。狼人族の王様は平和主義ですが、クーデターを画策する家臣がいて、吸血族の王位継承の象徴である帽子が盗まれた事件や二つの族を越えた恋愛を契機に協定違反ということで戦争を起こそうとしました。戦争をするにはきっかけは何でもいいんですね。
王様同士の殺陣は迫力がありました。
狼人族の若き王子が新しい王となり、吸血族の王女が后となってハッピーエンド。生まれる子どもが怪物になるというのは本当なのか、伝説なのかは未だ分かりません。
しかし、どうしてまた急に死神が現れたのでしょう。吸血族の王が、平和だと女の子ばかり生まれ男子が不足して民族が滅んでしまうと、まことしやかな説を唱えていましたが、生きているものがいなくなっては商売あがったりということで地下世界をかき回しに来たのでしょうか。
満足度★★★★
御一行様
普段の会話が大切です。
ネタバレBOX
東京で働いていた犬飼美紗子が父の急な死で岡山に帰り、遺品整理の途中でタイムスリップしたのか、尊敬する武士であった父親の死に際して自殺幇助をするような形で関わったことで鬼の心を持ってしまい、民衆を搾取するようになった野武士とその一味を、ピーチボーイズと名乗る名前の一部に桃、猿、雉が付く放浪の三人組や地元民たちと協力して退治することで、この土地を守ってきたご先祖様の労苦を偲び、この地で父の跡を継いで農業を続けようと決意する話。
今から200年前の文政時代ということでしたが、その頃、岡山藩以外に農民から搾取できるような立場の人間が存在したのかはなはだ疑問でした。七人の侍のように戦国時代が合うのかなと思いました。
美紗子のタイムスリップ時の衣裳が、毎年開催されている桃太郎祭りの衣裳だったというのが、何とも飲み過ぎてそこらじゅうを引っかき回した感満載で、夢オチとして処理できるもので、とても良い構成だと思いました。
そういう村の歴史はきちんと文書に残したり、生前子どもたちに話して聞かせないといけませんということです。ね、お父さん。
満足度★★★★
星たちのファンタジー
彗星からすると、地球と月の関係は特別に見えるのでしょうね。
ネタバレBOX
孤独なアイソン彗星からすると、地球と月は近くて羨ましい関係だと思うのに二人は喧嘩ばかり。実際は痴話喧嘩だったのかな。アイソン彗星も憧れの君を作ろうとして太陽を選び、太陽に近づいて行って消滅しましたみたいな、星を擬人化したようなファンタジー。
月のお陰で地球に落ちてくる隕石が少ないのかもしれませんね。月の背中が汚いなんて自虐ネタ言わないでください。勲章です!
アイソン彗星のダンスはそんな感じで素敵でした。アイソン彗星がダムウェーターの中に入って消滅したときは、もし動いて事故にでもならなければと心配でした。一階から地階へのはしごも気をつけてほしいと思いました。
満足度★★★★★
面白い視点
なしお成さんが面白い!
ネタバレBOX
国民から選ばれた陪審員が過去の裁判記録を基に検証する仮想現実陪審「オシラス」という制度に基づき、江戸時代に放火犯として死罪となった小間物屋伝兵衛についての一件を12人の陪審員が陪審する話。
早く帰りたい者がいたり、仕切りたがり屋がいました。奉行所の記録から当初の印象は全員が死罪が妥当という意見でまとまっていましたが、むしろを敷いた機械に座って当時の記憶や感覚を疑似体験してから意見が分かれました。
結論としては、店を開いたばかりのせんべい屋のチラシに「かし」という文字があり、それを伝兵衛が火事が起きると勘違いしたことと、せんべい屋が新商品開発のためにかまどの火を起こしすぎて火がチラシに燃え移り、それを水が入っていると思い込んで空の桶の中に放り込んだことによって実際に火事なったことが重なった事件のようで、冤罪、伝兵衛は無罪ということになりました。
今回は納得行く真相に辿り着いたと思いますが、疑似体験できなかった者が話を捏造したり、疑似体験できたとしても話を盛ったりすることもあり、究極のパラレルワールドになりかねません。せんべい屋の証言と桶の感じた感覚といった証言同士の突き合わせが重要だと思いました。
なしお成さん、お調子者で面白かったです。桶の気持ちを感じ取った重要な役回りでもありました。
着席してからはほとんど移動することもなく、絵的には物足りない感じがしました。