永遠の一瞬 -Time Stands Still- 公演情報 新国立劇場「永遠の一瞬 -Time Stands Still-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    距離感と、
    距離感の変化が良く表現されていました。

    ネタバレBOX

    イラク戦争の取材中に死にかけの負傷をしたフォトジャーナリストのサラが、現地の病院で付き添ってくれたジェイムズとともにニューヨークに戻り、リハビリを経て、リハビリ中に人間関係を再構築して、再び取材のために戦地に赴こうとする話。

    登場人物はフォトジャーナリストとして使命感に燃えたサラ、編集部員としてジャーナリストと営業マンの両面を持つリチャード、サラとともにイラクに行っていたものの、取材中に目の前で爆発が起こり、肉片等を浴びて精神的に参り帰国していたジェイムズ、リチャードの恋人でイベントプランナーをしている若いマンディの四人。

    そこにもう一人、ジェイムズが帰国した後でサラが愛するようになったフィクサーのタリクが重要人物として存在していました。タリクはサラが負傷した際に死亡しましたが、ジェイムズからすると今もなお嫉妬の対象でした。

    当初の戦争報道に対する熱意は、サラ、ジェイムズ、リチャード、マンディの順でしたが、最終的にはサラ、リチャード、ジェイムズ、マンディの順となりました。

    マンディは私に近い存在でした。サラに、どうして死にかけの子どもがいるのに助けないのと聞きます。サラは、悲惨な状況を世界に伝える使命感を話し崇高振っていましたが、別のシーンで現地の人から写真を撮るなと叱責され倫理的に苦しんだことも告白していました。また、悲惨な方にばかり興味を示すサラやジェイムズに対し、明るい現実を見ることも大切だと力説していました。さらに、マンディは、リチャードが話した例え話の内容を聞いてくれました。薬物中毒で死んだロック歌手とその恋人の名前のことでしたが、そんなん知らんがなでした。

    サラとジェイムズはいったんは結婚したものの別れました。リチャードの出版社から出すサラの写真集の文章を担当したジェイムズは、下書きの段階ではタリクの存在を一切無視した書き方しかできませんでしたが、サラとの生き方の違いを悟り達観した後は、フィクサーとしてのタリクの存在の大きさを感謝する形で表現することができるようになりました。

    そのフィクサーですが、フィクサーとは取材の段取りをつける人のことで、フィクサーなしでは何もできないと言われると、取材そのものの在り方に何がしかの虚しさを覚えます。

    マンディは赤ちゃんを産んでから子育ての重要さに目覚め、仕事に復帰することをやめました。ジェイムズは戦争から離れた感じの作家兼ジャーナリストの方向に舵を切り、穏やかになり、新しいパートナーも見つかりました。そして、サラは戦地に向かうことになりました。

    ところで、サラがファインダーを覗くラストシーンは必要だったのでしょうか。サラは右目を閉じてから望遠レンズを付けたキヤノン製のカメラを構えました。常に周囲の状況を把握しなければならない戦場カメラマンがそもそも片目を閉じて写真を撮るのでしょうか。人それぞれだとしても、そんなに初めから片目を瞑るものでしょうか。余計な所作で馬脚を現してしまったように思えて仕方ありませんでした。

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    2014/07/13 10:06

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