ロンドン版 ショーシャンクの空に
東宝
シアタークリエ(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/29 (月)公演終了
満足度★★★★
こちらは王道作品でした
以前観た河原演出舞台は、映画とは全く趣が異なる、意表をつく作りで、舞台としての意外性には富んでいましたが、どうも映画ファンからすると、あまりにも別物で、違和感も感じて観ていました。
こちらは、映画と同じストーリー運びでしたが、映画以上に、終始暗い雰囲気ではありました。
前者と後者の中間ぐらいが一番観たい舞台ですが、どちらかを選ぶなら、今作を選びます。
アンディとレッド以外の囚人達も、皆さん芸達者な方ばかりで、それぞれ存在感があって、リアル度も、今作の方が高かったように思います。
最後のシーン、舞台だと白けないかなと心配でしたが、さすが、白井さん、舞台人としてのご経験が長いだけに、舞台ならではの表現法を心得ていらして、感服しました。ただ、スタッフの力量がちょっとそれに見合わなかったような気配が感じられたのは、やや残念でした。
何となく、また再演があればいいのにと思う舞台でした。
モーツァルト!
東宝
帝国劇場(東京都)
2014/11/08 (土) ~ 2014/12/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
やはり珠玉の名作ミュージカルでした
井上ウ゛ォルフガング楽を拝見しました。
先日の観劇時は、長期公演の弊害的な惰性めいたものを感じてしまったのですが、さすが、この日は、井上さんの、東京公演楽日ということで、役者陣の気合も半端なく、名作ミュージカルの味わいがたっぷりでした。
それぞれの登場人物のソロナンバーが、珠玉の名曲ばかりで、一々、歌詞が深く胸に沁みて、涙腺が緩みっぱなしになりました。
初演の頃は、キャストの歌唱力に、バラつきがあり、特に、せっかくの「星から降る金」の名曲が泣くようなキャスティングの時もありましたが、今回のキャストは、歌唱力がある方ばかりなので、安心して、舞台に陶酔できて、ありがたく思いました。
GREAT EXPECTATIONS -大いなる遺産-
Studio Life(スタジオライフ)
シアターサンモール(東京都)
2014/12/18 (木) ~ 2015/01/12 (月)公演終了
満足度★★★★
やっとテーマが見えた気がします
「大いなる遺産」は映画で観たのですが、その時は、何だかだからどうした?という印象しか受けず、あまり好きな作品ではありませんでした。
でも、スタジオライフがやるなら、きっと、私にも理解できる作品になるのではと期待して、拝見しました。
案の定、映画より、ずっと深みを感じる作品に仕上がっていました。
Bowlerhatチームを拝見しましたが、笠原さん、松本さん、及川さん、山本さん、奥田さん、石飛さんなどの、ベテラン勢の好演もあり、それぞれの人物の造形が深く掘り下げられている印象がありました。
ライフの役者さん達の、発声が、きちんとしているのにも、感心しました。
その夜、家に帰って観た音楽番組に、出演していた、ある男性集団グループの発声があまりにも酷かったので、余計、ライフの役者さんの日頃の精進を体感できたことを嬉しく思いました。
亡くなられた河内さんも、さぞ喜んで、天国から見守っていらっしゃるのではと思いました。
くれない博徒
蜂寅企画
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/12/25 (木) ~ 2014/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★
役者力も殺陣も、セットもスケールアップ
蜂寅は、旗揚げ公演からほとんど拝見していますが、観る度、劇団力がアップしているなと実感させて頂いています。
内容的には、「リア王」とか、それをモチーフにした「天保12年のシェークスピア」に想を得たような雰囲気を感じましたが、所々に、中尾さんらしい、独自の気の利いたセリフが配されて、エンタメ作品としても、一定のレベルに到達していたことを嬉しく感じました。
蜂寅お馴染の役者さん達に、それぞれ、華が具わって来たなあと、それも嬉しく思いました。
殺陣が、以前より、迫真度が増して、時代劇としての体裁が整いつつあると実感させて頂きました。
今回のセットは、更に、重厚度が増して、洒落ていて、大変気に入りました。
星ノ数ホド
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/21 (日)公演終了
満足度★★★
全てが頭脳ゲーム的
想像していた以上に、頻繁に同じようなシーンが繰り返される芝居で、これは、脚本家も、演出家も、キャストも、観客も、すべての人に頭脳ゲーム的思考を強いられる作品だと感じました。
決して、わかりにくくはないのですが、特に最初のシーンは、あまりにも頻繁に、あらゆる可能性を示唆したセリフのやりとりが何度も繰り返されて、舞台の世界観に浸るような雰囲気にはなれず、もう少し、人間描写を主体に据えた作品であれば、良かったように感じました。
後半になるにつれ、演劇作品としての異彩を放つ構成なだけに、最初のシーンの人工的な技巧がマイナスに感じてしまいます。まるで、最初の方は、役者のワークショップを見学しているような気分になりましたから。
新しい祝日
イキウメ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/11/28 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★
もっと毒を効かせてほしいと欲が出る
前川さんのイキウメにしては、あまり意外性がないのが意外でした。
浜田さんが主役なのは、個人的に嬉しかったのですが…。
いつもの群像劇風な感じではなく、主要キャストが、浜田さんと安井さんのお二人というのは、構成的には新鮮でしたが、それが、逆に、前川風味を抑えてしまったように感じました。
部活のシーンが、長くて、単調なので、もちろん、その単調さが、テーマだったのだろうとは思いつつ、眠くなりました。
十一月新派特別公演
松竹
新橋演舞場(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/25 (火)公演終了
満足度★★★
勘九郎鶴次郎は時期尚早
「鶴八鶴次郎」は、大好きな作品で、10代の頃から何度となく観ました。
物心ついた頃から、新派の舞台は、招待券で軒並み拝見させて頂いていましたが、あまり新派好きでない私の、これは一番好きな演目でした。
鶴八役は、先代の八重子さんが、最高でした。
鶴次郎は、18代目勘三郎さんの最後のシーンの名演技に泣かされたことが、記憶に新しいところです。
大好きな作品ですから、若い中村屋兄弟が、どう演じて下さるのか、とても楽しみに観に行きました。
七之助さんの鶴八は、初役にしては、及第点だったと思います。
でも、残念ながら、勘九郎さんの鶴次郎は、まだまだでした.
もう少し、年齢を重ねた後の、勘九郎鶴次郎に期待したいと思います。
「京舞」の方は、この日のゲスト女優さんが、勘三郎さんを語るのを観たくないため、失礼して、帰宅しました。
ブロードウェイミュージカル「Once ダブリンの街角で」
キョードー東京
EX THEATER ROPPONGI(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
アイリッシュバーの空気感を満喫
開演前と、幕間に、舞台上のアイリッシュバーが、本当に営業しているのが、心憎い演出。
セットがよくできていて、そのまま、芝居が始まるので、何となく臨場感を持続して、ステージの空気に溶け込めそうな雰囲気が素敵でした。
でも、残念ながら、開幕まで、「撮影禁止」の大きな看板を抱えて係のお姉さんが客席を縦横無尽に歩き回ったり、スーツの緊張しまくった若い男性係員が、SPさながらに、舞台の両サイドから、客席を監視していたり、舞台上のアイリッシュバーの客が、何気なく、セットの椅子に座ると、即座に、係員に注意勧告を受けたりと、出演者が作りたい和やかな空気を遮断してしまうかのような、制作サイドの過剰な気配りに、かなり違和感を感じてしまいました。
せっかく、舞台を解放するような粋な計らいをしているのに、任務遂行に忠実な日本側スタッフの仕事ぶりははっきり言って、空気読めない感満載でした。
舞台が、始まってからの、ステージ進行は、シンプルながら、アイルランドのバーを見事に再現したような、洒落た演出で、大いに楽しめました。
ただ、活気ある1幕に比べて、2幕の終盤は、普通のセリフ劇の趣きになり、楽曲が、バラード調であることも手伝って、やや眠くなる場面もありました。
吉良ですが、なにか?
アタリ・パフォーマンス
本多劇場(東京都)
2014/11/21 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
吉良でないですが、なにか?
とタイトル変更した方がいいのでは?と思うくらい、全く、忠臣蔵ものとも吉良上野介とも、無関係この上ないコメディでした。(笑い)
でも、最近、心が疲弊しきっていて、とても重たい芝居は観る気になれないでいましたから、この緩い感じのコメディは、打ってつけの心の処方箋jになったようです。
伊東さんのご子息の孝明さんと、鶴瓶さんのご子息の駿河太郎さんの、愛嬌のある演技に、心がほっこりしました。
安心のキャストで、心行くまで、ただ単に笑いたい方には、おススメ舞台ですが、忠臣蔵との共通性や意外性を求めて、観劇される方は、きっとはぐらかさせて、「だから、何?」となりそうで、あまりおススメはできません。(笑い)
ファースト・デート
東宝
シアタークリエ(東京都)
2014/11/22 (土) ~ 2014/12/04 (木)公演終了
満足度★★★★★
愉快痛快ミュージカルを満喫
それほど期待せずに観に行きましたが、このところの、身近な人間の不誠実極まりない行状に、憤怒の感情が渦巻いて、爆発寸前だった私の心の鎮静剤になるような素敵で小粋なミュージカルでした。
つくづく観劇が趣味で良かったと思うこの頃です。
中川さんと新妻さんの初共演は、相性も抜群で、実に新鮮な組み合わせでした。
共演者の演技も歌唱も、そつがなく、舞台構成も演出もお洒落で、ユーモアに溢れ、万人が楽しめるミュージカル作品に仕上がっていました。
最近、心がイラつく人には、おススメです。
あ、それから、男女の機微に疎い方にも。(笑い)
モーツァルト!
東宝
帝国劇場(東京都)
2014/11/08 (土) ~ 2014/12/24 (水)公演終了
満足度★★★★
初育三郎ウ゛ォルフガング
前回の育三郎さんの公演は見逃していたので、初めて、今回拝見しました。
初演時は、通いまくった「モーツアルト!」でしたが、数年ぶりに拝見して、どこか、出演者に、長期公演にありがちな惰性があるのではと気になりました。
期待した、花總さんのナンネールでしたが、高橋由美子さんの姉の悲哀表現が忘れられず、少し、薄味のナンネールだと感じてしまいました。
アマデの存在感は、相変わらず、この作品の核ですね。
ソニンさんのコンスタンツェは、歌唱力抜群で、安心して観られましたが、彼女の可愛らしさがもう少し露出できたら、良かったかなと思います。
ブロードウェイから45秒
加藤健一事務所
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2014/11/06 (木) ~ 2014/11/15 (土)公演終了
満足度★★★★
全員善人芝居
出演者も演技力抜群な方ばかり。カトケン事務所公演。大好きなニールサイモンと聞いて、ずっと心待ちしていた公演でした。
ニールサイモンらしい、人情の機微が詰まった素敵な芝居でしたが、どうも、心なし、物足りない気分にならないでもない。
どうしてかなと思ったら、誰もが善人過ぎて、登場人物間に、ほとんど摩擦も葛藤も生じないからかなと思いました。
実際の社会が殺伐とし過ぎているから、せめて、芝居の中でぐらい、こういう緩やかな人情噺に浸りたいという方には、とてもおススメしたい作品でした。
黄昏にロマンス ―ロディオンとリダの場合―
(公財)可児市文化芸術振興財団
吉祥寺シアター(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/10 (月)公演終了
満足度★★★★
良い芝居には人が集まるを実感
いやあ、驚きました。実は、このチケット、9月に早々と予約していたというのに、雑事に追われ、発券をコロッと忘れていて、仕方なく、当日券に1時間45分前に並んだのです。そうしたら、私の前に既に12人が並んでいらして、その後も列は果てしなく続くのです。その皆さんの年齢に驚きました。
還暦の私さえまだひよっこと思える程、後期高齢者の方々が杖をついて、列に並んでいるのです。
ある方は、「一度観たけどまた観たくて…」、またある方は「、関西からの上京のついでに、素敵な芝居が観たかったから…」と、同じ関西の方と意気投合して、長時間の待ち時間も苦にならない様子で、観劇を心待ちしていらっしゃる。
観劇前に、こんな素敵な光景を見て、演劇ファンとして、至上の喜びを感じました。
熟年の平さんと渡辺さんのコンビは、カトケン事務所の加藤さん、戸田さんコンビよりは、ドラマチックな展開ではなく、静かに心の交流を深めて行くといった、日常の機微を丁寧に再現される演じ方で、味わい深い舞台でした。
渡辺さんが、ご主人様を亡くされたばかりなことを知っているので、より、胸に響く作品になったのかもしれません。
SINGIN'IN THE RAIN ~雨に唄えば~
パルコ・プロデュース
東急シアターオーブ(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
最高のエンタメステージ
昔映画で夢中になった「雨に唄えば」。正直言えば、観る前は不安もありました。
アダム・クーパーがミュージカル俳優なわけではないので、歌唱力や、セリフなどにどの程度の力量があるのかが不明だったからです。
でも、その心配は杞憂でした。映画のイメージを壊すことなく、しかも舞台作品としての魅力も加味されて、本当に看板に偽りなしの、誰もが微笑まずにはいられない、愛すべきミュージカルステージでした。
しかも、カテコで、撮影許可が出るのが嬉しい!
とても、お洒落で心がホッコリする、素敵なショータイムを堪能しました。
個人的に、記念すべき日に、愛する息子と観劇できて、幸せな一夜の思い出ができました。
扉座イカサマ歴史劇シリーズ第1弾 『おんな武将NAOTORA』
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2014/10/23 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★
横内脚本の台詞の質感の問題
そうそう、昔から、スーパー歌舞伎などで、横内さんの時代劇をずいぶん拝見してきましたが、大劇場の歌舞伎公演でない時に、漠とした違和感のようなものをどこかに感じていたのです。
その違和感の理由を、今回の観劇で、初めて納得できました。
扉座の皆さんの演技は、押しなべて、実力を感じさせて下さる方が多いし、客演主演の有森さんの居住まいは、当て書きだということもあり、誰よりも魅力的でした。
でもでも、こういう舞台空間での、横内さんの書かれるセリフの洪水には、どうも眠気が誘発されてしまいます。たぶん、どの登場人物も、真っ正直に、心情吐露し過ぎのセリフの山だからではないでしょうか?
ジャンヌ・ダルク
TBS
赤坂ACTシアター(東京都)
2014/10/07 (火) ~ 2014/10/24 (金)公演終了
満足度★★★★★
あっぱれ初舞台
当初観る予定はなかったのですが、家族が観たいと言うので、行って来ました。
私としては、堀北ジャンヌの印象があまりにも鮮烈だったので、有村さんのジャンヌには、正直それほどの期待感はなかったのですが、脚本にも、演出にも、有村ジャンヌに即した工夫があり、熟練男優陣のまさに助演にも助けられて、お見事な初舞台、初主演舞台を務めていて、あっぱれの出来映えでした。何よりも、意外にも低音の響き渡る有村ジャンヌの発声に驚きました。
傭兵役の堀部さん、尾上さんが、共に好演。
ジャンヌ・ダルク物って、ともすると、キリスト教に精通していない日本人には、わかりにくい作品が多い中、中島さんの脚本は、万国共通、どの宗教理念の人にでも、共感しやすい切り口で、ストーリーを形成しているので、最後まで、気持ちが遊離することなく、舞台に集中することができました。
視覚効果で、戦況を表現したり、戴冠式の重厚感を、照明一つで、表出したり、スタッフ技術の賜物の、舞台芸術を堪能させて頂きました。
鷗外の怪談
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/10/02 (木) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
たらればで、三兎社の一員になりたかった
私と同年代の永井さんは、高校から演劇を始められて、大学時代に二兎社を結成されたのですよね?
その頃、永井さんとお知り合いになれて、私も加えて頂けていたらなんて、たらればの妄想が膨らむぐらい、「永井愛さん健在」の喜びを感じさせて頂ける秀作舞台でした。
たぶん、永井さんて、全くのオリジナルストーリーで勝負されるより、ある程度の史実や実在人物を、永井流にアレンジした芝居に仕立てる方が、劇作の真骨頂を発揮されるタイプの作家なのではと感じました。
大逆事件を扱いながら、こんなに笑える芝居を書けるなんて、凄すぎると思いました。
それに、どの役者さんも、実に生き生きと役を演じていらっしゃる。普段、演技の仕方が苦手な若松さんも、今回初めて、好きだという思いで、賀古鶴所役を演じていらっしゃる若松さんの演技を楽しませて頂けました。
実在の人物と、役者さんが、どこか面差しが似ているのも、一興でした。
芝居で語られるたくさんの書物をどれも読んでみたくなりました。
炎 アンサンディ
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2014/09/28 (日) ~ 2014/10/15 (水)公演終了
満足度★★★★
岡本健一さん、圧巻
奇しくも、北海道の大学生が、イスラム国戦闘に参加する寸前に、公安に事情聴取を受けたというニュースを耳にした日にこの芝居を観ました。
いよいよ、日本人にも、中東問題が卑近な出来事になったと衝撃を受けたばかりだっただけに、より心に食い込む芝居として印象深く観劇しました。
役者さんあってこそ、成功した舞台だと感じます。
中でも、岡本健一さんの、「狂演」とも呼べそうな熱演ぶりには、臨場感があり過ぎて、胸が押しつぶされそうでした。
ただ、最終場面の描き方が、急にリアルさが薄れ、演劇的な雰囲気になったのには、若干違和感を感じました。(「レミゼラブル」のラストシーンを彷彿としました)どなたかも指摘されていたように、いきなり、双子の子供達にアウエイ感を感じてしまって…。
中東版のギリシャ悲劇的なストーリー展開。
麻実れいさんの立ち姿が美しく決まって、元宝塚男役トップの面目躍如といった見た目の感動もありました。
ミュージカル『ファントム』もう一つの“オペラ座の怪人”
梅田芸術劇場
赤坂ACTシアター(東京都)
2014/09/13 (土) ~ 2014/09/29 (月)公演終了
満足度★★
とてもプロの演出とは思えず…
城田さんがファントム演じると知らされた時からずっと待ち焦がれていた公演でしたが、心底ガッカリしました。
この作品は、宝塚で2度、大沢さんのファントムで、一度観ていて、その度感動した舞台でした。
以前、城田さんがコンサートで、この楽曲を見事熱唱され、大変期待に胸を膨らませて観劇したのですが、キャストのせいではなく、あまりにも、演出がチープで、セットも、この作品の世界観を壊す作りで、その上、役者の出捌けが、ご都合主義で、ストーリーの流れを分断し、矛盾だらけで…。
随所に、あり得なさ満載の、残念極まりない舞台になっていました。
せっかく、山下リオさんのクリスティーヌの歌唱も良かったのに…。
ザ・ヒストリーボーイズ
シーエイティプロデュース
世田谷パブリックシアター(東京都)
2014/08/29 (金) ~ 2014/09/14 (日)公演終了
満足度★★★
日本での上演の難しさを痛感
興味深い内容、興味深い出演者、スタッフに惹かれて、楽しみにしていた公演でしたが、如何せん、歴史教育を題材にした作品故、自国での上演なら、観客の共通認識があって、当然説明不要の部分が、日本人には、一般的に理解困難な台詞や設定があって、充分理解するには、骨が折れる舞台だと感じました。
また、生徒役のキャストも、見分けがつかないメンバーが若干いたことや、役名と人物認識に時間が掛かったことも、作品世界に同化するのには、悪条件だったように思います。
とは言え、斬新な演出、琴線に触れる台詞、松坂さん、太賀さん、中村さん等、若手キャストの好演もあって、退屈に感じる瞬間は、微塵もありませんでした。
これが、他の教科の話だったら、もう少し、万国共通の教育問題演劇作品として、多くの観客に受け入れられやすい作品になったのかもしれませんが、でも歴史教育をテーマにしているからこその、作品の深さも感じるので、評価は難しいところですね。
イギリスの歴史に精通している方になら、自信を持って、おススメできる佳作舞台だと思います。