ザ・ヒストリーボーイズ 公演情報 シーエイティプロデュース「ザ・ヒストリーボーイズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    日本での上演の難しさを痛感
    興味深い内容、興味深い出演者、スタッフに惹かれて、楽しみにしていた公演でしたが、如何せん、歴史教育を題材にした作品故、自国での上演なら、観客の共通認識があって、当然説明不要の部分が、日本人には、一般的に理解困難な台詞や設定があって、充分理解するには、骨が折れる舞台だと感じました。

    また、生徒役のキャストも、見分けがつかないメンバーが若干いたことや、役名と人物認識に時間が掛かったことも、作品世界に同化するのには、悪条件だったように思います。

    とは言え、斬新な演出、琴線に触れる台詞、松坂さん、太賀さん、中村さん等、若手キャストの好演もあって、退屈に感じる瞬間は、微塵もありませんでした。

    これが、他の教科の話だったら、もう少し、万国共通の教育問題演劇作品として、多くの観客に受け入れられやすい作品になったのかもしれませんが、でも歴史教育をテーマにしているからこその、作品の深さも感じるので、評価は難しいところですね。

    イギリスの歴史に精通している方になら、自信を持って、おススメできる佳作舞台だと思います。

    ネタバレBOX

    大学入試に向けて、正統派の教育をする若いアーウインという教師と、自己流の考え方で、生徒に人生を教えようとする、いろいろな意味で型破りな老教師ヘクターの二人の男性教師と、女性教師のリントット。ここに、学校を経営面と評判でしか測れない校長と8人の男子高校生が加わる12人だけの舞台。

    モノトーンの簡素な舞台に、大きくグレーの床が設置してあるのかと思えば、それを生徒達が破って、メモにしたり、答案にしたりで、内心かなりな衝撃を受けました。(笑い)
    長く、演劇を観て来ましたが、ここまで、意表をつく演出は初めて観た気がします。

    浅野さんの、授業の台詞が、3階席ではちょっと聞き取り辛かったのが、残念。

    アーウインが、何かと言えば、口にする、ヘンリー8世のたとえなど、イギリス人には百も承知の歴史事項がたくさん出て来るので、歴史認識があまりない観客向けに、芝居に関連ある事項についての、無料の資料配布などがあれば、内容を理解するのに、役立ったのではないかと思うのですが…。

    リントットの言う、何故歴史教師には、女性が少ないかという説には、しごく納得。
    結局、歴史は、単細胞の男達が作るものだから…。
    そう言われれば、女性が歴史を動かしていれば、もっと、戦争の少ない歴史があり得たのかもと思ってしまいました。

    ヘクターが、事故で亡くなった理由が、ちょっとシニカルで、笑えました。ある意味、深い悲哀を感じてしまう。こういう部分も、日本人気質では、理解し難い設定かもしれません。

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    2014/09/17 20:04

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