消失
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
やはり破格の劇団だ!!!
噂には聞いていた、「消失」、高浜原発再稼働が色濃くなった日に、ようやく観ました。
今年の数々の政府与党の暴挙に、新聞のコラムで、異を唱えていたケラさん。
いろいろな思いから、11年ぶりの再演に踏み切られたのでしょう。
あまりにも、示唆的で、何度か落涙しそうになりました。
後ろの席の女性が、閉幕後、ずっと号泣していて、連れの男性が困惑していましたが、私には、彼女の気持ちが推量できました。きっと、心に深く突き刺さったのでしょう。
久しぶりに観たナイロンの役者さん達は、皆さん、役者としての貫禄がついて、やはりこの劇団は不動だと、感嘆してしまいました。
相変わらず、外のセットの使い方も、絶妙。
イブの日だと言うのに、客席は、補助席まで、満席でした。
同じような、舞台設定だけれど、「ひょうたん島」とはえらい違い。
漂流劇 ひょっこりひょうたん島
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/12/15 (火) ~ 2015/12/28 (月)公演終了
満足度★
串田演出は、性に合わないみたい
人形劇を夢中になって観ていた世代で、井上さんも出ると言うので、期待していました。
でも、どうも、肩透かし。
私は、串田さんのシュールな演出は、不向きな人間のようです。
意味不明だし、脈絡のない進行に、何度も、白河夜船になりました。
ただ、博士役の山下リオさんは、新鮮な良い味を出していたし、井上さんが登場すると、やはり舞台が映えるのは事実。
NHKのEテレの幼児番組風だったり、ベケットの芝居のようだったり、ちぐはぐな場面の連続に、首をかしげてばかりでした。
シュールでもいいのですが、もう少し、流れを形にしてほしかった気がします。
招かれざる客
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/12/17 (木) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★
招かれざる会場係
タイトルに掛けて、ふざけてみましたが、実は相当へこんでいます。
青年座は、創立から、亡父も応援していた老舗劇団で、この劇団の役者力と、舞台スタッフ力には、いつも感服するのですが、どこでも、負の要因はあるものなのか、会場スタッフが、その劇団力に、水を差す場合が、多々散見されて残念でなりません。
今日は、3点、その負の要因がありました。
誰も、自由席は、席番号がないところだと教えてくれないので、しばらく知らずに、指定席に友人と座っていました。その後、来る客がほとんど指定席の方ばかりで、不安になり、会場係りの男性に質問したところ、「自由席は、席番のないところです」の返答。でも、どこを見渡しても、席番のある椅子ばかり。
「どこが自由席ですか?」と聞くと、「今、ご案内しますから」としばらく待たされた後、反対側の係員に、「そっちに二人座れますか?」と聞いて下さり、反対側に移動したら、また何人も自由席の方が、前にいらしたので、自力で、後方の自由席に行こうとしたら、「順番にご案内しますから、待って下さい」と叱られてしまいました。(笑い)
反対側の女性係員の方が、気を利かせて、我々の席を確保してくださっていたらしく、無事、二人並んで座れましたが、危うく、離れ離れになるところでした。
入口の係りの方が、一言、「自由席は、席番のない所」と教えてくれていれば、そして、自由席が、あんなにテンデンバラバラな配置でなければ、もっと観やすい席に座れた筈でした。そして、悪いことは重なるもので、やっと座った自由席の、すぐ近くに、座った会場係りの男性が、芝居が始まって程なく、安眠されて、その寝息で、津嘉山さんの声がよく聞こえない席になりました。(笑い)
それと、もう一つ。開幕前から、役者が板付きでいるせいか、携帯などの注意事項がないままに、芝居が始まったために、何度も携帯が鳴っていました。
そんなこんなで、芝居の感想の方は、ネタバレに書きます。
とにかく、この劇団、会場スタッフ力の向上が急務です。せっかく、素晴らしい演劇を発信できる劇団が、これでは、水の泡で、役者さんもお気の毒でなりません。
悲しみを聴く石
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2015/12/11 (金) ~ 2015/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★
「カラーパープル」に似た衝撃
ほぼ那須さんの一人芝居、独壇場的な芝居でした。
昔から、かなり拝見している女優さんですが、今回改めて、凄い女優力だなと感服しました。
寝たきりの夫を、中田さんが演じていると知っているので、ラストの予想は、だいたいつくのですが、それでも、一定の衝撃はありました。
計り知れない宗教観の主人公とはいえ、テーマが、男女の愛なので、その点では、普遍的に、理解できる部分は多々あるので、退屈せず、集中して観られる舞台でした。
那須さんと上村さんの、作品選びの目の確かさに、感心すると同時に、次回作がまた楽しみになりました。
アフタートークのゲストの小川さんの声が小さく、話されている内容があまり聞き取れなかったのだけは、ちょっと残念でした。
ビーイング・アライブ
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2015/12/11 (金) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
久しぶりの観劇、ムーブメントに進化を感じた
再演モノが続いたりして、久々のワンツーワークスでした。
何度も、観ている、古城さんの常套手段なのに、また油断して、しばらく勘違いしました。このあたりの、プロの脚本家の手腕は、お見事です。
始まる前は、急過ぎて、めまいがしそうな八百屋舞台も、進行につれて見慣れました。
欠陥マンションにも、老いの独り暮らしにも、同じように慣れて行くのかもしれません。
ニール・サイモン風だったり、星新一風だったりの、シチュエーションを使って、見事に、古城風アレンジの、今の日本の現状を色濃く投射した、名戯曲の構成に、呻りました。
お決まりのムーブメントも、内容に即した、シュールな動作の演出が、従来の、先にムーブメントありきのマンネリを打破していて、感心しました。
役者さん達、皆さんお上手だし、もう少し、一般に知られてほしい劇団だと、強く思います。
お召し列車
燐光群
座・高円寺1(東京都)
2015/11/27 (金) ~ 2015/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇としての味付けが進化
燐光群観劇は、久しぶりでした。
社会派、坂手さんの、洪水のような情報伝達舞台に、ちょっと辟易した時期があったもので…。
でも、今回は、テーマにも興味があり、渡辺さんの舞台も、拝見したくて、急遽、昨日チケットを予約して、行きました。
相変わらず、坂手さんの知識を、てんこ盛りにした台詞が語られる芝居ではありましたが、以前と違って、演劇としての娯楽要素も兼ね備えた、構成の妙に感心しました。
ご主人が亡くなられた当初の舞台では、お疲れが見えて、心配していた渡辺さんも、昔ながらの、ベテラン演技の真骨頂を見せて下さり、安心しました。
ただ、皇室への皮肉な台詞に、承服し兼ねる部分もあり、個人的には、その部分が減点要素になりました。
途中、舞台運びが、中だるみしたのも、やや残念な部分です。
十二月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2015/12/02 (水) ~ 2015/12/26 (土)公演終了
満足度★★★★
中車父子と二人のお三輪に目を細める
久しぶりの「妹背山」の通し上演で、同行の友人の、「七之助と玉三郎が観たい」のリクエストにも適うことから、夜の部を観劇しました。
改築後の3階席は、以前以上に、窮屈な席で、観劇環境の劣悪さには閉口しましたが、二人のお三輪を同時に観られたことと、初女形の中車さんの健闘ぶりと、團子君の飛躍を目にできたことは幸せでした。
やはり、舞台に、玉三郎さんが登場すると、空気が一変します。
彼が、苦心惨憺、愛情深く、後進を育てる努力をしてくださっていることに、58年の歌舞伎ファンとして、敬意を表します。
ミュージカル『アラジン』
劇団四季
電通四季劇場[海](東京都)
2015/05/24 (日) ~ 2023/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
最高キャスト観劇に感涙
この日を待っていました。
昔、「ライオンキング」のヤングシンバで、度胆を抜かれた名子役の海宝さんが成長されて、また四季の舞台で、アラジンを演じて下さるなんて、あの時誰が想像したでしょう!
海宝さんがアラジンをやる、たぶん、参加は、11月以降という情報を耳にした日から、一か八かで、この日のチケットを購入し、神に願って、出会えることを待ち望んでいました。
そうしたら、何と何と、海宝アラジン、瀧山ジーニー、岡本ジャスミンという、奇跡のような組み合わせのキャストで観られて、至福の観劇タイムとなりました。
見目麗しく、華がある主役コンビで、この作品を観られたことは奇跡のようです。この組み合わせを目に焼き付けたいので、今後は、観ないことに決めました。(笑い)
PHANTOM〜THE UNTOLD STORY
Studio Life(スタジオライフ)
シアターサンモール(東京都)
2015/11/11 (水) ~ 2015/12/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
山本エリック進化
初演の山本さんのエリックを観ていましたが、今回の進化には驚かされました。
Auberチームのチケットを買った筈なのに、違うエリックかと疑う程、完全に山本芳樹色を消していました。
以前のキャストとは違った、関戸マドレーヌ、奥田ジャベール、笠原ジョバンニ…、皆さん、各自の色を出して健闘されていて、この劇団の役者力の進化も同時に感じました。
エリックの母、マドレーヌの心情の変化に、いつも泣かされます。
「オペラ座の怪人」ファンの皆様に、是非ご覧頂きたい名作だと思っています。
ミュージカル『アラジン』
劇団四季
電通四季劇場[海](東京都)
2015/05/24 (日) ~ 2023/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
楽しめました
例の母音発声法が大の苦手なので、四季は敬遠することが多いのですが、ディズニーミュージカルは、四季でなければ観られないので、半年前にチケットを買って、今日を首を長くして待ちました。
お目当てのアラジンではありませんでしたが、勝地君似の童顔のアラジンには好感が持てました。
ジーニーは、たぶん、評判の良い瀧山さんで、ブロードウエイに比べて、スリムで、筋骨逞しいジーニーでしたが、観客を舞台世界に誘うエンターテイナーとしての手腕に優れ、ダンスも切れがあって、ワクワクしました。
心配していた母音発声も、気になるのは、ジャスミン役の三井さんだけでしたので、生理的に許容範囲でした。
ディズニーミュージカルの中でも、構成的に大変優れているし、これはどんなに四季が苦手な方にも、おススメしたい舞台です。
お目当ての海宝アラジンに出会えるまで、何度か観に行きたいと思っています。
からゆきさん
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/11/14 (土) ~ 2015/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
さすが青年座、芝居の要素を満たした力作
期待以上の作品で、申し分なし。
こんな素晴らしい演目があったのなら、息子の卒業公演、「マニラ瑞穂記」ではなく、こちらにしてほしかったと、個人的に恨みがましく思いました。(笑い)
息子の同期生の安藤瞳さんの、貫禄に、感嘆!
養成所時代から、既に、女優としての才気に溢れていましたが、数々の舞台経験で、先輩達と互角に渡り合っていて、嬉しくなりました。
いつの世も、国は、平気で、国民を利用し、使い捨てにする。
題名から、単なる史実劇の趣きかと、思いきや、そういう、国に棄てられる民という側面と、女と男の関係性も、見事に描いた二重構造の、芝居としての要素が全て詰まったよくできた演目でした。
演出と、演技力には、何も文句はないし、またしても、この劇団の底力を思い知りました。
乃木将軍と、東郷大将を、あえて、新人に演じされたのも、作者の意図を的確に捉えた演出として、実にお見事でした。
ただ、アカネのメイクは、やや現代的過ぎる気はして、その部分が唯一残念に思いました。
好きな役者さん揃い踏みで、誘った友人が、益々、青年座に心酔して帰って行きました。
おせん
サスペンデッズ
シアター711(東京都)
2015/10/30 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
意表をつく構成の妙
時代劇かとばかり思いましたが、さにあらず。
隠れたテーマがほの見えた気がします。
大学時代、西鶴研究の第一人者のゼミでしたので、「樽屋おせん」は既読でした。
詳細は覚えていないけれど、「好色5人女」中、一番気の毒に感じた覚えがあります。
サスペンデッズの3人の役者さんで、どういう風に演じるのか興味がありましたが、そう来ましたか!
時代劇に見えて、しっかり現代劇ではという印象ですが、とにかく、3人の演者としての進化も観られ、とてもエキサイテイングな舞台運びに、ワクワクしました。
今後も、益々、この劇団、見逃せないなという思いがしました。
ミュージカル『スコット&ゼルダ』
ホリプロ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2015/10/17 (土) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
才能ある男に惚れた女の弱みが哀切
フィッツジェラルドの本は読んだ記憶がなく、ロバートレッドフォードの「華麗なるギャッツビー」しか、観たことのない人間なので、ウエンツさんのスコットが適任かどうかは、判断できないのですが、何となく、ゼルダ役の濱田さんとの釣り合いが取れないような印象を受けました。
むしろ、中河内さんの方が、適任だったような気さえします。
でも、ウエンツさんの歌声は胸に沁みました。
コメディの方が向いていそうなウエンツさんですが、これからの舞台俳優としての成長に期待感を持たせる作品ではありました。
濱田さんのゼルダは、本当に愛おしくなる可愛さに満ちていました。
この作品の作家役の山西さんの存在感も、この作品に深みを増す要素になっていました。
中河内さんを中心としたアンサンブルのダンスが、美しく、ゼルダの思い出話の陰影をうまく表出する効果絶大でした。
才能ある男に惹かれて、自分を見失って行く、女の悲劇が哀切極まりなく、風前の灯のような美しさに、涙する観劇でした。
ミュージカル『パッション』
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2015/10/16 (金) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
ちょっと難解だけど、レベル高し
ソンドハイムのミュージカルは、元々万人受けするタイプではありませんが、この作品は、特に、玄人受けする演目かもしれないと思いました。
井上さんの演技には、「アンナカレーニナ」を彷彿とさせるものがありました。
和音さんの背中の美しさと、シルビアさんの怪演並の名演ぶりにドキドキすること多々あり。
演技と歌唱力の確かなキャスト揃いで、舞台のクオリティは高いのですが、好みは分かれる演目だと思うし、明るいミュージカル好きな方には、奨めにくい作品かもしれません。
両者にお気の毒な気がしたのは、後方席で車椅子で観劇されていた障害者の方と、一般客の方々。
難解な恋愛哲学のような作品で、ソンドハイムの、人物の心情を音符に還元したような、不協和音的なメロディの度に、障害者の方々の不安を煽るのか、静かな劇場に、度々、雄叫びが響く結果となり、作品に見合わない空気が生まれてしまったのは残念でした。
心から、ハッピーになれるような、スイングできるようなミュージカル作品なら、両者が楽しめたのでしょうに…。
東京裁判
パラドックス定数
俳優座劇場(東京都)
2015/10/22 (木) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
改めて感じるパラドックスの力
再再演の舞台を観て以来の、観劇でした。
いつもの、狭い空間での上演が、緊迫感を作り出していたので、俳優座劇場での上演は成功するだろうかと、心配しながらの観劇でした。
開幕前には、左右に、常時置かれている木材などが立てかけられていて、やはり、この作品には相応しくない劇場空間ではと危惧しました。
ところが、始まってみると、嫌がオウにも、中央の5人に、気持ちが集中して、知らない間に、その木材などは、目に入らなくなりました。
野木さんの、筆力、構成力、演出力と、5人の役者さんの力量で、東京裁判の弁護団しか、視界に入らなくなるなんて、これぞ、パラドックスの力技だと、感嘆するばかりでした。
ダブリンの鐘つきカビ人間
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/10/03 (土) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
後藤さんの凄さを痛感して、嬉しくなる
以前、中越さんがおさえを演じた舞台を観ているので、彼女以上のおさえは観られないだろうと、観劇を躊躇したものの、吉野さんの演技を観たさに、行きました。
CDに参加して頂いた頃は、まだ駆け出しの俳優さんでしたが、ここまで、存在感ある、中堅役者さんに成長されて、感無量でした。
篠井さんとのコンビネーションも抜群!
真奈美役も、以前の土屋さんの舞台向きでない発声法には、辟易した思い出があるので、今回の千弘さんのしっかりとした演技には、ほっとさせられました。
こういう作品に、村井さんや、篠井さんのような、重鎮がご出演になるのも嬉しいし、お二人が、真摯に役に向き合って演じられている姿にも、好感が持てました。
存在感の薄い役者さんと、ベテランの役者さんのアンバランスは、やや気になりましたが、全体的には、大変、楽しい舞台になっていました。
小西さんの、コメディ役者の資質にも、驚きます。
でも、一番、驚いたのは、あの、諸悪の根源政治家を、揶揄する台詞があったことでしょうか。後藤さんのような演劇人が、あちこちで、こういう台詞を書いて下さったら、対岸の火事と思っている、たくさんの日本人を啓発することに繋がるのではと期待してしまいます。
時々、役者として、登場する、後藤さんのラフな佇まいには、本当に、心が癒されて、感謝します。
マンザナ、わが町
こまつ座
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/10/03 (土) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
意義深い上演、鵜山演出最高!
恥ずかしながら、井上戯曲に、こんな名作があったことを今まで知らずにいました。
内容も知らずに、キャストの組み合わせの妙に惹かれて、チケットを買いましたが、これは、見逃さずに済んで、大正解でした。
日系人も、強制収容所に軟禁されていたことを、どれぐらいの日本人に周知されているでしょうか?
このどうしようもない、政権政治の時代だからこそ、こういう舞台を観て、考えることが必要だと、改めて、舞台芸術の凄さを体感できる作品でした。
出自の異なる、5人の女優さんの競演が、鵜山演出で、光を放ち、日本人全員に観てほしい、珠玉の舞台になっていました。
やはり、井上戯曲は、鵜山演出だと、素晴らしい!!懐かしい童謡も、胸に沁みました。
いつまでも、日本人であることを誇れる国であってほしいと、切望させられる舞台作品でした。
ワンピース
松竹
新橋演舞場(東京都)
2015/10/07 (水) ~ 2015/11/25 (水)公演終了
満足度★★★★★
あっぱれ!猿之助企画力
いやあ、驚きました。
隠れワンピースファンとしては内心心配していたのです。
でも、「ど根性ガエル」の実写版の上を行く、成功作に仕上がっていました。
やっぱり、スーパー歌舞伎の熟練横内脚本は、手慣れて、ツボを心得ているし、猿之助ルフィは、如何にも、歌舞伎調なれど、演出家、企画者としての彼の技量は尋常ではありません。
福士さんのエースが素敵過ぎて、卒倒しそうになりました。
隼人さんも、カッコよくて、さすが梨園の貴公子だと、更なる成長が楽しみでなりません。
スーパー歌舞伎二度目の浅野さんも、愉快でした。
「白浪五人男」風な演出や、歌舞伎ならではの手法を使った、ルフィの芸当。
かつて観たことのないど派手な宙乗り…。
全てが、歌舞伎を知りつくした猿之助の手腕によって、あの人気アニメをすっかり、歌舞伎バージョンに変身させてしまったのですから、恐れ入り屋の鬼子母神です。
老若男女、日本人も、外国人も、「ワンピース」知らない人も、とにかく全ての演劇ファンに体感して頂きたい、素晴らしいエンタメステージでした。
できることなら、後5回くらい、観たいです。
ただ一つの注文は、新感線のような、キャスト表が載った当パンがあればいいのにと思いました。歌舞伎役者と、「ワンピース」と、両方に精通している観客は、僅かでしょうから、誰が何を演じているかが、パンフを買わない人には、ほとんどわからないでしょうから。
この素晴らしき世界
ペテカン
あうるすぽっと(東京都)
2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
やはりぺテカンは好き!
、やや作為的に過ぎる箇所は、何度か散見されたものの、基本的には、いつものぺテカンらしい、笑って泣けるハートフルコメディで、終始、心の和む観劇ができて、感謝しています。
この劇団の良いところは、真の嫌なタイプの人間が一人も登場しないところ。
そして、どんなに、有名な客演役者を呼んでも、役の上で、特別扱いをしないところ。
だから、舞台上で、描かれる世界に、真実味が増すのだと思います。
今回も、ややこしいけれど、基本的には、それぞれ、家族思いの3人兄弟を軸に、素敵な家族劇が構築されていて、嬉しくなりました。
いつまでも、続いてほしい劇団の一つです。
CHESS THE MUSICAL
梅田芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/09/27 (日) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★
コンサートで事足りる感
以前、2度、コンサートで観ていたので、本編上演を楽しみにしていましたが、結果から言えば、せっかくの名曲がありながら、ストーリー展開が冗長で、これは、むしろコンサートの方が、充実感があるなと感じました。
訳詞も、メロディに乗っていないので、特に多人数で、別の歌詞を歌うと、歌詞の内容を聞き取るのは至難の業でした。
アメリカとソ連の、二人のチェスプレーヤーの対戦が、開幕してから、何十分しても始まらないのには、さすがに閉口してしまいました。
枝葉末節を削ぎ落とした、コンサートバージョンでの上演の方が、この作品には、見合っているような気がします。