マンザナ、わが町 公演情報 こまつ座「マンザナ、わが町」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    意義深い上演、鵜山演出最高!
    恥ずかしながら、井上戯曲に、こんな名作があったことを今まで知らずにいました。

    内容も知らずに、キャストの組み合わせの妙に惹かれて、チケットを買いましたが、これは、見逃さずに済んで、大正解でした。

    日系人も、強制収容所に軟禁されていたことを、どれぐらいの日本人に周知されているでしょうか?

    このどうしようもない、政権政治の時代だからこそ、こういう舞台を観て、考えることが必要だと、改めて、舞台芸術の凄さを体感できる作品でした。

    出自の異なる、5人の女優さんの競演が、鵜山演出で、光を放ち、日本人全員に観てほしい、珠玉の舞台になっていました。

    やはり、井上戯曲は、鵜山演出だと、素晴らしい!!懐かしい童謡も、胸に沁みました。

    いつまでも、日本人であることを誇れる国であってほしいと、切望させられる舞台作品でした。

    ネタバレBOX

    5人の女優さんの配役がドンぴしゃり!!

    土居さんの、高潔なジャーナリスト振り、熊谷さんの元気に満ち溢れた浪曲師、笹本さんの、お茶目で、真面目なシンガー、吉沢さんの、美しく、気高い、お嬢様育ちの女優、そして、奇術師と自称する謎の女性、伊勢さん。それぞれが、持ち味を生かした演技をされて、その競演を見守るだけでも、ワクワクしました。鵜山さんの演出でなければ、きっと、こうはならなかったでしょう。
    改めて、鵜山さんの演出力に、脱帽しました。

    土居さんは、高潔で、純粋な女性ジャーナリストを好演されていましたが、日頃、長台詞の舞台に慣れていないせいか、時々、台詞を咬むことがあったのは、唯一残念でした。

    5人のやりとりが、コメディ仕立てで、和やかに進行しつつも、語られる内容はシビアです。

    土居さん演じる、ソフィア岡崎の、ルーズベルトへの嘆願書の文面には、固唾を呑んで聞き入ってしまいました。
    特に、ルーズベルトに対して「、あなたは、ヒトラーと双子です」というところ。
    私も、ある人物に向けて、「あなたも、ヒトラーと、ルーズベルトと、三つ子です」と断罪したい思いに駆られました。

    どこの世界の為政者も、所詮相似型人種なのかしら。

    この物語の中では、日本人を監視研究するために、仲間の振りをして、4人の日系人に近づいた、伊勢さん扮する、中国系アメリカ人の女性が、一緒に暮らして、一つの芝居を作り上げていく過程で、彼女達の、人間性に感化されて、ソフィア岡崎が、政治犯専門の厳しい収容所送りになるところを、3人と協力して、阻止するという、夢物語のような結末でした。

    井上さんの、戯曲は、こうして、シビアな現実や歴史を、笑いに塗しながら、少しの夢や理想を付け足して、独自の、素晴らしい演劇に作り上げてしまう技術が、本当に素晴らしい!と、改めて感じました。

    これからも、その井上戯曲の志を、表出できる、鵜山さんの演出で、ずっと、上演して頂きたいと、強く願います。

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    2015/10/22 21:50

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