満足度★★★★
才能ある男に惚れた女の弱みが哀切
フィッツジェラルドの本は読んだ記憶がなく、ロバートレッドフォードの「華麗なるギャッツビー」しか、観たことのない人間なので、ウエンツさんのスコットが適任かどうかは、判断できないのですが、何となく、ゼルダ役の濱田さんとの釣り合いが取れないような印象を受けました。
むしろ、中河内さんの方が、適任だったような気さえします。
でも、ウエンツさんの歌声は胸に沁みました。
コメディの方が向いていそうなウエンツさんですが、これからの舞台俳優としての成長に期待感を持たせる作品ではありました。
濱田さんのゼルダは、本当に愛おしくなる可愛さに満ちていました。
この作品の作家役の山西さんの存在感も、この作品に深みを増す要素になっていました。
中河内さんを中心としたアンサンブルのダンスが、美しく、ゼルダの思い出話の陰影をうまく表出する効果絶大でした。
才能ある男に惹かれて、自分を見失って行く、女の悲劇が哀切極まりなく、風前の灯のような美しさに、涙する観劇でした。