ITOYAの観てきた!クチコミ一覧

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レベッカ

レベッカ

東宝

帝国劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/05/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

今度は初演時に好評だったシルビア・グラブ版を観賞!自然な怖さがよみがえりました!
先日、涼風真世さんバージョンを観ましたが、
今度は初演時に好評だったシルビア・グラブ版を観賞!
しかも帝劇初の最前列!
生フル・オーケストラの音が床から響いてきて、感激です。

涼風真世さんは、どちらかと言うとオーバー気味な
感じでしたが(カテコの最後の最後で少し笑った^^)、
シルビア・グラブさんは自然にこわい感じ。
(カテコでも自然に薄笑い…。
声量は涼風さんのほうがあったかも。)

大塚ちひろ さん演じる”わたし”は、
最初のほうでは自身がなくて、よく爪を噛んでましたね。
恥ずかしながら初めて気が付きました。

改めて考えると、全体に静かな暗い歌が多いなか、
「親戚の歌」?と「自由の女神」の歌?が明るく楽しい
貴重な存在でした。

甘え

甘え

劇団、本谷有希子

青山円形劇場(東京都)

2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★

小池栄子さんの熱演"生真面目なパワー"が良かった!!
"親子共依存"と"夜這い"を絡めて描く本谷有希子さんの独特の世界。

小池栄子さんの熱演、"生真面目なパワー"とでもいうようなもの(良い意味で)が、ストレートに出ていて、とっても良かった。

誰にも体を許してしまう女。
しかし同様に、水橋研二さん演じる男は、「女が体を許せば、我慢できずに誰とでもしてしまう哀しい男」だと指摘されショックを受ける。
この理屈にも感心してしまった。

プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

不思議な世界を理詰めと笑いとシリアスで贈るイキウメン。今回のテーマはドッペルゲンガー。
さて、毎回、不思議オカルトSFテーマを笑いと
シリアスで描く、前川さんとイキウメン。

賽(さい)ノ河原、ドミノ理論、座敷わらし…ときて
今回はドッペルゲンガー、自分の分身。

SF的なテーマを軸に、登場人物たちのキャラクターと
心の動きが描かれているのが面白い。
演じる俳優さんたちのそれぞれ個性、演技も好きです。

要するに願いが実体化する「ソラリス」ネタで、
願った分身が作りだされてしまう「場所」。

ネタバレBOX

昔から、神社など神聖な場所に願をかけるとか、
しめ縄を張っていた場所が、この踊り場だった
のではないかという発想も、何か納得してしまって面白い。

ただ、最後の解決策が理屈をこねすぎた感も。

あの3人目は、自然に消えたのだろうか。
心残りです。心配になります。
(確かに、あそこで殺す訳にはいかないでしょうから)
職員室

職員室

U-1グランプリ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/04/24 (土) ~ 2010/05/05 (水)公演終了

満足度★★★★★

野波麻帆さん独壇場のボケ演技と,福田さん着ぐるみコント最高!
福田雄一・マギーの共同脚本・演出によるユニット「U-1グランプリ」によるコント集第3弾。
第1回は取調室。第2回の前回は厨房、今は無き新宿THEATER/TOPS公演で観劇しました。
今回もRED/THEATER内は終始大爆笑。
職員室を舞台にした10分くらいのコントを続けて上演。

中でも一番可笑しかったのは、野波麻帆さんの”妄想癖先生”。
進路指導において、東大志望で学力的には十分な生徒に
「もういいよ。」とひとこと言ったばかりに…
彼は転落の人生を歩み始める、という”妄想癖先生”の
モノローグ(?)が約10分!
小ネタをはさみながらどんどん暴走していく妄想を
延々と語る野波さんのボケとマギーのツッコミも
ぴったりで最高でした。

そして、放送作家・福田さんのボケとマギーのツッコミ
の”学校の怪談”。
福田さんが役者じゃないからとか、連休中にはキャラを
固めようと思ってたとか、しまいにはセリフを忘れたりと
すべて含めて大爆笑でした。

もう今から次回が楽しみです。

2LDK

2LDK

ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2010/05/01 (土) ~ 2010/05/05 (水)公演終了

満足度★★★★

囲み舞台,若手女優の体当たりバトル演技が、痛快!
日替わりで若手女優2人が演じる体当たりバトル劇。
この日は最終日、Eチーム:肘井美佳と小川麻琴という
全チーム中でも比較的舞台経験の多い二人の回でした。

同じ芸能プロダクション、事務所の先輩と後輩が
一緒に住む2LDKマンション。
オーディションの結果発表の連絡を翌日に控えた夜、
二人はふとしたことからケンカが始まり、しだいに
殺しあいのバトルまでにエスカレートしていく。

数年前に(誰も知らない)映画でデビュー以来、
ぱっとせずギャグも古い先輩に、肘井美佳さん。
特撮系は「仮面ライダー剣」(2004年)オーキッドアンデッド役、
「牙狼<GARO>」で有名。
舞台は「スイッチを押すとき」私は再演で拝見しました。
繊細でおとなしいイメージを勝手に持っていましたが、
今回は堂々とした様子が良かった。

一方、潔癖症でまじめなタイプの新人を演じたのが
小川麻琴さん。モーニング娘。OGとして有名。
2009年6月、★☆北区つかこうへい劇団の舞台
『こもれびの中で2009』主役・初座長以来、
空間ゼリー『暗ポップ』など舞台出演が多くなってます。

二人とも、さすがに安定した演技。

中央のリビングである囲み舞台で展開する二人の
バトル・殺陣は、潔くて爽快。
この舞台は、そこに尽きると思います。

舞台周囲に低い金網が張られ、客席最前列には
「水はね防止」のビニールシートも配布。
それほどまでの心配は無いのですが、
劇中では物を投げたり、ジュースをかけあったり
するシーンもあり迫力あっていい。

このバトルは、もっと本気で力が入ってもいいよう
にも感じましたが、汚かったり下品に見えたりしない
ように配慮された表現だったのでしょう。


開演前、入り口横でマスク姿で立つ堤幸彦さんを
お見かけしました。

アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

千秋楽 安藤聖さん目当てで観劇,初ゴジゲン。なぜアメリカン?ぎこちなく不器用に、家族の混沌を描く。
なぜアメリカン?
たぶん家族それぞれが自分勝手だから、自分の家族の過去を皮肉って作者がつけたのでしょう。

毎年必ず家族だけで全員そろって誕生日を祝うことを以上に大事にしている家族の話。
しかしその実際は、母は父に暴力で追い出され、父と3男1女の子供たちも引きこもり、非行など、問題だらけなのが現実。
今年は、長女の夫、息子の中国人カウンセラー、息子の年上の彼女と友人、なぞの男らが訪問しなかなか帰ろうとしない。
ケンカ、暴力、殺人、麻薬、いつしか、いくつものいさかいや混乱が起き始める中、、
みえみえの「サプライズ」ハッピーバースデーの歌とケーキの時は刻々と迫る…。

安藤聖さん出演をきっかけに、劇団「ゴジゲン」の初観劇。

皮肉たっぷり、冷たくてシニカルな視点。
だけれど日常のなんでもないところだけは少し温かく。
全体にはぎこちなく、ナンセンスな笑いもあり。

表現されたものは、一見わかりにくそうでいて、
そうでもない。
実はシンプルでストレート。

すべては、作者の不器用で照れ屋という複雑な胸中を、
そのまま投影したものではないか。

レベッカ

レベッカ

東宝

帝国劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/05/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

祝・帝劇版! 深みと幅がスケールがアップ!主人公"わたし"の自立・サクセス・ラブ・サスペンス・ストーリー。
避暑地で大富豪に見初められ結婚した"わたし"は、
亡き前妻レベッカの影と、夫の秘められた過去に
苦しみながらも立ち向かい、戦い、自立していく。

2008年、シアター・クリエで初演を観劇。
とっても良かった本作でしたが、
このたびめでたく帝国劇場バージョンに!

生フルオーケストラ(やっぱオペピが見えないと!)、
ヴァンダース夫人がダブル・キャストに、
豪華セットに本物の炎の効果、
歌曲の追加、
アンサンブル増員!
見事にグレードアップしました!

ヒッチコックの映画で有名な小説を原作にした
ミステリーがベースですが、
まだ若かった"わたし"(そう主人公には名前がない)
が、夫のために意を決して戦って、強くなり
大人になる、ラブ・ストーリーでもあるところが
このミュージカルの優れたところです。

大塚ちひろ さんの演技の変化が見所。
反撃に出るくだりが爽快。
山口祐一郎さんの、なよっとした伊達男ぶりもいい。

そして欠かせないのが、姿を見せないレベッカの
影を際立たせる、彼女のメイドで女中頭の
ダンヴァース夫人。
すべてにおいてレベッカ命の彼女の愛。
冷酷で無表情。
初演でもシルビア・グラブさんの演技が
だんぜん光ってましたが、今回、涼風真世さんも
ダブルキャストで担当。じめっ、として怖い。

来月、今度は、シルビア・グラブ版を観ます!

嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

ネルケプランニング

青山劇場(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/04/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

愛に生き男に翻弄され続けた『松子』の壮絶な人生!小劇場で円形囲み舞台、ケレン味たっぷりの迫力演出、良かった!
全力で男を愛し、信じ続けるのに、次々に裏切られ続け、
堕ちて行く、松子の生涯!
「信じること」の大事さ、信じきれないとき、
一瞬の行き違いによって狂ってしまう人生が切ない。
裏切る男が許せない。
もどかしい!
でもこれだけ劇的な恋愛人生を精一杯生きれたら
と思うと、とってもうらやましい。

劇中で、絶望した松子は手近な木片を拾うのですが
それが十字架の形をしている。
(チラシ参照)
ある男も言っていた、松子は「神様」だと。
純真過ぎる彼女に自分なんかには近寄れないと。

ショッキングな展開の「ポイント」では、
大音量の歌・音楽、照明、ケレン味たっぷりの演出が
小劇場しかも円形囲み舞台ならではの迫力で
めちゃくちゃ気持ちいい!!
もっとあってもいいくらい。
・・・良かったです。

今回も、あれだけ話題になった映画(中谷美紀)も
ドラマ(内山理名)も原作小説も未経験という不勉強な私です。
申し訳ありません。
大堀こういち さんは、ドラマ「ケータイ刑事シリーズ」の
だめだめでハチャメチャなところしか知らなかったのですが、
松子の同僚トルコ嬢と、善人風の床屋の店主と
どっちもまじめな役でした。(トルコ嬢だけど。)
なんと、劇団健康(現・ナイロン100℃)旗揚げ
メンバーだったんですね!知らんかった!

THE LEFT STUFF

THE LEFT STUFF

Piper

本多劇場(東京都)

2010/04/10 (土) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★

相武紗季ちゃん初舞台は、明るく楽しいライト実験演劇。
後藤ひろひと氏主宰、劇団Piper最新作は、
簡易観客参加型、明るく楽しいライト実験演劇。
初舞台の相武紗季さんは嫌な女科学者を好演。

舞台上は実験施設で、被験者となる科学者七人。
選考員として選ばれた観客が、それを観察し
海底施設での実験員として正しい資質
「ライトスタッフ」をもった人間を選ぶという
ストーリー。

いくつかのポイントで後藤氏が登場して、
進むべき選択肢を観客の拍手で多数決、
ときには観客と演者の会話で進める趣向。
むかし、アングラ全盛期には、もっと自由で怪しい
「実験演劇」がいっぱいあったんでしょうねぇ。
それの超ライト感覚版を意図している模様。
アドリブは多少あったにしても、
選択肢は決まっているので、
数あるパターンを事前に稽古はしているのでしょう。

ネタバレBOX

被験者達は、皆、実は隠された過去があり、
いろいろと試され追い詰められた挙句に、
観客に復讐しようと迫るところは、ちょっとだけ
こっちにも来るかと思って怖いかな?
この感覚は、珍しいです。
2人の夫とわたしの事情

2人の夫とわたしの事情

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく松たか子さんがキュートなことといったら、もう! すごい。
夫らは、妻に対して文句を言いながらも、好きでもあり。
全編ドタバタ、シニカルなコメディ。
1919年の作品を今、日本の渋谷で上演、鑑賞して
楽しむという良く考えたら凄いことです。
それでこれだけ可笑しくって楽しいっていう。

とにかく少しおばかでも切り替えが早い主人公、
松たか子さんがキュートなことといったら,もう!
凄いです。さすがです。

他には、数分の1シーンだけ出演の池谷のぶえさん。
プライドの高いメイド役でしたが、まさに
池谷さんにぴったりの役でした。

結局、バランスが悪いとか言いながら(パンフレット)、
これだけ料理してしまうケラさんも凄い。

フォトジェニック

フォトジェニック

キバコの会

ザ・スズナリ(東京都)

2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★

小難しいことは考えないで軽く笑いましょう。真野恵里菜出演で、ある意味、この空気は了解のうえで。
真野恵里菜出演で、ある意味、この客層・空気は了解のうえで観賞を決定。
そう決まれば、最前列かぶりつきで!!ベンチ席!尻痛くて大変!

グラビア・アイドルをテーマに、現役アイドル、
元アイドルらが大騒ぎの軽いコメディ?コント?
小難しいことは考えないで、楽しみましょう。

半海一晃、野添義弘、多田木亮佑おじさん3人組と、
演出:堤幸彦のユニット『キバコの会』の第2回公演。
前回、戸田恵子さんのときにチケットがあっても
時間が間に合わず(ハシゴだった)悔しかったの
ですが、今回は無事観賞。
2回とも「スズナリ」を選ぶところなどには、
こだわりも?

おじさんたちは、さすがに百戦錬磨。
どこまでアドリブかわからない芝居に、
暴走気味の客いじりまで、まあとにかく
可笑しかった。

街田しおん さんは「路地裏の優しい猫」初演・
再演で観て以来。
今回は、これまでやったことのないキャラで
体を張って大活躍。
グラビアアイドルの話なのに、実際水着を披露
したのは、しおんさんだけです。
三浦理恵子 さんは、何と全編変な方言。
なまドルのパロディでしょうが、かなり苦しい。

博覧會

博覧會

パルコ・プロデュース

東京グローブ座(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/21 (水)公演終了

満足度★★★

篠井英介さんの座長っぷり、良々さんの笑える男気。一筋縄では行かない物語。
篠井英介さんの座長っぷりの自然さはさすがです。
それ以外のないものでもない存在感。
大谷亮介さんもそのままずばり。
そして何より、笑えるうえに男気のある荒川良々さん。
劇中劇でのキメがいちいち可笑くって。

しかしストーリーは、切なくてダメダメな役者たち
の物語。
博覧会での公演を夢見ながらも、芝居の稽古すら
ままならない鬱積した毎日。

戦争中にかかわらず、現地人と日本人の友好を
図ろうと夢みる役の池田成志さんも哀しい。

どんよりとした日々にもがきながら、
夢みる昔の人たちの夢物語。
さすが千葉さん。
一筋縄ではいかないストーリーが引っかかって
どこかに残ります。

戯伝写楽

戯伝写楽

フジテレビジョン

青山劇場(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/17 (土)公演終了

満足度★★★

絵描きの狂気を演じた大和悠河と、花魁の業・本性を演じたソニンが抜群に良かった!けど曲が悪い!
流れの絵描き、おせいと、その才能を利用して一儲けを企む男、
版元、文人、花魁らを巻き込んだ”東洲斎写楽”戯伝ミュージカル。

絵にとりつかれた女を生き生きと演じる大和悠河さんが光ってます。
ただただ、人の本当の顔、本当の感情を絵にすることに
惹かれてしまう。
そして、ついには誰にも描けない、描いたら浮世絵師には戻れない、
花魁や、江戸の庶民やたちの「本当の顔」、恐ろしい人間の
本質を描くに至る狂気を、美しく演じられました。

今回も一番の目的は、ソニン!
上辺の美人画ではなく、自分の”業”を写楽に描かせる
花魁を見事に演じてます。
最初のプライドの高い無表情と対比させて、クライマックス
で本当の顔、本当の表情が出せたというシーンが、
最高に良かった。

ただ、残念だったのは、ミュージカルなのに、ノリのいい曲や
聴き惚れるスローな曲が少なく、音程が微妙なポップス調の
曲が多くて音楽に素直に乗れなかったこと。
そして、青いビームライト?を客席に向けて照らされることが
何度もあって、まぶしくてしょうがなかったこと。
舞台を観るときに、手で目の上にひさしを作ったのは
初めてです。ぎゃふん。(><;)

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しい、笑い、ダンス、切ない。2本立て,人気のタイムマシンシリーズ完結編。
演劇集団キャラメルボックス恒例の、1本1時間のハーフタイムシアター。
今回は、タイムマシーンシリーズの再演とシリーズ完結編初演の2本立て。

お約束のダンスに始まって、とにかく明るくて楽しくて、
切なくて泣ける・・・
観る人の好みはあると思いますが、キャラメルボックスの
クオリティの高さは保証つきです。

芝居でも映画でもタイムマシンネタは、
もうかなりやりつくされたとは思います。
しかし、原作のおかげもあると思いますが、
SF部分に、「人を思う切なさ」の絡めかたがうまい。
そこの感動に尽きます。


SF部分では、過去に戻れる年数と、とどまれる時間に
制限があって、その間に愛する人を助けなくてはならない。
しかも、その数時間の後は、タイムスリップの反動で、
遠く未来にはじきとばされてしまうという設定がミソ。

作者が自分で作った設定なので、そこに冷めてしまうと
感情移入できないかもしれませんが。

  母の桜が散った夜

母の桜が散った夜

“STRAYDOG”

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/04/02 (金) ~ 2010/04/14 (水)公演終了

満足度★★★★

ストレートな作風の森岡作品の再演。 出演:中澤裕子,「虚構の劇団」三上陽永,(戦隊OG)長澤奈央(W)
「路地裏の優しい猫」「心は孤独なアトム」そして本作などを、
繰り返し再演を続けている森岡利行さんの作品。

森岡さん自身の周辺に題材をとった、とっても身近な作品が多く
また、誰が観てもわかりやすいことを信条にされているので、
本作もまた、ユーモアやギャグ、歌やダンスを交え、
楽しくて、ほろっと泣ける内容に仕上がってます。

そのため、観る人によっては、ベタすぎる部分が合わない
人もいるかもしれません。
本作でも最初のほうで大人数でのドタバタコメディ的な
パートもあります。(これも共通)
アングラのパロディも。

結局、一番言いたかったのは、
「親孝行したいときには親は無し」ということ。

子供の頃は反発ばかりで、時には親を恥ずかしいと思って、
平気で傷つけていたということが、自分が親になって
初めて気づくけれど、そのときにはもう親はいない。

かっこ悪くても一生懸命生きて育ててくれたのだ
という、ものすごく当たり前なことを、
あらためて観せてくれて、「ちょっと考えるきっかけ」
を与えてくれるいい作品だと思う。

主演の中澤裕子さんは、言わずもがな初代モー娘
リーダーで、歌とダンスも中心で活躍。
(ダンス中、マイクの入りが悪いところもありましたが・・・)
キャストにアイドル系の人が多いのも、
(今回の子役、土岐瑞葵ちゃんの端正な顔立ちといったら・・・)
舞台の敷居を低くしていると思います。

しかし、今回の見るきっかけの一番は、
「虚構の劇団」の三上陽永さんの出演!
母親を回想する、物語上では実際の主人公として好演。
まっすぐであどけない面立ちが、子供から学生までの年齢を
自然に演じられてました。

次に、スーパー戦隊OGの長澤奈央さん(Wキャスト)の出演
(出演作「大魔神カノン」見逃した・・・)、
「路地裏の優しい猫」のストレイドッグ森岡さんの
作品ということでした。

ヘンリー六世

ヘンリー六世

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2010/03/11 (木) ~ 2010/04/03 (土)公演終了

満足度★★★★

足掛け8時間に及ぶ大河ドラマ。演出と競演、物語を楽しみました。
・・・長い。
しかし面白い。
大河ドラマのような面白さ。
正味7時間弱くらいでしょうか。
それでも今回かなり切り落としたという。

第1部は百年戦争、第2部は薔薇戦争を中心に、
蜷川さんの描く大河ドラマ。
昨年の新国立劇場版(こちらは「正味」で9時間)に続いて
の鑑賞になり、予習が済んでいるような感じです。
きっと、今後もこの題材は、日本の戦国ものの時代劇のように
いろいろな解釈・演出・演技で繰り返し観ることになるのでしょう。


舞台は、前後の囲み舞台。
通常の舞台側にも客席を置いて、前後の客席を挟んだ形で
中央に横長に舞台、上手下手をドアのある壁でふさいで
そのドアを通じて役者さんが出入りします。

まずは真っ白な舞台の上の真っ赤な血の水溜りを、
掃除人という5,6人のおばさんたち
(現代の掃除婦のかっこう)が布できれいに
ふき取るところからはじまる。
そして、爆発や銃撃という現代の戦争の音が
フェードインして開演。
静かになったところで、
今度は、肉片?のような赤い大きめのカタマリが
ぼとぼとと舞台に落ちてくる。
この落ちる音も静かな劇場内に大きく響く。
これから戦争と死が描かれると宣言したような。

やはり演出で驚かされました。

この「落下」は、芝居の中で終始何度もあり、
薔薇戦争の象徴の赤い薔薇の花と、白い薔薇の花、
他にもフランス軍の白ゆりの花が、各陣営のシーンや、
各軍の優勢・劣勢などに応じて降ってくる。

このいろんな「落下物」があるたびに掃除人は
舞台を掃除します。
掃除人(さいたまゴールドシアターの劇団員)大活躍です。

それ以外には、時々出てくる王座の椅子くらいしかセットがないというシンプルさ。

おのずと役者さんたちの演技に集中します。

自分は見ているしかないヘンリー六世の上川隆也さん、
若き勇ましきジャンヌの悲劇と、
ヘンリーとは逆に気丈なマーガレットの大竹しのぶさん、
王に忠実に仕えていただけなのに失墜するグロスター公の瑳川哲朗さん、
他にも大勢の役者さんたちの丁々発止のやり取りと、
翻弄される彼らの運命をあらわす演技に、
強く引き込まれます。

物語も終盤では、勝敗が二転三転。
裏切りや変節の繰り返しとともに、戦闘の繰り返しが
多少少しマンネリしたかも。

こういう長い芝居では、役さん達と観客の間に不思議な
連帯感が生まれるのも楽しみの一部です。

農業少女

農業少女

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/03/01 (月) ~ 2010/03/31 (水)公演終了

満足度★★★★★

「多部未華子がピッカピッカに輝いてるなう」(←「なう」の使い方違うけど笑)

まず、21歳の多部未華子が演じる「15歳の初々しさ」が凄い。
冒頭の表情・演技から、ピッカピッカに輝いてます。
イキイキノビノビしているのがわかる。

もっと端的に言うとスズキさんのパンフレットでの表現
「ロリロリ」していて凄い。

そして徐々に「ロリータ」のように、
山崎一さんは翻弄されて、手の届かないところに行ってしまう。


前半、農業からただ逃れたくて東京に憧れている田舎の少女の
「幼なさ」が自然に出ていて、後半に向けて東京の魔の部分に
見せられだまされていく。
そして、その真実に触れ、農業に戻り
外の声も聞こえなくなり心を閉ざして、
存在も抽象化して無に向かっていってしまう純粋さが、
怖く、はかない。

吹越満さんも凄い。
いちいち「~なう」というおかしさ。
ユーモアと同時に存在感と迫力、突き放したような冷たさ。

江本純子さんは今回は脇に徹していて、
何か楽しんでチャチャを入れているようでいい。

山崎一さんの昔のNOVAのCMや、
この芝居の舞台稽古を流すテレビとか、
上手下手に使った小道具を投げつけて捨てるとか、
とにかく小ネタのギャグをいろいろはさんで、
しかもこの4人だけですべてをこなす、
小劇場の良さが楽しめる芝居でした。

・・・もう1,2回観たかったっ!

薔薇とサムライ

薔薇とサムライ

劇団☆新感線

赤坂ACTシアター(東京都)

2010/03/16 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

全観客大満足の一作。海祐希さすが。藤木孝もまたさすが。
文句なしで面白い!満足!
歌、踊り、殺陣、笑い、ウェルメイドな娯楽作。
高いチケットが納得できる内容です。
全客席は、大ノリです。

天海祐希を女海賊・女王役に迎えた時点で作品の成功は決定。

女海賊、女王のドレス、ベルばら風?とさまざまな衣装、踊り、
歌は当然ながらさすが宝塚スターです!!

そして藤木孝さんの堂々とした狡猾な悪役ぶりはさすがです。
観ていて気持ちがいいです。
艶と色気を感じます。

神田沙也加は本人も言っている禁断の領域、
「アイドル」的な役と歌に挑戦。
やっぱり合ってます。

当初、チケットがぜんぜん取れなかったのですが、
見切れ席でも取れてよかった!
見えないのは、1階客席の出入り口付近での演技くらいで、
全く問題無し!

ネタバレBOX

当初、チケットがぜんぜん取れなかったのですが、
見切れ席でも取れてよかった!
見えないのは、1階客席の出入り口付近での演技くらいで、
しかもビデオカメラでの「ライブ映像」が
舞台上のスクリーンに写されるので全く問題無し!
罪~ある温泉旅館の一夜~【作・演出 蓬莱竜太】

罪~ある温泉旅館の一夜~【作・演出 蓬莱竜太】

アル☆カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/03/18 (木) ~ 2010/03/24 (水)公演終了

満足度★★★★

家族の「負の面」をえぐる物語。最も身近な人間、身近な話題、しかし深い。
長女の結婚を控えて温泉旅行に来た家族四人。
特に話すこともなく、気まずい空気の中、
突然、長女が結婚を止めると言い出した。
「誰のせいなのか」「誰が悪いのか」
四人はお互いを責め、懺悔を始める。

最も身近な人間、身近な話題、しかし1時間10分に
詰まった内容は重い。
しかし幻想的な演出も挿入されています。

思ったことが出てしまう言葉の罪。
「お前のせいじゃない」という言葉は、
無意識に、お前のせいだけれど自分を責めるなとか、
お前が自分のせいだと思っているはずだとか、
自分には一切責任がないとかいうことが含まれてる。

どこの家族にも必ず問題があって、その責任は
誰にあるのか。
その家族の一人一人も相手の考えていることが
想像とは違うとか、
とにかく色々と考えさせてくれるお話でした。
(そう言いつつ、すぐ忘れてしまうのも悪いのですが。)

平田満さん、井上加奈子さんは実際もご夫婦なので、
見ている最中もふとそのことを考えてしまう。
去年は加藤健一事務所「高き彼物」同様、的確な演技の
占部房子さん、五反田団「すてるたび」で観た黒田大輔
さんも好演。まるで家族のようです。

平田さん井上さんの「アル☆カンパニー」は
五反田団の前田司郎さん作・演出、ふたたび家族の話
次回作第7回公演「家の内臓」にも期待してます。

謝罪の罪

謝罪の罪

ペンギンプルペイルパイルズ

ザ・スズナリ(東京都)

2010/03/19 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

客演なしスズナリ公演でこの地味な内容にPPPPの現時点のスタンスを再認識
とっても好きなPPPP、結成10周年の本作は、時にシュールに、時にリアルに、かるくユーモアをはさみつつ、人の心の本質を垣間見せる、そんなこの劇団ならではの雰囲気に満ちた作品でした。
初の「客演なし」、スズナリ公演で、気負いもなくこの地味な内容に、PPPPの現時点でのスタンスを改めて認識した感じです。

会議中に、若い同僚をいきなり殴ったため、その後の処置が決まるまで、倉庫に閉じ込められている男と、同僚たち。
そして、突然訪れた中学時代の同級生の女は、その男の”ある過去”を話しはじめる。

まぁ普通こんな題材は考え付かないし、まして舞台化なんて。
題名のとおり、犯した罪と、謝罪することについての考察を描いたものでしょう。
なぜ白塗り?なぜみんなの足元も白い?とかありますが、それは見る人がそれぞれ勝手に考えるとして、迎える結末は、爽快感もカタルシスもなく…。
深いようでいて、また軽く、挟み込まれるユーモアもまた、ペンギンらしい。

注目は、やはりうまい、ぼくもとさきこ さん。
困ったり、追い詰められたりすると輝く玉置孝匡さん。
10周年パンフレットの座談会が最高に面白くって、そこでも、何も覚えていない玉置さんと突っ込むぼくもとさんが可笑しい。

今から次作が待ち遠しい限りです。

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