かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~
アロッタファジャイナ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
【Bチーム】アロッタ流の耽美的古典
まずはBチームを拝見。私にとっては初のチェーホフ、初の「かもめ」ということで、「中二病~」との副題が付けられたこの公演は正統派の古典とはかけ離れたものになるのかなと思いきや、とても真っ当な古典でした。照明や音楽・美術はアロッタらしい耽美的なもので、脚本も分かりやすく翻案されてあり、アロッタファンかつ古典初心者としては嬉しい限り。終盤はあまりの演技力の凄まじさに泣きながら見てしまい、6人の役者さんにこのような演技をさせることが出来る松枝さんの演出力に感服。終演後にお話を聞いて、ドラマターグとして中田顕四郎さんの存在がかなり大きなものだったことも感じ、これからのアロッタ、おそらくあるであろう新国立劇場での本公演にも弥が上にも期待が高まります。
【前売り完売!当日券は若干枚数販売予定です】夏葉亭一門会vol.10
夏葉亭一門
王子小劇場(東京都)
2014/02/19 (水) ~ 2014/02/19 (水)公演終了
満足度★★★★★
マチソワでうっとり
落語に明るくないのでついつい「役者さんの演技」として観てしまうのですが、それでもすっごく楽しかったです。昼の部の枕部分での撮影OKは、あやめさんのご贔屓へのサービスかしら?笑 そりゃもう撮らせていただきましたよ。バシバシ笑
あやめさんという師匠がいた今回の白萩くんは、前回に比べて実に生き生きとしていて、その楽しげな様子に心がほんわかとして。さすがのあやめさんにはやはりうっとり。もうね、どうしましょうね。なんでこんなに素敵な方が存在するのでしょうね。笑
2014年・蒼白の少年少女たちによる「カリギュラ」
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2014/02/15 (土) ~ 2014/02/27 (木)公演終了
満足度★★★★★
川口ケレア。
川口覚くんのケレアが素晴らしすぎて、色々思うものの彼のおかげで☆5つ。もう毎日でも観たい。あの広い舞台を隅々まで支配する存在感のクールさ。瞬き一つで空気が凍り、マントを翻して巻き上がる風でさえもがケレアの色に染まるよう。貴族に相応しい立ち居振る舞いは彼の演劇界における覇者の未来を想像させるに難くなく、揺れるピアスに色気さえ感じて、ああもう一瞬たりとも見逃したくない、素敵な素敵な役者さん・・・。彼がカリギュラを演じれば、一昨年のハムレット同様「勝ち」は明白なのですが、そこに内田くんを配して脇に覚くんや小久保くんを置くあたり、蜷川さんの『育てる』という目的が明示されていて、やはりこの劇団の志は高い、と唸らされます。周本さんのセゾニアもやはり絶品でカリギュラの残虐性に説得力を与えていて流石。彼女も大好きなのですけれど、今回オーディションで合格した安川まりちゃんも個人的には応援したい。
ろりえの鬼
ろりえ
シアター風姿花伝(東京都)
2014/01/28 (火) ~ 2014/02/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
ろりえ大好き。
徳橋みのりちゃん演じる時代遅れのヤマンバメイクのギャルと、彼女の記憶だけを無くした母の物語。いらいらしてついキツい言葉を投げ掛けることへの罪悪感や後悔・・・多かれ少なかれ誰もが感じる家族への感情が、ろりえテイストのナンセンスな笑いに溢れた舞台からひしひしと伝わり、いつの間にか大号泣。泣かされながらも小気味良く笑わせてくれる奥山さんの脚本は、女々しさなんて全くなくて。人生を描いたらそこに自然と涙があって、観客には笑って欲しい、観て笑顔になって欲しい、そんな思いが脚本に込められてる。そんなように思えます。観終わった後はいつもながら声にしちゃう、「ろりえ大好き」。ほんと、いつもこればっかりですみません(笑) あと、みのりちゃん素敵*
新宿コントレックスVol.11
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2014/01/28 (火) ~ 2014/02/07 (金)公演終了
満足度★★★★
笑いって何だろ。
先に書かれてる方々の評価にびっくりなのですけど、私が見た回は客席の雰囲気良かったですよ?38と津和さんのはごめんなさい、作演のオカさん含めご本人達も好きな方ばかりなのですが、今一つ笑えなかったかな・・・。ずるちゃんはご本人の魅力が爆発、にこにこして観ちゃいました。そして大好きなMU。変態すぎてお腹痛くなるほど笑ってたのですが、会場も爆笑に包まれてたと思うのですが。不思議だなぁここの評価。アガリスクはさすがの実力。王道のコントで面白かったです。まあ、コントの祭典なのでコントじゃなきゃって言うのも分かるのですけど、そんなことを考えて客席で観てるのってなんか勿体ない気がする。笑いってなんだろ。
真田十勇士
日本テレビ
青山劇場(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
制作費100億円。
お金の掛かった壮大な演出は、さすが堤幸彦監督(やはり映画のイメージが強いのでどうしても「監督」って言っちゃいます笑)プロジェクションマッピングや、大阪城での斬新なアングルでの映像効果、クライマックスでの回転舞台を使った迫力のある殺陣・・・正に一大エンターテイメント。殺陣のクオリティもアンサンブルの一人一人まで最高に高く、ダンス要素は一切ないのにダンサブルな心地良さで圧巻。中村勘九郎さんはもちろん、加藤一樹さん石垣佑磨くんの超一流の身のこなしは青山劇場で観るに相応しく、高いチケット代に見合った大満足の舞台でした。欲を言うと前半の十勇士集めはちょっと間延びしてたかな?でもまあ大満足です。カーテンコールでの佑磨くんがやんちゃすぎて素敵 笑
【公演終了】ステロタイプテスト/パス
The end of company ジエン社
d-倉庫(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/14 (火)公演終了
すみません分かりませんでしたm(_ _)m
全面的に土下座します。分かりませんでしたm(_ _)m 安藤さんや岡野さん、川田さんや伊神さん・・・素敵な役者さんが沢山いらしたのに理解できないことが辛く、終演後のお茶会でもやはり何も掴むことができず残念でした。しかし、主宰の作者さんの熱心なお話には演劇への情熱が伺え、歩み寄りが出来なかった自分の不甲斐なさに悔しい思いをしていたり。うーん、でも、演劇って何だろう。もっと楽に楽しんで観たいな。いえ、あくまでも私の好みの問題です。
黎明浪漫譚-れいめいロマンティック-
エムキチビート
吉祥寺シアター(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
満足度★★★★
一貫したヒロイズム
奇をてらわずストレートな脚本はいつも通りのエムキチビート。でも今回はおぼんろ末原拓馬さんという太陽のような魅力に満ちた役者さんを主役に据えて、実に生き生きとした物語に世界を拡げていた、そんな印象。元吉さんの作る舞台は殺陣を入れたいためか現実と虚構の世界を行き来するという構造が多いですが、今回も例に違わずクライマックスは殺陣満載のファンタジー。考えてみると、小劇場出身で一貫してヒロイズムを貫いている作家さんは私が知る限りでは珍しいので、是非ともこの路線で一つのジャンルを確立してほしいところ。よくあるイケメン舞台とは一線を画した団体になり得ますよう静かに見守ってます。
耕太、宙に浮きながら
EPOCH MAN〈エポックマン〉
キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
時を繰る「静」、時を駆ける「動」
初日に渡辺×菊池組、アフターイベントの小沢×一色組、そして翌日に小沢×西川組を拝見。結果、小沢×西川組にて想像を遥かに超える奇蹟を体験。役者としての天性の勘に恵まれた二人の相乗効果で上り詰める至福の対峙、会話劇を超えて淡いファンタジーに演出される脚本。前日同じ物語を観ているはずなのにファーストシーンから震えが止まらないほどの緊張感。そしてラストシーンでは様々な光景が見えて感涙。吹雪の中観劇に向かい、大荒れの中帰宅しましたが、極上の演劇を堪能して極寒の今でも絶頂の幸せに浸っています。
夏葉亭一門会vol.9
夏葉亭一門
王子小劇場(東京都)
2013/11/25 (月) ~ 2013/11/25 (月)公演終了
満足度★★★★
落語に馴染みのない素人ですが
5人の方の5演目を聞いて、落語って面白いなと思いました。少し視野が拡がって、新しい世界を知るきっかけになるような、そんな会でした。
108の煩悩のひとつひとつを教えて差し上げましょうか?
ツリメラ
下北沢GARAGE(東京都)
2013/12/28 (土) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
サーベル・・・!
ブレイドフェチの私にはたまらない演出でした* 衣装やヘアメイクも素敵で楽しかったのですけど、そろそろ新しいアルバムが欲しいな・・・対バンではなく単独でずっとツリメラを堪能したい。当方、豚ではなくツリメイクの女ですが、どのようなお願いの仕方をしたらいいのでしょうか 笑
みてみぬふりするな
コロブチカ
Live & Bar Shibuya Milkyway(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/25 (水)公演終了
満足度★★★★
ツリ目で行きました!
ライブハウスでのクリスマスパーティーということで、勝手にスタンディング気分で行ったのですが、椅子ががっつり並べられて大人しく座って観る雰囲気に、あれれ?と。そして一人芝居が始まってからも鳴り響くほかの階のライヴ音・・・集中できなくて、せっかくの浮かれ気分が一気に消沈。でも、「肥後系 麗月」が始まった途端、目の前のコロさんに急激に引き付けられて、騒音も空調も全く意識から消え失せてお芝居を堪能してしまいました。細かく付けられた演出の向こうに涼さんが演じる姿も見えるようで、コロさんの独特の魅力もさることながら、涼さんの演技でも観てみたいな、なんてうっとり。そしてツリメラライブで大熱狂。やはり良いものは全てを陵駕するんだななんて思いました。お酒はもちろんコロブチカオリジナル。少し強めで程よく酔って、楽しい気分でパーティーイズオーバー。
Romantic Love?【ご来場ありがとうございました】
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2013/12/19 (木) ~ 2013/12/26 (木)公演終了
満足度★★★★
新生競泳水着は
日常の中にキラキラと光る言葉やシーンが印象的な上野さんの作風に、田中沙織さん・斉藤マッチュさん始めフェティッシュな魅力の役者さんの演技が加わって、以前よりも私の好みに合っているかなと感じました。主人公の流されるような恋愛の日々に胸を痛めながら共感したりもしましたが、その流れでのラストのセリフには「あれ?」と。神様ぁ、という言葉があまりに軽く感じてしまい残念に思ったものでしたが・・・後日、とある観劇おじさんとお話をしたところ、その流れからのあのセリフになる意味の解釈を伺い、なるほどそういうことだったのかと納得。でも出来ればその「成長」を体感出来たら良かった・・・その点、ちょっと惜しかったです。
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
満足度★★★★★
山崎彬さんゲストの回を拝見。
とあるお二人が熱演する冒頭のシーンから、ダルカラという劇団に出演できるということは至極の幸せなんだろうなと感じました。最近W受賞を果たした新進気鋭の作演出家である谷賢一さんの力が随所から伝わる「芸術」としての演劇。現在31歳である少年Aは評判を聞きつけて観に来るのかな、観てどんな感想を抱くのかなと山崎彬さんの研ぎ澄まされた鋭利なナイフのような演技とその演出を見て思いました。
治天ノ君
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
完全なるリアル
劇団チョコレートケーキの公演を観るのはこれで4回目ですが、毎回「最高傑作」と思わされます。しかし、次回この作品を超えるのはかなり難しいのではないかと思わされるほど、完璧な作品を観てしまったように感じます。目の前には、明治~昭和の時代が確実に在り、現在とは異なる時代の空気が常に張り詰めていました。神格を備えた明治天皇が、人間としての感情に苦悩した大正天皇が、そして再び力強い神の国を目指そうとした昭和天皇が目の前にいました。これはもはや演劇でなく、そこに自分が在ると錯覚する完全なリアル。脚本も演出も役者さん達の演技もどれも完璧なものでしたが、中でも松本紀保さんの「気品」が群を抜いて素晴らしかったです。そして特筆したいのは、美術や衣装の美しさ。細部までこだわった時代考証、特に玉座の妖しさはいつになくフェティッシュでとても私好みでした。
怪誕身毒丸
花組芝居
駅前劇場(東京都)
2013/12/04 (水) ~ 2013/12/10 (火)公演終了
満足度★★★★★
会心の一作。
シンプルな美術、紋付袴で統一された衣装。そこから繰り出されるインド神話をモチーフにしたどこかアンダーグラウンドの香りのするフェティッシュな舞台、人間の力を前面に押し出した演出・・・それらに彩られた舞台の上の役者さん達が一人残らず美しくて、あまりの神々しさと艶気に終始うっとりした気分で観てしまいました。中でも目を引いたのは加納さんと谷山さんのカーリー対決、谷山さんと涼さんの女形対決・・・そして大介さんのシッダルタの貫禄。阿形と吽形とで同じ脚本なのに、観る側の解釈に異なりをもたらす芝居の妙に、これが26年続く花組芝居という劇団の魅力なのかと驚嘆しきり。花組歴はまだまだ浅い私ですが、ものの見事に「落とされて」しまいました。次回公演も楽しみです!
SOU - 双・相・想 -
演劇ユニット ランニング
ザムザ阿佐谷(東京都)
2013/11/20 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★
再演!
2010年7月に上演された「終末の天気。」、ルデコよりも今回のザムザ阿佐ヶ谷での方がきっと物語の世界観に合うだろうなと思いましたが、その予感は見事に当たりました。天井の高い劇場で、シンプルながらも美しい演出で会話劇にファンタジー色が程よく上乗せされて。明日世界が終わるという事態の中、「日常」の続きを生きる登場人物たちの繊細な思いがごくごく自然に引き出されて実に素晴らしい再演となりました。3年前は今一つ引っ掛かるものがありましたが、今回は心臓の高まりに自然に胸を締め付けられ、最後の主人公の慟哭とともに涙が流れてしまいました。音楽もその使い方も物語に合っていて良かったですし、客席も笑いと涙に包まれていて心温まる時間を過ごせました、感謝。
僕の偉大なるアイザック・ニュートン
feblaboプロデュース
駅前劇場(東京都)
2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し突き抜けたものを
せっかくの駅前劇場ですもの、暴れてもいいのではと思いました。初見の佐々木瞳さんの脚本は、語弊を恐れずに言えば厨二とラノベの狭間を彷徨っているように感じ、この持ち味を活かして行くなら、瞳さん以外が持ち得ない魅力を持たないと観客の既視感に負けてしまうのではないかなと思いました。そして池田さんは相変わらず良い男優さんを起用することに長けていて、人柄の良さが伺えるもののそこが今一つ突き抜けたものを感じられない理由なのかなとも思います。後藤さんありそさんを始め男優さんは実力派揃い。そんな中で光っていた白井愛弓さんがなんだかとてつもなく化けそうでこれからが楽しみ。そして、笹木皓太くんを会話劇で初めて観ましたが、相手役の役者さんと心が繋がって相乗効果で芝居が高まるような、そんな力を会話劇で育んでいけたら今よりもっともっと良い役者さんになるだろうなと思いました。
ライク ドロシー
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2013/11/08 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
初日拝見。
大好きな川口覚くんが本多劇場に進出ということで、喜び勇んで駆けつけました。倉持さんの誠実さに溢れた脚本演出はなんて人を幸せにするのでしょう。ちょっとメルヘン、ちょっとファンタジックな世界に長澤まさみちゃんや片桐仁さんといった超人気の役者さん達が魅力的に息づいていて。高橋一生さんの演技力にも感嘆しながら、悪人のいない楽しい世界を堪能。客席全体もとても温かく、笑いの絶えない空間で赤い緞帳を見て、ああこれが「劇場」なんだなぁと優しい感動を覚えました。
森の別の場所
時間堂
シアター風姿花伝(東京都)
2013/11/01 (金) ~ 2013/11/11 (月)公演終了
満足度★★★★
ハードル↑↑↑
私が初めて時間堂さんを拝見したのは「すごい、ふつうの演劇。ふつうの、すごい演劇」を謳っていた頃で、その小劇場感溢れる温かな会話劇を楽しんでいたのですが、「廃墟」の頃からグッと物語が難しくなっていき、それまでの柔らかさを求めていた私としては、舞台の物語世界への入り込み難さを感じていたのですが・・・今回は思い切って、古典を観るときの気分にスイッチして観たら、舞台芸術としての演劇を存分に楽しめたとともに、ハードルがとてつもなく上がってしまいました(苦笑) 私の知る限り、時間堂さんは小劇場の中でも実力はトップクラスに位置する劇団で。けれど、古典にスイッチしたことで、私の中では比較対象が蜷川さんの舞台になってしまい。去年観た「ザ・ファクトリー」はテネシー・ウィリアムズの4つの短編を小劇場クラスの演出で2000円で観たなぁなんて思ったら、もっともっと上をと望んでしまう贅沢な欲求が生じてしまいました。しかしこれも実力のある方達揃いの時間堂さんだからこそ。これからも黒澤さん解釈の古典を拝見したく、とても楽しみにしています。