かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~ 公演情報 アロッタファジャイナ「かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【Bチーム】アロッタ流の耽美的古典
    まずはBチームを拝見。私にとっては初のチェーホフ、初の「かもめ」ということで、「中二病~」との副題が付けられたこの公演は正統派の古典とはかけ離れたものになるのかなと思いきや、とても真っ当な古典でした。照明や音楽・美術はアロッタらしい耽美的なもので、脚本も分かりやすく翻案されてあり、アロッタファンかつ古典初心者としては嬉しい限り。終盤はあまりの演技力の凄まじさに泣きながら見てしまい、6人の役者さんにこのような演技をさせることが出来る松枝さんの演出力に感服。終演後にお話を聞いて、ドラマターグとして中田顕四郎さんの存在がかなり大きなものだったことも感じ、これからのアロッタ、おそらくあるであろう新国立劇場での本公演にも弥が上にも期待が高まります。

    ネタバレBOX

    「中二病」とのキーワードが脳裏を掠めることはあっても、6人の役者さんが紡ぎ続ける丁寧かつ重厚な演技に終始釘付けになり、醸し出す濃密な空気に圧倒されながら見入ってしまいました。

    特に、ニーナが篭絡された中田さん演じるトリゴーリンの大人の魅力(私がニーナ役だったら本当に恋に落ちそう(笑))、4年後以降ロシアの冷たい空気に本当にさらされたかのような心と美貌を内面から溢れさせた押さえた演技のトレープレフ。演じる塩顕治くんの感情過多でない誠実に時を生きる演技はとても私好み。兼ねてからさいたまネクスト・シアターの川口覚くん(初舞台がアロッタ!)にトレープレフを演じてほしいと思っていた身としては(NHKの「100分de名著」の朗読劇でトレープレフを演じていたので)、彼に通じる誠実な演技をする塩くんにすっかり引き込まれてしまいました。

    その4年後のシーン、彼と秋山さん演じる関西弁のメドヴェージェンコの鬼気迫る演技に心臓が痩せる思いで観てしまい、あまりの凄まじさに涙が止まりませんでした。この舞台を見て、好きな役者さんにはトレープレフを演じて欲しいと思うほど、トレープレフという役が好きになりました。

    そしてニーナ・・・縄田智子さん。他劇団で勿体無すぎる使い方をされていたとは思えないほど、生き生きとして濃密な時を生きていて。細やかな表情の変化からも目が離せず今までのどの舞台以上にもその美貌が映え、特にラストシーンはこんなに美しい女優さんは見たことがないと思うほどの眩さでした。冷静になるとニーナという役はとてつもなく共感できないのに(地雷系ですよね(笑))彼女が演じるとトリゴーリンやトレープレフを引き付けるだけの説得力に満ちていて、トレープレフに振り向いてもらえないマーシャが哀れで仕方なくなってしまう。

    マーシャ役の香元雅妃さんも愛らしく、その健気な表情から目が離せなかったのですが、なんと初舞台らしいです。びっくり。

    そしてアルカージナ役の辻しのぶさん。大人で母親で女で女優で、という役を実に感情移入しやすく朗らかな演技で魅せてくれました。縄田さん香元さんにはまだ表現が難しいと思われる、深みのある女性としての立ち位置に立って確りと支えてくれて、安心して楽しめました。

    あとあと。衣装がとっても素敵でした!伊藤さんの衣装は白の質感がいつも印象的なのですが、今回はデニム。デニムってちょっと間違えるととてつもなくダサくなるアイテムなので自分で着る時もかなり気をつけるのですけれど(笑) スタイルの良い役者さん達がスタイリッシュに着こなす姿を見てさすがのチョイスだななんて思いました。上下デニムって素人だったらかなり危険ですよ!笑

    ※補足。圧倒的にBが好きです!

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    2014/03/02 15:06

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