耕太、宙に浮きながら 公演情報 EPOCH MAN〈エポックマン〉「耕太、宙に浮きながら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時を繰る「静」、時を駆ける「動」
    初日に渡辺×菊池組、アフターイベントの小沢×一色組、そして翌日に小沢×西川組を拝見。結果、小沢×西川組にて想像を遥かに超える奇蹟を体験。役者としての天性の勘に恵まれた二人の相乗効果で上り詰める至福の対峙、会話劇を超えて淡いファンタジーに演出される脚本。前日同じ物語を観ているはずなのにファーストシーンから震えが止まらないほどの緊張感。そしてラストシーンでは様々な光景が見えて感涙。吹雪の中観劇に向かい、大荒れの中帰宅しましたが、極上の演劇を堪能して極寒の今でも絶頂の幸せに浸っています。

    ネタバレBOX

    初日渡辺×菊池組、正直に言うとその演技から小沢くんの演出や演技を透かして観てしまい、小沢組では奇蹟が起こるだろうなと思って観てしまってました。もちろん、渡辺組お二人とも素敵な素敵な役者さんではあるので、これからブラッシュアップして会話劇独特のスパイラル感でどんどん良くなっていくのだろうなと感じてました。

    翌日の小沢×西川組。前日に同じ脚本で観ているはずなのに、ファーストシーンの小沢くんの指先の生み出す緊張感、表情筋が動く度にそれが意味するものが露になる瞬間の到来に心臓が震えて。奇蹟の連続の70分に、小沢道成という怪物の存在に感嘆し続けました。

    この類稀な「舞台に立つだけで空間を支配する」のは小沢くんの天性の才能で、正直、男性との二人芝居との発表を見たときは「小沢くんと対等に芝居を出来る役者さんが他にいるのかと心配だったのですが、西川康太郎さんを拝見してびっくり。対等どころか、凄い勢いで互いの力を引き出して極上の会話劇を見せてくれて。この物語が単なる会話劇に終わらなかったのは、ゲキバカでとびきりのエンターテイメントをこなす西川さんの力があってこそだと思いました。キレの良い身のこなし、スタイリッシュなルックス。特にセーラー服を着て回想シーンに入る瞬間は、小沢くんの「時を操る『静』」と西川さんの「時を駆ける『動』」の対比が凄まじい美しさで、さながら動く絵画のようでした。

    素敵なシーンは書ききれないほど続くのですが・・・中でもハッとしたのは。エプロンをサッと着ただけで耕太の母親にスイッチする小沢くん・・・性別も年齢も、時空をも超えて。周囲の空気でさえ温かな色に変わり、ラストシーンでは郷愁感と、愛に溢れる母親の死の表現、そして耕太の思いが動く様(ちなみに台詞は一切無し)に涙が止まりませんでした。

    演技はもとより、こんなにも小沢くんの脚本演出が素晴らしいものだったかと嬉しく思うとともに、この芝居だったら狭い箱ではなく、もっと広い劇場でも行けるのではないかなと思いました。大雪で客足が鈍ってしまわないかと心配ですが、沢山の人に観ていただいて、心を温めて帰っていただきたいななんて僭越ながら思いました。

    ※アフターイベントは、一色洋平くん脚本演出「紀伊國屋の虎」。
    小沢くんと洋平くんが「紀伊国屋ホールの楽屋直結のエレベーターに閉じ込められて」のドタバタコメディ。いやもう、登場の女装で爆笑。小沢くんの女装芝居はガチでヤバいです笑 終いには洋平くんが肉体美を曝け出しての力業芝居(褒めてます)、これはもう伝説ですねw しかしラストの水を飲むスローモーションで小沢くんの怪物級の演技力にまたまた感嘆。腹筋死にました笑
    なお、あんな状況を好きな役者さんに見られたら、私、死にマス。

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    2014/02/09 11:49

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