れいの観てきた!クチコミ一覧

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オーシャンズ・カジノ

オーシャンズ・カジノ

北京蝶々

王子小劇場(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい初日。
このテンションで13日間続くなんて・・・!!まるで夢の船の出航そのもの。ド派手なセット、ド派手な照明、ド派手な照明音楽、ド派手な照明アクション。そして実力派揃いの役者さん達が攻める攻める。リズミカルなスピード感に観ているこちらもついついリズムを取り、終始ノリノリで観てしまいました。楽しかったー!!!リピートします!

ネタバレBOX

堀越涼さんがいつになく新しいビジュアルで超絶イケメン。それでいて演技力が凄まじいって、もう、誰も太刀打ちできませんよね(^-^;)

終盤の鬼頭さんと涼さんの対決は、そのまま役者同士の対決のようでもあり。正に火花が散るようで手に汗握りました。

女の子達もみんなめっちゃ可愛い♪エンタメとして最高のものを観られた思いです。楽しい時間をありがとうございました!
くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇団初見です。
ハートフルでPOPで、しかし鋭い棘を持った刺激的な作品でした。ツイッターでのRTやこちらでの満足度の高さから(感想はネタバレを警戒して未読)、どんな闇に包まれたモンスター的な家族が描かれるのかと思っていたら。

その家族には確実に愛があり、登場人物の誰もがごく普通の人間だと私には思えました。だからこそ、噛み合わない歯車が悲劇へと向かうことの恐怖を強く感じて。じわじわと描き出されるそれは、とてつもない重苦しさを客席へと伝え、様々な環境で生きてきた観客に様々な感情を抱かせるに充分。しかし猫ちゃん達を中心に、一貫してPOPさを失わない・・・。

なんという劇団なのだろう、と心底震えました。脚本・演出はもちろん、役者力も、決して芝居を壊さない出迎え・見送りの温かいおもてなし感も。どれもが秀逸で、今まで私が見てきた小劇場の劇団としては最高の力を持った団体だと感じました。上演台本を買った私に気さくに話しかけてきてくれた谷さんに人柄の良さも感じ、劇団人気の高さの理由を体感して一気にファンになってしまいました。これからも観たいと思うに留まらず、演劇観さえ変えられた思いです。素敵でした。

ネタバレBOX

実を言うと、谷さんの作品は「幸せの歌をうたう犬ども」を観ています。しかしそのときは、客席を意識していないエゴイスティックな作品だと感じて、その疎外感からダルカラを観ることをずっと敬遠してました、ごめんなさいm(_ _)m

そのときとは180度違う今回の感覚に自分自身驚いてます。29歳の男性である谷さんが50代の女性の生をあれだけリアルに痛みを以って描き出せることに心底震えて。その衝撃は、10代の頃に三島由紀夫の「金閣寺」を読んだときと同じもの。この脚本はもう文学と言ってしまっていいと思いつつ、演劇でしか表現できない多角的な演出で魅せてくれたその才能に脱帽です。

あと、百花さんは初見ではないのですが、こんなに魅力的でキュートな彼女を観たのは初めてでした。可愛かったぁ。
Kon-Kon、昔話

Kon-Kon、昔話

世田谷シルク

pit北/区域(東京都)

2012/03/23 (金) ~ 2012/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

ぎゅっ。
小さな劇場の舞台の上に、世田谷シルクという珠玉のような劇団の魅力がぎゅっと詰まった、素敵な素敵な公演でした。文字通り、狐につままれる感覚にスパイラルで巻き込まれるファンタジー。フェティッシュなダンスパフォーマンスと芝居の構成が絶妙で、鳴り止まない音楽と共に脳と身体に実に心地よく染み渡り、上演時間中全く目を反らせないほど楽しませていただきました。

今回特に、女声の演出が印象的。海の中のシーンでは、本当に水中にいるようで。主人公の「おじさん」のように、こちらの心も惑わされて、ずっとゆらゆら、ずっとふわふわ。不思議空間で幸せいっぱい、終始笑顔で見てしまい、あまりの素敵さに何度も泣きそうになりました。堀越涼さんの素敵すぎる落語を観られたのも思わぬ収穫でした。

ネタバレBOX

やっぱり私は炎さんの演出が大好きなんだなぁと実感。ダンスも台詞回しも、他の劇団では観られないパフォーマンスが多用されていて、舞台上で起こっている全てのことから目が離せません。

私は涼さんのファンなのですが、世田谷シルクでの涼さんが一番魅力的に見えます(^-^)今回も何役もの演じわけを実に楽しそうにこなしていて、そのしなやかな体躯からこれでもかというほど才能と艶気を放っていました。また是非、世田谷シルクさんのお芝居でお会いしたいです☆
囁く夜と飴玉のいくつか

囁く夜と飴玉のいくつか

スミカ

百想(re:tail別館)(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/19 (月)公演終了

満足度★★★★

あたたかく柔らかな幻想空間。
細い路地に入って、黒い内装の、しかしどこかしら温かな雰囲気のギャラリー百想。そこにベッドが置かれ、白い寝具にカーテンに。衣装や小道具のブランケットも全部白。または生成り。部屋の灯りと曇り空の太陽光とが柔らかな陰影を作り出し、空間を、そして4つの物語を実に美しく幻想的に演出。シンプルな灯りと、ちょっと冷えた空気も手伝って、スミカらしい柔らかな清涼感に包まれたお芝居となっていました。昼ver.とのことでしたが、夜verも見たいなと思いました。どんなに幻想的で素敵な空間になるのかと思わず想像。

ネタバレBOX

2つ目と3つ目の演目が好きでした。

2つ目「毛糸のある部屋」、園田裕樹さんの犬が可愛い。
毛糸の玉を「羊」と言って集めて来ちゃったり(願掛けのために)
飼い主に添い寝されてドキドキしちゃったり。 見ていて、ほんわか。
恋人同士になることは出来ないけど、いつまでも幸せに暮らせたらいいねなんて思いました。

3つ目「遠く春を待つ部屋」、最初に菅野さんがベッドで寝てるシーンからもう美しい。演出の原田優理子さんが「こんな菅野貴夫が見たかった」とツイートしてた意味が一発で分かりました。
そして、その菅野さん演じるお父さんと産まれてこれなかった娘の長い長い抱擁のシーンが、正視すると赤面しそうなほど素敵。会場が結構寒くて、体調が悪いのでちょっと辛かったのですが、なんだかちょっと身体が温まりました(笑)
帰りに「急な階段が危ないから」と前を歩いてくれた菅野さんがやたら頼もしく思えたのは内緒ですw
日本の問題 Ver.311<公演終了しました。ありがとうございました!>

日本の問題 Ver.311<公演終了しました。ありがとうございました!>

日本の問題

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/03/06 (火) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

企画は良かったはずなのに
例の正座してのプレゼンテーションで何もかもが崩れてしまった。彼以外の誰もが「そんなことないよ、演劇の力で日本を変えることは可能だよ」と思ってるはず(と思いたい)なのに、彼に言葉を撤回させて土下座させるだけの「力を持った演劇」をどの劇団も提供できていなかった。彼自身にも、「そこまで言って何故役者として演じたのか」との思いを届けるだけの役者としての力が無かった。企画は良かったはずなのに。その企画で被災地にチケット代が寄付されるからチケットを予約したのに。お金はともかく、人一人、時間を割いて足を運ぶということの意味も考えなければ、創る側にとって演劇をする意味は本当に無いと思います。

ネタバレBOX

公演を打つ上での葛藤や苦悩なら誰にでも出来ます。
その上で生み出されたものへの「期待」にしかお金と時間を前払いできないのです。
ですから、演劇の力をもっと信じてほしい。
信じることがすべてのスタートだと思うのです。
-SORA-

-SORA-

PEACE

d-倉庫(東京都)

2012/03/01 (木) ~ 2012/03/05 (月)公演終了

満足度★★★

うーん。
PEACEはパワフルなパフォーマンスを通して笑顔で繋がりみんなで幸せになろうというコンセプトがストレートに伝わってくるとても素敵な劇団なのですが、今回はその良さが活かせるだけの準備が不足していたかなという印象。
シェルターで隔離されて育った子供達が空を見る、という希望溢れる物語ですが目の前の状況が過去なのか現在なのかの区別が容易に付かなかったり、地に足の着いていない演技にヒヤヒヤしてしまったり・・・。

今まではそれを超えて余りある好感度の高い表現で魅せてくれたのですが、公演も3回を超えたので、これからは自分達が信じる表現を観客に伝えるための精度をもっと高めていってほしいなと、劇団のファンとして僭越ながら思うのです。

それにしてもPEACEはイケメンのレベルの高さが異常。ジャニーズやD-BOYSにいてもおかしくない男の子がゴロゴロいます。それなのに和田亮一くんの演出は安易なイケメン芝居に走ることなく、ダンスする笑顔の彼らを実に爽やかに魅せてくれて、こちらも自然と笑顔。旗揚げに強く感じたこの真っ直ぐ感が好きなので、次回楽しみにしてますね。

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

劇団霞座

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2012/03/01 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

消化、そして昇華。
題材が夢野久作の奇書ということで、学生劇団がどのように舞台化するのか、果たしてクオリティはどうなのかとかなり楽しみにしていました。

結果、期待を遥かに超えて。 あの変質狂的な論文や散文の部分がものの見事に消化され、気の狂いそうなほどの堂々巡り感も「演劇として」実に力強く、退廃的な美しさで見事に舞台として昇華されていました。

この霞座という劇団の、自分達の信じる演劇を真摯に創り上げる姿勢と、醸し出すフェティッシュ感は結構私好み。公演後に一橋純平くんが所属したこともあり、注目していきたい劇団の一つになりました。

ネタバレBOX

素敵だったのは、芸術的な演出。脳髄を思わせる青と黒の線がオブジェに床にと散りばめられた美術は勿論、照明も音楽も美しく耽美的で、学生演劇とは思えないほど洗練されたフェティッシュな空間。

そして、演技。これは若林博士を演じた一橋くんが秀逸。
男性は、主人公・正木博士・若林博士の3名が登場するのですが、奥行きの深さを感じ、立体的に役を演じることが出来ていたのは彼一人。
(他のお二人も確りした実力を持ち、それぞれの狂気を力強く演じてはいたのですが、まだまだ若さの方が前面に出ていてしまって、役に近づくというよりは役を自分自身に引き寄せていた感あり。)

その一橋くんの武器は、纏う空気(オーラ)を操れる力。
最初に纏うオーラはただの博士のものではなく、かといってマッドサイエンティストでもなく。しかし徐々にそのオーラを変化させ、狂気を露にしたかと思うと、ラストではそれが錯覚だったのかとハッとさせられるような冷めた空気を纏っている。
そして、表情・・・特に目の演技が素晴らしく、また、立ち尽くす後姿からでさえその暗鬱とした表情が見えるかのような全身の演技も凄みを以っていて。こんな風に一つの芝居の中で別ステージの精神を演じられる役者さんはなかなかいません。
彼の演技には地下アトリエ以来注目してきましたが、今回その才能の底知れない可能性をまざまざと見せつけられました。これから彼がどのように役者として成長し、どのようなお芝居を見せてくれるのかとても楽しみです。
ビューティフル・サンデイ

ビューティフル・サンデイ

東宝芸能

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2012/02/23 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

心の交流。
ある晴れた日の日曜日の物語。 ゲイカップルの部屋に迷い込んだ、三十路の女性。
その三人の、心の交流。観ていて、心がとても温まりました。
物語に既視感を感じたりもしましたが、その普遍性の中で三人がとても魅力的に演出されていて、大きな舞台でも隅々まで伝わる空気に、言われもない温もりを感じました。

途中、大粒の涙がボロボロとこぼれて止まらなくて。 瀬名さん演じるちひろの心境がダイレクトに伝わってきて、でも決して心が痛いわけでもなく、染み入るようにとめどなく泣いてしまいました。
いえ、不倫してたわけじゃないのですが(笑)細かく揺れる女性の心にはやはり感情移入を激しくしてしまい。その末の、ふわっと心が温まる感覚。きっと創り手も客席全体も、同じ思いを共有してる。そんな感覚を観ていて感じて、ああ、演劇って素敵だな、観て良かったな、と思ったのでした。

2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」

2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2012/02/20 (月) ~ 2012/03/01 (木)公演終了

満足度★★★★★

観劇史上、最高の。
類稀な美しさと愛しさに溢れた舞台となりました。黒と赤を基調にした衣装は荘厳で、重厚さを纏った役者さん達が舞台を縦横無尽に駆け回る姿が幻想的で美しく。中でも、奈落で繰り広げられる芝居・・・それは、亡き王の恨みの声であったり、オフィーリアの狂気であったり。劇中劇であったり、葬式であったり、と様々なシチュエーションでその場が使われるのですが、狭い空間なのに無限の広がりを感じさせ、「そこに行きたい」との憧憬まで感じさせられます。その舞台上で「ハムレット」且つ「ハムレットを演じる役者」として生きていた川口覚くんの実力の確かさと美しさは、上演時間(4時間近く)を絶え間なく愛しいものにしてくれました。この舞台は、私の観劇史上最高の舞台です。これを超える舞台に出会える予感が今のところありません。(逆に、誰か超えてくれるのを待ってます。)

ネタバレBOX

語るべきはやはり、その川口くんの演技の素晴らしさ。しっかりした台詞回しの中に感情表現の確かさを感じて、その声にも仕草にも一瞬たりとも隙を感じません。観ていてゾクゾクしっぱなしです。
4時間もの長い公演時間の間、父である先王が亡くなり、父の弟が母と結婚して王位を継いだ頃のハムレットの虚無感から始まり、父の霊の恨みを知ってからの葛藤、苦悩、狂気。それらを徐々に増幅させ、ハムレットとして役者として進化してく様をまざまざと見せられて。
時の流れのリアルさに観ているこちらの心臓も切なく高鳴り続けて感情移入が頂点に達するその時、ハムレットが可憐なオフィーリアを「尼寺へ行け!」と罵倒して罵倒して観客の涙腺も爆発させられる辺りでの、まさかのこまどり姉妹の登場(笑)
着物でマイクを持って演歌を歌う姉妹の圧倒的な存在感に打ちひしがれてヒクヒクとのたうち回るハムレットとオフィーリアからは「見せ場なのに・・・見せ場なのにーーー!!」という心の叫びが聞こえました(笑)

9割方、正統派の古典の舞台なのですけれど、蜷川さんの演出意図・・・あくまでも、若い無名の役者達による上演というコンセプトが、若者達の熱演の最中に悪戯心を以ってひょこっと顔を出す、厳粛さ溢れる古典の醍醐味の中にも遊び心満載の楽しい演劇でした。
dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★

黒の章。
うーん。良かったのですけど。良かったのですけど、再演=パワーアップ、でないと満足できない身体になっている模様。初演とあまり印象が変わらない・・・というより、兄がひょいのさんから宇野さんに変わったことで、ひょいのさんの飄々感が好きな私は「うーん」と思ってしまったのでした。しかしワイルドセクシーな宇野さんの兄は、妹への思いが妙にエロティック。そういった表現はないものの、「兄と妹と恋人」の精神的な三角関係を浮かび上がらせ、なんとも言えない背徳感を醸し出していました。これはこれで好きです。

ネタバレBOX

・「ほんの遊び心」も含め、海賊ハイジャックリピーターには楽しくて仕方ない黒の章。タカダ刑事は毎公演登場してほしいです(笑)

・ジョン・ウェインは今ひとつ存在感に欠ける気がしました。気がつくと服を着替えてたりするのですが、もしかしたら女性向けのサービスシーンだったのかな?何かもう少し醸し出すものがあれば、メンズの生着替えに「おおっ」となってたのかななんて思ったり。

・「ほんの遊び心」での朝日さんの衣装がとても素敵でした。
バックギャモン・プレイヤード

バックギャモン・プレイヤード

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2012/02/09 (木) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★★

心からのダブルコール。
初・カムヰヤッセンです。郷愁感漂う民話のような始まりに、心臓は次第に温かくなり。そこから徐々に、未来への恐怖に冷たい感触が頭をもたげ。いつしかその冷たさが温かさを上回り、じりじりと焼けるような痛みに覆われ、慟哭の中に差すやわらかな希望にまた温かさが蘇る。当パンは読んでいませんでしたが、浮かび上がる物語からは明らかに今の日本を髣髴とさせられ、愛すべき古き良き日本が崩れ去る様に恐怖を覚えました。これは日本人のための寓話。テキストに沢山の言葉が散りばめられた、愛しい日本の物語。役者さんが全員素晴らしかったです。舞台の上で、物語の中で正に「生きて」いました。細やかな息づかい、素朴な笑顔。それぞれの心の変遷に、誰一人として目が離せませんでした。静かに崩れるバランス感やその再生、どれもが涙を禁じえません。客席の灯りがついても鳴り止まない拍手に二度泣きしました。素敵な時間でした、本当に観て良かったです。

ネタバレBOX

「物知りさん」はアメリカだと思いました。便利だからと刹那の快楽を享受した末は原発事故に繋がると容易に想像できたので、常に恐怖を抱えながら観ました。ステレオタイプの登場人物ばかりであるせいか、先の台詞や行動が結構読めてしまうのですが、その分かりやすさを感じるごとに「分かってるなら行動に移せ」と戒められているような気がして、自分の無関心・無責任さに罪の意識を感じながら観ずにいられない。分かりやすいのに、深いところを抉ってくる。心が痛かったです。

安藤理樹さんの演技を楽しみにしていたのですが、役者力がこれでもかというほど感じられて大満足です。泣かされました。
dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

青の章「dogma」、海賊ハイジャック最高傑作。
青の章「dogma」を拝見。役者さんの演技力が格段に伸び、戯曲に息づく登場人物の生が鮮やかに浮かび上がる見事な再演でした。川添美和さんの生命力溢れる演技もさることながら、役者さん一人残らずその過去、思想、そして未来までをも想像させる作り込みの深さ。素晴らしいクオリティ。

相変わらず目の前の光景は果てしなく美しく、そして残酷。息苦しく、腐臭さえするのに、観ているうちに這いつくばってでも生きようと思える。海賊ハイジャックの美学、ここに極まれり。その生命力を前に「生きよう」と思わない人はいないはず。元気いただきました。世知辛いですが頑張って生きます。

ネタバレBOX

ビジュアル的に男性も女性もみな美しく、特に袴姿の方達はフェティッシュで素敵でした。なんで日本刀ってあんなにソソるのでしょう(笑)場面のどこを切り取っても絵画のように美しい。役者さんの目線が合う席に座ってたので、なんだかとてもドキドキしてしまいました。

そして、皆さん、声が良い。目をつぶって台詞を聴きたいとも思いました(観ないと勿体無いのでちゃんと観ましたが)。特にナワ役の方は声の表現力に長けていたので、早々と消えてしまって残念。もっと声聞きたかったです(^-^;)

また、どの登場人物もこれからの生き様が気になりますが、恋人を一人で死に至らしめた伊賀がどのようにこの先罪の意識を背負って生きていくのかが一番興味ありました。赤松を羨ましいと言ったけれど、きっとあれは本心ではなく、死への恐怖から逃れるための自己防衛の言葉だったのではないかなと想像。

あとすみません、「ひょい」さんがいなかったのが残念。あの飄々とした空気は安心感に繋がるので貴重な存在だなー、と。

※「魁!男塾」のアフタートーク、全然分からなかったけど面白かったですw
今夜だけ / × / ママさんボーリング(公演終了!感謝!御感想お待ちしています!))

今夜だけ / × / ママさんボーリング(公演終了!感謝!御感想お待ちしています!))

MU

駅前劇場(東京都)

2012/02/02 (木) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

凄まじい狂いっぷり。
キレてました。変態でした。セクシーでした。MUで描かれる狂気は実は誰もがこっそり身に潜めていること。秘密の部分を掘り返されて、痛くて痛くて仕方ない。けれどそんな人間を大きな愛で慈しんでくれる、そんなMUの良さは今回も顕在。笑いました。そして、心の中で泣きました。

ネタバレBOX

「×」
DVDで観た初演のキャストが神だったので、リメイクでどうなるかとても楽しみでした。「なんだこの川!」の台詞が好きなので、その台詞を聞けたときは心の中で拍手喝采。探偵が人妻を追いかけるシーンがキモくて好き(笑)

「ママさんボーリング」
最初から最後まで爆笑。いやもう、女なんてあんなものですよ。平和で、アホで、そこが可愛い。

「今夜だけ」
セクシー。ぬいぐるみとの擬似セックスはダイレクトにキますが、それ以上に、そこに至るまでの人妻の心の変遷・・・葛藤であったり、罪の意識との戦いや背徳の甘い疼きであったり等、想像するまでもなく心に突き刺さってきて痛い痛い。でもこんな感覚を味わえる大人で良かった、そう思うと共に、きっとまだまだ未知の感覚が沢山埋もれてる気がする、そんな風に思える素敵な作品でした。
【前売り完売!!!当日券は若干枚数、販売予定】夏葉亭一門会vol.4

【前売り完売!!!当日券は若干枚数、販売予定】夏葉亭一門会vol.4

夏葉亭一門

王子小劇場(東京都)

2012/01/31 (火) ~ 2012/01/31 (火)公演終了

満足度★★★★★

昼の回を拝見。
落語の知識はゼロなので楽しめるかどうか不安でしたが、いざ始まってみると、素直に目の前の楽しさにすっかり引き込まれてしまいました。

最初こそ、いつもお芝居を観るように役者さんの「『落語家役』の演技」を観る感覚で見聞きしていましたが、次第に役者さんの震える手や熱演の汗に気付いて、ああ、落語ってお芝居とはやっぱり違うものなのだな、と実感。お話が分からなくなっちゃうこともあったのですが、この短い時間に掛ける役者さんの思いが伝わってきてとても温かい時間を過ごせました。

それにしても、堀越涼さんは凄かった・・・。枕も本題も、素に近いお顔でのお話から4人の男女の演じ分けまでが驚くほど巧みで、茶目っ気や色気まで放っていて素晴らしい出来栄え。客席の温かな空気の中、お話も技量も堪能させていただきました(*^-^*)これ観たら男女問わずみんな彼に惚れてしまうのでは?落語に興味を持つには充分な素敵さでした。

ネタバレBOX

落語の楽しさの一つに、客席の一体感があるのかな?と感じました。

その空気を作れるのも、話し手の技量なのでしょうね。
『渡り鳥の信号待ち』

『渡り鳥の信号待ち』

世田谷シルク

シアタートラム(東京都)

2012/01/19 (木) ~ 2012/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

永遠に続けばいい。
初めて観る本公演、期待以上に素晴らしかったです!!メルヘンチックだったりファンタジックだったり、キュートだったりセクシーだったり。それらが決して散漫になることなく、絵本をめくるように胸の高鳴りを以って、拡がり、展開していく。こんなに多角的で魅力的、かつ芸術的な演出は初めて観ました。

椅子の使い方もダンスなどのパフォーマンスも素敵すぎ。女性の美しさを引き立たせる振付やメイクや衣装も秀逸でした。刹那刹那が愛しすぎて、終わらないで欲しい、このまま永遠に舞台が続けばいい、と思いました。

炎さんの頭の中にはまだまだ沢山のアイデアやいたずら心や素敵な企みが詰まってるのでしょうね。世田谷シルク、また観ます。貪るように観ます。

ネタバレBOX

音楽がやたら好みです♪
最初のsmooth criminalで既に心臓バクバクでしたw
学生版日本の問題

学生版日本の問題

日本の問題

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

Aを観ました。
学生演劇とはいえ、予想外の演劇レベルの高さにまず吃驚。そして「個」の問題を「公」に繋げることをストレートに表現しないスカした感が学生らしくていいな、と。『四次元ボックス』は笑いと無駄にカッコいいダンスでひたすら楽しく、直後の『声を出すと気持ちいいの会』では怒られた(汗)。役者も観客も日本国民も全員文字通り怒られた。直接怒られる演劇なんて初めてです(笑)
『ミームの心臓』は重々しさの中浮き彫りになる絶望と希望を描き出していましたが、このテーマに関しては震災後様々な団体で取り上げていたのでちょっと分が悪かったかも。でも3団体のバランスはとても良かったと思います。ああやっぱりBも観たかった。いい公演だったんだろうなぁ。

ネタバレBOX

役者さんはやっぱ「声きも」の後藤くんですね。
「鋼鉄村松」で注目して、彼を観に来たようなものです。
今回も驚くほど繊細な演技に見入りました。
子供のように振るえてて、なんだか切なかったです。

ちなみに彼がおじいさんと稲刈りをするシーンは、同じルデコ(の5F)で観た満島ひかりちゃん主演の「農業少女」を思い出しました。
郷愁感では負けてませんでしたよ。
ちなみに劇団はアロッタファジャイナでした。
星の結び目

星の結び目

時間堂

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/12/22 (木) ~ 2012/01/02 (月)公演終了

満足度★★★

うーん、
時間堂さんはここ数年毎回拝見していて、「必ず心を温かくしてくれる」劇団としてお友達を連れて素敵な時間を過ごすことを楽しみにしているのですが、なぜか今回はいつも感じる温かなカタルシスが感じられませんでした。何故だろう、と思ったのですが、答えはアフタートークですぐに見つかりました。新しく劇団員になった3人の女優さん達の「伝える力」がまだまだなのかなぁ、と(ごめんなさい)。「廃墟」で凄まじい演技力を見せてくれた菅野さん酒巻さん鈴木さんといった好きな役者さん達がサポートに徹していたのも、私にとってはちょっと物足りなかったです。女優さん達とのバランスがよければきっと物足りなさは感じなかったとは思うのですが。良い評価ばかりのなか心苦しいですが、好きな劇団だからこそ、正直に書いてみました。

ネタバレBOX

厳しいことを書きましたが、黒澤世莉さんの「育てる力」を信じているので、次回はきっと皆さん一回りも二回りも素敵になってると確信してます。次回公演も楽しみにしています。
寿伝説(ハレルヤ)

寿伝説(ハレルヤ)

白昼夢

シアターシャイン(東京都)

2011/12/22 (木) ~ 2011/12/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

初アングラ。しかし眩しい。
「白塗りは表情が見えない」と聞いたことがあったので、実は楽しめるか不安でした。会場に入り、全体を見渡せる最後列に座ったら、案内係の方が「前の方が迫力ありますよ。楽しいですよ」としきりに勧めるので最前列に移動。最初はやはり、初めて体験するアングラ感にドン引き(笑)しかし、時間が経つに連れ、全身白塗り(そしてペイント)でもはっきりと分かる役者さん達の表現力の高さ、そして満ち溢れて迫り来るパワーにどんどん胸が高まって、最後の「ハレルヤ」(注:替え歌)の合唱で楽しさ爆発。ここで一緒に歌いたいという衝動を強く感じました。身体を動かすこと、声を動かすことって楽しいんだろなぁ、と舞台上の役者さん達が眩しく見えた素敵なお芝居でした。

ネタバレBOX

神様役の四戸くんのパフォーマンスが正に「神」。終演後に一人でいたので思わず名前を聞いてしまいました。

そしてその後数日、「BOY MEETS GIRL」と心の中で歌う日々が続きました。

あとね、ビンゴで当たったダイソーのダンベルの処置に困ってますw
ルート99

ルート99

さいたまゴールド・シアター

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)

2011/12/06 (火) ~ 2011/12/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい・・・。
年を取ること、生きること、成長し続けることの素晴らしさを強く感じさせてくれた感動的な舞台でした。震災後の社会不安が一層強くなるこの昨今に観られて本当に良かったです。沖縄問題に挑む人々の姿はそのまま私達の未来の姿を示唆していて、どのような思いで生きてきたか、その上でどう行動するか、そしてこれからどう生きるべきかを、若い恋人達に準えて心に訴えかけられて、えもいわれぬ清涼感に包まれました。ここ数ヶ月で、絶望と希望を描いた舞台はいくつも観ましたが、初めて「演劇で表現する」というその理想が昇華された思いです。素敵な舞台でした。さすが蜷川さん演出。

ネタバレBOX

川口覚くんが素晴らしかったです!3年前の初舞台から、独特の清涼感はそのままに凄い勢いで飛距離を伸ばしてます。次回の舞台は蜷川ハムレットでの主演と聞いて楽しみすぎてもう死にそう。
日本の問題

日本の問題

日本の問題

ザ・ポケット(東京都)

2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

何故演劇で「日本の問題」を?
という疑問も多少ありはしましたが、「このタイトルを聞いただけで誰もが日本の問題について少しでも考えるきっかけになる。それって素敵なことなんじゃない?」くらいの軽い気持ちで観に行きました。
結果、純粋に「演劇」として高揚感を以って楽しめました。同じテーマで、同じセットで。8団体が全く違うアプローチで臨んできて、団体によって作品のクオリティに差はありましたが総じて満足です。4時間という上演時間が苦にならないほど楽しかったー!

ネタバレBOX

今回一番の収穫は、DULL-COLORED POP。
最初はあまりの騒がしさに「え?」と思ったのですが、次第に18人の役者さん達が、その大人数にも関わらず驚くほど「統制された喧騒」を演じていることに気付いて、その演技能力の高さ、それを演出できる演出家の力に戦慄を覚えました。その光景は、まるでモーリス・ベジャール振付のバレエの「ボレロ」のようで。それはそれは美しく(いや、表現しているもの自体は美しくはないのですが)、人間の持つ力の可能性を感じさせてくれました。初めて見た谷さんの役者としての姿も◎でした。(素かも?)

そして前評判を聞いて一番楽しみにしてたMrs.fictions。
今村さんが「サヨナラサイキックオーケストラ」とは全くの別人で目を疑いました。3人の役者さんの掛け合いがおかしくておかしくて。面白かったー。

そしてそして、もう大のお気に入りの、ろりえ。
ここに於いてもまさかのバカっぷり(注:褒めてます)。ああもう、大好き。笑いすぎて死にそう。演出家と、多分その父親以上の年齢であるあのじじい(注:前回本公演の役名です)とが、嬉々として稽古してる場面を想像するとなんだかそれだけでも笑えます。重い演目が多い中、ある意味清涼剤(?)のようにも思えました。

アロッタファジャイナは、物語としては非常にシンプルなのですが、作演が伝えたいことを役者さんが実感として身に着けていてそれを演技に乗せて確りと伝えられる、という役者力に引き付けられました。政治経済について分かりやすく説明し具体的に改善策を提案するというストレートな手法は一番ダイレクトにテーマを伝えてくれて好感度大。

ミナモザとJACROWはずっしりと重い空気感を感じさせてくれましたが、ある意味「想定内」の出来の良さで、意外性はありませんでしたがその分安心して観ることが出来ました。しかしどちらも人間一人一人の「尊厳」を「問題」として提起していて、ちょっと似た印象だったかも。JACROWの女子高生可愛かったなぁ。

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