ヴォンフルーの観てきた!クチコミ一覧

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舞台「アンフェアな月」第2弾 ~刑事 雪平夏見シリーズ~ 殺してもいい命

舞台「アンフェアな月」第2弾 ~刑事 雪平夏見シリーズ~ 殺してもいい命

刑事・雪平夏見シリーズ製作委員会

サンシャイン劇場(東京都)

2019/06/21 (金) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★

劇団『秦組』を率いる秦建日子氏の小説が原作。重厚なミステリー映画のように物語が面白い。クール・ビューティーな篠田麻里子さんは雪平夏見刑事役にはまっていた。セットと照明の演出が巧みで、まさに映画を観ている気分、非常に判り易い。
敏腕女刑事の別れた旦那が殺された。第一発見者は自分自身。『フクロウ』と名乗る殺人請負業者による連続殺人が幕を開く。
死んだ旦那がナレーション的役割を果たすのが面白かった。

ネタバレBOX

多数の役者、台詞のトチりや噛みが多発。早口で長台詞の応酬が続く為か。これだけ連発する舞台も初めてで逆に新鮮。第一幕がハードボイルド調でスタイリッシュだっただけに、二幕の解決篇が乱調気味。駆け足で話の収束を雑につけた感じで勿体無い。ずっと犯人を追っていた退職した老刑事の存在をもっと膨らませて作品の基調にしないと。いろんな要素が見事に絡み合うことを期待していただけに肩透かし。原作のダイジェストになってしまっている。愛猫家やストーカー、探偵(小島よしお氏好演)の伏線が作品世界の書き割りで終わってしまった。狂言回し的な役回りを背負った安藤刑事の視点もさほど機能していなかった。
2.8次元

2.8次元

ラッパ屋

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/06/09 (日) ~ 2019/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

こりゃ、ウディ・アレンだ。『さよなら、さよならハリウッド』の感じ。センスのいい小洒落たカルチャーギャップ・コメディ。本当によく出来たシナリオである。
歴史ある新劇の劇団雑草座が存続の危機を賭け、未知なる2.5次元舞台に挑む。劇団員は役者業に誇りを持つ老人ばかり。対するは原作アニメに忠実たらんとする若きディレクター。
客演のミュージカル女優REINA役の豊原江理佳さんが素晴らしい。彼女がいるのといないのとでは作品の厚みが大違い。生演奏のピアニスト佐山こうた氏はそれだけで金が取れる名演を披露。ラストは小津安二郎の『浮草』を思わせ、旅芸人の哀愁も漂う。座長役、木村靖司氏も味のある余韻を残す。ウディ・ファン必見。

ネタバレBOX

劇中劇の2.5次元舞台がつまらなそうなのが残念。(狙いなのだろうが)。二つの価値観が融合して訳の分からない作品になるところが観たかった。筒井康隆氏の『大いなる助走』のようにメタ演劇論まで突っ切って欲しい気も。
パリのアメリカ人

パリのアメリカ人

劇団四季

神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2019/03/19 (火) ~ 2019/08/11 (日)上演中

満足度★★★

ヒロイン、リズ役近藤合歓(ねむ)さんのあちらこちら小鳥のように跳びまくる可憐さ。研ぎ澄まされた肉体芸術、バレエの魅力。ラスト20分間のショーは圧巻。大して汗もかかず息切れもせず、これをこなしているキャスト達に大拍手。

ネタバレBOX

話が退屈。膨らませ過ぎて焦点が合わなくなってしまったような。第二次大戦後、パリに居残ることを選んだ米兵マリガン。配給品のフランスパンを貰えなかった老婆に分けてやる心優しきリズに一目惚れ。ストーカーのように追っ掛け回す。バレリーナを目指すリズのことを愛する三人の男の友情物語。二幕に休憩20分で2時間50分は長い。楽曲もイマイチだが工夫の凝らされた振り付けと目眩く変化するセットが綺麗で退屈は感じない。男優陣の感情移入し辛いキャラ設定が話に乗れない理由か。バレエショーとしては秀逸でまた観てみたい。
ジャガーの眼

ジャガーの眼

劇団唐組

雑司ヶ谷鬼子母神(東京都)

2019/05/18 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

全三幕。各40分×3と休憩10分×2で2時間20分。
サンダルその物を探偵事務所にしている一人の探偵。車椅子に乗せた等身大の蝋人形と共に現れる前の事務所の社長。ずっと肘を曲げ腕を宙に浮かせている蝋人形は仮面を外すと月船さららさん。その蝋人形、サラマンダと探偵はかつての恋仲とのこと。亡き恋人の移植された角膜を追う死者の女。その角膜を移植された若い男と恋人。死にかけた野犬の心臓を自らのものと交換しようとする少年(唐さんの娘、大鶴美仁音さん好演)。こうして登場人物を挙げるだけで頭がくらくらする。一人一人がジョージ秋山の漫画並みにキャラが立ち、完全にイカれた妄想狂のくんずほぐれつの取っ組み合い。人外『アベンジャーズ』のルールなき論争戦バトルロイヤル。とは言え不思議なことに最後まで観てしまうと叙情的な一篇の詩を聴いたような余韻を感じてしまう作劇。人に何かを伝えることの摩訶不思議。
劇中歌『死ぬのはみな他人、愛するのもみな他人』。自分と他人しかいない世界で何を求めて彷徨うのか?

ネタバレBOX

第一幕は余り跳ねない。登場人物の紹介といった感じ。第二幕になると、キチガイ臓器移植医師、Dr.弁の登場で沸きに沸く。WWEのロイヤル・ランブルと同じで魅力的なファイターがリングに上がると観客の好奇心が刺激され興奮と熱気、否応なしに盛り上がる。月船さららさん演じる蝋人形サラマンダの存在の強いこと。第三幕は全ての話がなかったことのように一体何を観せられていたのかと訝しがる。話はあって無いようなもので、探偵が売った自分の右目の角膜の行方を見守るというだけなのに。
月船さららさん見事なり。『からくりサーカス』のフランシーヌを思わせる美しさ。ラストの皆が舞台外に旅立って行くのを手を震わせて見送るしかない人形の無念さがリアル。唐十郎氏の台本と取っ組み合っている感じが最高。そういう役者にこそ観客はゾクゾクしてしまうもの。これぞプロである。
1001

1001

少年王者舘

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2019/05/14 (火) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

無数の物語の狭間で何かを探し続ける青年や少女の物語。今敏監督の『パプリカ』のような感覚。夢の中でこの舞台を観ている自分を俯瞰して観ている自分。無限の入れ子細工。時間と空間とが無数に重なって存在している多重世界。照明音響美術投影、最高峰の技術で見事にそれを表現。こんな方法論があったのか?とアイディアに感嘆。目の前でありとあらゆる世界の可能性を実感できる。それと共に統合失調症患者の話を一方的に聴かされているような苦痛も。何とも暴力的な舞台。『脱構築』『差延』、ポスト構造主義的な繰り返し喜劇なのか?神秘家グルジェフのワークやニジンスキーの手記を連想する。

ネタバレBOX

観客によって賛否両論であろう。
所謂、多数の一般人がイメージする『演劇』である。こういうのが好きな人にとっては極上。この系が嫌いな人にとっては何が何だか訳が分からない。『きっと何か深い意味があるのだろうけれど、難しくてよく分からない』的な。
中盤から物語が停滞し、繰り返しギャグばかりで退屈に。
ただセットも含め、余りにも美しいシーンが幾つも観れる。ずっと記憶に残るような。
LADYBIRD,LADYBIRD

LADYBIRD,LADYBIRD

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2019/05/02 (木) ~ 2019/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

何度観ても引き込まれる。子供向けと思わずに是非一度観て頂きたい。単純な話のようだが、幾重にも練り込まれた構造をしている。孤独なお婆さんに捕らえられた虫達の物語。虫籠の中で彼女の失った家族や友人の名前をつけられ、思い出話を聴かされている。テーマは耐えきれない苦しみとどう向き合うか?であろう。勿論答など無いのだが、葛岡有さん演じる主人公が『LADYBIRD,LADYBIRD』と歌う度に何かを感じる。毎年キャストが変わる毎に作品が厚みを増していくような。来年も観に行きたい作品。

りさ子のガチ恋♡俳優沼

りさ子のガチ恋♡俳優沼

バードランドミュージックエンタテインメント

新宿シアターモリエール(東京都)

2019/04/19 (金) ~ 2019/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

初演も観ているので、二回目。新垣里沙さんの代表作になりそうなはまり役。大竹しのぶさんのような怪女優になっていく予感も。本当、手の動きや目線といった細かい演技が凄い。常に何かをやっているので目を奪われる。ヲタ仲間、方言が似合う辻村りかさんが可愛かった。初演の階戸瑠李さんも良かったが、グラドル役の椎名歩美さんもリアルで宜しい。客を煽りに煽る。2.5次元舞台俳優の追っかけをしている主人公。グラドルとの同棲の噂を耳にしてから狂気に満ちていく。女性目線の方が楽しめる舞台だと思う。クライマックスの新垣里沙さんの捲し立ては感動すら覚える。

ネタバレBOX

開演前から物語は始まっている。客席に紛れ込んでいるりさ子達。前回も思ったが、クライマックスの絵面が弱い。りさ子の部屋で脚をちょっと切られて後ろ手に縛られているグラドルを俳優が助けに来るのだが・・・。もっとりさ子が象徴している『それ』を視覚で表現して欲しい。Twitterの表現が最高なだけに物足りない。
在庫に限りはありますが

在庫に限りはありますが

た組。

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2019/04/10 (水) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★

客足の少ないハンバーグ料理店の店主夫婦が主人公。夫は人のいる前で食事を取ることが出来ない。妻は性欲が強いのに夫との行為に抵抗感が。向かいのライバル店は大繁盛。あまりの人気に人肉を使っているとの噂までも。夫役、橋本淳氏が実に良い。黒沢清作品を思わせる存在感。妻役、徳永えりさんはかなりの別嬪であった。ドアはなく、看板とドアノブ二つが天井から垂れ下がっている独特なセット。ホン・サンス監督作品のようなコリアン・ニュー・ウェーヴっぽい雰囲気。他愛のない会話の中に何かが紛れている。夫婦の信頼感の垣根が壊れる時、待つのは悲劇か?奇妙な味の作品として秀逸。お馴染みの嘔吐あり。

ネタバレBOX

妻が向かいの店のオーナーと浮気。キレた夫は滅茶苦茶に暴力を振るう。話の流れから、殺して人肉ハンバーグにするのであろうとミス・リード。実際は離婚して店を畳む。車に乗り、去っていく夫。誰もいないがらんとした店内で独り咽び泣く妻。ラストはセットを突き破り夫の運転する車が突っ込んでくる。『久し振りの運転だったから?』。喜劇的なオチに場内がホッとした。定型の物語を匂わせて悉く外してみせる。総じて観れば一組の夫婦の愛の物語であった。
幻想寓意劇 チェンチ一族

幻想寓意劇 チェンチ一族

演劇実験室◎万有引力

ザ・スズナリ(東京都)

2019/04/05 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★

超面白い。何となくのイメージでつまらない実験演劇(自己啓発センターじみた)への不安から、敬遠していた自分を恥じる。才気迸るデカダンス・エンターテインメント。BUCK-TICKやキュアーのファンなら嵌まる世界がそこにある。ヒロイン、ベアトリーチェ役の森ようこさんが凄い。夢でうなされるレヴェルのインパクト。中世イタリア、欲望の限りを尽くす悪魔のようなチェンチ伯爵。サディズムの権化の如く実の女房娘までも凌辱し虐め抜く。到頭、親殺しを選択せざるを得ないベアトリーチェ。後半は裁判に掛けられる彼女達の血を吐くような叫び。PUNKなメイクから肩甲骨を誇張した舞踏。J・A・シーザー氏の優れたバランス感覚によって普遍的なものになり得ている作品。舞台と客席の間にちょこんと置かれたキャベツがまたいい味。

ネタバレBOX

『絶望よりももっと苦痛なのは希望なのだ。仄かな希望の方が人を苦しめる』。シリアスでリアルな世界観。ただ、善悪の彼岸に立つ者の声こそ胸を打つ。前半、口に×印の描かれたメイクのベアトリーチェ。後半、それを解かれた後の顔つきたるや。
乱

チームジャックちゃん

シアター風姿花伝(東京都)

2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了

満足度★★★

全員女性キャストバージョンの『乱れ髪』を観劇。主演・土方歳三役の加々見千懐さんの眼力。力ずくで客を捩じ伏せる。まるで富野由悠季作品のように戦場にて繰り広げられる論争戦。武士道とは?新選組とは?正しい国家の在り方とは?滅ぶことが歴史上約束されている者達が虚構にて放つゾクゾクする色気。男装女子であるが故に虚構性は高まり、歪な思想や過度の情熱がフェティシズムと揺らめき立ち昇る。キーパーソン榎本武揚役の竹本優希さんが物語の舵を取る。不思議な力を持つアイヌの娘・チシタ役の齋藤かずえさんも印象的。襖と障子と松の木だけで見事に五稜郭の戦いを表現するアイディア美術。大井川皐月さん、安井茉穂さんなど各々見せ場が作られている。お薦め。

ネタバレBOX

『武士の要らない世界』を作ろうとする者達と『武士道に殉じて生を全うしたい』者達の対極の思想が合致するラストはお見事。もう一人別の主人公を置いて、傍観者の視点から物語を紡いでも面白かった気が。こういう方向性で、石原莞爾や甘粕正彦の物語をベルナルド・ベルトルッチ的に創作して頂きたい。
毛皮のマリー

毛皮のマリー

パルコ・プロデュース

新国立劇場 中劇場(東京都)

2019/04/02 (火) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★

『白痴』の原節子を思わせる美輪明宏さんの存在感。片乳を露出したままのドレス姿。年齢と共に凄味を増す『毛皮のマリー』。もう寺山修司の作品というより、美輪さんそのもの。観劇後、涙を流す女性客が多かった。一度は観ておいた方がいい。外の世界の美術が効果的。

ネタバレBOX

ラスト、家を出て行った欣也をマリーが呼び戻す。欣也は右腕に怪我をして血塗れ。泣きながら手当てをするマリー。『貴方を守ってやれなくて御免なさい』『神様仏様どうかこの子をお守り下さい』『南無妙法蓮華経』。題目の繰り返しで緞帳が下がる。母の子供への論理を越えた無償なる愛。それまでのマリーと欣也の物語がなかったことのように。美輪さんの境地に心が震える。
TOCTOC あなたと少しだけ違う癖

TOCTOC あなたと少しだけ違う癖

株式会社NLT

ザ・ポケット(東京都)

2019/02/28 (木) ~ 2019/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

よく練られた脚本、これは面白い。エスプリの効いたフランス喜劇。前半は丁寧なキャラクター設定の解説。後半はその応用が細かく複雑に絡み合ってハイテンポの交響楽に。強迫性神経症の患者六人が医師の到着までの間、お互いの病状について語り合う。細かい約束事がラリーの応酬のように見事に展開。会場の笑いをかっさらったのは、同じ事を二度繰り返して言う強迫観念の女役、井上薫さん。何となくNOKKOを思わせる彼女が観客を爆笑の渦に叩き込む。潔癖症の山崎美貴さん、心配性の中村まり子さんも秀逸。もう一度観て細かい笑いを確認したい程。ルー大柴氏のパブリック・イメージでこれを見逃すと後悔する作品。

ネタバレBOX

リリィが反復しなかった箇所があったと思ったのだが、こちらの勘違いか?井上薫さん、良い女優だ。ルー大柴氏の汚言はもっと観客がどん引く程の言葉で良かったのでは。
イーハトーボの劇列車

イーハトーボの劇列車

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

松田龍平氏が良かった。理想の日本人像とも言える宮沢賢治。彼の思想は高畑勲、宮崎駿に受け継がれ今も尚、正しい人間の在り方の象徴のよう。勿論、現実の賢治はそんな格好いい訳もなく。高等遊民の自己弁護的ユートピア論は太宰治始め日本文学お馴染みの定番。美化した現実逃避を必死で続ける無力な木偶の坊の姿に、松田優作の『それから』がだぶって見えた。土屋佑壱氏の出演シーンがかなり湧く。紅甘さんが印象的な二役で美しい。エスペラント語の歌が秀逸。長い割に散漫な印象になってしまった物語。『思い残し切符』の謎に惹き付けられる。

ネタバレBOX

井上ひさし流日蓮論が面白い。遠藤周作のイエス・キリスト観と同じ。『木偶の坊』としての日蓮への共感とは。今生の無念を誰かに託していく『思い残し切符』。ラスト、やはり車掌は 客席にそれを撒くのであった。東北の農民の苦しみに共感し辛いのが残念。
ビョードロ

ビョードロ

おぼんろ

新宿FACE(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

何となくティム・バートン×ジョニー・デップの『シザーハンズ』を想像していたら、全くの別物。筋肉少女帯の世界観。この世を憎み滅ぼすルサンチマン・ファンタジー。真の主人公、ジョウキゲンの登場から物語は加速する。わかばやしめぐみさん演ずるジョウキゲンの恐ろしいこと。トラウマ級のキャラ設定に呆然。子供騙しではない、濃密な世界観。戦争兵器としての病原菌作りを生業としているビョードロという民。一族を皆殺しにされた最後の生き残りのほんのひとときの月夜のお話。土方巽を思わせる軟体サーカス団の呪術的舞踏がまた凄い。

ネタバレBOX

ラストが観たかったものとちょっと違った。観客の想像力に委ねるということなのだろう。ジョウキゲンが虐殺をするシーンももっと震え上がらせて欲しかった。『炎628』という映画のように。
月の谷 赤い石

月の谷 赤い石

秦組

d-倉庫(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

満足度★★★

『赤い石』を観劇。主演・新垣里沙さんの何とも不可思議な存在感。俳優だと森田剛氏にも似たものを感じたことがある。ふてぶてしくも目が離せない、技術では表せない禍々しい『何か』。この人は一体何を演じていくことになるのか、興味は尽きない。(多分表象に現れるものとは全く別のことをしている。)横山一敏氏の醸し出す重厚な雰囲気が虚構を肉付けしていく。名前が判らないのだが、女中頭役の女優さんの怪演が凄かった。デフォルメされた動作に場内がどーんと弾ける。壮大な因果の輪を連想させる物語世界。他の作品にも興味が湧く。生演奏が見事。

陰獣 INTO THE DARKNESS

陰獣 INTO THE DARKNESS

metro

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/01/17 (木) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

江戸川乱歩マニア必見。乱歩の脳内世界が見事に再現されていて至福。純粋な『何か』に無力なる理屈で立ち向かう明智小五郎の葛藤。大槻ケンヂ氏の言葉を借りるまでもなく、乱歩世界は社会不適合者の妄想である。天願大介氏のパズルのような演出が冴えに冴える。明智小五郎役いわいのふ健氏が実に良かった。月船さららさんは愛らしいキチガイをやらせると絶品。若松力氏との濡れ場は美しい。乱歩は人間そのものを的確に捉えている為、時代が移り変わっても通用するのだろう。観れることに感謝。

ネタバレBOX

キーになる台詞、『夢の中で一人だけ目が醒めている者は、その夢を観ている者なのだろう』。この一言だけでくらくらする。この夢を観ているのは乱歩なのか天願氏なのか観客なのか?サヘル・ローズさん、素晴らしかったのですがクライマックス早くから泣きすぎでは。いつか山田風太郎初期短編(戦後もの)を期待。
深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~

深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2019/01/05 (土) ~ 2019/01/09 (水)公演終了

満足度★★★

期待通り面白い。タイムリープものとして判り易く観易い。『オペラ座の道化師』みまさんのアコーディオンと生歌が凄すぎる。物語世界をはみだす程の破壊力。必見。主演ヒロインの今村美乃さんの存在感が楽しいので、話の流れがテンポよく進む。人気女子アナ役の那海さんも流石。ほぼワン・シチュエーションでこれをやるアイディアが良い。

ネタバレBOX

この手の作品の醍醐味は全て観終わった後に分かる伏線回収の見事さであろう。もう一度始めから観たいと思わせる痛快感、もしくは時間の流れが織り成す感傷。そういう意味で言うとネタの練り込みが足りなかったか。OPのTV番組から仕掛けていて欲しかった。
Love 駈込み訴え

Love 駈込み訴え

JAM SESSION

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2018/11/06 (火) ~ 2018/11/11 (日)公演終了

満足度★★★

成る程こんな演出もあるのか。何もない舞台上、7人のユダが口々に訴え続ける。“あの人…”は、“あの人…”が、“あの人…”を、“あの人…”に。愛する者を裏切るユダの心の葛藤。男女入り乱れ役者陣皆ボロボロ泣きながらの表現。嫉妬、失望、独占欲、自己愛、自虐。アイドルの熱狂的ファンの心理にも似て。『愛』とはそもそも何なのだ?がテーマのよう。時節柄、オウムを絡めるかな?と思ったがそれはなかった。

ネタバレBOX

1シーンだけでも心情描写をカットした観客の想像力に懸ける場面が欲しかった。原作に対抗するにはそれしかない。命よりも大事にしていたものを自ら裏切るカタルシス。その欠片を一瞬でも共有させることが出来たならば。
中国の不思議な役人

中国の不思議な役人

劇団☆A・P・B-Tokyo

明石スタジオ(東京都)

2018/11/01 (木) ~ 2018/11/06 (火)公演終了

満足度★★★★

寺山修司作品の中でも判り易く面白いのでお薦め。地獄の娼婦宿にさらわれた妹を救う為、兄は役人殺しを請け負う。ただ、その役人は不死であった。娼婦宿はエロ・グロ・ナンセンスのオンパレード。拾ったカストリ雑誌で読んだ丸尾末広の漫画のよう。飯塚美花さん初め娼婦達が客席にまで雪崩れ込み観客との垣根を破壊していく。ヒロインの花姚役、渡邉結衣さんが素晴らしい。よくこんな娘捜してきたなと驚いた。まだ中一、末恐ろしい。兄の麦役の横木安未紗さんが出ていると寺山修司度が高まる。出演している役者全員、実生活が見えない。舞台上にしか存在しないのではないかと思う程。

黄金バット~幻想教師出現~

黄金バット~幻想教師出現~

劇団唐組

雑司ヶ谷鬼子母神(東京都)

2018/10/27 (土) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★

怒濤の展開、面白いのか面白くないのかすら判断不能になる。ただ見終わった後は凄い充足感に包まれた。幻の学校に消えた教師を、かつての生徒達が思い思いの方法で捜していく。キーとなるのが、『ゴッホは何故自分の耳を切ったのか?』である。初期永井豪のキャラクターを使ってつげ義春が描いた劇画のよう。第二幕、隻腕の教師、月船さららさんの登場から狂気が炸裂。完全に気が違ったオーラに客席の空気が呑まれた。藤井由紀さんとの対決は見もの。福本雄樹さんが何でもこなせる良い役者だなあと感心。 ラストの光景の美しさは必見。

ネタバレBOX

ラストは『書を捨てよ』なのだが、判っていても美しい。このシーンを見せる為だけにこの物語が必要だったとさえ思う。教育論とか社会風刺とかどうでもよくなる。「ゴッホは耳を切ったのではなく、ゴーギャンからの『サヨナラ』を切ったのだ。」素晴らしい台詞。

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