じゃじゃ馬ならし
子供のためのシェイクスピアカンパニー
赤坂区民センター 区民ホール(東京都)
2019/08/16 (金) ~ 2019/08/19 (月)公演終了
満足度★★★★
15分前に会場に入ると何やら黒マントの一団の登場。手元のパンフレットを見ながら聞いていると写真を撮っても良いとか。別にそんな黒装束は撮る気がしないよと無視していると、歌のサービスで石川ひとみの昭和の名曲「まちぶせ」を歌うという。
ふーーんとなおも手元ばかりを見ていると ♪夕暮れの~♪。「ガーーン、何だこれは!」しっかりとしながら角のない、艶があるがギラつかない、誰だこの歌い手は?と、そこでそうだ今日は鷹野梨恵子さんを観に来たのだとようやく思い出した。鷹野さん、歌も滅茶苦茶上手いじゃないの。慌ててスマホを取り出すも遠すぎて上手く撮れない。もうずっと歌っていてよと必死に願うもあっさり一曲で終了。うーーん残念。
さてこの「じゃじゃ馬ならし」というお話、美人だが粗暴な言動で町中から総スカンの娘キャタリーナ(鷹野)が主人公である。今の時代から観ると理解に苦しむところも多く、さらに劇中劇の形式を取っているのでしばしばとまどってしまう。
前半は鷹野さん、やりたい放題の暴れっぷりである。「実は演技ではないのではないか」疑惑が出るくらい自然である。元気余って階段を踏み外して体を強かに打つほどだった。後半は結婚したキャタリーナが旦那から食事も睡眠も与えられず言いなりになって行くのであるが、ここは話も演技もすっきりしない印象であった。
終演後に周りの声を聞いていると「面白かったね」という感想多く、「キス・ミー・ケイト」に言及する通の方もいらっしゃった。まだまだ演劇の感受能力も知識も足りないなあと反省しきりであった。
鷹野さん、やはり無事ではなく終演後の面会は中止だとのアナウンスが。一時的な腫れくらいで治まることを願いつつ、次回はミュージカルをやってよと強く念じながら帰途についた。
(後日追記)ご本人のtwitterによると鷹野さん、ひじの脱臼で、外れた関節は自分で戻して演技を続行していたとのこと。安心したけど、なんか「ガラスの仮面」にでも出てきそうなお話だ(笑)
発表せよ!大本営!
Aga-risk Entertainment
駅前劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/20 (火)公演終了
満足度★★★★
会場に着いてみるとガストの付近まで行列が伸びている。
「チケットを持っている方も当日精算の方も一列に並んでいただいております」と係の女性が言うので仕方なく並んでようやく受付にたどり着くと「チケットをお持ちの方は隣に進んでください」となって、隣に進むと「そのまま会場にどうぞ」となった。まったく君たち頭は付いているのか、こういうこともエンターテインメントの一部なんだぞ、と言いたかったが、さっきの女性には口でも腕力でも負けそうなので薄笑いを浮かべて中に入るのであった。
内容は安定のアガリスク・クオリティ。しかし、リピートするほどではなかった。
追記:「あれこの人、津和野諒さんに似ているけどまさかね」というくらい津和野さんが素晴らしい新境地を開いていた。メンバー表から消去して行くと彼しか残らないのだがそれでも信じられない。そして、(今は無き?)コメフェス以来の山下雷舞さん、「男女逆転マクベス」に続けての健在ぶりにひと安心。アガリスク初登場で極端なキャラ設定だが何でもできる人なのだ。
第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』
DULL-COLORED POP
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/28 (水)公演終了
第三部を観劇。休憩なしの110分。
一回目:全くの初演ということで第二部にくらべて完成度が落ちると感じた。気になったことを書いておく。
二回目:一回目では三分の一も見えていないことが分かった。この芝居は情報量が多すぎる! 勘の良い人以外は三回観ないと全貌をつかむことさえできないのではないだろうか。
三回目:どうもしっくりこない。こういう方々がいらっしゃるというのは想定内というか色々見聞きするところである。若い人はあれから人生の大きなイベントが沢山あってあの記憶が薄らいでいるのかもしれないが、年寄りの私にはついこの前のことで全く風化していない。「それはそうだけどそれで何だと言うの?」ということになってしまう。
陰謀の摩天楼にて
カスタムプロジェクト
調布市せんがわ劇場(東京都)
2019/08/10 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★
去年は興奮して沢山書いたんだけど、今年は去年のようなバカバカしさが足りなかったなあ。
「良いことだけを書いてね」と言われたので書くことがない。
千秋楽は8名も正解者がいて抽選で5名に賞品が贈られた。おいおい、3名にもなんかやれよ。…って悪口になってしまった。
大体、水晶玉のところは完璧に解いて塗りつぶしたのに結果を見てもなんだか分からないのだ。…ってまた悪口に。
それに「交捗人」だって。ブツブツ、ブツブツ…
第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』
DULL-COLORED POP
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
「第二部」を観劇。休憩なしの115分
アフタートークはディスカッションとは銘打たれていたものの、作者の谷賢一さんが観客の質問に答えるものであった。原発そのものはテーマが重すぎるし、物語上はまだ事故は起こっていないので、ディスカッションは最初から無理であった。そういうわけで質問は、どう構想したのか、福島で公演して書き換えたところはあるのかなどの演劇論的なものが主体となった。まあそれはそれで面白かった。観客の皆さんの演劇の観方も分かるし。
そういう流れは公演本体を観た観客の自然な反応でもあったのだろう。もっと強烈な反原発論が展開されるのかと思いきや、町長個人の生きざまをある意味淡々と描くものだった。もちろん作者の主張は周りの政治家のうさん臭さや町長の悪魔風メイクに現れているし、愛犬モモの霊の言葉としても発せられる。だがしかしあまり煽りがないのだ。第三部で一気に煽ってくるのか、観てのお楽しみとしておこう。
谷さんはこの町長の変節ぶりを「荒唐無稽」と表現していたが、私はそこまでのメッセージを受け取ることができなかった。むしろ私がこの町長であったなら同じことをしたと思うのである。「権力側に立って原発の安全性を確保する」ことは実に魅力的な提案だ。またチェルノブイリ事故に対して「日本の原発は安全だ」というのも当時としては妥当な結論だった。別に脅されて嘘を発表したわけではない。もちろん漠然とした不安はあっただろうがそれを町長として発表するのは単なる無責任だ。
最後に蛇足を一つ。ミュージカルファンの私としてはモモのダンスにもう一つキレがあればなお良かった。まあしかし、キレッキレのプロのダンサー並みになると今度は白々しく感じるので抑えたのだとしておこう。もちろん百花亜希さんの演技そのものは非の打ちどころがない。(追記)側転だけは止めてほしいと思っていたら二回目にはなかった。まあ毎回アドリブなのだろう。
舞台「大悲」
BS-TBS/オデッセー
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了
満足度★★★
2001年に大阪で発生した小学生無差別殺傷事件から発想を得た創作である。storyAは犯人と主任弁護人のやりとりを描き、storyBは被害にあった1人の女児の家族に絞って父母兄それぞれの事件への向き合い方を描く。どちらも1時間50分の休憩なし。
Aを観て翌日Bを観たのだが、作り物感が蓄積してきてBの途中からはすっかり冷めてしまった。こうなると一体私は何を求めてこの演劇を観に来たのだろうか、ただの野次馬だよなあ、などと自虐的になってしまう。まとめて2時間30分程度の1本であれば我に返ることなく最後まで興味深く観ることができたのではないかと思う。
1本だけ観て「もう1本も観たかったなあ」で済ませるのが賢明だろう。料金の高さも主催者のそういう配慮だったのかと今気づいた。
いのうえ歌舞伎<亞>alternative 『けむりの軍団』
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2019/07/15 (月) ~ 2019/08/24 (土)公演終了
満足度★★★★
私にとっては『「回らない」髑髏城の7人』ですが、昔からのファンにはこれが本来の「劇団☆新感線」なのでしょう(でもないのか?)。時代劇エンターテインメントとしては抜群の完成度で3時間(85分+20分休憩+75分)の長さも飽きることはありません。歌と踊りも音楽と衣装が良く、勢いがあって楽しめます。これだけを観れば満足度は星5つですが、やはり「回る」ものと比べるとワクワク感では負けるので一つ減です。
ファンの期待を1ミリも裏切らない内容で、予備知識なしに行くのが正解だとも思うのですが、私の記憶の整理も兼ねて、登場人物の紹介をしておきます。「7人」ものですが敵味方その他入れ乱れ、どこか輝き切らない人物が多いところは「髑髏城」と異なります。
古田新太 軍配士で浪人の真中十兵衛。4人の仲間を千人にも偽装するなど奇策が冴えわたる。早乙女との1対1の剣の対決もある。
早乙女太一 目良家の侍大将の飛沢莉左衛門。腕は立つが言語表現がまるで駄目という新境地の役。キレッキレの殺陣は一段と見事。
清野菜名 厚見家から目良家に人質として来ている紗々(ささ)姫。看板の身体能力で敵を蹴りまくる。セリフのキレも良い。
須賀健太 厚美家の家臣で紗々姫を守る雨森源七。まったく弱い若侍で莉左衛門に切られまくる。
高田聖子 目良家の奥方で権力を一手に握る嵐蔵院。しかし駄目息子に苦労している。歌も良い!
粟根まこと 夭願寺住職の残照。いつも通りの風見鶏役は芸術的。
池田成志 賭場でテラ銭を盗む浪人の美山輝親。適当なことばかりをやっているが結果的に正解になる。とぼけた役は本当にうまい。
パンフレットはB4版68ページ、厚手の紙で2,000円。大判で持ち帰りに苦労しますが読みどころも多く、お勧めです。
骨と十字架
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★
欧米の自然科学者は「この世界には神の作られた美しい秩序がある」と信じて困難な課題に立ち向かいます。このテイヤールも神を信じることを力にして表面的には神の教えに反する研究に没頭します。矛盾するようでしない感覚です。…と私は想像しています。追記:テイヤールは神に近づきたいのであって、神になりたいとか神を否定しようとかは決して考えないはずです。…これも私の根拠のない想像。
会話劇としては議論が深まりません。それはこういう演劇では権力側の人間は一段も二段も落ちる人物に設定されているからです。「こんなアホを相手にしてもしょうがない」という雰囲気にして真剣な議論から逃げているのです。
真剣な議論になると進化論そのものを避けることはできません。調べてみるとウィキペディアの「進化論裁判」が実に面白いのです。劇中で言及された「モンキー裁判」は「スコープス裁判(1925年)」として項目立てされています。読んでみると予想の斜め上を行く内容に唖然とします。テネシー州が「反進化論法」を1967年に廃止したのは1957年のスプートニクショックが原因だというのもうまく出来すぎています。
70分+休憩15分+35分は休憩なしで良かったのでは。
舞台 海辺のカフカ
ホリプロ
赤坂ACTシアター(東京都)
2019/05/21 (火) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
15歳の少年の短い夏の成長物語である。ただし悪を倒したり地球を救ったりというような派手なことはなく、ひところ流行った自分探しの旅に近い。その描写は現実とファンタジーが混じり合い、何かのメタファーであるようなないような曖昧模糊としたものである。
原作は上下2巻の長編小説であるが、何か高邁な思想とか特別な主義主張が書かれていたりするわけではない。作者のサ-ビス精神がいたるところに発揮された「娯楽小説」である。舞台ではそのうち視覚的に目立つところを取り出し、より強烈なイメージを実現している。その最たるものが巨大なアクリル箱の移動舞台である。その幻想的な姿、見事な動きを見ただけで半分は元を取った気分になることができる。
代わりに、小説では丁寧に書かれている登場人物の行動がかなり割愛されている。とくに下巻におけるナカタさんと星野青年の行動はないに等しい扱いで舞台ではナカタさんは突然甲村図書館に現れ、突然死んでしまう。その中には星野青年がナカタさんの口から出てくる謎の妖怪と戦うところがあって、ビジュアル的には採用されても良いところだが実現するのが困難で効果も薄いと判断されたのだろう。
また原作では家出の原因である父親の呪いの言葉を数回記しているが、舞台では呪いの存在には言及していても内容には触れていない。それに関連するはずの「姉」としてのさくらとの交流も性的なものはカットされている。
そういうわけで、この舞台は原作とはちょっと違った方向を狙っている。原作とは離れて、この舞台では驚き感じたままを受け入れて終わりとするのが賢明ではないかと思われる。もちろん、あの魅力的なナカタさんと星野青年の人物像や珍道中を知りたい人は原作を読めば繰り返し書かれていて楽しめる。
傷心る(えぐる)~愛を語る資格・改
獏天
Geki地下Liberty(東京都)
2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
渡りきらぬ橋
温泉ドラゴン
座・高円寺1(東京都)
2019/06/21 (金) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
シライケイタ+いわいのふ健というと(私にとっては)あのバイオレンスの名作「殺し屋ジョー」である。説明を読むと本作はバイオレンスとは無縁の作品のようだが何か面白いものを見せてくれるのではないかと期待してやってきた。
にわか演劇ファンの私には女性脚本家長谷川時雨と言われても全く知らないし、その内縁の夫で流行作家の三上於菟吉もまったく縁がない。…と思っていたら於菟吉の代表作は「雪之丞変化」であるという。これは子供のころ母とTVの劇場中継で観たことがある(と思う)。つい最近、長谷川一夫主演の映画(1963年)も録画したばかりだ。ちょっとは接点があるということでテンションが少しだけ上がった。
ジョーも今回は日本髪に着物で登場する。あの格好良いジョーも「ごつい」女になってしまったがまあ合格だ。
男性が女性を演じるメリットは表現がマイルドになることだと感じた。色々と女性の権利について主張されると、正直、私の中でも「ピーチクパーチクうるさいなあ」という偏見が顔を出す。しかるに男性のフィルターを通すと「まあそれはそうだよね」と妙に物分かりが良くなったりするのが面白い。逆に悲しみもマイルドになるのはデメリットだ。時雨が於菟吉の浮気に悩まされても彼女に辛い様子が感じられなかった。もっとも12才年上で彼の才能を見出したことに誇りを持っていたであろう彼女には辛さを打ち消す満足感があったのかもしれない。それなら本作ではそこはデメリットではなく狙い通りということになる。
殺し屋ジョーに導かれて全く異なるところに来てしまったが、1時間55分飽きることもなく、初めて来た土地の景色をただあるがままに楽しむように、それなりに面白く観ることができた。
ピロートーキングブルース
FUKAIPRODUCE羽衣
本多劇場(東京都)
2019/06/20 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★
芝居の部分は良いのだが歌と踊りは問題ありだと思う。
30分でネタが尽きてあとは延々と同じようなことの繰り返しだ。
多人数で、揃えようという意思なしに、ユニゾンで歌えばうるさいだけ。少人数でリトル・グリー・モンスターのようなコーラスを入れるとか、伴奏は録音なのだからキーボードやホーンも入れるとか、飽きない工夫が必要だと思う。
…と書いたけど、どうも言いたいことからずれて来た。言い直すと、
歌と踊りのレベルを上げて欲しい、そうでなければ芝居に専念するべきだ。今のは仲良しグループのほんわかパフォーマンスに見える。
…というのも「…するべきだ」なんて「お前は何様のつもりだ!」と叱られてしまう。また言い直すと
歌と踊りが下手で満足できなかった。…うん、単純にこれだね。
…しかし、上手いとは言えないが下手ではなかった。またまた言い直すと
歌と踊りにあまり満足できなかった。…あれ、つまらない結論だ。
THE NUMBER
演劇企画集団THE・ガジラ
ワーサルシアター(東京都)
2019/06/18 (火) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
この種の演目は「分からない」と言って駄々をこねるのが私の常だが、今回は珍しく分かった気がした。「じべ。」さんが書かれているように、いろいろな作品で慣れているからであろう(もちろん本作の方が古いが)。それに、結構単純な話だと思う(ほらほらやっぱり分かっていない!と言われそうだが)。
田村真帆さんの立派なお椀を拝見(拝観)して幸せを感じた。古代人で良かった。
【後日追記】
*あの時代にここまで考えていたなんてザミャーチン凄い!と色々感心していたが、鐘下さんの書き換えが大きいのだろう。D-503がコンピュータ・プログラマという設定だって1921年にはそんな職業は想像もされていない(原作では宇宙船インテグラルの製作担当官。フォン・ノイマンがプログラム内蔵式計算機を提唱したのは1945年)。だからあのガラス窓の向こうにHAL9000の存在を意識してしまったのも鐘下さんのせいなのだ。暇があったら原作との違いをリストアップしたいが演劇の方を忘れてしまうなあ。
*英語の自信はないが「THE NUMBER」より「THE NUMBERS」の方が良いのではないだろうか。原題も「мы(私たち、われら)」と複数になっているし。
オフィス上の空プロデュース・トルツメの蜃気楼
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2019/06/19 (水) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
【Aチームを観劇】
シリアスな話かと思ったら、王道のエンターテインメントだった。
菅井育美さんと南出めぐみさんの怪演には感動した。
アフタートークによると作者の松澤くれはさんは実際に校正(校閲)の会社で働いていたことがあるとのこと。
プロデューサーの厳しい言葉に同感してしまうのは、私が年をとったせいもあるのだが、アイドル志望の若い娘に限って言えば、某オーディション番組を熱心に見ていた時に「力の限り頑張ってきました」という人に期待しては(歌も踊りもダメダメで)呆れかえるの繰り返しだったという経験があるからでもある。もちろん乃木坂46などで毎回選抜に入るような人は才能も努力も我々が遠く及ばないところにある。
「成功した人は努力している」というのは限りなく正しい。一方で、その逆の「努力した人は成功する」の旗色が最近よろしくないのは個人的に嬉しい。
・昭和 王貞治
「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない」
・平成 為末大『諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない』
「耐える人生か。選ぶ人生か。
前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる。
諦めることは、逃げることにあらず。
与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、
よりよい選択を重ねていくことこそが「諦める」ことの本質である。
オリンピックに3度出場したトップアスリート・為末大が、
競技生活を通して辿り着いた境地。」(amazonのページから)
・令和では誰のどんな言葉が刺さるんでしょうか。
男女逆転〈マクベス〉
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2019/06/20 (木) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
小田島雄志訳に王を女王に変えるなど男女を入れ替えるに必要な変更だけをしたもの。魔女も男になっているが、人数は倍増してパワーアップしている。すぐに分かる違いはそれくらいか。
演じる方も観る方も、男女を逆転することによって、何か化学反応が起こることを期待しているのだろう。しかし私には良くも悪くも、普通のマクベスであった。
暁の帝〜朱鳥の乱編〜
Nemeton
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
「朱」チームを観劇
素晴らしい完成度だった。NHKの大河ドラマかシェークスピアの悲劇、歴史劇を観ているようだ。もっともNHKの大河ドラマにはこの時代を題材にとったものはない。歴史考証が難しいのだろうか。そこを逆手にこの舞台は結構やりたい放題だ。蘇我安麻呂は「何で俺がこんな悪役に」とあの世で嘆いていることだろう。
場面転換は完全暗転せずスピーディーに、また白い移動式の幕をうまく使って、単調にならないよう工夫されている。映画もそうだが、日本には漫画という超強力な表現手段があるのでそれらに対抗しようということなのだろう。そのうち、里中満智子『天上の虹』を読んでみようと思う。
天皇の即位の儀式そして葬儀をもう少し重々しくやってほしい。こういうところがメリハリを付けるチャンスなのに。また和歌を読み上げるときにも工夫が必要だ。本格的に詠うと浮いてしまうけれど、ここもメリハリを付けるチャンスなのに。全員で斉唱するときはもっと感動的にできるはずだ。
数人の俳優さんのセリフがたどたどしい。いろいろ事情があるのだろうが精鋭を揃えたシングルキャスト上演が観たいものだ。
*星5つの気持ちで書き始めたのだが、だんだん粗が見つかって来て星4つになってしまった。
予言者たち
神保町花月
神保町花月(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★
最初に全員が並んで自己紹介をし、自分の役柄と見どころを語る。
なにせ全員が予知能力を持つことになるので事前の説明がないと混乱してしまう。最近、理解力が衰えて来た私としては非常に有難いことだった。もちろんほとんどの舞台ではそんなことはできないだろうが何か工夫の余地はあると思う。
内容は意外としつこくない普通のドタバタ喜劇であった。85分。
オペラ『ヘンゼルとグレーテル』
日生劇場
日生劇場(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★
ドイツの作曲家エンゲルベルト・フンパーディンクの作曲した1893年のオペラである。
日本語上演のはずなのに舞台の両側の電光掲示板に歌詞が表示されるのは何故と思っていたら、あの発声法では歌詞がほとんど聞き取れないのだった。普通のJ-POPでも部分的に分からないことは頻繁にあるがそんなものではない。低い男声は分かるが、女声はほとんど全滅である。そこにオーケストラの演奏がかぶってくるのである。これならイタリア語でもドイツ語でも同じことだと合点した。
グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」はいろいろなバージョンがあるが、このオペラ版はその中でもハッピーな方向に振り切ったものだ。「両親に森に捨てられる」話を親子で観に行くわけにもいかないから妥当なものである。しかし、パンくずの件もないのでどこにも特徴のないストーリーになってしまっている。
親子、知り合い、親戚がまとまって来るものなのだろう。年寄りが一人で観に行くものではないことはよく分かった。
機械と音楽
serial number(風琴工房改め)
吉祥寺シアター(東京都)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★
競争に敗れた団体と、天才を気取って自滅した若者の話である。それも大した話ではなく、1ミリも感情を動かされない。スターリン時代の苛烈さもまったく表現できていない。第一、スターリンはほとんど関係ない。なんでこんな題材を選択したのだろうか謎である。
題名は「機械と音楽」だが「機械」の意味は分からず、「音楽」というより「効果音」だ。こんな中身を表さない題名も止めて欲しい。ただしこの「効果音」は非常に良かった。
*セリフの中に「銃声の音」というのがあったがこれは間違いでしょう。
いざ、生徒総会
filamentz
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/06/11 (火) ~ 2019/06/17 (月)公演終了