渡りきらぬ橋 公演情報 温泉ドラゴン「渡りきらぬ橋」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    シライケイタ+いわいのふ健というと(私にとっては)あのバイオレンスの名作「殺し屋ジョー」である。説明を読むと本作はバイオレンスとは無縁の作品のようだが何か面白いものを見せてくれるのではないかと期待してやってきた。

    にわか演劇ファンの私には女性脚本家長谷川時雨と言われても全く知らないし、その内縁の夫で流行作家の三上於菟吉もまったく縁がない。…と思っていたら於菟吉の代表作は「雪之丞変化」であるという。これは子供のころ母とTVの劇場中継で観たことがある(と思う)。つい最近、長谷川一夫主演の映画(1963年)も録画したばかりだ。ちょっとは接点があるということでテンションが少しだけ上がった。

    ジョーも今回は日本髪に着物で登場する。あの格好良いジョーも「ごつい」女になってしまったがまあ合格だ。

    男性が女性を演じるメリットは表現がマイルドになることだと感じた。色々と女性の権利について主張されると、正直、私の中でも「ピーチクパーチクうるさいなあ」という偏見が顔を出す。しかるに男性のフィルターを通すと「まあそれはそうだよね」と妙に物分かりが良くなったりするのが面白い。逆に悲しみもマイルドになるのはデメリットだ。時雨が於菟吉の浮気に悩まされても彼女に辛い様子が感じられなかった。もっとも12才年上で彼の才能を見出したことに誇りを持っていたであろう彼女には辛さを打ち消す満足感があったのかもしれない。それなら本作ではそこはデメリットではなく狙い通りということになる。

    殺し屋ジョーに導かれて全く異なるところに来てしまったが、1時間55分飽きることもなく、初めて来た土地の景色をただあるがままに楽しむように、それなりに面白く観ることができた。

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    2019/06/26 02:21

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