Dの観てきた!クチコミ一覧

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テトリミノ=ファクトリー・プラス【ご来場ありがとうございました】

テトリミノ=ファクトリー・プラス【ご来場ありがとうございました】

Aga-risk Entertainment

タイニイアリス(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/08 (月)公演終了

何やってんだか。
とか思いながらも見ちゃう、小学校高学年〜中学生くらいの時に描いた漫画みたいなアイデアの結晶。カカフカカみたいにネタ元に怒られないかのギリギリ感。下らない。下らないから面白い。もっと練ったほうが面白くなる部分もあったものの、練ってないから面白かった部分もあった。それを具現化するのに多大な力を発揮していたのが映像の完成度。これまでの他の公演の時にも映像は使ってるのかな?
見た目での役者と役の親和性が高かった。「っぽさ」は大事。オッサン役を若い役者がやってなかったのは正解。女優二人は個人的に何か惹かれるものがあったけど、理由はそれぞれ全然違うベクトル。
ポストパフォーマンステトリスにも参加したかったなぁ。他のお客様が割とサーッと出て行っちゃったから自分も出てしまって、それが悔い。

ネタバレBOX

映像ネタはテレビで陣内智則さんらがやるものが想起されたのもあって。あれらは構成作家の手で作られていて芸人自身の芸でないから個人的にはあまり好きではありません。今回の様に団体でやる分にはOK。で、舞台でやるからには映像に比重がありすぎるのも如何かというところ。ネタフリやツッコミを洗練させて、演技でしっかり流れを作ったからこそ映像が楽しめるという状態になって欲しいですね。という事で、演技に関しては及第点。覚えた台詞を雰囲気で口に出す以上の事をしている様には見えなかった。ただ、あの宗教に関する件はしっかり演じたら思い入れが湧かなすぎて口に出せなくなりそうな気も(笑)。
冒頭から30分は学生祭の時と一緒だったかな?それは別に構わないんだけど、だったら前より質が上がるなり何かプラスの変化がないと。そこから先も含めて脚本はもっと良い形があった気が。彼氏と彼女も仕事というのはもっと丁寧に扱わないと、最初からタイムカードリーダーが置いてあるのとかは勿体無い。
あと、アンケートに個人情報の記載欄がないのが気になった。扱いが面倒な時代にはなりましたが、『DM送って欲しいから教えてもいいや』って思ってもらえるくらいでなきゃ次に来てくれないんじゃないかな。パンフレットとアンケートが別々の束で照らし合わせられない位置に入ってたのも気になった。総じて制作体制が弱みか。応対は悪く感じなかったので是非もうちょっと頑張って頂きたいです。
恋2 【満員御礼!ありがとうございました!】

恋2 【満員御礼!ありがとうございました!】

ろりえ

王子小劇場(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

曇った。
眼鏡が曇りました。表情と眼は曇りません。ずっとギラギラしてました。
慌ただしさと勢いとテンションの結集。あれ?慌ただしさと勢いとテンションってみんな同じかな。とにかく大人しくはないのです。迷惑なアトラクションに乗せられた気分。あれ?迷惑だったらわざわざ乗らないか。とりあえず、ピュアな恋の話です。
早く行った方が良いです。期間ではなくて、時間。ちゃんと観るには後方席がお勧めです。ただし巻き込まれたいなら最前列に行きましょう。これはお行儀良くちゃんと観るもんじゃないです。ちなみに自分は最前列で「うわー、前が見えなくなりそう!でも見てやる!」と思う時があって、必死に見たら「アボリジニ」って言葉が目に入りました。自分は必死にアボリジニを見たらしいです。

ネタバレBOX

改めて「はみでてる」って言葉を見て、太田ばかりが思い出されます。
初日ならではのドタバタ感は否めないけど、っていうかろりえは初日に観るのが一番面白い気がして勝手にウハウハな気分。ものがものだけに、綱渡り感のある勢いがプラスになる。これから楽日に向けて落ち着かないで欲しいなと思います。
漫才コンビは「恋女房」って事か。
終わって足元を見たら髪の毛も落ちてた。
The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了

「他人の不幸」
ってタイトルも過去にやっていましたね。
終演後に他のお客様が『上演台本が買いたかった』と話す声を聞いて「え?」と思いました。別に良いんです。楽しみ方は人それぞれ。ただ、個人的にって話です。これは文字で見て楽しむんじゃなく体感してなんぼだろ。と。物語自体はシンプルで多分3行くらいで説明が出来る。そして本筋だけならきっと役者は3人でもやれる。けれどこの演目自体は3行では説明が出来ないし、3人でやったらこの演出ならではの目的は達成されない。楽しみどころは物語にあらず。観るというよりも感じるひとときでした。
夏になったら深夜に墓場で再演して欲しい。無茶だろうけど無理ではない様な気も。

ネタバレBOX

「The Heavy User」というタイトルは人々が言葉に頼りすぎている事への皮肉だったのか。
いつもと雰囲気が違うというお言葉もありますが、都市伝説みたいな奇妙な出来事が語られる点では以前からの柿と変わりない。脱線するネタがあるのもいつも通り。4×1hの「月なみなはなし」辺りが顕著だった気もするけど、台詞を音として扱う演出も元々やっていたし。方法論が変わった訳ではない。何が変わり始めているのか?個人的には役者ではないかと思います。そもそも上手い魅力的な役者はこれまでにも参加していましたが、中屋敷演出を高水準で体現可能な役者が現れている事こそが変化なのかと。
能の喋り方が後の人になるほど下手になるのが個人的にツボでした(笑)。
リベンジャーズ・トラジディ

リベンジャーズ・トラジディ

ナカゴー

王子小劇場(東京都)

2010/02/17 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

悪ふざけの塊。
PRIFIXが初見だったものの、あの時は全てを見抜けていなったのだなと。そもそもこれは演劇なんだろうか。色んな事が分からなくなる。物凄く雑だけどそれが味。体に絶対悪い油っこいフライドチキンを食す様な。
サンモールの競泳水着に対してこちらは…。

ネタバレBOX

スクール水着。スク水、か。(略した事に特に意味はありません)
暗転が多く気持ちが途切れて体感時間が長くなったのは割り切るが吉。「バックトゥフューチャー」のあのネタで場つなぎするくらいだし(笑)。今更になって「そうか。あの映画は過去から未来に戻ってからが本当の始まりって意味だったんだな」と悟りました。まさかこんな切っ掛けで…。
以下、観劇中にメモった事を箇条書き。
・途中までプリン食べてたつもりが実は鮟鱇だったくらいの変化だな。
・なんで赤LARK付いてんだ!
・黒子いらないだろ!
・世界に一つだけの花。
・赤LARKどこ行った!?
・包丁何回言うねん。
・『あぁ』って言おうとして『ぱぁ』って言った。
・林さんは踊れる人かな?身体バランスが良さげ。
・大量のアクエリアス。スポンサー?
そして彼女はいなくなった

そして彼女はいなくなった

劇団競泳水着

サンモールスタジオ(東京都)

2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

観た後にしばらくモヤモヤしていました。
その結果、コメントが今に。
いつもの競泳とは一味違う感じ。これまで観た時に得た好きとか嫌いとかは一旦横に置いて、まっさらな気持ちで。

ネタバレBOX

自分は好きではなかったです。オチを読ませない為に用意されたそれまでの部分が本当に「それまで」で、舞台上の出来事がずっと遠回りを続けていた印象。いつものほうが役者が輝いてるとも思いました。松崎さんと伊坂さん以外はみんな何かでしら見た事があって期待していたものの、先述の理由からみんなパーツとしての存在以上に見られず。その結果、誰にも気持ちが沸かなくて誰がどうなっても別に何も感じず。珍しく落ち着いた役をこなす村上さんをもっと見たかったし、岡田さんと辻沢さんはポジションの割には記憶に残らず。で、そこまでやった割には自分には犯人が読めてしまって。「当たった!」という喜びはなく「だと思ったけど、だから何?」くらいで。まさかラストが数通りあって回によって犯人を変えている訳ではないでしょうし…。
何より。この作品は観た後に何を思えばいいのか。まさかオチで驚かせる事だけが目的ではなかったろうに、それ以外に後を引く要素が受け取れなかった。人が殺される場面で終わられたのもスッキリしませんでした。別にハッピーエンドである必要はなくて、少なくとも気に入った人物がそれからどうなったかつい考えてしまうという状態になりたかったです。個人的な好みですが、演劇では物語よりも人の在り方を観たいので。
カラーボール野球、死ぬ気で。【御来場ありがとうございました。】

カラーボール野球、死ぬ気で。【御来場ありがとうございました。】

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2010/02/12 (金) ~ 2010/02/15 (月)公演終了

熱く、臭く、醜い。
題名を知った時には「勢いだけか?」と思ったものの、正に清々しく全力の勢い。ちゃんと楽日まで保つのか心配になるくらい削ってます。体力と気力と、即ち命。それだけやられたらこっちも覚悟を持って観ます。
部室に集まるくだらない仲間の物語には既にやり尽くされた感があっても、やっぱり自分の中の何かを重ねてしまいます。だって毎日が素晴らしいと思えている人と思えていない人では後者のほうが圧倒的に多い。世の中が暗いのではなくて、より良く生きたい理想があるから。前売券700円が割に合わぬ良作。妥協を選ぶ日々に慣れてしまったアナタへ。
ちなみに。ハウスダストの症状がある人が最前線で観たいならマスクが必要かも。アレルギーなんかにやられてる場合じゃない。ちゃんと観て。

ネタバレBOX

作・演出の奥村さんにうっすら覚えがあったのですが、姿を観てようやく。ゴジゲンの「たぶん犯人は父」で観ていました。エンクラに創像工房からの客演というのは珍しいなと思ったら、そういう事か。
多分もう自分は須賀さんのファン。「親愛なる天才たちへ」が好きだったから「ペンタゴン」でもついつい凝視してしまったし。佐藤さんとコンビになった姿も何とも言えない味わい。
終盤での鈴木さんの涙は熱かった。あと、福田さん。この両名に関しては大人しい役でも観てみたいです。
遠ざかるネバーランド

遠ざかるネバーランド

空想組曲

ザ・ポケット(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

夢が壊れる。
いつだって夢を壊すのは現実の仕業で、我々は現実の中で生きています。夢を見る事は確かに幸せ。しかしそれが「今の現実の先に続く幸せ」か「今の現実を無視した幸せ」か。現実逃避の為に選ぶ理想はあくまで現実から離れたもの。現実に叶うはずがない。
登場する度に劇場空間を一気に蹂躙する小玉さんのパワー(笑)。これまで観た何度かの芝居で彼女のポジションはこういう場合が多いですが、決してワンパターンには感じません。安心して観ていられるし、演出家にとっても安心して任せられる役者なのでしょう。男女差別じゃないけど、女性でこれが出来るのは凄いと思う。男性だと厭らしさが出てしまう事もあるけど、彼女の場合はサラッとしていて清々しい。場を荒らして一色に染める児玉さんに対して、引き込ませたのが中田さん。温かさで包んだのが鶴町さん。

ネタバレBOX

舞台を最初に見た印象は「美術をもう少しスマートに出来なかったのかなぁ」。作り物感が強くて、役者の足元が捲れそうで心配になったり。でも作り物感は意図してたかもしれない。作り物のネバーランドだったのだから。とはいえチラシがせっかくあの雰囲気なのだから、美術だけでも世界観に浸れるくらいにあって欲しかったというのが正直なところです。他の方のコメントで『友達と二人で書き分けた絵の下部分があの背景だった』というのがあって、なるほどと思いました。自分は気が付きませんでした。
急遽の主役変更があったとの事で。本来は人魚とインディアンと同列の登場人物がもう一人いて、それが清水さんだったのかな?とか邪推。その調整からか、ウエンディの登場しない場面が長く続いたりちょっと気になる流れも一部あった様な。終盤では良い所でしっかり感情を到達させて涙していた清水さんの演技具合は流石ですが、だからと言って目は瞑れない所。これは現実。
この物語的に、前半と後半の温度差は仕方がない。必然。だけど質感は統一してくれたほうが見やすい気がしました。前半は子供と一緒に家族で観られると思っていたものの、後半は子供に見せる分には良いけど何処まで通じるかなと。自殺しようとしてやめた話だよ、と説明するのもなんだか…。前半は温和ムードそのままで、ギャグとかにもうちょっとビターな要素が入っていてもいけたのでは?前半の雰囲気で気軽に観ようとしていた大人に思わぬズシンとしたものを与える作品に成り得たし、そうなって欲しかったなというのが個人的な要望。
最後に。他にも同じ事を思った人がいるんじゃないかと予想するのですが、スターキーが左手を押さえた時に「あ、実はこいつがフックなんだ!」と(笑)。みんな「いずみ」だから合ってるっちゃ合ってるんだけども。
青

reset-N

ザ・スズナリ(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

肩の力が抜けていく。
「観たい!」には彼らの作風には分かる分からないの差があると書きましたが、訂正します。今回は誰だって分かる。学生を初め若者に観て欲しい。そう言える様に大人にも観て欲しい。冒頭からしばらくは「難しいのかなぁ」と思いながら観ていたけど、進むほどにシンプルでストレートになっていきました。そして最後には言い様のない気持ちに脱力。もしかしたら古臭いテーマと感じる人もいるかもしれません。しかしそこはreset-N。新しいセンスで包み込んでいます。古ぼけてなどいない。現代のミュージシャンがあえて過去の匂いがする曲調を選ぶ様な。とか綺麗な物言いを選んでしまいましたが、描かれているのはいつまで経っても解決しない永遠の悲しいテーマ。
鶴牧さんと井上さんの佇まいが好きでした。知的で格好いい男は男から見ても魅力的。作風が影響するのか、個人的にはいつもreset-Nの登場人物には謎を感じます。でもそれは説明不足なんじゃなくて、人が誰しも「隠しながらもしくは隠し切れずに抱えている孤独な部分」を見たくなるからなんじゃないかと。
響いた台詞は『それが言えたら』。あまり書くとネタバレになるので自重しますが、この台詞を耳にしたら是非ともその先を考えて頂きたいです。

ネタバレBOX

始まって早々に「青ってそういう事か」と。政治にもっと興味を持って共産主義とかを詳しく知っておくべきだったと思いましたが、予備知識がなくてもちゃんと付いて行ける丁寧さのある戯曲で有難かったです。
後ろの扉が初めて開いた時はただ単純に綺麗だなーと。閉塞空間が開けたから気持ちが軽くなったのもあるのかな。
「暴力を克服するのは科学と芸術」って台詞も好き。人の感性で生み出されるものが他人を幸せにするって素晴らしいと思うのです。直接的に他人に優しく出来るのも良いけど、それは何処かで自分の利益や自己満足を求める気もして。本人が知恵を絞って労力を削って創作した何かが間接的に他人に良き影響を与える。そっちのほうが。
観終えた後、山手線の中で中国か韓国の生まれであろう若者がクレープを食べながら談笑していました。その姿を見て、というかその彼らと同じ場所にいられる事にちょっと安心を得ました。
幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了

馬鹿力。
そもそも馬鹿な人間が全力を出してもたかがしれてるけれど、これは豊かな人材が馬鹿になる為に全力になっている。「DULL-COLORED POPの谷賢一が作・演出した作品」ではなく、「騒動舎出身で現DULL-COLORED POPの谷賢一が作・演出した作品」。ダルカラを観たい人はダルカラを観ればいいよ。清水那保さんと掘奈津美さんの居場所がなくて清々しかったです。いて欲しくない訳じゃなくてね。
萱さんが良い仕事をしていましたね。あのポジションのキャラが嫌われたら観ていられなくなると思う。癖のある役だけど通り越して完全にパロディの域。逆に誰も観てない様な時に思いっ切り不細工な顔をしてたのもナイス。力技でなく普通に良かったのが藤尾さん。旗揚げ前公演以降の犬と串をパスしていたのが勿体無く感じたくらい。あと、西尾さんはダルカラに出ていてもおかしくないかも。
自分が楽しめたのは途中から。でも前半を楽しんだほうが得。まずは考えるのをやめたほうが良いです。意味があるものには意味があるけど、ないものにはない。

ネタバレBOX

一番受けたネタは「Love is...」。いきなり。「Grass」じゃ在り来たりなんだよね。ソロ4曲目で他人が作曲して河村隆一的にもどんな思い入れがあるのかよく分からない微妙な曲。12〜3年前か。パンドラの箱を開けられた気分だった。それからは「頼むから誰か越えてくれ」と願ってた(笑)。
自分が観たのは初日。物足りなさの理由は練度ではなく、役者ごとの覚悟の違い。これは質がどうこうの芝居じゃなかった。どれだけ暴れてぶっ壊すか、ただそれだけ。必要だったのはひたすらな馬鹿馬鹿しさ。そんな中、保守的な役者がいたのが自分には不純物に思えました。いわば乱交みたいなこの芝居の中に処女が混じって周りを拒否してた。本人は舞台上で責任感と戦っているんだろうなぁ。目の前の相手や空間とセッションすればいいのに。役者として大損。
バベルノトウ

バベルノトウ

国道五十八号戦線

サンモールスタジオ(東京都)

2010/01/20 (水) ~ 2010/01/25 (月)公演終了

迷宮へ。
そもそも58は先がどうなるか分からない展開はお得意。ある意味、団体の特色を指した言葉。YouTubeに配信された映像を事前に見てアクセントが妙に印象に残りました。
物語を追いながら先読みする楽しさ。本の流れが上手いので、気を許して流される。「演出で如何にリミックスするか」の流れにある昨今の小劇場シーンにおいて、物語でしっかり見せてくれるのはポイント。演劇を見慣れない人にも見易いので勧めやすいと思います。
金丸さんの評判が良いみたいですね。贅沢な妥協策を観た時にはそこまで見抜けなかったものの、キャラ立てさせる芸人芝居のスタイルは確かに58に合っている。器用。ズルいとも思ったけど。個人的に気にして目で追ったのは岡安さんと橋本さんでした。

ネタバレBOX

シキミは最初からいなかったという事。最後にフキヤが名前を呼ぶから結局どちらか分からなくなった人もいるのかな。パンフレットの友寄さんのコメントをちゃんと読めば早くに分かるはずなのですが。とはいえ自分も白衣パートが未来と分かるまで「シキミは現実世界では死の淵に追いやられていて、それを気付かせない為に目覚める事なくトウの中に閉じ込められているんじゃ…」とか全く的外れな先読みをしたり(笑)。
終演後にシキミのいた席にスポットライトが落ちているのは余韻があって良かった。
そういえば明大和泉キャンパス地下とサンモールは空間的にちょっと似てるかも、とか。
僕らの声の届かない場所

僕らの声の届かない場所

ろばの葉文庫

The Art Complex Center of Tokyo(東京都)

2010/01/12 (火) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

エクレアが、わらび餅に。
初演とはテイストが違っていましたね。空想組曲は洋菓子風味で、こちらは和菓子風味。個人的な好みはあろうとも、自分としてはそれぞれ腑に落ちた感じ。初演は夏に上演されて今回は冬だから質感を調整したのもあるのでしょう。実際のアトリエを選んだ為に劇場よりは閉塞された空間。上演時間を短縮したのは正しかったかと。
普段よくやる路線とはちょっと違う役だったハマカワさん。それだけでも見ものだったのですが、後半で声を荒げた時に芯の強さが感じられたのが良かった。東京ネジの佐々木さん(ネジはみんな佐々木さんだから客演のこういう時にあえて名字にしてみました)の凛とした大人の女性たる姿もオイシイ。そして関根さんが超ナイスアクトでしたね。フライングステージではどんな感じなのでしょうか。未見なので興味が沸きました。
で、何故かいつも風琴工房を観に行けてなくて詩森さんの演出も期待して観に行きました。勝手な判断だけど、どうも手腕の全てを見た気がしない。まだ何かある気が…。やっぱり風琴工房をしっかり観てみたくなりました。

ネタバレBOX

北川さん演ずる名村に不満。クレームでも悪口雑言でもなく、「満ちなかったよ!もっとやって欲しかったよ!」というエール。当初は心を閉ざして人付き合いが下手な人間としての立ち振る舞いが続きますが、人を拒否する姿勢がイマイチやんわりしていたなと。もっと断絶するくらいスパッと拒否して欲しかった。あのくらいだとただの気怠い人にも見えかねない。他人を受け入れない姿勢での遣り取りが成立していてこそ、茜に心を開いていく流れにもっと特別感が沸いたはず。
脚本での人物の在り方の書き分けはとても明確。ただ、過去の画家の名前を出しながら会話をする冒頭はそれを示し過ぎな印象。専門的な知識が追い付かない客席側としては「〜っていう事に対してああいう感情を抱くらしい人」と見えるので、移入するには距離があったかも。その点で実は映像向きな本だった様な気がします。目の前に実在する事を強めればもっと移入出来たはずで、例えば実際に絵を描いて欲しかった。コーヒーの匂いも非常に大事な要素。何故か序盤は匂いが届いて来なくて、本当は入れていないのかと思っていました。でも終盤には薫ったし、終わってから聞いたら初めから入れてたらしい。自分の席は奥側でした。うーん、なんで届いて来なかったのかなぁ。その実在の為に逆になかったほうが良く感じたのが、音響。あの質感なら効果に電子機器を通じた音楽は使わないほうが浸れた。人物の遣り取りももっとナーバスかつリラックスした状態から発生していたらなとか考えて、今回の演目を時間堂がやったらきっと個人的には好みだと思い至る。ろばのせりの葉文庫、か。
ガールフレンド

ガールフレンド

国分寺大人倶楽部

王子小劇場(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

今回は国分寺大人未満倶楽部。
本公演は初見。普段がダークテイストの趣だというのは何となく知っていたのですが、これを観たらそっちも気になる。あらすじを見た時点では『自分好みの死体をくすねてきて愛でる』みたいな話になるのかと思っていたら…。是非とも中学生に見せたらいいのに。ここで言う中学生は実際の中学生でもそうでなくても可。ひとまず、これはジャンルとしては萌えに足を突っ込んでいる。形は違えど、愛でる様な感覚がそこにあった。
脚本自体は非常に分かりやすい。事態を把握しない第三者の振る舞いで場が乱れるとか、人間関係の基本構造がしっかりしているから観易かった。でも内容的には登場人物からしても『あれ???』ってな事が起きる。良作が多かった頃の「世にも奇妙な物語」みたいなテイスト。妄想は結論なくただひたすら繰り返すもの。あのラストはセオリーっぽいけど、やっぱある種の正解なんだなー。
個人的には段々とぺぺが可愛く感じられる様になって、すると辿々しく相手をするゴウダまで可愛く感じられました。ちなみに実家で20年前にぺぺって名前の犬を飼っていました。この話は特に関係ありません。
おまけ「マイケル寂聴」。本当にどうしようもない。観たからといってきっと今後の人生の役には立たない。だから身構えずに観て良い。くだらないって最高だ。明日からも元気に生きていきたい。

ネタバレBOX

初めて部屋に6人が揃った時に一瞬だけぺぺとナナの間で会話が成立してたから、女の子同士はお互いに見えてるのかな?とその刹那ちょっと惑いました。その先に引き摺って楽しめなくなったら損だから考えない事にしたけど。
LOVE

LOVE

ロロ

王子小劇場(東京都)

2010/01/01 (金) ~ 2010/01/04 (月)公演終了

意外にもこれが第二回公演。【追記】
毎月ペースでたくさんやってるけど本公演は二回目。
閃きをセンスで具現化した作品でした。一つ一つの場面がとても綺麗。ただ、何か一貫した流れが欲しかった。「次はどうなるんだろう?」じゃなくて「これからどうなるんだろう」と思いながら観られる様に。途切れ途切れのものを100分観続けるのはちょっと辛い。今の状態だと最初から観た人と途中から観た人とで印象や満足度がさほど変わらない気がします。高まっていく何か。高ぶっていくて何か。そういった何かがあれば更に見入れる様になるはず。
舞台美術も素敵。それだけに仕掛けが劇中と同化してなくて使い方が勿体無いかな。なんとなく一緒になってるだけで相乗効果はあまりなかった印象。第一回公演の舞台では水を使って、今回がこう来ると第三回公演ではどうなるのか。火や音や風でも使うのかな?

【2009.01.15 追記】
これを書いてから、上手くコメント出来た気がしなくてロロの事ばっかり考えていました。ロロのせいじゃなくて言葉を纏め切れなったせいです。むむむ。
個人的に演劇で面白い奴らは荒削りでも最初から面白くて、センスみたいなものは見えてるから段々と面白くなったりはしない気がしています。なんだけどロロは段々と面白くなってきている。何処に行くのやら。どういう目で見てれば良いのかこっちが構え切れてないから評価に戸惑うのかなぁ。

ネタバレBOX

冒頭?の3分が面白かった。登場人物を記号化させる遣り方は力技でありながら絶対的に分かりやすい。冒頭かもしれないし前座かもしれないその構造自体は意図が見いだせなくて特に惹かれなかった。
初めて観たはずのヒロインに妙なデジャブ。後半まで来て「あぁ、声が折笠富美子さんに似てるんだな」と思い至る。で、光になっちゃったあの場面。もしや…と思っていたら、ちせの常套句「ごめんね」が台詞に登場。多作品のパーツをリミックスするのはアリだと思う。けれど初めから綺麗な場面として使われていたものを同じ使い方で扱うのはナシだと思う。要素として使うのは良しとしても、そのものを使うのはただの借り物ではないかと。ここまで指摘して意図的にやってなかったら肩透かしなんだけど。
スポーツ演劇「すこやか息子」

スポーツ演劇「すこやか息子」

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2009/12/25 (金) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

クリスマス。ケーキもいいけど、演劇のお取り寄せも良い。
大人から子供まで、人間であれば誰しもが対象となる作品でした。NHKで放映して親子や一家で見ても良いと思う。アフタートークでも語られていましたが、国を越えても通じるでしょう。それどころか「地球人の在り方」として見せれば宇宙人にも通じるかもしれない。
同時に、いつもの癖の強い柿が好きな人には物足りない可能性も。本公演と比べるよりは役者の健やかさを大事にして作られた点で個人的にはkr14の「学芸会レーベル」と近いイメージがありました。
ちなみに演目詳細については三重版を御覧になったharu朕さんのコメントが的確。個人的には終始がっつり同意。

ネタバレBOX

目の前で人が疲弊していくという絶対的な事実に対しては否定のしようがなく、観ていると何かが発散されているのが分かる。そうなると観る側もしっかり受け取らなきゃいけない気がします。スポーツの真剣勝負を観ている時と同じですね。
尚、初日でありクリスマスだった今夜。上演後にオマケの茶番が(笑)。
サンタクロース会議(再演)

サンタクロース会議(再演)

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/12/11 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

子供騙し。
子どもを幸せに騙すのは良い事です。騙されて幸せになっている子どもを見て大人も幸せでした。
…うーん、上手い言葉選びをしようとし過ぎてしまいました。騙してはいません。ちゃんと自分で考える様に切っ掛けを与えていただけだと思います。この「だけ」が大事。子どもに価値観を押し付けるのは暴力に等しいので。

ネタバレBOX

子どもに向けた演目なので大人の自分がああだこうだ語るのは違うなとも思うのですが、思い返す為に語らせてください。すみません、自分の為です。
予定的に行けるか微妙だったものの、自分が子ども劇団を主宰している事から周囲の演劇おじさん達に『行ったほうが良いよ』と勧められたのもあっての観劇。まずはちゃんと子どもを集客出来ているのが素晴らしいと思いました。子どもに向けて作って、ちゃんと子どもに観てもらえているという事。普段の客層とは違うだろうにどうやって足を運んでもらったのか。助成を受けてるから教育機関とか色々な繋がりがあるだろうとはいえ。
自分は当日券を狙ってキャンセル待ちの4番だったんですが、1~3番がお母さんと兄弟での三人。アゴラの外のベンチで弟君が透明なプラスチック容器に入った焼きそばを頬張りながら、親子でキャンセル待ちをしていました。演劇を観る為に親子がそういう状態。なんかもうその姿だけで満足してしまって、自分までキャンセル待ちが回って来なくてもいいかなとか思ったり。これでもしキャンセルが二人分しか出なかったら三人で一緒には観られないから、この親子は断念して自分に回ってくるんだろうなという考えもしましたが(苦笑)。
冒頭文への自己否定になりますが、これは子どもに向けた演目ではなく家族に向けた演目。大事なのはこれを観た後の親子の関係がより豊かになるかってところで。終演後の帰路で親と早速サンタクロースの話をしている子どもがいました。うん、そういう事ですね。
モンキー・チョップ・ブルックナー!!

モンキー・チョップ・ブルックナー!!

アマヤドリ

シアタートラム(東京都)

2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

始まる前から良かったし、終わってからも良かった。
いきなりですが、タイトルの意味はネタバレBOXにて。
始まってからの5分でいきなり腹八分目まで食べさせられた。広田さんの演出と、それを体現出来る役者達がそこに。「あー、これこれ。ひょっとこ乱舞だー」って感じ。今回はチラシで役者の布陣を見た時点で絶対に面白いはずだと勝手に期待していましたが、見事に応えてもらいました。在り来たりだし誰に向けてるか明確じゃないから誰も喜んでくれない言葉選びになってしまうのですが、役者がみんな良かったなー。ホント、みんなに言いたいんです。みんな良かった。

ネタバレBOX

対面舞台は割と良く見ますが、個人的にトラムでそれを観るのは初めてでした。基本的には「二面性がある」とか「客観的に観られている」とか「閉塞的な空間」を生む為に使われる手法。自分は本来の位置の客席に座ったのですが、上演前に向かい側の席へ向かう為に舞台を横切る客の姿を見て「舞台がないな」という印象を抱きました。いや、物質的に言えば舞台はあったんですけどね。客席と舞台の空間的な境界線がないという意味です。いざ上演が始まったら「舞台で演じるのが役者なんじゃなくて、役者がいるから舞台になるんだなー」とか思ったり。
そしてこの対面形式のお陰で、劇中にあった台詞の通りに観てるだけの観客にさせられた我々。この効果がそこで終わるかと思っていたら、真髄はまさかの終演後に。上演前と同じく、対面側の席から舞台を横切る人々の姿。それが自分には渋谷などにある巨大な交差点での人の往来に見えました。
ラストシーンに対して自分が抱いた印象は「安心」でしたが、これは人それぞれでしょうね。人と接する事で社会が広がる様に思えて安らぎを感じる人もいれば、誰かと接しようとしてもそこに空ろさを見出す人もいる訳で。あのラストシーンをどちらに取るかは本人次第。前者であったほうが幸せだろうし、演劇に人の関係性を期待するならそっちでいいじゃないかと思うのですが。あー、そういう意味で自分は幸せなようです。よかったー。
ペンタゴン

ペンタゴン

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2009/12/19 (土) ~ 2009/12/21 (月)公演終了

なんか笑った。
苦笑とか失笑とか嘲笑とか。気を抜いて観られる楽なやつでした。わざわざ深い感想とか言う気になりません。「面白かった」だけで済ませていい立派な娯楽でした。所々で身内が勝手に受けていましたが、やる側は身内受けを狙った演技をしていなかったのも好感。
キャストとスタッフが「トライアングル」+「親愛なる天才たちへ」みたいな。どちらも好きだったので個人的には嬉しい布陣だったなー。

ネタバレBOX

実際の関係からして配役がある意味で身内受けな部分もあったんだけど、それはまた別。むしろ良かったと思う。あれだけキャストがいてみんなちゃんと覚えているのだから適材適所だったのでしょう。
「トライアングル」から「ペンタゴン」に。作/演出の江尻さんが前は3年生だったのが留年して5年生になったのかなとか思いを巡らせたけど、まだあれから2年も経ってないな。
笑う通訳

笑う通訳

電動夏子安置システム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2008/11/13 (木) ~ 2008/11/16 (日)公演終了

あ、そういえば。
公演当時には登録がなかったのでした。後で感想を載せます。

ロミオの代わりはいくらだっているし、ジュリエットの代わりだって腐るほどいる

ロミオの代わりはいくらだっているし、ジュリエットの代わりだって腐るほどいる

掘出者

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/15 (火) ~ 2009/12/20 (日)公演終了

物語、ではない。
見せてくれるのはひたすらに関係性。人と人の分かり合えなさを如実に再現した上辺の遺り取りがなんとも可笑しい。基本的にはどの場面も三角関係から成っています。人物Aと人物Bが人物C(または事例C)に対して異なる印象を持つから擦れ違う。じゃあどちらが正論を語っているかと言えば、両方正論だし両方異論。だからこそ埒があかない。
物語性を求める人にとっては物足りなさがあるかも。追うべきは話の筋ではなくて人物の心情。個人的には人の在り方を見るのが好きなので楽しませてもらいました。気軽に観られる60分程度の上演時間もナイス。

ネタバレBOX

自分にとって初見の掘出者単独公演。今回は15 Minutes Made Vol.6にて上演された「パーフェクト」の拡大版みたいな感じだったので、期待から外れずに安心して観られました。その分、違う作品も見てみたい欲求が。関係性を描くのが成立してる分、物語としての構成要素が変化しても同じ感触の演目になる様な。とりあえずもう一回観ないとなー。
11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

【11月戦争〜】CoRich見てなくて良かった。
最近あまりCoRichを見ていなくて良かった。他の方のコメントにネタバレがあります。見てたら面白みが減ってたな。あぶねー。
綺麗な話です。ただ、体感時間はかなり長かった。途中から映画みたいな物語展開になって規模がドンドン拡大していきました。良い意味で、ルデコでやる様な演目ではないのです。壮大でドラマチックな話がお好きな方にはオススメ。
戯曲には主な物語の進みと共に、その世界の中での社会構造が見えたほうが色々と把握しやすくなる。『こういう縛りがあるからこの人達はこうなんですよ』というお約束。バックボーン。それがちょっと不明瞭だった印象で、観ながら自分の中に浮かんだイメージがホントに劇中とリンク出来ているかイマイチ自信が持てなかった。他の演目もそうだけど、これに関しては二回目のほうがグッと観やすくなる類いだと思う。

ネタバレBOX

箱を使って色々な場所を表現する手法はルデコの狭さでは正解。でも不備があると一気に覚める危険性も孕む。うっかり役者が蹴っ飛ばしちゃうとかね。
体感時間の長さは暗転の多さが原因。観る側はその度に気持ちがリセットされて再スタートみたいになるから流れに乗れなくなる。これが映像作品ですぐに場面が切り替わったらきっと体感時間は縮むはずなんですけどね。
揚げ足。生物兵器で人類が滅亡すると地球の外観は綺麗なままという件。生物兵器は動物にも影響があるはずで、そうなるとその餌である植物は増えすぎたり影響が出そう。動物の死骸が肥料になったら更に増えそうだよなぁ。
ミサがマスク姿でキスしたがるっていうのは良かった。あのワンアイデアで一本書けるんじゃないだろうか。個人的にはツボ。

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