遠ざかるネバーランド 公演情報 空想組曲「遠ざかるネバーランド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 夢が壊れる。
    いつだって夢を壊すのは現実の仕業で、我々は現実の中で生きています。夢を見る事は確かに幸せ。しかしそれが「今の現実の先に続く幸せ」か「今の現実を無視した幸せ」か。現実逃避の為に選ぶ理想はあくまで現実から離れたもの。現実に叶うはずがない。
    登場する度に劇場空間を一気に蹂躙する小玉さんのパワー(笑)。これまで観た何度かの芝居で彼女のポジションはこういう場合が多いですが、決してワンパターンには感じません。安心して観ていられるし、演出家にとっても安心して任せられる役者なのでしょう。男女差別じゃないけど、女性でこれが出来るのは凄いと思う。男性だと厭らしさが出てしまう事もあるけど、彼女の場合はサラッとしていて清々しい。場を荒らして一色に染める児玉さんに対して、引き込ませたのが中田さん。温かさで包んだのが鶴町さん。

    ネタバレBOX

    舞台を最初に見た印象は「美術をもう少しスマートに出来なかったのかなぁ」。作り物感が強くて、役者の足元が捲れそうで心配になったり。でも作り物感は意図してたかもしれない。作り物のネバーランドだったのだから。とはいえチラシがせっかくあの雰囲気なのだから、美術だけでも世界観に浸れるくらいにあって欲しかったというのが正直なところです。他の方のコメントで『友達と二人で書き分けた絵の下部分があの背景だった』というのがあって、なるほどと思いました。自分は気が付きませんでした。
    急遽の主役変更があったとの事で。本来は人魚とインディアンと同列の登場人物がもう一人いて、それが清水さんだったのかな?とか邪推。その調整からか、ウエンディの登場しない場面が長く続いたりちょっと気になる流れも一部あった様な。終盤では良い所でしっかり感情を到達させて涙していた清水さんの演技具合は流石ですが、だからと言って目は瞑れない所。これは現実。
    この物語的に、前半と後半の温度差は仕方がない。必然。だけど質感は統一してくれたほうが見やすい気がしました。前半は子供と一緒に家族で観られると思っていたものの、後半は子供に見せる分には良いけど何処まで通じるかなと。自殺しようとしてやめた話だよ、と説明するのもなんだか…。前半は温和ムードそのままで、ギャグとかにもうちょっとビターな要素が入っていてもいけたのでは?前半の雰囲気で気軽に観ようとしていた大人に思わぬズシンとしたものを与える作品に成り得たし、そうなって欲しかったなというのが個人的な要望。
    最後に。他にも同じ事を思った人がいるんじゃないかと予想するのですが、スターキーが左手を押さえた時に「あ、実はこいつがフックなんだ!」と(笑)。みんな「いずみ」だから合ってるっちゃ合ってるんだけども。

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    2010/02/12 03:37

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