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『自由や個性を大切に』と謳いながら相反する教育を受けてきたわたしたちはどう生きればいいのでしょうか。

『自由や個性を大切に』と謳いながら相反する教育を受けてきたわたしたちはどう生きればいいのでしょうか。

膿月

PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)

2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/03/02 (土)

2日ソワレ(2時間)を拝見。

ネタバレBOX

動画は拝見しなかったのだが、タイトルやフライヤーのまえがきを読めば、頭が「お花畑」でない限り、エンタメでないのはわかるだろう芝居。が、実際に観てみたら、予想を更に超えるディープな世界!
2人のヒロインにまつわるエピソードや、劇中で使われる著名な楽曲やら、学生さんの作品だろうに、漂う空気感は昭和そのものだった。

さて、会場のプルヌスホールは、コンテンポラリーダンスの公演で過去2回訪れたことがあるが、今宵の公演はストレートプレイ…と思いきや、重要なシーンでコンテンポラリーダンスの出番!
ただ、このダンスシーンが、役者さん達の熱演にも関わらず、得てして単調になりがちな進行を引き締めてくれた。
ラストシーンでの、彼氏と別れた方のヒロインが、自殺したもう1人のヒロインの伴奏で踊るシーンは圧巻。
役柄上、そうあるべきなのだろうが、覚悟を決めた彼女の姿は私服の時より大きく・活き活きと見えた。
(ところで彼女、設定では、確か妊娠中のはずなのに、あんなに激しく動いて大丈夫なの? それとも一気に出産後に時間がワープした?)

舞台上の大きな仕掛けや生演奏での歌唱など、見どころ・聴きどころはあったが、やはり2時間はキツいかなぁ。
90分程に編集された方が、観客席のテンションも続くかなと考えるがどうだろう?

最後に。
終演後、ツイッターで珍しく長饒舌に呟いてしまった。
感性のスレたオッさんからすれば、あまりにも直線的で生硬な芝居だというのが率直な印象…にも関わらず、演じ手の皆さんや作品自体が持つ熱気に当てられたのかな。
『逆柱 ―追憶の呪い―』

『逆柱 ―追憶の呪い―』

鬼の居ぬ間に

小劇場B1(東京都)

2019/02/28 (木) ~ 2019/03/04 (月)公演終了

満足度★★★★

28日ソワレ(1時間55分)初日の舞台を拝見。

ネタバレBOX

大正から太平洋戦争にかけて、とある山深い里の地主の家で起こった出来事を語った2時間弱。戦前の地主・小作制の因習に、逆柱の伝承を絡めたストーリー。
個人的には、しのが当主に指名される前の、政吉が坂田一族に紹介される場面がとても印象深かった。確かに、あの時にみせた一族の素は「善良な人間」。それが、次期当主を巡る諍いを経て、(しのや政吉と自分も同じ目に遭わされたくないという恐怖からとはいえ)まるでオセロの白が黒にひっくり返されるように一変するさまには、後の呪い以上に肝を寒からしめる思いがした。
初日ゆえ、出演者の演技に多少の硬さは垣間見えたものの、終始、肩にチカラが入ってしまう迫真の舞台!
見応えのある舞台だった。

役者陣。
鶴町憲さんは、(確か、出演されてた?キコ/qui-co.の『ミートソース・グラヴィティ』や)殿様ランチなどでのコミカルな演技が印象に残っていたので、今回の実は孤独な暴君ぶりに刮目させられた。
赤猫座ちこさんは、何度も舞台を拝見しているはずなのに、メイク・衣装のせいか、全く気が付かず。
今井由希さんは、着物姿がしっくりし過ぎて、映画『新・極道の妻たち』がリメイクされたら出演依頼が来そう♪
そして何よりも、色んな役者さんの、自分の知らない一面を観ることが出来た中、林竜三さんが「林竜三」されていたのには、ホッと胸をなでおろす気分にさせてもらった。

最後に配役を記しておく。

泉政吉(東京の学者)…広野健至(ひろの・たける)さん
坂田しの(末娘。実は、子供たちの中、唯一、坂田の血筋を受け継いでいる)…奥野亮子さん
坂田源一郎(長男)…鶴町憲さん
坂田睦美(長男の妻)…今井由希さん
坂田メイ(長男の娘)…早井麻琴さん
坂田善次(次男)…伊藤俊輔さん
坂田富子(次男の妻)…吉田多希さん
坂田景造(坂田家当主)…林竜三さん
坂田菊子(景造の妻)…間宮知子さん
坂田しの(悲劇から30年後の、しの)…田中千佳子さん
坂田政吉(悲劇から30年後の、政吉)…山本佳希さん
(『渦中の花』の何もしない父親、『Dの再審』での大人になった小林少年、でおなじみの方)
平賀信平(坂田家分家、医師)…橘潤二さん
平賀ヨシ(信平の妻)…長沢彩乃さん
保積セツ(坂田家使用人。しのとは姉妹のように仲が良かったが…)…赤猫座ちこさん
田村保(泉の教え子。特攻隊だった一人息子が逃亡→処刑された)…宇都宮快斗さん
軽い重箱

軽い重箱

殿様ランチ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/02/22 (金) ~ 2019/02/26 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/02/24 (日)

24日14時開演回(85分)を拝見。

ネタバレBOX

今回で6回目を迎えるという「軽い重箱」。
6本の短編による「平成最後の短篇集2019」は、客演の役者さんも含めて、プロの役者さんの仕事やなぁ、とつくづく感じさせられた85分だった。
春は馬車に乗って

春は馬車に乗って

演劇ユニット「クロ・クロ」

RAFT(東京都)

2019/02/22 (金) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/23 (土)

23日17時開演回(70分)を拝見。

ネタバレBOX

川端康成と共に新感覚派の作家として大正から終戦後までの時期に活躍した、横光利一(よこみつ・りいち)の『春は馬車に乗って』『蛾はどこにでもいる』を基にした本作は、作家である夫(演・内藤羊吉さん)が、長い闘病の末に病死した前妻(木村優希さん)への追慕から脱して、目の前で自分を支えてくれる現在の妻(キジマチカさん)と共に歩み出すまでを、夫の友人(大寄正典さん)を交えて描いた70分。

開場後、既に芝居はスタンバイしていて、その独特の空気感に触れてはいたが、いよいよ開演となり、受付から漏れる陽射しが黒いカーテンで閉ざされてからは、4人の役者さん・劇伴・照明が織りなす濃密な演劇空間に、すっかり浸ってしまった。
でっ、夫・前妻・現在の妻と観客の感情を仮託する対象が3人いるうち、自分は、キジマチカさん演じる後妻に一番シンパシーを感じた。
なんせ、既にこの世にはいない、夫の心の中の「妻」と戦う?共生していく?のかという問題を、常に突きつけられていたのだから、夫と共に歩んでいくラストシーンまでの日々の苦悩は如何ばかりかと。

役者陣では、よく通る情感のこもった声も・整った清楚な顔立ちも、幾度も舞台を拝見しているので充分承知のはずなのに、(他の観客の何人かも同様に感じられたようだが)今宵の木村優希さんが、追憶の世界の住人らしく、怖いほど、艶めかしくも美しく思われたことを特筆したい。

【追記】
手作りのポストカードに
(寒いからと)使い捨てカイロの配布。
(もし寒ければと)ブランケットやマスクの用意。
観客に向けた様々な気遣いが
イチ観客としては大層嬉しく思われた。
オールナイトイッポン

オールナイトイッポン

南塾

シアターシャイン(東京都)

2019/02/19 (火) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/19 (火)

19日Mチーム(100分)を拝見。

ネタバレBOX

2017年に観た、表情豊さん×ワニズホール『オールナイトイッポン Re:mix!』と比較しながらの観劇。
今回の演出は少し大人しいかなぁ(2017年版は女性がもっと過激?!だった)と感じつつも、「中学時代も今もイケてない男の復讐劇と、その顛末」、笑いの絶えない100分間を充分愉しませてもらった。

それから、作品以外で感じたこと。
フライヤーや当日パンフの印刷物に施された、様々なウイットに感心。
また、当日制作も、傘を預かる際の番号札の配布等、やれるけどやらないところが多い手間をかけていたのに好感を抱いた。

最後にMチームの配役を記しておく。
オリモト(ネクラな主人公。中学時代の「同窓会」の首謀者):林諒一さん
ハラグチ(オリモトとつるんでいたクラスメイト。デブのラッパー):あやいちさん
タキザワ(オリモトとつるんでいたクラスメイト。外資系会社勤務):永山慎之助さん
キョウコ(タキザワのカノジョ。しかし、正体は、ダイエット&整形でイケてる女に変身した、かってのクラスメイト&タキザワの元カノ「デスバレー」)
:松浦倫子さん
カヤシマ(オリモトのクラスメイト。影の薄い存在だが眼鏡を取ると…!):アヤムラ オトさん
タナカ(オリモトの隣りのクラスの知り合い。カラオケ店勤務):松本大地さん
ユミコ(タナカのカノジョ。カラオケ店勤務):杏さん
カヤシマの父:髙中勇人さん
トモコ(ハラグチのカノジョ。ラッパー):山陰智恵さん
地下アイドル3人組の一人&前説:豊倉まりえさん

【追記】
ところで、開演前、ふと気づいて調べてみたら、南塾さん、以前、同じ会場で、今回の杏さんも出演されていた『好きよキャプテン!』を拝見した団体さんだった。
『好きよ…』もだが、キチンとチケット代に見合った舞台を観せてくれる団体さんだと、何処かで記憶に残っているもんだなぁと。
渇望

渇望

財団、江本純子

北千住BUoY(東京都)

2019/02/10 (日) ~ 2019/02/18 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/17 (日)

17日13時回に参加。

劇団毛皮族の主宰というよりも、映画『過激派オペラ』の監督・江本純子さんの撮影現場を覗けるということで、足を運んだ北千住BUoY(ヴィ)。
カメラを回す前の(ウォーミングアップ? 役作り?な)インプロからシーンの撮影までの3時間、拘束なしの出入り自由ということもあって、出演者・スタッフに申し訳ない程リラックスして「目撃」させてもらった。

さて、参加者は希望すれば映画に出られてセリフを貰えることさえあるのだが(ただし、採用されるかは不明)、自分は「傍観者」に徹して、目の前で繰り広げられるシーンと、モニター越しにカメラに映し出されるそれとを対比したり、演出の付け方などを、大変興味深く拝見することができた。

なかなか得難い経験をさせてもらったことに感謝!

【蛇足】
撮影前のインプロで、油断をしていたらセリフを振られ、サラッと喋る羽目に!
これには焦ったw

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

DULL-COLORED POP

サンモールスタジオ(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/14 (木)

谷チームの14日ソワレ(90分)を拝見。

ネタバレBOX

年月を経て上演を重ねてきた作品だけあって、舞台はまるで秒読み将棋のように無駄なく・テンポよく進んでいく。

母よし子と、彼女にしか見えない2匹の猫とのシーン。
当初は、夫を亡くした彼女の傷心を癒す、優しいセピア色の回想のひととき。
しかし、それさえも、やがて蘇ってくる、自分の思い通りにならなかった息子・娘、ついには永年連れ添った夫との軋轢の記憶に浸食されていき、彼女は心の逃げ場を失っていく…。

現実は子供たちからも・長男の妻からも・ヘルパーの若い男性からも、鬱陶しがられ・煩わしがられていたのだが、それでもなお、家族一途なよし子のありように、終演後も永らくほろ苦さが尾を引いた。亡母と自分の過去をも振り返ざるを得ない、辛い芝居だった。

最後に谷チームの配役を記しておく。
母・よし子:井上裕朗(いのうえ・ひろお)さん
父・塚越健一(つかごし・けんいち)さん
息子:宮地洸成(みやち・ひろなり)さん
息子の妻:深沢未来(ふかざわ・みく)さん
娘:春名風花(はるな・ふうか)さん
くろねこ:百花亜希(ももか・あき)さん
ベージュねこ:大内彩加(おおうち・さいか)さん
ヘルパー・高梨:東谷英人(あずまや・えいと)さん
卒業制作

卒業制作

しあわせ学級崩壊

王子小劇場(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/10 (日)

10日マチネ(100分)を拝見。

ネタバレBOX

あの家族のようなヒト達は何者?
あの作業員達は? ヒダ先生の悲惨な状態の死体を目撃したの? ヨシヤは女子高生のストーカー?
その女子高生達、何故、制服が夏服組・冬服組に分かれているの? 夏服の二人はひょっとして既にヨシヤに…!

手元にある台本に目を通す前に、この文章を入力しているが、わからないことだらけw
自分には『非国民的演劇』以上に理解の届きにくい作品だったが、それでも、途中からヒダ先生(何らかの事故、それとも自殺で肉体は作業員達の仕事場?に放置、魂だけがハンディカメラの中で存在し続けている)、ラストではっきりとカナデの置かれた状況(肉体は既にヒダ先生に絞殺されており、魂だけが現世に残っている)は把握できた。
まあ理解はさておき、情緒的には激しく胸に迫って来る100分間の「演劇」だった。

さて、従来作以上に音楽と台詞・所作が互いを昇華させた本作を観終えて、しあわせ学級崩壊 さん、今まさにグイグイと上昇気流に乗っている最中なんだろうなと実感。
前作『ロミオとジュリエット』のように観客がストーリーを把握しているモノではなく、五感でストーリーを感じ取ってくれ、というスタンスで、さあ、ここから先、どこまで行ってしまうのか、楽しみでもあり・怖くもあり…そんな期待と不安を抱かせてくれた今回の公演だった。

役者陣に関しては
『モンストロ・メモリ』の鵜飼役で知ったヒダウツツ役の小島明之さんの表情
ウエチエマ役の梢栄さんの叫ぶような台詞廻し
ミタテヒズミ役の永田佑衣さんのクールな激情
そして、キリシマカナデ役・福井夏さんの畳み掛けるような口調
が個人的には印象に残った。

【追記】
幾度かの上演時間再延長の連絡、前日の上演案内、終演後の御礼、とメールでの細かな気配り。
前日の天候(降雪)を意識されたのか、開場前の待ち客を階段内に準備された椅子に案内、さらには使い捨てカイロまで用意されているとは!
会場案内もキビキビ&丁寧になされておられるし、小劇場というよりも企業ブースやパビリオンレベルの制作・当日運営のホスピタリティに感銘を受けた。ここで改めて、ありがとうございました!と礼を言いたい。
雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた

雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた

流山児★事務所

座・高円寺1(東京都)

2019/02/01 (金) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/03 (日)

3日14時開演回(2時間)を拝見。

ネタバレBOX

1982年初演の清水邦夫作品は、大仰だが繊細な作風に時代を感じさせはするものの、人生における演劇というもののチカラを実感させてくれた。

役者陣。
出演される舞台にハズレなし(注.弊社調べ)の松本紀保さんと、伊藤弘子さんを初めとする流山児★事務所勢を中心に、宝塚OGの麻乃佳世さん、小劇場演劇畑の様々な世代の役者さんたちが醸し出す不揃い感・デコボコ感が、かえって空襲以降の30数年間という時代の重みを意識させてくれた2時間。
ラストシーン。老若男女の役者さんお一人お一人のお顔を、感謝をこめて改めて拝見させて頂いた。
モルディブの星 モルディブの月

モルディブの星 モルディブの月

劇団東京イボンヌ

cafe&bar 木星劇場(東京都)

2019/01/29 (火) ~ 2019/02/05 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/01/31 (木)

31日ソワレ「モルディブの星」(90分)を拝見。

ネタバレBOX

個人的偏見を全開で言わせて頂くと、航空会社や旅行会社がスポンサーの、番組改編期の2時間スペシャルドラマ!てなテイストの作品です。
随分と甘口のカクテルのようなストーリーだなぁ…すれっからしの観劇オジサンの正直な感想です。

とはいえ、実は結構、満足して帰路につきました。
なんでかというと、カフェバーというアットホームな空間に相応しい、役者さん達のオトナの演技に魅了されたからです。
とりわけ、ヒロイン役の坂口彩さん。安らぎを得ての朗らかな表情~現実に苦悩する表情、への行きつ戻りつには、すれっからしの観劇オジサンでさえ、素直に感情移入させてもらいました。

最後に配役について記しておきます。

東京から来た会社員・吉行
…樋口大悟さん(経歴を拝見しました。頭が下がる思いです)

田中布美(「モルディブの星」ヒロイン)
…坂口彩さん(卓球の福原愛さんが美人度UPしたような方)

布美のふたごの妹・亜紀
…河村早映さん

行きつけのバーのマスター・堀
…本田和大(ほんだ・かずひろ)さん

布美の夫・田中
…米倉啓(よねくら・ひらく)さん(演技を超えた?!サイコパスぶりに驚愕!)

餃子屋2代目・深川(亜紀の彼氏)
…鈴木将元さん

モルディブのダイバーインストラクター・明知
…森山太さん(何気に巧い!方です)
わが家の最終的解決(再演)

わが家の最終的解決(再演)

Aga-risk Entertainment

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2019/01/25 (金) ~ 2019/01/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/26 (土)

26日ソワレ(上演時間150分+途中休憩10分)を拝見。

ネタバレBOX

途中休憩10分ありとはいえ、上演時間150分の長丁場。普段のアガリスク作品のような笑いの連打だと、さすがに観客が酸欠死しかねないんで、今回は緩急に富んだ進行のワン・シチュエーションコメディ&ドラマの趣き。
その「ドラマ」だが、ナチスドイツに占領された国家の中で、ユダヤ人狩りが最も苛烈だったオランダを舞台にした作品は、(作者が意図されたかどうかは不明だが)笑いのオブラードで包んではいるが、今日的な人種差別の問題をやんわりと私たちに突きつけているように思われた。
それにしても、この題材を笑いに繋げる発想って、一体何処から生まれてくるのだろう? 凡人には窺い知れぬ境地に作者の冨坂友さんはおられるのだろうな、と。

【追記】
私のうがち過ぎかもしれないが、ハンスとエヴァが最後に結ばれてハッピーエンド!とはならなかったのは、個人の愛情だけでは解決し得ない、迫害する側・される側の不幸な歴史の溝の深さに、作者が言及したかったのかなぁ?

役者陣。

ド素人が言うのもおこがましいが、共演者からのどんな剛速球・クセ球も見事にキャッチして間髪入れず投げ返す、ハンス役の主演・斉藤コータさん。平成最後のコメディー界の名捕手かもしれないなぁと感心しきり。
熊谷有芳さんのエヴァ、榎並夕起さんのリーゼには、(あくまでも自分が観てきた限りにおいてだが)今までお二人が演じて来られた役柄にはなかった(失礼ッ!)フェミニンさが伝わってきた。それから、身にまとった、青いドレス(熊谷有芳さん)・鮮やかな紅いドレス(榎並夕起さん)の対比が、彼女達が演じた2人の若い女性の、それまでの半生を象徴しているようにも感じられた。

最後に配役を記しておく。
ハンス(ゲシュタポの一員であることを隠して、エヴァと恋人関係に)
…斉藤コータさん
エヴァ(ハンスに匿われているユダヤ人。自身の出自に誇りを持っている。文才あり)
…熊谷有芳(くまがい・ゆか)さん
アルフレッド(ハンスの親代わりともいえる使用人。本作のコメディリリーフ)
…矢吹ジャンプさん(影のMVP!)
オットー(エヴァの父親。一見厳格そうだが間の抜けたところもあり)…藤田慶輔さん
レア(エヴァの母親。穏やかな性格)…前田綾香さん
ヨーゼフ(エヴァの元恋人。どうしようもなく情けない性格)…津和野諒さん
マルガレーテ(ハンスの姉)…鹿島ゆきこさん
フリッツ(マルガレーテの夫。何事にも細かい能吏だが、妻には逆らえず)
…伊藤圭太さん
ルドルフ(ハンスの学友で、ゲシュタポでの同僚。ハンスのことを愛してる?)
…高木健さん
リーゼ(ハンスのゲシュタポでの上司の一人娘。ハンスを慕っている)…榎並夕起さん
ゲルトナー(リーゼの父。冷酷なゲシュタポだが娘には弱い)…中田顕史郎さん
サンドラ(ハンスの隣家に住む、世話好きなオランダ人)…前田友里子さん
ヘルマン(サンドラの夫。誰彼無しに妻の浮気相手だと疑っている)…山田健太郎さん
ファン・デン・ベルク(ハンスの家の大家。裕福なオランダ人)…山岡三四郎さん
原稿を取りに来る男(正体不明の人物だがエヴァに片思い)…淺越岳人さん
『天国への登り方』

『天国への登り方』

アマヤドリ

あうるすぽっと(東京都)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/25 (金)

25日ソワレ(2時間)を拝見(2回目)。

ネタバレBOX

前夜の初日を観て、脚本読んでの今宵の舞台。「神の視線」で臨んだんで、余裕カマせるかと思いきや、健人が里砂と言葉を交わす最後のシーンが実体験と重なり、ちょっと困る程、泣けて・泣けて…。
まぁ、それはさておきw。
「安楽死」という重いテーマを(私個人の見方だが)安易に一方に結論づけることをせず、(アマヤドリさんにしては珍しく?!)平易な語り口で綴った2時間。
勝手な話だが、観ているうちに、決してそう遠くはないであろう臨終時への心構えといったものが、おぼろげながらも自分なりに定まったようだ。
ところで、客席に少なからず見受けられた私と同年代、あるいは年長の観客の皆さんは一体、何を・どう感じたんだろう?…無粋だが、覗いてみたい気分にもとらわれた。

最後に配役について記しておく。

平山真由(葉一郎の妻)…鳥居志歩さん
平山葉一郎(里砂、純の兄。6年前、実母がホッキョ区で安楽死)…宮崎雄真さん
平山純(末妹。自殺願望を永年抱いている)…相葉りこさん
兵藤里砂(妹。「言葉の癌」にかかっている)…一川幸恵(いちかわ・さちえ)さん
兵藤健人(里砂の夫。優しいが「死」に直面すると逃げ腰に)…沼田星麻(ぬまた・せいま)さん
倉橋カオル(里砂の大学時代の友人)…小角まや(こかど・まや)さん

【ホッキョ区の医師たち】
村野桃子(積極的安楽死には懐疑的な医師)…中村早香(なかむら・さいか)さん
籾木・ルナール・政利(幅広く安楽死を受け入れる医師。狐とのハーフ)…倉田大輔さん
田辺美姫(新人看護師)…村山恵美さん
増田結衣(安楽死特区の廃止に抵抗する医師)…榊菜津美さん

【ホッキョ区のキツネ】
蜂ヶ谷ヨウコ(病魔に侵された老狐)…相葉るかさん
蟹江(キツネたちのリーダー)…西村蒼(にしむら・あおい)さん
座間(お調子者のキツネ)…堤和悠樹(つつみ・かずゆき)さん
漆原(寝たきり・要看護の子を持つ母キツネ)…長谷川なつみさん

【ホッキョ区観光協会】
八田兼続(協会理事長)…梅田洋輔さん
枢木玲子(兼続の部下であり妻であるキツネ)…大塚由祈子さん
『天国への登り方』

『天国への登り方』

アマヤドリ

あうるすぽっと(東京都)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/24 (木)

24日ソワレ(2時間)を拝見。

ネタバレBOX

長期入院していた癌患者の父を看取った身には、いささか辛い「安楽死」というテーマ。
しかし、この重いテーマにもかかわらず、寓話のような設定、北欧?かどこかの伝承文学を思わせる劇伴、時折交わされる軽妙洒脱なやりとり等々のおかげで、スンナリと舞台の世界に入り込めることができた。
それから、エンディングの群舞の時間に、この2時間で示された色々な考え方を反芻させてもらえたのは有難かった。

【追記】
脚本、読みました。
正直いって、「安楽死」に関するお勉強の成果発表というか、理が勝ち過ぎていて小難しいw
ただ、そんな脚本の文字列が、(あくまでも自分の感覚としてですが)舞台になると決して難解ではなく、肌感覚で伝わってくるのだから…これが演劇というもののチカラなんだろうな、と。
つぎとまります・匣

つぎとまります・匣

劇団肋骨蜜柑同好会

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/01/17 (木) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/20 (日)

20日16時開演回、本公演の千穐楽となる竹チーム…ではなく(指摘を受け、大汗)梅チームの舞台を拝見。

ネタバレBOX

公演前には夢にも思わなかった「しょう・ちく・ばぃ♪」(唄 渡哲也)の揃い踏み観劇。
大トリの梅チームは、遠吠えの木村みちるさんに、この脚本に関しては「俺がルールブックだ」な肋骨蜜柑同好会のフジタタイセイさんの主宰コンビ。
それ故か、役者さんでは躊躇われるような無法…もとい!自由な解釈の「つぎとま」を観ることが出来ました。
それにしても、お二方のアンマッチ?なアジャスト感に笑いの絶えない「明るく、楽しく、激しい」二人芝居でしたとさ♪

最後に、まとめとして、3チームの寸評を記しておきます。
松チーム→気迫ほとばしる「覇道」
竹チーム→脚本に忠実な「王道」
梅チーム→男女の配役を入れ替えた「邪道」!
それぞれに特徴がよく出ていて、まるでフィギュアのショートプログラムを視ているような心持ちで拝見させて頂きました。
ただ、改めて思うんですけど…演じている側は大変だっただろうなぁ!
ショウジョジゴク

ショウジョジゴク

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2019/01/18 (金) ~ 2019/01/22 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/19 (土)

19日19時開演回(75分)を拝見。

※手荷物等を預かるクロークサービスあり。

ネタバレBOX

夢野久作「少女地獄」の3編のエピソードに「ドグラ・マグラ」の設定まで加えてシェイクした75分の怪しげなカクテルは、宵の観客を心地良い酔い(あるいは悪酔い?w)に導いてくれたかもしれない。
性格・職業等の設定は活かしつつも、原作とは異なる役割を与えられた登場人物達が織りなす世界は、原作へのオマージュ、というよりもインスパイアされた趣き。原作を知らない観客はもちろん、原作を承知している観客も、共に愉しめる作品に仕上がっていたと考える。かくゆう、後者である自分も、良き時間を過ごすことができたことを感謝したい。
あと…日本のラジオさんにしては珍しく、唐突感のない、きちんと拍手で送られたエンディングだったことを特記しておきたい!

役者陣。

依乃王里さん(医師・臼杵リヘイ役)
末安陸さん(殺人鬼のバス運転手・新高タツオ役)
安東信助さん(厳格な高校教師・森栖レイゾウ役)の男優陣。
手堅い演技と独特の存在感で、芝居の基調となる空気感を、終始、支配しておられた。

今回、唯一、私にとってお初な館山サリさん(バスの車掌・友成トミコ役)。
矛盾した表現だが、あの表情を言い表すとしたら、コレしか思い浮かばない「ポーカーフェイスな笑顔」が実に印象的だった。

沈ゆうこさん(女子高生・甘川ウタエ役)。
屋代秀樹さんの作品でも何度か拝見しているが、本作で「すっかり日本のラジオさんの役者さんになったなぁ」と改めて実感させられた。

ゆかりごはんさん(女子高生・殿宮アイコ役)。
以前、三鷹SCOOLの客席で拝見したことはあるとはいえ、「ツヤマジケン」では修学旅行を欠席した生徒さん状態の写真だったので、ナマの演技がみれたのは収穫。綺麗な声の方ですね。

何度も舞台を拝見している田中渚さん(虚言癖の看護師,姫草ユリコ役)。
田中さんが演じる「姫草ユリコ」が登場する舞台を何作か拝見しているので、役柄のイメージは承知しているつもりだったが、今回のは、同じ会場で上演された「セイラム」の「名倉ヤギコ」(演・中村真沙海さん)のイメージが重なる、日本のラジオ的ユリコだったように思われ、興味深く(=ニコニコしながら)観させてもらった。

いずれにしても、先月の新宿公社さん「少女地獄」、今宵の日本のラジオさん「ショウジョジゴク」と、2ヶ月連続で、同じ素材で異なる調理のご馳走を頂戴し、ちょっと大袈裟かもしれないが、今もまだ、至福な気分に浸っている。
つぎとまります・匣

つぎとまります・匣

劇団肋骨蜜柑同好会

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/01/17 (木) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/01/18 (金)

18日ソワレ・竹チームを拝見。

ネタバレBOX

藤本悠希さん&依田玲奈さんのペアは、テキストに沿って忠実に・丁寧に演じられていたなぁという印象。
ただ、初めてこの作品を拝見した4年前のペアのうちの佐藤匡(まさし)さん、昨夜の室田渓人さん&森かなみさんペア、と怪優(失礼ッ!)の演技に毒された身には、やや大人しく感じられた。
不条理劇って、大仰に騒ぐとかの外見ではなく、内面からにじみ出るような、良識(誠実さ)を吹っ飛ばした狂気とかパニック感が伝わってきた方が、自分には好みなのかもしれない。
つぎとまります・匣

つぎとまります・匣

劇団肋骨蜜柑同好会

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/01/17 (木) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/17 (木)

17日ソワレ、松チームによる本公演自体の初日舞台(70分?)を拝見。

ネタバレBOX

4年ほど前、板橋区役所界隈のサブテレニアンで、作・フジタタイセイさん、演・日向あこさん、演じ手は松浦姫さん&佐藤匡さんで拝見した短編です。そして、当時、わざわざアメブロに残したくらいですから、自分としては、相当、印象に残った作品だったんだろうと思います。

さて、今回。
会場の池袋BOX in BOX THEATERに足を踏み入れた途端、「バス停のセット、懐かしいなぁ」「(既にスタンバイしていた)室田渓人さん、オーラ出してんなぁ」とも思いつつも、一番感じたのが「(前回のサブテレニアンと比べて)アクティングエリアが広過ぎる!」という違和感。空間、持て余すんじゃないの?という不安を抱きながらの開演前でした。

でっ、いざ始まってみると…杞憂でした。
バームクーヘンのように何十・何百にも重なった円周の世界観を表現する演出に納得させられ、時空の異なる「場」であろう匣(はこ)の意味も理解?しました。
まぁ、ともかくも、笑いの絶えない不条理劇な70分、体験させてもらいました。

役者陣。
競演3チームのうち、最も個性的かな?と思った室田渓人さん&森かなみさん(サブテレニアンの公演では別作品に出演)のペア。
開演前から「ザ・昭和ッ!」な雰囲気を醸し出す室田さんのウケ。
そして、緩急自在な森かなみさんのツッコミ。
作品の趣旨からは明らかに外れた感想でしょうけど、昭和の名人による漫才を観ているような気分に浸れました。
予想以上に良い宵のひとときを過ごせたようです。

なお、演出の違いにもよるのでしょうけど、今回の公演、サブテレニアン公演での何気にセンチメンタルな情感が消え、よりシュールな感覚が前面に押し出されていたかなぁという印象も付記しておきますね。

【蛇足】
舞台を観ていて、「もしフジタタイセイさんが『つぎとまります』のような作風でその後も邁進していたら、劇作家協会新人戯曲賞ゲットしたかもなぁ」と考えさせられました。ただ、何かしらの受賞は願いつつも、個人的には近年の作品群の方にも心惹かれる訳でぇ…なかなか両立は難しいもんですね。
The Legend of Oni

The Legend of Oni

ミュージカルカンパニーOZmate

TACCS1179(東京都)

2019/01/12 (土) ~ 2019/01/13 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/01/13 (日)

13日マチネを拝見(105分)。

父子・兄妹の情、人種差別にも通じる社会の不条理等々をテーマにしたミュージカルは構成がわかりやすく、(外国公演を意識した?)和風ムード満載の振付も違和感なし。役者陣の真っ直ぐな熱演もあって、実に良い時間を過ごすことが出来た。

ただし、唯一残念だったのが、インカム。
劇中、たまにハウったり、特定の役者さんにおいて、ちょくちょく、せっかくの歌唱を拾えてなかったり…
下落合のTACCS1179ぐらいの空間ならば生声でも良かったのでは?

最後に配役を記しておく。
藤原長道(権勢をふるう者の理不尽な仕打ちが原因で愛妻を失い、以後、ひたすら関白への途を突き進む)
…陽田山ろこさん
時姫(長道の娘。権力の亡者となった父を忌み嫌い、心優しい兄を慕う)
…葵ひなたさん
伊吹丸(長道の長男。後の茨木童子。その赤い髪の毛のため、愛する父に疎まれ、ついには…)
…松本飛路さん
酒呑童子(大江山に住む鬼の棟梁。敬愛する父に裏切られた悲しみから茨木童子と化した伊吹丸、兄を慕って追ってきた時姫を快く迎い入れる)
…YANさん
星熊童子(身分の高い貴族だった父を姦計で失脚させた者たちへの恨みから鬼と化す)
…亜好さん
虎熊童子(生来の青い肌を疎まれ、赤子の頃、母親の手で大江山に捨てられたのを酒呑童子に拾われ、鬼と化す)
…木内叶恵さん
貴子(息子を関白に押し上げようとする、長道のライバル)
…樋口葉子さん
兼周(貴子の息子。彼自身には立身出世欲は無い)
…保井美南さん
精霊(人間界の恨みつらみの念が集まってヒトの形を成したもの。現世での仮の姿は安倍晴明)
…歌帆さん(本作での狂言回し役を担当)
アンサンブル…弥咲さん、mifukaさん、双葉さなえさん、ウンヨンさん

『アウトロー:マジカルガール』

『アウトロー:マジカルガール』

美貴ヲの劇

OFF OFFシアター(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/10 (木)

10日ソワレ(90分)を拝見。

【特記】
観劇の邪魔になるダウンジャケットなどを会場で預かって頂くクロークサービスあり。

ネタバレBOX

何度か美貴ヲの劇さんの公演を観ている身には、最早、いつものカフェで頼むランチセットみたいなお馴染みの味つけだが、美貴ヲの劇も太宰も魔法少女も白紙の方でも充分楽しめる90分だった。

役者陣。
サトモリサトルさん、三森あかねさんを初めとする、美貴ヲの劇の経験組の安定感が、今回の初参加組の演技を引き立てていたように映った。
それにしても林弦太さん、相変わらず、いい味出してるなぁ!
という訳で、最後に配役を記しておく。
森沢キララ(魔法少女を引き継いだ女子高生)…井上実莉さん
キララの母…久木田かな子さん
旧・魔法少女/竹内竹子/フリーアナ…板倉萌さん
「男」/太宰治、他…サトモリサトルさん(座長?!)
キララの初恋相手の高校生/悪い男の象徴、他…林弦太さん(どんな作品にもアジャスト!)
「男」の会社の先輩/太田静子…あべあゆみさん
バンドマンの「男」の追っかけ/田部あつみ…ひきのさつきさん
「男」の正式な恋人?/山崎富栄…三森あかねさん(影の座長?!)
マリア/処女/小山初枝…岩﨑舞さん
エンれぱ!Vol.6

エンれぱ!Vol.6

しむじゃっく

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2019/01/04 (金) ~ 2019/01/06 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/01/05 (土)

5日ソワレ(85分)を拝見。

ネタバレBOX

短編4本の「エンれぱ!」Vol.6。

最初の池西ばくさん作『瓦礫のモグラ』は、杉山純じさんと安藤陽佳さん(好演!)のトボけたやり取りから、(大袈裟かもしれないが)2人の登場人物の半生まで伝わってくる作品。
あと…不条理劇に対しての、観客である自分の読解力不足も正月そうそう実感してしまい…(苦笑)。

2番手の岸田國士作『ぶらんこ』は4年前、渋谷ギャラリーLE DECOで、キャリアのある役者陣の舞台として観たことのある作品。
でっ、今宵の篠崎健人さん・白野熊子さんのお二人、ひねたオッさんの目にはママごと夫婦のように映った…のにもかかわらず、この若い2人の方が作品の良さが伝わってきたのだから、演劇とは不思議なものである。それから、助演のタコ太郎さん好演!

3番手の『LiePhone4s』は、いかにもアガリスクの冨坂友さんらしい、セリフにセリフを畳み掛けていくような作品。
何処か聞き覚えのある声で、昨年夏の『涼風至る』に出ておられた方だと気づいた双葉さんの熱演と、セリフがあるときは勿論のこと、セリフが無いときのDEWさんの細かい演技が、個人的には印象に残った。
それにしても、外部公演を観て改めて実感したことだが、こんな芝居を過度にリキまず・(セリフのない場面で、安堵の)隙を見せないアガリスクエンターテイメントの座員さん達の力量は大したものだなぁと。

ラストの『ミートソース・グラヴィティ』は、2016年の9月、作者の小栗剛さんの所属団体・キコ/qui-co.の公演で拝見したことのある作品。
今宵は、新野寿光さんとタコ太郎さん、新野さんと安藤陽佳さんの掛け合いの妙を楽しませてもらった。個人的には、本作が一番の好みだった。

経験の浅い役者さんに場数を踏ませる…という「エンれぱ!」の趣旨を存じ上げているので、細かい点については敢えて触れない。でっ、最後に期待を込めての一言。
今回の「経験の浅い役者さん」が今後、どう化けていくのかが愉しみだなぁ!

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