まことの観てきた!クチコミ一覧

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GHOST SEED

GHOST SEED

カプセル兵団

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/26 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

冒険小説を実演で
そんな内容ですね。
ティーンズ文庫などで扱われるような直球感が良かったです。

はじめて観たカプセル兵団ですが、ト書きを口に出して見せる手法は、昔の子供のごっこ遊びを連想させて面白いですが、あまりにも多すぎて斬新さが削がれて、かえって鬱陶しさを感じる傾向も。

内容は冒頭に書いたように直球です。物語として楽しめると思いました。
特別、示唆・メッセージが込められている感はありません。
ただ素直に観るという作品です。

他の方も書いておられましたが「笑い」が寝られていないかな?
本来、芝居の笑いは筋のシテュエイションに沿った物であって欲しいですが、
無関係の一発ギャグのような物がこの劇団の常連さんには受けているのでしょう…。
作家がこの劇団以外で書くのなら、勿体ない寄り道でしょう。

ネタバレBOX

人形たちがあらかじめ「意識」を持っているという設定ですが、個人的にはそれが惜しいなと思いました。
冒険を通じて学習していく内容になっているのですから、彼等の目が人間たちの何を視たのかをもっと追究して欲しいと思いました。

うぶな心を持った者にしか「当たり前」とも思える気恥ずかしさが伴う感情を表に出せないのだと思いますから。
(子役や動物が心を打つ傾向にあるのと一緒。但し、動物は勝手なNaが彼らの心情を無理やり作っているだけですけど)

人形3人組の思いが人間たちに影響を与えていくという設定も有りだったなと思いました。
ばらの騎士

ばらの騎士

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2015/05/24 (日) ~ 2015/06/04 (木)公演終了

満足度★★★★

なかなか興味深い作品
「ばらの騎士」といえば、クライバー・ポネル版が圧倒的に有名でここに極まれるという感があるようだ。
今回の作品は勿論そんなカリスマ的な評判はないし、新国としても大がかりな宣伝は展開していない(少なくとも一般的な印象としては)

しかし、この「ばらの騎士」は演出の姿勢として非常に好感が持てる。
田舎者貴族が巻き起こすドタバタではなく、(演出家がインタビューで述べているように:パンフ参照)ウィーンの治世の曲がり角を捉えている。

テーマは「時」。
”恋愛””社会制度”の移ろいを軸に、見事に淡々とそれを浮き出させて見せている。
若者の移り気や
元帥夫人の毅然とした態度と、揺れ動く女心を見事に演出し切れていた。
これを社会の変遷に見立てやすいように易しく表現している。

今さらながら、オペラを”芸術””音楽”と思い込んでいる日本と、そこに込められたメッセージを読み取ることを求めている文化先進国とのギャップを感じる。

この作品は演劇好きにも十分に堪能するに値する作品だと思う。

ネタバレBOX

カーテンコールはいただけない。
あの人、誰???みたいな出演者まで単独のバウをさせる必要があるのか
甚だ疑問。
まさか新国立でさえチケット販売数を意識しての対応とは思いたくもないが。

国立…この言葉が意味する物は大きいはず。
国外のクリエイティブスタッフと演者で固めたプロダクションが国費を使って上演する。この事実が我が国の文化の育成になるとは思えない。
制作意思が表に現れていないし、自国のスター育成に役立つとも思えないし、グローバリゼーションをひどく安易にとらえているだけの施策に思えて仕方ない。
別にドメスティック賛歌をしようとは思わないが、国の施設であるという事が見てとれない。
現在の運営体制にどんな前向きな意思があるというのだろう???
沈みゆく日本にしか思えない。
殺人者J

殺人者J

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★

いい題材とは思うが…
前回の公演を観た時も思ったのだが…
ここんとこのトラッシュ作品は演劇的ではなくなってきた。

登場人物の個性を描くというより、その口から作家の警告が発せられることが重要だとでも言い切っているような、ちょっとした不自然なダレ場が展開される。

演劇的な展開がないので、必然、会話劇になってしまい、それが観る側を飽きさせる。今回も45分過ぎくらいからしばらくそんな時間帯になっていた。

せっかくの題材と切り口なのに、それが演劇的に未消化になっていると言わざるを得ない。
是非一考をされることを期待する。


傭兵ビジネスを展開するか否かが不倫の可否にすり替わる展開は醜悪だ。
きちんとそれ専用に扱ってほしいと思った。

安全 愛欲 金満 は同一線上にあるには違いないし、おおかたが一部の輩のご都合主義で善悪をコントロールされていることは同感には思うのだが…。

これまた前作でもあった、急激な経済論の展開も唐突すぎるきらいがある。
もっと丁寧に扱って欲しいと思う。

最近すこし”やばいな”と感じるのは私だけならいいのだが…。

独立愚連飯店

独立愚連飯店

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2017/04/19 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★

「殺す」と「生かす」の対比でしょうか。
物騒な感がある昨今、避けてはいけないテーマです。
コメディ路線でサラッと軽く見せてくれました。
ありがちな設定ですが、まずまずコメディとして成立しています。
ただ、扱っているテーマ故、もっと踏み込んで描くべきだとの感想も出るかと思います。
筆者もそういう物足りなさは感じました。

ネタバレBOX

生きる=食べる、調味料として恋愛や友情。これを否定される事柄が戦争(短絡ですが)もっと明確にそれが描かれても良かったかなとは思いました。
焼きそばのようなエピソードが手を変え品を変えもっと欲しかったです。

それと、兵士の髪型が床屋行きたてのようなカットだったのが気になりました。
東の方は、ぼさぼさかひとりがそうであったような坊主頭であるべきでしょうね。
その王国の夜は明けない

その王国の夜は明けない

シアターノーチラス

シアター711(東京都)

2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

良い題材だと思う
あなたの人生の目的はなんですか?

この題材は普遍性があるし、誰もが悩んで眠れぬ夜を過ごした経験があるのではないだろうか。

PCに向かってさえいれば、仕事をしていると思い込んでいるサラリーマン・OL。
参考書を開き問題集を解き、志望校に合格するためだけに勉強し続ける学生。

本来の目的は?それに即答できる人がどれだけいるのか?

少々ニヒルに問いかけるこの作品は貴重だと思う。

ネタバレBOX

少しだけ整理したほうがいいかもしれないと思った。
登場人物たちの設定は好感が持てたし、バリエーションにも無理がない。

でも、自分を語るトーンが一緒なのが残念。
その人特有の語り口があるはずだと思った。

例えば、ミュージシャンの彼なんかは、ちょっと人気が出てデビュー寸前のタイミングで調子に乗りすぎたって自戒をもっと語って欲しかった。
Bassが火を怖がったから…には何か無理無理感があるし、響かなかった。

OLの女性が一番解り易かったか。
教師の女性も何故生徒をそこまで追い込んだのかが不明瞭。

その辺りをもっと踏み込んで欲しかった。

整理した方がいいと思ったのは、ひとりひとりの吐露のパターンが似通っているのでくどい感じがしたから。
もっとバリエーションを見せて欲しかった。

最後、店長の独白が沁みた。
しかし、その後で女優が語りだすのは何だったのか?
勘違いのかたまりとしてクローズアップしたのか???それならもっとはっきり勘違いして欲しいか…。
そういえば、彼女のアジテートは下手だった。あれでは主役はとれないでしょと納得してしまう。
語り口の強さ、メリハリ、姿勢、狂気…もっと勉強してほしい。
長すぎる。魅せられないのに延々とやるのは飽きる。

もっと良くなる要素がたくさんある作品だと思う。
星灯り

星灯り

TEAM 6g

萬劇場(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★

気持ちいいお芝居ですね。
 最近稀な「お芝居」然とした作品でした。中島敦彦の初期の(良かった頃)と似たテイストとでも言ったら、<な~るほど>とイメージできる方がいるかも。
決して真似てるという意味ではありません。あくまでテイストの事です。
 とても良く書けている作品だと思います。身につまされる想いで観るかたも多いのではないでしょうか。
 心が清らかになる想いがする観劇後です。
 但し、幕開きの二人のシーンのやり取りの言葉の選び方、言語の使い方、演出の方向はどうも同意できません。
 観ている最中もどんどんその事が不満に思えました。
 敢えて<予定調和>的な展開をとっている事には共感を感じますが。
 以下は「ネタバレ」に書きます。

ネタバレBOX

チャラ語を話す人々で満ちているのは<損>だと思いました。
かえって、登場人物の年齢層・生活環境を単一化させてしまっています。
チャラ語は芸人夫婦(?)だけでいいのではないでしょうか?
大山(?)夫妻のプロローグ、妹(名前失念)まで何故チャラ語である必要があるのか理解できません。
人物描写の面で稚拙に映ります。
すぐにでも改善するべきでしょう。
違う環境にいる人々、いろんな夫婦の成り立ちの上での<夫婦の心の結びつき>がテーマでしょうから、言葉と性格を幅広く展開するのは必須です。
とても勿体ない。

後は、照明のサスが甘いです。サス抜きするなら、もっと頑張ってサス明かりを誇張するべきです。劇場構造上の問題は解りますが、シビアであって欲しいです。(ハレーションを極力排除するべきです)

これからも心に焦点を当てた「お芝居」を作り続けてください!!!!!
ヴィンセント・ ヴァン・ゴッホ

ヴィンセント・ ヴァン・ゴッホ

キューブ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2016/09/07 (水) ~ 2016/09/24 (土)公演終了

満足度★★★★

超・力演!
プレヴュー拝見しました。

ゴッホというと精神を病んだと簡単に答えがちですが、精神を病むというより
精神を壊すに至る壮絶さを表現した本作はとてもヘビーです。

楽曲もとてもヘビーです。

昨今はやりの毒にも薬にもならないエンタメ・ミュージカルのファンにはお勧めできませんが、
真摯にゴッホの”狂気”を表現した本作は画期的です。

ゴッホの作品群を上手く投影した美術は一見の価値ありです。

とにかく橋本さんの力演が凄まじかったです。

チャイルドボイス

チャイルドボイス

『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』

シアターサンモール(東京都)

2015/07/15 (水) ~ 2015/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

幼児たちの叫び
この題材は昨今の子供虐待が目に余る世の中において重要なものだと思います。
大人の身勝手を理解できない子供たちにとって、自分たちの”生”を担い守ってくれる親や身近な大人は絶対必要なのです。
よく書けているし、演じ手達も芸達者で良い舞台でした。

多くの人たちが言っている通り、上演時間の長さは少々気になります。
本来、舞台ってものは生き物なので長いことが非難される昨今の風潮はどうかとも思いますが…。

個人的な意見ですが、感情を踊りに託しているシーンが多いために長引いているという感が見受けられます。
皆さん頑張って踊ってられますが、少しづつ長いのかなと思います。
粗が目立つ前に上手く打ち切るべきだと思いました。
頑張ってるんだけど、さりとて決して巧いと感嘆するには至らないというダンスシーンだと思います。…ごめんなさい。
普通、感情表現を踊りに託す場合は、台本で数ページ必要なややこしいやり取りを身体表現で感性で理解してもらうという時に用いるべきで、今回の作品では、ひとことのセリフを2分近いダンスで表現している為、必然的に上演時間が長くなってしまいます。ご検証ください。

とはいえ、本作品はとてもタイムリーだし、社会性もあるし、笑いのエッセンスも巧く散りばめられていて好感がもてました。

是非観て欲しい作品です。

サバイブ!

サバイブ!

自転車キンクリーツカンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/09/13 (土) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★

身近な問題を提起した作品
先ずは、非常にディフォルメされた登場人物たちです。
ディフォルメされることによって、とても解りやすくなっていますし、それでも<いるいるこんな人>と思えます。

「依存」というのは人間特有の悪癖なのでしょう。改めて思い知らされます。

「情」と「依存」は混在して我々に巣食っているという警告でしょうか。
自分の心の中を客観的に観察する必要がありそうです。

「生きる」という意義を日常の<ある・ある>から問いかけた良作ですね。

巨人伝説

巨人伝説

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2014/11/06 (木) ~ 2014/11/16 (日)公演終了

満足度★★★★

荒廃か、それとも現実主義か
 ダイダラボッチの存在とは?これに尽きるかなと思います。

 作りとしては、オーソドックな演劇ですが、早替わり(?)の黒身を工夫した抽象で埋めたという感じです。後付け感がやや不快要素かも知れません。

 「戦争」(敗戦気配も感じていたはず)の最中の人間が、自身のその後の身の行く先を利己的に求める姿は、世相の荒廃と断じる事は容易いですが、「生きる」という本能に従うとしたなら、それは別問題なのかも知れません。
 相存在する「観念」と「本能」を「善」と「悪」と断じきれるのか?矛盾に満ちた人間の「生」を見つめた作品だと思います。

 川口さん、中野さんの役者魂は若い世代の表現者のまさに手本となる演技でした。

 老齢の観客層が多く、いびきが聞こえたりしていましたが、是非若い世代が観るべき内容だと思います。
 

ネタバレBOX

 ダイダラボッチとは生きる営みを高所から客観視するためのツールなのでしょうか??そんな気がします。
 と、すれば、作者はここでうごめく人物たちを否定的にのみ捉えたのでは無いと思いました。
 醜い姿がバイタリティーという好意の横文字に置き換えられた戦後民主主義の姿を危惧しているのか。
 それにどっぷりと浸かって、ある程度良い想いをした老年層は今さらそれを悔いる事はしないのでは?
 だから、これから人生を進める世代が観る必要があるのだと思います。
ビーイング・アライブ

ビーイング・アライブ

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/12/11 (金) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★

”老い”の真実
説明の文章とは違った作品だった。

むしろ”老い”に関しては非常にリアルに描かれていたように思う。

欠陥マンションの傾きがそのまま心の傾きを表しているのだろう。
(演者は大変だ!あんな角度の八百屋は観たことが無い。腿がパンパンではないのだろうか…)

生きていれば誰もが避けられない”老い”
社会との繋がりが無くなるこの厭世的な描写は心底”老い”を憂鬱に感じさせる。

生きることはとてもタフなのだと改めて突き付けられた。

ネタバレBOX

コード(=繋がり)、 手繰り寄せて空いた穴
からカメラ(生きている証)、写真(生きていた証)が見つかるという仕掛けはいい仕掛けだと観終わった後でしみじみと思った。

原宏一という(好きな)作家のタッチに似た話しだと思った。
彼も”穴”や”床下”を題材にシュールな悲喜劇を描いている。

もっと”穴”の使い方に工夫があったらより面白かったのかなと思う。
階上、階下との会話だけより過去や現在の違う選択肢のような違った状況が現れるとか…
しかしそうするとある程度のリアルな設定がぶち壊しか~…

そんな事を考えてしまうのも、この作品に魅せられたからなのだろう。


猥り現(みだりうつつ)

猥り現(みだりうつつ)

TRASHMASTERS

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/02/18 (木) ~ 2016/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

詰め込み過ぎましたか???
観終わって2日経ちました。
今思い起こすと、最後の台詞が一番の真実ですね。アリストパネスのテーマでしょうか。
宗教を分析するのかと思いきや、経済の裏側、性的マイノリティ、テロの実態、識者という者のいいかげんさ…etc.
とにかく話題が飛躍し、膨らみます。
個人的には、どれかに腰を据えて語りつくして欲しかったかなと思いました。
勿論、扱われている事が互いにリンクし絡み合った事象であることは充分に理解できますが、広範囲になってしまったために、フィクションもスパイスにして掘り下げるという演劇本来の(この劇団の良さは正にここにあると思うのですが…)姿からは逸脱気味かなという印象を受けました。

 それにしても、やはりトラッシュは良いですし、是非多くの方々が観て・考えて、自らの意見を持つ事がこの作品のメッセージかな?と思います。

ネタバレBOX

自衛隊=人殺しの集団 のような安易な結論は不自然に思いました。
トラッシュ・マスターズであればこそ、安保に翻弄される自衛隊の存在を丁寧に扱って欲しかったです。
米国と日本の政治の暗躍
保障制度の金銭的な困窮や対アジア政策の価値観の相違とか、そんな事を含めて、これはこれで一作品を要する課題でしょうから、余計に安易な片付け方に違和感を感じました。

原始キリスト教のテロ推奨も触れられてはいませんでしたが、破壊の原理がもたらす物は何なのでしょう?そこを某国が経済再生に悪用するという図式はチョムスキー以後多く語られている事ですが、そこもやはりあっさり系の処理でした。

「女は命を育む存在」という叫びこそ最も説得力がある台詞でした。
ならば、そこに至るまでの語り口は少し脱線しすぎかなと思いました。

重要な事柄がてんこ盛りだったので、やや消化不良気味でしたか…。

いずれにしても、この類の問題提起はこの劇団の独壇場です。
次回にも期待しています。
銀幕心中

銀幕心中

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

良くできていると思いました。
スラップスティックコメディとありましたが、決してスラップスティックではないと思います。(いい意味で)
テーマを表現するという姿勢にブレが無いし、ドタバタ喜劇のような本末転倒(わざとやるというのがドタバタの本質ですが…)が皆無です。
人生の替り目、正直な生き様への賛歌は十分に伝わりました。
早い台詞回しも不快感はなく受け止められました。

難を云えば…小劇場ではなく、もう少し大きな空間(300~400)位のとこでやられたらもっと作品の良さが伝わるのに…と思います。

脚本の練り方にも同様の事が言えます。

なんとか大きな空間に挑戦して欲しいと思います。

ネタバレBOX

がなりが多い関係からか、主演者(脚本家役)の声が割れて聴こえました。
もっとも元々の声質がハスキーなのでしょうが、聴こえ方に少々不快さを感じました。
大きなお世話でしょうが
がなるというスタンスから脱して、緊迫感を伝えられる発声・台詞回しを取得されることを期待します。
テクニックの問題なので、決して困難ではないです。
最後に歩く道

最後に歩く道

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2015/11/01 (日) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★

人間のだらしなさ、責任感のなさ
ペットを捨ててしまうという行動の裏に道徳観に乏しくなってしまった日本の社会を反映している。
最後の台詞にはぐっと迫るものがあった。

セミ・ドキュメンタリーを思わせる作りで、演劇を観ているのか、ドキュメンタリーを観ているのか??
これは真摯な作りが成せる技か…。

自分勝手だけでは済まされない今の日本人の醜悪さを見事に批判している。
言い訳を盾にして何でもしてしまう我々。
命さえこんな扱いをしている人間が、物言わぬ資源や緑に無頓着なのはある意味当たり前の事なのだろう。

躾や道徳などは言うに及ばない。

重い雰囲気の演目だが、いろんな問題に照らし合わせて思わせてくれる良品である。

必要とされている、と思う病気

必要とされている、と思う病気

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2015/02/14 (土) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

心当りがある内容
 誰かに必要とされたい

これは生きていく上で誰にでもある欲求(?)。そんなの無いという人は粋がって斜に構えているだけか、心が欠如してしまった人だろう。

必要とされたいから多少なりとも頑張ってという意識を鼓舞しつつ生活している訳だから。

病院内という設定、<死に至ることは稀>という病気、これが自然とエゴを描きやすくしている。
淡々と進む時間の中で、しかし共感できる、そして発見できる事は多い。
人物設定も秀逸。
大部分の観客が、誰かに感情移入できる筈。

唯一気になったのは、淡々過ぎるかなという進行速度(演劇的な速度であり、時間のことではありません)
母親がいい意味でかき回してくれるが、演技部各々に更なる工夫が必要か?
よりリアルな人物像に昇華させるためにも流す台詞と、拘る台詞の内なる区別を期待したい。

新宿・夏の渦

新宿・夏の渦

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/06/17 (水) ~ 2015/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

異形なるもの…
 前回(金色の翼に乗りて)から一変、喜劇要素も含まれた作品。

 さて、我々はとにかくも生きている。
社会というコミュニティの中で、あくせくと生きている。
 生きていくというのは、時として感情を内に仕舞い込んでいく事でもある。
 何故か?
社会というコミュニティで生きて行く為には、やり過ごさなければならない事も多々あるからだ。
”正義”を訴え”正誤”を照らし合わせてみても、それは軋轢を生み、コミュニティから排斥される題材になってしまう事が往々にしてある。
肯かれる方も多いだろう。

 この作品は二丁目のオカマのごく限られたコミュニティが題材となっている。
しかし、”性”の問題ではない。
 一般的なそれからは逸脱した者たちが織りなすドラマである。

 “普通”という概念は何を取り立てて、何をお座成りにしているのか?
この作品はそれを問いかけている。

 異形なるもの(=オカマ達)は、それを自覚しながらもある種アウトロウとしての立場から“普通”を自負する人々が自らが属するコミュニティに留まろうとする悪足掻きに物差しを当てる。
 その物差しは決して異形なるコミュニティ独特の物ではない。

 異形を毛嫌いし、蔑んで見る“普通”の中にいる我々のコミュニティの中で
最も異形なるもの…、それは当り前の“正義”と当り前の”正誤”であるとこの作品は訴える。

 そういえば、最初苦笑いと共に観ていた彼等が最後には輝いて観えたのもその中にある“当り前”を押し貫いてみせるすがすがしさがそうさせたのかと気づく。 

ネタバレBOX

冒頭の進行速度は著しく遅い。これは狙いなのか?
もう少し整理されても良いのではないかと思う。

SHOWシーン(歌唱)はいただけなかった。
オカマのSHOWには「見せてあげる」「魅せてあげる」という重要な要素があり、今回の演者にはそれが欠けている。
ただただオカマに扮して歌を歌い上げますというだけならば冒頭の客いじりの方がまだ転換時間を稼ぐのに許せるかも知れないと思った。

気になったのは、遅れてくる客の多さ。
事情もあろうが、随分と遅れてきて芝居に見入っている客を邪魔して席に附くのはどうなのだろう。
最後列を当てるとかの主催者側の対応が欲しい。
特に今回は客が素に戻ったら付いていけなくなる不安があるし。
ご検討願いたい。
Infinity

Infinity

ハグハグ共和国

萬劇場(東京都)

2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

とにかく性善説
内容が…とかテーマが…、演技が…
そんなこと以前に
とにかく”性善説”を貫いた作品。
その姿勢に対して、良い悪い関係なく脱帽。

大切なことに気づかされました。

新「復活」

新「復活」

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★

抱月と須磨子???
『復活』を観たというなら、素晴らしかったと思います。

但し、抱月と須磨子の物語が、ネフリュードフとカチューシャの物語と対比されて語られているという趣旨だとすると、抱月・須磨子の物語が描き切れていなかったように思います。
Naでの進行は演出的にスムーズですが、それだけに省略された感がありました。

二組の自己欺瞞や贖罪意識の対比がもっと観たかったです。

『忠臣蔵』と『四谷怪談』のような。

そんな大作に昇華することを期待します。

上演時間が長くなっても興味が勝つと思うのですが。

俺と世界は同じ場所にある

俺と世界は同じ場所にある

アミューズ

シアター711(東京都)

2015/12/15 (火) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★

Jast fit
J系の男子ふたり、B系の2.5枚目男子ひとり そして劇団系男子ひとり

青春そのものを描いていた。

そこには出来事による深遠な悩みは無い。というより、そちらへの方向を敢えてシャットアウトしていたように思う。

すごくシンプルな表現で青春の日を描いていた。

終わった後、9割以上を占める女子たちが、ひどく引き込まれていた。
口々に「おもしろかったー!」と食いついていた。

今、女子をひきつけるエッセンスはこの路線なのだろう。

2.5次元云々のコミックの劇版とこの作品がはっきり一線を画しているのは
これがオリジナルの作品であるということだ。ここが大きい。
コミックの実演を期待するのではなく、この4人を観る観客にこれ以降与えられる題材は多岐にわたる可能性がある。

その意味で、本作の制作者に応援を送りたいし、この先、観客へ良い物を与えて行って欲しい。

黄色い歓声は演劇には必要ないのだから。

泥花

泥花

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/11/05 (木) ~ 2015/11/12 (木)公演終了

満足度★★★★

生きるという事
偉人でもなく、中流の何不自由なく安穏と人生を流れていく事も出来ず、必死にならないと生きていけない人々。
必死になっても、なおかつまだ苦労を強いられる人々。
「生きる」ということを強烈に再認識させられる作品であった。

しかし、何故だか皆明るく感じる。必死さ故か?個人的には、もっと暗い部分が普通の感覚でベースに流れていても良いかなとは感じた。
やけくその宴会の無理な弾け方が強調されたら、この物語に更なる深みをもたらした筈だと思う。事実、救われない人々なのだから(作者もそういう筆致で物語っていると思う)

「おばけの太陽」からの繋がりは終盤見事だった。
しかし、ハジメの性格の変遷の道筋は示されなかった。少年期のハジメは妙に明るい。その明るさが素直な彼の素性をよく醸し出しているのだが、青年・ハジメと結びつかない。不満が残る。

作品としては、非常に真摯に、一所懸命創りこまれたとても良質な物語であり、愛すべきお芝居である!!!

次作にも非常に期待している。(この連作はどれも初観劇なので)

よろしく!桟敷童子の皆様!!!

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