きやまの観てきた!クチコミ一覧

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メル・リルルの花火

メル・リルルの花火

おぼんろ

新宿FACE(東京都)

2020/04/17 (金) ~ 2020/04/26 (日)公演終了

 「観たor観てない」を問われたら、一応「観てきた」の方になるので、何か感想書かなきゃ~~~でもな~~~と、思い悩んでいるうちに、見逃し配信が始まりました。
 なので、「観て下さい」と、言いたいです。7月いっぱい、Youtube上で誰でも無料で観ることが出来ます。 さしずめ劇場の扉が全開で、「寄ってらっしゃい観てらっしゃい」と呼びこみされてる様なものですから。
 
 ああでも、作品を観ようかどうしようか、迷ってる人がもしもココを覗いてる(今頃おるんかのぅ・・・)のだとしたら、何かしらお勧めを書いた方がいいのでしょうか。 新手のフィッシング詐欺でもネズミ講でもないですよ、とか・・・。 冗談はさておき、僭越ですが第三者の立場からざっくり案内っぽい事だけ書かせて頂きます。

 第1回から第14回まで、連続した1時間程度のコンテンツが配信されています。どの回でも、どの順番でもOKです。おぼんろさんのHPからYoutubeに飛べます。
 各話の構成は大体こんな感じです。

① 待ち受け画面
② オープニング映像(メインキャスト囚人服Ver.)
③ 語り部達の物語と末原さんの前口上・導入部(音声のみ)
④ 「メルリルルの花火」本編(ほぼ音声のみ)
⑤ 「ペズロウの幽霊たち」(パフォーミングアクターの演技映像)
⑥ メイキング映像(これまでの経緯等)
⑦ 語り部達の物語(音声のみ)
⑧ エンディング映像(メインキャスト白Ver.)
⑨ テーマソング「花は盛りて夢叶う」(Vol.7~)
⑩ 次回予告画面

 回によって順序が変わったり飛んでたりするものもありますが、バラエティに富んでます。 ①と⑩は静止画像なので終始見てなくてもいいですが、基本的に要らない部分はありません。④と⑤は総集編コンテンツ(無料)もあります。

 観終えた後、「面白かったから、観劇料を払いたい」と思った参加者だけ、“ 投げ銭 ”のページに飛んで下さい。観劇料金は百円玉・千円札・五千円札・一万円札の4種類(「500円かな」と思ったら百円を5回カートに入れるのかな?やった事ないけど)。 回ごとに額面を変えても、一つに纏めても構いませんが、形式的にはチケットの画像を購入する(紙チケットが送られてくる訳ではない)というショップなので、了解下さい。 私はというと銀行振込の手数料をケチって全公演を一度に投げ入れました。 無論、「お金なんて払えない」と思ったらスルーしちゃっていいのです。

 ただ、投げ銭は今回の製作費だけでなく、次回の製作費用にもなります。
 今回、こういうカタチになりましたが、本当は、メインヴィジュアルの映像に見られるキャラクターの物語が繰りひろげる“ おぼんろワールド ”が観られるハズだったのです。(マルチアングル仕様の白Ver.で想像した私。でも貧しい村の状況を考えると、囚人服Ver.の汚しメイクの方が近いのだろうな・・・) 「メルリルルの花火」の物語を、完全な形で劇場でやって欲しいと思ったら、百円玉の一枚でも投げ入れて下されば―――実現する支援に繋がると思うのです、きっと。




ネタバレBOX

 通常の舞台公演→無観客ライブ配信→画像無リモート演劇+編集映像、という変遷を辿ったこの作品、企画と共に内容もどんどん変わっていったのだと思います。 意見の食い違いや対立もあったと思うし、デザインやストーリィもその都度変更を余儀なくされているのでしょう。
 だから、「不完全な本公演」とは思いたくないです。 ぎりぎりな今の状況に、立ち向かって踏ん張って、ようやく成し得た公演。 音声のみのリモート配信を逆手に取って、「クルパジムン=語り部達の冒険譚」と「ペズロウ村の物語」がリンクしていく二重構成(衣裳やメイクを変える必要もなく、一人何役も演れる!)。 「コロナ世界の今」でしか生まれなかった作品。それには、本当に拍手を贈りたいと思っています。
 それに、話の随所に末原さんの「現実世界への怒り」みたいなワードが散りばめられてる。その上での、「笑っちゃおう、踊っちゃおう」という大団円!
 最初は、ちょっとヤケクソなんじゃないの?と首を傾げてしまいましたが、これは恐らく、参加者に対する「プレゼント」なのだろうと思い直しました。こんなドン底な世の中で、更に人がいっぱい死ぬのなんて、観たくないですものね。 主要キャラはハッピーだけど、周囲の状況は依然として絶望的なのは・・・まぁいつもの事ですが・・・。
Never Ending Delusion

Never Ending Delusion

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷市芸文館 ホール(岡山県)

2019/12/21 (土) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

 「マジのエンタメ」「演劇&ダンス」というキャッチフレーズ。ホールという大舞台。 いつもながら、攻めてくるなぁ、さんたばっぐ。
 
  個人的には、3時間はちょ~っと長いんじゃないか、と思ったのですが、確かに、俳優の個性が如何なく発揮された多彩なキャラクター達は最後まで物語を飽きさせなかった。何より、見終えた観客が皆、楽しそうにしていたもの。

 「輝き丸」の時に大きなネックだった、“ 音楽の迫力を増そうとすると演劇の台詞が聞こえなくなる ”という問題は 台詞毎のこまめなボリューム調整で見事にクリアしていた。音響さん、凄かったです。お疲れさまでした。

  色々、ツッコみたい所は多々あれど、「楽しい=エンタメ」ならば、公演は大成功と言えると思う。チケット販売から、案内や警備の人員配置、全てトラブルなくスムーズだったもの。
 次回も頑張って下さい。

・・・下書きをして、投稿するのをうっかり忘れてました。年をまたぐ前に思い出せて良かったです。

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

DULL-COLORED POP

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2019/08/31 (土) ~ 2019/09/02 (月)公演終了

鑑賞日2019/09/02 (月) 10:00

 1961年・1986年・2011年という、25年スパンで半世紀に及ぶ、「原子力発電所」と、福島のとある一家の歴史。
 これが、TVのドキュメンタリーとかだったら、多分チャンネル変えている。 顰蹙を承知で言うと、「対岸の火事」として目を背けて来た身には、重すぎる。
 虚構、と言い聞かせているから客観視できるのだ。

 その「ドラマ」は造られたものかもしれないが、実在の人物がモデルとなっているキャラクターによって紡がれる。 語られるのは、実際に誰かの口から語られた言葉たちだ。
 それらが、舞台上の生の俳優によって、再生される。 発せられた感情は、空気を振動させて、観客席まで伝わってくる。 台本に書かれた文字群が、一期一会の瞬間に変わる。
 だって演劇、だから。

 原子力発電所というモノが、何故福島に出来たか、どうして存続しているのか、ちょっとだけ理解出来た気がしました。
 原発についてあまり考えた事のない、よく知らない、という私の様な者にこそ、観て欲しい、観るべき作品だと思います。 ダルカラさんでの再演は当分無いそうですが、戯曲が書籍化される予定なので、観たかったけど行けなかった、興味はある、という方はご一読をお勧めします。 要望があれば上演許可は下りるそうなので、「演りたい!」と思ったらこの作品を広めていくのもアリかもしれません。

ネタバレBOX

 歳をとると「諦める」ことが多くなります。 反対票に一票を投じながらも「どーせ、なんも変わらんし」と、ジャコウネズミさんになって諦める。 己の手に余る“ 力 ”を振るい、決して手放そうとしない人類なんて、この星もろともほ~ろほ~ろ滅びれば~?と、超上から目線で諦める。
 この福島三部作も、当初は観劇を諦めてました。 でも、幸運(18切符が使えるじゃん!)に幸運(楽日はコンパクトなスケジュール!)が重なって(一年に一度くらい夕メシに休暇を貰っても・・・)なんとか行けることになりました。
 ・・・諦めなくて良かった~~~。 この三部作を今年観れたことこそが、一番の幸運じゃが。 そう思える作品でした。

 人間は、生きて死ぬ。 笑い、泣き、喜び、怒り、悲しむ。 未来を夢見、過去を忘れ、時に嘘を吐き、時に道を間違う。
 世界征服を目論む悪魔は出てこないし、正義の変身ヒーローも出てこない。
 谷さんの作るお話はとても優しい。
 そしてつくづく思う。「この人は人間という種を、諦めてはいない」


追記:
 観劇翌日、「チェルノブイリが観光地化」なんてネットニュースが。 第一部の台本の、削除された台詞が、不気味な現実味を帯びてくる。
 42年後、福島はどうなっているのか、私には解らない。 第2の原爆ドームを、人々が見上げているのだろうか。 その時、原発そのものが“ 過去の遺物 ”だとしたら、それはそれで・・・・。
EXisT

EXisT

EN劇集団さんたばっぐ

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2019/07/13 (土) ~ 2019/07/14 (日)公演終了

鑑賞日2019/07/14 (日) 11:00

 ストーリィがシンプルで解り易く、すんなり頭に入ってきたので、悩むことなく楽しめました。 狂言回しに“ 三田直人 ”を持って来て、シャッター毎に解説してくれたのが良かったです。 お蔭さまで状況を整理しながら観ることが出来ました。
 上演時間も当初80分の予定(予定を25分オーバーの105分・・・まぁ、前回で慣れたけど。)だったから、中編―――軽めの内容だったせいもあるのでしょう。
 私個人としては、このくらいのボリュームが好みです。 物足りない方々もおられるかもしれませんが。

ネタバレBOX

「二人のうち一人しか生かすことが出来ない」というと、成程それは「究極の選択」と言えるかもしれません。
 ただ、観ていて感じたのは、「真子の自我意識がパラレルワールドを行き来しているに過ぎないのでは?」ということ。
 だってどっちの世界も恙無く進んでいるから。
 真子だけが、過去に縛られて動いていないだけだから。

 真子の「選択」をわざと曖昧にしたのは、多分、観客に「選択の重さ」を感じて欲しいからなんだろうな。
 それも解る。
 
 でも、本心をぶっちゃけちゃうと、真子には早希との世界を選んで欲しかったな。
 早希もまた過去に縛られた現在を生きているから。
 この呪縛を打ち破ることこそが、二つの世界を見比べた後の、真子の自我意識にしか出来ない事じゃないかと思うから。
 綺麗事かもしれないけど、そういう一歩が好きだな。

 あと一つのラストの可能性。
 これはかつてさんたの「忘れ物」を観た者の発想。
 ラスト、真子はまるで幽霊の様に三田の前から去っていった。
 三田の心に「選択の重さ」だけを残して。
 ここでもうワンシーン。
 去り際に「今日の記念にこれで私を撮って頂けます?」と言って、古いインスタントカメラを差し出す。
 フィルム残数は“ 1 ”。
 三田くん、シャッター押せる???
熱海殺人事件~モンテカルロ・イリュージョン~

熱海殺人事件~モンテカルロ・イリュージョン~

劇団SOFT GEAR

シアターひびき (岡山県)

2019/06/22 (土) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

 とにかく、これを上演して下さって有難う、と最初に言いたいです。

 つかさんの「熱海殺人事件」には様々なバージョンがあるのですが、私が観たのは基本的に(その都度脚色されて枝葉末節が変わってたりするので)2バージョン位です。 この「モンテカルロ・イリュージョン」は噂には聞いていたけれど、観劇する事能わず、今に至っておりました。
 ですから、この作品を観れた事自体、奇跡の様で感謝しかありません。 流石ソフトギア、私のツボを心得ていらっしゃる。ホント、有難うございました。

 でもまぁ・・・手強かったですね。 “ ま、基本のところは「熱海」だから・・・ ”と、のほほんと構えてたら・・・え?殺人事件がひい~ふう~みっ・・・つ?
 展開は特有のハイペース&フェイク&ぶっ飛び。 いやソレ無理だろう?というツッコミは無意味。 私の拙い左脳は情報処理・・・しきれなかった。 結局幾つもの“ ? ”を残して終わってしまいました。
 ま、「熱海」だから・・・あんまし深く悩むの止めよう・・・。

ネタバレBOX

 以下は、あくまできやまの個人的な考えです。 失礼な点があれば苦笑いして許して下さい。

 最初、「熱海」を演るって聞いた時、「え?こんなメジャーで、岡山でもいろんなトコが上演してる脚本を?」と、正直首を傾げました。 もっとマイナーでコアな作品を紹介してくるだろうと勘ぐってたから。 それに、2002年に脳みそ50ccが上演した「熱海殺人事件」での、赤木さんの木村伝兵衛とロドリゲスさんの大山金太郎が強烈に記憶に残っているから、再演に近いものになるんじゃないか・・・と。

 観てみてナットク、これは2019年、現在の「ソフトギア」にしか演れない「熱海」なのだ。
 様々なバージョンは有れど、熱海のキャラクターは「パターン」が決まっている。 言わばRPGの役割の様に。 部長刑事は俺様キャラ、新人刑事はちょいヒネ熱血、水野さんは山口アイ子と二役で何でもアリのヒロイン、大山金太郎はお笑いを装った悪役・・・。
 だけど彼等は演じる俳優によって観客が受ける印象が全然変わってしまう。 当たり前といえば当たり前の事だけど、役者一人一人の個性が色濃く光るソフトギアだからこそ、面白いキャラクター達に仕上がっている。 客演さんも含めて、あぁ~ソフトギアだぁ・・・。

 ベタな言い方ですが、「熱海」は“ 怒り ”と“ 愛 ”で出来上がっているお話だと思うのです。
 二つは表裏一体というか、ねじけて入れ替わったり、ずーっと繋がっていってたり。 そうして起こったのが、三つの殺人事件(いや、正確には・・・かな)。 解き明かしていくにつれ、無茶振りとも思える動機も展開も、実はとても哀しくやりきれないものだったりするのです。

 それが最も強烈だったのが、木村伝兵衛役の小橋ミミさん。
 阿部寛が演じて話題になったバイセクシャルの部長刑事役。 ダンサーのしての筋肉と動きを身につけたミミさんが、「美しい」という台詞を恥ずかしげもなく受け止めるに、最も相応しいキャスティングでしょうね。
 ただ、ミミさんは阿部寛ではありません。 当たり前ですが。 だから、小橋伝兵衛には毒気も狂気も希薄。 だけど、ラストシーンでの独白で真実を吐露しつつも、冤罪を受け入れて愛に殉じようとする、哀しいまでの純粋さに胸を締め付けられる。 この人はずっとずっと、この悲しみを孕み続けてきたのだ、と。 そして今なお、失った恋人を想い続けているのだと。
 彼が越えたかった棒高跳びのバーの高さは「ベルリンの壁」の高さとも言われていたけれど、それは「あらゆる障壁」を暗喩しているのだろう。 男性と女性、LGBTと健常者、狂人と正常者、犯罪者と無実者―――物語の最後速水の語りで、彼は「壁」を越えて自由に解放された。 ただそれがこの世とあの世の壁さえも超えた結果なのだとしたら、やはりチト悲しい・・・。
 ついでに、欲を言えばチャイナドレスも見たかったな~~~。 まぁでも、あのシースルーシャツは犯罪!だったから許す(フフ腐・・・)。
末原康志×末原拓馬

末原康志×末原拓馬

ルネス空間創造委員会

ルネスホール(岡山県)

2018/11/22 (木) ~ 2018/11/22 (木)公演終了

鑑賞日2018/11/22 (木) 19:00

座席1階

価格3,000円

・・・やっぱりウル○ラマンは出てきませんでした。ABCも。

 冬(その前日あたりから、一気に寒くなって季節が進んだのでした)の、暖かい物語の一夜。 桟敷席を子供達が埋め尽くして、昔々の紙芝居屋さんみたいでした。そういえば紙芝居屋さんも、ナレーションと登場キャラの台詞全てを、たった一人で読み上げるのですから、ひとり芝居に似てますよね。 末原さんの声色バリエーションを久々に楽しませて頂きました。

 パパさんの迫力ある伴奏も良かったです。 生の楽器の音が空間を響かせるのは、その場に居る人間にしか味わえない感触。音楽と物語の“ 共演 ”、おもしろかったです。

 お忙しい中、わざわざ岡山で公演して下さって有難うございます。
 また、暖かくなったら来て下さいね。“ おぼんろ ”としても、大歓迎です。

 

ネタバレBOX

 ラストについては、「え? どゆこと???」と首を傾げた向きもおられると思います。 これはもう、観客ひとりひとりで、解釈が別れるとゆーか・・・想像力が試されているとゆ~か・・・。
 
 昔話や伝承には、こんな終わり方のものもありますよね。「いやそれってどーなったん?」とツッコミ入れたくなる様な・・・。 
 でもこれは物語の一節なのかもしれません。「ゴベリントン」みたいに、後々の世で新しい物語の種になるのかもしれません。 もしかしたら、成長途中のサナギなのかもしれません。

 だから、この物語を、心の中に留めておこうと思うのです。 
 
アンタレスへのラブレター

アンタレスへのラブレター

EN劇集団さんたばっぐ

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2018/08/25 (土) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

 さんたばっぐの公演はとにかくチャレンジの連続。どんどん新しいアイデアを生み出し、実際に試してみる。予約特典オリジナルグッズ、託児サービス、全席指定、等々・・・最早お馴染みとなっているが、最初のチャレンジが無ければ実現しなかった筈だ。
 今回はミステリー仕立て、という事で、劇中に出てくる暗号解読を事前にチャレンジ出来る(答え合わせは劇中で、という訳だ)特典付の“ 体感シート ”が企画されていた。ミステリーファンには嬉しいサービスに違いない。(ちなみに推理小説に疎い私にはサッパリ解けなかった。)
 謎解きの伏線も随所に散りばめられていて、話の流れも矛盾なく組み立てられている。退屈することもなく最後まで観ることが出来た。

 どこがどう悪いって訳じゃないんです・・・が・・・。
 チラシで120分とされていた上演時間が、150分にまで膨らんだ事だけは、ちょ~~~っと、いただけなかった。
 いや、これでも頑張って縮めた、纏めた、というのも聞いてます。もっともっと色んな小ネタや新企画をやりたかった、というのも察せられます。直前にツイッター等で上演時間の変更の告知をしていたから、知ってました。まぁ・・・荒井さんだから・・・・皆覚悟はしてたと思うけど。
 上演時間があらかじめ判ってるというのは、公共交通で移動する人間にとっては、予定が立てやすくて有り難いのですが、それが狂うとなると、反って困ります。
 せめて・・・15分オーバー位にして欲しかったです。そしたら“ 約 ”120分、と言えた・・・かも。

 オリジナルの脚本で勝負するという姿勢自体は頼もしい限りなので、いまひとつの研さんを期待しています。
 次回作では・・・!

ネタバレBOX

 昔々、或る所に一人の同人漫画描きが居りました。
 「・・・何で、こんな下手クソな漫画を描いてるのかって?
  だって、あたしの読みたいSTORYを、だあれも描いてくれないんだもの。
  自分で描くしかないじゃない!!!」
―――そうして彼女は自らの睡眠時間を削り、網膜剥離という病と闘いながら、
漫画を描き続けましたとさ。
めでたしめでたし。

 ・・・・んで、星野幸一さんは、何がしたくて小説家になったの?
 いや、百歩譲って、デビューはしたものの「まったく何も浮かばない」から美月さんと「合作」したと言うのなら、何で最初から“ 共著 ”にしなかったのかな・・・。この芝居で、一番理解に苦しんだキャラクターがこの人。いや、そういう役なんだから俳優さんが悪いんじゃないんだけど・・・
 “ モノ描きなめんなよ ”
 って言いたくなりました。―――どっかの朝ドラじゃあるまいし・・・。

 所変わって、現代の晴れの国に、一人のお婆さんが居りました。
 「何で、こんな拙いレビューを書きなぐってるのかって?
 だって、こりっちの“ 観てきた ”を、だあれも書いてくれないんだもの。
 “ 岡山には舞台観て来たっていう客がただの一人も居ないんだってさ・・・ ”
って言われる前に、あたしが書くしかないじゃない!!!」
裸に勾玉

裸に勾玉

劇団SOFT GEAR

児島市民交流センター・ジーンズホール(岡山県)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

遅くなってしまいましたが、ネタバレを追記します。

ネタバレBOX

 此処って、何を何の為に書くのか、よう解らんのんですが、忘れっぽい私はあと1年もしたらすっかり忘れてしまうだろうから、今のうちにこの舞台を観て思った事考えた事を備忘録として書き留めておくことにします。

 耳慣れぬ「裸に勾玉」というタイトルは、「豚に真珠」という諺を弥生時代のシチュエーションに言い換えたものかと思われます。
 “ 豚の様に知能の低い者には、真珠の様な高価な物の価値は解らないので、与えても無駄である ”といった意味合いなのだろうが、「じゃあ、“ モノの価値 ”って、そもそも何に拠って決まるの?」と疑問に感じてしまった。

 現代社会に於いては、“ モノの価値 ”はお金に換算することで決まってしまう。あらゆるモノが、何でも、だ。
 では、お金が無かった時代、“ モノの価値 ”はどうやって量られていたのか―――。物々交換だった時代、或いは拾い集めたりもっと乱暴に略奪したりして手に入れてたら、それらの価値はもっと柔軟で危なっかしいシロモノじゃなかったろうか。
 クシナダが美しくも面倒くさい衣裳の上に飾った“ 本物の勾玉 ”と、シコヲが妻に贈り揉め事を引き起こした“ なんちゃって勾玉 ”。 その価値を、単純にお金に換算して比較出来ますか?
 ―――いや、そもそも“ 価値 ”って何なのよ・・・。
 オークションでなければ手に入らない“ レアな ”紙袋。でもその価値は、誰の為なのか、一体何だったのか、サクライは気付いてしまったのではないか。

 当たり前に使っていたコトバが、突如として意味を持たぬ音の羅列に変わってくる、この不安感。 そういった“ 変化 ”をもたらしてくれる演劇だったと思う。
 でも、それは決して不安だけをあおる、後味の悪いものではない。むしろ、心が豊かになったと感じさせてくれるものだった。
 まだ言葉がコトバとして充分でなかった時代、熟語も外来語もなくて語彙も少なかった時代、彼等の話すコトバは、どれだけ真実だっただろう。
 我々が現代社会で交わす社交辞令。そんな「済みません」「失礼しました」より、あの三兄弟の「かたちけなし」は、どれだけ私達の心に響き、潤してくれただろう。
 言葉って元々、目に見えない“ 心 ”を相手に伝えるものだった筈だ。その当たり前の事が、今、実際に出来ているだろうか。自分の周りを改めて見回してみるきっかけになった気がする。

 だからこそ、“ 観れて良かった ”と思えるのだ。そして、もし叶うのなら“ もう一度観たい ”と願う。もっともっと、違う発見があるかもしれないから。もっと、深いところで、心が動くかもしれないから。
 一か月も経ってしまったけど、忘れない内に書いておかなくてはいけませんね。
 だってほら、くれよんしんちゃんの歌にもありますよね。
    “ ありがとうっていう気持ちと
      ごめんなさいっていう気持ちは
      ちゃんと伝えた方がいいよね
      正直になれるかな? ”
     ―――ってね。

裸に勾玉

裸に勾玉

劇団SOFT GEAR

児島市民交流センター・ジーンズホール(岡山県)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

鑑賞日2018/03/11 (日) 13:00

「“ 面白い舞台 ”って、何だろう?」
 十数年前(解る人には解る)、一寸悩んだことがありました。
 その時出した定義は、“ もう一度観たい、と思える作品 ”というものでした。
 「ようワカランかったけど、まぁいいや」じゃなく、「よう解らんかったから、もいっぺん観たい!」とか。
 「イケメン、堪能~~~ごちそうさまでした」よりも、「もう何でもイイから、この役者さんを見ていたい!」とか。
 実際に足が運べるかどうかは別として、「もう一度観たいなぁ」と思ったらそれは私にとっての“ 面白い舞台 ”なのだ。
 
 前置きが長くなりましたが、
 
 面白い舞台でした!
 どうもありがとうございました。

 それから、ソフトギア二十周年おめでとうございます。
 これからは不惑目指して突き進んで下さい。
 死ぬまで付いてゆきます!

「ヴルルの島 」

「ヴルルの島 」

おぼんろ

ルネスホール(岡山県)

2016/12/18 (日) ~ 2016/12/19 (月)公演終了

鑑賞日2016/12/18 (日)

座席1階

価格2,000円

 長年掲げてきた「シアターコクーンでの公演」を“通過点”として、その先に「自分達の劇場を持つ」という目標を決めて以来、おぼんろさんは背水の陣を敷いて勝負に出ている感があります。

 最早説明も要らぬ程のカラーを持つ劇団でしたが、自分達の芝居に対するそれぞれの信念みたいなものが打ち出されてきているし、語り部達の演技にも自信が満ちている。
 そんな印象を受けた舞台でした。

 スケジュールの都合で、1回しか参加する事が出来ませんでしたが、もうあと1回位、全く逆の席で観たかったです。
 舞台と客席とが複雑に入り組んでいて、語り部さん達も所狭しと走り廻ってくれるので、主宰の仰せの通りに首を回しても腰を捻っても、後ろ頭と背中しか見えない~~~というコトも。
また、2人以上が絡む場面では、観る方向によってヴィジュアルが違ってきたりしますし。
 でもこれが「おぼんリピーター続出のからくり」だと思います。岡山とは違って(笑)予約必至の東京の方々、チケットのご予約はお早目に~~~。

ネタバレBOX

 1回しか観れなかったせいか、集中力が足りなかったせいか、若しくは単に頭悪いせいか、色々と解らなかった事が残ってモヤモヤしてたんですが―――
 後日、「ヴルルの島 公式ガイドブック」みたいな本が出るらしいので、それ読んだら疑問も解消するかな~~~という事で、ココには書かないでおきます。
ポケットの中の勇気

ポケットの中の勇気

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷市芸文館 アイシアター(岡山県)

2016/12/17 (土) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

鑑賞日2016/12/17 (土)

座席1階A列4番

価格1,500円

 良く出来上がったストーリィでした。
 丁度探偵ものアニメの劇場版をまるまる一本観た満腹感を味わいました。
 登場人物が良い人なのか、悪人なのか、敵か、味方か。 様々な要素が入れ換わり立ち替わり、目まぐるしく変化して展開してゆく。かと言って唐突なサプライズという訳でもなく、適度な伏線が散りばめられていて、「あ、成程~~~」と心の中でニヤリとさせられながらも楽しめました。

 ただ・・・2時間という上映時間には詰め込みすぎではなかったでしょうか?
 スピーディな展開。テンポのいい台詞回し。それ自体は凄くいい。
 でも、俳優さんが着いて来れていない。全員が全員じゃないけど。
 初演だった所為もあったのでしょうが、『頑張れ』が喉元まで込み上げてくる状況が何度かありました。
 脚本が緻密な分、少しのミスも許されない、しかも某ゴジラ映画並の早口で喋らないといけない―――というプレッシャーでテンパっていたのではないかと思います。
 
 そしてその慌ただしさは見ているこちらも同じでした。
 筋立には着いていけましたが、気がついたら終わっていた―――という感じでした。
 記憶を手繰ると、凄くいい言葉や素敵なシーンがあったのに、左脳全開な私には右脳で“浸る”余裕が全く無かったのです。
 
 もう少し上演時間をゆとりを持たせたものにするなり、あるいはエピソードを削って整理するなりして、面白く且つ心に残る舞台に昇華させて、いつか再演して下さる事を期待します。

止まれない12人

止まれない12人

LOOP⑩

旧内山下小学校体育館(岡山市北区丸の内1丁目2-12)(岡山県)

2016/10/29 (土) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

楽しかった!
 パイパーの後藤さん(といっても1作しか観てない)の脚本。 県内の、ベテランの域に達したスタッフとキャスト。 だからこその“ガチ公演”の折り紙付き。 面白くないワケが無い!

 ウブ公演「あゆみ」同様、舞台設営の斬新さに、思わずニンマリ。 確かに、何処からも全体が見えるけど、中央がより良く見えるだろうな~~~。 (観てない人には判んない説明ですが)
 
 上演時間2時間という結構長帳場なのに、今回居眠りしませんでした! 次から次に繰り出されるサプライズの連続に、全く飽きる事無く観終える事が出来ました。 子供からお年寄りまで楽しめる舞台に仕上がっていたと思います。 (但し「ウルトラセ○ン」見てない人はちょ~っと損してる。きっと。)
 
 ひとつ、ケチを付けるとすれば、隊長サンは若すぎるし二枚目すぎます。 笑っちゃうよりも「格好ええ~~~」となっちゃいますもの。 あ、役者さんのせいではない、というのは言う迄も無い事ですが・・・。
 

あゆみ

あゆみ

LOOP⑩

旧内山下小学校体育館(岡山県)

2016/09/10 (土) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

興味深い舞台でした
 遅ればせながら、誰も書いてくれないので書いておきます。

 廃校でやるってだけに、様々な趣向を凝らした「ハイコーチャレンジ!」。
 今回は体育館内の特設アリーナ(プロレスかっ!)が会場。 しかも、ステージも観客席も六角形で、まるで亀の甲。 但し、客席の後ろの空きスペースが第二の舞台となっていて、役者がぐるぐる「歩む」。
 観客が見ていようが見ていまいが、歩く。
 歩いて歩いて、中央ステージに登場。
 自分の出番が終わったら、退場して歩いてく。てくてくてく。
  
 そう、テーマは「あゆみ」―――“歩く”であり“歴史”でもあるタイトルだ。
 割と平凡な、ひとりの女性の記憶の中の、切り取られた場面場面が、走馬燈の様に現れて過ぎ去って行く。
 最初のうちは???だったが、やがてヒロインを何人もの女優が場面毎に入れ換わり立ち替わり演じているのが解った。 マラソンのたすきじゃないけど、赤いカーディガンがヒロインの証しなのだ、と。
 演じる俳優はというと、演劇経験ゼロの方から最早古参と呼べる御仁まで、
 彼等自身の“あゆみ”もまた、バラバラ。 でも、それはそれで、また一興。
 やはり、発声や体の動きなどで差が出てるのだけど、目まぐるしく役が入れ換わっちゃうもんでいちいちチェックしてるヒマなんて無かったし、実際、さほど気にならなかった。

 ステージをとり囲む客席からは、「どの席からでもよく見える」のは確かですが、やはり、背を向けて叫ばれると聞こえ辛い部分もありました。 (特に一つの文章をコマ切れにリレーするところ。チラシに大きく書かれていた文章をシェアしてるのは解ったのですが、台詞としてはほぼ聞き取れませんでした。シーンとしては凄く面白いのですが。) 表情が全く観れない、というのも悔しいし。
 
 この、風変わりな円形舞台の設定は、「ループ⑩」という主催団体にちなんだモノなのかな?と思って観ていたのですが、彼女が歳をとって、その子供が、孫が、やはり彼女と同じ様に歩みを始めるところを見せられると、あぁ、あゆみって、決して平坦で真っ直ぐなものじゃない、曲がりくねって、戻って来る、輪っか―――代替りしていくから継ぎ手の長い螺旋みたいなものなのかな、それを表現してるのかな・・・と思える様になりました。
 そのあゆみの途中で、一寸躓いたトコロ、でも通り過ぎちゃって、小さなトゲのようにチクチク痛むトコロ、もし時間を遡ってやり直せたら―――といつも心の中に蟠っていた想いを、ひとははっきりと“認める”ことで、先に進めるんじゃないか。
 そんな事を教えてくれるお話でした。 (ちょいとネタバレになっちゃったかな?)

 

野良の方舟 なつやすみさん

野良の方舟 なつやすみさん

ルネス空間創造委員会

ルネスホール(岡山県)

2016/08/26 (金) ~ 2016/08/27 (土)公演終了

「こどもまつり」!
 昨年、少し物足り無さを感じた夏休みこどもまつりinルネス、今年は豪華二本立て!キャストのほとんどの子供達が2本分の脚本を憶えた事になります。それだけでも、皆エライ!

 新作の「なつやすみさん」

 日常にくたびれたサラリーマンと、彼の家にやってきた“なつやすみさん”達の、ひと夏の物語。
  筋立てはありがちなショートショートだけれど、二十人(匹?)を超えるきゅわきゅわキラキラななつやすみさん達が、とにかくカワイイ。 元気一杯に大合唱してくれる岡山弁の台詞は、所々聞き取れない部分もあった(全員のタイミングが揃うのは難しいわな)けど、たっちゃん同様、何時の間にか元気を分けて貰ってる気がしました。
 わかばやしめぐみさんも“へんてこばぁさん”役で出演。いつもながらパワフル~~~。
 そうだね、今がどんなにしんどくても、今がどんなに楽しくても、時間は止めちゃいけないよね。

 二本目、「野良の方舟」

 これは昨年と同じ演目だし、一年前に出演した子供達も多く、余裕でパワーアップしてる・・・て、思う。
 特に、東京からやって来た、一番大きなお子さん(笑)。 超頼りなくおどおどしていた“くろ”、今年は低音ヴォイス(こころもち狂言調)で、なんか落ち着いてて、頼もしくすら見えました。
 そして、私が座っていた座席からは、出演と歌と演奏をかけもちで捌いている“神様”の大変さがまざまざと拝見出来ました。
 短い準備期間で大変だったと思いますが、皆さまお疲れさまでした。


 “学習発表会をぶっとばせ!”というキャッチコピー。
 学習発表会=学芸会は、芝居に於いては悪い意味で使われる事がほとんどですよね。それって、やはり「先生が子供に道徳的な演劇を強いる」「子供は、大人達の前で、教えられた通りに“上手く”演じる」「無料招待された父兄が自分の子供が“上手く”出来るか観に来る」・・といった具合に各々のベクトルがハッキリしているからでしょうか。
 この「こどもまつり」は、舞台芸術としてはプロのステージに並び様もないでしょうが、子供達の旬の“輝き”を観れるという点でとても興味深いシロモノです。
 本当に、ひとりひとり、その年その年で、子供って輝き方が違うんですよね。 発声も演技も堂々とした子、対照的にとっても大人しい子、素足の走りっぷりが韋駄天な子、いっつも笑顔を絶やさない子、舞台上でお隣とお喋りしてる子、自分の役をこなしつつ小さい子のフォローも欠かさない子・・・等々。
 末原さんのおっしゃる通り、正に「舞台としては有り得ない」俳優っぷり。瑞々しい感性で描かれた影絵とステージ美術。おぼんろを思わせる、ボロ布や不要物で造られた小道具達。
 この日この時、此処でしか共有出来ない、一期一会の輝きでした。
 惜しくも居合わせなかった方々、TVカメラで切り取られた部分ではどれだけ伝わるか解りませんが、片鱗だけでも覗い出来る事を願っています。

幕末純情伝

幕末純情伝

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2016/06/11 (土) ~ 2016/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

「並だ」のリクエスト。
 この「幕末純情伝」は、つか舞台の中で、私が直接観た事のある、数少ない一本です。リクエストしたのは、単に他の脚本を知らないからであって、特別な思い入れがあった訳でもないのです。すみません、いい加減で。
 でも多分私が観たモノとはバージョンが違ってたかもしれません。なんか斬り合いしながらマイク持って唄ってたよ~な・・・。もう四半世紀位昔の記憶なんで定かではありませんが。

 今回、「すげ~詰め込んだなぁ・・・」という感が強かったです。上演時間は90分位だったでしょうか。オリジナルは2幕構成で、もっと長かったと思います。尤も、省略したら話のツジツマが合わなくなる位、サプライズてんこもりなストーリィだもんだから、いつもは大胆不敵にざくざく場面をカットしちゃう赤木さんも削り様が無かったのかも。
 詰め込んだ分、一場面一場面がバンソウ飛び出す絵本みたいにぎっしりてんこ盛りで、観る方も話についていくのに必死でした(笑)。ギアメンの台詞も殺陣もダンスもハンパな量じゃ無かったですねぇ。大男の役を華奢な女優が演じてたり、役者不足の中でろくろく着替えず何役もカケモチする様はほんと、神業でした。最後まで大きなトラブルも無しに終わったのは、やはり「すげ~」と言わざるを得ません。
 
 ・・・ただ、「すげ~」「すげ~」事に感動して終わってしまったので、「アレ?これって、確か熱く泣ける話だった筈では・・・?」という事に、随分後になって気がつきました。私だけっすか?・・・なかなか、難しいもんですね。

僕とキミとボクと君

僕とキミとボクと君

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷市芸文館 アイシアター(岡山県)

2016/05/03 (火) ~ 2016/05/04 (水)公演終了

満足度★★★★

いつもより速く廻っております。
 まず、ストーリィが解り易い。
 展開もトントン拍子に進んで観る者を退屈させない。
 良く出来たシナリオだと思います。
 難を言えば、観客に推理を楽しむ余裕も感傷に浸るゆとりも与えないきらいがあるので、その点では好き嫌いが分かれるかもしれませんが。
 
 けれど、いつもながらダンスの見せ方が上手い。
 小道具として傘を使ったダンスシーンが2回ほど挿入されているのだけれど、さほど素速い振りも難しい動きも無いのに、凄く格好良く見える。
 ダンスをきちんと学んだだけの事はありますね。

ネタバレBOX

 三田くんが死んだ時点で、もう巻き戻しっきゃ無いな、とは薄々感じてたけど、結構何の伏線も説得性も無しにオチ付けちゃった気がしないでもありません。
 ま、脳波ジャックする帽子が居るんだから、光速回転して時を遡る傘化けが居ってもオカシクないのだけれど。
 でもラストを見る限りでは、巻き戻してやり直したというより、パラレルワールドに跳んだっぽいですね。・・・パラソルの世界だけに(笑)。
「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

劇団SOFT GEAR

あとりえレイバン(岡山県)

2016/01/16 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

「父と暮せば」
・・・やっぱり誰も書いてくれないので自分で書いておきます。

 超有名で、秀逸で、しかも重苦しい題材の脚本を演るのは凄いプレッシャーだったとお察し致します。役者はたった二人きりで、しかもほぼ喋りっぱなしだし。・・・でも見事に演じ切ったと思います。良かったです。
 
 ゾエンヌ様の役は実父から「そんなに美人じゃない」と言われる23歳の女性なのですが、何せ台詞がばりばり広島弁訛り付きなので、ともすればばば臭い印象を受けるのですが、あ、でもちゃんと「娘さん」だ。可愛い。練習のし過ぎで二重になったお目々をさらに真っ赤にしての熱演、気迫も伝わってきました。「されど、晴天」と並ぶ彼女の代表作となりそうな気がします。
 そして重さんの「父」は・・・役者の妙といいますか、これって二十そこそこのイケメンには逆立ちしたって演じられない役ですよね。いい味出てました。失礼な言い方になるかもしれませんが、「はまり役」だと思います。

 惜しむらくは、会場が狭すぎて、私の席からはあの「お地蔵さんの頭」が全く見えなかった事。結構肝となる場面なので楽しみにしていたのに一寸残念。ついでに、数十年に一度の猛烈大寒波が接近していた日だった為、スタジオ内も猛烈に冷え込んでいて、もう鼻水止まりませんでした。感動した分とは別に・・・。
 

「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

劇団SOFT GEAR

あとりえレイバン(岡山県)

2016/01/16 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

「GO!! GO!!! HEAVEN!」
 最早“中堅”となったむねよし君とまだまだ“新人”と言える友森&能勢コンビを除けば“新顔”とも“客演”なのか・・・既成事実を造って引きずり込もうとしているのか・・・謎だ。
 
 冗談はさておき、シャアのものまねでは飽き足りなくなった20世紀青年が、更なる英雄に憧れて描いた脚本だからして、ナ~ルホドな展開。
 恐らくは知り得ないであろう古すぎるネタを正しく体当たりで演じてくれる、若い歯車達。
 だから観ていて退屈はしなかったし、楽しめたとは思うのだけど・・・。
 
 ―――「ソフトギア」としては、物足りない。

 当たって砕けろ直球勝負の1号より、2号の「あれ?今の何?」や3号の「おんやぁ?変よぉ」とか、まだ誰も見たことも聞いたこともない4号とかを期待しちゃうのだ。
 だって「ソフトギア」だから、ね。
 つかこうへいも、新感線も、超えて貰わなくっちゃ。

チェンジ×チェンジ

チェンジ×チェンジ

岡山県天神山文化プラザ

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2016/01/15 (金) ~ 2016/01/17 (日)公演終了

修行が足りない・・・私が。
 企画自体はすんごく面白い!と思ったのです。岡山を代表するイケメン・・・もとい、演劇人二人が互いに脚本を交換して演出する・・・なんて!

 だけど、観ていて閉口してしまったのです。
 それは決して作品が面白くなかった訳じゃありません。ただ・・・「冷やし中華フラッドラブル」はタゴさんのそんなバナナのシチュエーションコメディで、「岡北第三シェルター」は意地の悪い癒し系不条理の風早ワールドに感じられるばかりで。
 ここに至って初めて、役者を経験したことの無い私は、脚本の面白さばかり追っていて、「タゴ流演出」も「風早流演出」も、意識して味わっていなかったのだと思い知らされました。だから脚本と演出がチグハグな面白さを堪能できなかったのです。
 
 もっともっと意識して舞台を観なくちゃ駄目ですネ。
 でも、もし次があるとしたら、同じ原作を、御二方が別個に脚色・演出して舞台化する、なんていう解り易い企画がいいなぁ・・・駄目ですか?
 

ミュージカル『HEADS UP !』

ミュージカル『HEADS UP !』

KAAT神奈川芸術劇場

倉敷市芸文館 ホール(岡山県)

2015/12/13 (日) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

愛が溢れていました
 制作サイドの意気込みと熱意と愛情がひしひしと伝わって来る、ステージを支える裏方さんにスポットを当てた、笑いあり涙ありのミュージカル。
 演技力も歌唱力も優れた俳優を揃えてあって、ストーリーもしっかり構成されていて退屈する事無く見終える事が出来ました。また、色んな舞台作品のパロディや俳優さんの経歴がらみのネタも盛り込まれていて、遊び心も満載(千秋楽という事で、出血サービスも幾つか有ったみたいですが・・・あ、加賀美さんのバク宙は見事でした)な二時間半でした。

ネタバレBOX

 素人の分際でおこがましいは承知の上で、思った事を書いておきます。

 「再演」という言葉をカーテンコールで聞いた時、やはり引っ掛かるものを感じました。面白く無いとは言わない、でも、弱い、のです。思い入れを詰め込みすぎてダダ漏れしてる。勿体ない。「あー、良かった」・・・でも、2回、3回と何度でも客に足を運ばせる事が出来るだろうか。解ってはいるけど、同じ“バック”ダンサーに光を当てて不滅のミュージカルナンバーとなった「コーラスライン」と比べてしまうのです。

 まず、キャラクター全員が「いい人すぎる」気がしました。
 リスペクトが大きいせいか、実在の裏方さんへの誤解を避ける為か・・・“誰もが複雑な事情を抱えてはいるけど、欠点もあるけど、根はいい人”・・・それが悪いわけじゃないのですが、人間模様ごちゃごちゃな会話から仕事内容と大変さといい人具合を理解してね、みたいな人情新喜劇で終わってしまった感があります。もっとブっ飛んだヒトとか、“人間的にはどうかと思うけど、イイ仕事する奴”とか居てもいいんじゃないかな。その方が話にもメリハリが出て来ると思うのです。やっぱり、フィクションなんだから。

 それと、進行が時間軸に沿っていないのはどうしてなのか、解らなかった。(クライマックスの「客はとっくに帰った筈」を納得させる為か?)
 舞台の幕が降りて、その後時間を遡り、本番中のアクシデントを切り抜けた回想が幾つか入る、そしてバラシ―――その後で1001回目のタネ明かし・・・「幕は上がったら必ず降りる」とは言え、この“幕引き”は小山田さんが30年も降ろす事の出来なかったものであり、劇場さんにとっては30年間待ち望んだものなのに・・・。「これでホントに幕が降ろせるのか!?どうする、舞台監督!!!」みたいなハラハラ感を切り抜けて、万感の想いを籠めて幕が降りるトコ、観たかったなぁ。あくまで私の好みですけど。

 最後に、ミュージカルとしては音楽とダンスのインパクトが薄い気がしました。
 メロディもいいし、歌も上手いし、体も良く動いているのに。劇場さんの前説はあんなに頑張ってるのに・・・。あざといと取られるかもしれないが、もっともっと「狙った」使い方をして欲しかった。折角、「HEADS UP」という耳慣れぬ―――先入観を持たれない横文字をタイトルに戴いているのだ。「コーラスライン」のフィナーレの「ONE」みたいに、“「HEADS UP!」といえばこの曲!”みたいな“主題曲”が欲しかった。劇場を後にする観客の誰もが、鼻歌を口ずさみながらスキップを踏める様な・・・。

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