きやまの観てきた!クチコミ一覧

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ヒネミ

ヒネミ

劇団SOFT GEAR

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/07/05 (土) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです。
 面白かったです。絶妙なタイミングで繰り出されるギャグに笑わせて頂きましたし。

 謎が解けて縺れた糸が1本に展ばされる、という様な痛快感はありません。どっちかっつーと、解んない事だらけです。・・・でも、いいかな、って気持ちになりました。だって小さい頃、大人達の会話の「アレ」や「○○さん家の××さん」って、子供にはよく解らんシロモノだったし、解らんでも構わないシロモノだったもの。今の様に多機能電話もスマホもGPSも無い時代、メモと記憶だけを頼りに生きてた時代、不便だったかもしれないけど、とても愛おしい時代。ちょっと懐かしく思い出せました、私自身も。
 「記憶」は確かにあやふやでいい加減で、絶えず移ろう厄介なシロモノですが、それはそれで・・・やっぱイイじゃないの?覚えておこうとする事こそが大切なんですよね?とも。
 だから、サスペンスでもホラーでも無く、怖ろしいモノでも無く―――記憶のなかで甦ったゲンイチロウ兄さんはあんなにも清々しく優しかったのでしょう。動くことも語ることも何も許されない亡者が、唯一存在していいのは、生者の記憶の中だけですから・・・。

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

DULL-COLORED POP

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

ナットクのお芝居。
・・・なんていうか、解り易いんです、登場キャラクターが。

 「よくある熟年離婚話」とかで出てきそうな家族、と言ってしまえばそれまでですが、“こんなバカな女居ねえよ”とか“こんなキモイ男嫌じゃ~ん”ってツッコむ人が居なくて、“あ~~~、居る居る、こんなヒト。”と苦笑してしまう人達ばかり。だから、各人の心理の状態や、ここでどう動くかがなんとなく予測がついたりするのです。勿論、俳優さんの確かな演技力がそれを完成させているのでしょうが。

 予測がつく分、サプライズ感もスッキリ感も希薄な結末と言えるかもしれません。誰が間違ってたのか、誰が悪かったのか、じゃあ誰がどうすれば良かったのか、それは観客一人一人が感じ、考え―――でもきっと正解なんか無いんでしょうけどね。

 それでも、引き込まれる様に見入ってしまった・・・んだから、やっぱり「面白い」と言わざるを得ないと思いました。

「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

「GO!! GO!!! HEAVEN!」「父と暮せば」

劇団SOFT GEAR

あとりえレイバン(岡山県)

2016/01/16 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

「父と暮せば」
・・・やっぱり誰も書いてくれないので自分で書いておきます。

 超有名で、秀逸で、しかも重苦しい題材の脚本を演るのは凄いプレッシャーだったとお察し致します。役者はたった二人きりで、しかもほぼ喋りっぱなしだし。・・・でも見事に演じ切ったと思います。良かったです。
 
 ゾエンヌ様の役は実父から「そんなに美人じゃない」と言われる23歳の女性なのですが、何せ台詞がばりばり広島弁訛り付きなので、ともすればばば臭い印象を受けるのですが、あ、でもちゃんと「娘さん」だ。可愛い。練習のし過ぎで二重になったお目々をさらに真っ赤にしての熱演、気迫も伝わってきました。「されど、晴天」と並ぶ彼女の代表作となりそうな気がします。
 そして重さんの「父」は・・・役者の妙といいますか、これって二十そこそこのイケメンには逆立ちしたって演じられない役ですよね。いい味出てました。失礼な言い方になるかもしれませんが、「はまり役」だと思います。

 惜しむらくは、会場が狭すぎて、私の席からはあの「お地蔵さんの頭」が全く見えなかった事。結構肝となる場面なので楽しみにしていたのに一寸残念。ついでに、数十年に一度の猛烈大寒波が接近していた日だった為、スタジオ内も猛烈に冷え込んでいて、もう鼻水止まりませんでした。感動した分とは別に・・・。
 

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

参組:「これがソフトギアの面白さだよ~ん!」
 “チームびっくり箱”はさしずめ大リーグボール。
 キャスティング見て、「あ、空也さん、またニューハーフ演るんだ~」と思ったのですが、今回は一応“彼”。・・・もしかしたらゲイかもしれんが・・・。タッグ組むのは未知数俳優・タケナカ君の“男”。・・・あんまし嫁や子供が居る様には見えんが・・・。そして、一番の特徴は朗読役のロドさんとゴトウちゃん。他の組の朗読が白菜漬けや沢庵で、「ボクら、メインディッシュとご飯の為に頑張りま~す。」だとすると、いきなり大皿に盛られた激辛キムチを喰らったカンジ。只の添え物じゃあ終わりませんぜ。
 とにかく、4人全員が自己主張。仁義なき戦いが静かに繰り広げられて、誰が何所でどうしているか、もう一瞬たりとも目が離せない! 選り取り見取りの個性派俳優を取り揃えてるソフトギアの強みですね。個人的には・・・・一番好きかも。

letter〜アンドロイドが紡ぐ歌〜

letter〜アンドロイドが紡ぐ歌〜

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷公民館(岡山県)

2013/10/05 (土) ~ 2013/10/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

良い舞台だったと思います
 演劇のみならず、映画・アニメ・ゲームといったエンターテイメント全般に精通しておられるA井氏のシナリオは、ものすごくち密で急テンポで構成されていて、私の様な回転の鈍い人間に「展開についてゆけない」感を抱かせる事があったりしました。でも今回はパラレルやパラドックスも無しの、(飛び飛びではあるが)時間軸に沿ったストレートな進行で、観ていて「世界に入って行き易い」お話でした。
 特筆すべきは主役(!?)の植田氏。微動だにせずただ立っている時間の、なんと長い事か。台詞は無くても、立派な「演技」ですよ、これは。更に、随所で散りばめられる彼の「歌」が、絶妙なタイミングの「インターバル」になっていて、殺伐とした展開の途中でも、こちらの気分をかなりゆったりさせてくれました。
 “お約束”を裏切るラストも、「その先」を予感させる、余韻を残したと云えばそれまでかな。人間もアンドロイドも、いっぱい死んで、無茶苦茶暗い話だったはずなのに、とても軽やかな気分でホールを後にする事が出来ました。

社長、帰ってきたってよ。

社長、帰ってきたってよ。

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

シュールバージョン・・・?
 “1週目と2週目で、演出が異なります” と聞いて、リピートを即決。かつて「いるじおん」という、“全回どっかが違う”作品があったから、今回は “キャストとシナリオが同じで、間合いや演技がブラックぽく変わるのか?” なあんて勝手に予想してたのですが・・・ごめんなさい、違いが良く解りませんでした。確かにメイクが不気味に濃かったり、ネタがちょこちょこ変わってたのは気付いたのですが・・・あれっ?
 まぁ、笑えたのは笑えたから・・・やっぱ面白かったのは面白かったんですけどね。
 

ネタバレBOX

 ラストの「オチ」が無くなってたのには超ビックリ仰天でした。
 重さんの出番が半減しちゃった・・・前回、あの「オチ」にケチ付けたきやまさんはちょっぴり責任を感じたりしました。「ロドお面」か「“くりそつ”お面」を被って登場してくれたら良かったのにぃ~!あ、お面着ける位だったらゴトウちゃんでもいいのか・・・。
ミュージカル『HEADS UP !』

ミュージカル『HEADS UP !』

KAAT神奈川芸術劇場

倉敷市芸文館 ホール(岡山県)

2015/12/13 (日) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

愛が溢れていました
 制作サイドの意気込みと熱意と愛情がひしひしと伝わって来る、ステージを支える裏方さんにスポットを当てた、笑いあり涙ありのミュージカル。
 演技力も歌唱力も優れた俳優を揃えてあって、ストーリーもしっかり構成されていて退屈する事無く見終える事が出来ました。また、色んな舞台作品のパロディや俳優さんの経歴がらみのネタも盛り込まれていて、遊び心も満載(千秋楽という事で、出血サービスも幾つか有ったみたいですが・・・あ、加賀美さんのバク宙は見事でした)な二時間半でした。

ネタバレBOX

 素人の分際でおこがましいは承知の上で、思った事を書いておきます。

 「再演」という言葉をカーテンコールで聞いた時、やはり引っ掛かるものを感じました。面白く無いとは言わない、でも、弱い、のです。思い入れを詰め込みすぎてダダ漏れしてる。勿体ない。「あー、良かった」・・・でも、2回、3回と何度でも客に足を運ばせる事が出来るだろうか。解ってはいるけど、同じ“バック”ダンサーに光を当てて不滅のミュージカルナンバーとなった「コーラスライン」と比べてしまうのです。

 まず、キャラクター全員が「いい人すぎる」気がしました。
 リスペクトが大きいせいか、実在の裏方さんへの誤解を避ける為か・・・“誰もが複雑な事情を抱えてはいるけど、欠点もあるけど、根はいい人”・・・それが悪いわけじゃないのですが、人間模様ごちゃごちゃな会話から仕事内容と大変さといい人具合を理解してね、みたいな人情新喜劇で終わってしまった感があります。もっとブっ飛んだヒトとか、“人間的にはどうかと思うけど、イイ仕事する奴”とか居てもいいんじゃないかな。その方が話にもメリハリが出て来ると思うのです。やっぱり、フィクションなんだから。

 それと、進行が時間軸に沿っていないのはどうしてなのか、解らなかった。(クライマックスの「客はとっくに帰った筈」を納得させる為か?)
 舞台の幕が降りて、その後時間を遡り、本番中のアクシデントを切り抜けた回想が幾つか入る、そしてバラシ―――その後で1001回目のタネ明かし・・・「幕は上がったら必ず降りる」とは言え、この“幕引き”は小山田さんが30年も降ろす事の出来なかったものであり、劇場さんにとっては30年間待ち望んだものなのに・・・。「これでホントに幕が降ろせるのか!?どうする、舞台監督!!!」みたいなハラハラ感を切り抜けて、万感の想いを籠めて幕が降りるトコ、観たかったなぁ。あくまで私の好みですけど。

 最後に、ミュージカルとしては音楽とダンスのインパクトが薄い気がしました。
 メロディもいいし、歌も上手いし、体も良く動いているのに。劇場さんの前説はあんなに頑張ってるのに・・・。あざといと取られるかもしれないが、もっともっと「狙った」使い方をして欲しかった。折角、「HEADS UP」という耳慣れぬ―――先入観を持たれない横文字をタイトルに戴いているのだ。「コーラスライン」のフィナーレの「ONE」みたいに、“「HEADS UP!」といえばこの曲!”みたいな“主題曲”が欲しかった。劇場を後にする観客の誰もが、鼻歌を口ずさみながらスキップを踏める様な・・・。
パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

おぼんろ

ルネスホール(岡山県)

2014/06/27 (金) ~ 2014/06/28 (土)公演終了

満足度★★★★

百聞は一見に如かず
 なんたって、都会の小劇場系の公演を岡山で観る機会は限られているので、この公演を実現させてくれた全ての人々にまずは感謝。無論「おぼんろ」は初体験です。井の中の田舎者がなんか言ってるよ、と笑って許して下さい。

 まず感じたのは、とても観客(参加者)に対するサービス精神が強い劇団だという事。常連・リピーターを最優先。客入れの段階で俳優(語り部)が案内してくれて、早くも観客に接してくれる。客いじりや全員参加の掛け声はその都度変わる模様。上演中の撮影録音は全てOK。客出しでは2ショット・サインも好きなだけ。ここまでされたら悪い気はしない。どうやったらマンネリにならず一回一回、楽しんで貰えるかを、常に工夫している。「客に媚を売ってる」という批判もあろうが、私的には◎。

 そして、パワフル。桟敷席の間に造られた花道を縦横無尽に走り廻り、でんぐり返る。皆、汗だくで、それでも台詞は息を切らさず、きっちり言い切る(歌は一部口パクだった様だが)。これは本当、感動モノでした。難を言えば、走行中の事故防止の為、劇場内が明るい時間が多い。なので、他の客の顔など関係ないものも目に入って、その分緊迫感がちょい薄れる。でもこれも集中力を鍛えれば乗り切れる・・・カナ?

 んで、ヴィジュアル面はというと、これは結構ポイント高し。舞台の造りも面白かったし、ボロ布を裂いて作った様な衣裳、岡山市民には「うらじゃ」で馴染深い地下足袋。そして金色の髪・白塗りにクラウンの様なアイメイク。何だか昔絵本で見た様な幻想的な光景が広がっていました。言葉で説明するのが難しいのですが、劇団四季の「ユタ」や「CATS」が好きな方にはおススメかもしれません。

 最後に、この独特のカラーは恐らく好き嫌いが激しく別れるだろうという事。病みつきになって通いつめてしまう人がいるのも頷けるし、馴染めなかった人が拒絶するのもなんとなく解る。だから、「おぼんろ」行こうかどうしようか迷っている人は、他人の書いたレビュー読み漁って頭で損得考えるより、一度だけ劇場に足を運んで、自分自身の目で耳で肌で、舞台に触れた方がいいと思うのです。

ネタバレBOX

 星1個マイナスの理由

 これも好みに拠る所が大きいのだけれど、最も引っ掛かったのが、観劇後、心に残るものが「暗い」事です。
 “信じれば願いは必ず叶う”、“世界がどんな状況でも、何が何でも笑ってやる”等、末原さんの信念がテーマとして伝わっては来る。でも、現実世界の“うまくゆかない部分”の描写が妙にリアルで丁寧なので、むしろそちらの方が後味の悪さとして尾を引いてしまう(訴えたい気持ちは解るが・・・)。ついでに、“一人一人の力ではどうしようもない”という諦めみたいなものが根底にあって、タックが起こしたささやかな奇蹟は3匹と1人のちっぽけな自己満足に終わってしまって、冷静に現状を鑑みると明るい要素は全く無くって、お先真っ暗な終末が待ち構えているとしか思えない。文句無しの大団円や世界を変える英雄譚が必要だとは言わないが、「お友達を連れて来る」事を躊躇せざるを得ないし、トラウマになりそうで子供には見せたくないという気がするのだ。
社長、帰ってきたってよ。

社長、帰ってきたってよ。

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★

「どうぞ笑いに来てください」ってカンジ。
 前回の「花笑み」の号泣イメージを故意にブチ壊そうとするかの如きドタバタコメディ。ソフトギアはコメディも素晴らしいのを、知らない人も多いかもしれませんものね。
 一寸失礼な言い方かもしれませんが、人間の生き様だの、機微だの、小難しいテーマは今回一切窺われません。ただただ、ギアメンによる濃~いキャラ達の馬鹿馬鹿しい競合と、インプロとも取れるなりきり芝居に大笑いして終った90分。ストーリィ性が希薄なのでやや物足りなさも感じましたが、もうこれはこれとして「笑えた者勝ち」、かもしれません。
 「やっちもねぇ~。でも涙出る程笑ったからいぃっか。」・・・そんな一本です。

ネタバレBOX

 随所にちりばめられたパロディのネタは、皆で考えたものなのか、はたまた各役者さんの趣味なのか解りませんが、結構ウケたものまねもあれば、あんまり受けずにやり直しをした(させられた?)ものもあり。でも、「進撃の巨人」ネタは年配の方々にはまず解らんと思う・・・。
 ラストの「オチ」にも・・・「ヲイ!」という観客のツッコミがぽ~んと投げられて終っちゃう辺り、実はお茶目な赤木さんらしさが出てると思います。
わが町

わが町

演劇on岡山

ルネスホール(岡山県)

2014/03/23 (日) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★★

何故この脚本なのかという問いへの答え
 百年も前の、アメリカの片田舎の小さな町の、平凡な人々のごくありふれた1日を紡いだ第一幕。 第二幕は、その3年後に町で誕生したカップルの結婚式。 正直、眠気を誘う様な退屈さを抱いていましたが、9年後の第三幕の展開で、今迄の登場人物、エピソード、「あぁ、どうしてもっとしっかり視ていなかったんだろう」と悔やまれる事態になってしまうの」でした。
 震災や原発事故で“絆”が叫ばれるのを他所に、災害と無縁な「わが町」に住む私達は、「ありふれた日常を生きる」事がどれほど有難い事なのか気付けないでいます。 一人でも多くの岡山県人に観るべき一作だと思います。
 余談ですが、児島からの引力を振り切って岡山市民会館から駆けつけた最大の誘因は、出演メンバーの中に「関美能留」の名前があったからです。どんなパワフルな演技をされるのか、興味津々だったのです。でも予想に反して、凄く控えめで、目立たない・・・いえいえ、それが大切だっていうお芝居ですものね。

 

幕末純情伝

幕末純情伝

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2016/06/11 (土) ~ 2016/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

「並だ」のリクエスト。
 この「幕末純情伝」は、つか舞台の中で、私が直接観た事のある、数少ない一本です。リクエストしたのは、単に他の脚本を知らないからであって、特別な思い入れがあった訳でもないのです。すみません、いい加減で。
 でも多分私が観たモノとはバージョンが違ってたかもしれません。なんか斬り合いしながらマイク持って唄ってたよ~な・・・。もう四半世紀位昔の記憶なんで定かではありませんが。

 今回、「すげ~詰め込んだなぁ・・・」という感が強かったです。上演時間は90分位だったでしょうか。オリジナルは2幕構成で、もっと長かったと思います。尤も、省略したら話のツジツマが合わなくなる位、サプライズてんこもりなストーリィだもんだから、いつもは大胆不敵にざくざく場面をカットしちゃう赤木さんも削り様が無かったのかも。
 詰め込んだ分、一場面一場面がバンソウ飛び出す絵本みたいにぎっしりてんこ盛りで、観る方も話についていくのに必死でした(笑)。ギアメンの台詞も殺陣もダンスもハンパな量じゃ無かったですねぇ。大男の役を華奢な女優が演じてたり、役者不足の中でろくろく着替えず何役もカケモチする様はほんと、神業でした。最後まで大きなトラブルも無しに終わったのは、やはり「すげ~」と言わざるを得ません。
 
 ・・・ただ、「すげ~」「すげ~」事に感動して終わってしまったので、「アレ?これって、確か熱く泣ける話だった筈では・・・?」という事に、随分後になって気がつきました。私だけっすか?・・・なかなか、難しいもんですね。

『Lunch Time Jam!』

『Lunch Time Jam!』

(劇)アリクイロケット

上之町會舘(岡山県)

2013/07/04 (木) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しい作品でした。
 ドタバタじゃなく、話の展開や会話のテンポで笑わせる、というのが「シチュエーションコメディ」、なのかな・・・勉強不足で恐縮ですが。
 役者の個性がうまく生かされたひと癖もふた癖もあるキャラクター達の賑やかな8時間を、途中の「修行&お掃除」を超端折って(カツゼツしてるのかと思った~)、1時間に纏めています。ありきたりなネタかもしれませんが、絶妙のタイミングで飛び出す「意外性」でついつい笑ってしまいます。
 この回は終演後「アフタートーク」があって、観客からの質問に、演出のタゴさんが答えて下さいました。ちょっと得した気分です。最終公演の後もアフタートークがあるそうですので、タゴさんのファンと、質問好きの方にはお勧めかもしれません。2回目以降は500円で入場出来るというのもリピーターには嬉しい企画です

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

弐組:「これがソフトギアの魅力よね!」
 個性派女優織田殿による“女”と、流される不遇な演技に定評のある(?)書上氏による“男”。飴色さん(これからというのに、退団だなんて残念です。またいつか戻って来て下さい。)とポチ君の語り口はなんだか可愛目で、それがトトカマっぽい雰囲気を出してます。“チームライン”は所謂変化球かな。
 ストーリーを引っ張ってゆくのは“女”なので、極端な話、“女”のキャラクターによって、話の雰囲気がガラリと変わるし、「この後どうなるのか」という予想も違って来るのです。織田さんの“女”は、最も“コワイ”女。よりにもよって、この“女”と出逢ってしまった男は本当に不運。私が観たのが、夕暮れ時でタイムリーにカラスの啼き声が響き渡った(野外劇ならでは!)りして・・・正にホラーの世界。「怖え~~~。けど、こういう“大化け”が拝めるのがソフトギアの醍醐味だ。」・・・そう思うのです。

Hanger Boy

Hanger Boy

おぼんろ

ルネスホール(岡山県)

2013/10/20 (日) ~ 2013/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

来年はウマ年だし。
 脚本演出主演全て末原拓馬、末原100%!な「ハンガーボーイ」。初めて観させて頂いた末原さんの舞台が、この作品です。まずはその「機会」に巡り逢えた事に、とても感謝しております。
 舞台への評価は、満点でもいいという向きもあるのですが、でっかい「大志」を抱いている彼には、まだまだ伸び代がある筈なので星1コ保留しときます。上手く説明出来ないけど、何かが足りない、・・・そんなカンジです。
 でも、「おぼんろ」の本公演が岡山に来たら、絶対に行きます。もちろん独り芝居でもトークショーでも大歓迎です。来年の飛躍に期待しております。

西暦12014年の冬

西暦12014年の冬

現代演劇on岡山

ルネスホール(岡山県)

2014/02/22 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

ラストが・・・
 お芝居そのものが魅力的である事は文句の付け様がありません。綺麗で哀しくて、残酷で、優しい。この世界を確立するには、それ相当の積み重ねがあっての事だと察せられます。「末原童話」の魅力、もっともっと多くの観客に味わって貰いたいものです。
 
 ストーリーのラストについては、少し引っかかりが残りました。“どうなるの?”と昂まった所で唐突に終ってしまった気がして。「え?それから?」と戸惑っていたら、もうカーテンコール。余韻を味わう暇も無く。
 もう少しだけ、甘い夢が欲しかった。おっしゃる通り、誠実で真面目な末原さんの人柄から生まれたラストシーンなのは解ります。実際に保健所で殺処分される犬猫の数字は厳しい現実を突きつけてきます。“コイヌはタスカリマシタ。メデタシメデタシ”なんてのは滅多に起こらない美談だからこそニュースや映画になるんですよね。
 だけど、“現実”と隔絶された“芝居”の持つ役割って、何なのでしょう? 「これが現実なんだよ」を教えるばかりじゃない筈です。折角、“想像力”のパワーを駆使して、一万年後のヤクタタズの夢の世界に連れていってくれたのに・・・。
 あざとい嘘で騙してくれとは言わないけど、もう少し、上手い魔法の掛け方、研究して頂けないでしょうか。あくまで私個人の我儘ですが。
 「一期一会」を大切に、その日に思いついたアイデアも即実行して舞台に生かす、そうやって生まれ変わり続けた作品だそうですね。ですから、これから先も、更なる進化を期待しております。

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

壱組:「これがソフトギアの実力だ!」
 脚本・演出の福井女史もブログでおっしゃられてたのですが、企画・・・というか、この公演自体がとても斬新で興味深かったです。
 まず「野外劇」の会場。大正時代に建てられたこの木造建築を、中庭の客席から見上げると、木造アパートの階段や通路の如き光景が広がっているのです。そう、なんと予算も手間も労せずして、2階建てのセットをちゃっかり調達しちゃってるんです。これはアイデアの勝利ですね。
 「朗読劇」というのは、元ネタである「山月記」の内容と、台詞以外の“ト書き”をまんま読み上げてストレートに観客に伝える為の方法。だけど不思議な事に、整理された文語体っていうのは案外すんなり頭に入ってくるのです。
 そして「トリプルキャスト」!!! 4人×3組、代役を除けばダブリ無し。しかも稽古は別々、他所のチームがどうなっているのか、知っているのは演出(1人で3通り!なワケだ)の福井女史と裏方だけ。このミステリアスさに、ギアファンは「全チーム制覇!」を決めたのです。

・・・で、壱組です。
 スター赤木による“男”と大女優ゾエンヌ様による“女”。「ハズレ無し」のこの二人が飾る千秋楽(初演は初演で、嵐を呼んで大雨警報まで出してまさかのホール上演となりましたとさ。)は超満員。新人の友森さんは、はきはきとした語り口。重さんも淡々とした朗読。最もストレートな剛速球的「山月記の夜」・・・のハズなのだが、スターのアドリブや台詞のプチ変更が結構多かったのが、この“チームドラゴン”。流石、遊び心は忘れない。ちなみに、「男が今迄に聞いた事の無い声」については、一番凄みがあったのが(それ以外は一番明るい女なのに・・・)ゾエンヌ様でした。

空を見る人

空を見る人

劇的集団 転機与砲

倉敷市芸文館 アイシアター(岡山県)

2014/02/22 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

品質は御墨付き
 “テンキヨホウはハズレたけど・・・”なぁんて唄がTVから流れてましたが、“外れ”が無いのが転機の舞台。
 劇団としての体制がとてもしっかりしているので、台本から演技まで、一定のレベルがキープされていて、安心して観る事が出来ました。反面、先の展開がありきたり過ぎるという感もありますが、これは好みの問題でしょう。

 ただ、個人的に・・・イチャモンを付けさせて貰うと、
 「アレン、目立ち過ぎ。」
 ネタも笑いも腐女子の視線も、果ては作品タイトルまでも、みんなみんなアレンが持ってっちゃった。
 結果として、本来の主役・ギルとヒロイン・ジュリアが“転機”を得て迎えた筈のラストシーン(あんまし手放しで喜べる状況でもないのだが)がいまひとつ精彩を欠いて終ってしまった気がします。・・・まぁ、個人的に・・・嫌いじゃないけど、こうゆうキャラ(笑)。

 次回は更にパワフルでもっと暑苦しい舞台、期待しています。

アクアリウム

アクアリウム

DULL-COLORED POP

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇にしか出来ないこと
 レビューを見ると、「面白かった」という評価と「よく解らなかった」という意見の両方がある作品。・・・実際に観て「な~るほど」と変に納得してしまいました。
 水槽内の病気の話や、“○か的”刑事や、犯人オチや、・・・予想したり深読みしたりして見事に外されたり、逆に演出や役者のお遊びに全く気付かなかったり・・・演じる側と観る側が必ずしも「解り合えない」距離感が「面白い」、そう思う事が出来たから。
 開演前に演出家が飄々と「これはお芝居ですから云々」とのたもーた通り、これは「お芝居」なのですね。「劇場ならでは」の。だって活字で語れないもの(笑)。

ネタバレBOX

 後で教えて貰ったのですが、例の「アレ」、皮は本物ですが、中身はニセモノだそうです。いくら「お芝居」でも、食べ物を粗末にしてはいけませんよね。
灯シビ目指シテ歩メドモ、

灯シビ目指シテ歩メドモ、

劇団SOFT GEAR

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

「身動ク事モ叶ウマジ」
 各エピソードの詳細は膨大すぎて書ききれないので、全体的な感想だけを。

 「ザワメク夜」の25年前の幼少時エピソードから、1年後の後日談まで、バラバラに配置したオムニバスなのですが、予想通りの展開だった事もあったし、10年目に初めて明かされる真実もあったりして・・・。でも「ザワメク夜」がとても思い入れのある作品なだけに、再演してくれたというだけで、嬉しい事なのです。
 その「ザワメク夜」は、後日談との絡みで、ラストが変更になっていたのを除けば、台詞などもほぼ10年前のオリジナルと同じだった様な気がしますが、周囲のエピソードが加わったことで、印象も微妙に変化したりするのだと・・・一寸驚きでした。なんだろう・・・例えるなら、「大好物の和食材が、未知の外国料理でドン、と出されて、戸惑いながらも完食した」後の様な・・・“コレもアリかな?アリだよな・・・ウン”・・・そんな感じ。だから、「面白かった」のですよ、「多分」。

 ただ、我儘を言わせて頂くと、鈴虫の鳴く真夏の息苦しいストーリーを、風邪っぴきの着膨れ状態で鑑賞した私は「もう半年後位でやって欲しかったなぁ・・・」と心密かに思ったのでした(舞台衣装も季節感出るものになるし)。

末原拓馬×OKAYAMA HOKORI

末原拓馬×OKAYAMA HOKORI

現代演劇on岡山

陰涼寺 駅東創庫(岡山県)

2014/05/23 (金) ~ 2014/05/24 (土)公演終了

満足度★★★★

共演?競演?
 お寺の本堂というのもさることながら、ギタリストと役者のコラボというのも斬新でした。最後には全ての断片が繋がり合って一つの物語になる辺り、末原マジックお見事でした。
 けれど、「1時間」の予定がほぼ倍になるという語りの間中、ず~っとギターを奏で続けたナカムラさんの根気とテクニックは特筆に値します。あ、それと開き直った末原さんの「女装」も。

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