満足度★★★★
ラストが・・・
お芝居そのものが魅力的である事は文句の付け様がありません。綺麗で哀しくて、残酷で、優しい。この世界を確立するには、それ相当の積み重ねがあっての事だと察せられます。「末原童話」の魅力、もっともっと多くの観客に味わって貰いたいものです。
ストーリーのラストについては、少し引っかかりが残りました。“どうなるの?”と昂まった所で唐突に終ってしまった気がして。「え?それから?」と戸惑っていたら、もうカーテンコール。余韻を味わう暇も無く。
もう少しだけ、甘い夢が欲しかった。おっしゃる通り、誠実で真面目な末原さんの人柄から生まれたラストシーンなのは解ります。実際に保健所で殺処分される犬猫の数字は厳しい現実を突きつけてきます。“コイヌはタスカリマシタ。メデタシメデタシ”なんてのは滅多に起こらない美談だからこそニュースや映画になるんですよね。
だけど、“現実”と隔絶された“芝居”の持つ役割って、何なのでしょう? 「これが現実なんだよ」を教えるばかりじゃない筈です。折角、“想像力”のパワーを駆使して、一万年後のヤクタタズの夢の世界に連れていってくれたのに・・・。
あざとい嘘で騙してくれとは言わないけど、もう少し、上手い魔法の掛け方、研究して頂けないでしょうか。あくまで私個人の我儘ですが。
「一期一会」を大切に、その日に思いついたアイデアも即実行して舞台に生かす、そうやって生まれ変わり続けた作品だそうですね。ですから、これから先も、更なる進化を期待しております。