興味深い舞台でした
遅ればせながら、誰も書いてくれないので書いておきます。
廃校でやるってだけに、様々な趣向を凝らした「ハイコーチャレンジ!」。
今回は体育館内の特設アリーナ(プロレスかっ!)が会場。 しかも、ステージも観客席も六角形で、まるで亀の甲。 但し、客席の後ろの空きスペースが第二の舞台となっていて、役者がぐるぐる「歩む」。
観客が見ていようが見ていまいが、歩く。
歩いて歩いて、中央ステージに登場。
自分の出番が終わったら、退場して歩いてく。てくてくてく。
そう、テーマは「あゆみ」―――“歩く”であり“歴史”でもあるタイトルだ。
割と平凡な、ひとりの女性の記憶の中の、切り取られた場面場面が、走馬燈の様に現れて過ぎ去って行く。
最初のうちは???だったが、やがてヒロインを何人もの女優が場面毎に入れ換わり立ち替わり演じているのが解った。 マラソンのたすきじゃないけど、赤いカーディガンがヒロインの証しなのだ、と。
演じる俳優はというと、演劇経験ゼロの方から最早古参と呼べる御仁まで、
彼等自身の“あゆみ”もまた、バラバラ。 でも、それはそれで、また一興。
やはり、発声や体の動きなどで差が出てるのだけど、目まぐるしく役が入れ換わっちゃうもんでいちいちチェックしてるヒマなんて無かったし、実際、さほど気にならなかった。
ステージをとり囲む客席からは、「どの席からでもよく見える」のは確かですが、やはり、背を向けて叫ばれると聞こえ辛い部分もありました。 (特に一つの文章をコマ切れにリレーするところ。チラシに大きく書かれていた文章をシェアしてるのは解ったのですが、台詞としてはほぼ聞き取れませんでした。シーンとしては凄く面白いのですが。) 表情が全く観れない、というのも悔しいし。
この、風変わりな円形舞台の設定は、「ループ⑩」という主催団体にちなんだモノなのかな?と思って観ていたのですが、彼女が歳をとって、その子供が、孫が、やはり彼女と同じ様に歩みを始めるところを見せられると、あぁ、あゆみって、決して平坦で真っ直ぐなものじゃない、曲がりくねって、戻って来る、輪っか―――代替りしていくから継ぎ手の長い螺旋みたいなものなのかな、それを表現してるのかな・・・と思える様になりました。
そのあゆみの途中で、一寸躓いたトコロ、でも通り過ぎちゃって、小さなトゲのようにチクチク痛むトコロ、もし時間を遡ってやり直せたら―――といつも心の中に蟠っていた想いを、ひとははっきりと“認める”ことで、先に進めるんじゃないか。
そんな事を教えてくれるお話でした。 (ちょいとネタバレになっちゃったかな?)