chibineko12の観てきた!クチコミ一覧

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ブラザーブラザー

ブラザーブラザー

Doris & Orega Collection

THEATRE1010(東京都)

2013/11/01 (金) ~ 2013/11/02 (土)公演終了

満足度★★★★★

コメディだけど+α
シアター1010で、Doris & Orega Collection vol.7『ブラザーブラザー』初日観劇。

キャスティングはvol.5『ナンシー』のときとほぼ一緒。
そのせいか、それぞれの役柄も似たような感じ。

笑いの中にもちくちくと刺さる、家族にしかわからない事柄や関係性。
家族だからといって、本当にその人のことをわかっていたのか?と問いかける。
観終わった後に、温かいものがほこっ。。と残る作品。

公演前の西村雅彦さんのインタビューで、「消費されるコメディでなくお客さんの心に残るものを作りたい」とおっしゃっておられたことに納得。

老若男女、初心者にもおすすめの舞台。

ネタバレBOX

前回のvol.6『地球の王様』では、ラストの消えものはカレー、今回はお寿司。
ここはシリーズ化するのかな?(笑
『ムサシ』ロンドン・NYバージョン

『ムサシ』ロンドン・NYバージョン

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2013/09/27 (金) ~ 2013/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

おもしろかった~♪
作品中に一貫して流れるテーマは「恨みの連鎖を断ち切る」、「命の尊さ」について。
休憩込みで3時間超えの作品です。役者さんたちはほぼ出ずっぱりで、早い掛け合い、長台詞と負荷が相当にかかるのではないかと思われます。
ですが、中だるみのないテンポのよい展開。終始笑いが絶えません。
練られた脚本に芸達者で化物級(褒め言葉です)の役者さんたちが奏でるお芝居を堪能しました。
観終わった後素直に、「おもしろかったなぁ~」と思える作品でした。

無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

無休電車【本日大千秋楽☆10/21(月)14時開演、当日券若干枚ございます!!!】

劇団鹿殺し

青山円形劇場(東京都)

2013/09/27 (金) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

いいなぁ~大好き♪
劇団鹿殺しは初見。東京千秋楽を観劇。
懐かしく、切なく、哀しいのに見終わった後に温かいものが残ります。
泥くさいけど、胸につーんとくる素敵な作品。
特に楽隊の電車が好き♪

役者さんは、菜月チョビさんがかわいい♪ オレノグラフィティさんもいい♪
客演陣も、客演とは思えないほど馴染んでいて違和感がありませんでした。

ネタバレBOX

美術の使い方がよいです。特に、ラストの円形劇場の特徴を活かした壁面一杯の満天の星空は圧巻。美しい夜空でした。

劇中劇でいちいち台詞の端々に、「ROCK!」「FUCK!」と言うのが笑えます。
劇中歌の「宝塚奇人歌劇団~イヨッ!ハッ!大当たり!」が頭に残りぐるぐる回ります。
兄帰る

兄帰る

ニ兎社

所沢市民文化センターMUSE マーキーホール(中ホール)(埼玉県)

2013/10/04 (金) ~ 2013/10/04 (金)公演終了

満足度★★★★★

笑いつつも実は怖い
二兎社公演38『兄帰る』大千秋楽を観劇。初演は未見。
永井愛さんの練られた脚本、丁寧な演出、一体感のある上手い役者陣で安心して観ていられた。
クスクスと笑いながら、最後にどん!と闇がやってくる。
本音と正論、家族と親族、厄介だけど避けられない現実の関係性。正論の象徴であるミニバラが哀しい。

ジャンキー・ジャンク・ヌードット

ジャンキー・ジャンク・ヌードット

good morning N°5

駅前劇場(東京都)

2013/09/20 (金) ~ 2013/09/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

昨年以上の笑劇な衝撃!
千秋楽を観劇。
昨年以上の笑劇な衝撃!
ストーリーはあまり気にせずとにかく笑える。
歌&ダンス&お芝居のエンターテイメント。
大の大人が大汗かいて、文字どおり体をはったさまが楽しい♪


ネタバレBOX

VIP席の方々へのサービスのため、サ○ウェイ方式のサンドイッチを野口かおる嬢扮する、“人間皿”からチョイスしたのは驚愕の極み。
雨と夢のあとに

雨と夢のあとに

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2013/07/27 (土) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★

やっぱりもにょもにょ。。
初演は2005年でそのときは観劇できず、その後にNHK「ミッドナイトステージ館」で放送されたものを観ておりました。今回は再演ということで、もう再々演はないだろうと観劇に。

朝晴や周囲の人たちが雨を想う心情には、ぐっときて涙がこぼれます。
ただ、こういう演出なんだろうとは思いますが、全体を通して台詞の言い回しが唐突で一本調子なので?となってしまい、感情移入ができないことが多いのが難点かと。たった一言で「○○なんだからわかってあげて!」みたいな台詞で片付けられても、観ているほうとしては「はい、そうですか」とは思えず、「それはないだろう~」と白けてしまうんですよね。。
キャラメルらしくテンポは抜群によいです。むしろよすぎて、観終わった後に疾風感しか残らないきらいがあります。
う~ん、なんだろうこのもにょもにょした感じは。。やっぱり私には、キャラメルキャラメルした作品はあまり合わないようです。ごめんなさい。

役者さんについては。。
客演の吉田里琴さんは初舞台とは思えないほど、すごく自然で伸び伸びしており、中学2年生のリアル感が出ていてよかったです。ただ、語尾が時折聞き取りにくいのが少々残念でした。
大内厚雄さんは本当にお父さんでした。娘の雨を想う優しい父そのもの。最後のほうは泣けましたよ。。

盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-

盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/07/06 (土) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★

蜷川版ということで。。
笑いは多く、キャストさんたちはとても魅力的で、体をはって熱演されてよかったのですが、作品としては、唐十郎さんの世界観が描けていなかったように感じました。唐十郎さんのあの泥々とした独特な世界、粘着質な皮膚感覚が全くなかったので、正直、肩すかしをくらったような気がしました。
蜷川版といってしまえばそれまでなんですが。。
最終的に印象に残ったのは、銀杏を演じた宮沢りえさんの怪演ぶり。

宮沢りえさんは前述のとおり。文字どおり体をはってらっしゃいましたね。床にのたうち回り、四つん這いになり。
古田新太さんと木場勝己さんは安定の存在感。よく通る低い声も魅力的。
小出恵介さんのフーテン少年は、いまいち、キャラクターが固まっていないような。

ネタバレBOX

美術は背景が黒一色。人の背丈ほどのグレーなコインロッカーが舞台幅いっぱいにあり、マッチの火が灯ったり、扉がいっせいに開き犬の毛も模した白い糸状のものが舞ったりします。ほかにも、このコインロッカーにプロジェクションマッピングでモノクロの海が映しだされます。
音楽は冒頭にパイプオルガン、ラスト近くに第九が使われておりました。
全体に色味のない舞台に、銀杏の真っ赤なワンピースと、影破里夫が持つガスバーナーの青い炎だけが色彩として印象に残ります。このふたつを印象づけるために、わざとほかの色を排除したのではないかとさえ思われました。
あと、本物の犬(シェパード、雑種の子犬)が登場したのはびっくり!

古田新太さん演じる影破里夫の白いふんどし姿には、『押忍!!ふんどし部!』なのかと思ったり(笑
非常の人 何ぞ非常に ~奇譚 平賀源内と杉田玄白~

非常の人 何ぞ非常に ~奇譚 平賀源内と杉田玄白~

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2013/07/08 (月) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★

笑えてほろり。。
マキノノゾミさんご本人もおっしゃっておられるように、マキノ節全開のどストレートな芝居です。真っ向勝負の直球。熱いです! 
M.O.Pを彷彿とさせるような「男!漢!侍!」な感じ。
早すぎた天才と実直な秀才、モーツァルトとサリエリのような、男同士の友情の物語。

キャストさんは男性5人のみ。無駄にわちゃわちゃした感がなくてよいです。まとまりもあっていいカンパニーなんだなと。
奥田達士さんと篠井英介さんは役数が多く、それぞれの役のキャラクターを、短時間できちんと演じわけておられてすごいなぁ。。と。やっぱり上手いです。
小柳友さんは初めて観たのですが、菊千代(佐吉)の陰とか闇の部分がよく出ていてよかったです。お綺麗でしたし、大きいけど(笑

ネタバレBOX

第一幕は、元禄時代の洒脱な風情が感じられ、軽めの笑いが中心で気楽に観ていられます。第ニ幕は、平賀源内の歯車が狂っていくさまが描かれています。
天才なのに、不遇なまま生涯を終えることになった平賀源内が切なく哀しい。しかも最後は獄中死。
ラストシーン、杉田玄白の独白は少々、気恥ずかしくなるほどのどストレート。その直後の号泣にうるっと。。ときたところで、「えっ?!」という展開に。
ぽん!と洒落っぽく終演。小粋な終わり方だな~と。こういう感じ好きです♪

『わが闇』(再演)

『わが闇』(再演)

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2013/06/22 (土) ~ 2013/07/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

演劇っていいなぁ。。と再確認♪
ナイロン100℃では珍しくないとはいえ、3時間超えの長尺にもかかわらず、冗長感が全くない展開。暗転も多いんですが。
始まった直後から、その世界観にすっ。。と入っていける不思議さがあり、『犬は鎖につなぐべからず』のときを思い出したり。

“家族”という、他人にはうかがい知ることのできない社会の最小単位。そこで大なり小なり誰にもあるであろう事柄と傷。
互いに傷つき、傷つけられ、誤解とすれ違いの数々。傍から見ればささいなことが、当人にとっては人生を左右されるほどの意味をもつことの怖さ。
それぞれのおかれている状況は決して楽観的なものではなく、むしろ、これからどうやって生きていけばいいのだろう。。?と思わざるをえないのです。

「劇団力」という言葉があるのなら、まさにそのものという感じでした。客演の方が三人いらっしゃいましたが、なんの違和感もなく劇団員の方々と馴染み、同じ世界観を構築されていらしたと思いました。初演と同じキャストさんたちでの再演とはいえ、なかなかできないのではないかと。
それにしても、本当にナイロン100℃の役者さんたちはすごい!

ネタバレBOX

アルバムの写真に込められた、父 伸彦の娘たちへの想い。これは彼なりの遺言だったのですね。。
ラストシーン。ストーリーテラーの岡田義徳さんが語る言葉に、微かな光が見えたように思えました。
「それでも彼らは生きていく」

カーテンコールは3回。
2回目にケラさんが登壇。慌てておられたのか、キャメル色の靴を履かれたままの土足状態でご本人も気にされておりました。
「忘れないうちに」とのことで、客演の方々のご紹介。
3回目にもケラさんが登壇。今度は靴を脱ぎ、イエローのソックス姿で。
「劇団が20周年ということで、万歳三唱を。大倉やれ!」と大倉孝二さんにふりましたが、見事にスルーされ、結局ご自分で万歳三唱の音頭を。
キャストさんたち全員と観客のみなさんで、「万歳!万歳!万歳!」の大合唱。大変に盛り上がりました♪
カーテンコールで万歳三唱をしたのは初めてです。貴重♪
とてもいい東京千秋楽でした^^
音楽劇『アルセーヌ・ルパン カリオストロ伯爵夫人』

音楽劇『アルセーヌ・ルパン カリオストロ伯爵夫人』

Studio Life(スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2013/07/04 (木) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★

ストレートプレイとミュージカルの融合♪
脚本・演出の倉田淳さんが「ストレートプレイ」と「ミュージカル」を合わせた「ストジカル」(造語)を目指し、「脚本、音楽、衣装も全部オリジナルでやりたい!」と倉田さんが熱望されたとか。
ミュージカルのようでミュージカルでなく、ストレートプレイでもない、変わった風味の舞台でした。
第一幕は聞きなれない地名、人物名とその関係性に集中して観ていたこともあり、少々単調な感は否めず。第二幕から物語がぐ~っと動き、登場人物の心情も大きく変化し、乱闘のシーンもありメリハリがきいていました。
テーマは「愛」と「憎しみ」。「愛してるんだ!」「愛しているのよ!」の応酬が続くのを観ながら、でもそれってエゴだよね、と。もともと、「愛」の発端は「自分ありきのエゴ」なのだし。。
Moiチームの初日ということもあり、全体に緊張感が感じられました。これから、もっと変化して進化していくのではないかと思います^^

客演のtekkanさんのソロは圧巻! 歌われると一瞬で空気が変わります。客席に訴えかけてくるパワーのある声量と表現力に圧倒されました。
ラウール・ダンドレジー役の岩崎大さん、素敵ですね~♪ 
ジョゼフィーヌ・バルサモ役の青木隆敏さん、どんどん心情が変化していくさまがよく出ていて、年齢不詳で稀代の悪女を好演されておりました。
この役は難しいですよね。ジョゼフィーヌが悪女として成り立っていないと、作品にならないと思われますし。

ネタバレBOX

ラウール・ダンドレジー役の岩崎大さん、女性役の成人男性を軽々とお姫さま抱っこされておりましたけど、本当は重かったんでしょうね。。? 
初日だからでしょうかね?1~2回噛んでおられましたけど。
あと、乱闘シーンでの必殺技の後で、「日本古来の技なんだ♪」と微笑まれておられましたけど、どう観ても某DBZの「カメハメハ~!」ですよね(笑 

この日は舞台挨拶がありまして、キャストさん全員のご挨拶。作曲の村井邦彦さんも、客席からご挨拶されておりました。
覚えているところを幾つか♪ うろ覚えなので、間違いはご容赦のほどを(笑
「身内だからですが、ジョゼフィーヌ役の青木が整形かっ!ってぐらい綺麗になってまして。メイクさんのお陰です」
「時間が経つと背が小さくなります」(ラウール・ダンドレジー)
「村井先生には、今回だけと言わず、これからも我々と共に茨の道を!」
この後、カーテンコール1回。
アルテノのパン

アルテノのパン

ジェットラグ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

小気味いい娯楽作品♪
懐かしいアメリカドラマのような味わい。
後半、ぐっ。。ときつつも、決して湿っぽくならないテイスト。
テンポよく、コミカルで後味がいい作品でした。

特に、アルテノの幼なじみ3人組(矢崎広さん、小橋めぐみさん、坂口辰平さん)がよいです♪

ネタバレBOX

個人的には、ベテランの三浦浩一さん演じるジャンが、本人確認のためにやらされるおかしなダンスと、矢崎広さん演じるアルテノが、無茶ぶりでやらされる気合十分な「す」の字がツボでした。

3軒茶屋婦人会5 ブライダル

3軒茶屋婦人会5 ブライダル

G2プロデュース

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/04/20 (土) ~ 2013/05/02 (木)公演終了

満足度★★★★★

男優さんが演じる女性のかわいらしさ♪
暗転はなく、照明の明るさを落とした状態で場面を転換しており、椅子とミニテーブルだけでマンションの部屋、ブライダル会場などを表現しています。
場面転換のとき、音楽に合わせて役者さんたちが無言で鋭角的に移動していくのが、美術と相まって心理描写として効果的でした。

男優さんが女性を演じることで、泥々としたストーリーと人間関係なのに、それを感じさせずに観せることができるのだと思いました。生々しさが軽減されて、笑いに転化されていく感じ。
とにかく、役者さん3人とも存在感はあるし、所作は女性のようだし、上手いです。間といい、目線といい、絶妙です。

泥々した内容だったにもかかわらず、後味がすっきりした愛らしい、G2さんらしい作品でした。

カーテンコールは2回。2回目に大谷亮介さんがごあいさつ。なかなか話が進まず、篠井英介さんが時折フォロー。
劇中、椅子やミニテーブルの移動をブライダルスタッフの衣装でされていた、本当にスタッフの方を呼んでこられてご紹介。すでに着替え済みでちょこっとだけ袖からお姿を出されてました。

ネタバレBOX

衣装がとてもよかったです。おそらく全部女性用と思われる衣装を、役のイメージぴったりに着こなしておられて。特に、篠井英介さんの膝上丈の真紅のワンピース、黒いカーディガン、黒いハイヒール姿は圧巻。お美しい。。♪ 
深沢敦さんもアップにした髪型とメイク、ふんわり~とした素材とデザインの衣装がお似合いでした♪

陽子は仕事とかつての恋人だった義男のこと。真由美は秘めた香織への想いを。香織は離婚した過去を。それぞれ、胸にしまいこんだままストーリーは進んでいきます。
3人とも自分の幸せのために必死で、あがいていて、滑稽で。でも、それが哀しく、愛おしい。
ラスト、3人でベンチに座りこみぼそっと歌う、KANの『愛は勝つ』。聴いていてしんみりしそうなのにむしろ笑えるんです。
それが救いなのかもしれませんね。
サイレント・フェスタ

サイレント・フェスタ

東京ハートブレイカーズ

吉祥寺スターパインズカフェ(東京都)

2013/04/25 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

パワフルな男祭り♪
冗長感が全くなく、スピード感があり、説明調な台詞もないのにきちんと状況がわかる脚本と演出。
パワフルで、笑えて、その間を縫うように表現される心情にぐ~っと引き込まれていく。。そんな素敵な作品でした。
もちろん役者さんなのにみなさん演奏も上手いですし、今も首藤さんのシャウトした歌声が頭の中でリピートしております。

ほさかようさんの脚本と演出もさることながら、演じている役者さんの楽しげで真摯な姿がよかったです。

上山竜司さん、繊細な奏が苦悩する姿を好演。スツールに座り、背中を丸めた後ろ姿だけの演技がちゃんとそのことを語っていました。
岡田達也さん、弟思いのお兄ちゃんを好演。
首藤健祐さん、考えてなさそうで考えている、でもそれが相手に伝わりづらい不器用なお兄ちゃんをパワフルに好演。
みのすけさん、ナイロン100℃『デカメロン21』の父親役とは真逆のさらり感。
石川よしひろさん、ごついのに、ぼそっとおもしろいことを言ったり。台詞の音量と間が秀逸。
須貝英さん、西山宏幸さん、萩野崇さんもいい感じでした。特に、西山さんのなんともいえない身体表現がおもしろいです。
曽世海司さん、どなたかの感想で読んだのですが、「エレガントなキモかっこいい」をそのまま採用させていただきます。あ、褒めております♪
粟根まことさん、安定の粟根さん。おもしろいです。

ネタバレBOX

誰もがみんな、突然、聴力を失った奏を心配していて、でも、変えられない現実に苦悩していて。。 
奏は奏で「なんでなんだよ?!」と自分のおかれた状況に怒り、苦悩し、諦め、自分の殻に閉じこもっていて。。

ラストのライブシーンで、奏をみんなで勇気づけるところに泣けました。

ゴドーは待たれながら

ゴドーは待たれながら

ナイロン100℃

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/04/06 (土) ~ 2013/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

「待たれること」の絶望
大倉さん演じるゴドーは延々と大きな声で、この家から出て行けない、行かない、出られない、出る気がない言い訳を言い続けます。おかしなリアクションをしたりして笑いを提供しながら。
そのうちに段々と空想から妄想へと変わっていき、焦燥、不安から狂気に変容していきます。このくだりがなんとも言えない気持ちになるのです。こちらまで不安と焦燥感に煽られるような。。 歯車が微妙に微妙に、少しずつ少しずつ、噛み合わなくなっていくような、居心地が悪い感覚。
「待つこと」の希望。「待たれること」の焦燥と絶望。「待たれること」は「待つこと」よりもっと絶望的なのだと。

大倉さんは心身共に酷使した熱演でした。白髪にするための化粧品の白い色が汗で流れて、首筋に何本も白い筋を作っておりました。休憩を入れて2時間、出ずっぱりしゃべりっぱなし、動きっぱなしの一人芝居。たった一人で板の上で戦っている姿に感動しました。

声の出演だった野田秀樹さん。子供という設定とはいえ、無邪気なきょとんとした声の調子がゴドーと対照的で、笑いを誘いながらもゴドーの狂気さが際立つようでした。声だけでニュアンスを表すのは難しいと思います。野田さんもすごいな。。と。

ネタバレBOX

客入れは吹き荒れる風の音。
美術はシンプルですが、細部にまでこだわって作られていて繊細でリアル。中央奥には、フレーム状の古びた木材の構造物が少し斜めに傾いてあります。その上部に小さな開口部と窓。開口部からは大きな梁が客席側に向かって突き出ています。この斜め具合といい、張出し加減といい、不安な気持ちにさせられます。
舞台前面にも同様のフレーム状の構造物があり、下手側にはドア。ハンドル状のドアノブは錆て茶色に変色しています。構造物の下部は所々素材が剥がれ落ち、蔦が絡んだ跡が見受けられます。
今回、最前列のセンター席だったので、かなり細部まで観てとれました。ほとんどの観客席からはここまでは観えないだろうと思われるのに、ここまでリアルな質感を再現してあるこだわりに脱帽。
窓からは、ぐるぐると渦巻く雲が映像で映しだされています。よく西洋絵画で見かけるような色合いと雰囲気の雲です。この雲がなんとも言えない不安や焦燥感を煽っておりました。
中央に大きな古びた蓋付きの木箱。その手前に同じく古びた木製の椅子が1脚。上手にマンダラゲ(実際には枯れた?エンゼルストランペット)の大鉢。
衣装は黒いフェルト帽、黒いジャケット、黒いパンツ。基本、裸足ですが、ダークブラウンの革靴もあります。どれも見事に埃で白っぽくなったり、ほつれたりしています。ゴドーというと連想するいでたちそのものです。

ラストシーンで椅子に座り、足を組み、顎に手をやり、無言、無表情で固まったような姿のゴドーはもはや仙人のようでした。

カーテンコールは2回。1回目は大倉さん登場。2回目はケラさんが客席側から登場。以下のようなお話をされました。記憶のみを頼りにして書いているので、記憶違いはご容赦のほどを。
ケラさん「え~大倉は今、袖で死ぬ前の力石になっていて。ちょっと待って。楽屋見舞いが病院見舞いみたいになっていた」
大倉さん登場。
ケラさん「やり終わってよかった?」
大倉さん「それほどでも。。」
というような、壮絶だったであろう公演のお話をされておりました。本当にお疲れさまでした。
私のダーリン

私のダーリン

東宝

シアタークリエ(東京都)

2013/03/26 (火) ~ 2013/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハートフルコメディ♪
玉野和紀さんの舞台、『DOWNTOWN FOLLIES』シリーズが大好きでしたし、NHKの舞台のようなドラマ、『ママさんバレーでつかまえて』の黒木瞳さんのコメディエンヌぶりも好きでしたので観劇に♪ あと、便利屋の若手さんたちも観たかったし♪

時間が行き来しますが、ストーリー自体は入れ子式の複雑な構造とかではないので、難しく考えずに素直に観ると楽しめるかと。歌あり、踊りあり、タップあり、笑いあり、最後にほろっとする文字どおりのハートフルコメディです。
観終わってから、玉野さんはとてもロマンチストな方なんだろうなぁ。。と思いました。黒木さんの弁ではないですが、一家に一人は欲しくなりますね「虎ちゃん」は♪ こんなに優しくて誠実で、寛容な自分だけをず~っと愛し続けてくれる男性はそうそういないでしょうけどね。

カーテンコールは2回。1回目は三方礼、2回目は全員で手をつないで。

ネタバレBOX

ストーリーはフライヤーの写真も伏線となっており、最後まで観ると、あぁそうだったのか。。という展開になっております。

客入れは静かなピアノ曲。
舞台美術はいたってシンプル。上手奥にクラシカルな街灯。中央奥に大きな噴水(実際に水が張ってある)。下手奥に生バンド(ここで生で演奏されます)。暗転後、これらの前方に、天井高ほどの窓や二階の寝室、キッチンが現れます。

冒頭から黒木さん演じる夢子と玉野さん演じる純一郎の出会いのシーンで、2人で噴水に落ちて全身ずぶ濡れに。この後も同様のシーンがあります。
実際に噴水の中に水を溜めてずぶ濡れになるとは。。黒木さんのアイデアだそうですがびっくりです! 
直後に出てくる錦鯉ダンサーズには、客席は笑っていいのかどうなのか戸惑い気味の様子でしたね。おもしろかったんですけどね~ちょっとびっくりしたのかも、元タカラジェンヌ娘役トップ 愛原実花さんまでが満面の笑みで麗しく踊っておられたので。
ほかにも、便利屋3人組に玉野さんが「テニスのサークルやってたんだって?」から始まるテニミュねたやら、日替わりらしい玉野さんの無茶ぶりコーナーやら、元タカラジェンヌ男役 愛音羽麗さんの便利屋3人組にレクチャーするホストの振る舞い方やら、そこから発展して元タカラジェンヌ娘役トップ 黒木瞳さんとの『ベルサイユのばら』やら、小ネタが満載です。ちなみに、この日の玉野さんからの便利屋3人組に対するお題は、「しゃくとり虫とだんご虫の戦いゲーム」でした。大河さんが審判役、だんご虫役が村井さん、しゃくとり虫役が古川さん、リアクション大のいい戦いっぷりでした。古川さんがしゃくとり虫の意味を間違えておられたようですけど(笑
デカメロン21~或いは、男性の好きなスポーツ外伝~

デカメロン21~或いは、男性の好きなスポーツ外伝~

ナイロン100℃

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

大人のためのドライなエロティックエンターテイメント
ケラさん曰く、「艶笑劇=エロティックコメディ」だそうなので、最初からそのつもりで観劇しました。エロティックだけれど不快でなく、サラッとしたドライな感じです。
倒錯愛はあるし、倫理的にも?は多いし、犯罪もあるのだけれど、そこはそれとして。いい悪いを追求するなんて野暮はしっこなし。ただそういうものを、ポンポン!と目の前に観せられ、それを楽しむ大人のエロティックエンターテイメント。
もちろん、これは好き嫌いがはっきりと分かれるところだと思うし、心身共に疲れているときや、親御さんモードの方にはおすすめできないかも。
観ていてつくづく思ったのは、役者さんが演じることって体を駆使することなのだなぁ。。と。人の体や動きって、見た目の美とかだけではない美しさがあると感じました。

映像、音楽、照明による演技のきっかけが多く、それがぴったりと合っていてとても効果的でした。ケラさんならではのスタイリッシュ感♪ やっぱりこのテイストは好きです♪
ただ、これをこなすスタッフさんやキャストさんはさぞかし大変だったろうと推察。少しでもきっかけがずれたら、間の抜けたものになってしまうし。

役者さんはみなさん上手いし、客演の方までもまるで劇団員のような自然な溶けこみ具合に驚きました。劇団員の若手さんなのか客演さんなのかよくわからないほど。
松永玲子さんは大人のエロが全開!いいですね、レイチェル♪ AGAPE STORE のときのサラ役での色っぽい怪演?を思い出しました。
新谷真弓さん演じるフィリップがもうとにかくかわいい♪ お持ち帰りしたくなるくらいのかわいさです。『東京のSF』のときの少年もかわいかったですが、今回はそれを上回るかわいさでした。

カーテンコールは1回。お忙しい中、ケラさん登壇。客演のみなさんをご紹介したのですが。。名前が出てこなかったりして(笑
あと、体調不良で開幕直前に降板されていた村岡希美さん、お元気なられて退院されたそうです。ご本人からその旨、連絡があったそうです。よかったです、お大事になさってください^^

ネタバレBOX

客入れは街中の雑踏の音。店のアナウンス、人々の喧騒。
美術はシンプル。背景と両サイドに、円形+フィンガービスケット状のものが交互に。中央に、フィンガービスケット状のものが6連に連なったパネル。真ん中から3連ずつに分かれる可動式(キャスター付き、後ろに人がいて人力で移動)。
時折、天井からスクリーンが降り映像が映しだされます。

今回の作品はDVDにはならないとのこと。演劇はもともと、消えものですものね~
続・11人いる! 東の地平 西の永遠

続・11人いる! 東の地平 西の永遠

Studio Life(スタジオライフ)

紀伊國屋ホール(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★

哀しみと希望
キャストさんたちはほぼ前作と同じです。新たに増えている役の方が追加になっております。なので、観ていて混乱せずによかったですね。
前半、アリトスカ・レとアリトスカ・ラの歴史、文化、現在の関係などを説明するために費やされ、原作に忠実ではあるのですがやや冗長感が否めず。正直、このテンポだとちょっと厳しいかも。。と思ったり。
オーセの殺害後から急速にテンポがよくなり、俄然おもしろくなりました。前作はミステリー、今回はサスペンスという感じです。

それぞれのキャストさんについて。
ローンとチュチュが原作のイメージに酷似していてびっくり! 特に、チュチュ役の関戸博一さんがいいです♪ 気が強く、真っ直ぐで、それでいてとても女の子らしいチュチュを好演されておりました。本当に女の子のようでしたもの。
フロルは前作からぐっと乙女になり、タダはフロルをせっせと世話焼きしていて健気。そして、とってもラブラブ♥ タダ役の松本慎也さんとフロル役の内藤大希さんはいい関係が築けているのだろうなぁ。。と。意外と大事ですものね、共演者の関係性ってどうしてもその空気感が出てしまいますから。
マヤ王バセスカ役の堀川剛史さん、かっこいいです♪ 前作よりもぐっと男らしく、王としての威厳に満ちておりました。くるっと踵を返して去っていくときの後ろ姿が凜として素敵です。
四世役の仲原裕之さん、友情、家族への愛情、自分自身の希望、それらの板挟みになり苦悩した挙句にとる決断、その姿には涙が出ました。熱演でした!
バパ大臣役の倉本徹さん、ベテランの巧さが際立っており、コミカルなところ、凄みをきかせるところ、苦しい心情を吐露するところなどがきちんと演じ分けられながらも、キャラにはぶれがないという凄さ。存在感も大。
ゾンブル長官役の笠原浩夫さん、悪くて胡散臭い感じが全開でよかったですね~ 敵役はくっきりとしていないと、ストーリーがふにゃっとなってしまいますから。
あと。。新人さんたちがときどき、観ていて、う~んとなってしまうのがままあり、これがなければさらによかったんですけど。

ネタバレBOX

印象に残ったシーンについて。
四世が苦渋の末に自殺する道を選ぶところ。
チュチュがバセスカに謝罪し、その頬にそっとキスするところ。
バセスカがバパ大臣に自殺用の白い水を渡すときに、「私はおまえが好きだった。。」とつぶやくように言うところ。
どれも観ていて胸にぐっとくるものがあり、涙が浮かんできました。

原作では最初に出てくるシーンがなくなっていて、はしょっちゃったかな?と思ったんですが。。 このシーン、意外なことにラストにもってきてありました。哀しみ、苦しみを乗り越えて前に進んでいこうとする彼らの気持ちを表したいがために、ラストにもっていったのかな。。と思いました。
それぞれの想い、それぞれの正義、哀しみと希望、それらを感じさせるいい作品でした。

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