マガランの観てきた!クチコミ一覧

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『うれしい悲鳴』/『太陽とサヨナラ』(終演しました! ご来場ありがとうございました!)

『うれしい悲鳴』/『太陽とサヨナラ』(終演しました! ご来場ありがとうございました!)

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2013/10/23 (水) ~ 2013/11/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

「うれしい悲鳴」
昨年3月に上演された「うれしい悲鳴」。
アマヤドリの前身、ひょっとこ乱舞の最終公演で
初めて観たのに衝撃を受けた。
その世界、表現、俳優など魅力的な作品が、
1年半後に新たなキャストで再演。

ネタバレBOX

やっぱりこの作品は好きだなと思った。
初演とどうこう比較するのは、本来おこがましい。

あえてそれを踏まえて初演に比べて
今回の再演の特徴をあげるとするなら、

・作品世界の背景が理解しやすくなった。
・初演が「動」なら再演は「静」のイメージ。

オープニングのシークエンスは初演が好き。
だけど今回はリーディング形式で
作品の世界を語る感じ、これはこれで良いなと。

マキノ(西村壮悟)の痛覚を持たない男の鈍感さ、
何でも過敏症という病気を抱えるミミ(藤松祥子)の
性格に及ぶまで神経質になる過敏さが
より明確に伝わった気がする。

ミミが素晴らしいなと。
初演では二人で演じた役を、
今回は主に一人で演じていたが、
終盤のミミと母親(百花亜希)の
繋がりを示す回想シーンが
ワークインプログレスから観てきても、
本当に良くて揺さぶられる。

この再演で素晴らしいのはラストで、
降る雪が、静のイメージを濃く表し、
そしてその後で一気に躍動する群舞に
ガツンと持っていかれた!

衣装も、舞台美術もよりシンプルで
戯曲的内容も含め良かったと思う。
「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

2012年の最後
観劇納めには相応しい濃い時間。

ネタバレBOX

「マボロシ兄妹」
谷さんの演技は初めて観ました。
山崎さんの作品が深いので、
自分には十分理解しきれなかったとは思う。
それでも何か引き付ける力がある。

「ふたりマクベス」
今年、次ごう3作品のマクベスを観てきて
濃い~なと感じ、魅了された。
マクベスとマクベス夫人のふたりだけに
焦点を絞ったのが、女優、岡田あがさの魅力を
存分に表現していた。
山崎さんも堕ちていくマクベスがハマっていた。

他には芝居の裏側として
終演後のバラシを経験し、
年越しの打ち上げにまで参加して
さらに演劇を堪能した年末年始となった。
広くてすてきな宇宙じゃないか

広くてすてきな宇宙じゃないか

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2012/09/14 (金) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

広くてすてきな・・・
今作は、劇団の代表作の一つで
言わずもがなの面白さ。

前段の話である「銀河旋律」も含め、完成された物語。
SFであり、ホームドラマであり、コメディでもある。
十分に笑わせてもらい、最後にぐっと掴んでくるのは流石。

劇団ほぼ全員出演のまさにお祭りでした。

ネタバレBOX

3チーム中、次の2チームのみ観劇。

<フォレストキャスト>

過去の公演で何度も「おばあちゃん」を演じ続けてこられた、
大森美紀子さんのチームは安定感があると感じた。

柿本も西川さん、3人の子供たちも観ていて安心。

サイゴウ/ヨシダ先生役の真柴さんが弾けてて面白かった。

<スロープキャスト>

初めて「おばあちゃん」を演じる坂口理恵さんは、とにかく元気。
元気に柿本家を引っ張っていく感じ。

ここでもサイゴウ/ヨシダ先生役の前田さんが
突っ走ってて面白かった。
進化とみなしていいでしょう

進化とみなしていいでしょう

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/07/28 (土) ~ 2012/08/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

クロムが見せる進化
クロムモリブデン、2回目。
飛び込みで観れて、すごいものを観たという感覚。

ネタバレBOX

前回の「節電ボーダートルネード」でもそうだが、
クロムの作品を完全に理解するのは無理だと思った。

それでも断片的に分かるものや、観た人が個々に
感じるものが無限に存在するように思えるところが凄い。
それに音響や舞台装置など、とにかく全てが洗練されている。

五輪熱が冷めぬ中、開幕の少し前に、
10数年ぶりに世間を騒がせた
あのオウムの逃亡犯事件がモチーフなのだろう。

現実と虚構が行ったり来たり、
どちらなのか、どちらでもないのか。

世田谷症候群とか、コミュニケーションなどに
何かしら障害がある人を色んな病名で呼ぶが、
何にでも病名をつけて納得させようとする、
現実に対する皮肉のようにも思えた。

ある意味、コミュニケーションの欠如も
進化と一つとみなしていいのかな。

幸田さんはあんなに長身で足が長く美人なのに
なぜ観ているだけで可笑しさを感じるのか。
あのビビッドな刑事の衣装のせいか?

久保さんの時事ネタ、五輪ネタを絡めた
アドリブの(ような?)台詞回しが面白い。

武子さんの身体能力の高さは、観るたびに感嘆する。

これだけのボリュームを80分にまとめられる
脚本の青木さんの手腕が凄い。
傷は浅いぞ

傷は浅いぞ

柿喰う客

東京タワー フットタウン1F 特設ステージ(東京都)

2012/11/09 (金) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

まるで
怒涛のように迫りくる台風のような作品。

ネタバレBOX

とにかく全編通して笑い、圧倒されつくした。

柿喰う客を知ったのが昨年(2011年)からなので、
それより前の作品を新たに生で観れるのは嬉しい。

主人公アユミの突っ走り感がただただ見事な深谷由梨香。

周囲に翻弄されてもなお
身体能力の高さと言葉巧みさでついて来る永島敬三。

徹底的なダークさを出して
物語の過酷さを体現する葉丸あすか。

相変わらずの怪しく不思議な感じで
一瞬で空気を一変させる大村わたる。

テンポの良さ、笑いの応酬、
傾いた円盤上のステージを駆け巡る
圧巻の舞台だった。
組曲『回廊』

組曲『回廊』

空想組曲

OFF OFFシアター(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

玉手箱のように
色んな物語を楽しめて飽きが無い。
笑って、ジーンときて。
繋がりがある男性と女性が出会って
すれ違う「回廊」は秀逸。

ただやはり今回も小玉久仁子さんにしてやられる。

ゴミくずちゃん可愛い

ゴミくずちゃん可愛い

ぬいぐるみハンター

王子小劇場(東京都)

2012/08/22 (水) ~ 2012/08/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

元気をもらった
初めて、ぬいぐるみハンターの作品を観劇。とても元気をもらえた。

ネタバレBOX

近未来。
東の方の最果てに、かつて夢の谷と呼ばれたゴミ谷があった。
世界中から飛行機に乗せて落とされる鉄の雨=ゴミによって
ゴミ谷は、いつしかゴミの山となっていた。

生まれて間もなくゴミと一緒に捨てられたゴミ(浅利ねこ)と
同じ頃にゴミ谷で生まれたソニー(満間昂平)、
彼女らを取り巻く人々の物語。

***********************************************************

ゴミの登場から冒頭のダンスは、キレキレで良かった。

全体的にテンポ良く、疾走感があり、2時間15分でも飽きが来ない。

中央に丘のように置かれた、
地球を模した球面のみを舞台装置として
そこを中心に走り回り、動き回る。
ゴミがなくてもそこはゴミ谷に見え、
まるで宇宙を通して地球、世界全体を見ているようだった。


戦争、平和、企業同士の争い、デモ…
どれも難しいテーマだが、どんなに理屈やシステムが難解でも
ゴミの元気さ、明るさ、可愛さが吹き飛ばしてくれる。
彼女が活き活きとしていると、
ゴミ谷でも楽しい場所なのではと感じさせられる。

けれど世界の最終処分場であるゴミ谷は、目的地ではなく、
一つの通過点に過ぎないと感じた。

ゴミ谷にやってきた、アスナロ(猪股和磨)、イチノセ(川本直人)、
スナフキン(平舘宏大)。

脱走兵のアスナロは、召集令状をもらい、
自分が必要とされていることを感じ、戦場に戻っていく。

旅人のスナフキンは、探していた恋人ポルノ(富山恵理子)と奇跡的に再会し、
世界に戻っていく。

戦場カメラマンのイチノセは、世界を捉えるため、写真を撮っていたが、
ゴミにカメラを通してみる世界の素晴らしさを教え、
ゴミを外の世界へ導いていく。

劇中、ドク(江幡朋子)が「ここ(ゴミ谷)は長くいる場所ではない」
と何度か言っているが、
皆、きっかけがあれば、自分のいる小さな世界から、
外の大きな世界へ飛び出していけるのだと、
言われているような気がした。

ラスト、18歳を待たずにゴミは死んでしまう。
ゴミの誕生日にみんなが集まって記念写真を撮るところに、
ふらっとゴミが現れて一緒に写真に納まる様が、なんか良い。


キャストは全て魅力的。

主役のゴミは言わずもがな、浅利ねこのパワーに下支えされ、
誰からも愛されるヒロインになっていた。

ゴウトクジ(浅見紘至)は、気味悪さ全開で出てくるだけで笑いが起きる。
それに真っ向からクニマツ(工藤史子)が自由なおとぼけのツッコミをかまし、
時折、コムスビ(橋口克哉)くんへ振り、終始、笑いが絶えないトリオだった。

荒っぽいけど、面倒見の良いサソリ(佐賀モトキ)と
誰もが頼れる存在のドクというのも物語には必要なポジションだと思った。
テノヒラサイズの飴と鞭と罪と罰

テノヒラサイズの飴と鞭と罪と罰

テノヒラサイズ

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2012/11/06 (火) ~ 2012/11/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

質の高い群像コメディ in 富士山頂
先日、リンクス東京で初めて観て、またすぐに東京で公演されると聞いて気になり、行ってみました。

ネタバレBOX

<あらすじ>
富士山で、山をまるごと地熱発電所に作り変えようとする
大規模な国家プロジェクトが国交省の管轄で進められていた。
山頂では、6社の民間企業の担当者が住み込みで、
掘削機械や発電設備などの各部門で他社と競合し、
契約を取るために働き、半年が経っていた。
すでにプロジェクトから撤退したミツカネ産業(湯浅崇)は、
富士山の模型作りなど無駄な作業をしながら居残り、
周囲のストレスとなっていた。
そんな中、電話番で一人になった大同電力(松木賢三)の前で
噴火を知らせるランプが光って…。

2年前に上演された作品のようで、
震災後の今には少々デリケートな部分もあるようだが、
それを感じさせない出来の良さ。
今だからこそというのもあるのかもしれない。

話のテーマ自体も面白いと思った。
実際そう簡単に富士山で工事はできないだろうけど、
SFっぽい設定は、ワクワクする。
X-10とか出てくると特撮メカのように感じられるし。

そんな荒唐無稽なプロジェクトが土台でも、
そこでの会社間の人間模様はリアル。
姑息な嫌がらせしたり、談合を持ちかけたり…。
一方でつまはじきにされたミツカネ産業は
ファンタジーワールドを作って妙な自信を持ったり。

アフタートークに出られていた、手塚さんもおっしゃっていたが、
要所でのリアルとフィクションのバランスが良い。

それに、台本が巧く出来ている。
最初は立場や存在意義が俄然弱いミツカネ産業が、
トラブルなどで、周囲の人間関係が変わっていく中で
立ち位置が二転三転、
いつの間にか中心になって皆を鼓舞する立場になっちゃたり。

また一つの仕事をするために集まった面々は、
裏でいろんな思惑、事情を抱え、どうにもまとまりが悪いが、
一大事のトラブルの際に心底、一致団結できるっていうのが
ちょっと皮肉っぽさもありつつ、最後にはほろっと感動させられる。

あと段ボールに工夫すると、色んな表現が出来るもんだなと。
ま、○○○には一瞬しか見えなかったけど。


アマヤドリの田中美甫さんがリンクスに続き、出られると言うので、
ご本人と初めてお話した。
素顔とは違う、妙に所々でパンチの効いてる役で面白かった。
演劇

演劇

DULL-COLORED POP

王子小劇場(東京都)

2016/05/12 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

これも「演劇」
一筋縄ではいかない「演劇」だった。

ネタバレBOX

初日を観ました。
観た直後にはとにかく凄いものを観たな、という衝撃があり、
次第にじわじわと感想が立ち上ってきた。
他に観た方の感想を見ていて
同じように端々に「演劇」を感じた。

「この世は舞台」とシェイクスピアの台詞を引用するように、
現実世界もやはり「演劇」なのではないか、
という根本的な問いに迫っているが、
決して小難しいことを押し出していることもなく。

2つの時間軸の小学校の卒業式間近の時期で、
一方では、将来に不安を感じながらも懸命に自分を貫こうと奮闘するぼく(百花亜希)を、
もう一方では、自殺未遂をした6年生のヤナミシズカについて
彼女の父親への対応と卒業式への出欠に苦慮する教師の松野(東谷英人)を、
それぞれ中心にして描いている。

松野はおそらく作者である、谷賢一さん自身なのだろう。

公園にいる怪しいおじさんとか
そういえばそんな人いたような気がするなと思わされたり、
ぼくのパートでは郷愁を誘う。

ちんちんのくだりは、個人的には面白いけど賛否があるやも(笑)
女性のお客様で渋い表情の方がいらっしゃった。
この性への目覚めによって一歩大人に近づいていき、
同時にこれまで持っていた何かを失うのだろうとも感じた。

ヤナミシズカを卒業式に出席させるかという教師と保護者のシーンは
圧倒的で濃いシーンだった。
もしかしたらヤナミシズカはあくまで想像だが、
今公演を残念ながら降板してしまった
劇団員の中村梨那さんと符合するようにも思えた。
彼女の出席の対応に苦慮する松野が
やはり谷さんに見えるような気がした。

ラストで「ぼく=少年時代の松野」と教師・松野が対峙するが、
あれは谷さん自身の今と昔というより、
現在の谷さんの中にある強い思い(少年の松野)と
現実を冷静に見据える谷さんの視点(教師の松野)の対峙とも思えてくる。

小劇場というものに敢えてこだわったり、
「小劇場あるある」(開演時間押し等々)に挑んだり、
違うステージに進む前に
小劇場で今出来ることをやろうという
強いエネルギーを感じる舞台だった。
こういう「演劇」だってあるんだよ、と
言われているような気もした。

俳優はこれまでのダルカラ作品に出演した方ばかりで
劇団員含め皆、小劇場に収まりきらないくらいの
もの凄い方々ばかりで圧巻でした。

次にもし活動再開することがあれば、
その時「演劇」はどうなっているのか。
またダルカラにそれを見せてもらいたい。
ロクな死にかた

ロクな死にかた

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2016/04/07 (木) ~ 2016/04/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

「死」に向き合って
初演は劇場ではなく、DVDで何度か観ていました。
直接観れて良かった。

ネタバレBOX

初演に比べて群像劇としての様相が強まったということでしたが、
同時に一つの作品としてすっきりまとまっているなという印象も持ちました。

スタジオ空洞もいつも以上に
奥などへ広がりがあるように感じたので、
舞台空間の使い方も素敵でした。
ダンスも初演時と同じ音楽を使ったりしながらも
バージョンアップしてました。

並行した世界、
一平とマリーがいる世界と
一平が語る「毬井」という男の死をめぐる世界。

「死」というものを考え、
そこから
「生」について巡らせる。

普段あまり死と向き合うことは少ないですが、
年月が経つにつれ30代でも友人、知人が亡くなったりしていると、
そういうことを思ったりしてました。
毬井くんのように、たっくんのように
どこからか見つめているのかもしれないですね。

毬井とチサト、毬井と村瀬、一平とマリーの「死」を介して向き合う関係、
武田とみい、チサトと今の恋人との「生」を感じる関係、
それぞれに思いを巡らせながら観ていました。

本当に素晴らしかったです。

初演ではゲキバカの伊藤今人さんが演じた母が
広田さんが演じても尚、キャラクターとしてインパクトは強い(笑)
散々やり散らかして最後の最後で良いこと言ってズルいですね。
観る方も楽しんでましたが。
カナヅチ女、夜泳ぐ

カナヅチ女、夜泳ぐ

悪い芝居

王子小劇場(東京都)

2012/07/10 (火) ~ 2012/07/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

初めてでしたが、
雑多なリアルさに突如出てくるファンタジーな部分。
現実なのか、夢なのか。
一様には理解できない不思議な空間が広がっていた。

関西の劇団で全体的に芝居のテンションが高いと感じた。

特に客演の村上さんと大塚さんが
東西のコメディリリーフの代表になっているようで
面白かった。

プルーフ/証明(谷 演出ver.)

プルーフ/証明(谷 演出ver.)

DULL-COLORED POP

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/24 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

プルーフ/証明
最初に5/25(土)13:00~の回
2回目に5/26(日)19:00~の回を観た。

とても良い芝居を観れた。

ネタバレBOX

必要以上に強調せずとも、
数式とか証明を言葉に乗せるだけで
魅力が伝わる一遍の物語。


話もシンプルで良いし、何より役者の演技が良かった。

百花亜希さんが素晴らしかった。

「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」から
劇団公演とか客演を観てきた印象として、
どんな作品にも馴染むし、
それでいて周囲に埋もれずに
自分の役柄を演じられる女優さんだと思ってた。

ただ今回は、作品に馴染むというより、
彼女の中にあるキャサリンという、
常に不安定でコントロールしづらい人格を
必死で生きているように感じられて
そこが素晴らしいなと。

ロバート役の中田顕史郎さんは、存在感が大きい。
キャサリンと似た不安定さも持っているが、
父親という安定感は絶妙だった。
第二幕の序盤のシーンが良かった。

ハル役の東谷英人さんは、最初に見た2公演目くらいから
何かを掴まれたようで、
他の主張が強い3人の間で
タイミングが悪く不器用に、けれども
皆に真摯に向き合う様子が伝わってきた。

クレア役の境宏子さんは、
下手をすればただ嫌味な役を
良い塩梅で現実を見させてくれる
キャラクターにされていたのが良かった。
あと立ち姿、しぐさが凛として美しかった。


場面転換として使われる楽曲が、
爆音で少々驚くものの、
芝居を重くし過ぎないように感じられた。

舞台美術も混沌としていて
DULL-COLORED POPらしいというか、
使い方、収め方が面白かった。
ゴリラと最終バス

ゴリラと最終バス

ぬいぐるみハンター

駅前劇場(東京都)

2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

観やすく楽しい
ぬいぐるみハンター2回目。

全体的に走り、飛び、舞い踊り、
芸達者な役者陣が揃い、
終始楽しい作品だった。

個人的にはあのキャラクターたちが再登板したことと、
舞台の作りで冒頭、わずかな暗転で
全員が揃い出てくるところが良かった。

うれしい悲鳴

うれしい悲鳴

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒される
ひょっとこ乱舞は初めて、なのに最終公演で大爆破!

ネタバレBOX

劇団の特徴である、群舞に圧倒される。
規律が整っているようで、雑多なようで、
けれど「舞い」になっていて、
物語のアクセントになっている。

観劇慣れしていないからか、
演劇の始まりのよくあるシークエンス、
たとえば幕が開く、または劇場が暗転するでもなく、
役者が次々にぞろぞろ出てきて
準備するところから始めるのに
単純にワクワクさせられた。

ストーリーも、感覚を持たない「鈍感」な男と
何に対しても感じすぎてしまう「敏感」な女の話で、
女は2人の役者が、時にさらに多くの役者演じられ、
一面からでなく多面的に物語を

「アンカ」、「オヨグサカナ」など、別世界を描いて
政治風刺的な内容もありつつ、
究極の矛盾(天皇をアンカの対象として扱うか)に
翻弄されるというアイディアは面白かった。

印象としては、言葉がすら~っと流れるようで、
男の独白などは、力強く感じた。

また舞台が階段を介して
ロフト部分から地下にまで繋がり
縦方向の立体感も使って
視覚的にも圧倒された。
無差別

無差別

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2012/09/14 (金) ~ 2012/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

無差別
圧巻の舞台だった。神に捧げるという意味で、
重厚かつ濃密な時間だった。

ネタバレBOX

舞台セットが奇抜な柿喰う客で、
鉄棒のような、やぐらを見立てたもののみ。

あえて客席と舞台を分断し、
神へ奉納する意味合いを込める。

そういった日本古来の神話、民話を
ベースにした妖しさと不気味さと
時折ある柿喰う客らしい言葉による笑い。

作品全体の力強さを体現した玉置玲央。
菩薩のようにも見える七味まゆ味。
理不尽な中にも健気さを見せる葉丸あすか。
どん底から這い上がる野心を表現した深谷由梨香。
奇妙さの中に可笑しさが混じる大村わたる。
哀れな神を淡々と表現した中屋敷法仁。
言葉使いと体で表現しつくす永島敬三。

まさに全員の力が結集した舞台だった。
シェイク!!

シェイク!!

ゲキバカ

王子小劇場(東京都)

2012/09/20 (木) ~ 2012/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

演劇を見るにあたって
やっぱりシェイクスピアは切っても切れないと痛感。
色んなアプローチのシェイクスピアを見れて
飽きは来ない。

ネタバレBOX

相撲とシェイクスピアを掛け合わせたら。

シェイクスピアを演じる劇団を舞台に、
劇団の馴れ初めや劇団員の関係を描きつつ、
そして相撲世界へとアレンジされた
ロミオとジュリエットを上演する。

ちょっと無茶なミッションも
おバカで楽しいエンターテインメントになって
面白かった。

ゲキバカ劇団員も個性派ぞろいなら、
客演も個性派が揃っていた。
くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

気になって
初めてでしたが、観ました。シンプルでかつ深い物語でした。

ネタバレBOX

開演前には、配役のネコちゃんが舞台上で
お茶のサービスをしてくれるという、カフェがあり
何やらアットホームな感じ。

そこからぬるっと自然に始まった。

家族の話で、夫を失った母の視点から
息子や娘、家政夫を交えて描いている。

この主人公の母がイライラさせるが、
時折見せる表情や演技で
一様には感情移入できないことを感じた。

リアルさで重い中に
母の幻覚として登場するネコちゃんたちの
ポップさがよいアクセントになっていた。

シンプルに、時折ポップで、
それでいて家族についてを描ききった秀作だと思う。
ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

おぼんろ

ゴベリンドン特設劇場(東京都)

2012/09/11 (火) ~ 2012/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにもかくにも
このこりっちでの評判が高く、
リピート率が高い。
廃工場で一ヶ月のロングランということで
気になって観ました。

ネタバレBOX

東京埋立地の外れ。
本当に工場が立ち並ぶ界隈の廃工場。
そこだけちょっと違う空間でした。

始まりからもう劇団おぼんろの世界。
夢に入り込むってこういうことかと思った。
アクシデントで突然の豪雨があり、
台詞が聞こえないということもあったが、
これにも温かいアドリブで応えていた。

エンターテインメントとして画期的で
とにかく凄かった。
否定されたくてする質問

否定されたくてする質問

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2012/11/01 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

創作すること
この作品を観れて良かったと思います。

ネタバレBOX

作業場をシェアしているマンガ家、それらを取り巻く人々の話。

誰一人として間違ってもいないが、完璧でもない登場人物たちの
葛藤と卑屈と悩みのやり取り。

時折混ぜられる意味のないやり取り、笑い、シュールなギャグも
良い感じのアクセントになっていて観やすい。

壁一枚隔てたところで同じマンガを描いているのに、
お互いを理解できていない、
原作者の吉富(小野哲史)と作画担当、門馬(久保貫太郎)。

連載打ち切りに危機を感じ、
奥の手に出るマンガ家、庄司(片桐はづき)と
エロ路線を常に加えようと厳しいダメ出しをする
編集担当者の江橋(鷲尾直人)。

他の登場人物たちもそれぞれの関係において
コミュニケーションが欠如している。
全く会話しないとか無口とかではなく、
肝心な部分が抜けていたり、噛み合わなかったり。
ネット上や見えない相手の評判ばかり気にして、
身近にいる同僚とは話をしなかったり。

どれも相手との枠線を越えてみようとすることで
解ること、変わってくることがあるのだと感じた。

かつてマンガ家で、
今は編集者となった羽生(爺隠才蔵)の叱咤から、
社会に出ていく、働くといったことを遠回しに感じた。
厳しさもある、けど夢というか理想もある。
どちらも完全にダメだとか否定するわけでなく、
とにかく今為すべきことをしないといけない。

それだけでない幾多のものを感じ、
その綿密な群像劇、会話劇からは想像しない
熱いものを観終わった後から感じだした。

創作から見えてくるもの、
根源的な問い、つまらないこととか色々ある。

面白いとは何か?
それは良く分からないけれど、
僕個人としてはとても面白い作品でした。

あと、アシスタントの手塚(須貝英)と
新人編集者の古渡(白石廿日)が、
抜けてるのか鋭いのかわからない
絶妙なキャラで面白かった。
すべての夜は朝へと向かう

すべての夜は朝へと向かう

劇団競泳水着

サンモールスタジオ(東京都)

2012/12/12 (水) ~ 2012/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

たとえるなら・・・
大のアラサー男である、
自分がキュンキュンして恋したくなってしまう、
そんな作品でした。

リアルな部分はごくごくそこにあるかのように自然。
主人公の修(武子太郎)が同じ年の設定でなおさら共感。

女優陣は、それぞれ異なる魅力で全員に魅了された。

それぞれの夜明けへ向かう物語が
端々で繋がっていることで
現実でも自分たちは何かしらで繋がっていることを
改めて思い知らされたりもして。

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