みさの観てきた!クチコミ一覧

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有馬の家のじごろう

有馬の家のじごろう

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サンモールスタジオ(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

レベル高っ!(@@!)
すんごくびっくり!初見の劇団だったから知らなかったとはいえ・・。
当時の重厚な舞台セット(こんな家に住みたいなぁ・・)といい、障子を開け放った外に舞い振る細雪の風景。かと思えば季節は変わってはらはらと桜吹雪が舞うシーン。月見酒の情景。演出が美しい。
よくよく見ると桜の舞い方がくるくるとちっさく回転して舞い落ちてくる。その落ち方がなんとも可愛らしいので、花びらを見ると歌舞伎で使われる花吹雪で、そのまんま桜の形をしている。こんなところにも凝った演出で、流石。
そんなだから、衣装、徳利、花瓶など小道具も凝ってる。

視覚でも満たされ、物語でも満足、演技力も唸るほどで誰一人として大根役者が居ない!素晴らしい舞台。
2時間20分の舞台があっというまに終わった。という見事な芝居!
そのまま、映画になりそうな完璧な舞台でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



じごろうとは『田舎者』を意味する方言です。

有馬家の子孫・新三郎は有馬酒造社長として登場するが彼の祖父から聞いた話として物語を追っていく。

九州田舎町で仕出し屋『有馬亭』を営む有馬家には、父母と4人の姉兄弟がおりました。同じく兄弟のようにして育った飯山家の藤太とちよ。
そこへ松山信吾という二等警部が訪れたことで、静かだった有馬家にも変革があった。それは、東京の様子や大日本帝国陸軍(官軍)と旧薩摩藩士の話を聞いた藤太と有馬信吾(三男)は熊本へ行く事に。同じく長男の有馬新一郎も「生きる道は自分で決める。初めから向き不向きに囚われていたらどーにもならん。」と家を出る。じごろうと呼ばれていた彼らにも夢と志を持つが故に時代に巻き込まれていく。
有馬家の留守を守る女4人と家長・新五郎と次男・伸次。
新五郎が作った酒が仕出し屋『有馬亭』に訪れた人たちに振舞われ、また、新五郎自信もよく酒を飲む。息子たちを見送った新五郎の寂しさとそれを支える伸治と家族の姿が美しい。新五郎は終盤、ボケてしまうシーンもあり、新一郎と信吾が死んだ描写もあり・・。それも家族の情景のひとこまとしての演出は流石。西南戦争の翻弄された家族の物語。

昭和19年8月19日に伸次の孫・新三郎に召集令状が届く。
こうして有馬酒造社長としての新三郎は有馬酒を休業することになる。。


ひじょうに素晴らしい舞台でした。
筆舌に尽しがたい。一度ご賞味あれ!(^0^)



眠るために目醒める

眠るために目醒める

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王子小劇場(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★

迷走する妄想劇
全ては脚本家・演出家の妄想劇と稽古場での風景を混ぜ込んだような芝居。
ここで表現される情景ではどうやら作家は不眠症で女性を癒しと位置づけている。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ひじょうに繊細な物語だ。
稽古場では演出家不在で役者のみが演出家のメールを頼りに自主的に演じる。稽古場での風景そのもの。そのうちそれぞれの役者が見た夢。と題して、夢を語っていく。この夢は演出家の妄想だが、「魚の目を食べると海を見る夢」や「裁判の夢」「エアー女の子」の話は面白い。

一方もう一つの舞台では演出家の傍で眠る女が居る。彼女は不眠症だが、演出家の部屋でなら眠れる。彼女とは演出家の願望で架空だ。
稽古場での女が不眠症を理由に50人以上の男に抱かれて寝たが、それでも不眠症は治らない。とやっと気づく。稽古場での女と演出家の傍で眠る女はこの場面でリンクする。要するに同一人物だ。

演出家は不眠症と創作について苦悩しながらも自分が生きてきた事を肯定しようとしている。そう努力しながらも、眠った後は必ず目覚めるようにアイデアも水のように湧き出て欲しいと願う。

脚本は非現実な夢を見せる創作だが、演出は現実的にどう見せるかの創作なのに、脚本と演出を同時に受け持つのは、夢を見ながら現実と向かい合うという反面に疑問を抱く。

そんな演出家の自分自身の内面を描いた作品。

これを理解出来る人がどれほど居るか?
もうちょっと大衆化、単純化した方が良いと思う。凝りすぎると観客に受け入れられなくなるから。
それから全体的に長すぎ。色んな部分を追求し表現したかったのだろうけれど、もっと削ぎ落とした方が観易い。そうして、最後の場面、男優の小芝居はいらない!(苦笑!)


リーディングパフォーマンス「水妖忌」

リーディングパフォーマンス「水妖忌」

ユニットR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/28 (日) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

飲む!食べる!飲む!話す!(^0^)
いあいあ、すんごく楽しかったっ!(^0^)
公演後、献杯という趣旨の元、でるわでるわでるわ!銘酒とビール!ついでにおにぎり、つまみ、寿司(海苔巻きと稲荷)!そんでもって劇団員がホストとなって各席に回って盛り上げるっつーか、ワタクシが盛り上げたっつーか!(^^;)そんなだから楽しくないはずがない!来年、お勧めですぞ!飲める人は最高ですねん。惜しむらくは、ここのところ気持ちよく座っていたパイプ椅子が幼稚園席になっちゃってたこと・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

元は「水妖記」。怪奇幻想的な作風で、おどろおどろしくも切ない。"水に堕ちて"というみずえの蠱惑の誘い。 "冥府の川"を描きたいという画家の渇え。水と血の怪異譚。

タキガワの妻みずえはタキガワの不在中に流と恋に落ち不倫した。それを知ったタキガワはみずえに、世間体から偽装心中を持ちかける。
みずえが死んで自分だけが助かってしまったと思っていた流は苦悩しながらもタキガワに世話になりながら生きていた。
一方タキガワはみずえに似た女性・雨子と結婚し、世間的にはこの世のものではないみずえはタキガワの世話を受けながら洞窟で生きていた。

ある日、みずえ(この時点で亡霊だと思い込む流)は流に「死んで!一緒に死んで・・。・・・・もう一度堕ちるの。水に堕ちて地獄を見に行くの。」と再度、流に心中を持ちかける。流はみずえと一緒に死のうと決心し、湖に行くがそこにタキガワが登場し「裏切るのかっ!」と襲い掛かる。みずえは流をかばって刺され、タキガワも揉みあってるうちに水に堕ちる。
やがて二人の遺体は湖畔まで流されうち上げられる。流は警察に自首するが戻ってみると遺体は跡形も無く消えていた。警察は数年前の心中の出来事から流が心身を病んだのだと思い、この一見は闇に葬られ、その後、流は雨子と結婚する。この話はここでめでたしめでたし・・。と終わるはずだが、雨子には秘密があった。

秘密とは・・・、二つの遺体を隠したのは雨子だったということ。彼女は自分をつま弾きにして3人で秘密を持って居る事が許せなかったのだ。だから、タキガワか流のどちらか、生き残った方と結婚しようと決めていた。

ホラーの分類でしょか?
今回の物語を11人のキャストによって繋いでいくというリーディング。
ちょっとエロで妖しいが、ワタクシの好みとしては登場人物に一人のキャストの方が好みだった。だって、みずえや雨子の声が急に男の声になったりするのだから・・(^^;)

女に振り回された男の物語。



『Tepes』

『Tepes』

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

ザムザ阿佐谷(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★

海賊ハイジャックの世界は
歴史叙情詩ってことだけれど、第三幕「サディスティック・ロマンティシズム」の変態ショーはちょっとやりすぎ!完全にドン引きした風景。SMは表現の仕方によっては観客が受ける印象が変わってしまう。そして長すぎ。この部分を濃縮したほうがより良くなった感はある。。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ルーマニアの領主、串刺し公ヴラド・ツェペシュを土台にした物語。

第一幕「温室花園」
何のとりえもないアルドロはひょんなことから領主の一人娘ィエリと逆玉結婚をすることに。ィエリは先天的に心臓に重病を患っていた為、アルドロは妻に献身的に尽力した。彼はィエリをひじょうに愛し、「自分は話しベタだから、こうやってゆっくりな速度で話したい。」と、釣りの話をィエリに聞かせながら二人の間では穏やかにゆっくりと時間が流れるのでした。
しかし、ィエリは子供を生む事を希望しやがて、妊娠、そしてテペス(子供)の命と引き換えにィエリは亡くなってしまいます。

第二幕「ツェペシュ・スティック」
母親を亡くしたテペスはその家柄に反して土地の子供たちから嫌われていました。それは領主である彼の父・アルドロの悪評の為です。ここでのアルドロは息子に暴力を振るう。と噂されていましたが、実はありもしないその噂を流したのはテペス本人だった事が後に解ります。テペスは自分が生まれた事によって母親を殺した。父親は母の死の原因が自分にあると、そう思っている。そうして自分をツェペシュ・スティックに例え、「僕は母さんの身体に突き刺さり、その命を蝕み続けた。」そう考えて心を閉じていくのです。

第三幕「サディスティック・ロマンティシズム」
ここで登場するSAD伯爵(SMのSはこの頭文字からとられています。ヨーロッパで実際にあった物語です)は人身売買を家業にしていました。口減らしの為に売られてきた少年少女を競売で売りさばくことを生業にしていました。彼の趣味はそんな少年少女を調教し弄ぶこと。そんなSAD伯爵はいつのまにか一人の少年ヘルテリの虜になってしまいます。このヘルテリはかつてのィエリと恋愛の仲にあり、それを知ったィエリの父は地位を力に彼の両親を叱責しそして彼を売り飛ばしたのでした。その状況を知っていたィエリはヘルテリへの想いと父への憎悪が一気に噴出したのですが父親のいうがままにアルドロと結婚したのです。ここからィエリの偏屈の愛が始まります。場面は変わってSAD伯爵に育てられた医者はィエリの主治医になり、やがてその息子テペスに深く関わる事になります。

第四幕「A many pictures」
かつて若くして青春を摘み取られたィエリとヘルテリはその最後の別れ際、残した言葉があった。「僕はもう会えなくなる。でも僕の子供はきっと帰ってくる。その時、君の子供と僕の子供に伝えて欲しい。ずっと好きだ。忘れないで欲しい。」
この言葉を受けてィエリは誓います。この愛はヘルテリ以外に注ぐ事はないと。しかし、そんなィエリもいつのまにか献身的に支えてくれたアルドロを愛するようになってしまいます。そんな自分を恨みヘルテルとの約束だった子供を生む決心をして命を落としたのでした。
ィエリが自分の決心を鈍らせないように書いた「偏屈な愛が綴ってある日記」を主治医はテペスに渡してしまいます。外面としての主治医がここでSAD伯爵に育てられた環境、心理が表立つ瞬間です。つまりテペスを壊したくなったのです。その日記にはこう書いてあったのです。「アルドロが訪れた夜もヘルぺルを想って吐息を弾ませていた。アルドロは人形を抱いているの。私の魂は預けてあるから。貴方は決して私を貫けない。そして私の子供も貴方を愛せない。」

こうしてテペスは日記によって父親の愛を拒み、やがて運命的にヘルぺルの子供と出会い結婚します。世代を超えて二人の愛は成就したのですが、同時にテペスは父・アルドロの大きな愛を受け入れます。アルドロもィエリが最後の行に書いた「いつしか・・アルドロを愛するようになってしまった。それが最も許せない。」を胸に幸せな日々を送ります。

ィエルが愛した二人の男。そうして繋がった愛。
壮大なロマンを感じる物語でした。惜しむらくはやはり、あの変態ショーです。長すぎたのとロマンがない!(^^;)

実験シリーズその1『境界』  【緊急決定!追加公演!!】←これが最後のチャンスです。 

実験シリーズその1『境界』 【緊急決定!追加公演!!】←これが最後のチャンスです。 

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★

常識の境界が破られたら。
今回の実験「境界」は観客の常識があって成り立つものだと、よくよく思い知らされた。
観客が舞台に行って観劇しようがはたまた携帯電話をしようが、菓子食おうが、酒飲もうが、もしかして脱いじゃっても、そんなことなど大した問題ではない事態が発生した。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



入場した途端、どことなく怪しい雰囲気のご婦人が前列に座りました。
それは、どなたにも一見、普通じゃないな?と感じさせる何かがあって、椅子に座った時から質問の内容で瞬間、一般のお客様が完全にドン引きしたのを、はっきりと憶えています。その婦人は劇団夢現舎さんに招待された。とご自分でおっしゃっていて、舞台も撮影、それだけでは終わらず観客をも廻るようにビデオ撮影しておりました。

ワタクシだけではなく彼女の後方に座った若い男性もモロに嫌がって両手でノーを表していましたが、全く気にしない風でビデオ撮影しておりました。しかも、何度も・・。

はっきり言って不愉快でした。MIXIにでもUPされたらたまりません。MIXIは自作ビデオもUPできるのですからプライバシーの侵害です。
不思議だったのはその行為を見逃した前列に立っていた劇団員でした。
その状況を察して一言注意すべきなのに見逃しました。困惑そうな表情をしながらも・・。

何でもアリをうたった実験公演でしょうが、それは観客のプライバシーを保ってこその実験公演だと感じています。
観客のプライバシーも守れないような実験公演だとしたら、それは劇団側の驕りです。

ちなみに前回公演と内容は同じ。
しかし、観客に溶け込もうと努力はしておりました。
が、全体的な実験「境界」は失敗に終わった日でした。

イヌ物語

イヌ物語

劇団サーカス劇場

シアター711(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★

どこか壊れてる!
前作「カラス」を観たときにひじょうに感激した舞台だったから、今回もひじょうに楽しみにしていた。

ブチ役の赤澤ムックは流石!と唸らせる力量。
そんなだから始発から飛ばしまくり!(^0^)
物語に直に引き込まれてあれよあれよといううちに終わる。という不思議感の漂う舞台。中島みゆきの導入音楽もこの情景にマッチして素敵だったし、セットも狭い空間を上手く使ってたと思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ムックはマンションの一角のゴミ箱で鍵を探す為にアサル。
そこに住人がやってきて一悶着あるがムックは止めようとしない。ゴミをアサル、アサル、アサル!
ムックは人間の女性なのだけれど、犬養という女性に飼われている。犬養はムックを犬と思い込んでいる。この時点でどちらが狂人なのかは謎。

そのうち住民の世話を焼くロックのおじさん、エアー犬を飼ってる女子中学生などがこの物語を装飾する。
青竹先生を演じるワダ・タワーの存在感は意表をつかれるほどでそのセリフも笑えるし、青竹先生の宗教勧誘の例え話もウケル。ファザーA(宇宙人)の存在にはほくそ笑んでニヤリとし、青竹先生についている宗教活動家の品川(広瀬友美)とのタッグはもうお見事!(^0^)
この品川が犬養に猫にさせられて家畜として飼われそうになる場面も楽しい仕掛けで、そのうち病んでるのは犬養だと気づく。

一方、鍵を探すブチはその鍵が何の鍵だったかが思い出せない。犬養に飼われて生ぬるい生活をしているうちに毎日一つずつ忘れていってしまう。この生活から脱出するには鍵を探さなければならないと一人ごちりながら狂ったように探す。

評論家の西田は他人が目の端っこでちょろちょろしているのが嫌い。と銃で犬を殺す妄想を抱く。勝海舟は犬にイチモツを食いちぎられた。などと独り言を言いながら・・。

要するにここに集まってくる住人はどこか壊れていてマトモじゃない。(^^;)
ブチを主軸にしたどこかしら壊れてる人たちの物語。

たぶん、死んだであろうロックのおじさんが
「オーケー、出かけるぜベイビー!!」と郷愁を呼ぶセリフに意味があり、そしてブチが沢山の鍵を与えられてもなお、鍵を探す習性は犬様で新しい鍵を見つけて喜ぶさまにこの物語の悲しさが潜む。

観た直後よりも数日経ってからじんわりと感じることができる舞台。
最後はやっぱりブチは居た。という結末!(^0^)


ナンノチカラ?

ナンノチカラ?

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/06/26 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

ループする100円ライター

ライターに秘められた不思議な力によって巻き起こるコメディ。
とにかくコメディだから考えすぎるとつまらなくなる。アチョの世界は辻褄合わせなんだから!(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



終盤は哀しい結末になるが、登場人物それぞれにも実は隠された力があり、その力とライターの本当の持ち主を探す物語。

人物設定は日テレアナウンサー、青と赤の男(スーパーマン)、超能力者、AD(スーパーマンの娘)、失踪する女、マスクマン、レフリー、殺し屋2人、リポーター、ホームレス、満たされない男、元フィアンセ、借金苦の女、バレーをしていた謎の男、千秋の元恋人、借金取りなど・・・、一体これをどう結びつけていくんよ!?なんつって観ていたら、ライターが人と人の間を渡り歩きながら結びつけていくんだねー(^^;)

謎のライターは2つ。これらが生きてるかのように絶妙に持ち主にまとわり着いて離れない。
秘められたライターの謎はこのライターを持った者は「自分が持ってる力を気づかせて引き出させる力」を持つ。
良くも悪くも。
だから、悪い方に転がり込んだら最悪で、良い方に転んだら一瞬にして幸福になる。

人物の力とライターの力を上手くリンクさせたコメディ。
馬鹿げたプロレスやスーパーマンのキャラが面白く、ツボればサイコーに笑える。(^0^)
「濡れた犬の匂い」の臭さにはめっさ受けた!(^0^)

そうそう、雨の日にカエルの匂いがするのと一緒みたいな・・(爆!)


くすり(^^)フィンガー

くすり(^^)フィンガー

Cappa

駅前劇場(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/29 (月)公演終了

満足度★★★★

魅力あるキャスト陣
「恋文酒場かっぱ」は渋谷に本当にあってそこの店長が今回の久保木(大人の麦茶)。
で、彼が今回旗揚げ公演だったわけだけれど・・、いあいあこの豪華なキャスト陣!そりゃあ、期待しまくりだったわけでして・・。

で、内容も期待通りだったのだけれど、受付の対応が悪いのと、ちっさな小屋なのに指定席だったものだから、ドーナツ化現象が起きてました。指定席にするならお客様が来た順番に席を埋めるように指定すればいいものを・・。
やたら観難い席に座らされてるにも関わらず1~3列が空いてる状況!でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

メルヘンチックなセット。正垣(久保田)の部屋で「天売晋平壮行会」のシーンから始まる。晋平はアラスカに向けて旅立つ為、仲間が彼の為に壮行会を開いたのだった。ところが隣の住人の女子2人が「静かにしてください。」と苦情を言いに来たが合流して飲むことに・・。
次の日、晋平がヤングジャンプに挟んだパスポートと餞別ごとヤングジャンプがなくなっていた。正垣の彼女の阿弥がゴミとして収集場に出してしまったのだ。そのヤンジャンを隣の好絵が拾って自宅に持ち帰ってしまった事から、事態は急変する。
正垣の押入れから「信夫のノート」と称するノートが出てきたり、と、同時に信夫(田中完)が押入れから登場したかと思うと金澤(前田剛)との絡みがあり、いきなりコメディ感溢れちゃって、更にザンヨウコの相変わらずの不思議な空気間が幾重にも重なって、そりゃあ、あなた!そこのあなた!楽しいったらありゃしない!(^0^)
隣の女子を覗く穴もあったりして、場面は隣の部屋とこちらの部屋との2つが同時進行し、その情景も愉快。
男女の恋愛劇に友情もちょっぴり絡めながら、「てめえの気持ちはてめえで伝えねえと一体誰が伝えるんだよなぁ?!」っつーてセリフる信夫が印象的!

久保木が時間をかけて口説いたつわもののキャスト12人はやはり凄いのでした。特に、前田剛、ザンヨウコ、田中完は流石!
物語はコメディ。

ちなみにアンケートを書いてくれたお客様に「恋文酒場かっぱ」の生ビール無料券を配ります。こういう戦略はやはり上手い。生ビール1杯だけ飲んで帰る客は居ないもんね。
勿論、ワタクシも頂きましたってば!(^0^)



少女地獄

少女地獄

シークレットハンサム

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

狂人
夢は誰でも観る!時に演劇の世界では殆どが幻想なのだ。
久作の作風は幻想文学で、特に「夢想家、夢ばかり見る変人」といわれているが、だからこそ、劇の世界では面白い。

だから、「狂人の解放治療」から練り直し演出したような今回の作品は期待しない訳が無い。
そう、狂人たちの精神生理学なのだから・・。(^0^)

ネタバレBOX




「なんでもない」
看護婦役の姫草ゆりこ、精神科のドクター正木、耳鼻科のドクターうつき、この3人の一体誰が狂人なのか?と思わせる展開。終盤、3人とも狂人と解る。以前観た「トランス」のような仕掛け。


「殺人リレー」
いたいけな少女を食い物にして次々と殺人を犯す殺人鬼の物語。少女は目の前に居るこの男が殺人鬼と解っていながら、好きになってしまった殺人鬼を殺せない。少女がナイフで殺人鬼を刺そうとするシーンはあまりにもリアルすぎて「ひっ!!!」と声が漏れてしまったほど。


「火星の女」
大畑夫婦の夫にはロリコンの趣味があり、今の妻は綺麗だけれど少女とは遠い存在になってしまって、妻を抱けない。妻は学生水着を着たりして努力はするが、それでも夫は妻を抱けない。最終的に妻が取った行動は幼女を殺してしまう事。ソレを知った夫は妻と一緒に無理心中を図る。


どの作品も予想通りの素晴らしい作品でした。とにかく、物語に始終引きずり込まれてワクワクドキドキの連続。3作品とも演じる場所が違うので観客がクッションを持って自由に移動する。物語に観客を巻き込むシーンもあり絶妙!

ハルメリ

ハルメリ

西村和宏(青年団演出部)+ウォーリー木下(sunday)企画

アトリエ春風舎(東京都)

2009/06/23 (火) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★

それほどではなかった。
一体ハルメリとは何だ?てことなんだけれど、競争をやめてお互い優しくしあおう!みたいな思想の下、ハルメリクラブのカードを持った老若男女をハルメリという。

まあ、第13回劇作家協会新人戯曲賞を受賞した『ハルメリ』なんだから、見る人が見れば素晴らしい!って事なんだろうけれど、絶叫系は元々嫌いだし、好みではなかった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

宗教的な思想を掲げ、洗脳されていくハルメリ。
ハルメリをマスコミが取り上げたことで日本中の視点がハルメリに集中する。雑誌、ラジオ、TV・・。そんな状況の中、ハルメリミューズを選ぶ企画をTVが取り上げる。
このTVの放映部分がひじょうに面白い。舞台の箱の中でTVカメラが移動しているシーンを役者が動きながらリアルに再現する。
プっ!!(^0^)
ここ、笑えるシーン・・。
セットも側面を立体的に演出するなど、面白い。

一方、そんなハルメリ効果をこれぞとばかりにしたたかに便乗してスポットを浴びるスーパー店長の妻。「自分はハルメリ大好きです!」なんて宣言したかと思うと、時と場合によって風見鶏のように振るまい、自分の立ち居地を確保していく。まるで昨今の政治家のように。

ハルメリにのめり込む輩の共通しているものは、疲れだ。
競争する事の疲れ。そして振り落とされる事への疲れ。
ハルメリの本質は自己否定することらしいが、世の中がハルメリで盛り上がれば盛り上がる程、雑誌で民衆をあおった側の記者・のし子は理性的な考えが働き、世評を増長させてしまった自分を後悔する。

ハルメリ会員は暴走し、そこに乗っかる利害者も暴走し、コメンティーターとなった妻は家庭を顧みずTVに出まくる。

本当の正義が悪で世の中の多数決が正義と化す社会を風刺した作品。
演出は素晴らしい。しかし物語の見せ方、描き方に優しさが感じられないところが好みではなかった物語。

音楽劇「新宿パラダイス」光は新宿より

音楽劇「新宿パラダイス」光は新宿より

東京ギンガ堂

歌舞伎町「大久保公園シアターパーク」特設劇場(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

新宿東口を舞台にした群像劇
昭和20~29年の新宿東口にマーケット(露天商)を開きこれらを仕切った尾神喜之助の人情物語と力道山物語。

レトロなセットやテントならではの開放したバックから観える新宿の街は物語を一層効果的に演出する。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


デージーの続編。
激動の戦後の時代を露天商の仕切る尾神は人情が厚く多くの人達の面倒を見てきた。それは何人もの孤児を育てたり、無料診療所を開いたり、歌舞伎町に舞台を構えたりと、地域に密着していた。
たぶん、新宿という地域性だろうか?
ここでは第三国と呼ばれる朝鮮人も多く居たが尾神は分け隔てすることなく、「新宿は多国籍で成り立っている。」と常に大きな心で見守っていた。ところがある日、そんな尾道を快く思っていないGHQの策略により、尾道を親分に仕立て上げ挙句、組長だ。やくざだ!とでっちあげ尾道は刑務所に入ってしまう。

一方、相撲の世界で活躍していた力道山は朝鮮人という理由で国技の相撲では大関にはなれない事で挫折する。
しかし、かつての尾道の言葉「相撲はこちらから捨ててやれ。アメリカでは日本の相撲を相撲レスリングと言うらしい。世界へ行け。お前なら出来る。そうして日本人としてレスリングの選手になって、日本人が失くしてしまった自信や誇りや勇気を与えて欲しい。」によって、力道山は1年間のアメリカ修行に出かける。

こうやって帰ってきた力道山・木村Xシャープ兄弟の試合が行われる。
戦争によってアメリカに負けた日本人はリングでアメリカを負かす力道山の勇士に沸いたのである。

激動の新宿を支えた尾道。
同じように戦後の日本人に夢と希望を与えた力道山。

正直言って、尾道も知らなかったし、力道山については名前だけ知っているも、他はまったく無知だったことから、ひじょうに興味があったし、また音楽や歌、プチミュージカルといった嗜好も中々面白かった。
貧しいけれど底ぬけに明るかった彼らを愛しいと思わざるをえない舞台でした。ポップで楽しいお芝居。あの年代の人たちにはタマラナイのでは?

串間保の前座は最高でしたね。客いぢりの上手い事!(^0^)

丸山厚人と会うのは一ヶ月ぶり位でしょうか?シアターミラクルで観た「トランス」以来だから・・。
それにしても丸山、客出しに真っ先に来て客出ししていた姿が印象的。主役を張っても、こういう姿が後の丸山を支える。
素晴らしいです。

ふうふうの神様

ふうふうの神様

劇団桟敷童子

ザ・スズナリ(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

この世でない何処か
色鮮やかな紅葉のセット。会場に入るとその光景にしばし、圧倒される。
舞台は運動会のシーンから始まるが、そこに融合する導入音楽も流石。

客席は超満員!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

睦子と之成の一人息子が運動会の日に神隠しに会ってしまった。両親は一心不乱に探したが、見つからない。かつての睦子も幼少の頃、神隠しにあって異界で暮らしていたが現(うつつ)に戻された経緯があったことから、睦子は自分が身代わりになって息子をこの世に戻してもらおうと考えた。

睦子の実家のある神隠し里(隠れ里)に睦子は戻り、ここで、村の童と知恵遅れの童にあう。後にこの3人の童がふうふうの神様(人戻しの神)と人隠しの神ということが解るが、ここまでの話の展開は絶妙で睦子の実家がある隠れ里そのものが異界で、睦子の実家も異界での隠されたマヤカシの家族と解る。つまり、異界に連れて来られた人達が家族のように振舞っていた。という筋。
後半、この里に住む人達は自分が戦時中に置かれていた状況を話し出し、その当時の人たちなのだと理解できる。
マヤカシの世界にも人が居る限り、愛憎劇はあってそれゆえに人を殺す。
どっちがこの世でどっちが異界なのか錯覚してしまうシーンはうつつと異界を繋ぐ場所に見張り番のごとく居る山吹アヤメのセリフで効果的に想像させる。
最後のシーン、睦子と息子が紅葉狩りに来た所に、かつての夫・之成が記憶喪失のように登場するが、3人はお互いを覚えていない。
しかし、睦子も之成も懐かしい相手を見たように振り向く。この場面が実に印象に残り、絶妙なのだ。

つまり・・・どっちがうつつでどっちが異界なのか・・・。
そんな錯覚を目眩がするほど行ったりきたりするが、結果、之成の居るのがうつつなのかと思う。
もしかして、この芝居がうつつで観客が異界か・・・?
などとほくそ笑んでしまうのです。

物語と言い、人物設定といい、とにかく不思議感いっぱいの懐かしい香りのする素晴らしい!舞台でした。
鳥の飛ぶ高さ

鳥の飛ぶ高さ

青年団国際演劇交流プロジェクト

シアタートラム(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★

疲れた。
これがもっとも素直な感想。元々は6時間以上の公演を2:20分に短縮させた公演だったからか、色んなものを詰め込みすぎ。

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

便器を扱う猿渡商会の商戦と泥沼買収劇。日本の家族経営メーカー・猿渡商会が世界最大手のフランス資本便器会社に狙われる。二つの企業戦略に日本神話を上手くはめ込み、日本の古代の神々が国を取り合う話とリンクさせる。神話の中の世界戦争勃発と企業同士の買収劇は似たようなさまになる。更に日本の皇室と将軍の話も登場し、その登場の仕方は猿渡商会の社長の趣味で収集している古美術品を長男嫁のフランソワーズ(フランス人)に教える事によって舞台に登場させる。
更に更に、猿渡商会の営業社員の娘婿がツチ族だった事から、フツ族がツチ族を大量虐殺したルアンダ虐殺までも回想的に舞台に登場させちゃってるのだから、物語を追うだけでもワタクシ、ものすっごく疲れちゃったのよね。

フランス資本便器会社のターゲットにされた猿渡商会の内部抗争にフランソワーズが裏で罠を仕掛けていくのも、男の影に女ありき、じゃあないけれど、長が失脚する時には必ず裏には女が居る。という泥沼のようだけれど、単純に描く。だからストレートな勝負だった。

だからってフランス人妻は誰からも嫌われてない。夫の父親にも可愛がられ、夫の弟ともデキちゃってる。「お金目当てで結婚したけれど、少しは愛情はあったわよ。」なんて夫にサラリと話すのもフランス的で現実的だ。

結局薬局、猿渡商会はフランス便器会社に買収される訳だけれど、彼らがそこで学んだ事は「何処に落とし穴があるか解らない」ということと、エルシオのように「穴を掘り続けるしかない」ということ。

そしてパトリック(買収後の新社長)は言うのです。
「買収したのは機会でも特許でも製品でもない。人材です。」・・と。

いやはや・・・フランス人にしてやられたり!って感が強い。
パトリックにしても、フランソワーズにしても、利己主義で主張が強い。フランス人の特徴ですね♪

これだけの内容を2:20分に詰め込むのだから・・・観ているほうも疲れますってば!だから、終盤はものすっごく長く感じた。隣のご夫人は寝てたし。溜息の連打も聞こえる状態。
そんなに長くなくていいから、主軸だけをはっきりさせてもらいたかった舞台。
ワタクシには合わなかった。



シリタガールの旅

シリタガールの旅

本能中枢劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/27 (土)公演終了

満足度★★★

44歳、独身男・・・
から始まる芝居は、ふ?(・・?)
もしかして、もしかして、やってくれるんじゃね?なんつー期待は中盤で崩れる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

「44歳、独身男、セックスはしたことあるけどキスの経験はなし!」
・・・って、いったい何処でセックスしたんだよっ!って突っ込みたくなるよな風景。しかし、笑えたのは初版。だからこの44歳独身男のキャラを広げた方が良かったような気がする。

全てがショートコメディ。このコメディが少しずつ繋がってはいるが、だからって今一インパクトはない。

手放しでお勧めできるか?って聞かれたら、そうではない。
緩いナンセンスなコメディといったところ。
孤の告白

孤の告白

cineman

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

復讐の輪
2003年の再演。
ものすっごくレベルの高い拘置所の面会室での会話劇。
登場人物は5人です。たった5人なのにその人の歩んできた人生をも丁寧に描写し咳も出来ないような緊張感の連続。
こういった心の闇を表現しながらも質の高さを維持するレベル。
好きです。こんなお芝居。

以下はネタばれBOXにて。。

☆本来なら本日午前中にUPできるはずだったのだけれど・・どうも携帯PCの調子が悪くてUP出来なかった!折角素晴らしいお芝居を見せて頂いたのに劇団の方には申し訳なかったです。すみません・・。

ネタバレBOX

上原咲子は家政婦として働いていた家の奥さんを何度も何度もナイフで刺し殺してしまい、現在は拘置所に居た。そこへ妹の彩子が面会に訪れる。ここでの二人の会話劇で二人の関係性が理解できる。
咲子と彩子はすみれ園という施設で育ち、小さい頃から咲子は彩子の母親代わりとして生きてきて苦労の連続だったのだ。だから、咲子にとっての「生きる」とは自分の思い通りににならず自分を殺し、彩子を守り、絶対に人前では泣かない。ということだった。

その後、監視部長の登場によって更にこの芝居は色づく。瀬戸内寂聴のようなしゃべり口調で癒しの効果絶大。更にそのセリフに涙する。部長は痴呆の母親と二人暮しで孤独を感じるという。部長のいうところの孤独とは人や物事が自分の自由にならないと孤独と感じてしまう、という自身の話を咲子に聞かせる。咲子の凛とした表情は一歩も自分の心には踏み込ませないゾ!という覚悟のような強さも滲ませながらも、部長は咲子のその静けさに底知れない闇を想像する。

やがて、古木の面会によって、物語は少しずつクライマックスへと近づいていく。妹の婚約者でありながら、古木と何度も関係を持った咲子。ここで、彩子の将来が一気に幸せとは逆の方向に向かっていることを観客は知らされる。

そうして最後の面会人・中嶋えりの登場で物語りは一気に爆発する。えりは咲子に殺された母の娘で、実は咲子とは異父姉妹だったのだ。つまり家政婦として行っていた家の奥さんはかつて咲子達を捨てた母親だった。咲子が実の母親を殺した原因は母親が彩子の存在を忘れていた事だった。しかし、えりは、ここに面会に来る前に咲子のたった一人の身内である彩子を殺していた。そして咲子に告白する。「母親が殺されたように、何度も何度も何度もナイフで刺してやったわ!」と。

結末に至るまでの役者の表情がいい。家族とは?血の繋がりとは。自責の念とは。それぞれの生きてきた属性、背負ってきたもの、個々にドラマがあり、個々に理解できない感情があり爆発する。それは血の池の底に溜まったどろどろした膿が、自分とは違う得体の知れないアメーバが少しずつ渦巻いて、それから一気に吹き出るような感覚に似ている。

秀作でした。


空耳タワー

空耳タワー

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/06/16 (火) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

呪文!
ここの口コミで観に行ったけれど、やっぱり観てよかった!すんごく楽しめた。板倉チヒロのどぎついカマ風味がサイコーでアドリブも面白ぉ~~い!(^0^)しかも、セリフを度忘れしたチヒロ。やり直ししながら「戻ってきたゾっ!」とここでも呪文を唱えてた!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX



セットは至極単純。だけれどソレを上手く使う演出がお見事!

好きな女子(ナナミ)の背中を刺してしまったケンジは母親から「彼女を助けて命の恩人にしてしまえば彼女は何でも言う事を聞かざるを得ない。」などと入れ知恵をされる。挙句、犯人は解らないまま、命の恩人となってしまうケンジ。暫くナナミを閉じ込めていたが、ナナミは脱出する。
一方、無実の容疑者が浮かび上がるも容疑者は犯行時間に「お芝居」を観ていた、というアリバイがあった。刑事たちは「お芝居」の中身を確かめる捜査を始める。
そのお芝居を演じてた側の役者ら、ゲイのエトウと見習い役者のようなカオルの詐欺師まがいの小芝居と、これら三つの場面が同時進行形で魅せる!

今回の芝居はなんつったって小気味良い呪文のようなセリフにある。
コメディだ。ブラックコメディ。シュールとは違う、もっと毒のあるストーリーなのにコミカルに否応なしにズンズンと、あまりにもテンポ良く進めていくものだから、あれよあれよと言ううちに、観客はすっかり毒されその世界が普通に見えてくる。

ヘンテコなオーシービーなる赤い物体を売る訪問販売人も登場し、あの物体のオチは何だろう?といらぬ妄想をしていたが大したオチもなく、物語は誘拐事件に発展し、身代金の奪い合いになる。(苦笑!)
最後は誰かが誰かを殺し、また、誰かが誰かを殺し・・・、まるでモグラタタキゲームのような抽象的なシーンでセットから頭が出たり入ったりして。(^0^)その繰り返しが続く!
終いには、そして誰も居なくなった!状態じゃね?なんて安心は到底出来るはずもなく、ヘンテコな妙ージカルで終わる。

終盤使われた音楽がいい。人を喰らうアフリカの種族のような楽曲のバースが響いて椅子に振動が伝わる。それはゴトゴトガタガタ・・ゴトゴトガタガタ・・とジェットコースターがゆっくり頂上を目指して登っていく感覚だ。

だから、一気に落ちる瞬間が見事だったのだ!
逆鱗に唇を

逆鱗に唇を

地球割project

タイニイアリス(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★

今回ほど劇評を書くのに
苦悩した事はなかった!(^^;)
他のメンバーから『観てきた!』がUPされてないってことは、恐らく同じ思いなのだろうか・・?

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

相変わらず、セットは美しい。
ビニールや透明なテープのようなもので壁を作ってあるから、そこにライトを照らすと、ガラス細工のような輝きが増し光る鉱石のような世界です。今回の役者の衣装は赤。いつものようにテープで巻いたような素肌が見える衣装。素敵です。

地下で発掘を続ける『モグラ』と、陸で活動する『ニワトリ』と、海を越えようとする『ワタリドリ』、そして『ハゲモゲ』(禿げたモグラ)が現代遺跡と思い込んでるゴミの山でのお話。
利口なニワトリは低下層のモグラ、ハゲモゲとワタリドリ達を『逆鱗』という化け物を使って、自分の支配下に置こうと企む。それは空の向こうにある汚染されていない新大陸を目指す為だ。ニワトリは鳥たちに管理されてるモグラを竜のような『逆鱗』の中に入れて、ニワトリ以外の者達を怯えさせ、意のままに動かそうとするが、やがて動物達は自分達のどんな技術を使っても汚染されたこの世界から脱出出来ない事に気付く。それでも『船』に乗って発とうとした瞬間に大きな破壊が訪れ、全てのものが崩壊する。
ここで前作の『玉青』が登場するシーンがあるが・・・、はっきり言ってこの場面がどうもよく理解出来なかった。玉青と逆鱗の中のモグラの同等の孤独を表現したかったのだろうか・・?
暗闇で生きた玉青と逆鱗の中のモグラは同じように一人の女性を愛し、やがて宇宙の果てへ何処までも行ってしまうのだが、ここでのテーマは孤独だ。
どんな世界でも支配があり争いがありピラミッド社会がある。
その中で主人公は小さな愛を育むがそれは破壊という得体の知れない大きなもので遮られる。それでも二人は抱き合って宇宙の屑と消えるのだ。
何故か今回の劇は登場動物の関連からか、幼稚に感じた。キャストのセリフも聞こえない箇所があり、ひじょうに残念だった。

脚本家・高橋の描く闇の世界は常に孤独と隣りあわせで離れる事はない。どの作品にも愛があって、その先には孤独がある。
それはきっと、高橋自身が孤独なのかも知れない。そんな気がした作品だった。

「リサイクルショップ『KOBITO』」

「リサイクルショップ『KOBITO』」

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/16 (火)公演終了

満足度★★★★

面白い!(^0^)
とにかく面白い!の一言。笑いすぎて涙が出たほど。
たまにファミレスなんかに行くと、50代の女性のグループのハイパワーなおしゃべりの風景はまさに、このリサイクルショップさながら。

それはまるで・・

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

バラエティ番組によくある「風船ゲーム」で針をつけた模型機関車がレール上の風船割る寸前にかろうじてリサイクルショップのこの4人がこぞって割りに行く感じ!(^0^)

舞台は衣類の大きな山が、目の前にどかーーん!とそびえ立つ(^^;)
今回のお芝居にも「て」で使用したドアノブが入り口に使用されてて懐かしい。

リサイクルショップの4人は清水の娘・友子に芝居を見てもらう。ってのが目的だったが、芝居の途中から勝手にそれぞれが同時に話し初めて、人の話を全く聞かない。友子は帰りたいが帰れない状況になりながらも、とにかく居る。ってか、強引に居させられる。(苦笑)
4人は芝居の途中で感想を友子に求め、友子は「ちゃんと相手の言う事を聞いて、同時に話さないように。」などと意見するも、やっぱり話を聞かない。勝手に話しながら、やはり4人は強引に自分を押し出す。
他人の意見をまったく聞かない4人だが、何故かバランス良く4人の世界は回る。たぶん、これは彼女たち独特の協調性みたいなものがあって、それは品川が登場して4人に「芝居とはなんぞや」を強くご教示する辺りから、この4人は結託し、品川を殴って出血させる。この凶暴性が脅しとは種類の違う「悪ふざけ」の部類なのだ。この場面が妙にオカシイ(爆)

友子の呆れた表情、困った表情、迷惑そうな表情がこの4人のガキ大将ぶりと対比して物凄く滑稽なのだ。『KOBITO』というタイトルは、この4人が精神的には悪がきのような暴れぶりで、身体は大人だけれど気持ちは小人という意味で付けたのだろうか?大きな小人!(^0^)

後半はこの4人の若い頃から今までの生きざまを回想し、時代に翻弄された描写も織り交ぜながら見せつける。こうやって彼女達は逞しく生きてきたのですよ。という暗示も散りばめながら・・。
そしてまた彼女達の日常は昨日と同じようにワイワイザワザワガヤガヤ・・と一種の生暖かい台風のようにリサイクルショップに訪れた客をいぢりながら堂々と楽しく生きていくのである。

芝居の全般は殆どコメディ。後半は回顧録みたいな感じで少々長く感じたが、それでもちょっぴり苦く楽しい作品でした。


隣人キタル

隣人キタル

ワンアワーパーキング

「劇」小劇場(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

復讐
すごくいいです。サスペンス色濃く、それでいて観終わったあとに家族の情景、夫婦のあり方を再認識して優しい気持ちになれる。
お勧めの一作!

以下はネタばれBOXにて。。

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引っ越してきた男・宮崎の目的は、義理の妹が自殺した原因を作った不倫相手への復讐だった。その不倫相手だと確信していた隣の住人・小泉をじわじわと追い詰めていく。その追い詰めていく過程の復讐に燃えるズルさと屈折具合がいい。何も知らない小泉の妻は宮崎を自宅に入れてしまい、宮崎からナゾかけのように少しだけ真相を知らされると、夫を不審に思ってしまう。
夫婦の関係が壊れるって、案外、簡単なのかもしれない。

しかし、宮崎が確信していた不倫相手は小泉ではなく、部下の木下だったと知るや、宮崎は「なぜ、こんなガキを好きになったんだ!小怪はっ!馬鹿なヤツだ。」と落胆する。
一方、小泉は、隣に住んでいた小怪とは高校時代につきあっていたが、それ以降は何も関係がない事、会社をリストラされた事を妻に打ち明ける。
妻は「どうして何も話してくれないの?何かあったら二人で乗り越えていくのが夫婦なんじゃないの。そんなんじゃ、二人で一緒に居る意味がないじゃない。」と迫り、小泉は「悪かった、今度からそうする。」と謝り、夫婦は抱き合い仲直りする。

役者は全員が演技派で復讐心に燃える宮崎の表情の嫌らしさ。木下の実直さ。儚げだけれど芯の強い小泉の妻。仄かな色気のある「小怪」のママ。ダメ男子っぷりの木下。それらの演技もソツが無く見応えのあるお芝居でした。

やっぱ、観終わった後にじーーんと心に響く物語は素敵です。

シャットダウン

シャットダウン

ファルスシアター

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★

どたばたコメディー
好きか嫌いか?と問われたら喜劇としては、まあいいんじゃね?ってな感じ。

以下はネタばれBOXにて。

ネタバレBOX

コメディとしてはベタの部類。アンドロイドと人間の設定のみが異色ではあるものの、全体的には笑える箇所とヒク箇所が交差する!(苦笑!)

要は昔なつかしのベタもベタ。TVのコメディに登場するような舞台。
人間のアカリのフタマタとアカリのアンドロイドのアヤネもフタマタかけちゃってる設定が可笑しい。犬じゃないのに、ご主人様に似てる!(^0^)

ハグされるとすぐに惚れちゃうアンドロイド、ちょっと壊れかけのアンドロイドなど、奇抜だが何かが物足りない。
きっとそれは言葉で笑わせてないからだ。体をはって笑わせる事に終始したコメディだったような気がする。

それでも、それなりに楽しめた舞台。

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