『Tepes』 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「『Tepes』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    海賊ハイジャックの世界は
    歴史叙情詩ってことだけれど、第三幕「サディスティック・ロマンティシズム」の変態ショーはちょっとやりすぎ!完全にドン引きした風景。SMは表現の仕方によっては観客が受ける印象が変わってしまう。そして長すぎ。この部分を濃縮したほうがより良くなった感はある。。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ルーマニアの領主、串刺し公ヴラド・ツェペシュを土台にした物語。

    第一幕「温室花園」
    何のとりえもないアルドロはひょんなことから領主の一人娘ィエリと逆玉結婚をすることに。ィエリは先天的に心臓に重病を患っていた為、アルドロは妻に献身的に尽力した。彼はィエリをひじょうに愛し、「自分は話しベタだから、こうやってゆっくりな速度で話したい。」と、釣りの話をィエリに聞かせながら二人の間では穏やかにゆっくりと時間が流れるのでした。
    しかし、ィエリは子供を生む事を希望しやがて、妊娠、そしてテペス(子供)の命と引き換えにィエリは亡くなってしまいます。

    第二幕「ツェペシュ・スティック」
    母親を亡くしたテペスはその家柄に反して土地の子供たちから嫌われていました。それは領主である彼の父・アルドロの悪評の為です。ここでのアルドロは息子に暴力を振るう。と噂されていましたが、実はありもしないその噂を流したのはテペス本人だった事が後に解ります。テペスは自分が生まれた事によって母親を殺した。父親は母の死の原因が自分にあると、そう思っている。そうして自分をツェペシュ・スティックに例え、「僕は母さんの身体に突き刺さり、その命を蝕み続けた。」そう考えて心を閉じていくのです。

    第三幕「サディスティック・ロマンティシズム」
    ここで登場するSAD伯爵(SMのSはこの頭文字からとられています。ヨーロッパで実際にあった物語です)は人身売買を家業にしていました。口減らしの為に売られてきた少年少女を競売で売りさばくことを生業にしていました。彼の趣味はそんな少年少女を調教し弄ぶこと。そんなSAD伯爵はいつのまにか一人の少年ヘルテリの虜になってしまいます。このヘルテリはかつてのィエリと恋愛の仲にあり、それを知ったィエリの父は地位を力に彼の両親を叱責しそして彼を売り飛ばしたのでした。その状況を知っていたィエリはヘルテリへの想いと父への憎悪が一気に噴出したのですが父親のいうがままにアルドロと結婚したのです。ここからィエリの偏屈の愛が始まります。場面は変わってSAD伯爵に育てられた医者はィエリの主治医になり、やがてその息子テペスに深く関わる事になります。

    第四幕「A many pictures」
    かつて若くして青春を摘み取られたィエリとヘルテリはその最後の別れ際、残した言葉があった。「僕はもう会えなくなる。でも僕の子供はきっと帰ってくる。その時、君の子供と僕の子供に伝えて欲しい。ずっと好きだ。忘れないで欲しい。」
    この言葉を受けてィエリは誓います。この愛はヘルテリ以外に注ぐ事はないと。しかし、そんなィエリもいつのまにか献身的に支えてくれたアルドロを愛するようになってしまいます。そんな自分を恨みヘルテルとの約束だった子供を生む決心をして命を落としたのでした。
    ィエリが自分の決心を鈍らせないように書いた「偏屈な愛が綴ってある日記」を主治医はテペスに渡してしまいます。外面としての主治医がここでSAD伯爵に育てられた環境、心理が表立つ瞬間です。つまりテペスを壊したくなったのです。その日記にはこう書いてあったのです。「アルドロが訪れた夜もヘルぺルを想って吐息を弾ませていた。アルドロは人形を抱いているの。私の魂は預けてあるから。貴方は決して私を貫けない。そして私の子供も貴方を愛せない。」

    こうしてテペスは日記によって父親の愛を拒み、やがて運命的にヘルぺルの子供と出会い結婚します。世代を超えて二人の愛は成就したのですが、同時にテペスは父・アルドロの大きな愛を受け入れます。アルドロもィエリが最後の行に書いた「いつしか・・アルドロを愛するようになってしまった。それが最も許せない。」を胸に幸せな日々を送ります。

    ィエルが愛した二人の男。そうして繋がった愛。
    壮大なロマンを感じる物語でした。惜しむらくはやはり、あの変態ショーです。長すぎたのとロマンがない!(^^;)

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    2009/06/29 12:58

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