なしかの観てきた!クチコミ一覧

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万獣こわい

万獣こわい

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2014/03/15 (土) ~ 2014/04/08 (火)公演終了

満足度★★★

実録犯罪モノ
過去2作の後味の悪さに加え、悪夢を見ているかのような話。コンビニなどで店頭販売している実録犯罪を特集している雑誌を見ているような感覚というか。

ゾンビ好きのマッチャーの演出が程よく発揮し、冒頭からブラックホラーテイスト満載。
すぐに物語に入り込むけど、入り込むが故、登場人物と同様な体験をしているかのような錯覚を覚えた。かなり物凄い顔して見ていたんではないかなw
あんなにアクティブな小松さんも久々に見た。流石に釣られ笑いは出来なさそうな展開が多いw。2人の女優陣も良。

昨年の朝ドラ効果で、作者や出演者に良い印象を持ったまま舞台の方も明るく楽しい話と思ってチケット取ったお客さんにはかなりヘビーな内容なので、特に子連れで来るのはよく考えた方が身の為です。

時間を置いてから、忘れた頃にまた見たくなるような強烈でクセのある舞台だった。
休憩込み約2時間30分。

ネタバレBOX

10数年前の北九州集団リンチ監禁事件を下敷きにしていると思う。
体調が悪い時に見ると、病状が更に悪化しそう。

冒頭、小松亭右近の高座から話は始まる。演目は「饅頭こわい」
その話を聞いているのは、ゾンビ妖怪のねずみの三銃士。合いの手やらツッコミいれているうちに歌って踊って師匠も襲っちゃう。
一転、開店準備をしている喫茶店「サ二ーズカフェ」を主舞台にして巻き起こる、人間の凶暴さが表面化するのを嫌になるくらい見せつけてくれる。
見ていると次第に怖さと面白さが麻痺し、油断してると背筋に悪寒が走る奇々怪々な舞台だった。
妊婦さんが凶行に巻き込まれる描写は見ていて居たたまれなかったが、それを吹き飛ばすかのような、踊れる女優のタコ踊りは素晴らしく綺麗。
可愛いのに、笑いながら残酷なことを平気でやってのける夏帆さんのギャップの凄さとか。
カテコでは、それまで観てた事を一瞬で忘れさせ、現実に戻させてくれる出演者と三銃士の表情や行動等も見事でした。

次回公演はまた5年後なんでしょうかw。
幽霊

幽霊

ホリプロ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2014/03/20 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★

アフタートークの日
ホラー作ではないが、家庭内恐慌が吹き荒れてた。
前半から母と神父による聖教意識等のセリフの応酬が浴びせられる。
理解するのに時間がかかったが、母から抑圧された愛情を受けた息子が切ないと思った。忍成さんは病んでいく役が似合うなぁ^^;
約130分+アフタートーク約20分。

出演者(吉見氏を除く)4名によるアフタートークあり。
松岡さんが某朝ドラ同様、元気あって明るい。松岡語録が出来そうw

*4/16アフタートーク部分記述。

ネタバレBOX

定点カメラで収録したら、大型テレビ画面にぴったり収まり良さげで、無印良品の店頭みたいな舞台セットに衣装。簡素でシックな舞台上とは裏腹に、話の展開は重厚。最後の「太陽」と呟く彼の表情が切ない。

ママン、常に舞台に出ずっぱり、そして息子と他人との接し方が違いすぎw。息子、病みすぎ。松岡さん、息子氏と並ぶと幼過ぎてカップルには見えづらかったが、シビアな眼差しを向けた時は大人の女性だった。
決してコメディリリーフな役ではないが、「陽」な雰囲気でその場をかき回す松岡さんの父役の阿藤さん。
前半の神父の吉見さん、母親との会話の応酬は凄かった。前半はこの2人の為にあるような舞台だった。

終演後、ホリプロスタッフ司会によるアフタートーク(約20分)
出演者衣装のままステージ登壇、司会、安蘭、忍成、松岡、阿藤の並び

・8日目の公演を終えた感想から
安蘭/台詞劇気持ちいい、ストリートプレイやりたかった、前回は蜷川(幸雄)さんの「タイタス〜」今回久々にこの舞台のオファー依頼来て、即「やります」と言った。森さんの演出は楽しみだった。イプセンは難しいと思っていたがやりがいがある。今日で8日目だが(舞台は)まだまだ変わる。本番前に毎回稽古をやる。今日もダメ出しあった。
忍成/映像もそうだが、今日も相当影のある役。やってておもしろいかは、判断は難しい。(安蘭さんと)親子の役作りはあんまり話していない。安蘭さんのテンションに引っ張ってもらっている。目をジーーッと見ている。→(これに対し安蘭さん)がっつり話す事はないが目を見て忍成さんの顔に似るように頑張っている。
松岡/(司会から昨年のあまちゃん出演に関する紹介から)GMTのリーダーでした!あまちゃんの時とは雰囲気違うが今回初舞台。本当は高校出たら舞台やるはずだったが「あまちゃん」をやったので今回になった。やっと夢が叶いました!(と、この後も、やや早口で興奮気味でテンション高いまま喋る)(最初の舞台で阿藤さんの娘役だが)悪態つくのはキライ!ユーウツ!一幕一場の場面が一番キライ。
阿藤/俺も嫌い。今回14年(?)ぶりの舞台出演、久しぶりだがとんでもない事だと思った。森新太郎も知らねーし、演劇とはズレてたし。(今回の出演のキッカケは)監督から勧められて。(以前出演した舞台)別役実さんの「貘」を見て、それ以来、気になってたんだって!オファーが来て(その話聞いたら)こりゃーやらねーと!と思った(らしい)→(松岡さん「14年前って私5歳ですよ!」「ああ、そうかい」とかのやり取りが勢いよく続く)始まったら森新太郎という大演出家に全部おまかせ。後はお客さんが判断して。(森さんについて)あんなに芝居好きな人、見た事ない。安蘭さん可哀想になった。休演日明けの今日だから(余計に注意が多い)→(安蘭さん、大丈夫、自覚あります、と。でも森さんも若いから〜、の発言で初めて森さんの年齢が37歳とわかり驚いて爆笑する松岡さん。「50歳位かと思ったー!でも「若い」って言われて40代かとも思ったけど、えーー、37(歳)!?とウケまくる。)

・稽古場の雰囲気は(ほぼ全員入り乱れで喋る)
稽古は体育館で行った。出演者5人とスタッフの人のみだったので最初は「しーん」「がらがらー」という雰囲気だったらしい。整然と稽古していた。13日から21日までそこを使用した。A(阿藤、安蘭)とB(吉見、忍成、松岡、森)みたいな分け方。2時間やって休憩5分(笑)。これ毎日。森さんお菓子ばっかり食べてた。たまにおにぎり、菓子パン。芸術大賞新人賞取ったのに、こんな軽口叩けないけど、すんばらしいい経歴はパンフ見て!

・台詞について
安蘭/一幕一場の場面がキツい。みんな(観客)固唾を飲んで見ているのがわかる。
松岡/三幕二場で「奥様、〜」「お母様はそんな女だったのね。お母さんにすがって生きていたはずなのに〜」(と数節、台詞を読み上げる)この台詞を口に出して自覚するのがハマる。これがハマらないと「あーーー、終ったーーー」と思う。
忍成/「太陽」の台詞。毎回違うような気もするし、暗いときもある。すがっている時もあるし未だ未知。
阿藤/朝5時から働いて「〜〜こんちきしょー」(色々発言あるも早口で記述断念)

・最後に
阿藤/8回終んで今日がサイコー!(観客は)自信もって帰って!(孤児院に火をつけたのは大工さんだけど、わかったか?と安蘭さん)→松岡さんの「レギーネからすると気づいてくれよー、くそ親父ー、嘘つけよー、父か娘を大事にしてるんだけどねー!」と立ち上がって力説。そのまま、まとめに入る。
松岡/ふつつか者ですが、初めての舞台に立ち上がりました。(劇中)睨んでいるから私が火をつけたと思われると思いますが、違います。(なかなかまとまらず唐突に)この舞台、みんなの心に持ち帰ってこれから2014年生きてください!(気合いの入った発言に場内拍手)
忍成/(松岡さんの後で、苦笑いしつつ)‥やりづらいーw.いろんな視点で見られる本だと思う。また来て別の視点から見てほしい。
安蘭/(立ち上がり)森さんに出会えた事や、この愉快なキャストに感謝。後4回。さっき今日が最高と言ったが(ここで口調がキリッと)本当は明日が最高です!(→まんま宝塚男役の台詞廻しに松岡さん「かっこいいいい!」場内も大拍手)でも、本当(に最高の日)は千秋楽だと思います。また来てねー。

発言一部省略あり。
とてもにぎやかなアフタートークでした。


ヒネミの商人

ヒネミの商人

遊園地再生事業団

座・高円寺1(東京都)

2014/03/20 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★

再演だけど初見。
初演が21年前の作品、の割りには感覚が今に通じてる部分が多かったような。具体的にその感覚が何か、と問われば上手く言えないんだけど。
お金の価値と何気ない日常会話だらけの生活と、ほんのちょっとの出来心を淡々で、ふわふわ見せられた感じ。
黒電話と、会話している時にたまに聞こえる効果音のような低い音楽が印象に残った。
自分の理解度が低いため、宮沢さんの作品は好みが分かれるけど、今作は好き。
約110分。

ネタバレBOX

道に迷い続ける女性、何かの示唆のように急に重くなる石と徐々に狂っていく渡辺、自我が強そうな叔母さんとか。
「ウルトラ」って、表沙汰には出来ない物なんだろうなー、なんかそれも不気味でした。
「40 Minutes」

「40 Minutes」

TABACCHI

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★

まとめて見られて幸福。
「サムライ」をテーマにしてはいるものの、時代設定は近代の日本。
三劇団のカラーがよく出た内容だった。
時間の制約、舞台の広さ、転換の切り替え等の際、興をそぐ面が多々感じられた。
面白い企画だったので、次回も行なう予定があるなら、他のテーマで見てみたい。また今回の各劇団の舞台、個別に再考して上演して欲しい。
チョコレートケーキは安定の重暗さ、JACROWは消化不良気味、電夏は理詰めの面白さ、という印象でした。
投票は悩んだけど、結果はいつわかるのかなー?速報、出してくれるのかなw?

初めて訪れた公共施設のホールは綺麗でした。
開場時、ホール内暗すぎw。今回の舞台はもう少し狭い劇場でも良かったような気がする。
40分×3公演の約120分。

ネタバレBOX

「観てきた」個別のカテゴリが揃ってなかったので、ここで上演順にまとめ書き。

劇団チョコレートケーキ「〇六〇〇猶二人生存ス」
密閉された空間にいる2人の海軍大尉、閉じ込められた人間魚雷の中にいる為、動きも制限され、見ているこちらも息苦しさや圧迫感、閉塞感や緊張感を伴う。それを見守る形で終戦後まで語り部となる整備士?の後藤、話のつなぎ目役として物語の運び方が良かった。
大尉の決意の表し方が、その当時の日本男児の侍精神、と云う事だったのかな。

JACROW #17.5「刀と天秤(はかり)」
新規3人メンバーに加わって、初の作品。タイトルコールの「17.5」カッコいい!
実際の事件を舞台作として上演しているので、デリケートになる部分も出てくると思う。冒頭からいきなり結末を見せられた後は彼女の生い立ちから振り返っていく。背景に映像を映し出したり、4人しか出演してないので役の掛け持ちの激しい事。劇中、岡田以蔵に触れた箇所があったが、それで「サムライ」って事?
40分という時間制限もあり簡略な作り方ぽい印象だったので、この作品はもう少しじっくり見てみたい。だが、あの選曲に今回の内容、あまり好みではない。楽曲は好きだけどね。

電動夏子安置システム「召シマセ腹ヲ」
テンポよくて単純に楽しめました。
宅悦とお岩~四谷怪談のそのシーンのために~

宅悦とお岩~四谷怪談のそのシーンのために~

鈍牛倶楽部

駅前劇場(東京都)

2014/03/07 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★

今時の若者の人間模様
最近上り調子にある、とある小劇団の稽古場が舞台。次の公演に四谷怪談を予定し稽古に励んでいるが、その劇団内で起こる劇団内恋愛やら、確執やら、稽古場見学から見える雑多な人間模様が面白い。
この調子で行くと最後はどうなるんだろうと思ったら、唐突な爆発させた〆方にビックリ。
演劇関係の内輪ウケになりそうな話だったけど、興味深い演目でした。

役者では、吉牟田さんや滝沢さん、駒木根さん、児玉さん、藤木さん等々が印象に残った。
約105分。

楽屋

楽屋

劇団チョコレートケーキ

「劇」小劇場(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

最終日マチネ観劇
元々、有名戯曲だけど半分はチェーホフで占められてる気がw 70年代後半?の戯曲のようで、台詞の端々に「統括」とか聞かれた気がするが、この作家特有の言葉遣いだなーと感じた。比較する程、同舞台は見てないが、戯曲そのものはあまりいじってないのかな。
4人の女優が「女優」を演じる舞台裏での出来事。それぞれの本番前の平常心、業や気性のような凄ましさも見え隠れし、それもまた魅力的でもあるが滑稽だったり。全員上手すぎて、女優Dはもっとヘタウマな人でも良いのではないか、といらん事考えたり。
関係ないが、鏡見ないで化粧する方法、自分も会得したいw 鏡台に置かれた、それぞれの時代の化粧道具がまた心憎い。紀保さんのあの場面は思わず高麗屋だぁ…と感心。
もう、このキャストで三人姉妹上演してw。
約70分の濃い舞台でした。

ネタバレBOX

舞台裏での女優達のそれぞれの平常心、気性、気骨。
それほど華々しくはない経歴に誇りを持っている女優AとB、幸運そうに見えるが実はそれほどでもない女優C、これからの活躍に心躍らせている女優D。

存在していた世代の差異はあったり、女優AとBの軽妙なやり取りの後に訪れる「女優」という意識から見える意地と執着心。世代と役の違いによるニーナの台詞の印象も違って聞こえてくるのは興味深く、それぞれの対比が浮き彫りにされた後に訪れたラストシーン女優3人の瞳に映える照明が綺麗だった。
暗闇に浮遊する魂のような終り方も、残像のように印象に残った。
良い舞台でした。
空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語―

空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語―

松竹

新橋演舞場(東京都)

2014/03/05 (水) ~ 2014/03/29 (土)公演終了

満足度★★★★

初スーパー歌舞伎
冒頭から沢瀉屋さん達と口上述べる蔵さんや福士君、白塗りのノリが良く見えるw 色男は化粧映えするんだな。
一幕と二幕、日本古来の仏教や宗教や政観を前川流に静かに見せた感じなのに対し、一気に動きを見せた三幕の大立ち回りと大量の紙吹雪には、つい興奮してしまいましたw。歌舞伎をそんなに見ている方ではないけど、とても楽しめました。面白かったです。

浅野さんの奇天烈おババは伝統芸の領域、屋号が佐々蔵屋の蔵さん、大見得というより小見得だがキマッており、衣装もきらびやか、二幕の黒地に稲妻様のデザインはbigサンダーチョコのデザインみたいだったがw
福士君の、朗らかさや良い見せ場もあったがもう少し彼の役柄を見てたかった。

ネタバレBOX

右近の器の大きさと和風ドレッドヘア、色気満載春猿、クールビューティ笑也、つい「謎にみちた髪型」のフレーズを思い出した猿之助の役柄は後の行脚仏師円空なのかな?
不動明王の仕掛けには凄かったけど、楽しめました。
神なき国の騎士―あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?

神なき国の騎士―あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2014/03/03 (月) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

日本版のドン・キホーテ
開場時、橙色の法被姿のスーツオジさん多いと思ったら、友の会貸切公演日だった。
ドン・キホーテが基の話だが、作家の作風ゆえか、萬斎流現代日本アングラ舞台ぽい感じだったが、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの向う先は眩しかった。大駱駝艦の存在が物語に深みを与えているかのよう。
わからないようでわかりやすい話だった。約105分。

舞台終了後、次回公演と萬斎館長のサインが当たる、約30分程の会員お楽しみ抽選会w催し実施。どちらもカスリもしなかったw。
館長の10分程度?のスタンドマイクで!一人アフタートークあり。
御本家の「ややこしや」発言頻発でした。
3/10 加筆修正

ネタバレBOX

世田谷パブリックシアター会長による挨拶、上記イベント終了後、野村萬斎氏一人残ってマイクスタンドトーク開始。箇条書き。

萬斎氏がsept館長になってから12年め。あの時から、日本の状況はかなり変わった。今までもシェイクスピア等、先行作品で川村さんの作品を上演しているが、今回は初めて書き下ろしてもらった。震災をイメージしているがなかなかわかりづらかったので、それをわかりやすく見せるのに苦労した。
見せ方が、紙芝居風だったり、ドリフぽいが、役者が上手過ぎるので嘘くさい人々と認識出来る、記号的キャラで新宿をイメージしたセット。
ドン・キホーテはボケているのかわかってやっているのか、それがこの作品の骨子。

舞台の闇の見せ方。
裏の意味で現代劇のわかりづらさ。途中からは、擬人化された動物を見ている。
反転した世界がバリケードの中、という意味。さっきまで馬だったのに擬人化されたから見るややこしさも加わる。途中、闇を見せたりするが「輝く闇」とあるので、闇が輝く?とどうやっていいのか、また考え込んだそう。その光りは闇を際立たせる演出、そんな中でわかる人となると、誰にしようと思ったら闇の中で目立つ人=大駱駝艦の白塗り姿が思い浮かんだ。彼等は褌姿で舞台に出て行く。その彼等が身につけている褌は専門用語で「ツン」と言うらしい。パンイチ=ツンイチの意。

敵にも味方にも銃乱射、その矛先は国家でも構わない。
風車は大駱駝艦によるパフォーマンス。最中破壊されるが、どうしても原発をイメージするのではないか。すぐにわかっても困るが3・11をぼかした話。ややこしや。
世田谷発信の舞台なので、冒頭は現行のスタイルになった。
最初のイメージはドン・キホーテとサンチョパンサがスズラン通りを歩き、お通夜に参列したり、店先で買い物したりと三茶の街中をうろついて劇場に入ってくる所から、と考えたりした。(←そっちの方が面白そうなんだが…)でも、他府県で公演あるし、それをやるとその劇場の観客にはわからないのでやめて、ああなった。ややこしや。
闇が光りを逆照射する場面は3〜4回あった。

劇場出たら見た事をすぐ忘れるような舞台も良い(某氏の事?w)
だが、ややこしや、ややこしや、でよくわからないのも良いと思い、それをやる事が公共劇場なりの問題提起の役割だと思っている。

Q&A
Q)子連れ狼、座頭市、紋次郎、どれも楽しんでやっていたような?
A)必要か?と思いつつ、ヒーロー像と思って楽しんでみせてみた。早替えは意外と楽しい。
Q)川村さんへの書き下ろし依頼はいつ頃?
A)震災前だったか、後だったか、いつだったかなー?たぶん後だと思う。
虚像の礎

虚像の礎

TRASHMASTERS

座・高円寺1(東京都)

2014/03/06 (木) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

初日観劇
日本のような場所だけどちょっと違う場所。
いつも通りの登場人物とその台詞廻しに、トラッシュ定番の展開かと思いきや、芸術や恋愛、時勢について語り尽くす。
あまり動きが無いので台詞をしっかり聞いておかないと置いてきぼりをくらいそうだったが、最後の場面でこの舞台の意義を見たような気がする。
中津留さんの経験談というわけではないよなw
今回、アレとアレがないw!セットがシースルーで見やすいw!
休憩なしの約140分。

ネタバレBOX

劇作家と議員と秘書と宗教家の対面場面は、なぜか笑ってしまいました。すみません。
林田さんの苦悩する様が痛々しくも、良かった。
9days Queen ~九日間の女王~

9days Queen ~九日間の女王~

TBS

赤坂ACTシアター(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

F列最前列
あらすじの文面通り、英国王室定礎な話。
1幕めは大学の講義を聴講しているかのような説明台詞がやや多い感じだったが、2幕から悲劇度が上がるにつれ、テンポアップした話の端折り方ではあったが、その成り行きに俄然目が離せない内容に。
ギラギラした父親からあんなに利発な王女に育つなんてジェーン立派だw。
堀北さん、次の舞台に出演する時はどうか長生き出来ますように(苦笑)。

ネタバレBOX

戦闘シーンが割とあっさりめで、上川さんやソンハさん等、身体動かせる役者さんが動きを封印されているのは話の展開上、致し方なし。
2幕のソンハさんの次第に好青年に変化する様が良い。また銀粉蝶さんの存在が光り、青葉さんの歌声が北欧の歌を聞いているかのような気持ち良さ。
田畑さんのドスの効いた風格ある話ぶりや、江口さんがアッサリよーじや風美人、浅利さんの気品ある若王様はありだけど、洋モノ時代劇(日本だと北条氏や織田氏が幅利いてる時代?)なので、所作がこなれてない感じに見えた。老練貴族だけど、あまり品は持ち合わせて無さげな所もこの舞台ならではって感じだった。

ジェーンの末路が悲惨で、それまでの過程の彼女に対し涙は出なくても、同情や哀れみが沸いてしまい、やや強ばった表情になったままカーテンコールを迎えてしまった。
一息入れて自分の表情を整え、演者に拍手をしてあげたかった気も。
お値段高めの舞台でしたが、それに見合う舞台でした。
おそるべき親たち

おそるべき親たち

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/03/02 (日) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

愛情が歪んでる
tpt公演時は未観劇。
中嶋さん、つい先日上演したトライブス同様の役回りを彷彿する場面あるが今回の方が見ていてキツい。ボソっと呟く台詞につい笑ってしまうも、それはホンの息抜き程度。次第に緊迫し屈折した家族関係に薄気味悪い面白さがあった。ご近所にはあまり居てほしくないご家族さんw。
まー、舞台上も客席も大人多めの舞台でした。
役者さん全員素晴らしかったです。

三方囲み座席、休憩込約2時間25分。

ネタバレBOX

近親(母子)相姦、家庭崩壊な話。
満島弟くんのセリフ言い回し方が時々、勝村政信さんに空耳。キラキラ度に惚れてしまうw。中嶋さんは年齢不詳の悩める素敵さ、しゅうさんの渋いダメンズオヤジ、麻美さんの狂気と陶酔のバランス、全体を見守るオリエさんの凄みも見える安定ぷり、とか。

円形ステージに強調されるかのように映える黒、白、赤の色彩がステージを覆う。暗闇の中で佇んでいる人物を見せているだけなのに、際立つ怖さ。効果音も不気味なアクセントになって聞こえたが、この辺は熊林さんの演出特有の見せ方なのかな。
サニーサイドアップ

サニーサイドアップ

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2014/02/21 (金) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★

最終日観劇
ある1人の俳優のユル〜い人生大河ドラマ。小野寺さんの機械では表現出来ない動きに見惚れ英語劇に笑いアクティブな赤堀さんに感動w。母との場面ではついジーンとし、本籍地不明の富川さんが不覚にも可愛いと思ってしまった。ノゾエワールド全開で面白かった。

アルトナの幽閉者

アルトナの幽閉者

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★

力が入る舞台
硬質で怒張したセリフのやり取りを聞いていたら、多少身体がぐったりしそうになる、見ているだけで痩せそうになったw
戦時下に犯した行為をキッカケに、生と死の二面が常に付きまとい正気なのか狂気なのか危うい精神を保ったまま部屋に引きこもる男、それを世話する妹、夫婦仲がぎくしゃくしてくる弟夫婦、終盤の父の生きる為に行なった行為と息子の受難多き会話を聞いていると見ているこちら側にも厳しさが沁みてくる。
それぞれの愛国心と家族愛が見え隠れした、静かに重い舞台でした。
吉本さんが裏ヒロイン。休憩込の約3時間20分。

2014年・蒼白の少年少女たちによる「カリギュラ」

2014年・蒼白の少年少女たちによる「カリギュラ」

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/27 (木)公演終了

満足度★★★

緊張感ある舞台だった
自分が見た時のコクーン版は勝地涼さんと長谷川博己さんが良く、小栗さんは少しお疲れ気味だったのかな、と朧げな記憶。
今回の内田健司さん演じる皇帝は、ギラつきと横暴さと狂気と悲哀の加減のバランスが絶妙に凄かった。二幕の芝居で油断して笑ってたら首はねられちゃうw。この作品に玉ねぎは必須アイテムなのね。

コクーンやさい芸大ホールの舞台公演の演出だと、格調さや優雅、みたいな印象を感じる事がたまにあるが、著名人が出演していないネクストやゴールドシアターには若さや艶っぽさ、過激さが舞台の至る所から溢れて見え迫力あって良い。最後のまとめの部分はやっぱり蜷川さんだけど。
観劇日の日替り配役→セゾニア周本さん、シピオン砂原さん、ミュシュス妻田中さん。でした。

ネタバレBOX

カリギュラ、セゾニア、エリコン、ケレアを演じた各氏の存在感がますます魅力的になってきた。
クーデターによって権力ある者が滅びる様を見るのは、納得もしたり理不尽と感じたり。緊張感ある舞台だった。
三方囲み座席、舞台正面にあたる位置に鏡張り。天井には巨大シャンデリア。幕締めには照明効果を利用した長い廊下を一人歩き去る王の姿。
海外戯曲の演出で、このパターンはもう変えてほしい。
バレンタインスペシャル『ヒトミ』

バレンタインスペシャル『ヒトミ』

演劇集団キャラメルボックス

EX THEATER ROPPONGI(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/14 (金)公演終了

満足度★★★

初見、バレンタインSP企画
再々演だが初見。
不慮の事故にあい、首から下が機能不全となってしまったピアノ教師、その主人公をサポートする恋人や母、医師達。
恋人の一途さ、肝心の主人公の行動については見ていてなんか疲れる事も多々あり。個人的に細かい笑いもちょっと合わなかった。やや強引な設定とも思ったが、一途な信念や覚悟がこの恋愛物語を引っ張っていったのかな、と感じた。
特に大掛かりな舞台セットを用意しているわけでもなく、メインはホテルのロビーにグランドピアノが一台あるのみ。時系列シャッフルしてもちゃんと話が解る構図には感心。
舞台上にほぼ居っぱなしのヒトミこと実川さんと、その恋人役の多田さん、医師役の稲荷さん等が印象に残った。毎度の事ながらこの劇団はアフターケアまで徹底して素晴らしい。
約2時間。

余談だが、今回の公演のこの新しい劇場、音響や照明がクリアで主に音楽系イベントに適していると感じた。劇場内の座席に辿り着くまでエスカレーターを使用して、その行動に最近の主要駅改修工事後の地下鉄ホームまで行くかのような感覚に陥ってしまったが。

バレンタインSP企画で、毎公演終演後ゲスト招いてのトークショーあり。
観劇日は再演時、医師役だった川原和久氏。
バレンタイン企画と銘ある為か、舞台関連の話はあまりなく、ほぼプライベートに関する事だったのでそれについての内容は割愛。

ネタバレBOX

まだ誰もその医療行為を試した経験がない「ハーネス」と呼ばれる特殊機械を植え込む事になったヒトミ。実験的ではあるが、その効果により自力歩行が可能までに回復するが、機械の不具合が徐々に表面化し、取り外して新しい機械に改良されたものに交換するとなると半年くらいかかるらしい。その間はまた寝たきりになる。元気だった頃に極自然に行なっていた行為がまたやれなくなってしまう哀しみやジレンマ、その過程と判断までを場面と時間を交互に見せながら進行していくが、病状の悪化時と回復時のヒトミの揺れ動く気持ちの葛藤や辛さの伝わりがよくわかるのは、実川さんの普通ぽさの中で見せる引き締めた演技の美しさみたいなものか。
だが、感情的な説明台詞とやり取りが多い為か、どこか聞いてて疲れた。良い話なんだけど、殆どの登場人物があまり好きになれない人ばかりだった。

入院中、不眠を訴える患者が居たら、医師は睡眠導入剤とか処方すると思うんだけどその辺は触れていなかったな、お芝居だから?
ほか、ピアノ弾く事が生き甲斐とは思うけど、気にしてくれる人が沢山いるんだから半年位は我慢しなさいよ、とも思ったけどw。
あとは、あじさいホテルの全従業員の仕事態度にもイライラ。キャラメルの公演観てると、こんな笑わせ方というか楽しませ方を見せるけど、毎回自分には笑えないんだよなぁ‥、すみません。
もっと泣いてよフラッパー

もっと泣いてよフラッパー

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★

時代性を感じた舞台
初見。
OVER50の素敵なオジ様役者達による演奏と美声を聴かせ魅せる女優達。
悪法が生きていた時代の話、色恋沙汰はあるけど煙草の煙が薄く漂い、消えていく様をそのまま見ているような舞台だったが、メインテーマを劇場を後にした今も口ずさめるという事は幻ではなかったんだろう。
話は深く考えなくても大丈夫。
ただ、話の進展が冗長に感じたし、コクーンではやるには劇場が綺麗過ぎるのではないかなーという違和感もあった。
休憩込みの約3時間。

出番以外でも舞台袖でステージを楽しそうに見守る串田さん、いつまでもお元気でいてほしい。

ネタバレBOX

大人の未熟な恋愛話というのかな。
魅力的な配役だったので各自の活躍ぶりを期待していたが、元は30年以上前の劇団戯曲だし、登場人物の動かし方にちょっと肩すかし感もあったけど、個人的に印象に残った方々。
お松さんの歌とダンスステップがセクシーだし、ヒゲ姿もかわいい!
普通に歌う松尾ちゃん、毒気抜きの存在がまた貴重でイイ。この芝居のテイストでは一番のはまり役だったと思う。
もう一人、いいなーと思ったのが特に目立つ事をしているわけでもないが山岸門人。モブの位置にいても妙な存在感があった。松尾さんと一緒に踊る2人が面白かわいいw。
石丸さんの歌に演奏、芝居も確かに二枚目半な役柄だったが、ここまで崩れた感じの役を見たのははじめてだったので、新鮮で面白かった。

ステージ場面はサーカスのようなレビューショー、ちょっと某局の仮装大賞ぽかったけど演奏シーンはもっと聞いていたかった。
70〜80年代の上演当時の熱気はあまり感じられなかったけど、伝説化された舞台を見る事が出来たのは幸運でした。
現代能楽集Ⅶ『花子について』

現代能楽集Ⅶ『花子について』

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★

2日目観劇
女の怨念がおんねん、を踊りで現す「葵上」
元祖マシーン日記で高鹿オンステージなコメディ「花子」
奇妙なSNS三角関係の「班女」
総じて役者さんの身体能力の高さに驚かされる。
はいりさん堪能。
休憩10分、15分ありの約2時間20分。

ネタバレBOX

呪術のような、はたまた手品のような趣向があったり、コンテンポラリーダンスなのに能や狂言的な踊りに見入り、台詞があるわけでない。踊りだけなのに女の怖さがわかるって凄い、あっという間に終った感じ。
ダンサーは大変だけど、あの踊りはもっと見てみたかった。

狂言がストリートプレイになり、視点を変えるだけでこんなに面白くなるとは。とても面白かった草冠に化けると書いて花子。

意外と奇妙でシリアスな話だった班女。
どれも基本に忠実ぽい描写ありで、とても面白かった。

世迷言

世迷言

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2014/01/29 (水) ~ 2014/02/04 (火)公演終了

満足度★★★★

和洋混在する舞台
下地は日本昔話の純和風おとぎ話の一説、野田秀樹さんとは違う日本語の言葉選び、疾走感、美しくて残酷、どこか纏まり良過ぎな気もしたけど女形パイオニアの英介さん含め役者陣が良かったので満足。
流派は中屋敷流(といってもいい)柿喰う踊りがスタイリッシュでカッコイイ。
立ち見のお客さんと補助席多めの光景に、小劇場系の劇団の双六のコマがどんどん進んでいく活力のようなものを感じた。約90分。

役柄シャッフルの乱痴気公演は当日観劇しないと配役不明。

ネタバレBOX

鬼、姫、翁、猿、帝、等が登場する竹取物語がベースだが、衣装はモード系スーツ、セットらしいセットは無く壁面と段違いの床、折りたたみ状の梯子があるのみ。暗色系のメイクに照明や音響で舞台効果を高め、能や狂言みたいな台詞回しは聞いているだけで心地いい。日舞と独特の機械的な動きがミックスされたような踊りが「カッコいいなー」と、つい言葉に出てしまう。
竹から生まれた姫は人間か、或いは、もののけなのか。月のものが来て、子どもの産める体つきに成長し(←ラップか)帝がみそめて周囲の人間を巻き込み、人間である帝の妹と猿が一線を越えた辺りから物語が更にダークファンタジー要素が出てきたように感じた。
フライヤー写真にも登場している籠が結構重要なアイテムだったとはw

冒頭から一気にその世界に惹き込ませる言葉遣いや、鬼としての所作、妖鬼と母親を演じ分けた篠井さんはこの話の要でもあるけど、歳の離れた役者の中に違和感無く馴染んでいたのも面白かった。

どこか様式美のような話のわかりやすい進行に纏まりが良過ぎるような印象も持ったけど、終った後でもう一回見たくなる麻薬のような気迫が残り、百鬼夜行のような退場の仕方まで楽しめた。

昨年公開のアニメ映画「かぐや姫」は未見。
中屋敷氏のアフタートークでそれに触れた質問があったが、映画を見ていたら、もっと違う印象を持ったかもしれない。
劇読み!Vol.5   ご来場ありがとうございました。

劇読み!Vol.5 ご来場ありがとうございました。

劇団劇作家

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/01/22 (水) ~ 2014/01/28 (火)公演終了

満足度★★★

G:五臓六腑色懺悔 観劇
チケットプレゼントにて観劇。
あばずれ女の産み落とした息子の体内にいる五臓六腑が擬人化したり、天狗や河童も加え情念増量して巻き起こる因果な展開、どこか落語のような通し狂言を聞いているみたいだった。
複数の役柄があったが、読み手の演じ分けが見事で各臓器の掛け声にちょっとクスっとした。
役柄に見合った衣装、照明は良かったけど、やや音響がうるさく感じる場面があったかな。
面白かったので、どこか舞台上演してくれないかなw
上•下編通して約130分。

ネタバレBOX

あばずれ女、と書いたけど、蛤役のささいさんの演じ方は聞きやすかったです。
ジルゼの事情

ジルゼの事情

OFFICE SHIKA

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/01/16 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★

Coccoの唄と踊り
古典バレエの原案を基にCoccoと鹿殺し面々が織りなす美しい悲恋の話。
一部分は鹿殺しテイストあるけど、ほぼ女優Coccoの為の舞台。
彼女の唄は数える位しか聞いた事ないが、通常、大ステージ上で歌うアーティストが、ライブハウス位の距離感で姿を見られた事は幸運だった。バレエステップや裸足で歌いあげる姿に魅了された。
廣川さんがM輪さんチック、内田滋さんの二枚目な役も久々に見た気がするw
今まで鹿殺しはチョビさんの作しか見ていない。チョビさんの幼少時から成長期の記憶を呼び覚ますような舞台もいいが、今作の丸尾さんの、成熟された感情を映し出した手法はとても綺麗で素晴らしいと思う。
約105分。

ネタバレBOX

バレエ作の「ジルゼ」を見た事がないので、どこまでが参考にされているのかわからないが、とても精錬された舞台だった。
以下、概略。

渋谷の宮益坂にある寂れた純喫茶店マーガレットが舞台。
メニューはコンビニで調達した出来合い品をレンジでチンするか、パックのジュースをコップに移し替えてお客に出している。
そのお客も幼なじみの常連客、番太郎しか来ないお店を母 響子と汁是(ジルゼ)優子の2人で切り盛りしている。
街の噂で夜になると男が行方不明になる事件が多発しているらしいとか、ガジャマルの鉢植えは誰にもらったのー♡?とか、東京オリンピック決まってどうなるんだろーねーと、ひと事のような世間話で日々過ごしていた。
父と妹、加奈子は交通事故で既に他界しているが、優子が原因のよう。
優子に恋する番太郎、優子と両思いになる役者志望の客 虻レ、優子の店に連日土地開発進める男 氷室、GPSを頼りに婚約者を探しに来た令嬢ぽいが案外いい女と思わせる かよ子、それぞれの思惑がわかった後、役者志望の男の正体が立ち退きを勧めていた会社の社長とわかり、優子は母と幼なじみとで殺害計画を企てるもやり方が結構雑なので案の定失敗。彼と婚約者の抱き合う姿ですべてわかってしまい、母の戒めや恋愛の裏切りを目の当たりにした結果、自ら冷蔵庫に閉じこもり死を選んでしまう。

一転、深夜に変わるとまるで美輪さんもどきの父 ローズマリーが経営するバーに様変わり。そこは男に裏切られ死んでいった女達が従業員のお店。店に迷い込んだ男性客の血を吸って癒していた。その中にはいつの間にか優子も馴染んでおり、同様に生き血を飲み快楽を味わう女に。
そんな彼女を忘れられず、店の噂を聞きつけ番太郎がやってくるが格闘空しく女達に殺されてしまう。早朝、彼の亡骸だけ残った純喫茶マーガレット。
一度は優子を忘れようとしたものの、気持ちの整理のつかない虻レ。
娘もいなくなった現世では母が店を手放す決心をするも、虻レはそれを拒否し優子を探そうとしていた。そのやり取りを図らずも父が聞いており、なんとか店を維持させたい父は優子に虻レを誘い出すように画策。

父の店の存続と虻レへの捨てきれない思いで揺れ動く中、なんとか店まで誘導させるも彼に彼女の姿は見えない。それが父の背広を通して虻レと再会することになり、クラシックなバレエダンスで喜びと恋心を共有しあう2人。
ここのダンスがすっごく上品で切なくて美しかった!

男を襲撃してくる亡霊達、それを拒む優子、激怒する父、姉妹の不和、優子を守ろうとする虻レ。ガジャマルの鉢植えを抱え倒れた虻レの姿に激しく語りかけるように声を振り絞り歌い続ける優子。
やがて朝を迎え、母や婚約者はその状況に唖然としてしまう。父と妹はそれぞれの場所で成り行きを静観。意識を取り戻した虻レと放心状態の優子。抱きしめようとする虻レに優子は彼の首に食らいついてしまう。
しかし、ガジュマルに守られたお陰か彼は生きていた。彼女の恋心を悟った父は優子を赦し、仲違いも消えた加奈子と一緒にバレエを華麗に舞う姿を見ながら終る。

回想や場面転換時、影絵のように見せたり、ショーパブのシーンではいかにも鹿殺しらしいショー!で楽しめた。
Coccoのバレエシーンは優雅で綺麗でだった。


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