東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』
東宝
帝国劇場(東京都)
2007/06/08 (金) ~ 2007/08/27 (月)公演終了
満足度★★★
山崎直子って誰????
前回の観劇から1週間も間を開けずに当日券で観劇。
帝劇では当日券限定で1階中通路に設けられる補助席は
健在ですが、2階B席ゾーンに存在した、立ち見(階段)席は、
いつの間にやら廃止されてしまってました。
(最後に利用したのは、初演モーツァルト!の時だった気が・・・)
今回久々に当日券を並んだら、2階B席最後列に、8席だけ
B席補助席なるものが登場していました。
リピーターには懐優しいB席プライスです。
今回は、3回目位になる、今井バルジャンと初見石川ジャベール。
全く、くせも毒もない今井バルジャンですが
今日は少し声の調子がよろしくないようで、高音を中心に
かすれがちでした。
そして石川ジャベール、お歌は上手なんですが、またセリフの
言い回しも、堂に入ったもので、安定しているのですが
いかんせん、あの容貌です。秋葉系なんですよねぇ。
オタクっぽいと言うか・・・。
なんだか病的な狂気を持ったジャベールのように見えて、話の本質がズレてしまったよう、まるでサイコ劇(--)。
入水シーンも、なんだかコミックチックに見えてしまうのは
いかがなものか。
今回の若手は、山崎・原田のフレッシュコンビ。
いいねぇ爽やかで純粋で希望に溢れる闘志が
まざまざと伝わってくる。
歌や芝居のテクニックやレベルも大事だけど、
こういう役柄に合った配役で望む姿勢も大事。
いくら熟練の技と言っても、今更、石川・岡の加齢臭漂いそうな
コンビに頼ったダメですよ。
そういえばエポニーヌの知念も、お母さんなんだよなぁ。
帝劇の2階最後列からでも、ほのかな母性、母の強さが
垣間見られ・・・。
母性という意味では、ファンテーヌ。
それこそ生活感や母性ある人が演じなきゃ行けないと
思うんだけど、岩崎宏美、マルシアはじめ
なんか家庭のある人はいないような。
それより、今日の配役は、山崎直子、
なんとも陰気臭い、アゴの長い女で、見ていて暗くなる。
確かにファンテーヌは病気で死ぬ役だけど
本気で結核みたいな表情の女優が舞台の上にいると
それだで気分悪くなる。
っていうか、山崎直子って誰????
アンサンブル上がりでもなさそうだし、他の作品で名前聞いたこと
ないし、クラシック上がりにしちゃ、
たいして歌も上手くない。際立つ個性は陰気臭さだけで平凡。
なんでこんな人が、かのレミゼのメインキャストにいるの?
恋愛
富士ロック
王子小劇場(東京都)
2007/08/10 (金) ~ 2007/08/12 (日)公演終了
満足度★★★
極立つ男優、水を差す女優
出演者の名前が、どっちも中性的な名前で、どっちが誰だか
わかりませんが、いづれも初めて聞く名前です。
「あの××と、あの○○が魅惑の競演」なんて感じで
「TOKYO HEADLINE」にも「シアターガイド」にも
紹介さえているので、気になって見に行きました。
100席程度の客席は補助席も一杯になるほどの盛況。
内容はシンプルな日常シチュエーションドラマ、
ちょっとドタバタを加えて、2人の心の動きを綴りました、的な
ありふれた作品、テーマや訴えかけるものは
一切ありません。
2人芝居で、セットも簡易なものなので
演技そのものを注目せざるを得ない。
そうなると、全てが役者の魅力にかかってくるわけで、
その役者の個性だけが出来不出来の境目になる。
4幕、約100分の上演時間を通じ、極端な印象が残った。
男優は際たっていた。
こんな小劇場に立っているのが不思議なほど
華もあるしオーラもある、立ち姿もなかなか。
決して2枚目ではないが、愛嬌があって
エキセントリックな芝居をしても嫌味にならない、
ちゃんと品位が残る。
プロフィールはわかりませんが、
彼は、舞台の上でも映像の世界でも、これから活躍していくんじゃ
ないかな。
4つ、それぞれの役で違う顔を見せ
魅力をふりまいている。
それに対し、女優のほうは、いただけませんねぇ。
役柄が傍若無人というか、気まぐれな役でり男を翻弄する
役であるのに対し、
全く可愛げがない、近寄りがたいトゲトゲしい女だけに
なってしまっている。
出来る女でもないし、色気のある女でなければ
愛狂わしい魅力の顔立ちでもない。
にもかかわらず常に上目線なセリフの言い回しで
貞淑さの欠片も見当たらない。
そう、話に水を差しているような態度が、とても多い。
どうにもうざったく、
話に共感が出来なくなってしまった。
韓流ドラマじゃ、あの手のキャラクターの女性は
たくさん出てくる、流行なんでしょう。
TVドラマじゃ松嶋奈々子や竹内結子モノでは、
そんな役を見る事も多い。
でも彼女達は、そんな事をしても許容される魅力が多い、
だからこそ成り立つ話であるのだ。
優しい男性に憧れ、謙虚さが出せない女性が増えている御時世、
「女性客に喜ばれる作品が、成功のヒケツ」なんでしょうか、
こういう作品が増えているのは、「時代を著している」って
ことなんでしょうか。
清水宏の真夏の大作戦!!~やる気マンマン!日比谷ワンマン!~
演劇企画製作集団TWIN-BEAT
日比谷公園大音楽堂(東京都)
2007/08/08 (水) ~ 2007/08/08 (水)公演終了
満足度★★★
熱い男!清水宏!
池袋の小さな劇場で初めて「シンバルン漫談」なるものを
見た時は、ポカンと口を開けて見てしまいました。
その後も地道に活躍をされていているようだけど
特に目立った個性やキャラがある訳でもなく
挨拶代わりのネタがある訳でもなく、見た目も普通。
なのに何か記憶には残っていた不思議さ。
・・・とまぁなんとなく情があって
あと、先日、高円寺の場末の劇場、日曜日の昼下がりに
本人自ら手配りでビラを配って宣伝する姿勢に
哀愁を感じ、行って来ました、ロックの殿堂「日比谷野外音楽堂」。
清水宏を見るより日比谷野音に行ってみたかったってのが
本音。
行った事がなかったんですよ、この野音。
3000人位のキャパはあるのかなぁ。
開放的でいいですねぇ、舞台の背後には都会の摩天楼が
聳え立ち、
フワーっとホタルが浮かんていたりする。
夜風がそよそよ吹く中で
埋まっていないから、リラックスした姿勢で見れました。
ビール飲みながら、剣先つまんで、
時々タバコも吸いに行きながら、まるで野球のナイター観戦
しているみたいな気分で、
とても居心地良い時間を過ごすことが出来ました。
チケット代は2000円。
フラっと寄れる、この設定が嬉しい。
そう、こういう芸人さんの余興のようなものが
最近、高尚のようなものと、勘違いされすぎる傾向が強い中
こんな庶民的な演芸、見れる環境、うれしいですねぇ。
姿勢を正して望む作品もあるんだろうけど、
単純な娯楽として、
見せてもらえると、本当に、職場の同僚なんかも誘って
仕事帰りに気楽に寄れる。
フラリと寄れるのは、やっぱ映画と同じ2000円程度までだよなぁ。
メリルストリープやダスティンホフマンも出演する
ニューヨーク、セントラルパーク内にある
野外円形劇場で、毎年の夏に、無料だったかな?
演劇フェスティバルみたいなのが行われています。
「誰でも気軽に楽しんで、途中の出入りも全然OK!」って
自信と余裕のような懐で
芝居を打ってくれて、演劇への間口を広めてくれてます。
日本の演劇人、文化人も
海外の演劇人の受けているメリット(待遇、環境)ばかりを
強調して権利ばかり主張せず
こういう、芝居の楽しみを広げる義務も
遂行してほしいですよね。
特に、国から補助が出ている、補助を受けた団体や劇団は!!!
そうそう国費で留学とか、させてもらった作家や演出家も!!!
東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』
東宝
帝国劇場(東京都)
2007/06/08 (金) ~ 2007/08/27 (月)公演終了
満足度★★★
新星 発見!原田優一
もう通算何回目だろう、レミぜを見るのは。
10代の頃、斉藤由貴を見たさに初めて見て、さっぱり内容が
わからなかった第一印象だけは鮮明な記憶。
あれから20年の付き合いになると思うと、感慨深い。
人生の節目節目で、ロンドンやNYの旅先で、
何かしらレミゼは僕の人生の中に関わっている。
「あの時見たレミゼの頃、~だったなぁ」と
思い出の中に刻まれる。キャストが複数変わる点も
いい方向で影響がある。
この作品の素晴らしいところは、
自分が見る年代、おかれている環境、家庭によって
常に新しい感情が沸く点です。
今年に関して言えば、ずっと、「どうしてジャベールが、バルジャンを
執拗に追い続けるのか」という点と、もう一つはネタバレに書く点が
やや違和感なく観劇出来た。
大人には、意地でも貫かなきゃいけないことってあるんだよね。
さてさて
今年のレミゼの中身ですが、一番の収穫は
アンジョルナス役の原田優一24才、彼はいいね。
優しそうな顔立ちの中にも力強い意思を持つ目があり
品性もある、もちろん歌も上手い。
何より、舞台の上でアンジョルナスを演じる喜びが
全身から溢れ出て、緊張感と誇りを持って、一つ一つ
非常に丁寧に演じている。
彼はいいよ。
いつでも「モーツアルト!」ウォルフガングも
「エリザベート」ルドルフも出来るでしょう。
今回見たマリウス役の「テニスの王子様」小西とは雲泥の差。
彼は見るからに、演じる役の一つ、って感があり、
気迫や誠意が滲み出ていない。
若手役者の一つの到達点を演じているって自覚が伝わらない。
ぶっちゃけ、格好だけ。
レミゼってミュージカル作品の中でも最高峰の一つと
僕は思う。だから、その作品に参加する、出演するって
事は、とても凄い事って思うんです。
どんな芝居や作品でも、それに優劣をつけることは
失礼な話なんだけど、
レミゼは「憧れの・・・、あの・・・」と胸を張って
万人に言える作品であり、
観客も期待をする、それだけの作品と思って全員のキャストの方は
参加して欲しいですね。
レミゼの別の良い点で
既に名前が売れている役者が
メインキャストを占めるだけでなく、
たたき上げ、アンサンブルから出世して
こういった役を与えられていくって流れも
いいですね。
やはり舞台に出る回数が増えてこそ、ついてくるオーラや
上達もあるのだろうから、
作品で御客が呼べる作品には、
思いきった冒険のようなキャストも期待したい。
今回の新星発掘、原田優一24歳ではないけど、
この役をきっかけに日本のミュージカル界を背負う
役者が生まれて、役者陣の循環が活発になっていって
欲しい。
そういうえば
今回は女性陣が、、どうも薄い、薄味ですねぇ。
ガツガツするほど、熱気あふれる情念が感じられない。
みんな普通。ありきたり。
良くも悪くも印象に残らない。
すけだち
TBS
新宿コマ劇場(東京都)
2007/08/05 (日) ~ 2007/08/14 (火)公演終了
満足度★★
何がなんやら、誰がだれだか・・・
この作品は、いけませんねぇ。
観客を無視した作家の自己満足の悪い例の典型のような
最も酷い作品に堕ちてしまっている。
何がなんやら、誰がだれだか、最後の最後まで訳がわからない。
あまりの退屈さに
「今度こそ」と思いながら、何度も帰ろうと思ったけど
やっぱり結局最後まで、一応見てしまいました。
でも最後まで、救いはありませんでした。
これって普段、年配者相手の作品を作っているスタッフが
「イマドキの若い人には、こういうのが受けるらしい」って
思いながら、訳わかんなくても、割り切って、というか
何かを信じて、制作されたとしか、思えない。
「娯楽の殿堂 新宿コマ劇場 夏休み公演」として
「あやや」を中心に、芝居の要は熱血・筧利夫、
戦隊レンジャーかテニスの王子様に出てくるような
イケメン若手俳優をゴロゴロと集めて、リーダーに
北村ジュニア、人気の御笑い芸人も加えて
オマケにギャル曽根も加えて一丁上がりって
企画は間違っていないと思うんです、むしろ正しい。
事実2000席以上のキャパを誇るコマ劇は、平日夜にもかかわらず
ほぼ満席だし。
((昨年、「冬ソナミュージカル」にはまって
コマ劇に1ヶ月で15回程度通いましたが、常にガラガラ。
1000人以上集客があっても、この劇場は大箱がゆえに
ガラガラ感が強くなってしまう、実は大変な劇場なんです。))
「We Will Rock You」でお目見えした
電飾マルチスクリーンを多用し、
ドロシーもシンデレラも飛び出した
新宿コマ劇場名物、「3段デコレーションケーキ型セリ付回転盆」も
効果的に利用、ダイナミックな大技は、見ごたえたっぷり。
これも間違っていない。
夏の思い出作りには、こういうベタベタな大仕掛けが
楽しいんです。
新感線を模した、特効や大音響、照明、ポスターなども
まぁいいでしょう。
間違いなく大多数の客層はカブりませんから。
しかし、これらの良い点全てを台無しにしてしてしまう、
最品の出来栄えの悪さは
簡単に言えば稚拙な脚本の責任なんでしょうか?
脚本の「鹿殺し」は、こまばアゴラで観た「卍」やプレゼント
(昔は劇団サイトでチケット予約すると過去の作品のDVD
もらえたんです。1枚2000円のチケットで)
された作品を見ても、
「つかこうへいの影響を受けた作家なんだな」程度で
新鮮味はないけど、それほど支離滅裂な作家では
なかった気がする。
何でこんな風になってしまったのか・・・。
最もニッチなマイナーな人が、突然メジャーな事やれって言われて
出来る訳がない。
いろんな人が、いろいろ好きなこと言って
やりたい事言ったが故に
こんな作品に堕ちてしまったんでしょう。
不幸な作品です。
いとこ同志
まつもと市民芸術館
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2007/07/27 (金) ~ 2007/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
熟練の味わい
いろんな公共団体が主催し協賛している作品のようなので、
「文部省特選」のような毒のない品性正しい、
なよなよした作品と思って観劇に臨みました。
確かに品性の外れた部分はないけど、
そこそこユーモアがあり、野心もあり、
哲学的思想も含まれた真面目で力強い作品でした。
坂手作品は、以前、名古屋の大須にある
納戸のような劇場で「屋根裏」という作品を体験したことが
ありました。
韓国ミュージカル「地下鉄1号線」と良く似たテイストの
作品だなぁと思って見た記憶があります。
今回の作品も、基本的な構成や、路線は、似てたので
それが、この人の味わいなんでしょうか。
しかし、メジャーな役者が顔を揃え、
演出家も実績があるのに、
200人しかない東京芸術劇場小ホールが
半分程度しか埋まっていない。
エンターテイメントに満ちた娯楽作ではないけど、
「たいしたことないなぁ」と思う無名劇団や、くだらない作品、
どうでもいい自己満足的芝居を打っているような作品が
不思議と紀伊国屋や本多劇場で動員をしている中、
決して秘めやかに公演を打っているわけでもないのに
寂しい客席。
見所は、大御所、渡辺美佐子。
4人しか出演者のいない作品で2時間休憩なしだから
必然的に出番もセリフの量もハンパなく多いのに
堂に入った演技で、余裕な仕草で芝居に溶け込み
作品の展開の上での大黒柱となっている。
他の役者が、時々いっぱいいっぱい、アップアップになっている
様子(息が上がっていたり、キレがなかったり)が
伺える中、最高齢(70歳位なのかなぁ)の
渡辺美佐子は汗まみれになることもなく息を切らすことなく
それはそれは熟練された職人技のように演じている。
大女優さんでありながら、いわば若手の野心作のような
作品に挑戦する姿勢、そして自己満足ではなく
作品に風格と気品を与える芝居は一見の価値があります。
佐野史郎も宮本裕子も、ふっとんでしまってまっているというか
渡辺美佐子の手の中でコロコロ転がされているような
感じのよう。
当たり役なのか、十八番なのかどうかわからないけど
同じような役柄の芝居や、宛書の芝居に胡坐を書いている
商業演劇の大女優さん達も是非見習って欲しいですね。
ただ、正直、芝居として面白味は少ない。
舞台映像も半分は暗いので、強い集中力を持って
観劇をしなければいけないし、理解をする努力が強いられる。
そういう作品は、僕は苦手。
このような哲学的な側面を持つ作品、平田オリザ作品なんかも
含めて、折り目正しい作品を
素直に楽しめるような観劇姿勢を持つような人間に私はなりたい(笑)。
この作品を素直に「感動した」と言えるような人間にもね。
今はまだ、この作品を褒め称える人は偽善というか
格好つけているようにしか思えず、仲良くなれなさそう。
いい作品なんだろうけど、中途半端に説教臭い作品は
どうも、お金出してみるには腰が引けます。
あんまり観劇中に、頭、使いたくないんだよなぁ(汗)。
『エリザベート』-愛と死の輪舞(ロンド)-
宝塚歌劇団
東京宝塚劇場(東京都)
2007/07/06 (金) ~ 2007/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
ザッツ!タカラズカ
今、最もチケットの取りづらい公演の一つの
「エリザベート」、常に日本語公演を打てば完売御礼の
作品、10年以上も上演していても、動員力に衰える気配のない
作品だけど、タモリはタイトルさえも知らない
「エリザベート」、同じ人が見に行くから観客の裾野は
広がっていないんでしょうか。
作品自体は、歴史ロマンではありますが、
いわば嫁姑ものであり女の一代記、
「華岡青州の妻」「放浪記」といった馴染みやすい作品。
僕は周りの人に「忠臣蔵みたいに誰がやっても
客が入る作品」と乱暴に言ってます(笑)。
通算10回以上、観劇していると思われる「エリザベート」
うち宝塚は初演のまり様と一路、まり様と姿月、彩輝なお、と今回で
4回目。前回が本家と言われるウィーン版と、
様々な角度、切り口で繰り広げられている中で
今回の公演は、最も宝塚らしい、作品と言えると思います。
宝塚は、宝塚であって、
ミュージカルでもなければストリートプレイでもなく
「タカラズカ」というジャンルの作品、言わば歌舞伎と一緒。
芝居が上手いよりも、歌が上手いよりも、ダンスが上手いよりも
「タカラズカ」らしさが伝わらなければ、
それは作品として失敗と思って観るべき、と思うと
十分に堪能、陶酔に値できると思います。
そう、役にはまるのではなく、あくまでもトップスター
水夏希の良さが前面に出なくてはいけない。
タカラズカの不文律や様式が損なわれたら、その段階で
「宝塚歌劇」じゃなくなってしまいますよね。
「水夏希」って「日出郎」に似ているなぁと思いながらも(汗)
流し目や、優雅なマントの翻し方を見ていれば
「それだけを楽しめば、いい」と痛感しました。
ほかの事を期待しては、いけません。
これは「タカラズカ」なのですから。
トップスターの個性を楽しむ作品なのです。
まぁトート自体、両性具有というか、性別を限定する役柄ではないので
その意味では、水夏希は、合ってます。
まり様の「エリザベート」はタカラズカもミュージカル女優をも
超越した、それはそれは素晴らしいエリザベート像でした。
東宝版、ウィーン版を含め
全てのバージョンの中でも卓越した作品に格が上がっておりましたが
それによってトップさんが全く影の薄い、他の演出や
場面が影に潜んでしまい印象に残らない、
ある意味「タカラズカ」としては反則技ではありました。
そう、まるで、まり様の一人芝居。
あの時は、湖月わたる、朝海ひかる、和央ようかって
今思えば豪華なキャストだったにもかかわらず。
その分、今回はとても新鮮に
「エリザベート in タカラズカ」を楽しめたと思います。
今回は、2階最後列からの観劇でしたので
60名を超える舞台上のタカラジェンヌ達の華やかな演舞を
楽しむ事が出来ました。
「人数が多いと、それだけで迫力になるよなぁ」と
お約束のフィナーレでの
敷居の低い親近感溢れる大衆演劇レビューを
喜びながら、劇場を後にしました。
小軍団
カムカムミニキーナ
明石スタジオ(東京都)
2007/07/27 (金) ~ 2007/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
新しい形のプレビュー公演?
機会がなくって、これまで足を運ぶ事のなかった
カムカムミニキーナ、
結構有名な劇団なのに、不思議なことに近所の明石スタジオで
なにやら公演を打っているので足を運びました。
秋に、「軍団」ってタイトルでアプルで公演するようです、
これが本公演って事なんでしょうか?トレビアの司会の人も
出演するようですし、ポスターも派手目。
チラシの様子からしても、大筋は似たような内容なんでしょうか。
ひょっとしてこれは、新しい形のプレビュー公演?
無名の劇団員が、しっかりとした?戯曲を基に
こういった小さな劇場で気軽に寄れるチケット代金で
公演を打つ、とても良い形、良い姿勢と思います。
演技が上手かろうが下手だろうが、生で芝居を見る醍醐味は
十分味わえますし、迫力も感じられます。
退屈知らずの約2時間、これは改めて、とても良い企画と思う。
2500円のチケット代金でキャパ100人弱。
いい距離感で、楽しめます。
出ている出演者は、結構いい年(30歳以上?)かと
思えたけど
客席は、驚くほど若い。
殆ど大学生くらい、20才前後の若者じゃないかな。
手売りチケットの付き合いで足を運ばせるような公演でも
なかろうし、チケット代の折り合いがつけば
きっと演劇を楽しみたい人は、沢山いるんだなぁと
実感しました。
つかこうへい作品を北区つかこうへい劇団が
以前から、手軽な料金で公演を打っていますが
人気作家の作品って、あまり小劇場、小劇団が
上演する機会は少ないですよね。
シェークスピアや古典劇じゃないけど
良い戯曲は、もったいぶらずに、どんどん身近に見れるよう
間口を広げて欲しいですね。
ヘアスプレー
テレビ朝日
Bunkamuraオーチャードホール(東京都)
2007/07/18 (水) ~ 2007/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
ブロードウェィミユージカル・・・のようなもの
数年前、ブロードウェィで見た時は本当に楽しい
ミュージカルコメディで、あっという間に過ぎた思い出があった。
ブロードウェィでも、歴史のある古い趣で
1000席程度の劇場と
パルテル調の衣装がノスタルジックさを醸し出し
スタンダードな話だけど無条件にハッピーになる演出は
本当にピッタリはまっていた。
かねてから作品の大きさと劇場の大きさ、雰囲気の関係を
とても大切にしている身としては、
今回の来日公演は、嬉しいけど非常に不安な、
そう2000席以上を誇る、幾何学的で無機質な
オーチャードホールでの上演。
今回はじめて、その3階席から見たのですが
3階と行っても高い高い、普通の劇場の4階席か5階席じゃないかと
思う位高い。
四季秋劇場かルテ銀、東京劇術中ホール、せめて青山劇場
程度の作品を、あんな大きな劇場で・・・
遠すぎて字幕さえも良く見えない。
予想は的中し、遠くでチマチマ動いているだけで
初めてだったら一体何をやっているのか
わけわからない状態に陥ってしまってまいそうです。
宝塚劇場や歌舞伎座も大きいけど、その劇場に応じた
演出というか、人数が沢山出てきたり派手な舞台装置で
遠くの人でも満喫できる内容になっているんだけど
この作品は舞台の間口を狭くして
オーチャードホールの大きな舞台をわざわざ小ぶりにしての
上演。楽しさが伝わるわけがない。
いろいろ理由はあるとは思いますが
数年前と比べたら日本でもミュージカルが山ほど
上演されるようになって身近なものになってきているのに
外人が演じているというだけでプレミアをつけるような
興行方法は、いかがなものかと思う。
正直、キャストも思いっきり地方公演よろしく
地味で魅力の薄い役者が
大きな声を張り上げたり、語尾を延ばしたりすれば
上手に聞こえる、とばかりで
非常に大雑把というか雑な印象。
四季の地方公演キャストよりも安っぽい。
ブロードウェィミュージカルと謳ってますが
「そんなようなもの」程度と思った。
前のほうで見れば、また違うのかなぁ~。
それでも
オープニングとラストだけはウキウキ出来たから
まぁいいかなぁ。
歌姫
東京セレソンデラックス
シアターサンモール(東京都)
2007/07/11 (水) ~ 2007/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
深夜テレビ番組っぽい、お気楽さ。
チラシの雰囲気から、昔の日活映画風な渋い作品か、臭い作品か
タイトルからして、中島みゆきの歌の世界か
キャバレー回りでもしている寂れた歌手の話かと
思っていたら、
泣き笑い有りなドタバタコメディでした。
展開の意外性や、驚きがない分、まとまりのある作品で
終演後「あぁ面白かった」ってサクっと思える作品。
配られたチラシを見たら、テレ東でレギュラー番組やってたんですね。
こういうシチュエーションコメディっていうんでしょうか、
非常に映像的な印象を持ちました。
そういう番組って大抵30分1本って感じなんで、
2時間半の上演時間は約5~6本分。
いやいや長いんだなぁ。
「~ながら見」で、時々集中してって感じでしょうか。
僕は出ている役者さんとか、この劇団のこと
全く馴染みない人ばかりでしたが、
ロビーに溢れる、著名人も多い花束の多さから
結構メジャーなんでしょうか。
当日の客席も補助席まで出るほど盛況でした。
でも、この作品のテイストは、新宿の外れのサンモールに
よく似合う。
人気劇団になっても紀伊国屋や本多劇場ならいいけど
パルコやコクーンなんかでは上演して欲しくないなぁ。
最後に
僕の周りの御客さんは、この劇団のファンか、知り合いか
良く知っている人が多いみたいで
大して面白くないシーンでも、また普通としか思えない
シーンでも手をたたいて笑ったり
しょっちゅう鼻音立てて笑ってる。
これが、うっとおしいったらありゃしない。
これならまだ寝ててもらったり、
お菓子でも食べてている人のほうがマシ。
手前みそなネタが多いのかマニアが多いのか知りませんが
度が過ぎるのは、いかがなものか。
これもまた深夜テレビ番組っぽさ、ならではなのか。
アイーダ
劇団四季
新名古屋ミュージカル劇場(愛知県)
2007/05/12 (土) ~ 2008/01/05 (土)公演終了
満足度★★
少女漫画なアイーダに堕ちてしまった
新アイーダの秋夢子、名前も数十年前の少女漫画のヒロインのような
名前な彼女が主演になった今回、作品全体も、まるで少女漫画のような雰囲気になっており、一人悲劇のヒロイン風に酔いしれているアイーダに、観ている僕は、すっかり「アホくさ」と冷め切ってツライ3時間を
過ごすハメになってしまった。
新しい人、若い人が登板する事は非常に望ましい事だし
経験が少ないから従来の役者さんと比較すれば見劣りする部分が
あっても、その分ひたむきさや一生懸命さが慣れた役者さんより
輝く利点がある。
それは瞬間の感動だから、とても貴重と思い重宝しているのだが
今回のアイーダは、どうも様子が違う。
夏休みだし、あえて子供向けに、わかりやすい喜怒哀楽を
表現しているのかもしもしれない。
しかし色々な方法で演じられている、この作品、
オペラや宝塚、また四季でも他の役者さんでも観ているが
今回の秋夢子アイーダは、
とにかく品位がない、あまりにも安っぽいというか、
心が入っていないように思えた。
とにかく大きな声で語尾を伸ばせば、熱唱風に聞こえると思っているのか、台詞を張り上げれば熱演と思っているのか
自分一人の世界に陶酔しているとしか思えない作品になってしまっていた。
艶っぽい佐渡アムネリスのアイーダにむける視線が
「アラアラ、何をやってんだか」って感じに見える程
バランスも、ちぐはぐ。
これが座長芝居なら、まだ構わないと思うんです。
モー娘が主演、ジャニーズが主演なら
その人が好きで見に行っているんですから、
上手かろうが下手だろうが、その人が舞台に立って
生身を見ているだけで、楽しいのでしょうから。
コスプレ劇でもファンタジーでもファミリーミュージカルでもない、
ドラマ中心の大作のタイトルロールを勤め上げるには、やっぱりカリスマ性とまではいわないけど、お金を払う価値の有る役者さんに
演じてもらいたいと、つくづく思いました。
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
キューブ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2007/07/05 (木) ~ 2007/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
とにかく胸が痛む、ただただ涙
最初から結末もわかっているし、ベタベタな、お涙頂戴的話と
十分認識しているにもかかわらず、とにかく終始胸が痛む。
自分の身とオーバーラップをせざるえない話の展開、特に2幕は
ただただ涙涙涙。
劇場は、現実を忘れさせる異空間な世界が繰り広げられる場所と
思って足を運ぶ事が多い中、
有る意味、説法を受けてしまったような後味。
古今東西、花嫁とその親、子供、動物ものは、禁じ手だよなぁ。
随所に盛り込まれるコメディチックなシーンさえも、オカンが加われば
哀しみが伴い、思わず笑い泣き。
舞台装置と転換も秀逸、これだけ感情移入をさせてくれた
映像でお馴染みな役者人も達者。
垢抜けた天王洲銀河劇場は、とてもシャレているけど
この作品は、今は無き芸術座や、紀伊国屋ホールで
しっぽりとしていて似合う感じはしました。
是非再演を重ねて、劇場に足を運ぶ機会が少ない
30代の男性を中心に、広く見てもらいたい作品と思いました。
アロハ色のヒーロー/カレッジ・オブ・ザ・ウィンド
劇団軌跡
TACCS1179(東京都)
2007/07/05 (木) ~ 2007/07/16 (月)公演終了
満足度★★★
要確認、1本立です。
キャラメルボックスの公演中の作品と同じ???
何だろう?と思って行ってみました。
理由は色々あるけど、こういう人気劇団や人気作家の作品って
いわゆる小劇団で上演するって珍しいですし
(外部上演自体が少ない)
ましてや同時期に上演するなんて、不思議ですね。
チラシの様子からタイトルが並んでいるので
2本立てで上演するのかと思ったら
上演時間70分で、1本立て、
僕の行った日は「アロハ色のヒーロー」でした。
100席程度の客席は満席、
内容は、青臭い文部省特選のような何のクセもない話を
無個性な役者が坦々と演じておりました。
それにしても、あの座長さんが人望があるんでしょうか、
定期的に芝居を上演しているようで。
とても生真面目さが伝わる、そんな空気でした。
なんだか中学校の時に学校が呼んだ劇団のような
芝居を見た気分でした。
僕の中学時代、学校の文化祭で学校が呼んだ
丹波道場が「ビルマの竪琴」を退屈しながら見た事を思い出しました。
この下落合にある劇場も始めて行きましたが
教会か学校のような様子がする無機質な感じでした。
チラシやポスターの溢れる小劇場とは様子が違い
さっぱりとした感じ。
装置はちゃんとあるし芝居の感じとは合ってました。
はいざら小町
殿様ランチ
サンモールスタジオ(東京都)
2007/06/27 (水) ~ 2007/07/03 (火)公演終了
満足度★★★
再現ドラマ?特に毒にも薬にもならず...
地味~な感じの、薄~い感じのキャストが、地味~な感じの
無難な話を、刺激物なく薄口で、
適度に起伏をつけながら地味~に、展開して幕は閉じる。
あっけなく終わる。
判りやすい話ですし、そこそこ演技力も安定しているので
飽きはしませんが
とてもワイドショーとかトークショーの中で繰り広げられている
「再現ドラマ」レベルの、内容です。
作品も「劇中劇」という構成をとっているので
余計に、「挿入ドラマ」に見えたのでしょうか?
邪魔とか、うっとうしさとか、鼻に作って事はないんですよ。
無味無臭没個性な作品ですから。
途中、カンフーというか殺陣のシーンがあるのですが
そこのシーンは見ごたえがありました。
ただ能面のように無表情で戦っているのは
演出なのか本気なのかわかりませんが
何だか日本語が不自由な人達が演じているようでした。
2時間弱の上演時間、やすーい芝居を、手ごろな価格で
映画感覚で芝居が見れて
まぁ気分転換になるんじゃないでしょうか?
本当に、話はわかりやすい。
似たような作品規模で見た
「ぶるーブルーバースディ」、そこで見た
いしだ壱成や中澤裕子は、改めて、腐っても鯛、
役者って華が命なんだなぁって思いました。
ぶるー・ブルー・バースディ
劇団たいしゅう小説家
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2007/06/22 (金) ~ 2007/07/02 (月)公演終了
満足度★★★
よしもと新喜劇!?風 良質コメディ
非常に口当たりのいい話の筋書きと馴染みやすさ、
その芝居の運びに全く野心や挑戦はなく
落ち着いた、まとまったコメディ、いうなれば
「よしもと新喜劇」か「松竹新喜劇」のよう。
大げさなドタバタ芝居も中澤裕子がする分には嫌味がなく
また猫背だけど昔と全く変わらない風貌に驚く、いしだ壱成は
「腐っても鯛」ってなもんで、ふと見せる狂気なまなざしとかは
流石!って感じで、安定感ある芝居でした。
ただ内容は「よしもと新喜劇」であり「松竹新喜劇」ですから
1つの話で休憩なしの2時間弱は、長すぎ。
途中ダラダラ中だるみ感が強く、正直飽きてきてしまいました。
いいとこ60分の話でしょう。
確かに脚本は良く練られているとは思いますが
緊張感のある話でもなく、登場人物が多いわけでもなく
三谷幸喜のワンシチェーションコメディほどの
ひねりや工夫もありませんから、何だか、くどくなる。
2本立てで、あのファミリーの話を見てみたかった。
シリーズ化も可?
劇団たいしゅうって誰が座長か知りませんが
いつもイケメン俳優を中心にした作品を東京芸術小ホールで
上演していますよね。
誰が座長で、誰が劇団員か知りませんが
(サイト見たけど、わかりませんでした。
昔は堀江慶の劇団かと思ったんですが、今回は関わっていない
ようですし)
なかなか良質な作品を発表してますね。
でもチケット代は高い!!!!!
氷屋来たる
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2007/06/18 (月) ~ 2007/07/08 (日)公演終了
満足度★★
寝ても寝ても終わらない、長時間エコノミーフライト
上演時間が4時間近いって情報は入っていたので
観劇前から、憂鬱気分ではありました。
キャストも汚い面子ばかりで華やかさがない事も
承知ではありました。
しかしながら
今年は「エンジェルスインアメリカ」のマラソン!上演も
楽しく完走できたし、
「喪服を着たエレクトラ」も「夜への長い航路」も
見ごたえと充実度たっぷりの作品で
気持ちよい印象が残りました。
作品の舞台も大好きなNYだし。
なので、思い切って覚悟して新国立小劇場へ望みました・・・
不安は的中してしまいました。
努力はしたけど、どうやっても登場人物に感情移入も出来ず
結果、最初から最後まで、作品の中に入り込めることができず
悲劇のように4時間に付き合うはめになってしまいました。
理由は、ネタばれで。
1幕を我慢して見終わった時点で帰ろうかと思ったんだけど
「いつか面白くなるに違いない」という気持ちと
貧乏性のせいで、最後まで席にいてしまいました。
さすがにカーテンコールは見ずに帰りました。
とにかく拷問のような4時間で
途中途中、あまりの退屈さに寝ていたんですが
席で寝るって10分位が限界なんでしょうか、
体が疲れるから、寝ても寝ても寝ても終わらない、
まだ、うだうだうだうだ上演してる、ちっとも話は進まない。
10時間以上の長時間フライトに付き合わされたような気分の
退屈さを疲労が残りました。
つまらない作品にも付き合いますが、いいとこ2時間が限度ですねぇ。
4時間は長い。
ただ
この悪評は僕の個人的な印象です。
この作品が好きな方は、至高の4時間と思います。
「解ってたまるか!」のように
万人にオススメしないわけではないです。
ウィキッド
劇団四季
電通四季劇場[海](東京都)
2007/06/17 (日) ~ 2008/08/31 (日)公演終了
満足度★★★
期待通り!予想通り!な出来栄え
数年前のゴールデンウィークに、NYブロードウェィで
「ウィキッド」見たんですよ。(普通に劇場窓口で当日チケットを
買えました。前から16列目の右サイドでしたが、悪い席ではありませんでした。)
聞き取りづらい英語のフレーズが多かったのか
はっきり話しを理解できず、消化不良の印象のせいか
それほど騒ぐほど、ライオンキングやキャッツほどの
インパクトのある作品とは思いませんでした。
今回、劇団四季で上演をすると発表され
「劇団四季でエルファバやるなら、(自称、神の声を持つ)濱田めぐみが演るんだろうな」と思っていたら、その通りのキャスティングが
発表され、「濱田めぐみが、朗々と歌い上げるんだろうなぁ」と
思っていたら、アイーダ同様、誇らしげに歌い上げておりました。
劇団四季は、開幕当初って、四季の中ではメンツを揃えた
キャスティングであったり、生オケが入っていても
日がたつにつれて、キャストのランクは下がるし、
オケの人数もリストラ(オペラ座の怪人なんて、酷かった)されて
いく傾向があるので、観劇は早い時期に限る!
ってなわけで開幕早々に劇場に行きました。
全く期待通り、予想通りの出来栄えでした。
それぞれの役者が、それぞれなりに、それぞれの出来栄えで
四季カラー全開で、非常に安心感のある、
そして安定感のある完成度でした。
逆を言えば、無味無臭、刺激や衝撃のない没個性的な作品に
仕上がっておりました。
誰が演じても代わり映えしないようにするには
大切な演出方法なんでしょうか、
毎度四季作品を観終わった後に残るモノ足らなさは
この作品でも、御多聞にもれずってとこです。
スケールの大きい楽曲が多いので
(緑フェイスは、シュレックとキャラがダブってしまう)
悪い魔女エルファバが、高らかに歌い上げる姿は
ザ・ミュージカルな醍醐味があるでしょう。
また舞台演出も非常に規模が大きいので
お徳感もあると思います。
この作品を見る方は事前に「オズの魔法使い」を
熟読されてから観劇されることをオススメします。
サムシング・スイート
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2007/06/17 (日) ~ 2007/07/03 (火)公演終了
満足度★★★
Hard Bitter でドロドロ
タイトルは「何か甘いもの・・・少し甘い」って意味合いなのですが
内容はキョーレつ!歯に衣着せぬ台詞の応酬で、内館牧子
(今井美樹のテレビドラマを見た時は腰抜かしました)バリというか、
それ以上の毒の吐合に、だんだん息苦しくなりました。
「とてもつらいことだけど、正面から向き合わなければ、次に
進めない」といったところでしょうか。
感想はネタバレへ・・・。
パルコ劇場、劇場はとても素敵なんだけど。
ここの上演作品って内容に比べチケットの割高感が強く、最近足が遠のいていて久々でした。最後尾近い席から見たんですが
この劇場って席数の割には広いですね。舞台まで遠い。
その分、舞台が大きい。
コクーンや世田谷パブリックと変わらない、いや以上ありそうに
見えた。
この作品は、とても見ごたえのある面白い作品とは思いますが
作品の大きさに比べて劇場が大きすぎる。
間延びしちゃって、すごく寒々しい。
シアタートラムとか、サンモール位の大きさで見たい。
山崎シゲノリを除き、全体に体温の低い感じは
この作品の雰囲気に良く合ってました。
逆に言えば、山崎シゲノリの一人騒々しい張った芝居、
「俺は舞台俳優だぁ」と言わんばかりの大げさな芝居、
淡い色彩でクールな雰囲気の芝居の中に、原色の油絵の具を
ぶちまけたような芝居は、
とても違和感を感じました。
加えて、毎日本番が終わって、すぐ(10時から)ラジオの
本番をしているのも、いかがかなぁと思いました。
(それがロビーで大々的に宣伝している)
カーテンコールの様子も
「次の仕事があるから、急がなきゃ!」って感じで
余韻もやったくれも、ありゃしれません。
とても器用な人のかもしれませんが
当方は貴重な時間とチケット代を使って劇場に足を運んでいるのです。
座長芝居のように、「その人」を見に行っている訳ではないので
「片手間」で舞台に立たれる姿勢の役者さんって
観客に対して失礼と思いました。
作品が素晴らしいだけに(脚本は★★★★★)、
制作のマズさで、とても残念に思いました。
是非とも再演を望みます。
久々にストリートプレイで面白い作品に出会えました。
デージーが咲く街〜新宿物語
東京ギンガ堂
歌舞伎町「大久保公園シアターパーク」特設劇場(東京都)
2007/06/08 (金) ~ 2007/06/17 (日)公演終了
満足度★★★
VIVA!新宿
サーカスや格闘技を除くと、初めてのテント芝居。
勝手な先入観で、テント劇って前衛的というか実験的というか
演出家の芸術性が際立った作品だろうと身構えて
足を運びました。
幕前から役者人が席案内したり前説したりと、親近感ある
お出迎えをされて席に着きました。
400人以上はる空間が超満員で、期待度◎で見ていました。
(内容の意見はネタバレで)
終演後も、出演者が全員、本当に心を込めて
「ありがとうございました」と、お見送り。
これ、いいですよねぇ。
先週見た、音楽座もそうでした。
とっても後味いいです。
疲れて義務感がみえみえの劇団四季「ユタ~」でも
ないよりはいいです。
つまらない作品を見ると、チケット代も損した気分ですが
それ以上に、その作品につきあった「時間」が惜しい。
東京って、多分ニューヨークやロンドンや大学路に比べても
比較にならないほどのの数の演劇が毎夜毎夜上演されていると
思うんです。
そんな中、その作品を選んで、時間を費やすのですから
カーテンコールも含めて
心を込めて接して欲しいですね。
ハイスクール・ミュージカル
フジテレビジョン
青山劇場(東京都)
2007/06/12 (火) ~ 2007/07/08 (日)公演終了
満足度★★
ユル~い、ダル~い、渋谷系?ミュージカル
初舞台にして初主演のジャニーズの何とか君が主役の
ミュージカル、初日に行ったら青山劇場の前は
人人人で、劇場に入れない。何かと思ったら、山ピーって、やっぱり
ジャニーズの子が観劇するって、その追っかけの人だかり。
山ピーって子は、ちらっと見えましたが
確かにスターのオーラをバリバリ振りまいていて
人気者なのも納得って感じでした。
全体的な印象として、どうにもこうにも、キレがない、ダラっとした
ユル~い感じの印象が残る。
そう、渋谷で地べたに座っている高校生のような感じかなぁ。
「なんか、ウッゼー」「ダッリー」とか言ってるような子達みたいな。
どうも、爽やかさがない。
主役の男の子は歌も踊りも芝居も全くダメなんだけど、
それ以上にいけないのが、ひたむきさ、一生懸命さが、ない。
初舞台だし若いし経験不足だから技術がないのは仕方ない、
と思いますが、「これからきっと良くなるよ」って
期待が持てない。
なんだろうなぁ、ジャニーズの子だから、
短時間で何でもする事に慣れていて、器用なのか
常にチヤホヤされているからなのか
「ま、こんなもんでしょ」って感じがカーテンコールでも
ヒシヒシと伝わってくる。
しかも、アンサンブルと一緒に踊っていると、
すっかり紛れてしまうほどスター性のオーラもない子だから
余計に不愉快に思う。
これ、山ピーって子だったら、スター中心の作品って感じで
彼の喜怒哀楽の表現を見るだけでも悪くないと思うんですよ。
ひょっとしたら人気者なのかなぁ、
でも知らない、初めてみた。
田舎のヤンキーかホスト風イケメンの主役の男の子と、
去年、「スウゥートチャリティ」で樹里咲穂の友人役だったし
見た目も、疲れたキャバ嬢っぽいから
20代後半か30代前半かと思っていたら、実は18歳(位)と若くて
びっくりした玉置成美のコンビは
何だか、田舎のスナック主催で繰り広げられる文化祭っぽく
清潔感のない退廃的な疲れたケダるい感じ、煙草の煙と
スルメの焦げた匂いが似合う、若さ溢れない作品だった。
先日、同じ劇場で見た、AAAっって子達を
少しは見習って欲しい、と思いました、残念。