高野ヒロノリ@福岡の観てきた!クチコミ一覧

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壁裏ジェンガ

壁裏ジェンガ

演劇創作館 椿楼

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度

もっと立ててよぉ
登場人物のほとんどにリアリティを感じず、魅力に欠ける舞台だった。
人物の行動や言葉使い、また物語の展開が、作者自身の素養らしきものを飛び越えることなく一辺倒で。
本人を直接知ってるわけじゃないけど、マンガとかアニメとか二次元の影響のほうが強いんだろうなと思わせるような仕上がりになっていた。若い。
もっとナマの持つ力を知り、人間としての厚みを持つべきだ。

ネタバレBOX

幼なじみでもある野球部のバッテリーが「些細なこと」で仲違いし、一人は「記憶の壁裏」とやらに引き込まれ失踪してしまう。22年後、その行方を、こっちの世界に残った片割れの息子とその友人、そして当時の想い人を含めた3人で追いかけていくという内容。

まとめてみればなんのこっちゃないシンプルな話なのだけど、やたらと差し込まれる場転や、遠回しなだけで核心のぼやけた会話、効果として成立していたのかどうか怪しいテキストのみのオープニング映像&どこかで見たような振り付けばかりをサンプリングした奇妙なダンスetc…がどんどん物語を見失わせていく。
結末に関してはもう僕の理解の範疇を超えているので触れないでおこう…
ただあそこでジェンガを強調するからには相当ひねくれた狙いがあってのことでない限り、観客を見くびっていることになりかねないので要注意。

あとは仲違いの原因が本当に「些細なこと」すぎて、もう、残念。どんだけメンタル弱いんだよと。今どきのゆとり教育世代ならまだしも、22年前、昭和生まれの世代の話でしょ。もっとガッツあったと思うんだけどなぁ。
他に2つ3つくらいは如何ともしがたい理由が重なってなきゃ、自分の未来やなにもかもを捨ててまで「あっちの世界」に取り込まれるには至らないのではないだろうか。
絶望ってここまで希薄なものなんだろうか。自分の話を挟むのもどうかと思うがまだまだ酷い目にいくつも合ってきましたよこの三十男めは。このお話の彼のレベルで良いならば8歳の頃には「あっちの世界」に行ってたさ。

…話を戻そ。
作品の構成上、終盤には成長したバッテリーの片割れが登場するんだけど、
これを演じる団長氏がナルシシズム全開で鼻について仕方なかった。
22年前の同人物を演じていた岡本氏の役作りをガン無視して、クール一徹なデジタル人間に豹変。これにより失踪事件を当事者達がどう捉えていたのかについて意味合いが全く変わってしまう。
「あ、結局のところ凄いヤな奴だったんだ」と解釈した人も多いんじゃないか?
そう思われたらあの登場シーンでは作品的に困ると思うんだけどなぁ…
(ここで出た「ファンタジー」発言もそれまでの物語をぶち壊しにしていたと思うんだけどこれは脚本なのかアドリブなのか分からないので置いておく)
(同じく「成長後」を演じる想い人役の大森さんはそれなりに説得力のある作り方だった。そもそも22年前の同人物があまり明確に描かれてないせいもあるけど)

その後のキャッチボールシーンは「俺、野球できますよ」感アリアリの所作をアピールしまくり、イケてる風のセリフだけをやたら張り上げたり(言い終えたあとのしたり顔もやめた方がいい)で、良く言えば抑制が効いていた周りの役者たちとの温度差がどんどん開いていく。
これはある種のデウス・エクス・マキナを狙っていたのだろうか。

話はさらにカーテンコールにも及ぶのだけど、あの並びはどう考えてもおかしかった。
最前面に出るべきはずの鶴田氏(作・演出)が、後列に追いやられ喋り難そうにMCしていたのが印象的。
彼が本来いるべき場所に陣取っているのは、やはりというか、団長氏。
もうちょっと、彼のこと、立ててあげても良いんじゃなかろうか。


さ、言いたいこと言っちゃったぞ。
同様に言いたいこと言われる覚悟も完了だ。無論、芝居の話に限る。
夏の夜の夢

夏の夜の夢

NPO法人FPAP

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/08/27 (金) ~ 2010/09/01 (水)公演終了

満足度★★★★

目指した場所は間違ってない。
「とにかく分かりやすいように作ることを心がけた」とアフタートークで後藤香さんの言葉として聞くことができて、嬉しかった。
それで良かったんだ、と感じた。
高校生の頃、初めて演劇を観た時の、引き込んでくれるような感覚を思い出せた。
まだ全く演劇に触れたことが無い人にこそこの舞台を観てほしかったな。
入り口としては最高じゃないか。

ネタバレBOX

もちろん「分かりやすさ」の代償に斬新な試みはほとんど挟み込めなかった様子で、それは福岡じゅうの劇団からメンバーを集めたこともあって、実際の倍ぐらい稽古期間がなければ叶わなかったのだろうけれど、クリエイターズクリエイトを期待して行った人にはやや薄味だったかもしれない。

基本的には芸達者な役者が集まってるんだけど、比率で言えば女優陣のほうが活躍できていたなぁ。
決して大きな役割ではないにしても、4人の精霊達の中では峰尾かおりさんと山下キスコ嬢がしっかり存在感を示していたのに対し、残りの男性陣はこじんまり。
職人たちのパートでも、“あの”小沢健次氏がいるにもかかわらず、本来は男性俳優の役どころであるにもかかわらず、笹本順子さんの暴れっぷりこそが全てを支配していた感があった。
妖精パックの杉山英美さんは言わずもがな。
タイターニアの濱崎留衣さん、ヒポリタの坪内陽子さんもさすが、と感じた。

もちろん他のキャスト達にだって見せ場はあって、可能なら「露出狂」(柿喰う客)の時みたいに一人一人書き上げたいところだけど、今回はさる事情により抑えさせて戴く。

やっぱ、演劇人は「観客」の方を向いててほしい。
「同業者」や「身内」や「うるさ方」のために作るのは視野が狭まってしまってどうにもいけないし、「自分(たち)」のためにしか作ってないのはもう作品ですらない。

この祝祭劇は久しく「観客」の方を向いててくれた公演だと思う。
少なくとも、高校生の頃「観客」だった僕が覚えた感動は呼び覚ましてくれたんだから。
タイムリータイムリー

タイムリータイムリー

劇団ノコリジルモ

甘棠館show劇場(福岡県)

2010/08/27 (金) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

満足度★★★

もっと貪欲汁だせよー!!
このカンパニー初遭遇(第2回公演「オバーサル」)時には、隙あらばボケて笑わせてやろうという貪欲さと、その差し込みどころの絶妙さで、拙い部分はあれど、まんべんなく楽しむことができた。
…んだけど、諸事情で観ることができなかった前作(第3回公演「イカロ・トライアル」)を経て、何が起こったのか、あの時感じた勢いはやや減速したような。
こぎれいにまとまっちゃったような印象を受けてしまった。

ネタバレBOX

未来世界の科学者たちが平成時代の文化について調べる為にある建物を訪れる。
一方で、実際の平成時代に、同じ建物へひと夏の思い出づくりをしようと若者たちが集まってくる。
この二つの世界が、同じ俳優の衣装替えによって同時進行的に描かれていくことになる。

そもそも、このアイデアが、熊谷嬢の作風とは合ってなかったように思えた。
必然的に何名かの役者は次のシーンの衣装替えのためにある段階から舞台を去らなければならないのだけど、その理由づけが「トイレ」だったりと安直なものが目立つ。
後半になるにつれ、理由づけすらも無視して突然無言で出て行くなんて場面も。
観ている側は、ああ、もうすぐ場面が変わるなぁ、と予想が立ってしまう。
このぶったぎり感が肝心のテンポを崩してしまっていた。

中盤ではかなり長い間、平成時代のエピソードが展開するのだけど、ここでは水を得た魚のようにドカドカ笑いを取っていく。
やっぱこっちが本流なんだな、って感じ。

役者のスキルは少しずつ上がっているみたいだけど、まだまだセリフをセリフとしてしか言えてない気がする。もっとうまく消化して自分の言葉にするだけで劇的に変わるはず。
脚本は、舞台設定により説得力を持たせることと、時系列の処理をもっともっと巧くやってほしい。舞台の外側の時間経過を感じさせる力が弱い。
今のままじゃ芝居サイズの不条理コントにしかなれていない。
そっちを目指しているならいるで、笑い自体を貪欲に追求した方がいい。
方向性をソリッドにしていかないと、この先、辛くなってくるんじゃないか。
大学演劇部合同公演『髑髏城の七人〈アカドクロ〉』

大学演劇部合同公演『髑髏城の七人〈アカドクロ〉』

NPO法人FPAP

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

立派!!
再現力、それに尽きる。
劇団☆新感線の勢いを、この作品のために集結した、おそらく一度きりのメンバーで、この領域までやれれば上出来でしょう。(なんだこの上から目線)

ネタバレBOX

特に舞台装置をシンプルに構えたのは大きい。
基本を黒で統一し、出捌け口は中央奥に一カ所と、上手下手に黒幕で複数箇所。
激しいフォーメーションに対応した最適な作り。
上方には天井の高さ(=デッドスペースになりがち)を埋めるように古着(?)を縫い合わせた色鮮やかなオブジェ。
そのぶん衣装や小道具の造形には凝りまくってて、相当数のキャラクターを混同することなく見分けられるようになっている。無論、そこには多少のムラはあれど役者の技量もきちんと働いている。

ちょっとBGMのレベル調整や拍子木を入れるタイミングのズレなど音関係の弱さもあったけど、舞台上にはほぼ全力疾走の勢い、パワーが渦巻いてるから、少々のことは気にせずに楽しむことができた。

瑣末なダメ出しなんか野暮野暮。
こういうお祭り事は大いに乗っかってしまって問題ないのだ。

きっとこの作品の参加メンバーの中から、引き続き何か新しいことをしでかそうとする「新しい波」が来るに違いない。
そこがようやくのスタートなんだと思う。
戦々恐々、心待ちにしている。
大河の一雫

大河の一雫

dlb-EnterPrise 舞台演戯事業部 Do-リンク場

大野城まどかぴあ(福岡県)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/14 (土)公演終了

満足度★★

苦言ばかりになるのは嫌だけど…
このカンパニーとはすごく長い付き合いなだけに、今作で浮かび上がった問題点と、そうなった原因までもが垣間見えてしまうのが辛いところで…
今まで弱点を補っていたものが無くなって、強みであったはずの部分は削がれていて、ダブル残念。

ネタバレBOX

相当なブラッシュアップが必要な脚本だな、という印象があった。
ただセリフを削るとかそういうレベルを超えたやり方があるはずだ。
書き上がった脚本を寝かせ、可能な限り客観的に再読し、全体の構成、物語の整合性、あとは時代劇なのだから時代考証に至るまで、自ら疑い、二度三度と書き直すぐらいのことを、役者に渡す前の段階でやっていってもいいと思う。
(で、実は福岡の小劇場系の脚本家は案外こういった作業をせず、書きっ放しが多いみたい…僕も例に漏れないけどorz)

今作は、言ってしまえば全ての登場人物たちの腹の探り合いと愚痴り合い。
各キャラクターの背景もさほど明確にされない時点から観客に向けて負の感情ばかりがぶちまけられる。
それじゃああまりにも感情移入の余地が無い。
ほぼそんな状態のままで物語はどんどん進行する。
まるで最初から全速力、どこで乗ったら良いのか分からないジェットコースターのようだ。
終盤に入ると数々の伏線もまとめて争乱の中で片付けてしまうっていう、ある意味でデウス・エクス・マキナな展開。
クライマックスでは過剰なほどに「締め台詞」が飛び交う。
普通の舞台なら最後の最後に一つ言い放てばいいレベルのものを、十も二十も重ねてくるから、その本来のありがたみがどんどん薄れていく。
書きたい気持ちは分かる。けど、そこでこそ客観性を挟んでのブラッシュアップが必要なんじゃないかな…

以前は、それでも中和剤たりえる存在があったから良かったんです。
このカンパニーの作風を違和感なく体現できる役者の存在が、僕の考えるところでは2人いた。
残念ながら1人は退団してしまい、もう1人はなぜか今回キャスティングされていなかった。そこが不思議でならない。


そんな中、客演・藤井ショウジ氏の好演はささやかながら良質な求心力になっていたと思う。役柄的な要素もあるのかもしれないけどね。
そこで☆1つ追加です。


追記:「エンターテイメント」にあたるシークエンスがたったあれだけじゃ、その要素が強いと語るべきではないと思う。もっとストイックに探求を。
コンパイル

コンパイル

劇団無名

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/07/24 (土) ~ 2010/07/25 (日)公演終了

満足度★★

スマッシュ&スマイル!
あまりにも手の内を知り過ぎているので、いつにも増して純粋な観劇評にはならないかも。
どっちかっていうとダメ出しに近く。
(またそういう身分でもないクセに)

ネタバレBOX

まず、はばからずに言わせてもらうと、安倍祐馬氏は僕が尊敬する脚本家の一人です。
氏の作品は今までにも沢山観てきたから、随所に「らしいな」って部分があって、それだけで楽しめました(過去作品のタイトルが出てきた時なんか、周りの観客を尻目に一人で笑わせてもらったりして)。

その構成力、文法が分かっているからこそ、脚本と演出・演者の仕事を切り分けて観る事ができたと思います。
本に書かれている事をきちんと描けているか。補完できているか。
…結論としては、もう一歩。

シチュエーションコメディって、ありえない事が起こり続けるからこそ、その舞台のディテールが細かくなければいけないと思うんです。

例を上げれば、作家の安倍祐馬(えっと、登場キャラクターの方です。ややこしいな…)が「サウスポー」って設定があって、その安倍だと勘違いされて右腕に手錠をかけられた不倫男・藤原が「サウスポーだから大丈夫でしょ」と言われ慌てるシーンがあるんですが。
冒頭に登場する小田泰嗣氏演じる実際の安倍は、TVのリモコンを操作するのも、置き電話の受話器を取るのも、自殺しようと薬瓶を手にするのも、それを流し込むウイスキー瓶を持つのも、全部右手だったんですね。
もっと言えば、仕事用デスクの配置も右利き用のレイアウトだったし、棚の中のゲーム機の配置も本体が右側、コントローラーが左側にありました。
(取り出す際には利き手で本体を持ち、その逆手でコントローラー、というのが自然だと思います)

別に、本編に深く絡む設定じゃないし、藤原を慌てさせるための一回きりのキーワードなので、そこまで辛辣なツッコミを入れるような事ではないんでしょうけど、そういう小さな要素が重なることで興冷めしてしまう観客もいるので、注意した方がいいのではと思いました。

演出面では、BGMの使い方にも違和感。
あまり効果の無い場面で、しかも頻繁に流れる上、選曲に統一感がない。
シチュエーションコメディならば、よほどの重要性(音楽に絡んだネタとか)が無い限り、役者の演技だけで流れを作って欲しいところです。
一方で、ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」をラブシーンで流すのなんかはもう定番を通り越して古典的ですらあるんだけど、うまく使えていれば当然、面白いはず。が藤原と花田のキスシーンのみにしか流れず、その後のキスシーンである藤原と吉田、藤原と良子(藤原、キスしてばっかだな…)の時は無音。これはこれでおいしい流し所だったんじゃないかと。

役者では花田役の花田嬢が惜しい。以前に比べればだいぶ器用な女優さんになってるんだけど、この役はさらにそれ以上の、狂気レベルのものが垣間見えないと成立しないと思う。いきなり手錠とか引っ張り出してくるのだし。
(狂気と言えば、ローラのキャラは凄かったな…)


そして、星一つ引いた理由にもなるんですが、パンフレットの表紙の誤表記(【場所】ぽんポンプラザホール と書いて「ポン」に×印)は、上演会場に対して失礼なのでは?と思いました。
このサイトも含め、ネットに載せているチラシ画像はきちんと修正されているのに、なぜそれを使わなかったんでしょうか。
ショコタンのショコレート工場

ショコタンのショコレート工場

劇団グルニエ

西鉄ホール(福岡県)

2010/07/19 (月) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

『違い』を感じる
福岡ローカルのTV番組の企画公演だけあって、普段僕が身を置く世界とは色んな部分で違いを感じた。良くも悪くも。

ネタバレBOX

その『違い』についてはとにかく興味深いものが多かったので、箇条書きでできるだけ書き出してみた。

◇受付人員が出演芸人たちの後輩か?私服で、接客態度・段取り悪し。西鉄ホールらしからぬ。わざとロビーの自販機でジュース買って持って入ろうとしたらいとも簡単に通り抜けられた。

◇パンフレットには出演者の名前しか載っていない。企画・主催すら不明。他公演の折り込みチラシがゼロなのを見るに、情宣の類は番組内での紹介しかしていない模様。

◇客層がほぼ完全に出演者のファン及び身内。普段から演劇を見慣れているわけではない様子で、平気で飲食してるし上演中にケータイ鳴らすし。開演前のアナウンスも形式的なもので注意を促せていない。

◇肝心の作品。経営不審のリゾートホテルを取り壊させないために従業員たちが奮闘する、という筋立てだけどタイトルの「ショコレート(チョコレート)工場」はラスト付近にちょろっと名前が出るだけで重要度ゼロ。

◇雰囲気は吉本新喜劇に近い。登場人物はホテルマンやコック、プロレスラー、空間プロデューサー等さまざまな専門職が出てくるけど、概ねコスプレ状態で、全くそれらしさが無い。出演者自身のキャラだけで話を進めていく感じ。

◇役者のスキルは、舞台芸術としての演技にはほど遠いんだけど、芸人としての喋り・サービス精神はさすがのもので、一応きちんと伝える力はある。そんじょそこらの自意識過剰なだけの自称俳優たちよりよっぽど見ていて楽しめる。

◇ただし明石昌子嬢だけは課題が多すぎてダメだった。声量が無さすぎて、彼女の出ているシーンはすべからく据え置きマイクの音量がハネ上がり、まるでアフレコ状態。体さばきもサッパリだし、その上に役柄も中途半端(タイトルの「ショコタン」とはこの明石昌子嬢のことなのに、ホテルを潰そうとし続ける悪役の立場で、どこまで行っても感情移入できない)ときたもんだ。スタッフに嫌われてんのか?なんて余計な心配まで。

◇ミュージシャンのDEPAPEPE(デパペペ)にパラシュート部隊・矢野ペペが加わって「デパペペペペ」なんつうネタは言うなれば出オチなんだから2回も3回も引っ張らなくていいよう。そういう『引き際』を知らない構成はやっぱTVのセンスなんだなと感じた。

◇内容と関係ないけどアンガールズ・山根のサプライズ出演に会場が騒然。しかし僕はさる筋からの情報でそれも予測済みだったのでなんだか愉快な気分だった。ていうかスターって卑怯だなぁって思ってた。


ざっと以上のような印象を持って考えたんだけど、ソフトウェアとハードウェアの部分でこういう企画にもっと地元の演劇人が絡んでいく事ってできないのかなぁ。互いに学び合える事は沢山あると思うんだけど…
The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2010/07/21 (水) ~ 2010/07/21 (水)公演終了

満足度★★★

確かに、とんでもなかった。
当日パンフに中屋敷氏が記していた通り。

ネタバレBOX

前説からカーテンコールまでもが何もかも作品の支配下にあるこの舞台では、僕が観てきたはずの演劇の常識は一切通用しなかった。

そもそも日本語の通じない海外向けにアプローチしている特性があるので、寧ろちらほらと聞こえてくる日本語をきちんと理解『してしまえる』我々にとってはその全てを正しく受け取れるかいささか疑問であって。

とりあえずは俳優たちが何を『ヘビーユーズ』しているかという一点に絞って観ればその片鱗は掴める?いや、感じ取れるはずだ。。


ていうかこんな風に今ひとつハッキリした感想が書けないのは、僕はつまるところ中屋敷氏の脚本の言語感覚が好きなんだなって部分があるためで、あの言葉の洪水を体感できなかったという意味では少々残念なんだ。

演出家としての懐の深さにはいつもながら舌を巻くわけだけど。
『博多テクニカ女王街ラバー』(無事終了しました!)

『博多テクニカ女王街ラバー』(無事終了しました!)

劇団ぎゃ。

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★

近場コラボ!
田坂氏の脚本。
中村嬢の演出。
そのどちらのカラーも感じられるバランスのよい仕上がりだったと思いますが、あくまで足し算であって、かけ算まではいかなかったかな…と。

ネタバレBOX

アフタートークでも話していたように、しっかりと取材を重ねて書かれたものだという事が分かるホンの作り。
ただ、分かりすぎてしまうというか、得られた情報を全部詰め込もうとしてしまっているせいか、説明シーンが結構長く、そこに芝居のテンポが乗らなかったのが残念。
ぎゃ。の武器の一つでもあるミュージカルシーンも今回はほとんど無かったため、物足りなさを感じたファンもいたのでは。
(衣装も相成って独特の世界観は健在でしたよっ)

あとはセットが…あの構造はセンター席に座れなかった人が損してるんじゃないかな、と感じました。

◇  ◇  ◇

でも最後の最後に用意されていたサプライズイベントにはほっこり!
ああいうの素敵だと思う!
「花サク」

「花サク」

劇団マニアック先生シアター

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/06/11 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★

トゥモロー・ワールド
前々回まで実に3年間も続けてお手伝いさせてもらって、前回は外部脚本、
という事で、今回、ようやく本当の意味で山口ミチロ氏の作・演出を堪能することができました。

ネタバレBOX

でもちょっと残念。
開幕直後に手とちり。セリフはところどころで先走るし、場面転換の長さや不可解な音響ボリューム、映写ミス(これについては我が耳も痛い)はあるし、なんだか精彩を欠いていた気がするのです。
ぼくの観た回だけだって信じたいけど…

映像で月が大きく表現されていたのを思い出して、ふと調べてみたら「東洋では月は陰の象徴となり、女性と連関すると考えられていた。」ってウィキペディア(笑)で見つけてクスッと。

その月の満ち欠けするスピードが、ちょっと速すぎた気がする。
作品世界に流れる時間を不要に急かしていたように感じた。

音楽については、幕前とクライマックスにまさかのエレクトロニカ選曲。
音響さんの趣味なのかな?(ミチロ氏が聴いているとは考えにくい…)
せっかく二胡という魅力的な楽器をフィーチャリングしているのに勿体なかったなと思います。

物語。近親交配の繰り返しで子供ができにくくなった集落、っていうのは現代日本にもわずかながら実在するそうですね。
「この先日本国憲法通じず」なんて立て看板の話もあるみたいだし。
舞台設定をそういった身近なところに置かず、あえて無国籍な世界観に作り上げたのは、これまで日本の風景を切り取ってきたマニセンの作風から考えると意外に感じました。
露出狂

露出狂

柿喰う客

精華小劇場(大阪府)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

すさまじすぎる
テンション上がりっぱなし、キャラ立ちまくりの100分間。
なぜこれほどのものを作れるのか甚だ不可思議。

ネタバレBOX

サッカー部という形はあるけれどサッカーシーンは無い。
だけどスポ根(魂?)ものとしては限りなく完成型に近い。
一見すると過激で不条理極まりないストーリーなのだけど、説得力を持たせるための小さな仕掛けを沢山用意しているので、スンナリと飲み込んでいける。

何より14人の登場人物、設定と配置が絶妙。
完全な善人も悪人もいない上にそれぞれの思考に理由があることが分かりやすく描かれるから誰一人として嫌いになれない(個人差はあるだろうけどね)。
「部活=閉鎖的社会」を如実に表した狭い作りのセットをものともせず、あちらこちらで活き活きと動き回る女優陣が本当に魅力的。

ゴキ:周囲に振り回されているようで実はその空気を支えてる。部活の部長っていうのは案外こういうタイプこそがうまく務め上げちゃうんだよね。そんな抑えた立場を熊川ふみ嬢が好演。

サソリマチ:話をドカドカ転がしていく体育会系ヤンキーキャラをコロ氏(「嬢」はなぜか使えない。無論、褒め言葉だ)が熱演。時々ツッコミに回れる器用さも必要で、劇団員としての信頼を感じる配役。

シラミネ:頭脳派でメガネで巨乳でガーターベルトのストッキングってまるでそういうゲームかコミックから出てきたような奇跡のキャラ立ちじゃないだろうか。新良エツ子嬢が好演。

ヒル:すごく強い意思を持っているからこそテンションの振り幅もひときわ大きくて、この作品の中でも一番大事なテーマを体現しているキャラなんだろうなぁ。深谷由梨香嬢が相変わらずの熱演。

クラゲ:ストーリーの半分以上を狂言回しする役割にも関わらず、独創的な喋り方、佇まいは崩さない。ものすごい技術を要する役だったと思う。岡田あがさ嬢が好演。

ノミヤ:外見は普通、というかむしろ地味な雰囲気なんだけど、ストーリーが進むにつれ内面からぶっ壊れていく様に戦慄すら覚える。中盤からますます話をややこしくしていくキーキャラクター、右手愛美嬢が熱演。

ガマゴオリ:非常にわっかりやすいヤンキーの後輩キャラ。最も周囲に翻弄された、最も愛するべきキャラの一人かもしんない。おいしいシーンも他に比べて多めだったな。梨澤彗以子嬢が熱演。

ハエダ:ガマゴオリ同様に、サッカー部に勧誘されなければもう少しは幸せな道を歩めていたであろうかわいそうなキャラ。ま本人がある場面で見せた小さな欲のせいもあるんだろうけどね。佐藤みゆき嬢が好演。

ウジガワ:ハエダの腰ぎんちゃくのような登場をしながらも、サッカーの実力は一番下というアドバンテージ(?)が中盤の展開を面白くする、うまいポジションのキャラ。細野今日子嬢が好演。

マイマイ:「いっしょうけんめいなまねーじゃー」キャラと思いきや終盤での豹変が見事にキマってた。あんなエネルギーを隠し持ってるとかズルすぎる。山脇唯嬢が熱演。

ハブ:サソリマチとカブり気味な部分はあるが、サッカーの実力ナンバー1(=ウジガワの対極ポジション)がゆえにややこしさに拍車をかける。なにげに一番純粋にサッカーを楽しもうとしてた人なんじゃないかしら。佐賀モトキ嬢が好演。

コウモリ:キャラ立ちナンバー1。3期生の人間関係の中枢を担う上に、独壇場タイムまでもらっちゃって、とにかくおいしすぎる。山本真由美嬢が怪演。

クモン:控えめなポジションながら確かな存在感を示す。何よりもクオリティの高いカタコト喋り。わざとらしくないカタコト喋りってネイティブな日本人には難しいはずだぞ。八木菜々花嬢が好演。

ウツボ:外見から物腰から所作に至るまでインパクト絶大。存在感は間違いなくナンバー1(キャラ立ちとは違う次元にある)。理屈じゃ説明つかない化物キャラクターを七味まゆ味嬢が超怪演。

これだけの顔ぶれが揃って、これから先、再演なんて可能なんだろうか。
観て損はない、どころじゃない。観ない人は損してるレベル。
まだの人は今すぐ劇場へ急げ。
奇妙奇天烈ファンシーハウス(2010年4月大阪・福岡で再演します!!)

奇妙奇天烈ファンシーハウス(2010年4月大阪・福岡で再演します!!)

劇団ぎゃ。

湾岸劇場博多扇貝(福岡県)

2009/09/05 (土) ~ 2009/09/15 (火)公演終了

満足度★★★★

久々の鑑賞だったりです
前に観たのは「無題」だったから実に2年ぶりか。
不義理で申し訳ない限り。

確実にパワーアップしてると思いました。

ネタバレBOX

元々がブラックで過激な題材を歌や踊りでメルヒェンに描く作風ではあるのだけれど、そのモチーフと方法論の距離感が公演を重ねる毎に良いバランスに成ってきている気がします。
富田さんの本格加入によりますます表現レベルが上がったですねー。もちろん中原さんの熱演も無視できないところっ。
オリメン2人(三坂嬢・中村嬢)はサブに徹し、新人2人をメインに据えた、まさにお披露目公演的な構成には好感。

個人的にはストーリー面であと少し整合性を伴った奥行きが欲しいところだけど、そこはちょっとくらい「遊び」をもたせてるほうが正解なのかも。

若干、音の迫力が足りないなと感じたのは小屋のスペックの問題かなぁ?
オバーサル

オバーサル

劇団ノコリジルモ

ぽんプラザホール(福岡県)

2009/09/08 (火) ~ 2009/09/08 (火)公演終了

満足度★★★★

だが、そこがいい
久々の投稿。書かずにいられなかったんだもん。

結論から先に言うと、ものすごく楽しめましたっ。
観に行って良かったなーと。

ネタバレBOX

開幕直後の場の空気を作るための間があまりにも短すぎたり平台がケコまれておらず剥き出し状態だったり山ほど揃えられた小道具の中で弁当だけが空っぽだったり役者の声量・テンション・演技力に明らかなムラがあったり脚本上の時間軸が不自然だったり…荒削りな部分はいくらでも見つけられると思う。

けど、そんなトコロを突っついてどうなるっていうんだろう。
そんなトコロを超えた部分で、舞台上にはすっかりと“演じることを楽しんでいる”人間の表情があった。それだけで充分。
「自分たちのやっている事は面白いコトなんだ」っていう自信がすごく伝わってくる。その自信が伝わるから、本当に、面白い。
今の彼らのハートが萎むことの無いままに先述したようなアラを潰して成長していけば、飛躍的に面白くなる劇団だと思う。

そうなられてしまうのが悔しいので今は何も言わず見守るだけにしておこうという姑息な考えに至ったぼくはとても器の小さい大人ですかそうですか。
母をたずねて完全に

母をたずねて完全に

(劇)池田商会.

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/03/15 (土) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

池田はやはり池田だった
良くも悪くも。

ネタバレBOX

脚本はまさしく池田祐樹作品。
濃い部分は濃いけれど、薄い部分は薄いまんまで誤魔化しを入れることすらしていない。そこが湿っぽくなく(敢えてこの表現w)プラスに働く時もあれば、物足りなく感じてしまう時もある。
だから、人体実験だとか精神病だとかいう単語を深刻に受け止めてしまうタイプの人はその扱いの軽さに戸惑いを覚えるだろうし、必ずしも重要な要素だと考えない人にとっては面白味のエッセンスとしてかなり刺激的に映るはずだ。

脚色・演出の方向性においては、濃い部分の強調に徹するでも薄い部分の補完に回るでもなく、全体的な底上げを狙ったのではないかというのが個人的な印象。
あと、過去の活動で面白かったネタの再利用がぽつぽつと。
(全部分かる人はなかなかいないだろうから逆にアリとは思うけど)

欲を言えば、もっと洗練されたものが観たかった。
まだ稽古場のノリのままと思える部分がところどころ見えてしまっただけに…
Drop

Drop

トゥインクル・コーポレーション

ももちパレス(福岡県)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

彼と同じ時代を生きられるという喜び。
「天は二物を与えず」なんて嘘っぱちだ。
ルックス、声質、センス、身体能力、瞬発力、それら全てが観客を喜ばせる上で奇跡のようなバランス感覚をもって彼一人の中に集約されている。
“小林賢太郎”という名の新しい芸術のジャンルだと言っても過言ではない。
いや過言かもしれない。
とにかくそんなことを恥じらいもなく語っちゃうぐらいに魅了されたって事ですよ!

(今回のネタバレBOXは過去最強にネタバレしてるので要注意!!)

ネタバレBOX

過去2公演と比較するとセットの転換が無くなり(その必要が無い舞台構造になっており)、非常にスムーズに演目が流れていく構成になってました。
その分、毎回のスタンバイが忙しそうだったけど…
(個人的にはその忙しさ、テンパり具合も計算だと踏んでます)
で、だからこそ、最初から舞台上に全ての仕掛けが準備済みなんですよね。
段取り一つ狂っただけで全部ぶち壊しになる恐怖の構成。
それをやってしまえる心臓の強さがまた、凄い。

のっけから膨大な量のセリフで語られる「無人島」や「1年に1文字しか話せない男」や「毛虫」のエピソードは、座布団の上でこそないものの完全に落語のノリ。
タイトルの「Drop」はもしや“落ち”あるいは“下げ”にかけてるのかしら?

毎度おなじみ「アナグラムの穴」はどこまで引き出しがあるのかと。
バリエーションの豊かさもさることながら、前後のネタとリンクしている点が絶妙。
台本どっちから書いてるんだ!?

1作目「Potsunen」からの再登場キャラ小宮山氏は相変わらずのお節介&傍若無人。
効果音ネタへの伏線、お見事。

2作目「○~maru~」の冒頭に出てきたクイズ大会の別視点ネタも絶品。
あれだけのハイテンションを持続させるには相当の体力が必要でしょう。

「メロス」比較的小ネタではあるものの、面白すぎ。
映像との共演もトリック満載で素晴らしい。


などなど、1秒足りとも飽きの来ない、至福の2時間でした。
早くも2008年の観劇作品ナンバー1ではないでしょうか。
 『逃げろ/にっちもさっちも』

『逃げろ/にっちもさっちも』

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/03/08 (土) ~ 2008/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★

得るものは大きかったと思う。
片や札幌で確たる人気を博しているカンパニー。
片や福岡でも屈指の勢いに乗るカンパニー。
この共作プロジェクトには最初から期待値も高まったし、実際に期待通りの出来になっていました。
が、あくまで期待通りであって、あわよくば期待以上のものをこっそり期待していたのですが(なんだそりゃ)、その領域まではさすがに欲張りすぎたかな、と。

ネタバレBOX

特にガラパ側のチャレンジ部分は大きかったと思います。
川口作品には珍しく場面転換があったり、セットも割と抽象的だったり。キャスト面ではエース椎木君を欠いた状態で新人や久方ぶりのメンバーを絡めたりしてで、明らかにここ数本の作品のカラーとは違う雰囲気。

注目の脚本に関してはやはりそうなるかといった印象。
(脚本はHPで公開されていたので事前に読んでおきたかったけど、気付けばできないままでした…)
yhs南参氏のパート「逃げろ」は断食道場という特殊性の強い設定で、キャラクターもそれぞれワケあり、話の流れでどんどんドラマが掘り下げられていくという飽きの来ない展開だったのに対し、川口君のパート「にっちもさっちも」は生徒指導室が舞台、女教師の二股疑惑を中心に展開していくライトな設定で、それはそれで普通に面白いのだけど、やはり物語として強く興味を引かれるのは前者になってしまうわけで。

両方の味が濃すぎてもケンカになってしまうだろうし、作風として崩したくない部分もあるのだろうから、バランスは決して悪くはなかったと思うのですが、それでもあと一歩は踏み込んだものが欲しかったかな、と。

ただ、笑いに関してはほぼ全打席ヒット。ここはさすが。

あと、スーツ姿の松田君が秋元康に見えてしまって仕方ありませんでした。
愉快@YOU KAI

愉快@YOU KAI

劇団ショーマンシップ

甘棠館show劇場(福岡県)

2008/03/07 (金) ~ 2008/03/10 (月)公演終了

満足度★★★

思っていたより…
ユルかったです。いい意味で、舞台上も、客席も。
甘棠館の使い方を熟知している劇団と、甘棠館の(あるいはショーマンシップ自体の)雰囲気が好きなお客さんって感じの組み合わせで、ハコの空気が完成していて、むしろ自分、ここにいていいんすか?って思っちゃったり。

ネタバレBOX

内容に関してはナンセンスギャグ9割、サスペンス1割。
1つの誘拐に様々な人物が絡んでおり、二重三重のワナが仕掛けてあったりして、という、どちらかといえばベーシックな展開。でもそのワナが実はなかなか見事なもので、サスペンス比率がもう4割5割ぐらい強かったら完璧ボク好みだったかも。

客層まで意識してなのか、ハイテンション、と銘打ってるわりにラストの展開(次から次に真犯人が明らかになっていくシークエンス)が丁寧すぎて失速ぎみだったのが残念。
あのへんは一気に畳み掛けるようにやってくれても全然観ているほうはついていけたと思います。

役者さんはみんな個性的で、羨ましいぐらい。
楽しみながら演じていたところが何より好印象でした。
螺旋の上の三角

螺旋の上の三角

village80%

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/03/01 (土) ~ 2008/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

見事!!
声を張り上げず、表情も必要以上に作らず、照明効果も音響効果も最小限。
あくまでも現実的な空気を舞台上で描ききっていて、それはそれはもう、リアルでした。
にもかかわらず実はアンリアルな設定というギャップ。
「ああ、そういうふうになってもこうなのかなぁ」
「そうかもしれないよね」
「うん、分かる」
なんて思っちゃってる時点で引き込まれてしまっていたんですよね。

ネタバレBOX

方法論についてはつまり平田オリザ的と言ってしまえば一言で説明がついちゃうんですが、それだけで終わっていなかったのがこの作品の魅力だったと思います。
展示物、と称した、2000年初頭の風景(大学の研究室)と、それを眺める、もっと未来の世界の住人の二重構造。
最小限度の照明と音響は、それでも分かりやすく物語の流れを区切るために使われていて、エンタテイメント性を高めて(見易さに繋がって)いました。
テーマに触れるセリフもまた最小限(そのくせ案外ヤバい内容だったりして)。それらが語られるタイミングも絶妙なのだから、脚本の質の高さが伺えます。
まさに“答えのない未来と過去を巡る”物語。

この物語のような未来(決してアカルイミライではない)がもし存在してしまうとしたら、すごく寂しい気がする。
でも、向き合わなくちゃいけないんだなぁ。
蓮池極楽ランド

蓮池極楽ランド

仏団観音びらき

青年センター ワンコイン実験シアター(福岡県)

2008/02/16 (土) ~ 2008/02/16 (土)公演終了

満足度★★★★

いい意味で最低(笑)
開幕直前から爆笑させられるとは!
そんじょそこらのバラエティ番組なんかメじゃないくらい笑えました。
でもネタの約8割は放送禁止じゃないでしょうか(苦笑)

ネタバレBOX

寂れたテーマパークを舞台に、あちこちから流れ込んできた、社会的に成功できなかった(もしくはできそうにない)人たちの群像劇。
少し前に騒がれた某国の某パクリテーマパークがモロにモチーフになっている時点で危険な香りがプンプンと。
(話のオチは案外やさしい感じで、鑑賞後はスッキリさせられます。がそれでも子供に見せてはいけない。シャレの分かる大人限定、みたいな)

青年センターというクセだらけのハコをバランス良く使えていたのが注目ポイント。キモは観客席との距離感でしょうか。
舞台をかなり客席に寄せて作っていたので、役者の独特のオーラも相成って迫力充分でした。
あの距離であんなネタの数々をやられたらそりゃ笑うしかないし(笑)

ちなみに、これほどの公演をワンコインシアターで打てたのには何のタネも仕掛けもなく、ガチで実費の赤字興行だとか。
凄い。けど、次回はもっと良い劇場でもっとお金取ってもいいと思いますよ。
ボクなら絶対観に行くし。
クラブ・オブ・アリス

クラブ・オブ・アリス

いわきオフィス&NPO法人アートマネージメントセンター福岡公演

イムズホール(福岡県)

2008/02/09 (土) ~ 2008/02/10 (日)公演終了

満足度★★★

フタを開ければ。
脚本や演出家や出演者など企画面で注目ポイントは稼げていたかもしれませんが、残念ながらそれを回収するまでには至らなかった、という印象です。
随所に光るものはあったんですけど、そのひとつひとつが繋がっていないからテンションを持続させられない。

ネタバレBOX

衣装とか小道具とか照明とか美術全般は充分魅力的に作られているのだから、花道舞台にしなくても良かったのではないかと。
むしろあのカタチにしたせいでそういった魅力が半減したのではないかとすら…

花道舞台って“観客席全体の視点”は増えるけど、“観客個人の視界”は狭めてしまうんですよね。
ボクも経験したことあるから分かります。ホント、よほど上手く使わないと効果が出ないんですよ。

出演者の演技は、技術的にはなかなか、ですがパワーの点でイムズホールの広さを埋めきれていなかったかと。
(で、それにもやっぱり花道舞台の構造が関係してて、演技のベクトルが一つじゃなくなるから、役者には普通の舞台の倍以上の神経が必要なのですよね…)
個人的に注目している若手俳優の樗木君がすごく成長しているのには嬉しくなりました。彼に星1つあげときます。

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