大河の一雫 公演情報 dlb-EnterPrise 舞台演戯事業部 Do-リンク場「大河の一雫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    苦言ばかりになるのは嫌だけど…
    このカンパニーとはすごく長い付き合いなだけに、今作で浮かび上がった問題点と、そうなった原因までもが垣間見えてしまうのが辛いところで…
    今まで弱点を補っていたものが無くなって、強みであったはずの部分は削がれていて、ダブル残念。

    ネタバレBOX

    相当なブラッシュアップが必要な脚本だな、という印象があった。
    ただセリフを削るとかそういうレベルを超えたやり方があるはずだ。
    書き上がった脚本を寝かせ、可能な限り客観的に再読し、全体の構成、物語の整合性、あとは時代劇なのだから時代考証に至るまで、自ら疑い、二度三度と書き直すぐらいのことを、役者に渡す前の段階でやっていってもいいと思う。
    (で、実は福岡の小劇場系の脚本家は案外こういった作業をせず、書きっ放しが多いみたい…僕も例に漏れないけどorz)

    今作は、言ってしまえば全ての登場人物たちの腹の探り合いと愚痴り合い。
    各キャラクターの背景もさほど明確にされない時点から観客に向けて負の感情ばかりがぶちまけられる。
    それじゃああまりにも感情移入の余地が無い。
    ほぼそんな状態のままで物語はどんどん進行する。
    まるで最初から全速力、どこで乗ったら良いのか分からないジェットコースターのようだ。
    終盤に入ると数々の伏線もまとめて争乱の中で片付けてしまうっていう、ある意味でデウス・エクス・マキナな展開。
    クライマックスでは過剰なほどに「締め台詞」が飛び交う。
    普通の舞台なら最後の最後に一つ言い放てばいいレベルのものを、十も二十も重ねてくるから、その本来のありがたみがどんどん薄れていく。
    書きたい気持ちは分かる。けど、そこでこそ客観性を挟んでのブラッシュアップが必要なんじゃないかな…

    以前は、それでも中和剤たりえる存在があったから良かったんです。
    このカンパニーの作風を違和感なく体現できる役者の存在が、僕の考えるところでは2人いた。
    残念ながら1人は退団してしまい、もう1人はなぜか今回キャスティングされていなかった。そこが不思議でならない。


    そんな中、客演・藤井ショウジ氏の好演はささやかながら良質な求心力になっていたと思う。役柄的な要素もあるのかもしれないけどね。
    そこで☆1つ追加です。


    追記:「エンターテイメント」にあたるシークエンスがたったあれだけじゃ、その要素が強いと語るべきではないと思う。もっとストイックに探求を。

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    2010/08/31 22:28

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