高野ヒロノリ@福岡の観てきた!クチコミ一覧

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露出狂

露出狂

柿喰う客

精華小劇場(大阪府)

2010/06/04 (金) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

すさまじすぎる
テンション上がりっぱなし、キャラ立ちまくりの100分間。
なぜこれほどのものを作れるのか甚だ不可思議。

ネタバレBOX

サッカー部という形はあるけれどサッカーシーンは無い。
だけどスポ根(魂?)ものとしては限りなく完成型に近い。
一見すると過激で不条理極まりないストーリーなのだけど、説得力を持たせるための小さな仕掛けを沢山用意しているので、スンナリと飲み込んでいける。

何より14人の登場人物、設定と配置が絶妙。
完全な善人も悪人もいない上にそれぞれの思考に理由があることが分かりやすく描かれるから誰一人として嫌いになれない(個人差はあるだろうけどね)。
「部活=閉鎖的社会」を如実に表した狭い作りのセットをものともせず、あちらこちらで活き活きと動き回る女優陣が本当に魅力的。

ゴキ:周囲に振り回されているようで実はその空気を支えてる。部活の部長っていうのは案外こういうタイプこそがうまく務め上げちゃうんだよね。そんな抑えた立場を熊川ふみ嬢が好演。

サソリマチ:話をドカドカ転がしていく体育会系ヤンキーキャラをコロ氏(「嬢」はなぜか使えない。無論、褒め言葉だ)が熱演。時々ツッコミに回れる器用さも必要で、劇団員としての信頼を感じる配役。

シラミネ:頭脳派でメガネで巨乳でガーターベルトのストッキングってまるでそういうゲームかコミックから出てきたような奇跡のキャラ立ちじゃないだろうか。新良エツ子嬢が好演。

ヒル:すごく強い意思を持っているからこそテンションの振り幅もひときわ大きくて、この作品の中でも一番大事なテーマを体現しているキャラなんだろうなぁ。深谷由梨香嬢が相変わらずの熱演。

クラゲ:ストーリーの半分以上を狂言回しする役割にも関わらず、独創的な喋り方、佇まいは崩さない。ものすごい技術を要する役だったと思う。岡田あがさ嬢が好演。

ノミヤ:外見は普通、というかむしろ地味な雰囲気なんだけど、ストーリーが進むにつれ内面からぶっ壊れていく様に戦慄すら覚える。中盤からますます話をややこしくしていくキーキャラクター、右手愛美嬢が熱演。

ガマゴオリ:非常にわっかりやすいヤンキーの後輩キャラ。最も周囲に翻弄された、最も愛するべきキャラの一人かもしんない。おいしいシーンも他に比べて多めだったな。梨澤彗以子嬢が熱演。

ハエダ:ガマゴオリ同様に、サッカー部に勧誘されなければもう少しは幸せな道を歩めていたであろうかわいそうなキャラ。ま本人がある場面で見せた小さな欲のせいもあるんだろうけどね。佐藤みゆき嬢が好演。

ウジガワ:ハエダの腰ぎんちゃくのような登場をしながらも、サッカーの実力は一番下というアドバンテージ(?)が中盤の展開を面白くする、うまいポジションのキャラ。細野今日子嬢が好演。

マイマイ:「いっしょうけんめいなまねーじゃー」キャラと思いきや終盤での豹変が見事にキマってた。あんなエネルギーを隠し持ってるとかズルすぎる。山脇唯嬢が熱演。

ハブ:サソリマチとカブり気味な部分はあるが、サッカーの実力ナンバー1(=ウジガワの対極ポジション)がゆえにややこしさに拍車をかける。なにげに一番純粋にサッカーを楽しもうとしてた人なんじゃないかしら。佐賀モトキ嬢が好演。

コウモリ:キャラ立ちナンバー1。3期生の人間関係の中枢を担う上に、独壇場タイムまでもらっちゃって、とにかくおいしすぎる。山本真由美嬢が怪演。

クモン:控えめなポジションながら確かな存在感を示す。何よりもクオリティの高いカタコト喋り。わざとらしくないカタコト喋りってネイティブな日本人には難しいはずだぞ。八木菜々花嬢が好演。

ウツボ:外見から物腰から所作に至るまでインパクト絶大。存在感は間違いなくナンバー1(キャラ立ちとは違う次元にある)。理屈じゃ説明つかない化物キャラクターを七味まゆ味嬢が超怪演。

これだけの顔ぶれが揃って、これから先、再演なんて可能なんだろうか。
観て損はない、どころじゃない。観ない人は損してるレベル。
まだの人は今すぐ劇場へ急げ。
ライカンスロープ

ライカンスロープ

Afro13

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/02/02 (土) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

四の五の言わず
観に行くべきだ。

ってだけではクチコミにならないので、なんとか冷静になって書いてみる。
脚本は非常にキャッチーで分かりやすくツボを押さえた展開。
シリアスとギャグのバランス感覚が絶妙で、テーマも理解しやすい。
演出は大迫力、かつ洗練されていて、全く飽きさせない。
そして何よりそれを体現する役者たちの技量の高さに感服。

…やっぱり冷静じゃないな。口を開けば褒め言葉って。

ネタバレBOX

特に印象深かったのはオオカミ娘たちを演じていたパフォーマンスユニット「Charge」のメンバーの(このライブ自体における)役割。
関西弁での演技を難なくこなし(福岡出身の人もいるんだって!)毛むくじゃらの衣装を身に纏いながら軽やかに舞い踊り、綺麗な歌声&ハーモニーも披露。
全力で笑い、泣き、クライマックスの感動まで余すことなく観客を導き続ける。
ただただ圧巻だった。

無論、レギュラーメンバーの方々も素晴らしい熱演だったことは言わずもがな。

※ところで、誰も触れていないけれど心構え程度に書いておきたい。公表されているあらすじと実際の内容は若干違うようです。
(つっても本番始まっちゃえばそんなの関係なくなっちゃいますけどね!)
Drop

Drop

トゥインクル・コーポレーション

ももちパレス(福岡県)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

彼と同じ時代を生きられるという喜び。
「天は二物を与えず」なんて嘘っぱちだ。
ルックス、声質、センス、身体能力、瞬発力、それら全てが観客を喜ばせる上で奇跡のようなバランス感覚をもって彼一人の中に集約されている。
“小林賢太郎”という名の新しい芸術のジャンルだと言っても過言ではない。
いや過言かもしれない。
とにかくそんなことを恥じらいもなく語っちゃうぐらいに魅了されたって事ですよ!

(今回のネタバレBOXは過去最強にネタバレしてるので要注意!!)

ネタバレBOX

過去2公演と比較するとセットの転換が無くなり(その必要が無い舞台構造になっており)、非常にスムーズに演目が流れていく構成になってました。
その分、毎回のスタンバイが忙しそうだったけど…
(個人的にはその忙しさ、テンパり具合も計算だと踏んでます)
で、だからこそ、最初から舞台上に全ての仕掛けが準備済みなんですよね。
段取り一つ狂っただけで全部ぶち壊しになる恐怖の構成。
それをやってしまえる心臓の強さがまた、凄い。

のっけから膨大な量のセリフで語られる「無人島」や「1年に1文字しか話せない男」や「毛虫」のエピソードは、座布団の上でこそないものの完全に落語のノリ。
タイトルの「Drop」はもしや“落ち”あるいは“下げ”にかけてるのかしら?

毎度おなじみ「アナグラムの穴」はどこまで引き出しがあるのかと。
バリエーションの豊かさもさることながら、前後のネタとリンクしている点が絶妙。
台本どっちから書いてるんだ!?

1作目「Potsunen」からの再登場キャラ小宮山氏は相変わらずのお節介&傍若無人。
効果音ネタへの伏線、お見事。

2作目「○~maru~」の冒頭に出てきたクイズ大会の別視点ネタも絶品。
あれだけのハイテンションを持続させるには相当の体力が必要でしょう。

「メロス」比較的小ネタではあるものの、面白すぎ。
映像との共演もトリック満載で素晴らしい。


などなど、1秒足りとも飽きの来ない、至福の2時間でした。
早くも2008年の観劇作品ナンバー1ではないでしょうか。
キャプテン

キャプテン

劇団風三等星

ぽんプラザホール(福岡県)

2007/03/10 (土) ~ 2007/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

こいつはマズいな
カゼサンは過去にも何本か観させてもらったのですが…


“初のシチュエーションコメディ”と銘打たれた今回の公演こそ、実はこの劇団の真骨頂を味わえる、一つの完成形かもしれないと感じました。
舞台狭しと役者を暴れさせる演出スタイルが、空間を限定することでよりドタバタ感の増幅につながり、観ていて楽しい。面白い。
器用な役者さんが多いから数々の小道具を見事に使いこなして、笑いに、ストーリー展開に、的確な味付けを施している。


個人的には、カゼサン史上もっともツボにハマった公演でした。

ネタバレBOX

簡単なあらすじ。


借金取りに追われて腕を骨折した主人公のホテルマン・西沢は結婚式の総合責任者である「キャプテン」の役割をアルバイトの岩崎に任せることになる。
そこへこうるさい支配人やトラブルメーカーのウエイトレス高田、西沢の元恋人・尚子やその兄・尚太郎などが次から次にトラブルを持ち込んできて…


といった感じ。
実はストーリーそのものは真新しい話じゃないんですよね。
シットコムの基本に忠実で(ってのもうるさ方に言わせりゃ山ほど条件があるみたいですがそんなこたぁ言うだけ野暮ってもんですよ)、
突拍子もないアイデアには頼らず、だいたい全ての出来事にきちんとした背景がある。


これがまた、観ていてすごく安心できるんですよね。
丁寧に笑わせてくれるもんだから難しいこと考えなくていい。


結末がまたいいんですよ。
諸々のトラブルがうまい形に収まって、最後にはオチもつく。


ヒントは「おでん」です。


客席はその果てしないサービス精神に完全に乗せられていました。
もちろんボク自身も。
このぐらいのレベルの公演が増えれば間違いなく福岡演劇界は盛り上がっていくと思う。
というより、やっていかなければならない。
そう考えるとペーペーながらも同じ演劇人としては強めに尻を蹴られるような義務感に苛まれちゃうのですよ。


これはマズいことだ。頑張らなくては。
お彼岸の魚

お彼岸の魚

ニットキャップシアター

ぽんプラザホール(福岡県)

2007/05/18 (金) ~ 2007/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

すげ!
こんな芝居をこそやってみたい!とすら思ってしまった。
そのくらいピッチリと肌に合った芝居でした(賛同者不要)。


全然ノーマークだったなぁ…

ネタバレBOX

入場直後からセットの作りこみ方がすごくいいな、と思って眺めていたら、本編中で超ビッグサイズの大仏が登場するわ舞台狭しと「関係ない人々」が暴れまわるやらハイテンションLIVEが始まるやらでカオス状態に。


その上で謎を残しつつしっとりと幕を引くラストシーンの感触がすこぶるクールで、魅了されました。脱帽。
でもこれ、一部のジャンルの舞台人から見れば邪道もいいところなんだろうなぁ。
(だからこそツボを突かれたんだ、きっと)
イザナギとイザナミ 古事記一幕

イザナギとイザナミ 古事記一幕

劇団千年王國

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/01/12 (土) ~ 2008/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞後、購入した上演台本にサイン貰ったので甘めに書きます。
というのは嘘です(笑)
でも本当にけなすようなポイントは一つも見当たりません。
余計なものも、足りないものもなく、これはもう一つの純然たる完成品かと。

ネタバレBOX

非常に個人的な話なんですが、ボク、昔の言葉がダメ(全然頭に入らない)なんです。
それでもきちんと理解できたのに自分がいちばんビックリしてます。
演者の二人の表現力と、それを支える演出力によるものだと強く思います。

つまるところ、あの、サインありがとうございました(笑)
泥花

泥花

劇団桟敷童子

西鉄ホール(福岡県)

2008/01/12 (土) ~ 2008/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

これこそ、物語。
この時代、この題材を掘り下げて描けばきっと多かれ少なかれこういうようなストーリーになっていくのかもしれない。
現代ではなかなか観られない、過剰で魅力的なキャラクター達が活き活きと動いている。そこには様々な人間模様があって、そのひとつひとつがどうにも泥臭くって、面白かった。

ネタバレBOX

過剰なのは演者だけでなく、舞台セットや音響、照明なども。
個性的なダンスが入ってきたり、思わぬものが登場し思わぬ動きでまるでマンガのような表現をしてみたり。
それは確かに非常に演劇的な演出効果、でもあるのだけど、この物語は主人公のハジメが語り部となり紡いでいくものなんですよね。つまり、機関車が家屋を激しく揺らし、かき分けて登場してきたり、大量の向日葵の花弁が降ってきたりといった光景は、ある意味、子供の目を通して見た広大な世界の一部なのではないかと思いました。

ハジメはその世界に向かって、一歩一歩突き進んでいくんですね。
そういうの見せられると、弱いんだ、個人的に。

舞台を埋め尽くすモノ、エネルギー、それらすべての質感にやられ、完全に飲み込まれてしまいました。

2008年初観劇にして5つ星です。
遠州の葬儀屋

遠州の葬儀屋

福岡市文化芸術振興財団

ぽんプラザホール(福岡県)

2007/09/11 (火) ~ 2007/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

TVで言う特番ですね!
普段じゃ観られないものだけど、期待通りのものをきっちり観せてくれました。
安心して楽しめました。
が、もう一つズギュンと撃ち抜かれるような刺激があっても良かったのかもです。せっかくこれだけのキャストが集まったんだから…

なんか他の人と同じ事しか言えてないな、自分。

ネタバレBOX

ここだけの話、この芝居の打ち上げでキャストの皆さんが偶然にもボクの働く店に現れるという奇跡が起こりました。
興奮で仕事になんなかったですよ、あの時は!
コバルトにいさん

コバルトにいさん

劇団イナダ組

イムズホール(福岡県)

2007/09/22 (土) ~ 2007/09/22 (土)公演終了

満足度★★★★

北の国から。
やってきましたイナダ組。
ちょっと前にビデオ上映があった上、身内が半分関係者みたいな感じになってて予習はそれなりにできていたのだけど、ナマの空気は本当に絶妙!!
福岡では観られないタイプの芝居を堪能できました。

ネタバレBOX

案外サスペンスだったのに驚き。それにしても考え抜かれたセットでした。
運よく終演後バラしに参加できたのですが、小物ひとつひとつにもセンスが見られて非常に勉強になりました。
座布団一枚の哲学

座布団一枚の哲学

非・売れ線系ビーナス

博多南駅前ビル 多目的オープンスペース (福岡県)

2007/06/15 (金) ~ 2007/06/19 (火)公演終了

満足度★★★★

分かり難い凄さ
半端ない情報量とごった煮の小ネタ、加えて次から次に展開する噺家(=哲学者?)たちのめくるめく群像劇。
作品の土台はあるのかもしれないけれど、これだけの脚本をあれほどのテンポで描くにはちょっとやそっとの才能ではこなせないと思う。
どのようにして作り上げたかという点で考えれば尊敬したくなるほどの詰め込みっぷり。
だけど、それが観る側の満足度に繋がるかというと、別な話なのかも。

ネタバレBOX

落語や哲学の知識が必須、とはいかないまでも、その面白さが分からない人には最初の段階から距離ができちゃうわけで。
(専門的な題材を扱う以上はどうしてもついて回る課題なんですが)
そのへんの匙加減は難しいところですね。


それにしても魅力的な女優さんの多いカンパニーだわ。
夏の夜の夢

夏の夜の夢

NPO法人FPAP

ぽんプラザホール(福岡県)

2010/08/27 (金) ~ 2010/09/01 (水)公演終了

満足度★★★★

目指した場所は間違ってない。
「とにかく分かりやすいように作ることを心がけた」とアフタートークで後藤香さんの言葉として聞くことができて、嬉しかった。
それで良かったんだ、と感じた。
高校生の頃、初めて演劇を観た時の、引き込んでくれるような感覚を思い出せた。
まだ全く演劇に触れたことが無い人にこそこの舞台を観てほしかったな。
入り口としては最高じゃないか。

ネタバレBOX

もちろん「分かりやすさ」の代償に斬新な試みはほとんど挟み込めなかった様子で、それは福岡じゅうの劇団からメンバーを集めたこともあって、実際の倍ぐらい稽古期間がなければ叶わなかったのだろうけれど、クリエイターズクリエイトを期待して行った人にはやや薄味だったかもしれない。

基本的には芸達者な役者が集まってるんだけど、比率で言えば女優陣のほうが活躍できていたなぁ。
決して大きな役割ではないにしても、4人の精霊達の中では峰尾かおりさんと山下キスコ嬢がしっかり存在感を示していたのに対し、残りの男性陣はこじんまり。
職人たちのパートでも、“あの”小沢健次氏がいるにもかかわらず、本来は男性俳優の役どころであるにもかかわらず、笹本順子さんの暴れっぷりこそが全てを支配していた感があった。
妖精パックの杉山英美さんは言わずもがな。
タイターニアの濱崎留衣さん、ヒポリタの坪内陽子さんもさすが、と感じた。

もちろん他のキャスト達にだって見せ場はあって、可能なら「露出狂」(柿喰う客)の時みたいに一人一人書き上げたいところだけど、今回はさる事情により抑えさせて戴く。

やっぱ、演劇人は「観客」の方を向いててほしい。
「同業者」や「身内」や「うるさ方」のために作るのは視野が狭まってしまってどうにもいけないし、「自分(たち)」のためにしか作ってないのはもう作品ですらない。

この祝祭劇は久しく「観客」の方を向いててくれた公演だと思う。
少なくとも、高校生の頃「観客」だった僕が覚えた感動は呼び覚ましてくれたんだから。
 『逃げろ/にっちもさっちも』

『逃げろ/にっちもさっちも』

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/03/08 (土) ~ 2008/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★

得るものは大きかったと思う。
片や札幌で確たる人気を博しているカンパニー。
片や福岡でも屈指の勢いに乗るカンパニー。
この共作プロジェクトには最初から期待値も高まったし、実際に期待通りの出来になっていました。
が、あくまで期待通りであって、あわよくば期待以上のものをこっそり期待していたのですが(なんだそりゃ)、その領域まではさすがに欲張りすぎたかな、と。

ネタバレBOX

特にガラパ側のチャレンジ部分は大きかったと思います。
川口作品には珍しく場面転換があったり、セットも割と抽象的だったり。キャスト面ではエース椎木君を欠いた状態で新人や久方ぶりのメンバーを絡めたりしてで、明らかにここ数本の作品のカラーとは違う雰囲気。

注目の脚本に関してはやはりそうなるかといった印象。
(脚本はHPで公開されていたので事前に読んでおきたかったけど、気付けばできないままでした…)
yhs南参氏のパート「逃げろ」は断食道場という特殊性の強い設定で、キャラクターもそれぞれワケあり、話の流れでどんどんドラマが掘り下げられていくという飽きの来ない展開だったのに対し、川口君のパート「にっちもさっちも」は生徒指導室が舞台、女教師の二股疑惑を中心に展開していくライトな設定で、それはそれで普通に面白いのだけど、やはり物語として強く興味を引かれるのは前者になってしまうわけで。

両方の味が濃すぎてもケンカになってしまうだろうし、作風として崩したくない部分もあるのだろうから、バランスは決して悪くはなかったと思うのですが、それでもあと一歩は踏み込んだものが欲しかったかな、と。

ただ、笑いに関してはほぼ全打席ヒット。ここはさすが。

あと、スーツ姿の松田君が秋元康に見えてしまって仕方ありませんでした。
ツグノフの森

ツグノフの森

G2プロデュース

西鉄ホール(福岡県)

2007/05/11 (金) ~ 2007/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

役者力。
特に劇団出身者ばかりが集められたらしく、西鉄ホールぐらいの大きさもピッタリはまったキャスティングだったと思います。
中でも久ヶ沢徹さんはやっぱりすごい。
あの力技というか何というか(笑)

ネタバレBOX

コメディ要素は言わずもがなですが脚本の複雑さがミステリアスな雰囲気を作っていて一筋縄ではいかない感じ。
残された謎も沢山。うーん意地悪。


個人的には舞台じゅうに置かれた真っ白なキャンバスに照明が当たって輝くさまが非常に美しくて感動でした。
螺旋の上の三角

螺旋の上の三角

village80%

ぽんプラザホール(福岡県)

2008/03/01 (土) ~ 2008/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

見事!!
声を張り上げず、表情も必要以上に作らず、照明効果も音響効果も最小限。
あくまでも現実的な空気を舞台上で描ききっていて、それはそれはもう、リアルでした。
にもかかわらず実はアンリアルな設定というギャップ。
「ああ、そういうふうになってもこうなのかなぁ」
「そうかもしれないよね」
「うん、分かる」
なんて思っちゃってる時点で引き込まれてしまっていたんですよね。

ネタバレBOX

方法論についてはつまり平田オリザ的と言ってしまえば一言で説明がついちゃうんですが、それだけで終わっていなかったのがこの作品の魅力だったと思います。
展示物、と称した、2000年初頭の風景(大学の研究室)と、それを眺める、もっと未来の世界の住人の二重構造。
最小限度の照明と音響は、それでも分かりやすく物語の流れを区切るために使われていて、エンタテイメント性を高めて(見易さに繋がって)いました。
テーマに触れるセリフもまた最小限(そのくせ案外ヤバい内容だったりして)。それらが語られるタイミングも絶妙なのだから、脚本の質の高さが伺えます。
まさに“答えのない未来と過去を巡る”物語。

この物語のような未来(決してアカルイミライではない)がもし存在してしまうとしたら、すごく寂しい気がする。
でも、向き合わなくちゃいけないんだなぁ。
奇妙奇天烈ファンシーハウス(2010年4月大阪・福岡で再演します!!)

奇妙奇天烈ファンシーハウス(2010年4月大阪・福岡で再演します!!)

劇団ぎゃ。

湾岸劇場博多扇貝(福岡県)

2009/09/05 (土) ~ 2009/09/15 (火)公演終了

満足度★★★★

久々の鑑賞だったりです
前に観たのは「無題」だったから実に2年ぶりか。
不義理で申し訳ない限り。

確実にパワーアップしてると思いました。

ネタバレBOX

元々がブラックで過激な題材を歌や踊りでメルヒェンに描く作風ではあるのだけれど、そのモチーフと方法論の距離感が公演を重ねる毎に良いバランスに成ってきている気がします。
富田さんの本格加入によりますます表現レベルが上がったですねー。もちろん中原さんの熱演も無視できないところっ。
オリメン2人(三坂嬢・中村嬢)はサブに徹し、新人2人をメインに据えた、まさにお披露目公演的な構成には好感。

個人的にはストーリー面であと少し整合性を伴った奥行きが欲しいところだけど、そこはちょっとくらい「遊び」をもたせてるほうが正解なのかも。

若干、音の迫力が足りないなと感じたのは小屋のスペックの問題かなぁ?
HOLD

HOLD

劇団風三等星

甘棠館show劇場(福岡県)

2007/07/27 (金) ~ 2007/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

どうしても比較しちゃう
前作「キャプテン」がものすごくツボにハマった傑作だったので、それと比べてしまうとやや色が落ちて見えてしまいました。
広瀬さんの作品らしくオープニングで一気にテンションを上げる部分、硬派なギャグ、ラストの持っていき方など相変わらず秀逸なのですが、もう一歩!

ネタバレBOX

ラストシーン、多田さんがもう一人の自分を抱きしめる時の表情は素晴らしかった。
広瀬さんが惚れ込んだ理由が分かりました。
蓮池極楽ランド

蓮池極楽ランド

仏団観音びらき

青年センター ワンコイン実験シアター(福岡県)

2008/02/16 (土) ~ 2008/02/16 (土)公演終了

満足度★★★★

いい意味で最低(笑)
開幕直前から爆笑させられるとは!
そんじょそこらのバラエティ番組なんかメじゃないくらい笑えました。
でもネタの約8割は放送禁止じゃないでしょうか(苦笑)

ネタバレBOX

寂れたテーマパークを舞台に、あちこちから流れ込んできた、社会的に成功できなかった(もしくはできそうにない)人たちの群像劇。
少し前に騒がれた某国の某パクリテーマパークがモロにモチーフになっている時点で危険な香りがプンプンと。
(話のオチは案外やさしい感じで、鑑賞後はスッキリさせられます。がそれでも子供に見せてはいけない。シャレの分かる大人限定、みたいな)

青年センターというクセだらけのハコをバランス良く使えていたのが注目ポイント。キモは観客席との距離感でしょうか。
舞台をかなり客席に寄せて作っていたので、役者の独特のオーラも相成って迫力充分でした。
あの距離であんなネタの数々をやられたらそりゃ笑うしかないし(笑)

ちなみに、これほどの公演をワンコインシアターで打てたのには何のタネも仕掛けもなく、ガチで実費の赤字興行だとか。
凄い。けど、次回はもっと良い劇場でもっとお金取ってもいいと思いますよ。
ボクなら絶対観に行くし。
蒲団-futon-

蒲団-futon-

のこされ劇場≡

西鉄ホール(福岡県)

2007/05/05 (土) ~ 2007/05/05 (土)公演終了

満足度★★★★

もんのすごく勉強に
ここの主宰の市原氏はボクと同じ誕生日だそうで。
ていうのもあって良いところ見つけたらなにがなんでも持って帰ろうと思って前のめりになって観させていただきました。


…いやー勉強になりました。

ネタバレBOX

美術関係などは特に。
イスやテーブルに早変わりする、水入りの箱(!)の扱い方、その水に反射する照明効果など、「ああ、ボクの引き出しには無いなぁ」と思わされるものばかり。
役者さんの演技も福岡とは匂いが違う感じで新鮮。ここも学ぶべき点。
脚本の構成についてもいろいろと話題になっていましたけど見事。
ただ少々、劇団プラスチップ(ストーリー上の架空の劇団)のノリを固めすぎてカーテンコールの空気がやんわり流れてしまった感があったかなと。
「プラチ」から「のこされ」に戻る瞬間まで何らかの演出がついていれば、観終わった後のスッキリ感が増したのではないかと。
モーゴの人々

モーゴの人々

シティボーイズ

J:COM北九州芸術劇場 大ホール(福岡県)

2007/05/19 (土) ~ 2007/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★

国内屈指の悪ふざけ。
昔からのファンなのだけど、未だに「どこが面白いのか」という点が説明できなくて困ってます。
「シュール」って一言じゃ何も解決しないし。
ネタの一部を話しても絶対ピンと来ないだろうしで。
だから結局、「観ないと分からない」ってことになっちゃうんです。

ネタバレBOX

無駄にゴージャスなセットに生バンドまで仕込んじゃって、実際やってる事はいつものどーしよーもないおバカなコント(褒め言葉)で。


ホント月並みな表現だけど、ずっと笑いっぱなしでした。


ただやっぱり個人的には三木聡時代を超えるまではいかないな、という印象です。
何が違うんだろう?その正体もやっぱりうまく説明できないや。
ソウル市民/ソウル市民1919

ソウル市民/ソウル市民1919

青年団

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2007/10/20 (土) ~ 2007/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★

やられた!
このリアルさ、他では真似できるはずもない。
客入れの段階から舞台上では空気が出来上がっていて、大きな見せ場もなければ大きな事件も起きないのだけれど、あまりにもリアルな人と人との会話でここまで「ドラマ」を描ききる。

ネタバレBOX

とはいえ「1919」のおすもうさんの行方だけは非常に気になった。

なんだこのネタバレ。

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