コンパイル 公演情報 劇団無名「コンパイル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    スマッシュ&スマイル!
    あまりにも手の内を知り過ぎているので、いつにも増して純粋な観劇評にはならないかも。
    どっちかっていうとダメ出しに近く。
    (またそういう身分でもないクセに)

    ネタバレBOX

    まず、はばからずに言わせてもらうと、安倍祐馬氏は僕が尊敬する脚本家の一人です。
    氏の作品は今までにも沢山観てきたから、随所に「らしいな」って部分があって、それだけで楽しめました(過去作品のタイトルが出てきた時なんか、周りの観客を尻目に一人で笑わせてもらったりして)。

    その構成力、文法が分かっているからこそ、脚本と演出・演者の仕事を切り分けて観る事ができたと思います。
    本に書かれている事をきちんと描けているか。補完できているか。
    …結論としては、もう一歩。

    シチュエーションコメディって、ありえない事が起こり続けるからこそ、その舞台のディテールが細かくなければいけないと思うんです。

    例を上げれば、作家の安倍祐馬(えっと、登場キャラクターの方です。ややこしいな…)が「サウスポー」って設定があって、その安倍だと勘違いされて右腕に手錠をかけられた不倫男・藤原が「サウスポーだから大丈夫でしょ」と言われ慌てるシーンがあるんですが。
    冒頭に登場する小田泰嗣氏演じる実際の安倍は、TVのリモコンを操作するのも、置き電話の受話器を取るのも、自殺しようと薬瓶を手にするのも、それを流し込むウイスキー瓶を持つのも、全部右手だったんですね。
    もっと言えば、仕事用デスクの配置も右利き用のレイアウトだったし、棚の中のゲーム機の配置も本体が右側、コントローラーが左側にありました。
    (取り出す際には利き手で本体を持ち、その逆手でコントローラー、というのが自然だと思います)

    別に、本編に深く絡む設定じゃないし、藤原を慌てさせるための一回きりのキーワードなので、そこまで辛辣なツッコミを入れるような事ではないんでしょうけど、そういう小さな要素が重なることで興冷めしてしまう観客もいるので、注意した方がいいのではと思いました。

    演出面では、BGMの使い方にも違和感。
    あまり効果の無い場面で、しかも頻繁に流れる上、選曲に統一感がない。
    シチュエーションコメディならば、よほどの重要性(音楽に絡んだネタとか)が無い限り、役者の演技だけで流れを作って欲しいところです。
    一方で、ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」をラブシーンで流すのなんかはもう定番を通り越して古典的ですらあるんだけど、うまく使えていれば当然、面白いはず。が藤原と花田のキスシーンのみにしか流れず、その後のキスシーンである藤原と吉田、藤原と良子(藤原、キスしてばっかだな…)の時は無音。これはこれでおいしい流し所だったんじゃないかと。

    役者では花田役の花田嬢が惜しい。以前に比べればだいぶ器用な女優さんになってるんだけど、この役はさらにそれ以上の、狂気レベルのものが垣間見えないと成立しないと思う。いきなり手錠とか引っ張り出してくるのだし。
    (狂気と言えば、ローラのキャラは凄かったな…)


    そして、星一つ引いた理由にもなるんですが、パンフレットの表紙の誤表記(【場所】ぽんポンプラザホール と書いて「ポン」に×印)は、上演会場に対して失礼なのでは?と思いました。
    このサイトも含め、ネットに載せているチラシ画像はきちんと修正されているのに、なぜそれを使わなかったんでしょうか。

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    2010/07/24 23:51

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