【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021 公演情報 【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.9
1-20件 / 24件中
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    「プラスチックヒーロー」 アリエル・ドロン 2021.8.12
     ネタバレに書かれたことの背景を知りたい方は、以下をご覧頂きたい。
    https://handara.hatenablog.com/

    ネタバレBOX


     イスラエル出身の人形遣い。二十歳過ぎでセサミストリートのキャラで最も上手い人形遣いがやるエルモ役を担当、然し人形遣いの用いる人形操作に飽きてしまい30を過ぎた現在は市販のおもちゃを用いて作品創りをしている。現在イスラエルはシオニストが中心になって政局を動かしているが、長年に亘るパレスチナとの争闘、兵役義務、イスラエル社会にウンザリ、今作もある程度正確なイスラエル・パレスチナ情報を掴んでいる者にとってはその表現の意味する所が良く分かる作品に仕上がっている。
     登場するヒトは、人形を操作するアリエルと国際法に反する占領地からTV電話する兵士の妻や娘たちの人形以外は総てが兵士であり、電話をしている兵士も妻から任地を尋ねられて応えることができない。無論「軍事機密」に属するからである。出て来るおもちゃは、戦車、戦闘ヘリ、軍用ヘリ、軍用車両、防護用ブロック、歩哨台、レーダー或は電磁兵器らしきもの等々、総て軍事絡みのおもちゃである。因みに虎のぬいぐるみが登場するが、1人の兵士が虎と仲良くなり、虎に舐められたり、虎の喉を撫でたりしながらBigcatと呼びかけ親密になる。偶々ヘリか何かが上空を飛び兵士も虎も一旦避難する。兵士が後ろ向きになっている時、虎が戻ってくる気配に気付いた兵士は、振り向きざま虎を撃ち殺してしまう。何故ならそれが兵士の基本的な行動だからであり、動くものは総て撃てという命令は金科玉条だから条件反射的に撃ち殺してしまった訳だ。敢えてこのような状況を描く所にドロンの反イスラエルの姿勢が表れていよう。
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    「快傑ゾロ」アルファ劇場 
    操り人形劇だが、ギター、太鼓等のパーカッション、サックスの生演奏が入り、演奏が実に上手い。人形劇は猫の顔を思わせる装置が用意され、ゾロの仮面を付けた部分が跳ね上がるとそこが人形達が活躍する舞台になる。主たる登場人物は、ゾロ、ドン親子、市長、将軍、犬のポポ、セニオリータ、その母、ワキに酒場の客、酒場のホステス、兵隊等。子供達が観て楽しい内容になっている。筋は単純で、市長は人々に重税を掛けて将軍や兵たちに徴収させ贅沢三昧をしているが、弱者は堪ったものではない。この市長や将軍・兵士ら弱者を痛めつけ収奪する者達に鉄槌を食らわすのが、ゾロの役目だ。覆面をしているのでゾロの正体は美しいセニオリ―タにもよく分からないが、ドンの子息には憧れており、子息の方でも美しいセニオリータに気が在るが、だからこそ彼女の前に出ると体が竦んで何もできない。それで彼は見捨てられてしまう。一方、将軍は美しいセニオリータにぞっこんで嫌われれば嫌われる程増々恋しくなり付きまとう。弱い者苛めの先頭に立って行動する将軍は何度かゾロと戦い総て負け、ゾロマークを剣で付けられる。
     ラストは、セニオリータの懇請に負け、マスクを取ったゾロの正体を知った彼女と子息のメデタシ、メデタシ!
     ところで、ワークショップで本物の人形を使って実習をさせて貰ったが、この人形が結構重い。遣いこなすのにかなりの体力が居ることが分かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「The Worthless」
    ウクレレ、バンジョー、ギター、小型シンバル、鐘、ラッパ、小さな打楽器等を取り付けてあるウォッシュボードの他、時折小型マラカス等も用いられ軽めで楽しい楽曲が演じられる。板上には縦長のスクリーンが置かれ、マスコットキャラが踊ったりしている。このグループは様々な絵本を基に曲を創るという。可成りメジャーなグループのようだが、自分は初めて知った。

  • 映像鑑賞

    全容が判らぬ内に閉会となったが、プークの劇団公演ではなく、プーク主催イベントであった。イベントの目玉だった海外の9団体による上演が来日叶わず映像配信、新宿のプーク劇場では国内18団体が各1回の演目披露という4日間のプログラムである。
    現在、海外グループの作品を9月初旬までバラorセットで有料配信中。

    国内演目については無料配信があったが自分は最終日に発見、この書き込みはその感想(7割方視聴した)。
    人形劇の演目は半数以下で、ジャンルもバラエティに富んでいたが、全体にクオリティは高かった。マイム、演奏、大道芸・・見た事のない芸を贅沢に味わったが、自分的にはやはり「人形劇」である。
    子ども向けというプークの出し物はローラー車を(機関車トーマスみたく)擬人化してその活躍ぶりを見せるお話。大人が見て楽しいものでなきゃならん(子どもも楽しむには)、という持論からするとつらい部分があったが、手作りな仕掛けの考案が注目どころ。
    八王子車人形西川古柳座は伝統的演目をダイジェストで紹介。文楽人形サイズの人形を基本一人で動かし、しぐさの「型」が見事で伝統芸能の「習得」の年月に想像を馳せた。
    かわせみ座は「観た」はずだが場面を「これ」と思い起こせない。「おっ、なかなか」と感じた記憶のみ。
    糸あやつり人形劇団みのむしは時代劇「岩見重太郎・狒々退治の段」のダイジェストという事だったが、自分にはやはり糸操り人形のシュールさが来る。人形劇とは即ち「人間でないもの」に人格を仮託する営みで、観客は人間でない事が判っている。だから逆に「人に似せることの限界」の中に、その真髄があると改めて思った所である。

    さて海外作品をこれから、つまみ食いで観てみたい。
    ・・と思ってたら終わっていた。。TT
    カンフェティでの視聴期限が9/8までで、まさか販売期限が8/24とは・・配信はまだやってるのに・・見せて頂戴!!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「エイトリング」PESTRiCA 2021.8.12 19:30
    ブラボー!

    ネタバレBOX


     エイトリングという大道芸は初めてみたが、亀戸の大道芸フェスで演じたらバズった。というのはよく分かる。ジャグリングの1種だそうで、ドーナツのように中空の円形の薄い板を用い様々な幾何学模様を空中に作り出す。その手腕が余りに見事なので恰も何の支えも無くリングたちが空中に様々な文様を描き出す手品ではないか? との錯覚を起こす程だ。ハシブト烏の嘴のような大きな嘴の付いた面を付けハットを被りウエストが締まり裾が広がった長めの上着に黒いパンツ、黒靴。背中の側には丁度腰の辺りに大きなネジ巻が付いていてゆっくり回転している。
     PESTRiCAという名前の由来は、ペストが大流行した時に医療従事者が感染予防対策として用いたマスクの名に由来しているそうだ。最も感染症に目に見えないウィルス等が関係しているなどということは分かっていた訳ではないから、用いられたマスクにも殆ど効果は認められなかったらしいが。
     閑話休題、舞台では最初に述べた普通のリングの他に暗闇にした舞台で電飾を施した器具を用いた演技もあり、こちらは点滅の妙も加わって極めて美しく幻想的な演技を楽しむことができた。捌き方はこちらも上述の如く見事なものであった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「あらい汎のピエロマジック」2021.8.11 19時5分
    “マイム詩集”と称して朗読主体の演目。

    ネタバレBOX


    「汎」という漢字のサンズイは海を表し、凡は凡庸、即ち特に優れた所もなくありふれたもの、全体として海を漂うありふれた物をイメージしているのだと言う。とどのつまり l’épave だ。読まれたテキストは宮澤賢治の「雨ニモマケズ」である。この作品は賢治の作品歴では後期の部類に入る。度重なる不幸や父との断絶、理解されぬ天才故の孤独を抱えて詠まれた作品或は覚書だと思われるが、それが現行のような形で現れた時、寺山修司は、欺瞞の最たるものとして毛嫌いした。大抵の人は己の不甲斐なさを慰めるものとして受け入れるのであろう。或る意味、その虚しさを抱え込む人々の哀れが籠る「詩行」ではある。
     今回老いた道化は、余り身体を酷使しないで済むような演技形態を演じられた形に求めたと言えよう。但し落魄そのものを描くような鬼気迫るものでは無論ない。この辺りが凡庸の凡庸たる所以である。朗読の合間にいくつかの手品を挟み一応、ピエロの演じる作品という体裁を整えた。
     然し乍ら、賢治は法華経に帰依し、法華経によって世人を救おうと夢見た。その為、父との確執が殊に甚だしかったことは、研究者の指摘する所である。父は浄土真宗を奉じ、父子の論争は絶えることが無かった。こんな知識を持って今作を観ると矢張り、落魄をこそ演じて欲しかったとは思う。最大の理解者であった、妹・トシを既に失くして久しかったのだから。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    「マリオネット・サーカス」8月14日10時45分 ヴィクトル・アントノフ
     操り人形遣いだ。想像できる通り操り人形は1つ動作や手順を間違えばそれで終わりである。何と成れば、糸が絡まって総てがワヤになってしまうからだ。彼のスピーディーで極めて正確な糸操りは神業だ。

    ネタバレBOX


     数々の人形を用いて各々独立した内容の作品をオムニバス形式で見せてくれる。板上の構造は実にシンプルで目隠しの床まで届く布を貼った枠に、用いる人形を吊り下げておいて演目毎に人形を換え演じる。この枠の観客側に円形の布を敷きこの円の内側が基本的な舞台と見做されて演技が披露される訳だ。用いられる操り人形たちは、様々な文化圏の様々な衣装を纏い、各々の文化圏に対するヨーロッパ的認識を反映しつつその見事な糸操りによって命を吹き込まれる。難易度の高い技術を幾つも用いて操り人形が持ったポットから種を撒いた鉢に本物の水を灌ぐと薔薇が生え成長するとか、3体の人形による複雑でスピーディー而もアクロバティックな組体操を披露したりしてくれるが、ずっと独りでやって来たので宣伝に手が回らず知名度は低かった。だが最近では人形劇フェスティバルに参加し、その高い技術が認められ幾つもの賞を得たことで俄かに注目されている。
    今回披露された作品は以下に述べるような少人数の観客を相手にする人形劇フェスティバルで演じられたようだ。
     オランダにマイクロフェスティバルと名付けられたフェスティバルがあるそうだが、このフェスティバルは地域の民家に各演者が陣取って公演を行う。観客は10人から15人位のグループに分かれて街中を散策しながら公演の行われる各民家を訪れ、そこで作品を鑑賞して意見交換や歓談の後、次の演目を演じている民家に向かい別の作品と出会うという形で開催されている。2018年に開催された第一回のA-hoj! 発想の原点の1つはこのフェスの開催コンセプトから発想を得ている。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    クラウンマイム「ふたり」2021.8.11 18:15 全体として華4つ星

    ネタバレBOX


     老若2人のクラウンが出演。老いたクラウンは流石に身体能力も落ち動きに切れが欠けるが、若いクラウンと比較できるので悲哀感が生まれることも意識してこのような形で演じているのかも知れない。若い方はジャグリングやパントマイムらしいマイムが得意であり、老いた方は手品や説明過多を感じた風船芸、人生の苦みを感じさせるような台詞を吐くという形で老いの特性を活かしている。
     とはいえ、老いによる身体技術的切れが落ちている現状は矢張り覆うべくもない。この点もっと悲哀を強調した方が良かったように思うし、説明過多になる自分を批判する視座が欲しかった。若い方のクラウンは中々芸達者で魅せてくれただけに惜しい。
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    「Little night tales」マティア・ソルツェ 2021.8.14 15時5分

    ネタバレBOX


     スロべニア人だが、多くの名人形操り士を排出している名門プラハ芸術大学人形劇学部に学び優れたアーティストが集まるこの大学でも学生時代からその高く特異な才能を評価されてきた逸材。人形操りのみならず、作曲、演出でも高い才能を示しスロベニアのリブラナ人形劇場でも演出を担当する。因みにこの人形劇場はオペラ劇場にも比肩される程立派な劇場であり、スロベニアの人形劇は人形劇大国・チェコと同系統の人形劇でありソルテ自らの高い能力によってチェコの一流人形操りに勝るとも劣らぬ。今回到着したフィルムは彼の大学を卒業する頃に創られた作品だが、現在も尚、彼のレパートリー作品として演じ続けられる作品である。才能の枯れかけた作家が、観客のアイデアを参考にしながら作劇に挑む話だが、様々な観客からのアイデアを借用する結果しっかりした柱の無い作品になりそうになるが、それを何とか完成作に仕上げようと奮闘する内容だ。豊かな才能を持つ者の自由な発想が随所に見られる。尚用いられているのは指人形である。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    「人生」2021.8.11 16時
     スペイン出身のアーティスト・ハヴィエル・アランダ。

    ネタバレBOX

    彼は余り露出するのが好きではないタイプの人ということで、スペインでも余り知られてこなかったが、最近あちこちのフェスティバルで賞を数多く受賞し徐々に知名度を上げている。主に掌を用いてのパフォーマンスであるが、作劇も実にしっかりしている。笑いから入り7分ほど進んだ所から独自の世界観、本質に切り込んでくるあたり、当にシナリオ作法の王道を行っていると言って良い。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「がんばれローラーくん」2021.8.11 10時 プーク人形劇場
     子供向けの作品だ。自動車ファンの子供が来ていて母親とローラーくんのことを話したり質問したりしているのが可愛い。

    ネタバレBOX


     ローラーくんは、ロードローラーである。毎日、その重い体を工事現場に運び道路の補修等に活躍している。相棒はバイクさんである。バイクさんはその機動性を活かし中央指令室からの指示をローラーくんに伝え次のローラーくんを派遣する場所を実地にローラーくんに伝え、緊急時には先に現場に飛んで事前の準備を整える等の作業をしている。板上には観た目で直径2.2m 円周は2.2π程の丁度大人の腰の高さほどの可動式構造物が構築されており、その天井部には道路が走っている。但しこの路面は至る所障害物や路面の捲れ上がり等が見られ修理を待っている。朝一の工事現場から最終予定現場迄行程が組まれているが、現工事現場は無論、緊急現場が何らかの事情で出来した場合は渋滞必至。各予定現場や緊急現場に迅速にローラーくんが到着できなければ大変な混乱になってしまうのでバイクさんもローラーくんも一所懸命に働くが、朝一の現場から最も遠い場所で道路が陥没、至急向かわなければならないが車体の重いローラーくんのスピードは速くない。渋滞したダンプが進入禁止表示を跳ね飛ばし、乗用車が続いたが何れも無理な走行でエンジンが焼けたり、タイヤが外れたりでエンコしてしまった。漸く到着したローラーくんの御蔭で道路は復旧、外れたタイヤも持ち主に戻り、無茶な走行をローラーくん達に謝り感謝して渋滞していた車は去って行った。
     人形は車に目等が付いた人形、これをお姉さんたちが操る。工事現場には工事中の看板やコーンが置かれており、先に記したように路面の捲れ上がりが表現され障害物等も置かれている。こういった人形・障害物も総て柔らかい素材を用いて作られており、もし不測の事態が起こっても子供達に怪我が無いように配慮されている点、また総ての人に優しい運営方針、裏方さん、技術スタッフの方々総ての技量の高さと心遣いの素晴らしさ、チームワークの良さ等92年もの長い間続いてきた劇団の凄さと人間性の素晴らしさを感じる。珈琲ショップで飲んだ珈琲もおいしく値段も良心的だということも付け加えておきたい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    かわせみ座 2021.8.11 15時15分
     糸操り人形である。

    ネタバレBOX

    音響はシンセサイザー、タムタムその他の太鼓、木琴の原型と言われるアフリカの楽器・バラフォン等。顫音が出るのは用いられている瓢箪の内側に蜘蛛の巣が在る為だ。伝統的な楽器とシンセのコラボ、音響と人形操りのテクニックのマッチングもみものだ。人形操りのテクニックは頗る高い。恐らくテンと思われる動物の動きも実に良く動物の動きを研究して操っていることは明らかで感心させられた。また、ブランコに乗る子供は両側の綱を掴んで、本当に漕ぐのだ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「鼠の相撲」燕屋 2021.8.14 12時15分
     指操りの人形を用いるが、相撲の勝敗でお目当ての♀鼠をゲットするという約束が♂鼠同士で交わされる為、大技で投げ飛ばされると遠近法の発想で遠くに飛ばされた鼠の体は中型・小型へと変化しつつ宙を舞う。

    ネタバレBOX


     今回のようないでたちは江戸時代、肩掛け人形芝居を生業としていた人々にならっている。演者は顔部分だけ黒い布で隠す。今回は長野から参加。内容は2匹の♂鼠による可愛い♀鼠の争奪戦だが、子供向け作品である為内容的にも可愛らしい。♀鼠が心を寄せる♂鼠に思いがけなく出会い「キャー鼠」と叫んで失神してしまうなどというジョークも入っているので子供たちもやんややんやの喝采!
  • 実演鑑賞

    内容はもちろん、運営面も、とても良かったと思います。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    8/22まで見ることができるアーカイブ配信で、初日の8/11分に上演された国内団体の演目を鑑賞。人形劇団プークの『がんばれローラーくん』は、道路に見立てたリング状の分割ステージを用い、ローラー車や他の自動車・バイク等の動きと組合せるあたり、視覚的にも分かりやすくて楽しい内容。和太鼓・篠笛・獅子舞など、でん舎の伝統芸能集『希生』。「竹田人形座」出身の山本由也氏が率いるかわせみ座の『Session Yoshiya. A-hoj!』。'79年に設立されたパントマイム/クラウン芸の企画制作専門劇団「汎マイム工房」より、代表・あらい汎、立川真也の2人による道化師芝居『ふたり』(一部音声が欠けていたのが残念)。そして、「汎マイム工房」あらい汎のソロステージは、当初予定されていた『ピエロマジック』は屋外会場を想定していたものだからと、演目を変更して『パントマイム詩集』から「雨ニモマケズ」。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    最終日の8月14日は、劇場5階で上映の、スロヴェニア国立人形劇場のトップ演出家であるマティヤ・ソルツェのソロ公演『ちいさな夜話』を見た。偏屈な作家が観客からアイデアをもらいながら物語を書こうとするが…という約40分の演目で、人形の操演も素晴らしいのだが、登場する生き物の造形なども、日本でのそれとかなり印象が異なっており、それ故にこちらの想定外の動きをするのがまた可笑しい。

    帰宅してから配信で見た、本日の国内劇団による演目は、日本伝統芸能を守る会による『太神楽曲芸』、信州松本を拠点にひとり人形芝居を上演する人形芝居燕屋の肩掛け人形芝居『ねずみのすもう』、シアタークラウンジャパンのメンバーでもあるClown Troupeの『椅子』と『蚊ノン』、KALAMAWAIOLI appearing工場による人形を交えた踊り/殺陣/歌の『Souls of the Soul』。これまで見た日も含め、連日の演目には自分の好みから外れるものもあるが、その日の演目に☆5つに値するものがあれば、個別ではなく「A-hoj!」というイベントへの評価として☆を付けさせてもらった。プーク人形劇場をはじめ、関係者の皆さん、お疲れさまでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    伝統芸能をこととする荒馬座 (追記後送)

    ネタバレBOX


     板橋に本拠を構えるグループ、創立55周年を迎えた老舗である。篠笛、大和太鼓、鉦、小締め太鼓。鉦の形状は円周に垂直に縁を付けた形で左手親指と小指で楽器を支え持ち他の3本の指で底部を押さえて響きを抑制、開放して響かせるという打ち方をする。無論縁を叩いても良い。曲想に合わせて演奏される。叩く器具は撥である。次に演じられたのは獅子舞。楽器は輪太鼓。締め太鼓、篠笛。これほど上手い獅子舞を観たのは初めてである。下半身が安定して居る為、動きに切れがあり決めるべき所で的確に決まる。而も演者は柔軟な身体をしているから腰から上を捩じるようにして獅子頭を支えたり開脚場面も見事に決める。耳、尾を動かしたりもする。子守歌が篠笛で奏されると眠りに就くがその際の呼吸の様子・体全体の脈動迄も微妙な動きで表現する。更に鬣の動きまで見事に再現、目覚める際には頭の角度を上手く用いて動くようには創られていない目の表情まで表してみせた。御見事! 
     
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ジュンマキ堂 2021.8.13 12時 チンドンミュージックショー

    ネタバレBOX


     用いる楽器はエレキのベースギター、トランペット、アコーデオン、チンドン、洋太鼓のように見えるが和太鼓のゴロス、ゴロスの右上の縁には小型シンバル。チンドンとはチンドン屋さんの先頭に立って練り歩く楽器で楽器の上部には傘などが取り付けられていることが多い。チンドン屋さんというのは、かつて広告等をチンドンに取り付けて街角を練り歩き地元のパチンコ屋、スーパー等の宣伝をしていた職業に就いていた人々だ。メインの楽器はチンドンとゴロス2つの打楽器である。チンドンは肩に担いで演者に対して直角に張り出した木枠の上部の右側にチンと鳴る鉦、左側に小さな和太鼓、横木を上下枠の中程に渡しその下に和太鼓の中位の太鼓を取り付けた楽器で、この楽器の奏でるチン・ドンという音からこの名が付いた。本日の演奏曲名を演奏順に記しておくと、スワニー、ラックカラーチャ、千鳥、オソレミヨ、藁の中の七面鳥、美しき天然(この曲は日本最古のワルツと謂われ、どこか哀愁を帯びた名曲である)、ヘイヘイボギー、セントトーマス、アンコールで演奏されたのは四丁目(しちょうめ)の9曲。中にはジャズのノリを感じさせるアレンジもあり、この鬱屈の時代をも吹き飛ばすほどの活力を与えてくれるほど賑やかで楽しい。
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    3日目の8月13日は、劇場5階で上映される、チェコのドラク劇場『ジョルジュ・メリエス氏の最後のトリック』を予約。午前中は用事があってライブ配信を見られなかったので、帰宅してからアーカイブで確認することに。メリエスはもちろん、映画黎明期において様々なトリックや技法を用いて活躍したあのメリエス。ドラク劇場は、人形に拘らない「モノ」を登場させる、オブジェクトシアターと呼ばれた動きをいち早く取り入れた劇団なんだそうで、確かに自分の持っていたイメージだと、これは人形劇なんだろうかとも思ってしまう舞台だが、素晴らしいイマジネーションに溢れた50分。

    帰宅してから見た、本日の国内劇団による演目は、名古屋在住の道化師チーム、ラストラーダカンパニーの『La Strada』。都内で活動する音楽集団、ジュンマキ堂とニュー・パラダイス・チンドンの『チンドン・ミュージック・ショー』。これは『ジョルジュ・メリエス~』の入場開始まで1Fロビーのモニターで見ていたが、とても楽しく、生で観たかった。今年で創立55周年を迎えるという板橋の民族歌舞団荒馬座『囃し囃され芸能ひろば』。マリオネットを加えたジャグバンド『The Worthless』。国立市を拠点に活動する人形遣い・黒谷都による、genre:Grayの『顔のモノ語り ~10年目の夏~』。この人は90年代に、今日映像を見たドラク劇場の演出家ヨゼフ・クロフタや美術家ペトル・マターセクに学んだのだそう。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    都から発出された日本百貨店協会への「感染防止対策の更なる徹底」要請の影響で、開催3日前に当初予定されていた新宿高島屋横での上演を断念。日程を1日減らしてプーク人形劇場での開催に変更し、タイムテーブルも全て組み直すという、関係者の御苦労たるや察するに余り有る。いくつか入れていた演目の予約もキャンセルになってしまい、当初予定していた時間と合わなくなってしまったことから、配信ライブで鑑賞することに。初日は見逃したので2日目の8月12日。

    まず、日本でのアーティストビザを取得しているアメリカ人による、ヨーロッパゆかりの古楽器にオリジナル楽器を織りまぜた大道芸『グレゴの音楽一座』。京都の人形劇団『糸あやつり人形劇団みのむし』は「岩見重太郎・狒々退治の段」。ダイジェスト版だったが、これはなかなか楽しい。八王子の人形劇団『八王子車人形西川古柳座』は、「二人三番叟」「日高川」「東海道中膝栗毛」から1シーンずつと「洋舞」。最後の『PESTRICA』はリングを使った変則のジャグリングで、錯覚を利用しているのだろうけど、何をどうやったらこういうことが出来るのか、くり返して見てもさっぱり分からない凄い芸だった。

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