【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021 公演情報 プーク人形劇場「【会場が変更になります8.7】A-hoj!2021 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「あらい汎のピエロマジック」2021.8.11 19時5分
    “マイム詩集”と称して朗読主体の演目。

    ネタバレBOX


    「汎」という漢字のサンズイは海を表し、凡は凡庸、即ち特に優れた所もなくありふれたもの、全体として海を漂うありふれた物をイメージしているのだと言う。とどのつまり l’épave だ。読まれたテキストは宮澤賢治の「雨ニモマケズ」である。この作品は賢治の作品歴では後期の部類に入る。度重なる不幸や父との断絶、理解されぬ天才故の孤独を抱えて詠まれた作品或は覚書だと思われるが、それが現行のような形で現れた時、寺山修司は、欺瞞の最たるものとして毛嫌いした。大抵の人は己の不甲斐なさを慰めるものとして受け入れるのであろう。或る意味、その虚しさを抱え込む人々の哀れが籠る「詩行」ではある。
     今回老いた道化は、余り身体を酷使しないで済むような演技形態を演じられた形に求めたと言えよう。但し落魄そのものを描くような鬼気迫るものでは無論ない。この辺りが凡庸の凡庸たる所以である。朗読の合間にいくつかの手品を挟み一応、ピエロの演じる作品という体裁を整えた。
     然し乍ら、賢治は法華経に帰依し、法華経によって世人を救おうと夢見た。その為、父との確執が殊に甚だしかったことは、研究者の指摘する所である。父は浄土真宗を奉じ、父子の論争は絶えることが無かった。こんな知識を持って今作を観ると矢張り、落魄をこそ演じて欲しかったとは思う。最大の理解者であった、妹・トシを既に失くして久しかったのだから。

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    2021/08/17 22:22

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